「幻の京焼 京都瓢池園」 泉屋博古館分館

大倉集古館の「根来」展と合わせて楽しめる「幻の京焼 京都瓢池園」 泉屋博古館分館に行って来ました。
この展覧会、とっても良いのに絶対チラシとポスターで損していると思う。
とってもはっきり書いてしまうと、チラシのデザインが悪すぎる〜。
チラシを見た時には、行くのやめようかと思ったけれど、行ってみてびっくり。
こんなに素敵な京焼の展示は見逃したら勿体ない。
チラシって、展覧会へ行く気にさせる最重要アイテムだと思うんだけど。もう少し考えたら良いのにね。
チラシのことなど杞憂であった。
館内にはかなり多くのお客様がいらっしゃったので、チラシが云々などとほざいている輩は私くらいだったことだろう。
京都瓢池園は、日本の近代陶芸の大立者・河原徳立と実業家の廣瀬満正(住友家初代総理事の長男)の尽力により、明治40年から大正9年にかけての短期間に制作流通したやきもの(チラシより)。
先日拝見した横浜美術館の「大・開港展」にも出展されていた。
参考「大・開港展」エントリ:http://memeyogini.blog51.fc2.com/blog-entry-858.html
京都瓢池園で制作された京焼は活動期間が短かったこともあり、幻の京焼と言われている。
本展では、廣瀬家ゆかりの京都廣誠員に所蔵される代表的な作品約80点を展示し、京都瓢池園の全貌を紹介する初めての試みです。
何といっても、陶磁器のレベルの高さが目を引いた。
京都らしく、乾山風のものもあれば、神坂雪佳風デザインもあり、絵付けデザインが特に素晴らしい。
もちろん、陶磁器の命とも言える陶肌や地の発色も透明感があり申し分ない。
青磁風、白磁風、更には釉薬の研究により、柿釉、鉄釉、桃色釉、乳白釉など様々な色合いの作品が出来上がっていた。
どれも、これも欲しくなってしまう。
更に、京都瓢池園で検索をかけていたらこちらのブログに行きついた。
どうやら、京都瓢池園はオールドノリタケのルーツだとか。
私の好きなオールドノリタケももとをたどれば、京都瓢池園!?もう少し深く知りたい。
今度京都の泉屋博古館に行ったら、図録熟読して来ようと思った。
驚いたのは、浅井忠の存在と関わりであった。
洋画家である浅井忠は、どうやら単に洋画だけを仕事としていた訳ではないようだ。
大津市歴史博物館に行った時も驚いたのだが、大津歴博のミュージアムショップには浅井忠が描いた大津絵のポストカードが販売されていて、これがとても愛らしいのだ。
大津絵と浅井忠が私の頭の中では全く結びつかなかったが、京焼の絵付け図案も浅井忠が携わっていたと分かり、漸く大津絵と浅井忠も結びついてきた感じがある。
浅井忠図案の瓢池園の陶磁器たち、特に≪染付動物絵角形向鉢≫や≪色絵動物四方皿≫などとても愛らしい。
≪染付稲穂に雀文ビール呑≫(新居浜市広瀬歴史記念館)は今回の一推し。
お酒もろくに飲めない私が言うのもなんですが、このビール呑ならビールも美味しく進みそう。
それにしても、明治の工芸品の素晴らしさの一端を垣間見る素晴らしい内容だった。
もっともっと、明治〜大正期の工芸品にスポットが当たっても良いのではないか。「皇室の名宝展」で明治の工芸ブームが到来したら面白いのに。
「京都瓢池園の幻の京焼」も「根来」と合わせて楽しめます。
*12月13日まで開催中。
「根来」 大倉集古館

大倉集古館で開催中の「根来」展に行って来ました。
「根来」(ねごろ)とは根来塗、すなわち黒漆を塗った上に朱漆を塗り重ねた漆器のこと。
その名の由来は、和歌山県にある真言宗の総本山・一乗山大伝法院根来寺の仏具や什器として作られたものと言われている。
私が初めて根来塗に出会った時のことは今でも忘れられない。
それは今から8年程前に初めて京都の細見美術館に行った時のこと。展覧会の内容は根来と関係ないものだった(多分琳派)と思うが、細見古香庵のコレクションが最後に展示してあって、その中に根来があったのだ。
≪根来亀甲文瓶子≫と≪黒根来双蝶文瓶子≫は間違いなくあった。特に後者の蝶、というか蛾のような大きな図柄はちょっとグロテスクで強烈に印象深かった。
今回は残念ながら細見美術館所蔵品は出展されていないようだった(展示替えで前期にあったのかは不明)。
その後も、様々な展覧会で根来塗を見かけることはあったが、本展のように根来一本で行われる企画展には出くわしたことがない。
昭和41年に現在のMOA美術館、当時熱海美術館で「根来」と題した展覧会が開催されて以来だそう。
この熱海美術館での「根来」展図録は、ネットで調べたら45,000円〜50,000円と恐ろしい値段が付いている。
残念ながら作品リストは用意していないとのことだったが、作品名はどれも似たような名前だし、所蔵先の多くは個人になっていたため、あってもあまり意味がなかったかもしれない。
元々仏具、什器用に制作されていたものなので、用の美を成していなければならないが、経年使用によって、朱漆がはげて下地の黒漆が顔を出している所に風情や美や枯淡の美を感じるもので、何とも日本的、日本人の美意識を象徴するかのような品物である。
古今東西、漆がはげた所の風情を楽しむ人類が他にあるだろうか?
