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「今森光彦写真展 昆虫4億年の旅 進化の森へようこそ」 東京都写真美術館

昆虫

木曜夜と言えば、写真美術館。ほぼ月1回とパターン化し始めている。
今回は、今森光彦の昆虫写真展。
前回の森山大道写真展の際に見つけたチラシを一目見た時から、行きたい!と思っていた。
それほどまでに、チラシに使用されていた昆虫の写真が強烈だったから。

そして。
この展覧会、最大限におすすめします。ただし、昆虫は苦手と言われる方でもトライする価値はあり。
写美で見た展覧会の中で、一番時間がかかりました。
入館が19:15~20:00閉館ぎりぎりまで粘ったのですが、もっとじっくり見たかった。。。
写真1点、1点に短い1文の解説が添えられているので、写真と両方見ていると、1時間でも足りない気がします。

さらに、写真作品とは別に、中央で2002年制作の昆虫DVD(全52分)も放映されているため、これも全て見ようとすると、2時間がかりになる。

お薦めする理由は・・・。

1.原色万歳
昆虫だけでなく、一緒に写っているバックの自然、たとえば花や緑の葉などなど、コントラストが際立っている。

2.作りものでない美しさ
虫はポーズなどとっていない。彼らの自然の営みが、よくぞ写したと思えるほど、一瞬一瞬を切り取って撮影されている。ほとほと感心。

3.昆虫モデルたち
特に擬態する昆虫たちには驚く。数年前に、水中カメラマン:中村征夫の写真展(同じく写真美術館で開催)も見たけれど、擬態する生物は水中も陸上も同じだ。

4.多数の脅威
蛍や蝶、バッタの大群を写した写真があったが、蛍などは、宇宙かと思うような情景を作り出していたし、蝶、バッタに至っては、美しさを通り越し怖いほどだった。

5.見立ての美
会場には、昆虫を別のものに見立てて並べられている写真もある。昆虫の顔と頭部を時計に見立てていたのがイチ推し。

今森光彦氏の手による昆虫水彩スケッチも展示されていたが、絵もお上手だった。

できることなら、もう1度行きたい。


この夏、今森氏は本展含め3つの写真展を開催します。

残る二つは次の通り(東京都写真美術館サイトより転載)。

○今森光彦写真展「神さまの森、伊勢」
入場無料
会場:エプソンイメージングギャラリー エプサイト
会期:7月24日(木)~9月7日(日)
夏季休館:8月11日(月)~17日(日)
※お問い合せ:03-3345-9881(エプサイト)
→http://www.epson.jp/epsite

○今森光彦写真展「里山 未来におくる美しい自然」
会場:大丸ミュージアム・東京
会期:8月14日(木)~9月1日(月)
※お問い合せ:03-3212-8011(大丸ミュージアム)
→http://www.daimaru.co.jp/museum/


☆この他3展覧会開催記念として、「今森光彦写真展をすべて観よう!」プリントラリーも開催中。

実施期間:7月5日(土)~9月7日(日)
協賛:エプソン販売株式会社
各会場内に設置した写真用コンパクトプリンタ「カラリオ ミー」でプリントしたものが応募用紙です。
プリントの個数に応じて抽選ですてきな賞品をプレゼントします。
【3会場】10名様に著者サイン入り展覧カタログ「昆虫4億年の旅」「里山」、 写真集「神さまの森、伊勢」をプレゼント
【参加賞】100名様に今森光彦オリジナルポストカードセット

これはもう3つ行くしかないでしょう。

*8月17日まで開催中。

*今回チケットを頂戴したoki様、この場を借りて御礼申し上げます。
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「NIPPONの夏 -応挙・歌麿・北斎から「きもの」まで」 三井記念美術館

日本の夏を楽しめるということで、三井記念美術館「NIPPONの夏」展へ行って来ました。

江戸時代の夏の一日を、朝、昼、夕方、夜と時間の流れを追いながら、北斎や歌麿の肉筆浮世絵をはじめ祭礼図や、着物、ガラスなどの約100点の日本と東洋の美術品を通して追体験できます。
暑い夏の日を涼しく過ごす工夫や遊び心、忘れかけていた夏の風情を満喫できる展覧会です。

「Ⅰ 朝の章」、「Ⅱ 日盛(ひざかり)の章」、「Ⅲ 夕暮の章」、「Ⅳ 夜の章」という時間の流れのなかで展示。美術品を鑑賞しながら、江戸時代の夏の一日を追体験していただく趣向です。


~記念館HPより部分抜粋。

作品は前期、後期とでかなり入れ替わりますが、今回の特別展では大多数の作品が他館からの借り物ということ。これだけそろえるのは大変だったのでは、と思わせるほど良い作品が出ています。

章単位で印象に残った作品は次の通りです。

Ⅰ.朝の章 ~朝顔と涼の粧い~
・「朝顔図」 鈴木其一 個人蔵 
先日日曜美術館で特集されていた鈴木其一の朝顔が登場。この企画展とのタイアップだったの?
作品サイズは小さいけれど、すっきりした作品。

・「夏の朝」 葛飾北斎 個人蔵

Ⅱ.日盛の章 ~涼をもとめて水辺へ~
・「鯉滝登図」 高田敬輔 個人蔵
高田敬輔は、曽我蕭白の師だったとか。なるほど、インパクトのある作風です。

・「青楓瀑布図」 円山応挙 サントリー美術館
やはり、応挙は水を書かせると上手い。超絶技巧です。

~夏のデザイン~
・「鮎図」 松村景文  千葉市美術館
見ているだけで、涼を呼びます。

~涼のうつわ~
・ぽっぴん
歌麿の「ポッピンを吹く女」でお馴染みのぽっぴん。実物を初めて見ましたが、浮世絵に描かれているものよりちょっと大きめ。でも雰囲気あります。

Ⅲ.夕暮の章 ~夕立ちと夕涼み~
突如、浮世絵オンパレードになる。なぜだろう???

