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「サイクルとリサイクル」展 愛知県美術館

出かけるのが億劫になる程、疲れていたのですが返却しなければならない本があり、気分転換になるかと愛知県美の「サイクルとリサイクル展」に行って来ました。

昨年の同時期に開催していた「愉しき家」展がいまひとつであったため、あまり期待せずに入場したのですが、これがなかなか面白い展覧会で収穫大でした。

今回の「サイクルとリサイクル」展における開催者のテーマは以下の通り何やら難しい~。

「ものをそのまま作品の中に再利用して作る「リサイクル」的作品を展示するとともに、本来の意味での「リサイクル(再循環)」を現代のさまざまな造形表現の中に探し求めて提示します。9人の現代作家の約90点の作品で、環境の問題に限定することなく、より発展的に、造形に見る「循環」の関係から、我々自身の生活や考え方にも存在する「循環」、つまり、めぐること、そして、めぐりめぐることに思いをはせる展覧会とします。」(愛知県美のHPから引用)

それゆえに、私は小難しいテーマなど無視し、頭を空っぽ(元々空ですが・・・)にして作品と対することにしました。

作品リストは準備されていませんでしたが、代わりに出品作家とその作品の見方を子供にも分かるように簡単に書かれたイラストガイドを貰えます。

9名の作家の中で私が感銘を受けたのは「Peter WUETHRICH」(スイス)の作品。
たまたま行った本屋のレジに置かれていた本展広告用のしおりにPeterの作品が使用されており、とても気に入ったのが始まり。
かわいい外国人の男の子が本をリュックのように背負って微笑んでいるのですが、本が天使の羽のように見えるのがポイント。
ちっちゃなエンジェル誕生です。

展覧会場では、本のしおりを編み上げて作り上げた巨大ネットとブックカバーを外した古本の表紙を絵の具に見立てて並べたインスタレーションの2つがありました。

ピーター

注:上記画像は展示作品と異なります(この作品は展示されていません)。

会場内係の女性が大変親切で、彼の作品写真を何点か見せていただくことができました。Peterは本を使った作品ばかりなのですが、その多様性には驚くばかり。
しかも、現在名古屋市のギャラリーHAMにて個展が開催されていることも教えていただき、これは是非足を運ばねばと新たな楽しみができました☆


次に圧巻だったのは渡辺英司の「蝶瞰図」。

蝶


ケンジタキギャラリーで発表された作品を県美の壁面一つで再現したようですが、絶妙なバランスが美しい。壁一面が蝶の標本です。
前述の係の方のお話によると、美術館の方4人がまず4日がかりで、蝶の図鑑から切り抜いた蝶を一つ一つ壁に張り付け、その後渡辺本人が蝶の配置を微調整していったとのこと。

切り抜くだけでも相当の手間ですが、高い天井まで蝶を貼り付けるのもさぞや大変だったことでしょう。


長居してしまったのは大巻伸嗣の岩絵の具を使った床一面お花の砂絵。

大巻


これも過去に資生堂ギャラリーで発表されたのと同じ系統の作品です。

一部屋全部がカラフルなお花で埋め尽くされ、普段は冷たく事務的な蛍光灯の光線が神秘的・宇宙的な空間を作り上げていました。
観客が花の上を歩くにつれ、お花の絵の具が床に置かれた台紙のフェルトにしみこみ、色合いが変化しているのを見るのも愉しい。


手塚愛子の「薄い膜、地下の森」も二重に楽しめる不思議な作品。

手塚


毛糸と布を使った作品の中に入ってみる。
次に会場に設置された階段の上からその作品を眺めると沢山の毛糸がただぶら下がっていただけでなく、しっかり模様となって目の前に現れるしかけ。
こちらの作品もスパイラルギャラリーで展示されたもの。


こうして見てくるとギャラリーで展示された作品の再現展と言えなくもありませんが、東京のギャラリーまでなかなか足を運べない地方民にとって現代アートを一挙に見せてくれる展覧会はありがたいです。


他には城戸孝充の水を使った体験型アート、竹村京の刺繍、ピエトラ・ピストレットのリサイクル洋服作品、鷲見麿の名画コピー等が出展されています。

*11月4日(日)まで開催中。
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秋篠寺 伎芸天像

奈良の旅最後を飾ったのは秋篠寺伎芸天像。
昨年だったか西大寺に行きましたが、秋篠寺には行かずに帰ってしまったので、今回は必ずと思っていました。

秋篠寺は、ひっそりとした小さなお寺でした。
しかし、本堂(下)は国宝で奈良時代末期の建立。
国宝建物


入ってすぐに目に入ってくるのが苔むしたお庭。今回はちょっと乾いた感じの苔状態でしたが、雨の後などしっとりした良い雰囲気を醸し出すのではないでしょうか。

本堂手前に大元童がありここには年1回ご開帳の大元帥明王(だいげんすいみょうおう)像(秘仏)が安置されています。

本堂に入る前、件の双眼鏡で屋根瓦を眺めると発見。ちょっと変わった瓦(下)です。

本堂



さてお目当ての伎芸天立像は本堂にいらっしゃいます。
伎芸天


本物の素晴らしさは実際に相対して分かるもの。
2メートル強の大きさ、少し腰をひねった立ち姿も美しい。
お顔立ちは優美そのものでやはり実物からオーラがありました。

他にもご本尊の薬師如来像(重文)脇侍の日光・月光菩薩や地蔵菩薩立像、十二神将像などともお会いすることができました。


仏像について書くのは難しい~。
みうらじゅんさんやいとうせいこうさんのようには行きません。
まず仏像についての基礎知識が足りなさ過ぎ。
単純にお顔や姿の美しさを書き記すだけでは足りない気もするし。

まずは実物を見たということを記録として残すことで満足しよう。

「山本丘人」展 松伯美術館

奈良旅行にあたり、先に購入した関西ミュージアムぐるっとパスを持参したのですが、驚いたことに大和文華館に行った当日であれば松伯美術館の入場料が半額になるとのこと。
ぐるっとパスは20%オフですから、半額の方がお得。
ぐるっとパス使えないなぁ・・・。ぼそぼそ。

