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美術館をめぐる旅(三重・大阪・兵庫・岡山・島根編)

あまりにも久しぶりの更新で、書き出しから戸惑ってしまいますが、この3連休+半日を使って美術館巡りをしたので旅程を記録しておくことにしました。

1日目:午後から休みをとってJR快速みえに飛び乗り、三重県美の中谷泰展へ向かう。
中谷泰は木村荘八に師事し、同年に木村荘八、中谷泰の両画家の回顧展を観ることができる機会などこれを逃したらあろう筈がない。中谷泰の回顧展は同館で1988年に開催して以来25年ぶりの単独開催である。
期待通りの充実した内容と丁寧な展示、また図録の出来映えが素晴らしく非常に資料的価値の高い1冊。ポスト印象派風の作品から戦後がらりと作風が変化する、それに加えて木村荘八同様、書籍の挿絵の力量も見て取れる作品群を紹介していた。

三重県美を後に近鉄で大阪へ向かう。
肥後橋でサードギャラリーAYAの川北ゆうさんの個展とYosimi Artsで興梠優護さん、笹川治子さんの新作を拝見。
特に興梠さんの作品の変化、抽象化が進みつつあるようで今後も期待。黒の小品も良かった。

国立国際美術館の夜間開館で貴婦人と一角獣展を堪能。国立新美術館でも拝見しているが、その時より観客が少なくゆっくり鑑賞できた。建物の構造上、柱が邪魔だったのは致し方ない所。タペストリーは近目で観られた。
コレクションは現代の彫刻、あまり印象に残る作品はなかったか。その頃には目眩が始まっていたのでホテルに早々と退散して1日目終了。

2日目:朝一番で大阪市美の「北魏 石造仏教彫刻の展開」へ向かう。てっきり同館の山口コレクションだけの展示かと思ってノーマークだったが、他館からの借用も含む特別展という情報をTwitterで知り予定に組み込んだ。
北魏前、北魏後と前後の石造彫刻を時代を追って見せることでその特徴をクローズアップさせていた。
他館からの借り入れ品もあったがごく一部を除き、やはり山口コレクションが秀逸かつ貴重な作品群であることを再認識した。
2階では、同館ご自慢の所蔵品展が開催されており今期はカザールコレクションを大公開。行けども行けども根付けや印籠が続く。大阪市美は移転などせず、あの建物自体が既に貴重な文化財なのだから天王寺での存続が決まり本当に良かったと思っている。

大阪市美を後にびわ湖ホールの開館記念コンサートのため一路大津へ。目当ては野村萬斎さんのボレロ。
やはり生は良かった!TVで数年前の公演を観て、再演がないものかと思っていたらなんとびわ湖ホールで開催するということを知り速攻チケットをおさえた。S席が3,000円と手を出しやすいお値段だったのも嬉しい。

大津を後に大阪駅で野暮用をすませ、アートコートギャラリーの野村仁展へ。旧作の展示中心。ギャラリーにいらっしゃった方は野村仁氏ご本人だったのだろうか。

その後もうひとつ野暮用をすませ、兵庫県美の橋本関雪展へ。
東京国立近代美術館で開催中の竹内栖鳳展(その後、京都市美に巡回)を観たが、栖鳳門下であった関雪が師と袂をわかち自身の絵画を模索し作品を展開する過程を大作、重要作を集めて紹介。非常に充実した内容で今回の旅ではベスト2のひとつに挙げられる。栖鳳展と両方観る事で両者の比較を考えつつ眺めると面白さが増した。
橋本関雪展は兵庫県美の単独開催で巡回なし。また同館は土曜日に夜間開館を行っていて混雑なくゆったりじっくり鑑賞できるのでおすすめ。今回、兵庫県美の友の会に入会。橋本関雪と次回展、そしてポンピドーコレクションと3つの特別展と常設の入館可能で2千円ならお得と判断した。

2日目は姫路にて宿泊。

3日目:姫路より岡山へ向かう。往路は新幹線を極力使わないで交通費を節約。相生→岡山間のみ新幹線を利用した。
岡山駅でレンタサイクルを確保し岡山県美の「中原浩大 自己模倣」展と「知られざる震災画家 徳永仁臣」展と所蔵品展を観る。中原浩大の方は作品が並んでいるだけといった印象が強く、もう少し違った展示方法はなかったのか、あれも作家の意向なのか疑問が残った。キュレーション不在感が強かった。
1000部限定らしい貴重な図録の売れ行きは好調らしく、私が行った段階で100冊は売れているとのことでした。

岡山県美を後に初の後楽園へ。
イベントを開催していて神楽の実演が行われていた。それにしても後楽園、あんなに広かったのですね。暑かったので早々に退散し、林原美術館へ。
林原美術館は初訪問。現在は「近代絵画と工芸の名品」展を開催中(11/24迄)。特に印象に残ったのは岡山の金工芸と言えば正阿弥勝義。正阿弥の金工作品が10点程展示されていた。近代絵画では菱田春草などこちらも佳品が並ぶ。

自転車で岡山駅に戻り昼食をとって倉敷へ。
この夏にも大原美術館には行ったので迷ったが、大原美術館でARCOの坂本夏子と倉敷市立美術館の30周年記念展「倉敷仏教寺院の至宝」(11/24)が観たかった。
大原美術館では期間限定で有隣荘の公開と「植物のメタモルフォーゼ」を開催中。
中で一番印象深かったのは坂本夏子の新作だった。これまでは師の影響が強く感じられる作風だったが、滞在制作で仕上げた小品の大半と大作、とりわけ大作はがらりと変化していて、失礼ながら一皮むけたといった印象。これを拝見できただけでも大原へ出向いた甲斐はあった。
また、別館の近代日本美術のコレクションは前回訪問時と展示品がかなり変わっていてこれも良かった。

倉敷市美の至宝展はやや物足りなさを感じる内容だったが涅槃図2点が記憶に残る。

岡山へ戻り高速バスにて米子へ。米子泊(本当は松江に宿泊したかったが、宿が空いてなかった!)。

4日目:早朝6時48分の山陰本線で出雲市へ向かう。目指すは出雲大社。
本来の目的は島根県立美術館なのだが、ここまできたら出雲大社もと欲が出た。が、調べてみると松江から出雲大社は結構な距離がある。しかも列車の本数は少ない。後の島根県美での14時からの講演を拝聴するには遅くとも13時迄には松江に戻らねばならないので早朝出立。
しかし、結果的にはこれが良かった。この日は大学対抗駅伝が出雲で開催。松江駅から出雲大社までは約30分に1本の間隔でバスが運行しており松江駅から25分程度で出雲大社に到着した。
駅伝のため関係者やらTV中継車やらマスコミで早朝から大変な賑わい。
急ぎ参拝をすませ、宝物殿を拝見しおみくじをひいたがいまひとつ。枝に結んでいる最中でおみくじが破れるハプニングと何やら不吉な予兆満載の初出雲大社であった。

駅伝スタートの前に再びバスで出雲市駅に戻り、予定の列車で松江着。島根県立美術館には12時前には到着。
早速、湖に面した絶景のイタリアンレストランで昼食。
そして、今回の旅の最大の目的である「出雲の阿国」展を鑑賞。
いやはやこれがよく頑張ってこれだけ集めたなという内容で、半分も観ない時点で1時間が経過。
能楽方狂言師の小笠原匡さんの講演を拝聴したかったので、展示鑑賞半ばで抜けて講演会場へ向かう。
美術史家のお話も良いが、実際に演じる側の方のお話を伺いたかった。
そして、その目論見は見事にあたり非常に興味深い内容で、映像もまじえた楽しい1時間半だった。
猿楽→能・狂言→阿国の登場。そして阿国の歌舞伎とは実際どんなものであったか、佐渡との関連、権力者と芸能者の癒着などなど展示を観る上で大変参考になった。

講演会の後、企画展会場に戻り残りと最初からもう1巡して2階のコレクション展へ。
島根県美はかねてより行きたい美術館のひとつだったが、所蔵品展も想像以上の量と質で驚いた。
所蔵品展だけでも急ぎ足で1時間以上はかかる。特に浮世絵コレクションと奈良原一高の写真の充実ぶりが光る。
古美術も良いものが出ていて、京狩野の狩野永岳の金屏風、長沢芦雪の《白象黒牛図屏風》があったりで仰天した。白象黒牛図屏風ってプライスコレクションにもなかったか?私の思い違いでしょうか。
とにかく、島根県立美術館は1日過ごせるハイパフォーマンスな美術館であることを痛感しました。