・「寒泉浴図」 喜多川歌麿 MOA美術館
utamaro

日本で初のヌード」?保持するのが大変そうなポーズ。もう溜息が出るほど美しく滑らかな背中。中心部がほんのりピンクに染まっているのが泣かせます。
本展マイベスト。

・「納涼美人図」 祇園井特 板橋区立美術館
知らない作家だが、気になります。

~夏夜の楽しみ-舟遊び、花火、蛍狩~
・「月夜竹に蝙蝠図」 長沢芦雪 個人蔵
最後は芦雪でしめて終わり。

後期も行ってしまいそう。

*前期展示は8月10日まで。後期は8月13日~9月15日まで。

「おばけが出たゾ~ 描かれた妖怪たち」 群馬県立歴史博物館

前回の続き。
5月に初訪問した際は、企画展を開催していなかったため、中に入らず帰って来た。今回は13:30~の学芸員(本展企画担当者)さんから1時間半の作品解説会に参加することができた。

学芸員さんの熱意にはつくづく頭が下がる。今回も少ない予算のため図録の作成ができないという事情がある中、全て自前の所蔵作品だけで、これだけ面白く見せてくださるのだから、素晴らしい。

近代美術館同様、こちらも大人も子供も楽しめる内容になっている。

私のお目当ては月岡芳年「新形三十六怪撰」ずらり全点勢ぞろいだ。件の学芸員・神宮氏によれば、三十六枚全て揃いで所蔵しているのは、この群馬県歴史博物館だけ。今後、三十六枚全てを展示する予定はなさそうとのことなので、お見逃しなく!
三十六枚全て見た私の感想は、溜息ものでした。芳年は、妖怪画すら美しくきりりと描く、素晴らしい技量とアイディアの持ち主だと思う。進取の気性に富むとはこのことか。オランダという異国の巨大美術館でたった1枚の芳年の浮世絵が、きりっと光っていたあの一瞬を思い出した。

作品解説もすべて50文字でおさめるという苦心のしろもの。
さらに、芳年の作品から民間の習俗などが伺われ、たとえば妖怪除けや魔除けの因習などなど。

この企画展では、全作品に描かれた怪異の世界を中心に、河童や天狗などの身近な存在ともなった妖怪の多様な姿を併せて紹介し、人々とのかかわりあいを伝えようとするもの。

妖怪パズルや巨大すごろくなど、子どもも楽しめる(事実沢山の子どもたちが遊んでいた)内容。

神宮氏が語る河童伝説が妙にリアルで興味深い。群馬ではいまなお、河童にまつわる石など自然物がのこっている。

この他、同じく芳年「地獄太夫図」(下)、河鍋暁斎の「暁斎百鬼画壇」、国芳「河童図」などもあります。
igoku


参考までに、群馬県企画として「ミュージアムで夏をすごそう!」を開催中。7月19日から8月31日までの夏休み期間中、館林美術館、歴史博物館、近代美術館の3館のスタンプを集めるともれなく全員に「ゆうまちゃんカレンダー付きタンブラー」がプレゼントされる。
残り館林美術館を夏休み中に訪問して、タンブラーをGETする予定。
それにしても全員とは、太っ腹な企画です。

*8月31日まで開催中。

「こどもとおとなの美術入門 たねとしかけ」 群馬県立近代美術館

待ちに待った青春18きっぷが発売となった。
都内某所にて、定価11500円を11300円で購入し、早速今日から使用開始。昨夜より、今日はどこに行こうかさんざん悩んだが、やはり5月のSUICAひとつで旅に出た思い出の群馬県近美にお詫びとお礼かたがた出かけねばと思った次第。

<本日の旅程>
8:39 上野発 アーバン高崎乗車
ここで初めて知ったのだが、上野駅は2階、3階にも駅ビルがつながっていた。メインは3階であるのか、本屋もお菓子屋さんもお弁当屋さんもカフェも何でもある。
もっと早く知っていれば。。。次回以後の旅で目いっぱい利用することを誓う。

奮発して、グリーンに乗車。ちっちゃな贅沢が楽しい。最近は2階建ての1階座席を利用する。下から見上げるのが面白いのと2階より空いていて静かだから。

10:04 新町着 
前回は高崎で下車したが、群馬の森(近美のある公園)にはこちらの新町の方が近い。ただし、ぐるりんバスは迂回するため、高崎駅から乗車するのと時間は変わらず約20分。複数人ならタクシー利用をおすすめします。

10:15 新町発 ぐるりんバス乗車 1時間に1本しかないので要注意!

10:40 群馬県立近代美術館到着

さて、前回お世話になった美術館の方へごあいさつしようと受付で尋ねたら、本日はお休みされているとのこと。お渡しするものを預けておく。
今回はお隣の群馬県立歴史博物館の企画展「オバケが出たゾ~」も鑑賞するため、2館共通券(700円!)を購入した。

いざ、「たねとしかけ」展へ。
当初この企画展はあまり期待していなかった(ごめんなさい)。が、あにはからんや、これが面白い!
ここ最近見た現代アート系の中では一番良かった。

その理由は、次の通り。
1.主催者(企画担当)の展覧会コンセプトが明解、かつ、鑑賞者にそれが伝わっていた。
2.見せ方の工夫が上手い。
3.子供も大人も楽しめる内容。
4.それなりに旬なアーティストが選択され、本展のために制作された作品もある。
5.作品リストはもちろんのこと、特製ミニ解説書が分かりやすい。

私は美術批評家でも何でもない、ど素人なので、偉そうなことは書けないのだが、群馬県近美の展示内容には毎度のことながら感心させられる。今回も無論そう。

選ばれた5名のアーティスト。
・大竹 敦人
・手塚 愛子
・津田 亜紀子
・小河 朋司
・屋代 敏博

冒頭で、全員の作品を1点ずつ1つの部屋で見せた後、個々の作家単位でコーナーを作り、それぞれの世界を見せる展示方法。最初に全員分を一度見せるというのが気に入った。むむ?と思わせておいて、観客をひっぱって、最後までいざなって行く。

そして、今回の注目株は、大竹敦人。
otake

今まで、大竹氏の作品とは接点がなかったと思う。彼はピンホールカメラとなったガラス球体を使用した作品を主体としていた。ピンホールカメラで撮影した画像を使ったオブジェもあったが、本展最大の目玉と言っても良い、展示室から出たギャラリーにある「光闇の回廊」2008年はオススメ。
詳細は、行ってからのお楽しみとしたいので、書きません。ここでは宇宙空間を味わえます。