さて松伯美術館では「山本丘人」展を開催していました。
山本作品をまとめて見られると期待していたのですが、正直ちょっと期待はずれ。
豊田市美の常設にかけられている作品の方が素晴らしかったです。

この展覧会は箱根の成川美術館所蔵品が中心となっていたのですが、いいなと思ったのは「地上風韻」(下)のみだったのが残念でした。

丘人


館内に入る前に近鉄名誉会長の佐伯氏亭でお抹茶と和菓子をいただいたのですが、お庭やお屋敷も中途半端な見せ方だったのがこれまた残念でした。


*山本丘人展は前期後期と展示替えがあり12月16日まで開催しています

秋季展「大正・昭和前期の洋画」「近代の日本画」 中野美術館

中野美術館へは大和文華館から徒歩5分弱で到着です。

館内に入る前に靴を脱いでスリッパ履きで作品鑑賞しますが、個人宅に絵画作品を見せていただくという感じと言えば分かりやすいかもしれません。
林業で財をなした創立者中野皖司氏の個人コレクション。

これが侮れない内容で驚きました。

第1室は洋画部門。
大正・昭和の名のある画家の作品がほぼ網羅されています。
嬉しかったのはここで古賀春江の未見作品「婦人像」に出会えたこと。
水彩だと思うのですが、古賀らしからぬ写実的な肖像画でした。
他にも藤田嗣治、岸田劉生、村山槐多「松の群」(下)など小品ながら良い作品に出会うことができました。

かいた



第2室は地階で階段を下りて入りますがその手前階段吹き抜け部分が、眺望コーナーになっていて池を挟んで対岸に大和文華館のなまこ壁が見えます。
ここがまた落ち着くのなんの。
居心地の良さは抜群です。

第2室 「近代の日本画」
入ってすぐ左側のニッチに藤島武二のデッサンがさりげなく飾られています。
この辺りの演出が設計者の粋を感じさせる所。

日本画も洋画に負けず劣らず優品ぞろい。
富岡鉄斎はじめここでも岸田劉生の日本画が展示されていたのには驚きました。先日の刈谷市美には展示されていなかった作品です。

そして日本画で一番印象に残ったのが入江波光の作品。
ブルーが美しい天女が舞っている作品をはじめ、淡い色使いが素敵でした。見ているだけで癒されます。
波光

*上は波光の「追羽子」

この日本画展示室の中央には大きな木の切り株で作られた椅子があります。
館内は私だけであったのを良いことにこの椅子に座って、なぜかヨガのポーズをしてしまいました。

中野美術館はオススメです。小規模ながら、くつろぎと癒しの場を提供してくれるのは、建物の設計者:彦谷那一氏の力量によるものでしょう。

中野美術館は午後4時閉館で夏季は休館していますので、行かれる際はHP等で開館日をご確認の上おでかけ下さいませ。



「楽園の美術 夢の小宇宙」展 大和文華館

奈良2日目。朝一番に向かったのは大和文華館。
こちらも藤森建築探偵オススメの美術館建築。吉田五十八設計でなまこ壁が有名です。

まず美術館に行くまでのアプローチに癒されます。
野の花、特にこの日は赤と白の彼岸花(曼珠沙華)あちこちに咲いていて私を出迎えてくれました。

展示室は竹の植栽された中庭を中心として一周するようになっています。
途中ちょうど真ん中で蛙股池を臨む展望コーナーがあって一休みできるのが良かったです。鑑賞者に優しい造りがありがたい。


本展で印象に残ったのは吉祥文に託された古の人々の思いです。
以前Miho Museumで蝉の文様がついた冠をかぶった仏像を見ましたが、蝉は清廉潔白の象徴だということをここで初めて知りました。
ざくろや桃が多産を祈念していることはイメージできるのですが、蝉と政治的なイメージはあまりにかけ離れていて意外です。

唐時代の中国青銅作品は見応えがありましたが、「素三彩果文皿」等景徳鎮窯作で数点ですが陶芸作品にも良品がありました。

静かで落ち着ける美術館です。

*この展覧会は9月24日に終了しています。

奈良国立博物館 おまけ編

今回奈良博での特別展鑑賞にあたり、事前に購入したものがあります。
PENTAX Papilio双眼鏡6.5×21。

papilio


この双眼鏡は50センチから焦点距離可能。
当初、単眼鏡の購入を考えていたのですが色々調べているうちに両目で見られる双眼鏡の方が疲れないかもと購入に踏み切りました。

で使用した感想なのですが、この双眼鏡のおかげで今まで見えなかった細かい模様や人物の表情が楽しめ、特に日本美術鑑賞には手放せないアイテムになりそうです。

メリットとして
・ラバー外装のためガラスケースに触れても音や傷がつかないこと。
・双眼鏡の割りに230gと比較的軽量なこと。
・両目で見られるので思ったほど目が疲れなかったこと。
デメリットとして
・実際に眼で見るより若干視界が暗くなること。
・短眼鏡に比べると大きいこと。

以上が挙げられます。


おまけ編のもう一つのテーマは奈良博のミュージアムショップ。
この奈良博のお店ではオリジナル商品「元気が出る仏像」シリーズがあります。

元気


仏像様や天人をキャラ化してものさしやらボールペン、ふせん、トーとバッグなどが出されています。
図録で浮いたお金で私も今回このシリーズのガーゼタオルを購入。
枕カバー代わりに使用しています。
目覚めると誕生仏が朝から見守ってくれているのが嬉しい☆

奈良博は本館と新館が地下通路で結ばれていて、秘密基地っぽいのも良いです。その通路を利用したカフェも外に出ず休憩できるので、暑い夏や冬には大変便利です。

前回書き忘れましたが、特別展の作品リストも奈良博らしい工夫がありました。単に作品を列挙するだけでなく、裏面は展示案内図になっており、オススメの作品がどこにあるのか一目で分かるようになっています。
これなら、美術初心者や時間のない方にも便利です。
細かい所まで心配りのある本当に良心的な博物館の姿勢には頭が下がります。