出雲の阿国展はこの日が前期最終日、後期も大幅な展示かえがあるので再訪したいが、さすがに松江まで行くのは無理。後期は出光美術館所蔵作品が目玉で文化庁所蔵の1点が気になるがこれは諦めます。同館のみで巡回なし、彦根屏風があれば完璧という良い展覧会でした。

島根県美で宍道湖に落ちる夕陽を眺めつつ帰路につきました。
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オーストラリアの美術館への旅

新年のご挨拶もせぬまま気づけば松の内も過ぎ、昨日年明け最初の記事をあげてしまいました。
今年もどうかよろしくお願いいたします。

元旦から福岡→ソウル経由オーストラリアに行ってきました。
まずは、簡単に旅程を記録にとどめておこうと思います。相当無茶苦茶な旅程なので、決してオススメ致しません。
今回は見たい展覧会をつぶしていった結果、この旅程となりました。
福岡、ソウル経由にしたのは、福岡と帰りに寄った長崎そしてソウルで見たい展覧会があったのと、福岡経由だと名古屋発ソウルより国内線料金を加算しても安いチケットが見つかったためです。FFPはユナイテッドのマイレージプラスをメインにしていますが、同じスターアライアンスであるアシアナ航空は機内食、乗務員、サービス等々気に入っていて他の選択肢は考えませんでした。

1月1日 ANAにて中部国際空港→福岡空港 
到着ロビーで航空会社のビンテージポスター展を開催していて、これは面白かった。今はなきパンナムや007のイメージを引用したものなど時代やお国柄を反映したデザイン、航空会社のポスターは美術館のポスター展でもあまり見かけないので尚更。中に、1964年日本の海外渡航自由化すぐのポスター(JALだったか)があり、1964年ってまだ50年も経過していないではないか。。。と今更ながら驚いた。
福岡空港国際線はターミナルビルが国内線とは別でシャトルバスで5分以上かかる。これは面倒、しかも国際線ターミナルはひどく元旦だというのに閑散としていた。やむなく、選択肢の乏しいビル内でランチ。

16時頃、アシアナ航空にて福岡空港→仁川空港へ。
アシアナ航空のチェックインカウンターで、今回の旅で最大のピンチをいきなり迎える。オーストラリアでは僅か6日間の滞在であったが、6日間であろうと「ETAS」と呼ばれる査証(ビザ)が必要だと初めて知る。事前準備が不十分であること甚だしいが、チケット手配を依頼した旅行会社からは何の案内も注意もなかった(もしかすると見逃した?)し、ガイドブックは機内で読もうと思っていたので全くETASに気づかなかった。旅行行けない・・・絶望的な気分で「何とかならないでしょうか。」とおずおずと尋ねたところ、「少しお待ちください、こちらで手配可能だと思います。」と天の助けが!ということで待つ事10分程度で、無事ETASの申請をアシアナ航空が行ってくれて晴れて機上の人となれた。

20時頃、アシアナ航空にて仁川空港→シドニー国際空港へ。
ソウルは雪が舞い、空港外の駐機場は凍り付いていたが、やや遅れつつも無事飛行機は飛んだ。これしきの雪で空港閉鎖となるほど、やわではないのだろう。

1月2日 8時半 シドニー国際空港着。ソウルからのフライトはおよそ10時間。
シドニーは曇りだった。機内持込できるスーツケースだったので、そのまま空港エアポートトレインにて市内へ。向かった先はシドニー現代美術館。ここでアニッシュ・カプーア展とコレクションを拝見。ここではかなりのんびりした。

18時頃 美術館からシドニー空港国内線ターミナルへ戻り、カンタス航空にてブリスベンへ約1時間で到着。オーストラリア内の国内線はすべてカンタス航空にした。格安エアラインもあるけれど、遅延したりのリスクはできるだけ回避したかったし、そのリスクを負う程の料金差はなかった。時間帯によって航空運賃はかなり異なるので、可能な限り安い時間帯の便を利用したつもり。そのままエアトレインでブリスベン市内のホテルで宿泊。

1月3日(木) ブリスベンのギャラリー・オブ・モダンアートとクイーンズランド・アート・ギャラリーで開催中のアジアパシフィックトリエンナーレ(APT7)とコレクションを観る。ここで日程組の失敗が露呈。APT7は金・土にシネマプログラムを夜8時まで開催しており、夜間開館を利用できたが、木曜日であるためあえなく17時で閉館。ブリスベン泊。なお、APT7は無料、コレクションも無料で鑑賞できる。

1月4日(金) 早朝の便でブリスベンからメルボルンへ、フライトは約3時間。メルボルンにはエアトレインがないため、乗り合いシャトルで空港からホテルへ。途中、乗客の宿泊先を回って行くため、1時間以上かかった。チェックイン時間にはまだ早かったが、部屋に入ることができた。今回、海外ホテルの予約で利用する某サイトでなく、別のサイトを使ったがこれが大失敗。このサイトマイナス情報、ないものについての表記がない、もしくは非常に見づらい。気づいた時には予約と同時にフルキャンセルチャージのかかるホテルを予約したため、日程変更ができなかった。本当はメルボルン→ブリスベンが夜間開館を利用でき時間を有効に使えたが後の祭り。ただ、決済が予約と同時だったため、円安に戻る前に支払いが完了したのだけが救い。
部屋で少し休息した後、ヴィクトリア国立美術館とイアンポッターセンターに出かけた。ホテル近くに市内周遊シャトル(無料!)乗り場があり、美術館近くまで行くので往復シャトルを利用した。ヴィクトリア国立美術館のティールームにて昼食、ここは本格的なティールームでアフタヌーンティーも楽しめる。その後、美術館から徒歩5分のイアンポッターセンターでジェフ・ウォール展とコレクションを鑑賞。メルボルン泊。

1月5日(土) 終日ヴィクトリア国立美術館。都現美で開催されていたトーマス・デマンド展が規模を半分に縮小して開催中でジェフ・ウォール展と2つで15A&チケット(どちらか一方のチケットはなし)。デマンド展と新印象派を紹介するRadiance: The Neo-Impressionis展、コレクションを観る。メルボルン泊。

1月6日(日) 早朝の便でシドニーへ。10時頃、ホテルに到着したが部屋に入れてくれた。ここでもしばらく休憩。短時間のフライトのせいか目眩が悪化。薬を飲んでしばし眠る。少し楽になったので、ニュー・サウス・ウェールズ州立美術館へ。フランシス・ベーコンFIVE DECADESとコレクションを観る。ここの現代美術のコレクションは素晴らしかった。今回訪れた中でも最高レベル。今春都現美で開催されるフランシス・アリスの作品は2点(映像とスライド投影)、ケントリッジは「潮見表」は上映されているは、昨年のドキュメンタで発表された作品のものか?ドローイング、ルゥイットはサイトスペシフィックな巨大な壁面作品を数点に立体数点、計6点はあっただろうか。。。などなどきりがない。シドニー泊。

1月7日(月) 10時頃シドニーより仁川空港へ。仁川には19時前には到着。外は零下4度だった。空港リムジンでホテルへ。ソウル泊。完全移動日。

1月8日(火) リウム美術館でアニッシュ・カプーア展とコレクション(訪問は2回目)。アニッシュ・カプーア展はシドニーのものとは別物で、開催時期が一部重複したもの。その後、地下鉄でPLATEAUへ移動。(Im)Possible Landscape展を鑑賞。地下鉄経由ソウル中央駅より空港列車で仁川空港へ。しかしここでアクシデント。ソウル中央駅では出国手続きが可能で、ここで出国審査を行うと、仁川空港ではパイロットらの乗務員用通路を利用して出国ゲートへ行けるため、ものは試しで利用した。しかし、ソウル中央駅の空港列車乗り場はめちゃめちゃ深い。しかも特別列車(仁川までノンストップ)と一般列車(各停)の2種類あり、仁川までは特別列車だと43分の筈だが、乗り場が違った!!!どうやら一般列車は地下7階ホーム、特別列車は地下6階とひとつ上の階であったらしい。気づいた時には既に遅し。やむなく15時過ぎの一般列車で仁川へ。空港駅からターミナルまでも5分以上かかる。こんなことなら、素直にリムジンにしておけば良かった。。。(料金は特別列車の方が割引が航空チケット提示で割引となるため1000W安いが一般列車だと差はもう少し開く)と思ったが後悔先に立たず。かなりギリギリで、出国ゲートを通過。結局再度、イミグレーションでパスポートを提示するため、楽なのかどうなのか。あれだけ地下深くまで行かねばならないなら、結局リムジンの方が早い気もする。おまけに、ソウルの地下鉄駅はエレベーターが少ない。