根来に美を感じるとは、すなわち日本人であることの証のようにも思われる。
しかし、これだけ沢山の根来の漆芸品を取り揃え、作品の見せ方にも工夫を凝らしていたことをまず評価したいと思う。
大倉集古館が別の美術館のように見えたほど、その雰囲気を一変させていた。
とりわけ、古筆や古写経と合わせた展示は、根来を仏具、什器を超越した立派な美術作品に見せていたと思う。
1階にあった、「東大寺二月堂焼経」+須田悦弘さんの白椿一輪(木彫)+根来の取り合わせは、台になっていた古材がもっと古くてひなびていたら言うことなしだったのに。
それにしても、あの、「東大寺二月堂焼経」は杉本博司氏所蔵のものではあるまいか?表装の銀箔と深い緑の裂を使用していたのが似ている。
須田さんは、ギャラリー小柳が担当しているアーティストだし、組み合わせとしては至極無難。
これ、あくまで勝手な憶測です。
展示の様子はブログ「フクヘン」で画像が掲載されている⇒こちら。
お気に入りの根来は沢山ありすぎて、とても紹介しきれない。
両口銚子や富岡鉄斎旧蔵の硯台や、姿の良い湯桶、足付盥(六地蔵寺)などなど。
時代の中心は室町時代が最も多く、次に鎌倉、桃山時代と時代が新しくなるにつれ、デザイン性が高まるように感じた。
根来の亜流と言って良いのか≪漆絵紅葉文大鉢≫室町時代など、赤と黒だけで、ここまでやったかという感動を覚えた。
図録がなかったので、ショップにあった雑誌『目の眼』を購入して、本展企画者の田島充氏(ロンドンギャラリー主人)と白洲信哉氏(白洲次郎、正子の末裔)の対談で、田島氏が根来とマーク・ロスコの絵画をたとえて話をされていたのが興味深かった。
確かに、ロスコのシーグラム壁画で使用されていたような赤と黒の世界はどこか共通している。

無論、根来の魅力は単に赤と黒の2色だけにあるわけではなく、形の美しさという点も見逃せない。
多分、観賞者の誰もが自分のお気に入りの根来を見つけたことだろう。
漆の耐久性、用の美、枯れの美を堪能し、日本人DNAを深く感じる展覧会だった。
なお、図録は12月下旬に完成予定だが、お値段は確実に一万円を超すようです。
*12月13日まで開催中。
「狩野派−400年の栄華−」 栃木県立博物館

既に、あちこちのブログで話題になっている展覧会。
当初、狩野派と言えばこの方、安村敏信先生の講演会に電話予約までしていたのに、急遽関西行きとなりキャンセル。
予定の見直しをしたら、ちょうど今日から宇都宮美術館で「杉浦非水の眼と手」が開催。これを待って、宇都宮行きを決行することにした。
しかし、本展の会期は明日23日まで。
図録1200円はお値打ちでかつ出来が良いと聞いている。板橋の英一蝶展も最終日には図録は完売していた。
ということで、2週間前に図録だけ取り置きを電話でお願いしておいたら、案の定、昨日で図録完売になったとのこと。良かった〜予約しておいて。
さて、狩野派展と言えば、この秋静岡県立美術館でも「狩野派の世界」と題した展覧会を開催していた。
しかし、栃木県立博物館の狩野派展との違いは明確だった。栃木では、主に東国のちとゆかりの深い狩野派画人の作品に焦点をあて、その400年の歴史を紹介するもの。
展示替えを含み約100点もの作品が出品される大規模な内容だった。
てっきり、60点程度の出展かと思いきやさにあらず。
行けども行けども終りが見えず。思っていたより作品数も多く見ごたえのある作品ばかり。
気が付けば、あっという間に1時間半が経過していた。
展覧会は4部構成。
?.狩野派誕生
?.探幽の登場
?.江戸の狩野派
?.そして近代へ
一番驚いたのは、栃木県立博物館にこれほど多くの狩野派作品があったのかということ。
板橋区立美術館からも相当作品を借りているが、それでも栃木県博所蔵作品が大半。これは凄い。
*所蔵先が記載されていないのは、栃木県立博物館蔵
・≪観瀑図≫ 狩野正信 室町時代 長林寺
・≪花鳥図屏風≫ 伝狩野元信筆 室町時代