東博、京博、奈良博3つを比較すると、京博の平常展示館の古さは悲しくなります。
特にお手洗いとミュージアムショップは早くてこ入れしていただきたいものです。
トイレは文化の象徴と言うではありませんか。
ミュージアムショップも東京・奈良と比べるとショボイ。
奈良など見ているだけでも楽しくなる品揃えなのに・・・。

今上記3つの国立博物館では奈良博が注目株です。行けば行くほど好きになります。

「美麗 院政期の絵画」展 奈良国立博物館

院政期というのは、日本史上目立ったヒーローがいない地味な時代のように思います。
よって、年代としてどの時期を指すのか漠然としていました。
その院政期の絵画作品他を幅広く集めた本展。
一生忘れられないと言いますか、二日経過した本日も頭の中に、馬頭観音やら地獄草紙が巡り巡ってます。夢にまで出てきました。

展覧会は
第1章 美麗のほとけ
第2章 説話絵と装飾経
第3章 絵巻物の世界
第4章 白描の絵画
第5章 藤末鎌初のほとけ
全部で125作品から構成されていますが、展示作品の90%が重文、国宝指定(うち4割が国宝)を受けています。

もうどれも傑作の数々で全部が凄いのですがとりわけ感服した作品のみ抜粋してご紹介します。

第1章 美麗のほとけ

しょっぱなからカウンターパンチ炸裂です。
五大力菩薩像のうち後期は「龍王吼菩薩」とまずはご対面。
これが大きいの何の。3メートルを超してます。
その3メートル大に描かれた三つ目の龍王は怖い怖い。怖いけど見たい。
火炎を背景に躍動感溢れるその姿を見ただけで、ひれ伏したくなります。
奈良博は前回の「神仏習合」展でも須弥山石で度肝を抜かれましたが、展覧会冒頭に強烈作品を持って来るのがお得意なようです。
この龍王吼菩薩はじめ前期展示の「金剛吼」他全部で5作あり(現存するのはうち3作)、この5作を用いて仁王会を開催したとされています。
こんな大きい作品5つに囲まれた仁王会を想像するだけで、恐ろしい。
でも、出てみたい。

・「孔雀明王像」(東京国立博物館蔵)。
孔雀


「孔雀明王像」はこれまた今春行った京博の「藤原道長」展で重文指定のものを見て非常に感銘を受けた仏画。
今回は国宝指定の孔雀明王像でしたが、私は先に見た重文指定の作品の方が色っぽくて好きです。

・「馬頭観音像」(ボストン美術館蔵)。
馬頭


本展チラシにも使用されている馬頭観音像ですが、震えが走るほど美しい作品です。
細かな錐金模様や燃え立つような赤、ダイナミックと優美と精緻が混在した作品で、米国ではあまり公開されることがないのでしょうか、保存状態も最良です。
この展覧会のMYベスト3に入ります。

その横にある同じくボストン美術館の「如意輪観音像」も美しいですが、インパクトではやはり前者に軍配が上がります。

・「訶梨帝母像」(醍醐寺蔵)
キリスト教で言う所のマリア様のような優美なお顔が印象的。


第2章 説話絵と装飾経

平家納経(厳島神社蔵)の美しさが群を抜いてました。
もう平安の雅文化技術が集結した作品。特に厳王品、薬王品はどうやったらこんな美しいものを作れるのだろう。
退色もせず、よくぞ1000年を経て今に残ってくれたと感謝するのみ。


この時点であまりのすごさにくらくらして、一度休憩を取るためカフェに出ました。

第3章 絵巻物の世界

絵巻物は平安時代に成立。院政絵画を語る上で欠かせない重要な存在であるが、今回は集められたのは繰り返しとなるが逸品ぞろい。

・沙門地獄草紙
地獄


地獄にもいろんな種類があるようで、解身地獄(上)やら沸し(糞尿)地獄やら見ているだけで気持ち悪い。

・病草紙
上記地獄草紙より身近な生活観を感じる。今も昔も病は怖い。

これら草紙絵にはひらがなの添え書きがあって、このひらがなが作品のおどろおどろしさとは対照的に美しい。日本のひらがな文化ここにあり。

・粉河寺縁起絵巻(粉河寺蔵)
千手観音成立の過程を絵巻物でたどる。登場人物の表情や動作が鮮明に描かれていて見ていて面白い。

・華厳宗祖師絵伝(高山寺蔵)
絵巻物中ベスト1。
お姫様が僧を救うため海に身を投げ、竜となり海の旅での僧侶を守るお話。
絵巻物初心者にも分かりやすい内容と現代にも通じるような竜の描き方がちょっとユーモラス。さらに保存状態も最高。
竜となったお姫様はかっこいい~。

他にも料紙に贅や工夫を凝らした作品多数で、これを全てじっくり見たら疲労困憊。

第4章 白描の絵画
一転して地味な世界へ。密教をたどる絵画多数。

第5章 藤末鎌初のほとけ

・蓮池図(法隆寺蔵)
次代に通じるような構成の蓮池図。見ているだけでほのぼのしてくる。
仏壇後壁に描かれた作品らしい。
この作品をもって、本展最後を飾る。


絵画展ではあったものの陶磁器や工芸、仏像も適度にちりばめられ、ちちりばめられていても優品ぞろいなのがすごいですが、絵画だけより、ちょっと気分転換になって好感をもちました。


図録も1500円と手を出しやすいお値段にもかかわらず、画質、紙質も良く、奈良博の特別展図録は本当にお値打ち。
奈良博で可能なのに、東博、京博はなぜ値段が高いのか不思議。

仏画や絵巻物もどんどん過去に見た作品とつながりが出てくるので、見れば見るほど面白くなってきます。
日本美術の魅力に片足どころかどっぷり浸かり始めました。
すごいゾ、日本!