17時仁川発のアシアナ航空で福岡空港へ。ほぼ定刻通りの18時10分頃到着。国際線ターミナル→国内線へ移動し、地下鉄でそのまま中州の福岡アジア美術館へ。ここは休館日除いて毎日20時まで開館(入館は30分前迄)。渓山清遠―中国現代アート・伝統からの再出発展とガンゴー・ヴィレッジと 1980年代・ミャンマーの実験美術展、コレクションを鑑賞。どちらもアジ美ならではの企画だが、特に後者は印象深い。福岡泊。

1月9日(水) 福岡市立美術館と福岡県立美術館で「福岡現代美術クロニクル1970ー2000」とコレクションを鑑賞。14時頃、高速バスにて長崎県美術館へ向かう。長崎県美も休館日以外は20時まで開館しているため、16時頃到着したが、「手のなかの空 奈良原一高 1954−2004」とコレクションを鑑賞。バスにて長崎空港へ移動し、中部国際空港へ。帰宅。

オーストラリアでは目眩もあったため、無理せずスローペースで鑑賞したが、最後2日間は移動も多く、最終日は駆け足に。無事に帰宅できて何よりでした。初めての南半球、特にオーストラリアは入国カードが独特で、検疫が厳しかった。漢方薬も申告しないといけないし、食べ物の持込も制限があるので要注意で入国時は緊張しました。

オーストラリアに美術鑑賞目的で出かける人はあまりいないと思いますが、今回はART ITの展覧会スケジュールが非常に役立ちました。環太平洋地域の展覧会スケジュールを網羅しているので、オーストラリア、韓国と見たい展覧会が開催されているのか一目瞭然です。

関西方面1泊2日の美術探訪の旅

山口・島根の記事も終わったか終わらないかのうちに、関西へ1泊2日で出かけて来ました。

この日程は当初予定していなかったのですが、夙川の黒川古文化研究所にて公開研究会:-実物とデジタル画像による文化財考察-「中国花鳥画の彩りに迫る」(以下)が11月12日(土)に開催されると知り、急遽予定を組みなおした。
http://www.kurokawa-institute.or.jp/
この研究会のパネリストが関西の若手中国絵画研究者3名で、どうしても参加したかった。
3名のうちのおひとり、塚本氏は元大和文華館の学芸員をされていたが、約1年前に東京国立博物館へ移られたので、元関西若手中国絵画研究者とするのが正しいだろう。

という訳で、詳細は後日アップしますが、簡単に見たものを。観たものと見たものが混在。

11月12日(土)
・大阪市歴史博物館 「心斎橋 きもの モダン ―煌めきの大大阪時代―」
以前、岡崎市美術博物館にて「あら、尖端的ね。」と題した展覧会を見たが、これは大阪に特化した大正から昭和初期のモダン文化の紹介と考えると良い。必ずしも着ものに限定している訳ではなく、広告媒体、百貨店などに関する資料と関西の画家による時代を反映した絵画を合わせて展示。
前回の建築展の方が、私としては面白かったです。過去に見ているものが多かったせいもある。

・兵庫県立美術館 「榎忠展」、チャンネル2 大西伸明、イチハラヒロコ
詳細別記事にしますが、これといった感動は得られず。大西伸明さんの展示は考えさせられ良かった。

・黒川古文化研究所 「中国の花鳥画-彩りに込めた思い-」 11月13日で終了。
所蔵品だけでなく借用品も合わせての企画展で驚いた。てっきり所蔵品による展覧会だと思っていたので予想以上に楽しめた。もちろん、公開研究会も充実した内容で、脚を運んだ甲斐あり。

・神戸アートビレッジセンター(KAVC) 梅田哲也 「大きなことを小さくみせる」
アートゾーンに続く今年の個展。大人気の梅田さん。神戸でも新趣向で楽しませてくれましたが、アートゾーンをどうしても私自身の記憶から排除できない。シアターだけ500円入場料というのも、どうなのかなと思った。結局、500円必要ってことではないか。

11月13日(日)
・国立国際美術館 「世界制作の方法」「アンリ・サラ展」「中之島コレクションズ」
中之島コレクションズの国立国際のコレクションはさすがの作品揃い。結構見たかった作家の作品を見ることができた。
アンリ・サラは全体としてみれば、カイカイキキギャラリーの方が良かった。ただ、大阪だけで紹介している映像が1本あったので、やはり行って良かったと思う。
「世界制作の方法」は、作家それぞれが捉える世界の違いを楽しんだが、既視感が強い。

・アートエリアB1 西野達 鉄道芸術祭vol.1 西野トラベラーズー行き先はどこだ?ー」
いやはや、これには参りました。凄いです。西野さんワールド満載。京阪沿線案内の壁面ドローイングは必見。300円のリーフレット(蛇腹折り可能)もオススメ。

・新:福寿荘 梅田哲也 「小さなものが大きくみえる」
神戸と大阪、二か所、いや松本市美術館を入れると計3か所同時開催の個展とグループ展。神戸とは逆に作品の作りこみをできるだけ抑えて、建物そのものを見せるような引いた展示になっている。神戸と合わせて違いを楽しんだ方が良い。
それにしても築60年の賃貸アパートは凄かった!

・大津市歴史博物館 神仏います近江 「日吉の神と祭」
神像と日吉神社の曼荼羅や祭礼図屏風満載の企画展。やっぱり神像表現は興味深い。日吉神社信仰は文脈ひとつで片づけられない多様性がある。

・TKGエディションズ京都 福居伸宏展 「アンダーカレント」
旧作、新作合わせての展示。新作がとても良かった。この日一番の収穫。詳細は別記事にて。

・タカ・イシイギャラリー京都 
gallery 1: 「Walking 歩くこと、描くこと」展 管啓次郎の詩と佐々木愛の絵
gallery 2: 青木陵子+伊藤存「9才までの境地、そのころの日射し」展 
2つの展示がそれぞれ邪魔をせず、上手く共存している。青木陵子と伊藤存の映像作品は、世界制作の方法に出展していたものを更にアレンジしていて、個人的にはこちらの方が良かった。

・FOIL GALLERY 「Oblique Narratives ―斜角叙事―」
1ヶ月間だけの間借りだとのこと。韓国の作家3名によるグループ展。段ボールを材料にした作品を展示していた作家はなかなか面白かった。

・児玉画廊京都 升谷絵里香 「For the Sake of the Moment !!」
閉廊15分前に行ったら、既に作品上映が終わっていて焦った。お願いしたら見せていただけたので図々しいとは思いつつ甘えさせていただく。1階2階を使っての展示だが、1階の作品(映像5本)と展示構成が良かった。

山口、島根の美術館への旅 「雪舟と防府天満宮とファロッキ映画を求めて」

10月29日土曜日より、2泊3日で山口、島根の美術館への旅 「雪舟と防府天満宮とファロッキ映画を求めて」と勝手にテーマを定めて出発。

出発前日の10月28日金曜夜に、東京ナイトリバークルーズで日本橋川から神田川、隅田川と日本橋をスタートして1時間半の東京河川クルーズ。夜の御茶ノ水界隈の風景は、予想通り素晴らしかった。
すっかりはしゃいで、荷物のパッキングもそこそこに旅へと出かけた。
そういえば、雪舟も旅の多い禅僧だったな。

<10月29日(土) 1日目>
当日は朝一番のANAで山口・宇部空港へ向かう。4時半起きはきつかった。
飛行機で爆睡して、1時間半はあっという間。目が覚めたら、そこは山口県でした。人生初山口県に到着。

