スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

「ムンク展」 国立西洋美術館

ムンク

「生命のダンス」1925-1929年 オスロ市立ムンク美術館蔵

ムンクと言えば誰しも思い浮かべるのは、あの「叫び」でしょう。
叫び以外にムンクの作品が浮かばないことにはたと気付き、喜び勇んで国立西洋美術館へ向かいました(11//3)。

本展は装飾画家としてのムンクをたどる構成となっています。
会場は彼のアトリエに配置されていたのと同じ順で作品をできる限り並べたり、DVDを使用して実際に絵が飾られているアトリエやチョコレート工場を見せています。
悲しいかな、このDVDが私には一番分かりやすかった。

装飾絵画としてムンク作品を鑑賞するには、1点1点を丹念に見ていくこととは別に、展示空間で全ての作品を一連のものとして捕らえることが重要ではないかなと思います。
・・・と偉そうなことを言いつつ、やっぱり1つ1つ見てしまうのですが。。。

第1章 <生命のフリーズ>:装飾への道

・「吸血鬼」(1893年-94年) 
のっけからやられる作品。吸血鬼というより男に覆いかぶさる女は男女の愛を描いたように感じられます。

・「星月夜」
ゴッホとは違うムンクの星月夜は、他の作品とはどこか違った印象を受けます。

・「病める子供」(1925年、1894年)
暗い作品ですが、大変印象的でした。臨終を迎える姉の姿を描いており、少女の表情が強くこちらに訴えかけてくるのです。
ムンクは同じモチーフを繰り返し、時代を経て描いており、その作風の変化も面白いところ。
同様に、冒頭の吸血鬼も20年後に描いた作品が展示されています。

・「マドンナ」(リトグラフ)
こちらもムンク作品では有名。さしもの私も見たことある!と心の中で叫んでました。
ムンク自身の恋愛から生まれた名作。


第2章 人魚:アクセル・ハイベルク邸の装飾

彼が最初に手がけた装飾画がこのハイベルク邸のもの。主題は人魚。


第3章 <リンデ・フリーズ>:マックス・リンデ邸の装飾
眼科医リンデから子供部屋に飾る絵画の依頼を受けたムンクが描いたのは、抱擁、接吻する愛を交わす男女でした。
これら一連の作品は子供部屋に似つかわしくないと受け取り拒否をされてしまいます。

注文主からの要望を振り切ってまでも自分の描きたい主題を描くムンクの強さなのでしょうか。彼の主題に対するこだわりを感じました。

第4章 <ライン・ハルト・フリーズ>ベルリン小劇場の装飾
ここでは残念ながら作品そのものでなく習作のみ展示されています。
本物は、取り外し不可・・・でしょう、やはり。

第5章 オーラ:オスロ大学講堂の壁画

・太陽(習作) 1912年
これも第4章同様、講堂を飾っている壁画の習作ですが、習作といえども侮れない出来栄え。
本展のマイベストです。
ムンクの生涯前半期、彼の作品は暗い色調で覆われています。
しかし、この太陽を機に彼の作品は明るい色彩に彩を変えており、その象徴的作品。

画面から一杯に光を浴びて、見ているだけでとても気持ち良く元気になれます。
実際の障壁画はこの習作の17倍?の大きさだとか。
是非、オスロ大学の講堂へ行ってみたいものです。

第6章 <フレイア・フリーズ>:フレイア・チョコレート工場の装飾

この工場社員食堂に飾られている一連の壁画シリーズは、ムンクの装飾絵画の魅力を一層かきたてられる作品群。
こんな壁画で飾られた食堂があるなら、会社へ行くのも楽しいだろうな、きっと。
羨ましい限り。

第7章 <労働者フリーズ>:オスロ市庁舎のための壁画プロジェクト

本章では、このフリーズの中核となる初期の作品や、市庁舎壁画の構想を描いた素描などが展示されています。
素描であるが故、ムンクの色彩が感じられなかったのが残念。


総じて、後半期のムンクの絵画はその色彩が印象的。
赤、青、緑、黄、紫、はっきりとした原色を多く用いています。

この展覧会を見た後はどうも消化不良な感があり、なかなか記事を書けないでいましたが、先日NHKで放映された「日曜美術館」のムンク特集で、やっと消化できたようです。
大変分かりやすい内容で、ムンクの生涯を追いつつ展示作品を概観していってくれたので、ありがたかったです。NHKに感謝。

ところで、作品に名づけられた「フリーズ」の意味は何?
英語でフリーズは凍る、止まるの意味ですが、ここでは結びつきません。
ノルウェー語?
どなたかお分かりの方、是非教えてください。

スポンサーサイト

「大観・玉堂・龍子 三巨匠展」 古川美術館

錦秋

川合玉堂「錦秋」岐阜県美術館蔵 (後期出品)

前回の続き。
というかこちらの後に為三郎記念館へまわったのですが、記事は前後してます。

わずかな作品数ですが、いつもながらこじんまりとした空間で日本画を静かに楽しめるのが、こちらの魅力。
今回は古川財団設立20周年記念ということで、他の美術館からの作品貸し出しでコレクション以外の作品も見ることができました。

中でも良かったのは「雪月花展」「松竹梅展」に出展された三巨匠の作品。
おのおのの個性が際立ち、更に与えられたテーマを絵としてどう描くかの知恵の見せ所を随所に感じました。

以下美術館HP抜粋。
異なった環境、流派で活躍し、目指すものを異としたこの三巨匠ですが、1952(昭和27)年~57(昭和32)年に「雪月花展」「松竹梅展」を開催し、三人で合作を制作するなど幅広い芸術活動を展開させました。