*30日まで開催中。仏画、絵巻物が苦手でも絶対オススメの展覧会です。

奈良1泊2日の旅 総括編

奈良博で開催中の「美麗 院政期の絵画」展を目当てに奈良へ1泊2日で出かけてきました。
先程、帰宅した所です。

本日は旅程をざっとまとめて、詳細は明日からアップしようと思いますが、メインの「院政期の絵画」展、ブロガーの皆様の感想通りもの凄い超ド級の展覧会でした(なのに入場料千円、図録1500円!)。
仏画が苦手でも絵巻物が苦手でも、この展覧会を見れば何か感ずる所があるのではないでしょうか。
傑作オンパレードです。

22日(土)
11時に近鉄奈良駅到着。
いつもの通り志津香にて早めのランチ。釜飯美味也。

目の前の奈良博へ直行。
特別展「美麗院政期の絵画」展入場。
第2章まで進み、あまりの凄さに一旦カフェで休憩し、再入場。
気付けば4時半になっていた。4時間以上特別展にいたことになる。

駆け足で平常展の仏像を見ていたら閉館。

奈良ロイヤルホテルに宿泊。
岩盤浴と天然温泉ありのスパ付。
こちらの岩盤浴はブラックシリカで気持ち良かった。
夕食はホテル内の中華料理店で軽くすませる。

23日(日)
ホテルのシャトルバスで新大宮へ。
そのまま近鉄に乗って、大和文華館へ。

池の対面にある中野美術館に向かう。
小規模ながら非常に良い美術館であった。

松伯美術館で「山本丘人」展を見る。

大和西大寺に戻り、秋篠寺へ。
お目当ては伎芸天。

西大寺前のガトー・ド・ボアにてお茶。
こちらのケーキはオススメ。今回も満足。

京都より新幹線で名古屋へ。
何と新幹線構内の売店で日曜限定であるが出町ふたばの豆餅(3個セット)を売っていた。
私はこの豆餅がお気に入りなので、早速買って早くも一ついただく。


あっという間の二日間で、特に1日目は時が経つのを早く感じた。
奈良博関係者の皆様に心より感謝いたします。

「美術館で出会う色」 メナード美術館所蔵企画展 

刈谷市美術館の劉生展の帰路、車でなければなかなか行けない小牧市のメナード美術館に行って来ました。
メナード美術館は交通の便が悪いため、気軽に行けないのが難点ですがその所蔵品は名作ぞろい。

展覧会は所蔵作品を「青」「赤」「黒」「黄」「緑」と色別に展示する内容となっています。


しかし先に見た劉生展のインパクトがかなり強烈だったため、今回は有名どころのマティスやシャガール、ピカソにルオーを見てもどうもピンと来ません。

そんな中、背筋がしゃきっと伸びたのは黄色コーナーに展示されていたゴッホの「一日の終わり」。
ちょうど閉館近くの4時過ぎという作品に描かれているのと同じ時間帯だったのも良かったのかもしれません。
ゴッホらしい黄色がバランス良く空の色として使われています。ゴッホらしいタッチで描かれ、ミレーの版画の模写を超えたオリジナルな出来栄えだと言えるのではないでしょうか。
ミレーの一日の終わりとゴッホの作品の比較は以下美術館HP参照下さい。
http://www.menard.co.jp/museum/infomation/goods_gogh.htm


この他、印象に残ったのは島田章三の油彩や大沼映夫のコラージュと油彩をミックスした作品。

そして、最後にご紹介するのは葛飾応為(おうい) の《夜桜美人図》(下)。

応為


この作品はルオーのミゼレーレ等の版画作品と共に「黒」コーナーに展示されていましたが、独特の妖気のようなものを辺りに発散していました。
応為の名は恥ずかしながら、全く知らず苗字から北斎の関係者だろうと察したのですが、帰宅後北斎の三女と知った次第。
石灯籠の灯りが際立っていて、闇に浮かぶ美人図を引き立てています(何と凡庸な表現)。

小牧まで足を運んだ甲斐があったかは微妙ですが、劉生の後でなければもう少し満足度は高かったかもしれません。

*9月24日(月・祝)まで開催中。

「画家 岸田劉生の軌跡」 刈谷市美術館

私は岸田劉生の作品が好きだ。
美術鑑賞の道をたどり始めた頃、クレーの作品を見に東京近代美術館へ行きました。
そこで、劉生の「道路と土手と堀(切通しの写生」に目を奪われたのです。何と言う迫力。
それまで日本人の描く洋画に全く興味はありませんでしたが、同時に出会った古賀春江と共に、以来私の好きな画家となっています。

刈谷市美術館は、県内在住にも関わらずしかも育ちは西三河!なのに、初めて訪れました。
これまで私の興味をひく展覧会がなかったというのが理由ですが、もしかすると見落としもあったかもしれません。

「画家 岸田劉生の軌跡」展はとってもとっても良い展覧会でした。
失礼ながら正直、まさかこれほどとは思っていませんでした。
展示作品には重要文化財に指定されている冒頭の「切通しの写生」や著名な「麗子微笑」も出展されていませんが、私にとって新たな劉生を沢山発見できたのです。

感銘を受けたと言いつつ、図録を泣く泣く諦めた上、作品リストも用意されておらず展覧会の構成をたどるのは非常に厳しいので、印象に残ったことをつらつら書いていこうと思います。

1.麗子作品
最初の展示室ではポスターやチラシにも使用されている「麗子五歳之像」(下)との再会です。

麗子


劉生は自画像を数多く描いていますが、麗子が生まれてから麗子の姿を自画像のように描くようになります。
本人も麗子作品に自分の全ての画風が反映していると述べている通り、展覧会を通じチラシコピーにもあるように七変化する麗子を堪能。

ここでは「デロリ」と呼ばれる不気味系な寒山捨得風の作品が印象的でした。墨彩なのに、麗子が手にしている林檎らしき果物だけが蒼い。
顔は麗子さん本人が目にしたら怒るんじゃないかと思うような妖怪系。

これらの麗子像作品は残念なことにガラスケースの向こう側に展示されていました。よって近づくことができず、これが本展で一番の難点と言えます。
もっと近くでみたいよ~と思いつつ次の展示室へ。


2.劉生の日本画・水彩画他
まずは、ムンクかと見紛うような作品がお出迎え。第2回フュウザン会展会場装飾画(下)ですが、どこか宗教性も感じます。

ムンク



この作品は本展でもっとも印象に残ったのですが、ムンクのみならずセザンヌやマティスに影響を受けた様子が伺われる作品もいくつかありました。
いずれも私が過去に出会った劉生作品とはかなり趣の異なる作風で、写実一辺倒の肖像画だけではない劉生の新たな一面を発見。


