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「モーリス・ド・ブラマンク展」 損保ジャパン東郷青児美術館

ブラマンク

こちらも初訪問、損保ジャパン東郷青児美術館で開催中のブラマンク展へ行って来ました。

最初期の作品から晩年まで約80点で、作風の変化を展観できる構成です。
所蔵先もフランスの個人蔵や海外美術館所蔵品がほとんどで、見ごたえがあります。

ブラマンクと言えば、自作を見せた佐伯祐三に対し「このアカデミック!」と一喝されたというエピソードがあまりにも有名です。

最初期の作品「室内」が大変印象に残りました。ブラマンクらしさはまだありませんが、また帰って来たくなる・・・そんな気持ちにさせられます。最初期では、やはろゴッホの影響を強く感じます。

その後セザンヌからの影響を受けた作品、ゴーギャン風な作品、さらにはキュビスムっぽい作品とここでもブラマンクの個性が発揮されていません。セザンヌやゴーギャン風の作品群では、ピンクの使い方が上手いなと思いました。少量ですが、さりげなく効果的にピンクが塗られています。

しかしブラマンク作品の中核をなす色は、コバルトブルーです。館内の解説にはコバルトブルーとヴァーミリオン(朱色)についての指摘されていましたが、ヴァーミリオンは最後まで私の意識に入ってきませんでした。

ブラマンクの描く空は、必ずどこか暗さが潜んでいます。その暗さが、鑑賞する側に不安を与えます。展覧会のチラシに描かれている「雷雨の日の収穫」、ゴッホの積わら作品、ひまわりと似た感じのタッチですが、空の色合いはゴッホと違う。ブラマンクの空。

晩年に近づくにつれ、暗い雪景色の作品が多くなってきます。どんよりとはっきりしない雪空。暗いのに、なぜか惹きつけるものがあるのは、佐伯祐三の作品との共通項でしょうか。
一連の展示作品を見ていると、作風の変化がよく分かります。

雪景色以上に多く展示されていたのが、花束。どれもブラマンクらしい濃さで表現されています。

彼の顔写真からは人となりが想像でき、その重厚な色彩やタッチはさもありなんと感じました。


個人的には、グワッシュとインク・墨を使用して描いた「風景」「村の入口」が好きでした。重々しい作品の中で、ほっと安らぎを感じたのを覚えています。


最後に常設コーナーで、高値で落札されたというゴッホの「ひまわり」を見ました。オランダでも沢山の「ひまわり」作品を見ましたが、この美術館の「ひまわり」は想像以上に立派でした。思っていたより大きいのですね。それにしても、厳重にガラスケースに入れられて、オランダにあった「ひまわり」達とは随分待遇が違い、寂しそうでした。

美術館は損保ジャパン本社ビル42階にあります。ブラマンク展開催中の金曜日は夜8時まで(30分前までに入館)開館しているので、夜景も併せて楽しめそうです。

*ブラマンク展は、6月29日まで開催中。
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5月25日 鑑賞記録

ぐるっとパスの有効期限が6月5日と迫って来たので、今日は営団1日乗車券を購入しての美術館めぐり。

1.「柿右衛門と鍋島」 出光美術館
福岡でも肥前磁器は良いものを見たが、これはすごい。出光美術館は毎回毎回とても質が高い展示をされている。天井は低く落ち着いた雰囲気で、ちょっと格調高いおとなの美術館といった感じがする。その空間のあちこちに展示された染付、色絵の名品。
印象に残った作品を挙げようと作品リストを見ると、印が付いたものが沢山・・・多すぎて書けない。
中に星を二つ付けたものがある。「色絵菊流水文壺」柿右衛門。重文ではないが、乳白色の下地がとても滑らかで、青海波の文様が映える。
色絵狛犬も面白い。ブチの狛犬は初めて見た。
鍋島藩窯の作品では「薄瑠璃釉色絵唐花文皿」などどれもこれも見惚れるほど美しい。
焼物ばかりかと思いきや、どころどころに絵画もあって、楽しめる。これまた「春秋遊楽図屏風」 菱川師平、「遊女歌舞伎図」などなど素通りできない作品。
図録をしっかり読んで来たかったけれど、時間がないので次回に持ち越し。

*6月1日まで開催中。


2.「蜀山人 大田南畝 江戸マルチ文化人交友録」 太田記念美術館
初訪問。蜀山人、四方赤良、日本史の教科書で名前を聞いたことはあるような気がするけれど、何者だったんだろう?ということが少しでも理解できる内容。
私は気になったので、蜀山人に関する本を読んでみようという気になった。下級武士(御徒)であった蜀山人の華麗な生活ぶりを版本や浮世絵、肉筆画、扇子など今も残る様々な作品を通して鑑賞できる。
一番気になったのは、歌麿画、大田南畝編「夷歌連中双六」。
古文が理解できないので、全貌が分からないが、ところどころ読むと面白い。この双六やってみたい。

狂歌をひねり、漢詩を紡いで賛を書く。さらに、浮世絵研究家としての横顔もある。できることなら、狂歌の現代語訳を解説に付けていただければ、更に楽しめたに違いない。

前期は今日(5月25日まで)、3分の2作品を展示替えして後期は6月1日(日)から始まります。


3.「近代日本画・洋画にみる対照の美」 泉屋博古館分館
少数転じながら、良い絵画が多かった。
・「河畔洋館」 浅井忠 水彩 これが、マイベスト
・「五葉蔦」 岡田三郎助
・「二人麗子像」 岸田劉生 
劉生はかなり見ているはずなのに、この麗子作品は初見。黄色の洋服が印象的。ディテールも細かい。
・「三色スミレ」 岡鹿之助 
ブリヂストンの展覧会がこれで、楽しみになってきた。
・「金太郎遊行」 小杉放菴 
ほのぼのさせられる。やわらかな雰囲気をまとった作品。
・「サン=シメオン農場の道」 クロード・モネ
良い絵だなと思ったら、モネだった。

*6月8日まで開催中。


4.「東大寺御宝・昭和大納経展」 大倉集古館
初訪問。企画展より、常設展示されている美術品の方が気になって仕方なかった。
まず、すごいのは北魏の石造仏「如来立像」。正面は言うに及ばず、背面彫られた人々・祭壇等、背面の方が見ごたえがあるかもしれない。
東博でもこれだけの立像にはなかなかお目にかかれない。この立像に、かなりの時間を要した。

国宝「普賢菩薩騎象像」。これも美しい。何度も写真や画像では目にしているが、漸く実物と出会えた。

肝心の特別展は、今一つ。納経の扉絵を当代一流の日本画家達が手がけている。しかし、平家納経や週末に見た竹生島と比べると・・・(比べちゃいけないのだろうが)。

大倉集古館は伊東忠太設計で、日本初の私設美術館だと言う。庭にある展示物も屋内展示も、アジアンな香り満載で、どこかの古美術商にまぎれこんでしまったかのような雑多感がある。
ホテルオークラの呈茶件やランチ券とセットで楽しむのが良さそう。

泉屋博古館分館とこれほど近いとは。その先には智美術館もある。今回は見送ったけれど機会があればぜひ行っておきたい。


最後は新国立美術館の「モディリアニ展」で締めるつもりが、何と5月16日までのチケットで、入管できなかった。。。名古屋市美のダリ展に続く不覚。
チケット買ったら、すぐに行こう。買い直してまでモディリアニを見る気にはなれなかったので、退散。

「国宝 薬師寺展」&特集陳列&平常展 東京国立博物館

金曜の夜間開館を利用して、薬師寺展へ行って来ました。
東博のHPを見る限り、金曜夜なら並ばずに入れるのではと仕事をとっとと切り上げ、上野へ向かいます。
思惑通り、すんなり入館。それでも平成館2階の展示室はかなりの混雑。係の方にお伺いしたところ、これは空いている方で、閉館時間が近づけば、もっと空いてくるので、ゆっくり見られますよ。」とのこと。

何と言っても、この展覧会は「日光菩薩立像」「月光菩薩立像」、「聖観音菩薩立像」に尽きます。
総展示作品数は、東博の特別展としては47点と少ない。もちろん、多ければ良いというものではありませんが、正直物足りなさ感は否めません。金曜夜という短時間で十分鑑賞可能です。

今回初めてお堂の中から抜け出した両菩薩像。やはり大きいのだなとつくづく感じました。何しろ像高3メートル、実際薬師寺では台座と壇の高さがプラスされるので約4メートルになるのです。
今回は普段では決して見ることができない高さ(菩薩像と同じ目線)と距離(足元近く)と角度(背後、斜め360度)からじっくり拝見しました。
この両菩薩像、一見同じように見えますが微妙に違っています。個人的には月光菩薩立象が好きです。腰のひねりが日光よりやや強く、そのせいか背筋がなまめかしい程美しい。背中のくぼみまで見事に表現されていました。像肌はつやつや。
展示室を出る際に、本来の光背を付けた写真がありましたが、やはり光背があった方がしっくりします。