もう一人、知らない作家さんが小河朋司も良い。
「optical limit」シリーズは好きな作品。何しろ色に弱いので、こういう見せ方をされるとついついお気に入りになってしまう。
アクリル板の裏に塗った色を反射させることで、新しい色や形を発生させるという手法。カラフルな世界の中に、兎ちゃんが見えた。

目黒美術館の新進アーティスト展にも参加していた屋代敏博は、やっと本当の姿が見えてきた感じ。
「回転回LIVE」は、作者や美術館に集まった人、学校の生徒たちが、その場でくるくると回転することで、写真の中でぶれたような不思議な形に見える。時には、彼らの衣装や手に持った物の色が美しい絵の具のような線を描く。

展示コーナーごとに「たね」⇒アーティストによる作品の考え方、「しかけ」⇒作品を作り出す方法がパネルで展示されている。
普段現代アートというと、面白い、美しい、など見る側の一方的な評価のみで終始するが、今回は作家からのメッセージとも言える、作品に寄せる思いや制作の裏側が垣間見えて、とても参考になった。
まさに「こどもとおとなの美術入門」というタイトルがぴったり。
現代アートはちょっと・・・と思われる方にもお薦めです。

*8月24日まで開催中です。

2008年7月26日 鑑賞記録

今日は街にやたらと浴衣姿の女性を見かけると思ったら、隅田川大花火大会なのですね。なるほど。

11時半、浅草橋で下車し、RADIUMへ向かう。
藤芳あいさんの個展最終日にして、ぎりぎり間に合いました。
根っこのオブジェが1階にひとつ、2階はペインティングが並んでいた。ペインティングの方はピンとこなかったけれど、根っこのオブジェは迫力があった。この作家さん、昨年夏の横浜美術館-「水の情景」展に出品されていたんですね。
「水の情景」展は、かなり印象深く良い内容だったので、出品作も相当記憶しているのだが、残念ながら彼女のプールを模ったオブジェには記憶がない。

RADIUMは、上京してから初訪問したギャラリーの中で一番すっきりしていた。名古屋にある「ケンジ・タキギャラリー」に雰囲気は似ていて、それをもう一回り狭くした感じかな。
お隣にもギャラリーがあったので、一緒に覗いた。こちらの方が好みに近い。彫刻作家さんの展示だった。

九段下へ。
千秋文庫に初訪問。秋田藩主佐竹家の美術品を展示している。内容についてはArt&Bell by Toraさんのブログにお譲りいたします。
粉本教育の成果が披露されているのだが、注目すべきは狩野派の模本という見方でなく、手本になっている中国絵画だ。もちろん、本物は残念ながら展示されていないが、模本だけでも十分絵の面白さ、魅力は伝わってくる。
おなじみの虎や花鳥画も作家が違うと千差万別。日本の絵画は多分に中国絵画の影響を受けていると改めて感じる。
今でこそ、中国のコピーが問題になっているけれど、歴史的には日本が中国作品をコピーしていたのだ。
こちらは、たったの400円の入場料で1階2階と広い展示空間を持っている。雰囲気にあった革張りソファが置かれているので、静かにゆっくり鑑賞できるのも魅力。

山種美術館へ。
会期終了間際のせいか、相当な混雑。ここは土日いつでも混んでいる。あげく、作品リストは全てで払ってしまい、追加印刷なしのため入手できず。
今回も見事な日本画の数々を堪能。中でも川端龍子、彼の作品を見るたびに好きになっていく。最初見た時は、それほどでもなかったのになぁ。
どの作品も甲乙つけがたい。

東京国立近代美術館の「アクア」を目指す。
こちらのデザートメニュー「カスタードプリンとキャラメルアイス」(700円)はとっても美味。特にキャラメルアイスの程良い塩加減、甘すぎないさっぱりとした大人の味は、わざわざそのためにだけ行きたくなる。
一息ついて、常設展へ。

夏は日本画が一番マッチする。岩絵の具が涼を呼ぶ。今回も日本画で良い作品がずらずらと。
東京名景シリーズ、龍子の「金閣炎上」、小倉遊亀「少女」などなどで満足。

1日の最後は江戸東京博物館の「蘭亭序」「北京故宮の書の名宝展」へ。
書もまた日本画同様、夏向き。内容は皆目分からなくても、名書を見るのが好きになってきた。
良い書を見ていると、背筋がすっきり伸びてくる。どういう錯覚なのか、自分も上手に字が書けそうな気がするのだ。
松濤美術館で見た呉昌碩の書も見ることができたのが収穫。それにしても、書というのは絵画同様様々な印象を見る者に与える。
今回も気に入った書が3点ほどあった。

「シェリイ・ヘイ Disasters」 MEGUMI OGITA GALLERY

ヘイ

「ギャラリー徘徊」というタイトルを付けて、まとめ書きしようかと思ったけれど、タイトルだけ見た時分からなくなるので、短いですが鑑賞記録。

荻田さんは、西村画廊時代よりお世話になっていて、独立されて画廊をオープンされてからお目にかかったのは、大阪のアートフェアでお会いした時。「アートフェア大阪」と言えば、今年も昨日より3日間の日程で堂島ホテルにて開催されていて、荻田さんの画廊も参加されている。ご興味ある方はお早めに。

肝心の新しい画廊に行けないでいたが、漸くここに至って初訪問。場所は銀座エルメスより徒歩1分程度。
雑居ビルの4階にある小さなスペースに、シェリイ・ヘイの作品が並べられていた。狭いのにそれほど狭さを感じさせないのが不思議。
個展の案内状に使用されていたスノウボウル(作品名:disaster globe)のような作品が気になって、見に行くことにしたのだけれど、ハガキで見るのと、実際手に持って見た時とでの一見印象にさほど変化はない。
しかし、球体を上下に逆さにしてみると、作品に変化が出てくる。
中に入れられているのは、小さな建物、車、そして人々。タイトル通り被災した地球(直訳で良いのか?)が中に入っている。動きがある作品というのも面白い。