到着後、バスに乗り宇部新川駅へ。飛行機と宿はおさえたものの、しっかりしたスケジュールは立てておらず、行き当たりばったり。
行かねばならない場所だけは、決めてあったのであとは廻る順番をどうするかだった。
宇部市に到着したのだから、まずは宇部と、UBE現代彫刻ビエンナーレを見にときわ公園に行きたかったのだが、行き方が分からない。
宇部新川駅に到着後、JRの本数が1時間に1本と知りバスに走る。幸いにもときわ公園に向かうバスが5分後に来るという。
東京は晴れていたが、山口県は曇りで今にも雨が降りそうなお天気。
ときわ公園は広大な公園で、湖を園内に有し美術館だけでなく、遊園地施設などもあり市民の憩いの場所として利用されている。
この公園内の野外彫刻展示場でUBE現代彫刻ビエンナーレ入選作品が展示されている。
知り合いの作家さん森川穣さんの作品を観に来たのだけれど、彼の作品だけでなく面白い作品がいくつかあり、結構楽しめた。残念だったのは、とうとう雨が降り出して傘をさしての鑑賞となってしまったこと。森川さんの作品は光を彫刻することがテーマだったので尚のこと残念だった。

ときわ公園から、再びバスに乗り新山口駅へ向かう。というかバスの行き先にそれしか選択肢がなかった。
はたと気付けば、初日の宿泊先は新山口だ。
終点新山口駅で降りたら、目の前が今日の宿泊先だった。これはラッキー。荷物を宿泊先に預けて、YCAM(山口情報芸術センター)へ。
どのバスに乗れば良いのか案内所の方に尋ねようとしたら、長電話で5分ほど待たされる。停まっていたバスが1台。そのバスが出て行ったあと、ようやく電話が終わった。
「YCAMに行くにはどのバスに乗ればよいのでしょう?・・・」
「ちょうど、今出て行ったバスで、次は40分後です。」
が~ん。しかし、目の前にはバス停だけでなくJR新山口駅もある。JRの方に行ったら、こちらはあと10分で山口駅方面の列車が出発するところだった。
新山口駅は新幹線も停車する駅だが、山口駅が市街地で、両者は在来線で約20分くらいの距離。
山口駅に到着し、YCAM行きのバスを確認。その前に昼食を山口駅近辺で取る。麺類とおかずビュッフェで580円~。安い!

山口駅からバスで約10分。YCAMに到着。
山口市中央図書館も併設する素晴らしい施設。設計は磯崎新だが、彼の設計した美術館の中でも一番好きかもしれない。
ここでは今回の旅で最も長い時間を過ごした。
映画も展示も楽しむ。詳細は別記事。

この日はギャラリーツアーにも参加し、映画3本、その後ハルン・ファロッキに関するレクチャーを受講。
YCAMバス停から新山口駅まで直行のバスがあるので便利。これまた宿泊先の前がバス停なので横付けで戻れる。
ホテル近くのメキシコ料理のお店で夕食。

<10月30日(日) 2日目>
早起きして、防府天満宮へ向かう。防府駅(ほうふ駅)は、山口駅とは逆に広島方面の列車に乗る。15分程度で新山口駅から防府駅に到着。
2日目は猛烈な雨が降っていた。
駅から防府八幡宮まで15分弱だろうか。てくてく歩く。
参拝して、写真も数枚おさめて、次の目的地である毛利博物館と毛利庭園へ。
しかし、これが大誤算。駅から2.5キロもあるのにもっと近いと勘違い。行けども行けども到着せず。
恐らく防府八幡宮から20分は歩いたと思う。
それでも9時開館ちょっと過ぎには到着した。
毛利博物館の敷地は25000坪!博物館は明治の終わりから建設が始まり大正初期に完成した素晴らしい建築。
あまり下調べをしていなかったので、その壮大さにびっくりした。
こちらも詳細は別記事。
もちろんお目当ては雪舟の「四季山水図巻(山水長巻)」である。毎年この時期に1か月程公開される。今年は12月4日まで公開中。
お宝も凄いが、やはり建物と壮大な庭に圧倒されました。

ここで再び暗雲が。タクシーを呼べば良かったのに、あまりお金を使いたくなかったので再び駅まで徒歩。
雨の中の強行軍は非常にきつかった。多分40分は歩いたと思う。この往復ですっかり腰をいためてしまった。

防府駅からJR在来線で山口駅に向かう。
山口県立美術館で開催中の「防府天満宮展」とYCAMのファロッキ映画特集最終日のため。雨さえ降っていなければ、レンタサイクルで雪舟ゆかりの場所も観光するつもりだったが諦めた。ひとりでタクシーを乗り回す程、金銭に余裕がなく、レンタカーも考えたが、映画が、19時過ぎに終わるので返却時間を考えるとこちらも厳しい。
山口県は車がないと移動に不便だということは間違いない。次回来ることがあれば、やはりレンタカーを借りよう。

山口県立美術館の防府天満宮展が予想外の行列。しかし1時間弱散々待たされて、中に入ると全然混んでない。
しょっぱなから、絵巻の展示、しかも1列で見させているための行列。2列に誘導すれば、こんなに待たずにすむものを。
あの行列にびびって帰った来場者もいたので、美術館の方はもう少し来場者誘導を考えた方が良いと思う。絵巻を観る前に並ぶだけで疲れた。

YCAMに行ったり来たりでこの日も3本、うちストローブ=ユイレの『階級関係』を最後に鑑賞。合計2日間で6本観て1000円で本当にありがたい企画でした。東京で見逃したので、このために1泊を2泊にしたけれど正解だった。
帰りは1日目と同じ。宿泊先は益田市内に宿を取っていたが、初日に宿をキャンセルして同じ宿に連泊。

<3日目 10月31日(月)>
最終日。7時13分発の益田行き山口線に乗車。
ワンマンカーで約2時間半。新山口から島根県益田市に向かう。雪舟も山口から晩年に益田に居を移している。
同じルートをたどって益田に入る。
このルート、とにかく景観が素晴らしい。山水の風景が左右に広がる。
程なく、益田に到着。
益田駅からバスで島根県石見美術館(グラントワ)へ。5分程度で到着。
こちらも素晴らしい建築で設計は内藤廣、鱗のように瓦が壁面にびっしり付いている。内装もシックでゆったりとした空間が広がっていた。
ここでは現在「雪舟 花鳥を描く―花鳥図屏風の系譜―」を11月23日(水・祝)まで開催中で、雪舟が好きな私としては見逃せない展覧会だったのである。今回の旅を決定づけたのはこの展覧会のためであった。
美術ファンになって日が浅いので2002年の東博・京博開催の没後500年「雪舟展」を観ておらず、もうコツコツと観ていくしかないのだった。
恐らく初めて雪舟筆「四季山水図」京都国立博物館も観たのではないだろうか。常設に出ていたことがあっただろうか。
この展覧会、実に素晴らしかった。詳細は別途。

帰りの飛行機は13時半発、萩・石見空港で、空港と美術館は車で15分程度。しかし、タクシーという贅沢はできないので、必然公共バスを利用することになる。往復、萩・石見空港利用なら、空港の観光案内所でタクシーの助成金申請ができるようだが、乗る前に申請が必要なので帰りだけ利用という私の場合、助成金は利用できず。
もう少し、ゆっくりしていたかったが2時間ちょっとで美術館を去らねばならなかったのが心残り。
しかし、「四季山水図」は素晴らしい。「山水長巻」は別の意味ですごいが、どちらか一つと言われたら、う~ん。

再び機内の人になり、あっという間に羽田到着。

今回の旅はスーパー旅割を利用したので、飛行機代は極力安く、宿もお安くなので、予算内におさまった。
予算をおさえるには1にも2にも早目の予約がポイントかなと思う。
お天気には恵まれませんでしたが、思い出に残る良い旅でした。

京都、奈良、大阪、長崎、福岡、熊本 駆け足の美術館への旅 後編

前回の続きです。

福岡で1泊、幸いというべきか私がホテルにチェックインしてすぐに大雨が。
外に出るのも面倒なので、ホテルの夜泣きそばサービスなどで簡単な夕食を済ませ、早目の就寝。
さすがに、疲れがどっと出て7時に起床の予定だったが、2度寝して9時になっていた。

8月20日(日)
起きた時には雨はやんでいてほっとする。
福岡県美の「高島野十郎展」に行こうか迷ったが、駅から10分歩くし、荷物は預けないといけない、更に寝坊が重なったので、朝食を天神駅近くですませ、西鉄で久留米に向かうことに決める。