やっぱり伝だろうが、伝なしだろうが正信、元信の狩野派始祖ペアの作品は水墨は忠実に、着彩は華美になっている。
・≪洛外名所遊楽図屏風≫ 狩野永徳 室町時代
まだ若き永徳の洛外名所遊楽図。かの有名な洛中洛外図屏風を思わせるような緻密さ。人間一人ひとりの様子が実に丁寧に描かれている。
こちらの方が近くまで寄れて見やすい。
狩野探幽の画技の上手さが如何なく照明されていた。
・≪陶淵明菊梅図≫ 狩野探幽
華麗の一言につきる。
・≪富士三保清見寺図≫
3幅対で広大な富士の裾野と大地絵を描く。
以前東博で見た伊勢物語の主人公を変わった構図で描いた作品の再会は嬉しい。
家余っく何を描かせても一流だ。
後半は江戸狩野中心の展開。
ここでは狩野一信の凄さを誰もが感じたに違いない。私は、増上寺の五百羅漢図もさることながら、板橋区立美術館の≪源平合戦図屏風≫にKOされた。
この毒々しい色彩、綿密な構図はわすれようにもなかなか忘れ難い。
最後に、お馴染狩野芳崖、橋本雅邦はじめ下村観山まで網羅されているのが凄い。
概して静岡県美は京狩野派をピックアップ、栃木では関東狩野派に絞った点が良かった。
*11月23日!明日まで開催。まだ間に合います。お見逃しなく〜。
「ヴェルナー・パントン展」 東京オペラシティアートギャラリー

東京オペラシティアートギャラリーで開催中の「ヴェルナー・パントン展」に行って来ました。
展覧会チラシは一見するとSFフェアのようだが、実は20世紀の北欧デザイナーの回顧展。
本展については、気になっていながらも椅子のデザイナーさんの展覧会と優先順位は低め。
ところがnoelさんおtwitter上の呟き、更にブログ記事⇒こちらで俄然。興味は高まりぐるっとパスの期限内にと遅れ馳せながら行って来ました。
結果、楽しい、面白い、過去に見たデザイナー系の展覧会で一番良かったです。
パントンについて、以下に自分が無知であったかを恥じ入りました。
彼は単なるデザイナーではなかった。
元々建築の勉強をしていて、設計構想をいくつか練ったけれど結局実現せず。結果的にプロダクトデザイナーとして一番名を馳せたのだが、本展を見ればその才能があまりにも時代に対し先端的過ぎたのだろうということが分かる。
北欧デザイナーの家具は元々大好きなのだが、パントンの椅子然り、テキスタイル然り、更に一番好きなのは照明と彼が手がけたモジュール空間。
テキスタイルの中に若冲の升目描きのようなものがあった。
この技法万国共通なのだろうか?朝鮮絵画にも似たような作品がある。
展示会場はいつものオペラシティが別空間になってしまったかのよう。
前回の鴻池朋子さんの展覧会さえ超越しているように感じた。
途中靴を脱いで、実際にパントンが手がけた≪ファンタジー・ランドスケープ≫や≪3Dカーペット≫を体験できるのも良い。
自宅がこんな風になっていたら、毎日帰るのが楽しくなって、家から出たくなくなりそう。
そしたら、私も少しはじっとしていられるのではないかと妄想した。
3Dカーペットは真剣に自宅に欲しい。
楽だこれは。ここにねっ転がって大画面の映画など見たら幸せ過ぎ。今回はパントンのインタビューやら作品の映像作品が流れていたが、これも必見作。
ただし、気持ち良すぎて思わず寝そうになった。
あんまり楽しかったので、もう1度行こうかと思っている。
どうやら私はパントン氏のコンセプトカラーを重視している点、機能的である点に共感を強く覚えた。
図録は3500円とお高いので、一旦見送ったが、自宅に戻りやはり手元に置いておきたくなった。
小さなパントンチェア付の図録、印刷は凸版なのでバッチリ。製本方法も変わっている。
動く家具も私が以前考えていたのと同じ発想。ワイヤー使いのラウンジチェアも良かったなぁ。
だめだ、思いだしたらまた見に行きたくなってきた。
大枚はたくのは辛いが、やはりこれは欲しい。
ところで、デンマークに行ったらパントンが手がけたレストランなどはまだ残っているのだろうか。
空間体験したいなぁ。
すっかり、パントンファンになってしまった。
*12月27日まで開催中。