もう1体国宝「聖観音菩薩立像」も忘れてはなりません。こちらは、月光・日光菩薩立像と比べると小さい(188センチ)のですが、凛として美しい。

他には、薬師寺東院から出土した「三彩多嘴壺」が印象的。深々とした緑と文様がお見事でした。

最後の部屋には国宝「吉祥天像」1点が展示されていましたが、あの大きな部屋に小さな小さな吉祥天像ひとつというのは・・・。

さて今回は東博の過剰なまでの演出が気になりました。演出の割におは中身が薄かったような・・・。
さすがに本物の薬師寺を持ち運ぶことはできないので、いかに鑑賞者に疑似体験させられるか様々な工夫が施されていました。天井近くから大型スクリーンで薬師寺風景の映像を流してみたり、東塔の巨大模型があったり。関係者の方々のご苦労がしのばれます。

京博は「暁斎展」「狩野永徳展」など質量共に充実しな内容を誇り、奈良博は地味でもきらりと光る奈良博らしい企画展が続いていますが、東博の企画展は最近満足感が薄いです。


この後、平常展へ行く途中で見た特集陳列「海外の日本美術品の修復」、こちらの展示の方が薬師寺展より面白かったのは私だけ?
・「日吉山王祭礼図」 ヒューストン美術館蔵
・「釈迦十六善神像」 オーストラリア国立美術館像
等の絵画に加え、驚いたのは
・「楼閣山水螺鈿箪笥」 キョッソーネ東洋美術館蔵
・「花卉螺鈿ライティングビューロー」 蔵国府国立博物館蔵
の工芸作品。

この2点の工芸作品の比類ない美しさは必見です。特にライティングビューローの華麗さにはただただ言葉を失って、見惚れました。左右上下、正面背面すべて異なった図柄の細工が入っています。

また、修復の過程もパネルで分かりやすく解説されていて、興味深いものがありました。

平常展。
お目当ては、渡辺崋山の国宝「鷹見泉石像」でしたが、。ここになかなかたどりつかない。
誘惑が多すぎます。一番危険なのは、近代美術展示室。
今回も目玉作品多数。中でも玉堂の[渓山四時」、平櫛田中の木彫「木によりて」が印象的。

国宝室の「竹生島経」も、経典が芸術品たる所以を見せつけられたような。「平家納経」とはまた違う渋い美しさがありました。

結局、崋山の「鷹見泉石像」を見たのは閉館間際。歌麿の浮世絵も滑り込みセーフで見て、大満足。企画展での物足りなさを払拭して余りある、お釣りが出そうな内容でした。
さすが、東博。

もうひとつの特集陳列「博物図譜」は時間切れで見られず。再訪するかどうか迷います。

*薬師寺展は6月8日まで開催、海外の日本美術品の修復は5月25日(日)までです。

Federico Herrero 「Colorigami」 ギャラリー小柳

手元に届いたDMの作品を見て、オープニング(5/8)に行って来ました。
KOYANAGI


Federico Herrero(フェデリコ・エレーロ)はコスタリカ生まれ。2001年のヴェネチア・ビエンナーレで特別新人賞を受賞し、2005年には地元愛知県で開催された「愛・地球博」にも作品が出品されました。・・・というような経歴は、ギャラリストさんに伺って知ったこと。
私は、彼の色彩に惹かれたのです。

本展のタイトル「COLORIGAMI」は、「COLOR」と「ORIGAMI」2つの単語による造語。彼の作品は、確かに折り紙を張り合わせたように見えるかもしれません。
現在、仕事場にある私のデスクには、送られてきたエレーロのDM作品(上画像)が飾られています。
同僚の一人が、この作品に目をとめ「何だか、折り紙みたいですね~」とコメント。まさに、思うつぼ君になったわけです。

一見無軌道な色の使い方に見えるかもしれませんが、その実、彼の頭の中でしっかりと練られているように思います。さらに、色使いだけでなく、絵には小さなプヨプヨした生物がいくつか描かれています。このキャラは、頻繁に登場し、そのたびごとに微妙に形も変化しています。たとえて言うなら、前述の「愛・地球博」のイベントキャラクター「もりぞー・キッコロ」に似ている。

この生き物、彼の精神を具現化にしたものだそうですが、何を表現しているかはさておき、作品のポイントになっていることは間違いありません。

ポップなカラーが、見ているものを元気づけてくれるのが魅力。
「見るビタミン剤」といったキャッチコピーがぴったり。

最新作による10点が鑑賞できます。
なお、4/26に新たにオープンした十和田現代美術館のパーマネントコレクションにも選ばれているので、う~ん十和田にも行かねば・・・と新たな好奇心を駆り立てられるのでした。

6月21日まで ギャラリー小柳にて開催中。

「今、蘇るローマ開催・日本美術展」 日本橋三越本店 新館7階ギャラリー

今日は6時に退社できたので、日本橋まで行って来ました。
昨夜のNHK教育「日曜美術館」のアートシーンでも取り上げられていたし。。。

大倉集古館所蔵の日本画コレクション中心の展覧でしたが、1930年のイタリア政府主催の日本美術展を回顧するという趣旨のもと、遠山記念館、西宮市大谷記念館など各地の美術館所蔵作品もわずかですが出展されています。

前半は、横山大観の水墨画「瀟湘八景」シリーズはじめ、大作「夜桜」などがズラリ。ただ、これらの作品より、私には後半にひっそりと展示されていた「野菊」や「茶花」の方が好ましかったです。
このあたり、各々好みの分かれるところでしょう。大観の繊細な作品の方が今日はしっくり来ました。

名だたる日本画家勢ぞろいといった展示内容でしたが、特に気に入った作品は以下。

・山口蓬春 「木瓜」
どうやら、今日はあっさりした作風の(金ぴかではない)植物を描いた作品を求めていたようです。

・小林古径 「みみずく図」
闇に浮かぶ鮮烈な梅の花。その花色と対比するように、みみずくの目の色は橙に彩られています。

・川合玉堂 「奔潭」
もう1点玉堂は出ていましたが、ダイナミックに滝を描写したこの作品は良かったです。

・鏑木清方 「七夕」
透き通るような女性の髪の質感が恐ろしいほどでした。さすがです。

・山元春拳 「雪景遊鹿図」
目の前いっぱいに雪景色が広がります。左下に小さく小さく描かれた鹿の群れ。雪山の大きさと対照的です。

・酒井三良 「豊穣」
日本画のミレー?と思うような大胆な構図とポーズをした女性像。なぜか、忘れられません。
忘れられないといえば、安田靭彦の「風神・雷神」も変わっていました。こんな風神・雷神は初めて見ました。


デパート系の展覧会は作品リストがない場合がほとんどなのに、こちらではきちんと準備されていました。大倉集古館以外の所蔵作品は絵入りです。
チケットも通常サイズの2倍だったのにも驚きました。

*5月25日まで開催中です。

5月18日 鑑賞記録

昨日アップした平塚市美術館の他に2つの展覧会をはしご。

1.「中西夏之新作展 絵画の鎖・光の森」 渋谷区立松濤美術館

中西夏之と言えば、今や現代アートの大御所です。
4年近く画家が取り組んできた未発表作品を展覧するもの。白・紫・黄の3色だけで構成された世界は、タイトル通り絵画の鎖となって、一点一点がつながっているように感じます。

2階のサロンでケーキセットを味わいつつ、大画面を鑑賞するのは気持ちが良いです。松濤美術館は規模はそれほど大きくないのに、訪れるたびに我が家へ帰って来たような気持がします。
今では、都内でもっともくつろげる美術館のひとつです。
2階展示室の天井は、それほど高くないのに、大きな作品をおいても圧迫感を感じません。浮世絵、中国の書、現代アート、何を置いてもマッチします。白井晟一マジック?1980年と26年経過しても一向に古さを感じさせない。

*5月25日まで開催中。
oki様チケット、ありがとうございました。


2.「旅の仲間 澁澤龍彦と堀内誠一による航空書簡より」 ギャラリーTOM

中西夏之新作展より、私にはこちらの方が面白かった。
タイトル通り二人の往復書簡による展示。澁澤は瀟洒でシンプルな文章が読みやすく、堀内はヨーロッパ各地のスケッチが入った絵手紙が素晴らしい。

堀内誠一の作品はきっとどこかで目にしているだろうに、名前を聞いてもピンと来なかった。雑誌「アンアン」などを手がけたイラストレーターであり、絵本作家であり、グラフィックデザイナーでもある。
鮮やかな色彩で描かれたスケッチの数々。添えられた直筆の文字は小さくて細かくて読みづらい。
とにかく、紙面びっしりに書かれている。

対して澁澤は、どちらかと言えば言葉少ない。けれども、その文章は読みやすくすいすいと頭に入ってくる。さすが、エッセイストであり、文学者、作家だ。読ませる術を知っている。

ギャラリーTOMは、初訪問。内藤廣設計のギャラリーは、こじんまりとして、こちらも落ち着く。2階にはスツールが置かれているので、ゆっくり手紙を読むことができた。

*7月6日まで開催中。

これから松濤の美術館散歩が楽しみ。でも、帰りの渋谷駅周辺の喧騒は大の苦手。渋谷駅周辺を回避する手立てはないものだろうか。

「村田朋泰展 夢がしゃがんでいる」 平塚市美術館

平塚市美術館で開催中の「村田朋泰展」に行って来ました。
2006年2月の目黒区美術館「俺の路・東京モンタージュ」でご、その不思議な映像マジックが記憶に残りました。 約2年ぶりとなる個展、チラシを見るだけでわくわくしてきます。
hiratuka


平塚市美術館は、JR平塚駅から1時間8~10本程度バス(運賃170円)が出ています。バス停から、美術館まで徒歩1分。思っていたより、ずっと立派で大きな建物でした。
9時半を少しまわった時間に入館。