これらの作品は前期と後期で展示替えがあり、私が見たのは第三回雪月花と第一回松竹梅に出品された三幅対です。

印象的だったのは大観の「双竜争珠」(松)、玉堂の「月天心」(月)「若竹」(竹)、龍子では「水温む」(梅)。
大観の作品は構図とアイデアが良く、中央に描かれた月を玉に見立て、左右に描かれている松の一部を龍頭として描いています。

また、玉堂の作品ではお題である「月」は描かれていませんが、うっすらとした陰影でほのかな月明りを描くところが玉堂らしいと申しますか、上手さを感じました。

個人的に三巨匠のうち好きなのは、玉堂の風景画。
愛知県一宮市生まれ、後に岐阜に転居した玉堂は、鵜飼を生涯で500枚以上描いたそうです。
その鵜飼の作品が1つ出ていました。
玉堂の作品は見ていて、気持ちがほころび、休まります。

絵画はその時々の自分の状態によって、見え方も変わることがよくあります。
今の私には玉堂がぴったり来たようです。

*12/16まで開催中。

「茶の湯 内田繁の世界」 為三郎記念館

名古屋市千種区にある「為三郎記念館」で開催中の「茶の湯 内田繁の世界」に行って来ました。
内田繁が世界的に有名なデザイナーであることは今更申し上げる必要もないでしょう。
本年度春、内田氏はインテリアデザイナー初の紫綬褒章を受章しました。

その内田氏が為三郎記念館の数奇屋空間を利用し、どんな茶の湯の世界を見せてくれるのかが、本展最大の見所です。

まず入口入ってすぐ玄関にあたるところにあったのが内田デザインによるガラス製花器。
花竹

かなりの存在感。
スポットライトで妖しげに光っています。
夜間であれば、尚更そのガラスの魅力が光り輝く筈。

そして、数奇屋の中のそれぞれのお部屋を使用して、内田版現代茶の湯世界が次々と繰り広げられていました。

茶の湯空間として私が一番感心したのは、立礼席です(以下)。
立礼

一番大きなお座敷を白で統一。
椅子にも全て白い布がかけられ、床も白。
周囲は透明のビニールシートで囲われていますが、そのビニールには一輪挿しの花瓶が均等にあしらわれており、お花畑にいるような感じ(作品名:フラワーシート)。
毎日、お花は取り替えるのかなぁなどと現実的なことも考えましたが、ともあれ面白いアイデアです。

立礼席の机はもちろん、内田デザインによる茶道具の取り合わせはお見事。
中でも黒田泰蔵さんの白磁は、大好きなだけにことのほか気に入りました。
あの白と磁器の質感はたまりません。

そしてもう1人、ここで気になるアーティストさんを見つけました。
銀の茶入れを作っていた金子透(金工家)。
この茶入れだけでなく、銅製の建水も別のお部屋で出展されていました。
金工がメインのようですが、陶器もてがけられることがあるようです。
何を作っても良いものは良い。


もう1つ圧巻な空間が。
このお部屋は茶の湯世界とは別ですが、これまた普段は和室のお部屋を真っ白にし、天井と壁のいくつかの部分には田村能里子の赤の絵画(これは常設だと思う)が配されています。
部屋には「ムー」という白い毛むくじゃらの羊のような椅子が沢山。
奥には「dancing water」→長方形のステンレス盥に水を張り、定期的に3箇所に取り付けられたスクリューがそれぞれ水をかき回す。
観客はスポットライトに照らされた水紋を楽しむ趣向です。
ムー

これらは07年のミラノサローネに出品されたインスタレーション。
こんな楽しいインスタレーションが妙に数奇屋空間にマッチしているのが不思議です。
しばらく「ムー」に座ってぼ~っとしていました。
ちなみに「ムー」は全て形・動きが違います。
お好きな「ムー」を選んで座るのがまた愉快。

これら以外にも「見立て」の茶の湯やら様々なアレンジを見せています。


さて、為三郎記念館では好きな場所でお抹茶セットかコーヒーセット(プチガトー付)をいただくことができます。
通常700円ですが併設の古川美術館へ行くと200円の割引券を貰えるので500円也。

今回は迷った末、邸内唯一の寄棟作の洋間「浮観の間」を選択。
内田デザインの赤い椅子が配置され、低くジャズが流れる小部屋と変貌し、ちょっとしたバーのような雰囲気。
でも外に目をやると立派な日本庭園が。
このギャップが最高でした。

お庭に出ると期間限定で内田作茶室「受庵」が展示されています。
中に入ることも可能。
受庵

今回の展覧会は大変良かったです。
夜間にはまた違った魅力がありそう。

大人のデートスポットに最適!オススメします。

注:館内は撮影禁止です。

*12/16まで開催中。受庵は12/7~9日好天時のみの展示です。ご注意ください。

「絵手本・雛形-近世のイメージ・アーカイブ/駿河御譲本」 名古屋市蓬左文庫  

絵手本


江戸時代に名古屋が「蓬左」(ほうさ)と呼ばれていたことをご存知でしょうか?
地元に住む私は、本日初めてその意味を知りました。
以下名古屋市蓬左文庫HPからの抜粋です。

「蓬左」とは、江戸時代に使用された名古屋の別称です。古代以来の歴史を有し、全国にその名を知られた熱田の宮は、中国の伝説にいう仙人の住む蓬莱山にあたるという言い伝えがあり、「蓬莱の宮」、「蓬が島」などとも呼ばれていました。このため、蓬莱の宮の左方に開けた新興の城下町である名古屋は、「蓬左」、名古屋城は「蓬左城」とも呼ばれました。つまり、蓬左文庫とは「名古屋文庫」という意味になります。