更に、先日訪れた和歌山県立近代美術館で初対面した劉生作日本画がずらりと展示されています。

劉生は晩年に近づくにつれ東洋の美に傾倒し、その一貫として日本画にも取り組みました。「書」もなかなかなもので、日本画に添えられている「讃」が直筆であるとするなら(確かめていなので本人直筆か不明)、より作品の質を高めているように思います。

日本画作品では「青梅」や「桃」などの果物が爽やかな色合いですっきりと描かれていて好印象。もっと日本画作品も評価されても良いのではないでしょうか。
日本画作品のベストは「七童図」(下)。

七童図


一見して思い出したのはなぜか若冲の「伏見人形図」。かなり違うかな・・・。
子供達の様子が愛くるしい、でもちょっと妖怪入ってます。


3.劉生の装丁画・版画

日本画に続く新たな劉生の一面は、2階に展示されていた本の装丁画と版画(数点)です。
この人なしに劉生は語れないであろう武者小路実篤の著作を飾る装丁作品他、数多くの作品を遺しています。本人も装丁画は片手間の作品ではないと言っているように、劉生の装丁にかける意気込みや熱意が伝わってきました。

そこにも麗子がキャラとして何度も登場しています。
劉生の油彩に描かれているサインや完成日等に見られる装飾文字が、装丁画ではますます冴えを見せ、ここぞとばかりに劉生のセンス発揮。

更に驚いたのはエッチング作品数点。
エッチングは3点程しか展示されていませんでしたが、描かれた人物の描写力と技量には本当に感心しました。
もっとエッチング作品が見たい~!どこに行けば見られるのでしょう?


全部で130点もの劉生作品と出会えるこの展覧会。
劉生ファンならオススメです!

刈谷市美にはミュージアムショップはありませんが、本展にちなんだ劉生グッズが会場で販売されていました。
装丁画をモチーフにしたクリアファイル(下)と絵葉書を購入。

ファイル


クリアファイルはセンス抜群で一目でお気に入りです。


本日は、美術館に併設されている「佐喜知庵」で期間限定カフェが開催されていました。何とコーヒーや日本茶が一杯100円!というドトールも真っ青の衝撃価格で、お庭を眺めつつゆっくりできます。

プラス200円で「劉生日記」に登場する「どら焼き」を再現したおやつもセットできます。

実り多い秋にふさわしい展覧会でした。

*10月28日まで刈谷市美術館で開催中。
「佐喜知庵」での期間限定カフェは、この後10月6日、7日の11:00~15:00だけの開催となりますので、ご注意下さいませ。

「花歳時記」展 古川美術館

名古屋にも日本画を中心とした展覧会を開催する美術館がいくつかあります。その一つ、古川美術館に行って来ました。
こちらは、故古川為三郎の個人コレクションを基礎として平成3年に開館しました。

今回の特別展は「花歳時記」。
元々小さな美術館なので、ゆっくり見ても30分程で全ての作品を見終わりました。

印象に残った作品は以下の通りです。

・「咲」 森田りえ子
1階入ってすぐの右手に飾られていました。
誰の作品なのか全くわかりませんでしたが、全ての作品の中でもあでやかさは際立っていました。
森田さんのお名前も作品も今回初めて知りました。
1955年生まれで京都市立芸術大学で日本画を専攻され、花の画家として巷では人気のようです。

咲

 
・「新緑の譜」 平松礼二
池が金色で彩られ、その上に波模様、桜の花びらが沢山散っています。
また、私の好きな睡蓮(温帯睡蓮だそうです)もそこかしこに。
アクセントに黄色の小さな蝶が描かれていて、大変美しい作品でした。

礼二


・「夏の日盛り」 鏑木清方
鏑木清方の好きな紫陽花が描かれた着物と手にぶらさげて金魚がなんとも言えず透明感があって、ますます鏑木清方が好きになる作品です。

ここまでが1階にあった作品。

2階では、一つの作品にほれ込みました。

・「ほたる」 伊東深水
今回の展示作品中、一つ持って帰って良いと言われたら、私はこの作品を選びます。
タイトルの「ほたる」は多分画面上には描かれていません!
(私が気付かなかっただけかもしれませんが・・・)。
ほたるは、人物(深水と言えば美人画)の手の中に納まっていると思われます。
夕暮れ時なのか、ちょっと幻想的な色使い。
さすが、古川美術館所蔵の名品です。


本展の作品には全て実際の花の写真と解説が添えられており、実物と描かれた花とを対比できるようになっています。
東山植物園の協力によるものですが、「花」をテーマとする展覧会は数多くありますが、植物園とタイアップした解説は分かりやすくとても面白かったです。
漫然と見ているだけでは気付かなかった所にも小さくお花が描かれていることが分かったり、丁寧な美術館の姿勢を感じました。


古川美術館には分館の「為三郎記念館」が近くにあります。
こちらは金曜日の夜間のライトアップが素晴らしいとのことなので、それを狙って次回行って来ます。
*10月8日(月・祝)まで開催中。

博物館へ行こう  木下 史青著 岩波ジュニア新書

博物館


「弐代目・青い日記帳」Takさんのブログで「博物館へ行こう」が紹介されてからというもの、早く読みたくてうずうずしていました。

第1の感想。
この本が世の中にもっと早く出ていたら、もっと沢山の貴重な美術品に出会えていたのに・・・です。
以前、これまた前述のTakさんのブログで「もう1度見たい展覧会」「見たかった展覧会」は?というお題がありましたが、私はすぐにピンと来る展覧会がありませんでした。

しかし、本著を読み進むにつれ「見たかった展覧会」に突如巡り合うことに。
著者が2000年に東博で手がけた「縄文の動、弥生の静」と言う展覧会。
「平等院展」と共に、著者の思い出深い展覧会として紹介されているのですが、その内容は日本全国から縄文式土器、弥生土器、土偶を集めて一挙に展示したとか。