今回の展覧会は、美術館展示室を夢の観光地「三ノ函半島」と名づけ、展示室を1周すると、1泊旅行を疑似体験できます。

まずは、お目当ての「三ノ函映画館 世界座」へ。
プログラムA:7本立て、プログラムB:10本立てでそれぞれ約1時間、交互に上映されています。
9時半を狙って行ったのも、この映画ねらい。
村田作品の真骨頂映像作品から拝見です。

マイベストは「tomorrow」。
赤ずきんの女の子を主人公とした立体アニメーションです。キャラの女の子がかわいいのなんの。
お絵描きによって、生まれるイラストも奈良美智さんか?!と思わせる愛らしさ。

次点は最新作「さかだちくん ひたすらオリンピック!!」。
映画館には子供たちも大勢来ていて、この作品が一番単純に面白くて、分かりやすかったです。
主人公の「さかだちくん」は美術館入口に大きい人形が展示されてました。
「さかだちくん」シリーズはこれ以外に3本上映されてます。

文化庁メディア芸術祭優秀賞を受賞した「睡蓮の人」は、ちょっと難解でした。主人公のおじさんは、松本清張氏がモデルでしょうか?似てたような。

「路」シリーズも、立体アニメシリーズですが、シリーズ全て、哀愁と過去へのオマージュが漂う作品。どこか切ないのでした。

2時間通しで、全作品を見たので、早めのランチで休憩を。
平塚市美術館のレストラン「パレット」はオススメです。埼玉県近美のレストラン同様、有機野菜にこだわっていて、お料理はとても美味しかったです。ちょっとお高いのですが、あの雰囲気・あのお味・あの素材なら納得です。

再び展示室に戻り、旅館におなじみのゲームコーナーへ。
ここで、私は再びガチャガチャに遭遇。
目黒の時も置いてあって、5等(ハズレなしで一番下)で絵葉書をもらいましたが、今回もリベンジ。
特に賞品として陳列されていた2等のピンバッチ(非売品オリジナル)が、すごく欲しくて、2回も狙ってみましたが、やはりだめ。2回とも5等で、村田さん特製クリアファイル2つで退散となりました。

次に、2階の展示室へ。ここからがすごい!
本当なら、2階から見るのが正しい順序だと思われます。
電車に乗って、旅に出かけるところから始まります。
暗い展示室は、さながら文化祭のよう。ここから先は、ぜひご自身の目で確かめてください。
村田ワールド炸裂です。
1階の2時間映画館だけでも、かなりの満足度なのですが、2階の映像作品もすべて合わせると、彼は一体何本の映像をここで披露しているのか???

もちろん、映像だけではありません。空間全てを作りこむ、映像+空間芸術は見事としか言いようがないでしょう。アニメーション芸術では、束芋が著名ですが、村田朋㤗はバリエーションの多様性、空間芸術への展開など、その存在を凌駕していると言っても過言ではありません。

最後に約42作を鑑賞できるジュークボックスは圧巻。
私はこの部屋に1時間弱いたと思います。次から次にボタンを押すと、面白いように様々な映像作品が流れます。長い作品もあれば、短い作品もあり。

村田作品では、登場人物が語ることはありません。その表情から、観客は様々に想像を膨らせます。
また、忘れてはならないのがバックに流れる音楽。
映像美だけでなく、音楽も一緒に鑑賞することで、臨場感が増幅されるのです。


目黒区美術館での展示と比較すると3倍いやもっと広大なスペースを使用しての本展覧会は必見、平塚まで出向く価値あり。
小学生くらいのお子様でしたら、大人同様楽しめます。

この内容で大人700円(インターネットから割引券を印刷もしくは携帯へコードを読み込ませれば100円引き!)はお値打ちです。入館券はあたりくじ付きになってます。

5月25日(日)まで開催中。巡回はないようですから、お見逃しなく!

5月17日 鑑賞記録

本日は、音楽も取り混ぜた鑑賞となりました。

・アーレントオルガン ランチタイムコンサート 日本大学カザルスホール
出演:高橋博子(オルガン) 長尾 譲(テノール)

オルガンコンサートデビュー。
欧米では教会などで、ランチタイムコンサートが開催されているが、日本にもあったとは。
ポスターを見つけた時から行こうと決めていた。カザルスホールは、かのヴォーリズ設計の大正期の建物に、磯崎新が新たにホールを増築。ここお茶の水には、山の上ホテルをはじめ、ヴォーリズの建築が今も息づいている。
コンサート入場料は500円で、予約も前売りもなしの全席自由。
ふらっと入って、ふらっと出ていくことも可能で格式ばらない雰囲気が、初心者には気楽で良い。

パイプオルガンは、こんなにも様々な音色が出せるのか。やはり生演奏とCDの最大の違いはホール内の残響かもしれない。テノールの長尾さんのお声も耳になじむ。
ラストのJ.S.バッハ トッカータとフーガ ヘ長調 BWV540 は最高だった。
アンコールは「アベマリア」で約1時間半。

2か月に1回定期的に開催されているので、次回(7月19日)が楽しみ。


・上海美術館コレクション 1979-2007 日中友好会館美術館

ポスターに使用されている張暁剛の作品にひかれ、出かけた。今、オークション市場をにぎわしている中国現代アートの展覧会。
張の作品を意識したのは、2年前のNYアジアソサエティーの階段横に展示されているのを見た時。
どうにも忘れられない、描かれている人物のまっすぐな瞳が妙に怖くて、ちょい怖な作品だった。

今回は、油彩・水彩・版画、あわせて67点の展示。
趙憲幸「都市自由人」、蔡国華「ジャズシリーズ」など見どころのある作品がいくつかあった。
特に中国アートの水彩画は、美しい。伝統的な水墨画と西洋画を融合させた「霞む小島」や「海に通じる道」は、水彩画とは思えない出来栄え。
惜しむらくは、展示順が「油彩」、「水彩」+「木版」で制作年代順の作品リストと一致していなかったので、中国現代アートの流れが、よくつかめなかった。
制作年順に展示して欲しかった。入場無料!なので、注文は控えねば。

*6月8日(日)まで開催中。


・「美術のなかの遊びと装い展」 静嘉堂文庫美術館

やはり、ここは良い作品を所蔵している。
今回は重文「四条河原遊楽図屏風」修理完成記念の展覧会であったが、特に絵画部門は名品が目白押し。気づけば閉館のアナウンスが。もっと時間に余裕を持ってくるべきだった。
屏風に時間をとられて、最後に展示されていた「住吉物語絵巻」を十二分に味わえなかった。作品はしっかり見てきたけれど、長い解説が読み切れなかった。
この美術館のキャプションは一点一点が長いのだ。

渡辺崋山の重文「芸妓図」(校書図)も、見ることができたし、大満足。
以前、NHK「日曜美術館」で崋山の特集があり、ゲスト出演されていたドナルド・キーン著「渡辺崋山」を読んでいるところで、当然こちらの「芸妓図」も崋山の肖像画名品として紹介されていた。
ほんのり赤い目元と透けるような団扇をわずかに噛むしぐさがたまらなく、色っぽい。品のあるいろっぽさ。モデルは崋山の愛妾で、作品には崋山自身の言葉が寄せられている。

歌川国芳「雪見舟図」(肉筆画)、鈴木其一「雪月花三美人図」、作者不明の「歌舞伎図屏風」が格別印象の残った。
今日は前回の国宝「耀変天目茶碗」の賑わいが嘘のように静かだった。きっと、こちらが本来の状態なのだろう。

*5月25日(日)まで開催中。

「中山森彦と仙展」 九州大学中央図書館 

sengai

行程編でも書いた通り、地下鉄駅に貼ってあったイベントでこの展覧会の開催を知った。もう少し詳しい内容が知りたいと思って、福岡アジア美術館があるリバレインセンタービル地下2階には「文化芸術情報館アートリエ」に立ち寄った。

展覧会のチラシコピーを入手でき、展示数約30点とある。昨年の出光美術館で開催された「仙展」を見逃していたし、一度まとめて作品を見てみたいと思っていたので、早速九大に向かった。

この展覧会は、平成20年度九州大学開学記念行事として開催されている。
タイトルにある中山森彦氏は、明治40年九大医学部に就任、外科手術の権威として、大学付属病院長などを勤められ、大正6年に退官。その一方、美術にも造詣が深く、美術品収集家としても知られ、特に江戸時代後期の仙作品の収集t研究に情熱を傾けた九大ゆかりの人物。
今回は中山博士の死後、ご遺族より九大に寄贈された作品の中から複製を除いた約30点を紹介している。

さて、展示は博物館・美術館ではないため、普通の会議室のようなスペースに作品が飾られていた。
通常ならガラスケース越しにしか見ることのできない作品ほぼ全てをそのまま、かなり近い距離で鑑賞することができた。
出光美術館、福岡市博物館学芸員の方々による寄稿と全展示作品が掲載された小冊子が付で、入場無料は嬉しい!