絵画(冒頭)も数点展示されていたが、いずれもモノトーンで黒の使用が目立つ。
油彩とチャコールを使用した作品があって、私の好みはチャコールを使用したもの。

カナダ・トロント生まれの作家で、日本での個展は今回が初。


帰り道、エルメスギャラリーものぞいたが、こちらは好みに合わず。「レフトオーバーズ(抜けがら)」、N.S.ハーシャ、ハーシャはインド・マイソール在住で、極めてインドらしい作品を展開している。

*7月26日まで開催中。

「ウィーン美術史美術館所蔵 静物画の秘密展」 国立新美術館

ウィーン

今回は、フランドル絵画にお詳しい方の解説付きで鑑賞(ありがとうございました)。
普段は訳も分からぬまま、漫然と眺めていることがほとんどなので、作品の意味するところをアドバイスいただけて、大変参考になった。
古典作品は苦手意識が強かったけれど、食わず嫌いではないけれど、多くの作品と接していくうちに何かしら見えてくるものがある・・・と妙に納得できたのが最大の収穫だった。

展覧会は次の4部構成。
第1章 市場・台所・虚栄の静物
第2章 狩猟・果実・豪華な品々・花の静物
第3章 宗教・季節・自然と静物
第4章 風俗・肖像と静物
様々な場面に描かれた静物を見て行くことで、その魅力の秘密を明かそうというのがテーマ。

印象に残った作品を挙げると。

コルネーリス・デ・ヘーム 「朝食図」
⇒ 右横に、絵に描かれた朝食を実際に再現したレプリカが置かれていたが、絵の朝食の方がおいしそうだった!

ヤン・ブリューゲル(父) 青い花瓶の花束
⇒ この手の作品は数あれど、完成度の高さはさすが。てんとうむしに意味はあるの?

ヤン・ブリューゲル(父) ヘンドリク・ファン・バーレン 「大地女神ケレスと四大元素」
ピーテル・ファン・アフォント ヤン・ブリューゲル(子) 庭園の花神フローラ
ヤン・ブリューゲル(父) 小作人見舞い
ヒリス・ファン・ティルボルフ 「農民の食堂」
ヤン・ステーン 「逆さまの世界」
ヘーラルト・ダウ 「医師」 「花に水をやる窓辺の老婦人」
最後の最後に、ベラスケス「薔薇色の衣装のマルガリータ王女」

マルガリータ王女を最後の最後に展示するという演出。お楽しみは最後までおあずけ。

マルガリータ王女ももちろん素晴らしいのだけれど、ベストはダウの「医師」。気に入ったのに、絵ハガキはショップに売られておらず、今では記憶も朧げで、作品に何の静物が描かれていたのかさえ思い出せない自分がもどかしい。
ただただ、医師の表情があまりにもリアルであったため、小品ながらとても気になった。

全体として、当たりはずれの波はあるかもしれないが、当たり作品を探し出すのは楽しい。
肝心の静物画の秘密に迫ることができたかは?です。
国立新美術館展示室は、古典作品には向かない気がした。単調な白い壁と同じく白っぽい(安っぽい)床が重厚な作品には不向きで、作品が浮いていた。せめて壁だけでも何らかの工夫はできないのだろうか。同じ国立でも展示に対する工夫は東博の足もとにも及ばない。

*9月15日まで開催中。

「カルロ・ザウリ展」 東京国立近代美術館

ザウリ

選り好みせずにアートなら何でも見る私でも、やはり苦手なものはある。苦手分野の一つである陶芸、ことに現代陶芸に至っては、企画展を見に行くことなどまずない。

が、「カルロ・ザウリ展」に関しては、どうしても見ておきたいという気持ちが途切れず残っていた。最初ザウリの作品を見たのは、約1年前の京都。この時京都国立近代美術館で、本展の日本巡回は開始された。ロビーに存在感をもって置かれていたザウリ作品にひかれ、時間がなかったため、企画展に入場することは叶わなかった。
京都の後、岐阜と巡回し東京で再びまみえることになったのはラッキーだった。

以下展覧会チラシより抜粋。
展覧会は1950年代の初期のマジョリカ作品から、’ザウリの白(ザウリビアンコ)’と呼ばれる60~70年代の代表作品、さらに80年代に制作した釉薬を用いない黒粘土による挑戦的な作品を中心に、タイルやデザインの仕事まで、ザウリの多彩な作品を通して1951年から約40年間の芸術活動の軌跡を辿ります。


冒頭で京都で見た作品は「ザウリビアンコ」を使用した作品だったと思う。やはりザウリの魅力を語る際に、この「ザウリビアンコ」と「マジョリカ焼」2つのシリーズ抜きには語れない。
マジョリカ焼きは、色合いにイタリアらしさ、いや古代ローマを感じさせる。とりわけ、コバルトブルーや緑の鮮烈さは素晴らしい。

そして、もうひとつの魅力はその形態にある。この初期段階でザウリの空間感覚の非凡さに感心してしまう。3次元世界を作り出していると同時に、プリミティブ的な様式を形に取り込んで、より現代的に作品の仕上げをしているのではないだろうか。

マジョリカ焼きの形態作りが、後の陶芸作品につながっているように思った。

ブランクーシでもない、イサムノグチでもない。
まさに、陶芸彫刻。
前述の色、形態美に加えて、ザウリの魅力は質感も忘れてはならない。
釉薬をかけて編み出された「ザウリの白」などは特にその質感、つやつやとした照り?が、作品に一層の魅力を加える。

個人的に好きな作品は以下。
・「アザラシ」 1958年
・「大きな白い破れた球体」 1967/68年
破れた球体

・「「球体のふるえ」 1968/70年
・「INの形態」 1974年
・「破裂した白」 1976年
・「それが最初だった」 1983年

最後のコーナーでは、ザウリデザインのタイルがずらりと展示されていた。
タイル
<タイル> 1962年

自宅に使いたくなるような美しい色、シンプルで幾何学的デザイン、イタリアらしいと片づけてしまうのは惜しいようなものが多かった。

*8月3日まで開催中。その後山口浦上記念美術館へ巡回します。

「白隠とその弟子たち」 永青文庫

野間記念館の後、すぐ近くの永青文庫に向かいました。この2つ本当に近いので、セットで行かれることをおすすめします。
永青文庫も初訪問。こちらは熊本のお大名細川家所蔵のコレクションによる展示を行っています。
門をくぐって、まず感じたのは緑の香。フィトンチッド一杯の森林浴です。都会のど真ん中でこんなに緑、鬱蒼とした大木が残る場所がまだ残っているのが東京というところ。
世田谷の静嘉堂も同様の雰囲気をたたえていますが、文庫つながりでしょうか。