目的地は、石橋美術館。
西鉄の特急(特急券不要)で福岡天神駅から久留米まで30分。
バスに5分程度乗って、降りたところが石橋美術館。
石橋美術館といえば、株式会社ブリヂストンの創業者・石橋正二郎が1956年、郷土久留米市に寄贈した石橋文化センターの中心施設として開館。現在は、ブリヂストン美術館も石橋美術館も財団法人石橋財団が管理運営を行っている。

この日は「高島野十郎 里帰り展」の最終日。
美術館の中は、想像以上ににぎわっていて、最初にあった図録が、1周してきたらあと3冊くらいになっていて驚く。急いで1冊確保し、レジで待っている間に残り2冊も貰われて行きました。図録完売。
「高島野十郎 里帰り展」は、高島野十郎の個展としては過去最大級のもので、関連資料も含め約150点を展示。未公開作品も30点含まれている。
高島野十郎は、銀座画廊で昨年に開催された展覧会で40点程拝見したが、その時には、それ程強く好感を持った訳ではなかった。
しかし、今回一挙に約150点を見て、写実性の高い画面に残る抒情性、情緒が伝わって来て、じ~んとしてしまった。個人的には静物画より、風景画の方が好き。

そして、野十郎と言えば、「蝋燭絵画」と「月」シリーズ、特に蝋燭は彼の代名詞とも言える作品群。親しい友人やお世話になった知人に1点ずつ渡していたという。
はっきりと制作年代の分かる「蝋燭」作品は少ないが、どうやら晩年に近づくにつれ、炎の色が明るくなっている。1枚1枚、1つとして同じ蝋燭はない。
「蝋燭」作品は、本館ではなく別館で照明を落とし、展示壁面を黒っぽい色にして、横一列に並べていた。
暗い部屋に、絵画の蝋燭が並ぶ様は、本当に蝋燭が並んでいるかのようで、並べて見るとそれぞれの差異も分かりやすくとても良かった。

別館では、近代洋画コレクションの作品が常設展示されていた。
先日、横浜そごうで観た藤島武二、岡田三郎助、黒田清輝、和田英作、坂本繁二郎、古賀春江、安井曾太郎らの作品がずらりと並ぶ。特に藤島武二の《天平の面影》1902年は、青木繁の≪天平時代≫などと同じく、神話やラファエル前派からの影響を多分に感じる作品。重要文化財だが、横浜そごうの展覧会には出展されておらず、石橋美術館で留守番していた。

石橋美術館の前庭、正面にはバラ園が、そして後ろには日本庭園が広がり、その奥には八女市にあったという坂本繁二郎アトリエが移築されている。
庭を散策した後、売店でホットドッグを買って庭で昼食。

帰りは、JR久留米駅までバスで行き(バスは結構出ている)、ついに漸く、九州新幹線に乗って熊本を目指す。
すぐに新幹線に乗れて、あっという間に熊本。
ここまでは良かったが、その後が問題だった。
前夜から翌朝にかけて降った大雨によって、九州横断特急が運休になってしまった。
本当は阿蘇に行って、南阿蘇鉄道に乗る筈だったのが、次の普通列車は接続が悪く、飛行機の時間に間に合わないため、阿蘇は諦めることに。。。

こんなことなら、福岡県美に行けたよ。。。と思いつつ今更引き返せないので、熊本市現代美術館へ向かうことにした。
熊本市現美は2回目。
前回はバスを使ったので、今回は路面電車。電鉄っていうのかな。
九州は、長崎も路面電車が走っていて、市民の足として愛されている感があり。

熊本市現美のファッション展は、あまり興味をそそられなかったので図書室で読書。
そして、トーチカと「慶長の美」という常設を見る。
トーチカは、もろ震災を扱った作品であった。
で、そうこうするうち17時過ぎになり、早目の夕食。
阿蘇に行かなくなったので、最期の夜はちょっと贅沢に郷土料理のお店でコースを頼む。
ビールを飲みつつ舌鼓。
そして、美術館へ戻った時間は19時ジャスト。
噂には聞いていたが、本当にやっていました。ピアノ生演奏!@図書室。
ムーンリバーや荒城の月など、馴染みのある楽曲のピアノ演奏を聴きつつ図書室でまったり。
見上げれば、そこにはジェームス・タレルの天蓋から青い光がこぼれている。
19時半になると、タレルの天蓋の色が刻々と15分間変化するとのこと。
空港行きのバスは、熊本市現美の目の前にあるバス停:通町筋発、19時29分。
という訳で、残念ながらタレルの天蓋の色の変化までは見届けられず、次回への課題となりました。

熊本空港発20時40分のANAで羽田へ戻る。

今回も駆け足旅行となりましたが、特に大阪市歴博「民都大阪の建築力」福岡市美、長崎県美の「菊畑茂久馬展 戦後/絵画」、石橋美術館「高島野十郎里帰り展」の3つは良かったです。

京都、奈良、大阪、長崎、福岡、熊本 駆け足の美術館への旅 前編

車中1泊含め3泊3日の美術館を巡る旅から帰って来ました。

簡単に旅程と感想を。そして、旅程後編の次の記事をセゾン現代美術館にして、その後はしばらくブログをお休みさせていただきます。

8月19日(金)
前日夜発バスに乗り、京都に6時頃到着。
四条河原町に荷物を置いて、朝食は迷った挙句にイノダコーヒ。ワンパターン過ぎるので、ここは何とかしないと。

朝食後、地下鉄、近鉄を乗り継ぎ奈良国立博物館へ。
「天竺へ」(後期展示)鑑賞。前期についての感想はアップ済み。感想は前期と同じ。
館を出ようとしたら、外は土砂降り。あいにく傘を荷物に預けたままにしてしまい、途方に暮れる。
仏像館で雨がやむのを待っていたら、雨は止まなかったが、出口にタクシーが横付けされ、降りて来られた方と入れ違いで乗車し、近鉄奈良へ戻る。

近鉄で、大阪へ向かう。鶴橋で地下鉄に乗り換えるついでに、焼肉街にある「大吉」さんで韓式定食ランチをいただく。ご飯に合うおかずばかりで、ご飯のおかわりをする。

おなかいっぱいになった所で、大阪市歴史博物館の「民都大阪の建築力」展へ。
これが非常に良かった。
大阪市歴博は、今年で開館10周年。その記念展ということもあってか、力が入っている。
何より、大阪らしさがあふれていた。
見終わると、近代建築見物のために街中へ繰り出したくなる、そんな内容。個人的にはゼネコン紹介や、近代建築として今なお残るビルとそのオーナーを紹介するコーナーもツボだった。今はなき建築の一部を使って制作されたウクレレは、そこはかとなく悲しい。

アートコートギャラリーへ。
ここは駅から遠いのが難。アーティストや学芸員らが1名若手作家を紹介する毎年恒例の企画展。
壁1面に手作りのフォーク「農具」と「苔のむすまで」を展示していた占部史人さん(大巻伸嗣氏推薦)と写真と彫刻作品を出展されていた野村在さん(袴田京太朗氏推薦)が気になる。川北ゆうさんは来月ギャラリーαMで企画展参加。

地下鉄で淡路まで出て阪急で京都へ向かう。
17時の講演の整理券配布が16じからだったが、到着したのは16時半。
もらった整理券は何と100番(定員100名だったのでラスト1枚)。危ない所だった。
京近美のカフェで遅い昼食。
京都国立近代美術館で17時から仲正昌樹氏の「ベンヤミンとドイツ映画」の講演と「実験映画」の鑑賞。
ベンヤミンに著作は事前に読んでおいたので、何とか内容について行けた。
実験映画は、『貝殻と僧侶』が面白かった。無声映画だが、眠くもならずしっかり3本と、1本のドイツ映画『鋼鉄交響楽』、これは実にドイツらしい衝撃的な映像だった。

京都から再び阪急で三宮へ。三宮泊。
この日は、スルッと関西2days切符を使用。

8月20日(土)
三宮からポートライナーで神戸空港へ。
三宮から18分で空港なのは便利。スカイマークで長崎へ向かうが、出発が5分遅れて、到着は10分遅れ。
この遅れが致命的だったことは後で分かる。