仙については、絵よりも書の人という印象を受けた。
絵と書二つそろって仙の禅の世界が繰り広げられるのだろうが。。。
力の抜けた描きっぷりは、それなりに楽しめるものの、単に眺めるだけでは言わんとすることが、なかなか分からない。

最後にガラスショーケースに展示されていた中山森彦博士の蔵書の書き込みが、非常に印象的だった。
「去れ(太字)驕気、多欲、態色、淫志」 
*(カッコ内は書かれた言葉ではない、旧字体でなく新字体を使用)

この一文により、明治人の気骨がうかがわれる。

*本展覧会は本日(5/15で終了しています。、

福岡アジア美術館 アジアギャラリー

福岡アジア美術館は九博同様に福岡が古代からアジアの玄関であったという地理的歴史的背景を踏まえ、世界でも例のないアジア諸国の近現代美術のコレクションを所蔵し展示しています。
まさに、福岡にふさわしい内容です。

企画展も開催されますが、今回は既に静岡で鑑賞済みであったため、アジアギャラリーのみ楽しんできました。
現在、
・「祈りのかたち-アジアの美術と仏教」
・「めしあがれ!~アートと食べ物のおいしい関係」
が特集展示されています。
この特集展示以外にも、コレクションの中から名品を適宜展示しているようで、最初に見たのは名品コレクションの数々。

ここで、私は2つの作品にぐっと来ました。

1.「音楽のリズム」 (タイ) キエン・イェムスィリ
音楽

スコ-タイ彫刻を名門シラパコーン大学で学んだイェムスリの作品は、とても優美で流れるように美しい。どこか仏像を思わせる人物の表情。「音楽のリズム」は笛を吹いている状況だけを現わしているのではなく、作品全体からリズムが流れているように思った。

2.「山の野辺送り」 (中国) ワン・ホンジェン(王宏剣)  
モンゴルの遊牧民だろうか?てっきりモンゴルの作家によるものかと思いきや、中国の作家であった。西洋のオールドマスターに決してひけを取らない描写力には舌をまく。
この大作の前に、私は何分いただろうか。広大な中国の黄土が目の前に広がっていた。
登場人物はすべて正面を向いているが、これはホンジェンが記念写真や雑誌のグラビアに影響を受けた結果だと解説にあった。
確かに、記念写真のような1枚である。

この他、パキスタンの作家による絵画2点。メディアから伝わってくるパキスタンの現状を考えると、なかなか想像できないような明るい色彩の作品。

日本からは、太宰府で見た小沢剛の「醤油画資料館」と藤浩志の「お米のカエル墓石となる」がアートと食べ物の関係に出店されていました。


マレーシア、台湾、インドネシア、フィリピン、インドなどアジア諸国全ての作家の作品を見ることができます。他館では、めったに見ることのできないコレクションで、それぞれの国のお国柄を感じたり、全く意外だったりで面白い。

ここはミュージアムショップもアジア雑貨店のようで、見ているだけでも楽しめます。

そして忘れていけないのが「アジカフェ」。メイン展示室にあるオープン形式のカフェですが、夜になってもお客様の語らいの場であったり、読書を楽しんでいらっしゃったり、皆さんそれぞれゆっくりとされているようでした。こちらは、ご飯もののメニューも美味しそう!
カフェにYoga雑誌が置いてあるのが気になって、お店の方に尋ねたらヨガをされているとのこと。
思わずヨガ談義で盛り上がるという嬉しいおまけ付きです。

福岡アジア美術館のある博多リバレインは、地下鉄空港線-中州川端駅と地下で直結しています。
水曜が休館日でそれ以外は毎日夜8時まで開館していますので、ちょっと時間があいた時にもふらっと立ち寄れます。

名古屋にもこんな美術館があればなぁ・・・と思ったのでした。

九州国立博物館 文化交流展(平常展)

大絵巻展を見た後、担当学芸員氏による講演会に参加したのは、日程編に書いた通り。
その後、4階の平常展→九博では「文化交流展」と呼ぶに回りました。

なぜ、文化交流展と称するのか?講演会のお話にもあったように、各国立博物館にはそれぞれ役割が与えられています。奈良博は主として仏教美術を専門に、京博は京都における寺社仏閣に残された文化財を専門に扱う等々。ここ九博の使命は、日本の文化交流の歴史を扱うこと。かつて九州はアジアの他国への窓口となっていたのはご存知の通り。
その使命を果たすべく平常展を「文化交流展」と銘打ったのです。

さて、この文化交流展の見所は何か。
九博らしさは、しっかり現れていたように感じます。

・第二次蒙古襲来近辺海域から採掘された武器の破片。
それらをX線で透しすると、弾薬ひとつとっても破壊力を増すような工夫がこらされていたり、研究成果とともに、実物が展示されています。

・海の正倉院と呼ばれる「沖ノ島」の出土品

・キリシタン関連の踏み絵やクルス等

・大陸から伝わって来たと思われるアジア最大の銅鏡、及び金銅製品
特に、金銅製品の美しさには目を見張りました。

これらは展示物そのものですが、もう1つ見所は展示方法にあると言えます。
オープン型の展示と申しましょうか。中央にど~んと広い展示室があり、時間のない人はそこだけ回って主要展示物だけつまみぐいも可能です。
更に最新映像技術を駆使した映像による解説が充実。東博の凸版シアターが、ここには4つあると言えば分かりやすいかもしれません。

座席数35の「シアター4000」は事前予約制で、こちらが凸版シアターとほぼ同類項。違いは解説がプロ(阿川佐和子さんのナレーション)で、3Dではないが超高精細ハイビジョンを使用している点。
凸版シアターでは案内の説明がつかえることが何度かあり、若干聞きづらかったが、既に吹き込まれているナレーションはやはり安心して聞けます。

今回は、①海の正倉院・沖ノ島」②「じろじろ ぞろぞろ 南蛮屏風」(阿川さんのナレーションなし)と題した2本のソフトを上映していましたが、沖ノ島の映像は大変美しく先日の東博のシアターより、私にとっては興味深かったです。寝なかったし。。。

このシアター4000以外にも各コーナーで映像解説が行われています。かつて博多湾はどんなであったかは立ち見ですが、3D映像で大迫力。
古墳の研究成果、通常中には入れない石室の壁画を紹介しており、こちらも最後まで飽きさせません。
九博の映像コーナーはお薦めです。

新しい博物館で他の国立博物館より所蔵品は少ないでしょうが、何とかオリジナリティーを出そうと頑張っているという意気込みは見ている側に伝わってきます。

面白かったのは土偶の展示方法。透明のアクリル?ケースにディスプレイされた土偶は、まるでインテリアか売り物のよう。思い切りアートしてました。
逆に商品ディスプレイのような展示方法を使用することで、高い所に椀などが展示されていたので、よく見えないというデメリットもあり、何でもかんでもというのは問題かなと思います。

最後に江戸絵画のコーナーで、感涙ものの一品に出会いました。
渡辺崋山 「加羅哲欺像」(ヒポクラテス像) 1840年 自刃する前年作の肖像画です。
hipo

見た瞬間、心臓が鷲づかみされたかと思うくらいドキッとします。
明らかに他の絵画軍とは異彩を放っており、その精彩さは、興福寺の無著像と同様、まるで生きているかのような表現力です。

目下最大の追っかけ対象である崋山晩年の作品に出会えて、これが見られただけでも来て良かったと思います。
そういえば、東博の国宝「鷹見泉石像」も早く見に行かねば・・・。


お願いは、文化交流展展示作品リストを作っていただきたいということ。他の博物館では平常展示作品を博物館ニュースで案内しているが、九博のニュースは展示作品名がほとんど掲載されていません。HPには展示ピックアップと題されたページもありますが、これまた全展示作品が網羅されておらず、分かりにくい状況です。

九州博物館学芸員の皆様へ
良いなと思う作品全てをメモするのは大変なので、ぜひよろしくお願いいたします。

福岡 美術館への旅 2日目

今、私は福岡空港の有料ラウンジにいる。カード会員特典で有料が無料なのだ。
ネットも無料で、フリードリンク。快適です。17:30発の羽田行きが10分遅延しているので、それまでの時間つぶし。

さて、本日の行程は意外な展開となりました。以下。

5月11日(日)

AM8:00 ホテルをチェックアウトし西鉄福岡へ向かう。
駅ビル内で軽く朝食をとる。ここでは、「大宰府散策きっぷ」を購入。このきっぷ大宰府までの往復割引切符+大宰府のお茶屋さんで抹茶セット付1000円。通常の往復料金は780円。抹茶セットは580円だったので、それだけでお得。さらに、今日行く予定の天満宮宝物館や観世音寺の割引券もセットされている。本当は昨日もこのきっぷを買えば良かったのだが、存在を知ったのが電車に乗車後であったため、今日早速買ってみた。

AM8:30 天神より大宰府へ。

AM9:00 五条駅で降りて、徒歩で観世音寺へ。

あ~飛行機の時間が来てしまいました。この続きはまた今度。

昨日の続きです。今日は5月12日、昨晩はさすがに帰宅後記事をアップする間もなく、寝ました。

AM9:10 大型の観光バスが止まって、観光客がぞろぞろ降りるのを見て、先に宝蔵院へ。
中には約20体の仏像(全て重要文化財)があり、大満足。これまた別途記事にします。

AM9:40 隣の戒壇院へ。
この戒壇院はひっそりと静か。でも、古の歴史を感じさせる何かがある魅惑的なスポット。

AM10:00 周遊バス(100円)で太宰府駅に戻り、天満宮宝物館へ。
小沢剛の「ホワイトアウト-太宰府-」を開催中。チラシは立派であったが、写真に使用されていたのは前述の観世音寺宝蔵院で3月26日たった1日だけ行われたインスタレーション。同じ手法で天満宮宝物館での展示となったが、残念ながら観世音寺の仏像とは訳が違う。
他の観光客の方が「寒そうだな」とポツリ。「確かに」と思った。