さて、永青文庫のある建物についても書かずにはいられません。こちらは昭和初期の建築がそのまま残っています。チケット売場は、お役所の受付のように小窓が小さく設けられていて、ここは以前何だったのだろうと思わせます。
正解は細川侯爵家の家政所(事務所)であったとのこと。庶民には想像も及ばない使用方法ですが、中に入るとこれが事務所?と思わせるような堅牢な作り。恐るべし細川侯爵家です。

前置きが長くなりました。
建物の2階・3階が展示室になっていますが、企画展は3階展示室がメインです。狭い室内に、作品がぎっしり。
白隠(1685~1768)は、臨済宗中興の祖と言われる禅僧で、数多くの書画を残しています。白隠の作品を直接見た記憶はないのですが、チラシを見るとどこかで見かけたような気もしてきます。
で、実際見ると本物の作品からにじみ出る力、メッセージ性に圧倒されてしまいました。
やはり、チラシの印刷とは一味もふた味も違います。本物を見ることの重要性をまたも感じてしまいました。

印象に残った作品、マイベストは白隠の「蓮池観音図」です。
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反転印刷したように見える紙本墨画。観音様の御顔とほっそりとした姿が良い。
この他、同じく白隠の「文殊菩薩像」「連弁観音図」も良かった。
特に「連弁観音図」に描かれた観音様は気持ち良さそうに漂っていらしゃいます。
禅画というのは、脱力させるのが目的なのでしょうか。力の抜け具合が程良くて、気楽に鑑賞できるのが魅力かもしれません。

白隠の弟子、遂翁の作品も数点、彼の作品では「蛤蜊観音図」が良い。同名の作品を師の白隠も描いており、同じ室内に展示されていたけれど、ことこのお題に関しては遂翁の方が好ましい。
「布袋図」も遂翁の画力を示すにふさわしい構図です。

この展覧会は前期・後期に分けられ、特に絵画はほとんど展示替えされます。

2階では石仏など他の所蔵品が展示されています。とりわけ目をひいたのは、やはり洋書コレクションでしょうか。文庫というだけあって、稀少本がずらりと並んでいたのは圧巻です。

野間記念館の次回企画展と併せて、後期の展示も行ってしまうような気がします。

*8月3日(日)まで前期展示 後期は8月5日~9月15日まで。

「竹内栖鳳と京都画壇」展 講談社野間記念館

あっという間に3連休の最終日。
午後から、目白の講談社野間記念館と永青文庫(いずれも初訪問)をはしごです。

目白から都バスの乗車し、椿山荘で下車。野間記念館は、フラワーショップをはさんで、椿山荘のすぐ隣に位置していました。記念館の展示室は4つ、展示数は想像していたより多く満足できます。

第1室
展覧会タイトルに「竹内栖鳳」の名をいただいている割に、栖鳳の作品展示数は少ない。しかし、この第1展示室にある小品「兎」、「犬」そして「古城枩翠」で一挙にひきこまれる。


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古城はさほど大きな作品ではないが、墨色と水の青の絶妙なマッチングにより幽玄な雰囲気を漂わせている。いつの時代の皇居を描いたのだろうか。現代ではあり得ないような、のんびりとしたたたずまい。これが、第1室のマイベスト。

福田平八郎「双鶴図」。
福田平八郎の作品はどうも当たりはずれが大きいような気がする。この双鶴図は、きりっとしていると姿が良い。

堂本印象「清泉」。
京都画壇と言えば、堂本印象は外せない。彼の作風はコロコロと変わっているが、第1室の3点からも、特徴がつかみにくい。
暑さのせいか、水がらみの作品に目が行ってしまう。

第1室の作品群を見て、すでに満足。夏には日本画が涼を呼んでくれる。

第2室
ここで特筆すべきは、土田麦僊と「上村松園」。
ことに、前者の「春」は壁一面を覆うほどの大作。しかも画面に余白がないほどぎっしり、植物が描かれて、あふれかえる緑に圧倒される。
上村松園「十二ヶ月図」と「塩汲ノ図」。
「十二ヶ月図」はこの後に続く第4室でもずらりと精鋭のシリーズが並んでいるが、ここでは松園と伊藤小坡の美人画対決。
個人的には松園が好き。7月の「盆踊り」に描かれている女性のポーズ(バッチリ腰が入って、かっこいい)と12月の「降雪」が特に良かった。
「塩汲ノ図」は、妖艶な美人が絵に溶け入りそうな様子で描かれていた。

第3室
西山翠嶂 「金波玉兎」。
何と言うこともない兎を描いた作品なのだが、青の色遣いが不思議で印象に残る。そう言えば「兎」を描く日本画が多いのは師の栖鳳ゆずり?

山元春挙 「琵琶湖春色図」
できることなら、春に見たかった作品。過ぎてしまった季節を思い出すには余りある。

川村曼舟 「東山緑雨」
川村の名を知らなかったので、解説を見る。ひとつ前にあった山元春挙の高弟だとか。なるほど、師の画風を受け継いで、日本画らしい風景画。日本画は翠と青、この色が抜群に映える。

第4室
ここでは、山口華楊・上村松篁・福田平八郎・堂本印象・徳岡神泉・榊原紫峰・西村五雲の十二ヶ月図がずらりと並ぶ贅沢な空間。
野間コレクションはすごいと唸らずにはいられない。