本日のお題は名古屋市蓬左文庫で開催中の展覧会です。
蓬左文庫は、現在「徳川美術館」と併設していますが、数年前までは同じ東区でも別の場所にありました。

今日は、徳川美術館で開催中の「国宝 源氏物語絵巻」展を見に行ったのですが、蓬左文庫の展示が面白く、国宝の絵巻がかすんでしまいました。

蓬左文庫には2つの展示室があり、現在はタイトルにある2つのテーマで展示が行われています。

まずは「絵手本・雛形」から。

江戸時代、さまざまなテーマの図様を集めた絵手本・画譜類、また、雛形と呼ばれる図案集が盛んに享受されました。それらは、絵画や工芸品を製作する際の手本であると同時に、当時の日本で人々が共有していたイメージの蓄積(アーカイヴ)であったとも言えます。発想の源とも言うべき、絵手本・雛形の数々が紹介されています。
HPより抜粋。

○中国イメージの享受
・花鳥図 津田応圭筆(徳川美術館蔵)
王圭は尾張藩の重臣で、南画を学んだとされる。
絵画史上無名?かもしれないが、美しい花鳥画で気に入りました。

・方氏墨譜及び唐墨
唐墨に描かれた文様の図譜が冊子になっていました。
いわゆるデザイン集です。細かな文様や花鳥、龍文の数々、明の時代の文様美を見せ付けられます。


○江戸の絵尽くし
このコーナーで思わぬ北斎との出会いが!
・北斎漫画
・北斎画譜
どちらも保存状態は最良です。なぜ名古屋にこれが?と思ったら。北斎漫画は文化11年(1814年)名古屋版元永楽屋藤四郎から出版されたそうです。
更に続いたのは

・光琳漫画 尾形光琳画
なんと、光琳の作品をここで見るとは。。。
光琳の図案集も江戸時代には出版されていたのですね。
江戸時代の出版事情がどんどん楽しくなってきました♪

・群蝶画英 英一蝶
・浮世画譜 渓斎義信・安藤広重画

などなど、文化~天保までの主だった浮世絵画家や日本画家の絵手本が出版され人々の目を楽しませ、日常に用いられていたようです。

○大名家の絵画学習
○雛形-図案のストック-
雛形では渓斎英泉の画本が印象的。
他には小袖の図案集があり、着物のオーダーメードの一部を垣間見た気がします。

展示室1ではこれだけで終わりません。
通年企画で「源氏物語の世界」と題して源氏物語関連の絵画、書籍、工芸品が紹介されています。

今回は特別ゴージャスで、国宝「初音蒔絵香盆」や「純金葵文蜀江文沈箱」は豪華絢爛、金きら金+細かい文様と細工に目を見張るばかり。
思わずため息が出てしまいました。


展示室2では「駿河御譲本」が展開。

再びHPからの引用です。
大御所家康は駿府城にて生涯を閉じた際、彼が収集し手元に置いていた日本および東洋の貴重書は、遺産として彼の九男義直(尾張家)・十男頼宣(紀伊家)・十一男頼房(水戸家)へと分与されました。
これを「駿河御譲本」といいます。


この中での注目は
・「太平聖恵方」(重要文化財)南宋 12世紀
いわゆる漢方医学書で、様々な病態とその治療法等で構成されています(51冊)。
今回紹介されていた頁では、お医者様が患者のツボを診ている場面が描かれていました。
先に「弐代目・青い日記帳」のTakさんがご紹介されていた「徳川将軍家15代のカルテ」に、大御所家康が漢方薬を自分で煎じる程、医学書を好んで読んでいたと記載されており、なるほど「太平聖恵方」を読み耽る家康像が瞼に浮かんで来ました。


・河内本源氏物語 附 桐宇治橋蒔絵書物箪笥(重要文化財) 鎌倉
源氏物語本は数あれど、それを収める箪笥まで紹介されていたのが面白い。
中身も凄いが、入れている箪笥も立派な蒔絵が施されています。


徳川美術館の常設+こちらの蓬左文庫だけで、目一杯エネルギーを使い果たしてしまいました。
よって目当ての特別展にたどりついた時には既に疲弊。
国宝の絵巻物6点のみしかと目に焼きつけ、あとはさらさら流して帰路につきました。

蓬左文庫には浮世絵本も数多く所蔵されており、無料で館内閲覧(デジタル画像)可能なようです。
ぜひ、次回訪問時に閲覧申込をしてみようと思います。


今日はつくづく徳川美術館+蓬左文庫の素晴らしさを痛感しました。
名古屋も捨てたもんじゃない☆

関西ぐるっとパス利用日帰り旅 第2回

今週は激務が続き、本日の日帰り旅の決行は危うくなったが何とか達成。

まずはのぞみで京都へ。
3連休の京都は予想通り大変なことになっていた。
駅前の市バス乗り場はバス待ちの人で長蛇の列。
こんな長い行列は初めて見た。

私の目的地はただ一つ、京博の常設だったため駅から歩くことにした。
秋晴れの中、てくてく歩くのも悪くない。

京博入口にある「からふね屋」で軽くサンドイッチとコーヒーをいただく(この時12時少し前)。
京博の常設は駅の喧騒が嘘のように静かだった。
永徳展が終了しひっそりとした館内は鑑賞にはもってこいの環境。
軽く1階の仏像を見てから目当ての2階絵画コーナーへ。
あさって25日の展示替え前に見ておきたい作品がいくつかあった。
・長谷川等伯 「枯木猿候図」
・狩野山楽 「唐獅子図」
・松崎天神縁起 
仏画から近世絵画、中国絵画に絵巻物。
やはり相当の見応え。小1時間を過ごした。