AM10:20 かさの家でお抹茶セット(抹茶+名物梅ケ枝餅)をいただく。
お餅は焼き立てで美味しい☆

AM10:50 太宰府から天神へ。

ここからの時間は省略。

天神駅のコンビニで地下鉄1日乗車券を購入。毎月第2土曜・日曜は普段600円の1日乗車券が500円のエコ切符となって販売されるのだそう。500円地下鉄乗り放題、しかも福岡空港までの地下鉄空港線も含まれるので、大変お得です。

天神駅より地下鉄で大堀公園へ向かう。
目的は福岡市美術館へ。この美術館は本当にすごい!Art & Bell By Tora のとら様の2月記事を参考に行く順番を考えたのだが、評価通り。
恐れ入りましたと頭を下げるしかないコレクションの数々。常設でこれだけ現代アートから古美術、陶芸しかも、全て一級品ばかりなのだから恐るべし。

福岡市美のカフェでランチ。おいしかったしお値打ちでした。

徒歩で大堀公園駅まで向い、中州川端で下車。アジア美術館があるビルの地下1階にギャラリー+アート情報スペースがあるため、立ち寄った。地下鉄駅に貼られていたイベント情報の中に、九州大学中央図書館で「中山森彦と仙展」が開催されているのを知り、情報入手。
この日は展覧会にちなんでの講演も午後2時から開催されていたが、間に合わない。

すぐに地下鉄箱崎線で九州大学へ向かう。
広大な九大キャンパスの中で迷ったため、中央図書館到着までかなりロス。
中央図書館なのに、外見はそれと分からない程目立たない。半地下構造のせいか。
この「仙展」は大当たり。約30点の作品が入場無料で、全作品が掲載された図録(A4)冊子まで無料で配布。

帰りは迷わず10分弱で駅に到着。
もう、時間がないので中州から福岡県美まではタクシー利用(550円)。
福岡はタクシーも安い。

福岡県美の常設は、小粒。福岡市美と比較するのは気の毒だが、コレクションは福岡ゆかりの作家による近代日本画と洋画がメイン。
企画展で「グランマモーゼスとアンドレ・ポーシャン」をやっていたので、ついでに鑑賞。

再びタクシーでホテルに戻り荷物をピックアップして、天神駅から空港まで地下鉄でまっしぐら。

帝国15分遅れで福岡から羽田へ。
あっという間に東京だった。

帰りのモノレールから見た東京の夜景は、近未来の世界のようで今更ながら都会だなぁと感慨にふけってしまった。

「国宝 大絵巻展」 九州国立博物館

漸く、九州国立博物館へ行くことができました。開館後なかなか食指を動かされる展覧会がなかったのですが、今回の「国宝 大絵巻展」は気になって気になって。できることなら、前期展示期間中に行きたかったのですが、東京への異動が決まり、GW明けの出陣となったのでした。

さて、大宰府駅から太宰府天満宮を抜けると、なが~いエスカレーターで上へ上へ。どこかで経験したような。。。江戸東京博物館そっくり。こちらも福岡ご出身の菊竹清訓氏設計です。虹色に輝く連絡トンネルは、どこか宗教色を感じないではありませんが、抜けると目の前に九州国立博物館の山並み型の屋根が見えて来ます。

早速3階の企画展示室へ。

本日の担当学芸員:畑靖紀氏による講演「絵巻の魅力-物語の楽しみ方」から、本展の見所と企画者の意図をご紹介します。

<本展の見所>
1.絵巻のみ展示される展覧会。
2.京博の名宝を厳選し、国宝・重文多数。
全26作品のうち、国宝9点、重文14点。
3.1作品あたりの展示場面を長くし、前後期で約150場面を展示。

<開催側の意図したもの>
1.絵巻特有の「巻物」の意義を伝える。掛け軸でも屏風でもない特徴がある。
2.絵巻は触って、動かして、手元で見るもの。


講演は企画展を見た後に聴講したのですが、一番最初の展示を見た時感じたのは「いつもと違って、絵巻が近い!」ということ。
私は昨年奈良博で開催された「院政期の絵画展」で絵巻に目覚めたのですが、それ以後京博、奈良博、東博等々、絵巻は何度も見ています。しかし、今回ほど絵巻を近くで見られたことはありません。
愛用の双眼鏡を持参していたのですが、双眼鏡より顔を近づけた方がよく見えるのです!!!

その最大の理由は、絵巻の展示位置にありました。
これは私見なので、本当かどうかは分かりませんが、他の博物館での展示より絵巻が観客側より、つまり展示ケース手前に引き寄せられていたように思います。ちょうど、手元あたりに絵巻が来るように置かれています。

見事に学芸員さんの意図は伝わって来ました。各章の合間合間に絵巻コラムのような解説があって、とても分かりやすかったです。出光美術館の解説方法に似ているかもしれません。

では、順を追って印象に残った作品とともに振り返ってみます。

第一章 あつめる-王朝の絵巻-

・絵因果経 
奈良時代の作品とは思えないほど保存状態が良い。絵巻は巻いた状態で保存されるため、空気に触れることがなく傷みにくいこと、修復が上手く施されている結果だと思う。
どこか絵本を見ているような素朴な絵。ここは入口最初の展示であるため、どうしても混雑する。
閉館15分前にもう一度戻ったら、誰もいなくて1人で独占してしまった(フッフ)。

・粉河寺縁起 
奈良博で見て、私を絵巻世界にいざなった作品。再会。

・餓鬼草紙
餓鬼を含め登場人物すべての表情がとても豊かなので、見ていて楽しい。国宝指定される作品はみな表情が上手く描けている作品が多い。途中、後半に出展されている「百鬼夜行図」との共通性についてプチ解説があったのも好感。なかなか自分では気付かないから、いろいろな視点を教えて下さるのは鑑賞者にとってありがたい。

・芦手絵和漢朗詠抄
料紙の美しさと書と絵のハーモニーを堪能。


第二章 つたえる-高僧の生涯-

・華厳宗祖師絵伝 義湘絵
こちらも再会作品。何度見ても素晴らしい。

・一遍聖絵(第12巻)
本展唯一の絹本着色。

・法然上人絵伝(第2巻)
絵ばかりで詞書が少なく、サイズが他の作品より一まわり大きいので、必須人物も大きい。

・本願寺聖人親鸞伝絵(第4巻)
他の作品は見たことあるかも・・・と思ったが、これは間違いなく初見。

・羅什三蔵絵 
細かい描写、特に絵巻冒頭の龍の描写は見事。

第三章

・矢田地蔵縁起 (上巻)
色が美しい。上巻最後の釜茹で場面は度迫力。お地蔵様の青々とした頭が忘れられない。雲の描写も他の作品とはどこか違う。続きが見たい~~~。
餓鬼草紙と並び、今回ベスト3のひとつ。

・真如堂縁起 (下巻)

・泣不動縁起
病気が他の人に移って行く場面がある面白いストーリー。実際に人の間を移っていく「病気」の頭には髑髏が描かれていた。この頃(室町時代)から、髑髏はあったのだ。ベスト3入り。

・壬生地蔵縁起
この作品が重文指定されていないのは納得できる。絵がいまひとつで、人物の表情が上手く描かれていない。

第四章 たのしむ-御伽草子の世界

前期展示の重文「福富草紙」「是害房絵」を見たかった。。。いつかいつか。

・日高川草紙
こちらも奈良で見ているので略。

・百鬼夜行図 後半部分(京都・真珠庵)
これがあの百鬼夜行図。妖怪のオンパレード。もう少しじっくり見るつもりが、最後にあったので集中力が続かず切り上げる。

・仏鬼軍絵巻 後半部分
仏様と鬼との戦いが描かれる。初見。

展示会場には、各展示室でDVDを使用した解説が流れていました。
さらに、最後に絵巻を体感するコーナーがあります。さすがに本物を手にすることはできないので、絵巻のコピーをハンドルで回しながら順々に見ていくという工夫です。

もう1つ九博特有の工夫が。
百鬼夜行図のコピーを使って、当時の様々な風俗、衣装等をイラストとともに紹介しています。

詞書を読むことができたら、もっと楽しめるのにと徐々に欲が出てきます。内容についての概略は解説展示がありましたが、展示は巻物のうち1部となっているものがほとんど。
元々複数巻にわたる絵巻全てを展示するのは難しいので、図録や作品集で全体を追うしかないのが辛いところです。本物を全巻見るのは不可能なんだろうなと思います。

絵巻はアニメーションの原点だと、今回も感じました。日本のアニメ隆盛のルーツは既にここから始まっていたのではないのでしょうか。

前期展示作品を含め全展示作品を掲載した図録は1800円。
やっぱり買ってしまいました。じっくり解説やコラムを読みたいし、絵巻は繰り返し見ることが多いので(自分への言い訳)。

*6月1日(日)まで開催中です。

福岡の美術館・博物館への旅 1日目

GWでさんざん遊びまわったあげく、今私は福岡市の天神にあるホテルにいる。
ついに、九州上陸(祝)。
これまでたった1度だけ鹿児島に仕事で1泊2日しただけで、福岡県に来たのは初めて。今回はマイレージを使っての往復であったので、日程が自由にならず月内の土日だと、ちょうど良い時間帯の飛行機は10日、11日しか取れなかったのだ。