さて、ここでの7名の中では、山口華楊、堂本印象、徳岡神泉が私の好み。
山口華楊は、この十二か月図だけの展示なので、じっくり眺めた。


全体として、名品が多いという印象を受けるとともに、記念館側の姿勢も好感がもてます。入口で、作品リストは言うに及ばず、作家1人1人の解説+主だった作品の解説集まで配布していただけます。
さらに、メンバーズカードなるものも頂戴し、中を見るとスタンプ2個で3回目の入場が無料になるという特典付き。
記念館の入館料は、この作品数と内容にしてわずか500円と大変良心的です。
展示室奥には、庭を眺めつつのんびりできる休憩コーナーもあり、これがカフェだったら言うことなしですが、自動販売機で飲み物を販売するのみなのがちょっと残念。
都会のオアシス的な美術館で、早くもお気に入りになりました。

次回企画展は、9月6日(土)より「川合玉堂とその門下」を開催。こちらも楽しみです。
なお、野間記念館は明日より9月5日まで休館となりますので、ご注意ください。

*本展は7月21日に終了しています。

高嶺格「The SUPERCAPACITOR/スーパーキャパシタ」 ARATNIURANO

新富町のARATANIURANOに初めて行ってみました。
地下鉄有楽町線新富町駅より徒歩数分。スペース自体はさほど大きくなく、むしろ手狭な感じを受けます。

その小スペースを使用して、高嶺格(たかみね ただす)さんの新作展「スーパーキャパシタ」を展開しています。
「スーパーキャパシタとは何なの?」という疑問にまずはお答えしましょう。
会場内の貼り紙、配布チラシによれば次の通り。

スーパーキャパシタは、電気を蓄えることのできる新しい蓄電装置、「電気二重層キャパシタ」の総称です。ウルトラキャパシタとも呼ばれます。
電気二十層キャパシタは、有機電解液とアルミや炭素を原料とした簡単な構造で、電池のように重金属をもちいないため、環境への負荷が少ないばかりか、資源枯渇の心配がありません。また充放電時のエネルギーロスが少なく、内部抵抗が非常に低いため、電池では不可能な瞬時の大電力の充放電も可能で、電池のように爆発を起こす危険性もありません。そして寿命は非常に長く、普通の電池の100倍以上は保つと言われています。

・・・と延々続くのですが、要はエネルギー問題、環境問題をテーマとして、専門外であることを自覚しながら、愉しくなるようなテーマパークみたいな世界を作りたかったのではないかと。

作品としては千代紙を使用した平面絵画やマヨネーズを使用した平面作品、ベニヤ?で作ったのかオブジェ等が出展されています。横浜トリエンナーレで見た衝撃の「鹿児島エスペラント」のような大がかりの作品を期待していくと、肩すかしとなるやもしれません。

他に、携帯待受画面になる画像のバーコードなども案内されていました。これはなかなかカッコいいです。


この後、11月には仙台で待望の国内個展が開催されるそうです。こちらは、今から楽しみ~。

*9月6日まで開催中

「アート・スコープ2007/2008」 原美術館

teriya

水曜の夜間開館と言えば、品川の原美術館。
久々に品川に行ったら、JR中央改札を出た正面がまたも大きく変わっているのに驚いた。
日々革新の品川。
訪れるたびに、ちょっとした未来都市感覚を味わう。

蒸し暑い夕暮れの街を目的地目指し、徒歩で向かう。
汗をかいたので、到着後一息つこうと鑑賞前にカフェ・ダールへ。
考えてみれば、原美術館にはこれまで平日に行くことなどなく、ランチをしたことはあるけれど、純粋にお茶だけってなかったかもしれない。
夜間開館ならあわよくば夕食を!と思ったけれど、お茶とケーキ、お酒しかメニューになかった。
2名以上ならシャンパン付のオードブル盛り合わせがオーダーできるようで、いいなぁ・・・と指をくわえつつ、展覧会にちなんだデザインケーキ(キャラメルムース)+コーヒーを頼む。

さて、おなかもほっとしたところで、展覧会へ。
「アート・スコープ」とはダイムラー・ファウンデーション・イン・ジャパンの文化・芸術支援活動の名称で、日本とドイツの間で互いに現代美術のアーティストを派遣・招聘し、異文化での生活体験・創作活動を通して交流をはかるのを目的としている。
原美術館は2003年より「アート・スコープ」のパートナーをつとめている。

本年度選ばれた4人のアーティストの顔ぶれは
日本 : 照屋勇賢 、 加藤泉
ドイツ : エヴァ・テッペ 、 アスカン ピンカーネル

日本勢は特に目新しいメンバーではないが、ドイツの2人は初めて聞く名前。

この4名のうち、もっとも印象深かったのは意外にも加藤泉であった。
正直申し上げると、この作家の作品は好みではない。ところが、原美の1階奥のギャラリーⅡを使用したことで、作品がよりひきたって見えた。何より、展示室に入った途端、木の香りに癒される。まさに、彫り上がったばかりなのか、木彫3点と油彩2点、木彫はいずれも割と大型の作品で新作であった。これまでの彫刻作品との一番の違いは(・・・と私が思った)目の材質にカラフルな小石を使用していたこと、種子、花がモチーフで使用されており、これが効果的に見えたことだと思う。

人物の目が石を使っているため、キラキラしていて美しい。親子像と種・花を併せて使用していることで、「生命」というテーマ性を感じた。


照屋勇賢は、豊田市美で2006年に開催された「GARDENS」に出品していたが、生憎当ブログの過去ログを検索したが、全く役に立たない感想しか出て来なかった。
どうも、この時の作品も印象が薄かったようだ。
で、今回はと言えば、オオゴマダラ(蝶の名前)の蛹を使用した「Dawn」。偶然にも、つい最近このオオゴマダラの金色に輝く蛹を目にしたばかり。よもや原美術館のアート作品の一部として再会するとは思わず、驚いた。
植物や蝶など自然素材を使用している作品だが、インパクトにかける。
なぜ、包丁と蝶の蛹の組み合わせとなるのか???