空港リムジンバスで長崎市内へ向かう。
長崎県美術館の最寄りバス停に途中停車するため下車。
菊畑茂久馬展「戦後/絵画」を鑑賞する。元々今回の九州は長崎県美と福岡市美共催のこの展覧会を見るために計画した。
長崎県美は初訪問。隈研吾&日本設計の建築は素晴らしかった。敷地を活かした建築はすべからく建築の基本中の基本だと思うが、そこをしっかりと押さえつつ隈研吾らしさを出している。他の美術館に比べると和テイストが控えめなのも個人的には好ましい。
菊畑展は良かったけれど、起承転結が、起結の順になっていて、更にその後も制作年代順ではなかったのでやや混乱。ここは制作年代順にして欲しかった。しかし、大型タブローの数々はこれまで初期作品しか見ていなかったので、大変な驚きとそして、タブローからは光を感じた。後の福岡市美で痛感するが、菊畑さんの場合、オブジェからタブローへの移行過程が興味深い。タブローも初期は立体的要素をはらむ。

常設のスペイン絵画コレクションや菊畑の下絵(これも企画展と切り離されてしまったのがやや残念)他を鑑賞。
屋上庭園も行ったりしていたら、どんどん時間は過ぎていく。
長崎駅へ戻ったら、何と3分前に福岡行きの特急が出てしまったばかりで、次は1時間後だった。1時間に1本しか長崎、福岡間の特急がないとは、事前リサーチが不足していたことを反省。
高速バスが15分後に出るので、高速バス乗り場へ。予約で満席だったが、補助席で良ければということで乗車できたが、結果予約キャンセルが出たようで、普通の座席に座れた。

福岡市美到着は15時45分。
この日は、14時より黒ダライ児氏の講演があり、そのための日程だったが、間に合わなかった。

昼食もとらずにバスに乗ったので、遅い昼食を福岡市美のカフェ兼レストランで取る。

その後、菊畑茂久馬展「戦後/絵画」(福岡会場)と常設を見る。
福岡会場は長崎よりスペースが広いこともあって、初期作品から最新作まで網羅し概観するもの。
九州派時代の貴重な作品や山本作兵衛の炭鉱記録画模写作品、並行するオブジェ制作、そして「天動説」シリーズへ。この過程が実に興味深い。かえすがえすも、黒ダライ児氏や菊畑さんご本人のアーティストトークを拝聴できなかったのが悔やまれる。

福岡市美の常設は2回目だが、今回は菊畑展の関連で、同時代の作家作品を2つの展示室で展示していた。
それ以外にも明治から近代まで日本美術の流れが分かるようなコレクションはさすが。現在、松濤美術館で個展開催中の岡本信治郎のタブローも1点、アンデパンダン関係の作家作品の中にあった。
そして、忘れてならないのは電力王松永耳庵のコレクションと田中丸コレクションのやきもの。

大満足であったが、7月8月は19時半まで開館している福岡市美、長崎県美は20時なので、ゆっくり鑑賞できるのは嬉しい。

福岡市美を後に、天神へバスで戻り、三菱地所アルティアムにて「パラモデルのトミカワールド展」へ。
今回はトミカワールドと謳うだけあって、トミカのミニカーを使い壁一面にパラモデルの字を作り上げているのが目を引いた。後は段ボールのトラック+写真。
写真撮影可能です。

ホテルにチェックインしてのんびり温泉につかる。ドーミーインはやっぱり良いです。

続きは次回へ。

東京→金沢→名古屋→奈良・大阪・京都→三島・箱根 美術館への旅(後編)

前回の続きです。

7月29日(金
ホテルは勤務先の提携保養所。丸太町にあったので、やや不便。朝食は三条の六曜社でモーニング500円。

・「フェルメールからのラブレター」展 京都市美術館
日本初公開となるフェルメールの「手紙を読む青衣の女」他2点、合計3点の手紙をモチーフとしたフェルメール作品を展示している混雑必至の展覧会。しかし、京都および関西一円の方はゆっくりされているのか、9時20分頃到着したが、チケット購入も待ちなし、中もまるで混雑していない。普段の京都市美と変わらない程度と言ったら言い過ぎかな。ただ、10時半頃から徐々に客足が増えて来て、11時以後はまずまずの入りになったが、それでも列はなし。
京都展でしか展示されない作品も2点もあるので、可能であれば早いタイミングで京都市美の展覧会を観るのをお薦め。フェルメールだけでなくオランダ風俗画の主要な画家の佳品が揃っていました。

・やなぎみわ演劇プロジェクト『1924』Tokyo-Berlin 京都国立近代美術館
今回の旅は、この演劇と火曜日の朝CAMP参加が決まっていたので、そこから組み立てた。
私は13時からの試演を鑑賞。大正時代の雑誌『マヴォ』を知ってから、村山知義は木になっていたが、光田由里著『写真、「芸術」との界面に』の第2章に「村山知義と芸術写真-写真の芸術性」を読んでから益々、村山に興味が湧いていたので、この演劇はすぐにチケットをおさえた。
京近美の展示室をそのまま舞台にした演出は実に興奮させられた。本日ユースト中継もあり、途中まで視聴。1回だけでは分からなかったことも気付いた。詳細は別記事。

・「視覚の実験室 モホイ=ナジ/イン・モーション」&常設展 京都国立近代美術館
既に神奈川県立近代美術館葉山で観ているが、記事を書いていない。演劇チケットと展覧会チケットはセットなので、というか前述の通り、展覧会自体が舞台装置になっているので鑑賞は必須。何度観てもナジの映像は苦手、面白くない。

・「百獣の楽園」 京都国立博物館
京都市動物園と協力して、様々な動物モチーフを使った時代も分野も様々な絵画、工芸、染織などの作品を紹介。
いつもより、子供たちに親しんでもらおうという意図か、作品解説がいつになくはじけていた。ちなみに作品解説は個々の作品分野によって書き手が違う。緩い展覧会と侮ることなかれ。バシッと良いもの出してます。狩野永徳の新出屏風には驚いた。いや、本当に良いもの面白いものを見せていただきました。

図録は価格破壊の800円で180ページ・カラー。最初1800円の間違いじゃないかと思ったので確認してしまった。ショップの方曰く「今回はお値打ちにさせていただいています。」とのこと。しかも海外からの観光客向けなのか、1点ずつの作品解説が日本語・英語両方記載されている。京博を特別協賛している印刷会社のご厚意とか。それにしても、解説の書き手を名前でなく動物の足や手のマークで示しているのも微笑ましい。

この日は金曜だったので、京博は夜間開館。夕食を終えて、阪急で梅田に戻り、深夜バスにて横浜へ向かう。

7月30日(土)
東名高速で2つの事故があったらしく、目が覚めたのは、車内アナウンスで到着が20分遅れると流れた時だった。
7時に横浜発の東海道線に乗る予定だったが、到着が遅れたため、間に合わず次の列車に乗る。
目的地は三島で青春18きっぷを使用。

・「富士幻景 富士にみる日本人の肖像」 IZU PHOTO MUSEUM
富士山の諸表象を、写真を中心に幕末から現代までその表現を紹介するもの。IZU PHOTO MUSEUMで継続していく「富士から見る近代日本」の第一弾。ということは第二弾も間違いなく開催される筈。出品点数450点で展示替えなし。内容盛りだくさん、近代日本にとっての富士山の意味を痛感。お薦め。

IZU PHOTOだけでシャトルバスにて三島駅に戻り、再びJRにて、小田原を目指す。目的地は何年ぶりかの箱根。

・「山本基-しろきもりへ-」 箱根彫刻の森美術館
この日の13時半よりアーティストトークが開催に合わせて出かけたが、10分弱遅刻して入館。
既にトークは開始されていたため、途中参加。三段ロケットのような展示というべきか、段差のある展示室を上手く活かしたインスタレーション。今回はこれまで観たことのない展開もあって楽しめる。

この美術館は初訪問、ピカソ館他も回るが、野外彫刻は突然の大雨によってちゃんと鑑賞できなかった。

観光施設バスでポーラ美術館に向かうも、乗り場を間違え30分に1本のバスを乗り過ごす。ポーラ到着は閉館1時間半前で、そそくさとレストランで昼食兼夕食。

・「レオナール・フジタ 私のパリ、私のアトリエ」 ポーラ美術館
コレクションを中心に、フジタの画業をはじめとする、多彩な創作活動の一端を紹介するもの。一端というのは間違いなく、戦後作品が中心の展示だったが、晩年のフジタのアトリエの壁を飾っていたタイル上のパネル画は新収蔵。これで、100点を超える所蔵品数となったとか。
晩年のフジタの作品はあまり好みではないので、企画展より常設の方が楽しめたかな。ごくごく個人的な嗜好です。