京阪七条から丹波橋まで出て近鉄乗換え。
向かうは本日無料開館の大和文華館と中野美術館。
大和文華館では「日本の仏教美術-祈りの形象」が開催されたばかり。
コレクションを中心に約70点。
こじんまりとした展示であったが先に奈良博で見た「病草紙」の中で京博所蔵の「毛虱」と国宝「一字蓮台法華経」を目にした時は、来た甲斐があったとつくづく感じた。

中野美術館は無料開館が災いして、かなり賑やかしくゆっくりできなかったのが残念。
竹内栖鳳の日本画が印象深かった。何より色が美しい。

ここまでで3時を経過。
本当は国立国際美術館に行きたかったが、開館時間に間に合わないため今回は断念し、難波にある上方浮世絵館へ行く。

同館の目の前に法善寺というお寺があり、水かけ不動の前にはこれまた行列が。。。
私はこちらの水かけ不動のことをまるで知らなかったため、驚いた。

さて上方浮世絵館は4階建ての建物で2~4階が展示室となっている。
浮世絵館にはあまり似つかわしくないようなメルヘンちっくな外観の建物である。

江戸で生まれた浮世絵は大阪にたどりつき、主として役者絵を中心とし江戸時代後半から明治始めまで上方浮世絵が展開。
知らない絵師の作品ばかりであったが、春好斎北州の作品は目をひいた。
北州

「木下蔭狭間合戦 中座 石川五右衛門」 

最初にこの作品を見た時から、上方浮世絵館に行ってみようと思わせる何かがあった。
名前からも分かるように、北州は北斎に弟子入りし主に上方で活躍。
約200点の作品を残したが、本業は別にあったとか。
展示数はおよそ30点ほどだと思うが、なかなか楽しめた。

最後に梅田まで出て堂島ホテルでケーキとコーヒーをいただく。
大好きなカマンベールケーキは完売だったため、本日はティラミス。

新大阪からのぞみで一路名古屋へ。

さすがに疲れた~。

関西ぐるっとパス利用日帰り旅 第1回

かねてより、法隆寺と中宮寺の仏像に会いたいと思っていた。
そんな折、昨夜ネットで関西方面の美術館情報を調べていたら「関西文化の日」が昨日今日で開催されることを知った。

更に以前より気になっていた「関西ぐるっとパス」が脳裏に閃き、早速本日より関西行脚を開始することとなった次第。

以下本日の旅程。

早朝6:00名古屋発の近鉄電車に乗り、法隆寺へ向かう。
途中大和八木で乗り換え自に「ぐるっとパス3日間」を購入。
筒井で下車し、バスで法隆寺に向かったが、何と奈良市内のバスはぐるっとパスの対象外。

9時前には法隆寺到着。
小学校の修学旅行以来の法隆寺。
こんなに大きかったかなぁと思いつつ中へ。早朝のお寺はまだ静かでとても気持ち良い。
お目当ての釈迦三尊像はじめ、百済観音、特別開帳中の救世観音とまみえる。
感動ひとしお。

次に中宮寺。
憧れの弥勒菩薩との対面は意外やあっさりと終わってしまった。
う~ん、土門拳の写真の方がよく見えると言うのはどういうことか。
見た瞬間、若い男性のりりしさ、溌剌さ、加えて品を感じた。

バスに乗り遅れたため、中宮寺からJR法隆寺駅までてくてく歩く。

法隆寺駅より天王寺に向かう。
大阪市立美術館で開催中の「BIOMBO」展へ。
こちらの美術館には初めて訪れたが、その大きさと建物の立派さ(古きよき建築物で京博を思い出す)に驚嘆。
さらに、展覧会の内容があまりにすごいので、途中で行き倒れそうになったが何とか見終わったものの、これで終わりではなかった。

1階では中国の仏像コレクション展(所蔵品展)が開催されており、コレクションの質の高さは目を見張るばかり。
東博の東洋館と肩を並べる、もしやこちらでしか見られないものの方が多いかもしれない。

思った以上に時間を割くことになったため、次の目的地和泉市久保惣美術館へ到着したのは午後4時前。
こちらでは、来週まで「伊勢物語-雅と恋のかたち-」展を開催している。開館25周年の特別展でこれまた凄い内容であった。
さらに、こちらの美術館が「関西文化の日」参加施設となっており、本日は鑑賞料無料!!!(通常大人1,000円)
久保惣美術館も初めての訪問だったが、この美術館も素晴らしい。
お庭も良し、丁寧に植物ひとつひとつの名前が札に記載されている。
小さな川もさらさらと流れ、こんなに急ぐ旅でなければもっともっとゆっくりしたかった。

展示品は25周年特別展にふさわしく宮内庁や文化庁所蔵品から個人蔵のありとあらゆる伊勢物語に関する古美術作品が展示されていた。
嬉しいおまけで、春信の浮世絵まであった。

閉館ぎりぎりまでいて、最終目的地の大阪市立近代美術館心斎橋展示室へ。こちらも関西文化の日参加施設で観覧料が本日無料!(通常500円)。
近代の日本画を楽しむ。
収穫は北脇昇と池田遥邨、曖光の作品。