1日目(5/10)の旅程

AM 7:30 羽田発 ANA にて 福岡空港へ

AM 9:05 福岡着
福岡空港から市内へのアクセスは抜群に良い。空港から中心部の天神駅まで地下鉄でわずか10分というのは、これだけの大都市なのに驚異的。
しかし、今日は寒かった。福岡は13度前後しか気温が上がらず、吐く息が白い。

AM 10:00 ホテルに到着し、荷物を預ける。コンシェルジェで大宰府にある九博や市内の美術館・博物館情報を入手し、西鉄天神駅へ徒歩で向かう。街を少し歩くだけで、名古屋とは比較にならないほど都会だと感じる。どこか外国にいるような雰囲気を感じるのはなぜだろう。

AM 10:30 西鉄特急で天神から大宰府へ。
特急は毎時ちょうどと30分発と分かりやすい。二日市駅で大宰府線に乗り換えるが、乗り継ぎも特急との接続が考慮されていて、スムーズ。

AM 11:00頃 大宰府駅着 
ここから九博まで、二つの行き方があるが、往路は大宰府天満宮を抜ける道を選択した。参道に沢山のお店が軒を並べている。琴平とはまた違った趣。天満宮へは徒歩5分で到着。宝物館で開催中の小沢剛の展覧会に心ひかれつつも、まずは九博へ。

AM 11:10 九州博物館着
既におなかが空いていたので、レストランへ。九博のレストランは館内にはなく、一旦外に出なければならない。運営はホテルニューオータニであるため、メニューがやたらと高い。仕方なく「オータニ特製ビーフカレーライス」を注文したが、飲み物なしで1260円って。。。(涙)

おなかをほっとさせて、いざ。今回の福岡行きは「国宝 大絵巻展」と太宰府天満宮宝物館の小沢剛「ホワイトアウト」がお目当て。GW後だからか、寒すぎるせいか土曜日だというのに観客は思ったより少ない。「大絵巻物展」については、別途記事にしますが、京博所蔵の名品絵巻ばかり揃えて、展示数は少なくても見応えはある。
運良く、今日は絵巻展企画展担当の九博学芸員さんの講演(1時間半)もあり、そちらもせっかくなので聴講することにした。
そんなこんなで、常設+講演+企画展であっという間に閉館の5時になってしまった。小沢剛にはもう間に合わない。

仕方ないので、再度明日大宰府に来ることに決めた。小沢剛だけでなく、観世音寺の仏像にもお会いしたいし。

18:00 天神駅着
ホテルに戻るつもりが、帰路福岡アジア美術館が毎日夜8時まで開館していると知って、そちらに向かう。バス(100円)で10分弱。博多座前のバス停で降りれば、すぐ横が福岡アジア美術館。
この美術館では3年に1回福岡トリエンナーレが開催される。多分次回は来年開催のはず。
特別展はお正月明けに静岡県美で見た「ガンダーラ美術とバーミヤン遺跡」だったので、常設のみ拝観。期待通りの良い美術館。
特に館内のカフェ「アジカフェ」さんのお姉さんには大変お世話になりました。閉店時間を過ぎているのに、私に「タンドリーサンドイッチ+チャイ」を振舞っていただいたのには感激。昼のカレーより美味しかった!

これまた気付けば閉館時間になっている。

20:00 バスにて天神→ ホテル着

たった1日しかいないのに、福岡って良い街だな~と思う。活気があって、夜になっても人は多い。

明日は朝一番で大宰府に行き、その後福岡市美、県美、時間があれば福岡市博物館に国宝「金印」を観に行く予定。
帰りは5時半の飛行機だから、どれだけ行けるかな。

「国宝 大絵巻物展」の記事へ続く。

「杉本健吉展」 愛知県美術館

名古屋にある行きつけの喫茶店「KAKO」のマスターが「杉本健吉展、良かったでしょ?行った?」と帰名した際、話題となって、やはり行ってみることにしました。
「杉本健吉」画伯の名前だけは聞いたことがありましたが、日本画家なのか洋画家なのかさえも知らず、当然作風も浮かびません。

展覧会入口にあったのは大きな「幡」(ばん:仏教や神道で用いられる旗)。
杉本健吉が晩年に取り組み、中でも2005年の愛知万博にも出展された作品です。
私は地元にも関わらず、万博には一度も出かけずじまいでしたので、今回初めてお目にかかった訳ですが、それは見事な美しさで絵画としても工芸作品としても見ごたえがあります。

杉本健吉は、1905年名古屋に生まれ、その制作活動は図案家としてスタートしました。その後20歳で岸田劉生に指導を受け、本格的に絵画の道を進み始めます。
「図案家」「岸田劉生」、この2つは同じ日に行った碧南の「藤井達吉」と共通しており、愛知県で同時期に共通点を持つ画家の展覧会が重なるのも不思議な符丁だなと思いました。

その後杉本は、油彩画の技法に墨絵を融合させる作風を見出し、着実に杉本作品の個性を発揮し始めます。パステルと油彩、水墨画、水彩、挿絵、様々な手法を使うため、日本画、洋画といった枠を超えた活動を行います。この点も藤井達吉と重なる点です。

展覧会は以下の5部構成。
第1章 画家をめざして -図案家としての出発-
第2章 古都を描く -奈良での出会い-
第3章 新・平家物語
     ・吉川英治との二人三脚 ・編集者の配慮 ・人物の描き分け
第4章 世界を描く -世界を旅して 韓国での出会いー
第5章 生涯現役 -左吉の誕生 幡の自由さ-

印象に残った作品は
・「冬瓜とわさび」 1927年~30年頃
・「邪鬼」 1955年
・「大和風景」 1960年頃
などなど。

彼の政策意欲や社会への関心は、90半ばを過ぎても全く衰えを見せません。その好奇心こそが、長寿の秘訣ではないかと思わせるほど、晩年も制作意欲は失われず、次々に新しい作品を生みだしていくのです。

また、杉本健吉は吉川英治の連載小説の挿絵を担当し、その挿絵を見た時ようやく「昔、間違いなくこの挿絵を見た」という記憶がよみがえってきました。と同時にとても懐かしい気持ちになったのです。

こんなに素晴らしい作品を次々と世に出しているのに、叙勲を受けることなく99歳でその生涯を終えています。
最後の展示室に「勲章」というタイトルの作品がありました。袖なしの上着に自然界からの贈り物、たとえば貝殻を勲章として胸につけている。
本物の勲章が欲しかった、世間にもっと認めてもらいたかったという思いがあったのでしょうか。

藤井達吉同様に、もっと評価されて良い画家だと思います。

*6月1日まで開催中。

興福寺 北円堂の仏像様

奈良博へ向かう途中、興福寺の前を通り過ぎると「北円堂」の特別公開の案内が。
おぉ、何とGWが特別拝観時期だったとは露知らず。秋にあれだけ見に行きたいと思っていたのに、都合がつかず諦めたのに、タイミングってあるものです。

北円堂には、鎌倉時代の仏像彫刻として名高い無著・世親立像が安置されています。以前、NHKで作家の柴門ふみさん(仏像好きで名高い)の「私が選ぶ仏像この1点」で無著像について、語っておられ、一度実際にお目にかかってみたいと思っていました。

北円堂には全部で9体(5/9修正)の仏像がいらっしゃいます。
中央に「弥勒如来座像」、その脇侍ニ菩薩として「法苑林・大妙相菩薩半跏像」、東西南北に「四天王立像」そして、弥勒如来座像の左右後方に「無著像」「世親像」、すべて国宝指定です。

「無著像」。。。
これまで博物館、その他で数多く仏像を見て来ましたが、素晴らしい写実性です。生きているのかと思われるようなその姿には、ただただ脱帽。
運慶総指揮のもと、その一派によって作られ、運慶晩年の名作として名高い理由がよく分かりました。
何と言っても、その瞳に吸い込まれてしまう。
思い出すたびに余韻にひたる仏像様と言えるでしょう。

また、サイズは小さいのですが四天王立像の躍動感にも驚きました。実際最初は、持国天から目が離せなかったほど。

なぜか一番印象が薄かったのは「弥勒如来座像」ですが、あの狭いお堂の中に、ぎっしり7体、しかもとびきりの名作が安置されているというのは、さすが興福寺としか言いようがありません。

これまで見た仏像様の中でも、無著像はベスト5、いやベスト3に入ります。
私は山田寺の仏頭も大好きなので、興福寺様様です。

さて、念願の北円堂にも行ったし、次はいよいよ東大寺へ大仏以外の仏像様にお会いしてみようと思います。

GWに見た展覧会 いろいろ

愛知県美術館の「杉本健吉」展はとても良かったので、後日詳細アップしますが、この休み中に見て書いていない展覧会を一気にまとめてしまいます。

・「中右コレクション 四大浮世絵師展」 大丸ミュージアム
名古屋へ戻る新幹線を夜8時過ぎにして、ぎりぎりまで粘った。ここでは、ミネアポリスとボストンコレクションで見た歌舞伎堂艶鏡と歌川国政の貴重な作品を見られたのが一番の収穫。写楽も半分以上は雲母がよく残っていて、状態が良かった。
入口冒頭にあった北斎の青富士も忘れられない。
ただ、個人的には三鷹のコレクションの方が断然面白かった。