ドイツ勢ではエヴァ テッペの映像作品が面白い。
どこかで同じような試みを見たが、5人の表情変化を超スローで見せる作品「約束の掟」と「The World is Everything That is the Case]2分30秒のヴィデオ作品はまずまず。特に後者は、最後まで見られる内容。

アスカン ピンカーネル。建築と美術を学んでいるという経歴も頷けるような建物のドローイング。
何が面白いのか、どこがアートなのか、私にはさっぱり分からなかった。
先月群馬で見た磯崎新の完成建築のデッサンの方が余程アーティスティックだったと思う。


帰路、品川麺達の「せたが屋」にてラーメンをいただく。ちょっとスープが濃すぎるかな。

加藤泉さんのファンの方は、必見です。

*8月31日まで開催中。水曜日は夜8時まで開館。

「山田純嗣展 DEEP FOREST-既視感の森-」 日本橋高島屋 美術画廊X 

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西村画廊に行った帰り、目の前にある日本橋高島屋にて、山田純嗣個展「DEEP FOREST」を見て来ました。
今月号のフリーペーパー「art_icle」の表紙にて山田純嗣作品を見ることができます。何を隠そうこの「art_icle」での衝撃とこちらのブログ「弐代目・青い日記帳」でのご紹介により、足を運んだ次第。

さて、作品は白を中心としたモノトーン世界を構築しています。
印刷物では分かりづらいのですが、よくよく見ると細かなエッチングが施されているのが分かります。一見しただけでは、想像できませんが恐ろしいほど手間のかかる制作方法が取られています。

まず針金や竹ひごで原形を作り、石膏に漬けたり垂らしたりして周りを覆う。
次にそれらを設置して場面構成して撮影。
最後に銅版に描線を彫り、先程の写真印画紙の上にプレス機で刷る。
これら独自に生み出した一連の工程を作家自身は「インタリオ・オン・フォト」と呼んでいる。
~「arti_cle」から抜粋。

個人的には、立体作品の配置とエッチングの出来、この2つのバランスが上手くとれているかどうかで作品の良し悪しが左右されるように感じました。
たとえば「CAFE08-4」「CITY07-29」が、バランスの良い代表作品。やはり、既に買い手がついていました。

実際に見た方が、なぜかインパクトが薄く感じたのは我ながら意外で不思議でした。色に惹かれやすい私には、ちょっと単調だったのでしょうか。
いずれにせよ、この独自性は特筆もの。名古屋在住のアーティストさんでもあるし、今後の活動が楽しみです。

*日本橋高島屋の展示は15日で終了しています。
八重洲:不忍画廊での個展は今月19日まで開催中。

「ロン ミュエック」展 金沢21世紀美術館

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豊田市美術館「インベッド」展、東京現代美術館の「カルティエコレクション」展で驚異の巨大人間彫刻を繰り出したロン・ミュエックの日本初の個展が金沢21世紀美術館で開催されています。

約10点と展示数は少ないように感じますが、ひとつひとつの大きさが半端ではないので、十分満足いただけることでしょう。

過去に見た作品もある中、一番印象に残っているのは新作「ガール」(冒頭画像)。
しわしわの胎児はへその緒までしっかりくっついていて、母親の経血の痕跡が生々しい、リアルすぎるリアルさです。
実際ではあり得ない大きさで対象を具現化することで、鑑賞者に不安感を与える手法と申しましょうか。
気味が悪いんだけど、見たい。
彫刻達がとっているポーズにも着目です。

「ガール」であれば、手足をつっぱらせつつ引き攣った顔の表情は何とも生々しい。
こちらが見ているのか、逆に見られているのか、不思議な錯覚を引き起こします。

肌から透き通って見える血管、毛穴、ひとつひとつが忠実に再現されているので、ついついどこかに間違いがないか探したくなります(無論、そんなものは見つかりません。。。)。

会場では、ミュエック氏の制作過程などが紹介されている映像も放送されていました。

*8月31日まで開催中です。

「対決 巨匠たちの日本美術」 東京国立博物館 

アート系ブロガーの皆様のプレビュー感想に煽られて、辛抱たまら~んとばかりに行って来ました「対決 巨匠たちの日本美術」。
開館15分過ぎに到着しましたが、列もなくスムースに入場。が、入口すぐの『運慶・快慶」対決のコーナーに相当の人だかりが。。。これでは、先が思いやられますが、ここを通り過ぎると、後は順調に流れますのでご安心を。

場内に3箇所、ここにずっと留まっていたいポイントがありました。
1.右手に等伯「松林図屏風」左手に永徳の花鳥図襖(梅に水禽図)
2.右に応挙の「猛虎図屏風」、左に芦雪の「虎図襖」(無量寺蔵)、背中に光悦と長次郎の茶碗
3.右手に若冲「仙人掌群鶏図襖」、左角に蕭白「群仙図屏風」、振り返ると蕭白「唐獅子図」。

これって、ステーキとしゃぶしゃぶとすき焼きを一度に出された状態に近い。最終コーナーで待ち受けていた大雅×蕪村、大観×富岡鉄斎の対決はお茶漬けと漬物のように感じてしまいました(ファンの方無礼な表現ご容赦くださいませ)。


さて、個人的な勝負結果とコメントは次の通りです。

<運慶×快慶> → 快慶の勝ち
地蔵菩薩1点のみの対決だったが、優美かつ錐金紋と着彩の残る地蔵菩薩を残した快慶に軍配。

<雪舟×雪村> → 雪村の勝ち
雪村の作品を私はこれまで見たことがなかったのだろうか。。。「呂洞賓図」(大和文華館蔵)に打ちのめされた。龍に乗ってどこまでも行ける気がする作品。自由奔放な想像力を持つ雪村が好み。

<永徳×等伯> → 等伯の勝ち
個人的嗜好、これに尽きる。「松林図屏風」、下絵かもしれなくても、この作品が好き。
ただ、今回の永徳作品「花鳥図襖」と本邦初公開「松に○○鳥、柳に白鷺図屏風」は良かった。
でも、やっぱり等伯。

<長次郎×光悦> → 光悦の勝ち
光悦に有利すぎる展開ではなかろうか。ま、こちらも好みによる所は多いと思うが、宗達との共作「鶴下絵三十六歌仙和歌巻」(以前から好き)まで楽茶碗にまぎれこませたら、ずるい。
楽茶碗単独で比較しても、やっぱり光悦かなぁ。

<宗達×光琳> → 宗達の勝ち
こちらも宗達に有利な展開だったと思う。光琳の代表作「紅白梅図屏風」などを出されていたら、また違った結果になったやもしれない。
ここでの個人的目玉は「蔦の細道図屏風」(相国寺)。相国寺は若冲や応挙のみならず、このような作品も所蔵していたのか。モダンな意匠、デザイン。その潔さとセンスに脱帽。