本当はこの後京都に立ち寄ろうと目論んでいたが、時間は既に夜7時近くとなっており、疲労もピークに達していたため、そのまま新大阪よりのぞみにて名古屋へ帰宅。

我ながらよく歩いた。
ちょっとした事情で万歩計を付けていたが、今日の歩行数は18700歩。
普段は9000歩弱なので、いつもの倍歩いたことになる。

本日の一推しは、和泉市久保惣美術館。
25日まで開催中の特別展には是非、足を運んでいただけたらと思う次第。


ぐるっとパス第2回目は次の金曜23日を予定。
お気に入りの大和文華館と中野美術館がいずれも23日に「関西文化の日」参加施設として鑑賞料無料となるため。

楽しみは尽きないが、インプット量が多すぎて、ブログにアウトプットできないのは悩ましい。

鬼頭健吾 「Luminary」 ケンジタキギャラリー名古屋

鬼頭


会期ぎりぎり閉廊時間間際に駆け込みで行って来ました。

鬼頭健吾の新作展です。
会場はギャラリーの2階を使用しています。
階段を上がる途中から、カラフルな光が見えて来ました。

目にしたのは巨大カラフル電飾扇風機(床置き型)。
勝手に命名しましたが、作品タイトルは違います(メモするの忘れて不明)。

長椅子が置かれていたので、くるくると元気良く回る扇風機をしばし座って眺めていました。微妙にまわる速度が違うものがありましたが、作家はまわる速度など意識していないでしょう、おそらく。
近づいてよく見てみたら、電球にパチンコ玉と思しき小さな金属球が周囲に貼り付けられてました。
鬼頭氏は、名古屋在住。
名古屋と言えばパチンコ発祥の地。
やはり、あれはパチンコ玉なんでしょうか。。。。


ここ最近の鬼頭健吾の作品は色を意識したものが多いようです。
今回の作品も過去に豊田市美やギャラリー小柳で見た作品と発想は似ていますが、多色使いになったことが大きく異なります。

奥の空間には、絵画作品が6点ほど。
例のぐるぐるとした縄模様です。
画面全体にラメのようなものが散りばめられキラキラしていますが、さながら現代の料紙における雲母のよう。

ギャラリーに鬼頭氏ご自身がいらっしゃったようです。
私の前を通り過ぎた方がそっくりでした。

あとは、森美術館で開催中のクロッシング展と豊田市美にも鬼頭作品が出ているようなので、こちらも楽しみです。

*本展は11/10に終了しています。ご注意ください。

「ヴィクトリア アンド アルバ―ト美術館所蔵 初公開 浮世絵名品展」 松坂屋美術館

実にタイムリーな時期に名古屋へやってきてくれたV&A美術館所蔵浮世絵展です。東京では今年の5~6月に開催されているので、既にご覧になった方も多いことと思います。

松濤のミネアポリスでは見られなかった作家の浮世絵や団扇絵など163点も出ており、これまた大変実り多い内容でした。松坂屋美術館で途中休憩を取るため一度外に出て再入場したのも、図録を買ったのも初めてのこと。過去松坂屋美術館で見た展覧会の中で一番良かったと思います。

1.華麗なる錦絵の展開
2.稀少な団扇絵の世界
3.最盛期の狂歌絵本
4.肉筆画と版下・画稿
の四部構成となっています。

まずは錦絵の開祖、鈴木春信の作品。こちらでは3点のみでしたが、くしくも会場の名前と同じ「松坂屋之風」は色彩がよく残っていました。

ずらずらと浮世絵作品が並ぶ中、「むむむ」と思わせる作家に出会いました。魚屋北渓です。
sakana


北斎門下で、元魚屋さんという出自の彼の作品はダイナミックで、特に図録表紙にもなっている「鬼若丸の鯉退治」(上図)や「春の山又 其二」は二枚の続き絵で構図が素晴らしい。
北渓も今後の注目作家になりました。

珍しかったのは、広重の貝細工3点。
貝を使って作られたものということだが、いくら目をこらしても貝が使われていることなど感じられません。
どういう風に作られたのでしょう?
是非とも知りたいものです。
広重の作品らしからぬのは、画面にいろんなものがわんさか詰め込まれにぎやかでした。

2章の団扇絵、これも本展最大の見所と言えます。
まず度肝を抜かれたのはお馴染み酒井抱一の「蚊」。
蚊をここまで美しくできるのは抱一だけではないでしょうか。
1匹1匹目を凝らして見ると、蚊そのもの、超リアル。
少し作品から離れてみると、蚊の配置が絶妙で蚊はお星様か小さな模様になってしまいます。

酒井鶯蒲の「紫陽花」も色の状態が良く、使われている色の選択が素敵な作品。

其一

同じく琳派の鈴木其一の「団扇売り」(上)は一見すると団扇が団扇に見えません。私は提灯売りだと思っていました。お隣にいた方が「団扇って、こんな風に売っていたのね」と話されるのを耳にして、ようやく1枚1枚の団扇が縦につながっているのだと分かりました。
この作品も色の使い方が素晴らしい。

崋山

渡辺崋山の「ほおずき」も貴重な作品。ここで崋山の絵が見られるとは驚きでした。崋山のやさしさ、真面目さが伝わってきます。


団扇は日用品であり、消耗品ですが、どんな人達がこれら名作家の団扇を買っていたのでしょうか?
またV&Aはどうやってこれらの作品群を集めたのかも知りたい所です。

3.狂歌絵本では歌麿の「画本虫撰」が目を引きました。
歌麿は美人画以外も好きです。絵師としての非凡さはここで既に発揮されています。

4.肉筆画と版下・画稿
ここで、私はもっとも見たかったおもちゃ絵と出会うことができました。
高橋克彦さんの著書でおもちゃ絵の面白さを知り、是非実物を見たいと思っていた矢先のこと。
今回出ていたのは歌川貞秀の「新板早替両面化物」シリーズ全5点。
おもちゃ


切り抜いて両面を貼り合わせて楽しむ趣向です。
描かれている化物は怖さよりも、面白さ、お茶目さが際立っていて、現代のキャラクターグッズの走りではないかと思いました。
今でも十分通用するキャラ立ち。
おもちゃ絵も団扇同様、日常で江戸の人々が生活の楽しみに愛用していた物で、よく200年の時を経て現代まで残ったと感動です。