・「与謝蕪村 -駆けめぐる創意」展 Miho museum
暁斎の前に石山駅より片道50分かけて、行ったのだが、展示作品が予想以上に少なかった。
なにしろ、6期に分けての展示。私の前にいらっしゃったお客様の「あら、これで終わり?」の一言がすべてを語っている。
ただし、目玉の本邦初公開「銀地山水図屏風」は全期通して展示されている。この六曲一双の銀地屏風は、本当に素晴らしかった。金でなく銀地であるがゆえに、蕪村の良さを引き立てていたように思う。渋好み受けします。

図録はスーパーヘビー級の立派さだったが、今回は見送る。

・「禅・茶・花 第二部 国宝・重要文化財」展 正木美術館
この日は2度目の関西方面遠征。3つ見た中では、一番作品数が少なかったが、国宝「三体白氏詩巻」小野道風筆がその日のベスト作品。
楷書、行書、草書の3様式で白氏の詩を書いているのだが、最初の楷書が「んんん?道風なのに、あまり上手に思えない・・・」などと不遜な感想を持った私。しかし、続く行書、草書と徐々に筆致も変わり動きが出てくる様子は見事というしかない。
書の作品に、まるで人生の起承転結を見たような気がした。

ここでは、茶碗も名品が出ており、眼福。

さらに、第2会場ではひっそりと花入れに須田悦治の椿が一輪。
こういうのが実に絵になる須田さんです。

・「聖徳太子 ゆかりの名宝」展 大阪市立美術館
こちらは以前より楽しみにしていた展覧会の一つ。第1章では「聖徳太子絵伝」がこれでもかこれでもかと展示されている。同じお話であるのに、各お寺の収蔵作品によって、話の配置(異時同図)が異なっていたりで、それぞれ比較しつつ見ていくのは楽しい。しかし、そればかりというのも、かなりきつかった。
第4章では仏像も多く展示されていたが、重要文化財は「木造 地蔵菩薩立像」(野中寺)のみ。

特別展もさることながら、今年度の大阪市美は変貌を遂げていた。今まで広大なロッカースペースと化していた1階左の展示室が見事に常設作品の展示室になっており、今後は同館の大量かつ名品を毎回テーマに分けて展示していくので、今後も楽しみ。

・「天馬 シルクロードを駆ける夢の馬」 奈良国立博物館
いつもは土日でも比較的空いているのに、GWということもあってか、館内はかなりの人出。
伝馬を表した美術作品を通して我が国まで伝わった伝馬の軌跡をたどるという趣旨。
古代ギリシャから始まり、中央アジア、シルクロードを通って唐から奈良へ。
馬の意匠作品だけを集めるという珍しい視点の展覧会。その前にMiho musuemの常設でも楽園の霊獣が特集されていたので、ふたつを見るとかなり重複した内容もあり、理解は深まった。
一番印象深かったのは、「十二霊獣図巻」静嘉堂美術館蔵。見事に天馬として紹介されている。

ただ、これまでの奈良博特別展の中ではインパクトにかけていたように思う。

・「南蛮の夢、紅毛のまぼろし」 府中市美術館
初訪問の美術館。GWの前に出かけた。
これも微妙な内容で、期待していたものと違っていた。テーマ自体が異色で、玄人好みと申しましょうか。スライドを使用した担当学芸員の方の説明(20分)もお聞きしたけれど、悲しいかな、今では何も記憶に残っていない。

・「佐伯祐三」展 笠間日動美術館
初水戸。
佐伯祐三の回顧展。作家本人の精神状況が絵画作品に投影されていると強く感じる。半分ほどの作品にはゆがみがあって、個人的な推測では、精神状態が悪化している時ほど、ゆがみも激しくなっているような。
作品リストはなし。大阪近代美術館準備室からの出展作品が多かったが、、マイベストは「リュクサンブール公園」田辺市立美術館蔵。

その後、フランス館でコローの良いのを見た(タイトル失念)。

・春風萬里荘
笠間日動美術館の後、この分館に寄る。北鎌倉にあった北大路魯山人旧宅を移築し、別途作庭。
なんと、枯山水のお庭まである。
茅葺屋根の民家を開放して、その中に魯山人の遺品や焼き物、他の作家の絵画、書など家の中で鑑賞できる。
ガラス越しでない鑑賞というのは本当に良い。そこに本来あるべき姿で作品を見るのが、やはり一番良いと思う。
藤島武二の日本画掛け軸や、室町時代の螺鈿の中国わたりの家具は素晴らしかった。

ここでは、枯山水を眺めつつお抹茶(410円)もいただけます。

表の回遊式庭園では、お弁当を広げて楽しんでいらっしゃるグループもあり。茨城なのかどこなのか、異質の空間。

・「175/3000」 茨城県近代美術館
同じく初訪。予想以上に広い空間。今回は設立60周年の収蔵品展ということで、作家一人につき一点形式で、時代順に展示が行われていた。
一度に175点はさすがに疲れる。
クールベの「フランシュ=コンテの谷、オルナン付近」
古賀春江「婦人」 水彩
三岸好太郎「花」
斎藤与里「夏の小川」
小川芋銭作の全11点。

等々、要所要所で気になる作品とめぐりあえた。

・宮島達男 Art in You 水戸芸術館現代美術ギャラリー
こちらも初訪。驚いたのが意外に展示スペースが狭かったこと。100メートルの「くねくね」(地元の方はそう呼んでいるらしい)や敷地は広いのに、なぜ展示スペースはあれだけなのか・・・。

肝心の宮島作品。新作の「HOTO]。最初見た時は蝉かと思った。その後、ゴキブリにも見えて来て、最後にタイトルから「砲台にこめる弾頭」かと思ったら、「宝塔」の意だそうで。。。。う~ん失礼千万な感想で大変申し訳ないです。

宮島達男はこの先もカウンター、数、ダイオードから離れられないのだろうか。
長くこの対象にこだわり、それで著名になったのだけれど、手詰まり感があるような。

この後、飯田淑乃のパフォーマンス?一連のグッズを拝見。最初間違えて託児所に入ったのかと思ったらさにあらず。
「ね~ばね~ば♪」の歌声が、芸術館を出た後も頭から離れないので困った。
なりきりアートとしては、森村泰昌の亜種と言った感じ?


総括すると良かったのは、以下4つ。
京博の「暁斎」展
静岡の「シャガール」展+常設
愛知県美の「杉本健吉」展
碧南市藤井達吉現代美術館 オープニング展

地元びいきという訳では決してありませんので、あしからず。

「シャガール 色彩の詩人」展 静岡県立美術館

名古屋から東京へ戻る岐路、静岡県立美術館へ行って来ました。
目当ては冒頭の特別展でなく常設で展示されている若冲の「樹花鳥獣図屏風」だったのですが、意外や意外特別展の「シャガール」が非常に素晴らしかったです。
個人的には、ここ数年の西洋絵画の展覧会で一番良かったと思います。


<本展のみどころ>
1.幻のユダヤ劇場壁画7点すべて展示。もちろん、すべて本物!
 中でも、横約8メートルの大壁画は圧巻です。

2.国立トレチャコフ美術館(ロシア)及びニースのシャガール美術館、パリの個人などからの出品。
国内からかき集めてきたのとは一味もふた味も違います。

3.初期から晩年まで、油彩、版画、タペストリーなど約150点は見ごたえ十分。

昨年も三重県、奈良県美でシャガール展は開催されていました。残念ながら、私はそちらの展覧会を見ていないのですが、国立西洋美術館の「ムンク」展などと比較しても、段違いに良かったです。
シャガールの壁画は、カンバスに描かれていたので、日本に持って来ることができたのでしょうが、それにしても全7点すべて揃えたのは素晴らしく、シャガールの素晴らしさを痛感できます。

これまで、何度も彼の作品はあちこちで見ていたのですが、これだけまとまって見たのは初めて。
青森県美のオープニングも確かシャガールだったと思いますが、そちらも見ていないので、比較できないのが残念。
今も頭の中で、シャガールの色彩が渦巻いています。


さて、今期は常設の日本画も素晴らしい。題して「若冲から狩野派まで-百花繚乱の18世紀」。
私は図柄的にプライスコレクションの同一手法作品より、この静岡県美所蔵作品の方が、絵的には好きです。初めて見ましたが、サイズはプライス所蔵のものより一回り小さいのですが、こじんまりとした分、まとまっているように感じました。
若冲はますめ描作品だけでなく、「雛に双鶏図」も出ています。

さらに、芦雪「赤壁図屏風」、こちらは「これが芦雪!?」と思うような、割と?真面目な作品、大作です。
他にも応挙や蕭白までありました。


もうこれだけで、大満足なのですが、まだまだおまけがありまして・・・。

新収蔵作品として、草間弥生の「水上の蛍」を体験できます。美術館に入ってすぐに、行列ができていたので、シャガール展はそんなに人気なの?と思ったら、この行列は草間作品鑑賞の順番を待つお客様の行列でした。
「水上の蛍」は鏡を用いた空間そのものを鑑賞する作品です。
一度に3~4人しか作品に入場できないので、どうしても列ができます。ただ、長くても10~15分程度の待ち時間なので、さほど気になりません。