「東京コンテンポラリーアートフェア2009」 東美アートフォーラム

新橋(御成町)の東京美術倶楽部3階4階フロアを使用して、「東京コンテンポラリーアートフェア2009」が本日より明後日(23日)まで開催されています。
早速行って来ましたので、気になる作家さんなどご紹介します。
67軒の画廊とメディア3社が出展しています。出展画廊のリストはこちら。
・西村画廊
町田久美さんの新作か旧作か不明だが見たことのない作品が2点。作風とモチーフから察するに新作だと思われる。横尾忠則さんのY字路写真や小林孝亘さんの昔のドローイングなど出ていた。
・ギャラリー広田美術
前を通ったことはあるけれど、入ったことはない。銀座の老舗中の老舗画廊だと思う。取扱作家が凄い。今回は若手作家の紹介に絞っていて、神戸智行さんの日本画に惹かれた。神戸さんは現在岐阜県美術館での展覧会の参加アーティストになっているとのことで、今度名古屋に帰ったら、岐阜県美には必ず行かねば。プライスチェックを忘れてしまった。
過去の展覧会の様子はこちら。
生きものをモチーフにして優しい雰囲気の作品を描いている。欲しいなぁ。
・YOKOI FINE ART
前原冬樹さんの新作が3点。スニーカーと自転車のサドル彫刻。ちょっとイメージが違う。
昨年のおぶせミュージアムでの展覧会を逃したのは、痛かった。次回個展に期待したい。
・ギャラリー・ショアウッド
岡村智晴さんの日本画が気になる。こもれびを描いた緑の作品はとても美しい。単色使いが多いが日本画風の内海さんのよう。1984年生まれで今後が楽しみ。
・IMURA ART GALLERY
現在京都では伊庭靖子さんの個展を開催中。伊庭さんの作品はなかったが、渡邊佳織さんの絵画が気になる。子どもを描いた作品が多いが、1点群像表現されているものがあり、これが一番良かった。修復など手がけれおられるそうで、技術は素晴らしいものをお持ち。1984年生まれの若手。
渡邉さんの作品はこちら。
・帝塚山画廊
ここでは添野郁(そえのかおる)さんの作品に目がとまる。不思議なモノクロ平面作品。道行く人々をテンペラで描く。技法が個性的で切り取り方も面白い。1984年生まれの若手で要注目。
作品画像はこちら。
・YUKARI ART CONTEMPORARY
大畑伸太郎、南条嘉毅の2人の平面作品が良かった。今回大畑は立体なし。絵画だけでも十分魅力は出ている。南条の土で描いた作品は面白い。かなり大きな作品なので、お値段もそれなりだったが、来月12日に個展が開催されるので、今度こそYUKARI ART 初訪問をする!詳細はこちら。
・ラディウム・レントゲンヴェルケ
初めて、あるがせいじさんのペーパー作品を見た。3点中初日オープン1時間後で既に2点売れていた。確かに、これは面白い。
以前から注目している漆の岩田俊彦さんの作品は今回更に冴えていた。ここは全体的に楽しめた。
・ギャラリー新居 東京店
渡部 裕二(わたべ ゆうじ)。過去の作品から大きく路線を変えているように思った。人物から風景へ。私は風景の方がこの作家さんの作品は好き。鉛筆とは思えない。
・小林画廊
もう1人鉛筆画家のご紹介。秋山泉さん。あまりにも敷居が高すぎ、この人の作品だけ出展していたが、大半が既に売却済。確かに上手いし情緒があるが、そこまで人気がある理由は今一つ不明。
・サイギャラリー
森本絵利の繊細な点描画が気になった。額装を上手くすれば素敵なんじゃないかな。シンプル過ぎるほどシンプル。ULTRAで見た芳木麻里絵さんのレース風作品もあり。
・Gallery FURUYA
ここで、凄い作家さんの作品と出合った。武田海。東京藝大卒業後?長らくスペインに行っていたようで、今回は和紙と糸でできた彫刻が4点あり、存在感抜群。本展最大の収穫。
*11月23日まで開催中。入場料600円ですが、全部見ると1時間半は必要です。
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