ますます浮世絵の虜になってしまいました。
これを機に松坂屋美術館のMAMパスカード(松坂屋美術館と全店の大丸ミュージアムを年間通じて何度も利用可能。会費5千円)の購入を真剣に考えています。
会期末までにもう一度作品に会いたいな。

*11月18日(日)まで開催中。

「茶の藝術 大和文華館のコレクションより」展 岡崎市美術博物館 

ブログで大変お世話になっている遊行七恵様にチケットを頂戴して、岡崎市美術博物館へ行って来ました。

お抹茶は好きですが、茶道をたしなみませんので展覧会の内容についていけるか若干不安を抱きつつ、会場へ。
近くで県民茶会が催されているようで、着物姿の女性が大変多い。
この展覧会、着物着用の場合は観覧料が半額となります。

結論から申し上げますと大変満足度の高い内容でした。


大和文華館コレクションからお茶をテーマに国宝・重要文化財の美術工芸品に加え、歴史家の中村直勝博士旧蔵の雙柏文庫(同蔵)からも貴重な資料が出展されています。中国美術品を賞玩する中で飲まれたお茶が、日本人の独自の感性により新しい美にかたちづくられる有様を国宝・重要文化財を含む、絵画・書蹟・陶磁・漆工などの美術工芸品約130点で紹介します。
→美術館HPより抜粋。

以下の5部構成です。
・唐物の茶
・侘びの茶
・武家・公家の茶
・町人の茶
・近代数寄者の茶

中でも出会った時に自宅に持ち帰りたくなった作品が3点。

1.色絵おしどり香合 野々村仁清作
おしどり


香合はこの他にも明の螺鈿はじめ良い物が目白押しでしたが、どれか1つと言われれば迷わずこれを選びます。
月並みな感想ですが、愛らしくてなりません。

2.色絵夕顔文茶碗 尾形乾山作
この茶碗が欲しくて欲しくてたまりません。
私の大好きな藍色と白と緑のハーモニーに加え、夕顔描き方にモダンを感じます。江戸時代のものなのにモダンを感じるなんて変ですが、デザイン性が優れているように思いました。
この茶碗で乾山大注目です。確か東京で乾山の展覧会が開催されていたはず、行きたいです。

3.蒔絵椿柳文茶入 酒井抱一図案・原羊遊斎作
抱一らしい図案の茶入れ。小さくて華奢で、抱一の繊細な椿と柳の図柄がぴったりの茶入れです。
蒔絵とありますが、入れ物自体は渋い色目で気に入りました。

この他にも名品ぞろい。
全て挙げているときりがありません。

絵画では重要文化財に指定されている2点
猫

犬


・蜀葵遊猫図
・萱草遊狗図 いずれも伝毛益筆。
国宝指定の「雪中帰牧図」は前期展示のみだったため、見ることは適いませんでしたが私にはこの犬と猫の中国画の方が好みだったかも。
どちらも愛らしい作品ですが、特に犬の方は顔がかわいい。
背景に描かれている草や蝶も細かくて、見応えがあります。
古いものなのに、まだ色が残っているのも素晴らしい。

陶芸は志野、織部、楽をはじめ茶碗はどれもよい物が集められています。確かな審美眼の許で収集されたことが伺われる作品ばかり。
白天目や景徳鎮の瓶ものは、息を飲むほど美しい。
改めて陶芸の魅力を痛感しました。安宅コレクション以来です。

伝本阿弥光悦の「沃懸地青貝金貝蒔絵群鹿文笛筒」も技の粋を極めた一品。
鹿


細い筒に23匹もの鹿が描かれているとは驚きです。

最後は雪村周継の水墨画「花鳥図屏風」と「佐竹本三十六歌仙絵 小大君像」で締めくくられました。


茶をテーマとした展覧会でしたが、展示品に棗や茶杓が1つもありませんでした。私にはまだ茶道具の良さを理解できないと思うので、今回の展覧会は茶の湯初心者にはうってつけ。そして、大和文華館のコレクションを今回一度に鑑賞できたことは大変幸せでした。

改めて、展覧会のチケットを譲って下さった遊行七恵様に感謝を申し上げます。
次回は大和文華館でこれらの作品達と再会したいものです。

*11月25日まで開催中。

(後期展示)Great Ukiyoe Masters   松濤美術館

広重

歌川広重 「名所江戸百景 大はしあたえの夕立」

浮世絵に夢中になっていることは、既にご報告した通り。
そのきっかけとなったのが本展です。

前期展示でその色鮮やかさに心を奪われ、後期展示も心待ちにしていましたが、後期も期待通りの素晴らしさでした。
後期展示を見る前に、浮世絵についてもっと知りたいと思い、まずは基本として「浮世絵の歴史」(小林忠監修)を一読。
歴史


まさに、浮世絵の教科書のような内容と書きっぷりで浮世絵誕生から新版画までの一連の流れを時代順に記載しています。
主だった作家は、ほぼ網羅されているのでとりあえず読むのにはもってこいです。ただし、内容は教科書ですから余り面白みはありません。
もう1冊はいづつや様に教えていただいたミステリー作家高橋克彦氏の角川文庫「大江戸浮世絵暮らし」。
大江戸


こちらは、浮世絵を美術としてでなく江戸庶民に密着したいわば日用品的なものとして、多面的な見方を教えてくれます。


そんな付け焼刃の知識ですが、皆無だった前回よりは幾分ましで出展作家の名前は教科書で見たものばかりでした。


前期・後期を通じて、結局好きな作家は変わることなく春信、歌麿、国芳の3名。
特に歌川国芳は、非常に気になります。
今週の水曜日NHKBSハイビジョンで国芳の特集が組まれていましたが、その番組を見てますます好きになってきました。
もっともっと実際の作品を見てみたいものです。