土砂降りにやられた、べたべたになってしまったのでどうしてもお風呂に入りたかった。箱根の温泉に入らず帰るなんて・・・と思って日帰り温泉はないかと強羅駅をぐるりと見渡したら、坂を上がったところ徒歩1分に、「日帰り湯」の幟発見。「薬師の湯 吉浜」さんでひとっぷろ。すっかり良い気持ちになりました。
http://www.hakone-online.com/yoshihama/main1.html

再び箱根登山鉄道→小田急→小田原に戻り、小田原からは18きっぷで東京へ。
前後編にわたり、お付き合いいただき有難うございます。明日からはボチボチ記事を書いて行きます。

東京→金沢→名古屋→奈良・大阪・京都→三島・箱根 美術館への旅(前編)

しばらく、ブログの更新が滞ってしまいましたが、現在夏休み中につき、金沢→名古屋→奈良・大阪・京都→三島・箱根の美術館に行って来ました。

個々の美術館で観た展覧会の感想はすべてではありませんが、ボチボチ書いて行きます。
今回は、旅程と簡単なまとめで旅を振り返ります。

7月26日(火)
・朝CAMP 講師:良知暁 フリオ・コルタサル「悪魔の涎」
フリオ・コルタサルの短編集「悪魔の涎」を専門が写真の良知さんを講師に迎え精読する会に参加。私の他には主催者の方の他に2名の参加者。まだまだ自分の読み込み、それがたとえ小説であったとしても甘過ぎて恥ずかしくなる。『南都高速道路』の短編では、参加者の方が、良知さんと同じく渋滞した高速道路の車の配置を図に書いておられて驚いた。自分はまだまだだなと。

・「空海と密教美術展」 東京国立博物館 平成館
言わずと知れた大型展。詳細は別記事にするが、大型作品や仏像が多いため大味な展覧会の印象。第二会場の仏像曼荼羅は、ここまでする必要があるのかという演出ぶり。最近の東博は「ブッダ展」もそうだけれど、照明に凝り過ぎて、肝心の見えやすさが失われていることが気になる。

・「孫文と梅谷庄吉展」 東京国立博物館 本館特別5室
長崎の梅谷庄吉のひ孫である小坂文乃氏の手元で保管されてきたアルバムや関連遺品と東博が保存する当時の稀少な写真260点で構成。ただ、問題は260点を全部に一度に見せるのではなく前期後期で写真資料は総入れ替えである。「空海と密教美術展」とは別料金で800円は高い。今回は会期が重なっているのでなおさら。特別5室という1展示室だけで開催される企画展を特別展と銘打つのも気になる。内容は良かったのだが、これも東博の姿勢を疑わざるを得ない。後述する京博の「百獣の楽園」と比較すると尚更である。

・「大英博物館 古代ギリシャ展」 国立西洋美術館
この展覧会は、昨年の秋に台北の故宮博物院に行った際に観ている。世界を巡回している展覧会で、その時は日本に来ることを知らなかったので、台北で先に観ることになったが、展覧会の入場料は確か600円くらいだったと記憶している。そんなわけで、「円盤投げ」含め2回目。日本は「円盤投げ」が台の上に乗ってやや高い位置に設置してあったため、見上げることになったが、台北では観者と同じ位置に設置されていた。密教美術展で観た仏像彫刻と西洋の紀元前ギリシャ彫刻の違いをまざまざと感じる。

この日の深夜バスにて新宿より金沢へ出発。

7月27日(水)
予定通り、7時半頃に金沢駅到着。水曜日の金沢は本当は好ましくない。金沢美術工芸大学のギャラリーにかねてより行きたいと思っているが、ここは水曜日が休み。

・「ホノルル美術館所蔵 北斎展」 石川県立美術館
この展覧会は、本来東京の三井記念美術館を皮切りに国内の美術館を巡回する予定だったが、震災により東京展は来年の4月以後に最後の巡回先となる。東京で観ても良かったのだが、展示替えがあるのではないかと予想して、一度に観られる金沢で先に観ることにした。
相変わらず、石川県立美術館では企画展の作品リストの用意がない。同美術館の企画展のサイトに作品リストが掲載されているので、リストが欲しい方は印刷して持参されることをお薦めする。サイトのリストを印刷していただけないかお願いしたが、「そういうことは美術館の仕事ではありません」と担当学芸員らしき方に一蹴される。更に、私は金沢21世紀美術館の会員なので、本来は団体料金になる筈が、県立美術館では全く周知徹底されておらず、「そんな割引はありません」とチケット売りの方に一蹴。後で、21世紀美術館に確認したら、申し訳なさそうに「県立美術館には申し入れしておきます」と言われたが、入館料が戻ってくるわけでもなく。。。
これで内容が良かったらまだしも、残念ながら期待以下であった。目当ての摺物のコンディションがいまひとつで、横長でサイズはあったのだが、退色がひどく、また肌目だしなどの技法もされていないのがほとんど。1点だけ良いのがあった。
浮世絵は揃い物が並ぶ。さすがにこちらのコンディションは良い。肉筆画3点のうち1点は紙本でさらっと書いた蔬菜図、残り2点のうち「渡し船図」は初来日だがう~ん。。。

美術館の対応の悪さばかりが気になった。だから、21世紀美術館は多くの来客でにぎわっているというのに、いつも来場者が少ないのではないかな。

・「イェッペ・ハイン 360°」 金沢21世紀美術館
既に感想記事はアップ済。

しらさぎ号にて名古屋へ向かう。名古屋市博の甚目寺観音展へ向かうはずが、21世紀美術館のビュッフェランチを堪能いたら予定の電車に乗り遅れ行けなくなった。やっぱり美味しい食べ物は諦められないことがある。

・「棟方志功展」 愛知県美術館
既に既に記事はアップ済。

名古屋の自宅泊

7月28日(木)
早起きして、青春18きっぷで名古屋から京都を目指す。京都からはスルっと関西2daysきっぷで、近鉄線で奈良へ向かう。

・「天竺へ~三蔵法師3万キロの旅」 奈良国立博物館
藤田美術館が所蔵する国宝≪玄奘三蔵絵≫全12巻を前後期に分けて、一挙に展示するというもの。≪玄奘三蔵絵≫は鎌倉時代の高僧伝絵巻の最高峰と言われている。いやはや、私は多分初めて、もしくはごく一部だけは観たことがあるのかもしれないが、素晴らしいの一言に尽きる。保存状態が良いため、彩色の鮮やかさが今も残っていることに加え、精緻な描写、人物の表情、詞書の流麗な文字、みどころ満載。他にも西遊記に至るまでの関連資料など多数。お薦め。なお、図録は1800円だが、スルッと関西の切符を提示すると1割引になる。私は金銭的事情により欲しくて仕方なかったが、ひとまず見送り。

・「初瀬にますは与喜の神垣-與喜天満神社の秘宝と神像-」 奈良国立博物館
同じく奈良博で開催中の特集陳列だが、東博と違って館蔵品ではないにもかかわらず、別途の入場料金は不要。
天竺で力を使い果たし、抜け殻になっていたため、天神坐像と神楽の印象しかない。次回の後期展示でしっかり観ます。

近鉄奈良より学園前へ。ランチは大和文華館に行く途中にあるビストロにて。昼間からグラスワインをいただく。美味なり。

・「鉄斎展」 大和文華館
開館50周年の記念特別展。約50点の展観だが、軸物が多く、屏風は非常に少なかったせいか、やや物足りず。個々の作品より、鉄斎は、その精神の端々まで明治の人だなと思った。

・「森山大道展」 国立国際美術館
森山大道の写真をこれだけまとめて観たのは初めて。やっぱり個人的にはちょっと苦手かもしれない。強いモノクロのコントラストは良いのだが、これに加えてギラギラしたものが強過ぎて。構図その他、森山のカメラの目を通した世界は濃厚だった。

「WHITE 桑山忠明 大阪プロジェクト」とコレクション展も合わせて。

・堂島リバービエンナーレ2011「Ecosophia-アートと建築」 堂島リバーフォーラム
う~ん、これも何と言うかいまひとつ感が。カプーアの過去作品の展示模型が面白くアートと建築について一番考えさせられた。