作品は実際行ってみてのお楽しみですが、直島の宮島達夫作品に近いですが、空間体験は、こちらの方が優っているかも、じっとしているとめまいがします。
よって、長時間の鑑賞には適しません。


それにしても、静岡県立美術館はすごいです。
特に本年度のスケジュールを見ると、見たい展覧会が目白押し。これにロダン館もあるのですから。。。いやはや、全国でも屈指のレベルと言えるでしょう。

シャガール展は、この後岡崎市美術博物館、熊本県立美術館、兵庫県立美術館に巡回しますが、静岡以東への巡回はありません。

*シャガール展、草間弥生「水上の蛍」は5月25日まで。若冲の「樹花鳥図屏風」は5月11日までの限定展示ですので、ご注意ください。

「藤井達吉にいた大正 大正の息吹を体現しフュウザン会と前衛の芸術家たち」 碧南市藤井達吉現代美術館

今日の愛知県は既に夏。半袖Tシャツがちょうど良い、汗ばむほどのお天気でした。
さて、本日は午前中に愛知県美の「杉本健吉」展を午後から西尾の岩瀬文庫から碧南市藤井達吉現代美術館へ行って来ました。

藤井達吉の名を耳にしたことがある人は、どのくらいいるのでしょう?
かくいう私もこちらの美術館のオープンで初めてその名を知った次第。以下展覧会チラシからの抜粋でまずは藤井達吉についてご紹介します。

藤井達吉は1881(明治14)年、愛知県碧海郡(現・碧南市)に生まれた美術工芸家です。藤井は工芸の近代化を目指した前衛的な美術家として現代を駆け抜けました。ヨーロッパの前衛芸術動向を自らの創作活動に反映させたフュウザン会の結成にかかわるなど、新しい芸術創造活動に向けて情熱を傾け、近代工芸界の歩みの最先端にいたのです。。。以下略。

本展では、藤井達吉の作品を彼と交流のあった芸術家たちの作品約83件117点と併せて展観し、大正という時代を検証します。

展覧会構成とともに印象に残った作品、作家について。

第1章フュウザン会第1回展に参集した人々。

まず、この第1章に驚きます。
・岸田劉生 「赤土と草」 浜松市美術館蔵
岸田ファンとしては、この作品大好きです。後の切り通しの写生につながる一点。

・萬鉄五郎 「風景(春)」宮城県美術館 「静物(噴霧器)」岩手県立美術館
両作品とも初見。いずれも大正1年頃の作品で、色づかいが鮮烈。これが見られただけで早満足。

・斎藤与里 「木陰」 加須市教育委員会蔵
ゴーギャン風。

・川上涼花 「あざみ」 個人蔵

・高村光太郎 「手」 個人蔵
左手ひとつで、ここまで圧倒的な存在感のある彫刻を作れるところが凄い。何度見ても感動。

他にも木村荘八、川上涼花らの作品はゴッホなど西洋絵画の影響を多分に感じた。時代が新しい西洋絵画を取り入れようと躍起になっていたのだろうか。
その中で、単なる模倣に終始せずオリジナリティーを出して行った作家それが藤井達吉なのではないかと思う。彼の作品は第2章で取り上げる。

第2章 藤井達吉と交流した人々

この章では津田青楓の刺繍作品、河合卯之助の陶芸、高村豊周の青銅花入れなど、藤井達吉と交流があった面々と藤井本人のバラエティに富んだ工芸作品を鑑賞できる。

・高村豊周 「青銅切花入」 個人蔵 大正7年
野の花があしらわれた花入れ。形もさることながら、一輪の野の花が愛らしい。欲しい。。。

・「棕櫚図屏風」 六曲一双 個人蔵 大正5年頃
この作品は圧巻。棕櫚を見た瞬間、京都相国寺のジャクチュウの棕櫚を描いた障壁画を思い出す。
藤井作品は、銅・打出・七宝でこれを表現。

藤井達吉は、美術学校入学を反対され、七宝店に入社した。彼の生い立ちそのものが、作品に見事に活かされているのが最大の特徴である。

第3章 大正時代と藤井達吉の前衛
ここからは藤井作品の独壇場。驚くほど多様な表現だが、その手法のみならず図案家としての非凡さに驚嘆せざるを得ない。
「蜻蛉鬼百合文乱箱」はまさに大正の琳派だ。
そして、この3章では屏風対決?が見られる。これは必見。
・斎藤与里 「塩原錦秋」 大正7年 埼玉県近代美術館
・川上涼花 「草花図屏風」 大正7年 萬鉄五郎記念美術館
・藤井達吉 「草木図屏風」 「山草図屏風」「大島風物図屏風」
すべて二曲一双。

油彩あり、刺繍あり、螺鈿、七宝、鉛象嵌など日本古来の屏風絵とは逸脱した手法であるが、過去にとらわれない自由な表現、こんなのあり!?的な美しさである。
三者三様の良さがあり、日頃なかなかお目にかかれない大正時代の芸術の一端に触れられた。

地階展示室では藤井お手製の草花栞や札入れなど多岐にわたる工芸品が展示されている。

神坂雪佳を彷彿とさせる、いやそれ以上かもしれない。

藤井は愛知県の「小原和紙工芸」生みの親でもあり、現在小原では、藤井の継紙作品が展示されていて、こちらも是非見に行きたい。


碧南市藤井達吉現代美術館はこの4月5日にオープンしたばかり。周囲はお寺が多く、どこか懐かしい町並みです。美術館外観はその町並みを損なうことなく町に溶け込んでいるように思いました。
1階にはカフェもあり、こちらでは豆腐などの素材を使ったケーキや美味しいコーヒー(本当に美味しかった)やランチ(次回トライしたい!)も食べられます。

作品リストには作家名にフリガナもふられており、これが私には大変ありがたかったです。さらにさらに、なんとこの美術館は、金曜・土曜は夜9時まで(入場は8時半で終了)開館しています。愛知県内では画期的とも言える心意気。
地階にはゆったりした図書コーナーがあり、雑誌「美術手帳」がバックナンバー含めてずらりと並んでいます。もちろん、画集や関連美術書も充実しており、私などここで1日いられるだろうなと思いました。4時頃入館して、気が付けば早6時半。

本当にくつろげる美術館です。
夏には美術館がある「大浜陣屋の世界」と題する企画展も予定されており、お寺巡りと併せて楽しもうと思います。

国内からこれだけの大正期の作品を一同に見られる機会はなかなかありません。
愛知県内問わず、多くの方に是非見ていただきたい展覧会であり、美術館です。

*6月8日(日)まで開催中です。

追伸:悲歌・哀歌さま、展覧会のご案内とチケットありがとうございました。素晴らしい内容で、この場を借りて心から御礼申し上げます。

「暁斎 Kyosai」 展 京都国立博物館

待ちに待った暁斎展へ行って来ました。ほぼ半日以上を費やし、京博の前にmiho museumの「与謝蕪村」展へ寄ったので、京博に到着したのは3時を回ったところ。それから延々2時間強特別展を見て、平常展へまわり、結局3時間もいることに・・・。

本展の特徴はズバリ全ての作品を肉筆画で揃えたこと。
暁斎は錦絵や版本も多く残していましたが、今回はそれらを脇に置いて、本気で勝負なのです。

展覧会構成は以下。
1.「狂斎」の時代
2.冥界・異界、鬼神・幽霊
3.少女たつへの鎮魂歌
4.巨大画面への挑戦
5.森羅万象
6.笑いの絵画
7.物語、年中行事
8.暁斎の真骨頂

1月に千葉の成田山で開かれた暁斎の書画展や霊光館での肉筆画から、彼の技倆は十分感じていましたが、今回はそれを嫌というほど、これでもかこれでもかと見せつけてくれます。

おかげで、130もの作品を見終わった後は疲労困憊。おなか一杯。

成田を見たから京都はいいや・・・なんてとんでもない。
来て良かった~。

中でも心惹かれたのは、幽霊画のコーナー。
あれだけ並べられると、幽霊といえども壮観です。しかも幽霊なのに美しい。
松井冬子さんの作品はこの暁斎作品からインスピレーションを得たのではないでしょうか、どこか似ていました。

本画だけでなく下絵も併せて展示されているのも見所。暁斎の作品完成までの苦闘ぶりが感じられます。

展示構成中、もっとも混雑しているのは「少女たつへの鎮魂歌」。
ここでは、たつの死出の旅にたむけられた「地獄極楽めぐり図」の連作。
土佐派と狩野派と錦絵の歌川派が見事に合体し、昇華されたと申しましょうか。緻密で精細で、そのくせ浮世絵のような大胆な構図ありで、見応え十分です。
作品自体が小さいせいもあって、ここは観客が団子状態になり進みません。私もいったんは諦めて他の方の頭越しに見ていたのですが、最後に舞い戻り、無事最前列で拝めました。

最終コーナーの「暁斎の真骨頂」では「大和美人図屏風」「地獄太夫と一休」他、名作がズラリ。
ここまで集中力と体力を維持させねば、必ず後悔します。


思い出すだけでめまいがするような作品の数々。

ぜひ、本物の暁斎との出会いをお楽しみいただければと思います。

同時に「京都マンガミュージアム」にて「暁斎漫画展」も開催されていますが、こちらは期待外れ。
入館料千円はちと高いような気がいたします。

*5月11日(日)までの開催です。お見逃しなく。
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