さて、今回気に入った作品を順にあげてみようと思います。

1.「採蓮美人」鈴木春信
前期で見た「水売り」同様ピンクの発色が大変美しい作品。
元々蓮は好きな植物なのも理由の一つですが、小舟から身を乗り出して蓮を切ろうとする水中にある手もしっかり描かれています。

春信の作品では、特に女性の着物に浮き彫りされている柄が目を引きます。彫師の技の素晴らしさに感動です。
浮世絵は工芸として見ても面白い。

2.桜下の駒 鈴木春信
春信の描く男性はむさくるしい。たおやかな女性とは全く対照的でした。それでも、見ていてなごんでくるのが春信作品の良さでしょうか。

3.「三代市川八百蔵の梅王丸」歌舞伎堂艶鏡
きりっとした目元が最高で、かっこいいことこの上なし。まさに江戸期のブロマイドの象徴のような男っぷりです。

もう1枚の艶鏡作品「二代中村仲蔵の松王丸」も色のコントラストが良い役者絵で気に入りました。

4.「百千鳥狂歌合」より鴨 翡翠 喜多川歌麿
歌麿は美人画だけでなく鴨も上手い。天才絵師は何を描かせても良いということでしょうか。

「婦人相學十体 浮気之相」も見たかった作品。雲母刷の光沢が200年の時を経てもまだ残っていました。

5.「朝顔に蛙」 「芍薬 カナアリ」 葛飾北斎
北斎の描く花鳥画は大好き。デザインと色のコントラストが素晴らしい。特に今回出展作は保存状態が良いので、その良さを十分に堪能できます。

6.「即興蔭ぼし蓋し 石灯篭 鷹にとまり木」歌川広重
広重の名所絵、風景画も素晴らしいけれど、影絵シリーズも面白い。

7.「流行遭都絵希代稀物」歌川国芳
三枚の続絵。中央にあぐらをかいているのは国芳自身だと思われます。
傍には好きだったという猫がちょこんと前足をあげているのがかわいい。
いたずら書きのような決して上手いとは言えない作品ですが、面白い。
風刺絵なのかもしれませんが、解説がないので意味が分からなかったのが残念。


春信、北斎、広重の作品はここに挙げた作品以外にも名品が目白押しです。

2階のサロン・ド・ミュゼでクロックムッシュと紅茶をいただきましたが、クロックムッシュのチーズはとても美味しかったです。名品浮世絵に囲まれて束の間のランチを楽しめたのは至福の時間でした。

*11/25まで開催中です。

注:作品タイトルの一部が新字体になっています。

「木版画東西対決 -仏教版画から現代版画までー」展 町田市立国際版画美術館

hanga

エドヴァルド・ムンク 桟橋の少女たち 群馬県立近代美術館蔵

展覧会のタイトルに惹かれて、町田市まで足を伸ばしてみました。
版画専門の美術館・・・初めて訪れます。
町田駅からてくてく歩いて約15分。噴水にある大きな水を使ったオブジェが印象的な公園を抜けると美術館が見えてきました。

当日は文化の日であったため、特別展覧会の入場料無料!

今回の展覧会は木版画の代表的な作品により、東西の木版画の歴史をたどるとともに、両者の表現の違いと相互的な影響を考えるものです。

少し前に名古屋ボストン美術館でレンブラントの版画を見て、その後浮世絵を見、西洋と東洋の版画の違いに関心をもちました。
版画の中でも技法を木版に絞っての東西対決、なかなか面白かったです。

展示内容は以下の通りです。
プロローグ 日本の木版画、西洋の木版画
第1ラウンド モノトーン対決
第2ラウンド 多色刷り対決
第3ラウンド 木口木版対決
第4ラウンド 現代版画対決―新しい表現へ


西の作品ではケーテ・コルヴィッツの「未亡人」が一番印象的でした。
女性の夫を失った悲しみがシンプルな表現によって一層強く、見ている側に伝わってきます。

第3ラウンドの木口木版は、本の挿絵に使われることが多い技法だったそうですが、木口木版作品の緻密さには驚きました。こんな細かいものをどうやって彫ったのか・・・。

東の作品では、プロローグにあった仏版画2つが強烈でした。
特に室町時代の「十二天図」は迫力があります。
もう一つは橋口五葉の「髪すける女」(多色木版)。
新版画運動に参加していた橋口の作品はちょうど見たいと思っていたのでラッキーでした。
頬の赤みが自然で、繊細でまさに日本的美人画です。

最後に観客は①東西どちらが良かったか、②ベスト作品 を投票します。私ももちろん投票して来ました。
残念というか予想していたのと違っていたのが、比較的時代の新しい作品が多かったことです。
個人的には古い木版画の東西対決を期待して行ったので、ちょっと肩すかしな感はありました。


次に常設展にまわりましたが、こちらはデューラー、ルオーをはじめ有名画家による木版画以外の技法作品を楽しめます。


*特別展は11月25日(日)まで開催中です。
特別展観覧料は一般800円、無料ではありませんのでご注意下さい。

「川瀬巴水 没後50年」展 大田区立郷土博物館 

巴水


目下浮世絵にご執心の私は、ネットでこの展覧会の開催を知りました。
大田区立郷土博物館へは浅草線「西馬込」駅より徒歩7分。
どの程度の展覧会なのか、あまり期待せずに向かったのですが何と予想をはるかに超えた展示作品数(前期:約150点)と内容に大満足できました。

しかも、この展覧会無料です!