土偶大好きな私にはたまらない展覧会です。
そんな展覧会があったのか・・・知らなかった。
(Takさん、見たかった展覧会に縄文の動、弥生の静」一票です。)

私が東博に初めて足を踏み入れたのはまだわずか2年ほど前のことだと記憶しています。
しかも特別展を見に行ったのではなく、好きな建築家である谷口吉生氏設計の法隆寺宝物館が目当てでした。
この宝物館に行った後、本館の平常展に立ち寄り「日本のお宝がこんなに沢山ある!!!」歴史や社会の教科書で見た本物がリアルに自分の目の前に現れた衝撃は今でも忘れられません。


知らないということは恐ろしいこと。

その存在を認識することさえなかったために、今思えばどれだけ多くの機会を逃したのだろうと歯噛みしてしまいます。

過ぎた時間は戻りませんし、10年前の自分が東博に行ってそれほど感動したのかも怪しい所です。


「博物館へ行こう」は東博の展示デザイン室に勤務する照明のプロである木下史青さんの書き下ろし。
木下さんが手がけた最近の展覧会では、照明によって日本画の見え方が違うことを教えてくれた「プライスコレクション」展や現在本館特5室で開催中の「仏像の道」等が挙げられます。

ご自身のプロフィールと共に、博物館の楽しみ方、展示への熱い思い等を語られています。

この本を読めば、きっと博物館という未知の世界を覗いてみたくなること請け合いです。ジュニア新書であるため、分かりやすく平易な文章で綴られていて読みやすくなっています。

是非是非、ご一読下さい。

注:大きな書店でも店頭にはなかなかないようです(名古屋だからか?)。私も4軒目で漸く見つけました。
ネットで取り寄せした方が早いかも。

ルルレモンが名古屋に!

昨日、約1ヶ月ぶりにスタジオにてヨガをする。
My Yoga teacherであるLaurent先生がフランスに里帰りされていたのと、私の夏休みがずれあって、こんなに間が空いてしまった。

寝る前には好きなポーズなどしていたものの、1時間15分いつものビンヤサをこなしたら、本日は筋肉痛に見舞われている。

情けなや。


さて、9月4日にとうとう名古屋松坂屋南館にルルレモン(ヨガウェア店
)がオープン。
東京地区以外の日本初出展となる。
何ゆえ、ルルレモンが脱・東京第1号店に名古屋を選択したのか、名古屋はそこまでヨガが盛んな地域なのだろうか?気になるところではある。


確かにこの1~2年で名古屋にも沢山ヨガスタジオがオープンした。
私が現在利用している「My Soul8」も後発組み。
その一方、大手の「Studio Yoggy」は名古屋にあった3店舗がついに名駅スタジオのみの1店舗となってしまった。
「Studio Yoggy」は私が初めてヨガを教えていただいたスタジオで、大変お世話になったので、1店舗になってしまったのはちょっと寂しい(かくいう自分も行かなくなってしまったのだけれど)。

名古屋ヨガスタジオ戦国時代と言うべきか。
別に戦っている訳ではないので、戦国というより共存時代の方が適切かな。


話がそれたので、話題をルルレモンに戻す。

ルルレモンのヨガウェアは、特にボトムが良い。
特に吸汗性が素晴らしく、汗をかいてもさらっとしていてすぐ乾く。
当初大手スポーツメーカーのヨガウェアを使っていたが、ルルレモンを着用したら、そのとりこになってしまった。
東京へ行くたび、買い足して今も愛用している。

新たに購入する予定はないけれど、次回松坂屋へ行くことがあれば覗いてみようっと。

ルルレモンHP
http://www.lululemon.co.jp/ 

「異邦人たちの夢」 松坂屋美術館 

松坂屋


今週水曜日。仕事帰りに、7時半まで開館している「異邦人たちの夢」展:松坂屋美術館に行ってきました。
名古屋では金曜日以外の平日に夜間開館しているのは、7時まで開館の名古屋ボストン美術館と松坂屋美術館だけ。

予想通り、観客は少なくゆったりと見られましたが入ったのが6時半だったので鑑賞時間1時間と最後は駆け足鑑賞になってしまいました。

展覧会構成は
第1章「異邦人のエコール・ド・パリ」
第2章「パリを描いた日本人画家たち」
第3章「1938/39年 巴里日本美術家展」
の順に巴里を舞台に活躍した異邦人(含む日本人)芸術家たちの足跡をたどる内容となっています。

第1章で気になったのがジュール・パスキン。
パスキンの作品はそのとろけるような甘い絵の雰囲気が好きで、かねてより注目しているアーティスト。
今回は北海道近代美術館所蔵の2作品が出品されており、いずれも初見。
「ソファに腰掛けるシュザンヌ」の方が良かったけれど、名古屋市美所蔵作品の方がもっと好き。
パスキンという人は妻と愛人との関係に疲れたのか45歳で自殺しています。妻のエルミーヌ・ダヴィッド、そして愛人リュシーの夫でパスキンの友人でもあったペール・クローグの作品も一緒に展示されていました。
同じ画家という職業でありながら、妻、愛人の夫、複雑にからみあった人間関係に思いをはせると、当事者達の心境や如何にです。
ペール・クローグとリュシー夫婦もパスキンの死がきっかけで離婚。

作品より小説のような人生が気になってしまいました。

第2章、第3章ではパリに憧れ、新しい芸術に触れる機会を得た日本人画家の作品が総花的に展示されていました。

佐伯祐三の大阪市立近代美術館準備室所蔵の2作品、ことに「村の教会堂」は見ているこちらに迫ってくるものがあります。

板倉鼎という画家はこちらで初めて目に入ってきましたが、沢山の作品の中で最初に目についたのが彼の「赤衣の女」(1929年)です。

後半で高野二三男の「うたたね」(少女がうたたねしている作品)には癒されました。


北は北海道、南は鹿児島、日本各地の美術館から集めた90点。
なかなか行くことのできない美術館の作品を一度に目にすることができたのは収穫でした。

*9月10日(月)まで開催中。会期中無休。

ピカソ展 ルートヴィッヒ美術館コレクション 岡崎市美術博物館

ピカソ看板


今日は月曜日、大抵の美術館はお休みです。
にもかかわらず、私は本日午後より仕事をお休みし岡崎市美術博物館のピカソ展へ行って来ました。

今日は主催者である新聞社ご招待限定の特別開場日だったのです。
ぼんくらな私の誤りで、この平日の特別展招待券を入手してしまい、せっかくのチケットを袖にするのも惜しまれ、仕事を犠牲にした次第。