・「加藤泉展」 心斎橋Six
Arataniuranoやナディッフ・アパートでの個展に続き、関西での個展。大型の木彫作品を主体に、ペインティングと組み合わせた展示。東京での個展とうってかわって、ペインティングも大きい。木彫を観ているとブッダの入滅を思い出した。

・「pet -group exhibition-」生き物ではないペットの展覧会 workroom*A 8/6(土)まで
http://workroom.co.jp/wra/exhibition/index.html

綿業会館の向かいにあるworkroomは初訪問。藤本由紀夫さんが関わっているデザイン関係のお店を併設しているギャラリー。横トリ2011に出展予定の八木良太さんの新作はじめ、藤本由紀夫さん、武田晋一さん、松元明子さん、森定のぞみさん(ご案内有難うございました!)他2名による生き物ではないペットによる展示。
これが、思わず微笑んでしまうような愛らしさで空間全体を楽しめる。平日は夜8時半までなのも嬉しい。土曜日は5時までなので注意。

京都に阪急で戻って、京都にて1泊。長くなったので続きは後編へ。  

福岡から熊本への美術館の日帰り旅行

たまには、旅の写真でも。
あまりにも写真撮影が下手なので、到底公開できるような代物ではなく普段はアップしませんが、今回はJR九州の列車や熊本城に惚れたので。

最初に行ったのは久しぶりの九州国立博物館。今年は秋の企画展も楽しみ。

九博

大宰府からは西鉄に乗って、JR九州の鹿児島本線に乗車。近未来的な車両に驚く。若干、鉄子の血が騒ぎ思わずシャッターを押す。

鹿児島本線

車両の中

熊本城は私の予想を遥かに超えた壮大さで驚きました。しかも、芝生や緑豊富な公園の広いこと。皆さんのんびりと五月晴れの1日を公園で過ごしていたのが印象的。

熊本城

熊本城公園から

公園内にある熊本県美。レンガの外壁仕上げに注目。敷地に溶け込む建築。

熊本県美5

熊本県美2


熊本県美から熊本市現代美術館まで歩いて行けるよ!と教えられたのは良かったが、案の定、道に迷い30分も歩いた。迷わず行っても15分はかかると思う。。。

アプローチ

熊本市現美は繁華街のビルにあります。夕暮れ時に美術館を出て、路面電車の向こうに見えるのが熊本城。良い街です。

熊本市内

今度は熊本に宿泊し、熊本市現美でピアノ演奏を聴きつつ、タレルの天井プログラムを楽しみたいです。

瀬戸内国際芸術祭 最終日 豊島美術館

さて、いよいよ旅も最終日。
さすがに、疲れも出て来た。五日間遊ぶというのも疲れる。

今日は今回の旅の大きな目的である豊島美術館(てしまびじゅつかん)へ。先日10月17日(日)にオープンしたばかり。
詳細は公式サイトをご覧ください。⇒ http://www.benesse-artsite.jp/teshima-artmuseum/index.html
そのために、小豆島の土庄港近くに宿を取った。6:55始発のフェリーに乗り唐櫃港で下船したが、案内所の方も小豆島から来られているようで、同じ船で到着し案内所の準備を始められた。
唐櫃港では案内所で荷物を無料で預かって下さる。家浦では、コインロッカーか有料の手荷物預かり所を利用することになるので注意。

豊島美術館まで徒歩で13分くらい。緩やかな坂を登って行くと、平たいお椀を伏せたようなコンクリートの屋根が見えて来る。

豊島美術館

後でこれが水滴を模した形だと知った。ここでも環境との調和を考えた建築になっている。白いお碗は周囲の環境に溶け込みつつ豊島のランドマーク機能を果たして行くのではないか。坂からの眺めは絶景だった。
整理券の配布は9時からなのでかなり待ち時間がある。同じ船で来られた方の列ができるが、10名にも満たない。
予定より五分程早く整理券配布が開始。15分間隔で40名分。
予定通り10時の整理券を入手したが、希望時間を申し出ればその時間の分を貰える。
開館まで時間があるので近隣の戸高千世子の作品を観に行った。徒歩で五分位。池の中に稲穂のようなオブジェが揺らめいていた。あれは花をイメージしたものなのだろうか。風が吹くと花びらのような白い花弁がひらひらと。

戸高

開館二十分前にはゲートが開き、二組に別れて順番に鑑賞。一度に中に入るのは20名。

チケットブースとお手洗いや、ロッカーは地中に埋もれて外からはよく見えないが、別棟になっており、そこから美術館を回り込むようにぐるりと外を回って美術館入口に赴く。途中、絶景ポイントがあり、道なりのカーブと同じ弧を描いたベンチが置かれている。今回は、時間が決まっているので、ここで休憩することはできない。このアプローチの長さも計算されていて、うねうねと美術館への期待が膨らむとともにまるで、産まれて来る時の胎道のように感じた。

入口手前で靴を抜いで鑑賞する。床はコンクリートなので、冬場の裸足は避けたい。もしや、床暖房?恐らくそれは無いと思う。

さて、入口に立った時点で息を飲む。
眼の前には想像以上に広い空間が現れた。柱が一本もないため、余計に広く感じたのだろう。かくして、これまで観たことも経験したこともない空間体験が始まる。

外からも分かる楕円の開口部から風も光も降り注ぐ。外界と室内の境界が曖昧な空間。
内藤礼の作品で度々使用されるリボンや糸がやがて見えて来るだろう。そして、主役は「母型」と名付けられた滴。

床に無数に穿たれた微小な穴から滴が生まれ出る様に我が眼を疑った。滴は一定以上に膨らむと別の穴にするすると弧を描いて吸い込まれて行く。滴の正体は地下水。
産業廃棄物の不法投棄があった豊島の歴史に、終止符を打つかのような地下水の滴がやがて大きな水たまりから泉になる。
これが空間のあちらこちらで起きている。
滴が滑り落ちるための床の傾斜角度は完璧な仕事のごく一部なのかもしれないが、それでもすごい。

「鳥肌が立った。」という感想をtwitterで読んだ記憶が頭に浮かんだ。同じ。私も鳥肌が立つ、いや驚きと感動で背筋が寒くなる。

ドームの天井は外観と同じく緩いカーブがあり、パオのように包み込まれたような感覚があるのも特筆すべき点、この包み込まれたような感覚は母親の胎内にいるかのようで、前述の胎道に相通ずるものだった。作品名が「母型」であることを思い出す。内藤礼が西澤との共同で創り上げた「母型」の形は見事としか言い用が無い。
内藤ファンにとって、この場所はきっと聖地になるだろう。今回は混雑のため鑑賞時間が15分と決められているが、「きんざ」と違い、芸術祭以後の鑑賞時間に制限はない。心ゆくまで空間を、時間や季節、天候による違いを体験できる。雨が降ったら、どうなるのだろう?

まさにあっと言う間、現実界から離れた異空間へ旅していたには余りにも短い時間だった。

建築と作品の見事な一体感。この建築なしにして、この作品は実現し得ない。
豊島美術館の設計は、西沢立衛。
今年、建築のノーベル賞と言われる「プリツカー賞」を受賞している、世界トップレベルの建築家。その実力をこの豊島美術館で見せてくれた。
恐らくいや間違いなく豊島美術館は何かしらの建築賞を受賞するだろう。そう信じて疑わない程、想像を絶した世界だった。

美術館を出た後、もう一つの小さなドームに入るとカフェとミュージアムショップがある。ドーナツ型の長椅子に座ってカフェメニューの飲みものやらをいただき、余韻に浸る。こちらにも同じような楕円の開口部があるが、ガラス?の窓が設置されているため雨風は遮ることができ、今日も閉じていた。

美術館を後に、私はもう他の作品は観なくても良いような気持ちになっていた。
豊島美術館へは芸術祭パスポートが年内まで使用できる。近隣の方は芸術祭期間を外して、存分にこの美術館と作品を味わっていただくことをお薦めする。
島キッチンは団体貸し切りで入れず、家浦に戻り、ふらふら彷徨っていたら、うららという島のおばちゃんが切り盛りする食事処にたどり着き、運良く定食をいただけた。

もう、それだけで充分満ち足りた気分になる。

旅は終わる。
でも、旅の終わりは次の旅のきっかけになる。

*画像編へ次回に続く。
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