巴水の名前が記憶に刻まれたのは横浜美術館で開催された「水の情景」展で深川の風景版画を見た時でした。

今回の展覧会で一番最初に展示されていたのは、版木。
続く展示では多色摺りの過程、どの部分に何色が摺られているかを一枚一枚丁寧に並べて、作品完成までの過程をたどることができました。

更に驚いたのは、後半以後では版下絵と版画作品の両方が並べて展示されていたことです。
版下絵と版画いずれもそれぞれの魅力があります。
こっちの作品は、下絵の方が好き、こっちは版画の方が・・・などと作品比較をしつつ楽しめます。

「Gosho-ningyo」(御所人形)という版画集が印象的で、巴水といえば風景版画というイメージを覆すかわいらしい画集でした。海外への輸出用として作成されたようで、外国人が好む分かりやすい日本らしさの象徴なのか御所人形、泥人形を取り上げています。

人形


絶筆の「平泉金色堂」では、背中を向けて歩いていく僧の姿が巴水自身と重なって、死へと歩み寄って行くように感じました。


世界初公開作品も含む約300点が前期、後期とほぼ総展示替えで展覧されます。巴水に関心のある方は必見かと。私は本日午前中に行きましたが、お客様はまばらで、ゆっくりじっくり鑑賞(私自身は1時間以上いたかな)できます。
後期も行きたいところですが、ちと厳しいか。

なお、18日(日)午後2時より、渡邊章一郎氏(株式会社 渡邊木版美術画舗 代表取締役)による講演会「川瀬巴水、作品の魅力と渡邊版画店に伝わる逸話」も開催されます。


前期/10月21日(日曜日)~11月11日(日曜日)
後期/11月13日(火曜日)~12月2日(日曜日)

村内美術館

なぜかミレーをはじめとするバルビゾン派の絵を見たくなり、八王子の村内美術館に行くことにしました。
ブロガーの皆様からの評判も高く、ホテルオークラで開催された「秘蔵の名品 アートコレクション」でも村内ファニチャー所蔵作品を何点もあったので気になっていたのも一因です。

八王子には過去一度も訪れたことがありません。
八王子駅に到着したら、想像以上ににぎやかで美術館への無料バス乗り場が分からず、あせりました。
結局私バスの乗り場にいらっしゃった方にお聞きして、何とか無料バスに乗り込むことができました。
村内美術館に到着したのは良いのですが、非常に大きな家具屋さんで美術館はてっきり同じ敷地内の別建物と思い込んでいた私はここで更に迷う羽目に。。。完全に下調べ不足です。

美術館の入口にたどりついた時にはほっとしました。

さて、村内美術館のコレクションは
・バルビゾン派(除くミレー、クールベ、コロー)
・ミレー
・クールベ
・コロー
・印象派、エコール・ド・パリ
・版画(ミレーらの作品を中心としたコレクション)
・現代フランスの画家
の各室から構成されています。

家具屋さんの美術館らしく、展示室のそこかしこに座り心地の良いソファが置かれているので、名画を前にゆったり鑑賞できるのは幸せの極地です。
これで、お茶かコーヒーでもいただければ言うことなしですが、残念ながら飲食は禁止。

気に入った作品はかなり多くありましたが、特に印象に残った作品は以下のものです。

・ディアズ・ド・ラ・ペニャ作「マルグリット(ひな菊占い)」
この作品がコレクションの始まりとのことですが、確かに一目でほれ込んでしまうのも納得できるような可憐な作品。

・ミレー作「鏡の前のアントワネット・エベール」
ミレー

ミレーと言えば農村風景や働く人々が思い浮かぶのですが、ここに描かれた少女はミレーの作品とは思えない明るく可愛い油彩です。
鏡にうつる自分を微笑む様子を温かい目でリアルに描き、外を裸足で歩いたのか、足裏が汚れているのまでリアル捉えています。

・コロー作「ヴィル・ダヴレーのカバスュ邸」
コロー


いわゆる名画ばかり挙げていますが、名画と言われる所以はやはりあると思いました。特にそれを感じたのがコローの作品群です。
数点も展示されていましたが、サイズは小さくとも(35×26.5cm)一番コローが得意とする明るい光と影が上手く描かれている風景画。

・クールベ作「ボート遊び(ポドスカーフに乗る女)」
クールベ


クールベをこれだけまとめて目にするのは初めて。
私が今まで抱いていたクールベ作品のイメージが見事に覆されました。
中でもこの「ボート遊び」は強烈。
現在東京都美術館で開催中の「フィラデルフィア美術館」展で見た「スペインの女」も強い印象を残した作品ですが、それに続く力強さをこの作品から感じました。
大胆な構図にはクールベの新しい画風への意気込みも伝わってきます。
残念ながら、名画「フラジェの樫の木」はフランスに里帰り中で見られませんでしたが、次回の楽しみにしようと思います。


この他カサットの少女像等必見の作品ぞろいで、素敵な時間を過ごすことができました。

ミュージアムショップで記念に買った1枚のポストカードは、ミレーでもクールベでもコローでもないジャン・ジャック・エネルの「赤いショール」。
赤いショールを頭からかぶった女性の横顔の作品ですが、どんな名画よりも私に訴えかけるものが一番大きかったのはなぜでしょうか。

エネルは最後のロマン派大物とのことですが、過去に彼の作品を目にしたことは恐らくなかった筈。
パリにはジャン・ジャック・エネル美術館が2008年に再オープンするそうですが、いつか訪れてみたいと思っています。
カレンダー
10 | 2007/11 | 12
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -
ブログ内検索
twitter
最近のエントリ
カテゴリー
最近のコメント
最近のトラックバック
天気予報

-天気予報コム- -FC2-
カウンター
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。