その甲斐はありました。

欧州随一と言われるドイツケルン市のルートヴィッヒ美術館保有のピカソコレクション880点のうち99点が公開されています。

ピカソはかなり以前から私の好きな画家。
特に青の時代と古典主義の時代の作品が好きで、ピカソと聞くと追っかけたくなる衝動に駆られます。

さて、今回は私が見たことのない作品ばかりで大変新鮮でした。
ピカソは作品が膨大かつ著名なため、割と頻繁に展覧会が開催されているのにルートヴィッヒ美術館所蔵品が日本で公開されるのは10年ぶりとのこと。
どおりで、見たことないはずです。

本展は「剽窃かオリジナルか」を念頭に置きながら作品を鑑賞するとより楽しめること請け合いです。
こんなことを考えながら作品を見るなど昔はできない芸当でしたが、漸く少しは理性を働かせつつ作品と対峙できるようになりました。


作品はほぼ作成年代順に並べられています。

まず初期の作品で注目したのは、「モンマルトルのカフェ」や「オテル・ドゥ・ルエスト、22号室のための習作」。
これがピカソの作品かとわが目を疑う作風です。
モンマルトルのカフェは印象派、後者はロートレック風で私が知っているどの時代の作品にも属さない。
売るためにやむを得ずこのような作品を描いたのかもしれません。

天才は器用でもあります。

気に入ったのは「男の頭部」。
こちらは古典主義的作品、本展の目玉と言われる「手を組んだアルルカン」(画像)の向かい側にひっそりと飾られていました。

アルルカン



中盤では「マリー=テレーズ・ワルテル」の肖像画。
墨とグワッシュで描かれた写実的な1944年の作品です。
マリー=テレーズを描いた作品は数多く見たし、描かれていますが、本来はこんな顔立ちだったのかとこの作品から分かりました。
ピカソが惹かれたのも無理はない、美しさと可憐さを備えた女性だったようです。写真で実物を見た時より、強く印象に残りました。
ピカソの手を通して、より美しく生き生きとして感じたのかもしれません。

「3人の女」、こちらはクレー風。身体がハートや台形で抽象化され、バックは淡い黄色でふんわりした優しい作品。


陶芸や彫刻、特に版画(ルートヴィッヒ美術館880点のうち大半は版画コレクション)が多く展示されていました。
私はピカソの色彩感覚が好きなので、版画はちょっとピンと来なかったのですが一つ目に留まった物が。
「黒い背景のパロマと人魚」。
パロマはピカソの娘ですが、天才バカボンに出てくる「ハジメちゃん」そっくり。

晩年の作品は版画も油彩も裸婦裸婦裸婦。
裸婦の波状攻撃の中、私が気に入ったのは「座る裸婦」1972年。
墨とグワッシュとクレヨンで描かれています。
クレヨン作品が良いと思ったのも本展での収穫でした。

帽子

<帽子をかぶった女の頭部>1962年


会場を出た後、美術館発行のニュースに冒頭に掲げた「剽窃かオリジナルか」についての議論が取り上げられていました。

ピカソは生涯の中で幾度も作風を変えています。
一説によると、スペイン人であるピカソがフランスにより同化するために取った手段だったのではないかと。


剽窃=パクリ。

パクリでもいいじゃない。
パクリも才能の一つ。だって天才なんだもん。


と言いつつも高階 秀爾先生の「ピカソ-剽窃の論理」を読んでみようと思います。


*ピカソ展は10月8日(月・祝)まで開催中。

慈覚大師 円仁とその名宝 滋賀県立近代美術館

チラシ


青春18きっぷ最後の1回分を使って滋賀県瀬田の滋賀県立近代美術館で開催中の「円仁とその名宝」展へ行って来ました。

円仁は比叡山延暦寺で天台宗を修学し、後に入唐し帰国後に延暦寺第三世座主となった高僧です。天台宗と言えば最澄密教。
当時空海開祖の真言密教ほど天台宗は完成されていなかったらしい。

そこで最澄に見込まれた弟子の円仁は唐に渡り、天台宗法やサンスクリット語をおさめ、仏画や仏具、図像などを持ち帰り、天台宗の基礎を確立しました。

と、偉そうに書いてみましたが円仁の名は本展で初めて知った私です。
しかし、何も知らない一鑑賞者にも分かりやすい解説が随所で行われていて大変勉強になりました。
展示品一つ一つに丁寧な(長すぎず短すぎず)解説があり、割と空いていたのでじっくりゆったり見ていたら2時間半ほどかかってしまいました。

展覧会の構成は以下の通りです。

第1章 円仁の活動と生涯
第1節 円仁
第2節 最澄と天台開宗
ここで、私が注目したのは国宝「伝教大師入唐牒」。
唐に入ることを許された許可証、いわばビザかパスポートのようなもの。これは最澄が入唐した際に出されたもので、確かに最澄の名や、日付まで読み取れる。当時入唐は命がけ。航海とは名ばかりで漂流だった。

第3節 入唐求法

第2章 円仁がひろめた教え
第1節 天台密教
第2節 法華経の教え
今回目からうろこだったのはこの第2節に展示されていた装飾経の数々。
「一字連台法華経 如来神力品第二十一」では文字一つ一つを仏とみなし、全ての文字の下に蓮台が描かれていたのには驚いた。
それ以外にも5色の色紙をついで作成されていたり、金銀一行ごとに書かれていたり、お経というのはこんなにも美しく崇高なものだったかと見入ってしまった。
この第2節で展示されているお経のほとんどは国宝もしくは重要文化財である。
第3節 浄土への門~阿弥陀信仰

第3章 円仁敬慕~慈覚大師巡礼
第1節 日本仏教の母山~比叡山
ここに立っておられたのが「聖観音菩薩立像」(写真)。
印を結んだ指が美しく、ふっくらとした優しい顔立ちの観音様。

延暦寺仏像


しかし、私がぐっと来たのはその対面上に飾られていた「十一面観音菩薩立像」(大阪・長円寺蔵)である。
名づけて「どすこい」。
このような観音像は初めてお目にかかりました。
お相撲さんのような丸々とした顔立ちが特徴的。
この日は美術館学芸課長の方による「慈覚大師円仁と延暦寺の仏像」と題する講演が開催され、及ばずながら私も聴講したのですが、その際にもこの十一面観音は異形の仏像として紹介されていました。
この異形の仏像も円仁が唐から持ち帰ったものに起因するとかしないとか。

第2節 ふるさと下野
円仁は下野(現・栃木県)出身。
第3節 はるかみちのくへ
円仁は最澄に従って、東北地方を伝教のため回ったため、岩手県の黒石寺に「伝慈覚大師坐像」(チラシ左下)などが残されている。

ここでは、この黒石寺の四天王立像のうち持国天と増長天の2体に注目。確かこの四天王立像はかの「見仏記」にも採り上げられていた記憶が・・・。
顔がとても小さく上半身もスリムなのに下半身がどっしりずどんとしているのが特徴。このアンバランスさが却って目をひく。
この重厚な下半身には何か理由があるのだろうか?
再度見仏記を読み返してみよう。


国宝22件、重要文化財66件を含む約140点の名宝展。
久々に一つの展覧会をじっくり見て得るところも多かったです。


最後に大好きな小倉遊亀さんのコーナーをはじめとする常設展を見て帰路につきました。
小倉遊亀さんの作品では「月」「姉妹」「娘」など私の大好きな作品が運良く飾られていて大満足でした。


*慈覚大師円仁とその名宝 9月24日(月・休)まで開催中。

記事にできなかった展覧会 

行くには行ったし、しっかりお目当てのものも楽しんだのに記事にできなかった展覧会がいくつもあります。

記事にできなかった理由は、自分の知識不足によるもの、忙しさにかまけてついつい月日が経過してしまったもの・・・などなど。

とりあえず8月までに行った展覧会で記事にしなかったものを簡単にまとめてみようかと思います。


1.「藤森建築と路上観察」 東京オペラシティ

藤森建築を実際に肌で感じられる展示内容。
展示会場に設置された小屋(?)が良かった。
にじり口のような入口をくぐると、路上観察の映像が。
赤瀬川原平さん他のメンバーとの路上観察は本で読んでファンになっていたが、リアル映像を伴う座談会は面白くて長居してしまった。
この小屋背もたれのようなものがあり、靴を脱いでやたら居心地が良いのである。

藤森先生の建築では秋野不矩美術館に行ったことがあるが、あそこも靴を脱いで作品鑑賞する空間だった。
他の建築も是非一度行ってみたい。


2.「咲きそめる時」 京都市立美術館コレクション展2

こちらは悲しいかな。印象に残った作品や作家さんを列挙できない。
つまり忘れてしまったのです。
染色作品というのをここで初めてじっくり見たが、絵画に近いこれもひとつのアートだと思ったことだけ記憶している。


3.「金比羅宮 書院の美」 東京芸大美術館

非常に期待して行った展覧会。
確かに、応挙の虎は圧巻だった。入ってすぐにこの虎の障壁画に囲まれてしばし、ぼうっとしてしまうほど。

若冲の花丸図も見たかった作品だった。

それなのに、それなのに何故か印象が薄い展覧会であったのはなぜだろう。工夫して最上の展示空間を作り上げ、立ったままで楽に見られるよう作品の高さも上手く設定されていた。
でも、いくら工夫してもやはりリアルな建物なしでは、満足できなかったのかもしれない。


4.芸大コレクション展 歌川広重 名所江戸百景のすべて

書院の美の後、こちらのコレクション展へ移動。
一挙に膨大な広重浮世絵を見たので、意識が朦朧としてしまった。
特に好みの作品も見つからず。


5.「ルドンの黒」 Bunkamura Museum

ルドンと言えば、小学校1年生の図工の教科書の表紙を飾っていた色鮮やかな花の作品が思い出される。
が、今回の展覧会は色彩鮮やかな時代に入る前のルドン作品。
神秘主義的な黒い作品が並ぶ中、瞳をとじてをはじめとする女性像はやはり群を抜いて美しかった。

ルドンが作り出したキャラ(蜘蛛とか)をアニメーション化し映像作品として仕上げていたが、これが結構楽しめた。


6.日曜美術館30年展 静岡県立美術館

時間がなくなって駆け抜けるような早足で見るには惜しい内容だった。
印象に残ったのは、高橋由一の「花魁」。
愛知県立美術館の常設で何度も見ている「不忍池」も好きだけれど、この「花魁」も何と言うか濃厚な作品だった。

由一には何か惹かれるので金比羅の高橋由一館に是非、一度足を運びたい。
他には丸木スマさんの作品2点。
70歳で絵を描き始めたというから驚き。色鮮やかな素直な画風が見ていて気持ち良い。きっと、絵を描くことが楽しかったんだろうなと小さい時に好きなだけお絵かきできる時のわくわくする気持ちを思い出した。

松本竣介の作品や鏑木清方など好きな作家の作品が出ていて、予想以上に良い展覧会だった。


7.京都五山 禅の文化展 東京国立博物館

前半部分で印象に残ったのは死の2日前に書かれた墨蹟「春屋妙葩墨跡 遺偈」。死を目前にして最後の力を振り絞って書いた様子が伺われる、そのリアルさが数世紀前のものであっても今に伝わってくる。

後半部分から俄然面白くなって、先にこちらを見れば良かったと後悔。
仏像に絵画と名品ぞろい。
本当は再訪したい所だけれど、そうもいかないから地方在住は辛い。


8.「シュルレアリスムと美術」 豊田市美術館

学芸員さんの解説に参加して鑑賞。
シュルレアリスム展としては、その少し前に見た岡崎美術博物館の展覧会の方がいろんな発見があって楽しめた。

こちらは、シュルレアリスムが現在の美術に与えた影響などがたどれる構成になっている。
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