<円空×木喰> → 円空
いずれもあまり好みではない。強いて言えば、円空。

<応挙×芦雪> → 甲乙つけがたい。引き分けとしたいが、芦雪の勝ち。
もう、この師弟対決は本当に素晴らしかった。よくぞ和歌山串本からこの「虎図襖」を運んで来てくださった。「山姥図」「海浜奇勝図屏風」など、芦雪の自由な筆運びを存分に堪能。
対する応挙も負けてはいない。「保津川図屏風」は応挙絶筆とされるが、この人ほど河の流れを上手く書ける画家はいるのだろうか。ただただ、溜息。

<仁清×乾山> → 引き分け
どちらもそれぞれの良さがあり、いずれも好きなので選べず。香合対決も技の仁清、と図柄&書の乾山で甲乙つけがたし。

<若冲×蕭白> → 今回は蕭白の勝ち
ずっと見たかった蕭白の「群仙図屏風」と「唐獅子図」に感動。もちろん若冲の「仙人掌群鶏図襖」の躍動感あふれる、雛鳥まで描いた作品も捨てがたいけれど、蕭白の勝ち。

<大雅×蕪村> → 蕪村の勝ち
個人的な好みで蕪村。でも、大雅のすっきりした作品も良い。南画はどっちでも良い。

<歌麿×写楽> → 歌麿の勝ち
どう考えても歌麿。もう少し退色していないものを見たかったけど、歌麿の名品がずらり。

<鉄斎×大観> → 鉄斎の勝ち
並んでいた作品に問題があるような。どう考えても鉄斎。


会場を出て噂のガチャガチャにトライ。
4つガチャガチャの機械が並んでいた。4つのグループに分けられているように思い(貼られていた紙がそれぞれ違った)、私は永徳か等伯、失敗しても運慶、快慶なら良いかと左端を選んだのだが、出てきたのは、さて誰だったでしょうか?
何と「芦雪」の坊主姿が。。。。。中に入っていた解説はなぜか「永徳、等伯、運慶、快慶」。これってどうなってるんでしょうか。

1階に、山口晃さんの原画があったけれど、2階の喧騒をよそに閑散としていた。さしもの山口さんも古の天才たちには勝てないのか。

*8月17日まで開催中。お早めに。

「町田久美 Snow Day」  西村画廊 

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「ことほぎ」 2008

本当に久しぶりに、日本橋の西村画廊に行って来た。
お目当ては、もちろん話題沸騰中の「町田久美」展。
2004年に同じく西村画廊で開催された「日本画二人展 町田久美・中村ケンゴ」で初めて町田さんの作品と出会う。
日本画の現代アートを見たのは、これが初めてだったので、雲肌麻紙の質感や岩絵の具の輝きが新鮮で、特に町田さんの場合、雲肌麻紙をバックにうまく素材を活かしているなという印象を持った。
ただ、作品に描かれたものが不気味で怖くて、私の好みではなかった。

にもかかわらず、翌2005年またも西村画廊で「町田久美 a Sade-サドに」の個展を見に行っているところからすると、どうも気になる存在であったようだ。
この「Sade展」で見た作品は、今でも記憶に残っている。サド侯爵シリーズは、今よりもっとイラストっぽいと言ったら失礼だろうか、キャラが際立って、線が細かった気がする。
今回の「Snow Day」fでも画廊最奥のスペースに初期の作品が数点展示されていたが、ちょっと懐かしく感じた。

それらと今回の新作を比較すると、やはり町田さんの作品はどんどん洗練され、純化されてきたように思う。
「ことほぎ」「雪の日 Snow Day」での赤色が冴える。輪郭線となる墨の線も、より太くはっきりとしっかりしてきた。
ちょっとした町田さんご本人の自信を感じてしまう。

ちょうど、画廊を訪れた際、町田さんご本人もいらっしゃっていて、台湾のコレクター(2人)とオーナーとでお話をされていた。噂通りの楚々とした美しい方でした。

さて、大作にまじり新境地を見せていたのが14×18㎝の小品。思わず同じく西村画廊の扱作家である小林孝亘氏の作品を思い出してしまった。画材は違うけれど、対象のとらえ方、構図が似ている。
「イヌ Dog」などは、小林氏の作品にも登場するけれど、画面上の犬小屋の配置がそっくり。

描かれるものが以前と違って馴染みやすい。ギャラリストさん曰く「ニュートラル」になってきたとのこと。なるほど、ニュートラルっってぴったりだ。個人的には好みに合ってきたけれど、なんだか町田さんの毒気が抜けてしまったようでちょっと寂しくもある。

この小品は、お値段25万円。
大きな作品に比べると、飾りやすいことは間違いない。

個人的には「オモチャ Toy」と「通路 Path」が気に入った。

6月28日からは町田氏の地元となる群馬県高崎市タワー美術館で「Kumi Machida ことばを超えて語る線」も同時開催中。怖いもの見たさで近々行ってみようと思っている。

*8月2日まで西村画廊にて。

「塩田千春 精神の呼吸」 国立国際美術館

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大阪の国立国際美術館で開催中の「塩田千春 精神の呼吸」展を見て来ました。
会場である地下2階の展示スペースに降りて行くと、そこで目にしたものは、赤い毛糸で結ばれた約2000足の履きふるされた靴たち、作品タイトル「大陸を越えて」。
放射線状に広がる毛糸と靴の群れが、圧倒的な力でこちらに迫ってきます。

一足一足には、靴にまつわるエピソードが出品者によって書かれ、靴と一緒に展示されていて、ひとつひとつ読んで行くのも楽しい。
HP上で、今回の展覧会のために靴を集めていることは随分前から知っていて、ひところ私も送ろうかと思っていたのに、いつの間にか忘れてしまっていました。
こんな素敵な作品になるのなら、私の靴も一足仲間入りさせたかったなと思っても後のまつり。
そう言えば、靴にまつわるエピソードが浮かばなかったのだった。

靴の墓標も、これほど美しく、しかも仲間がたくさんいたら本望ではないでしょうか。
ベルリン、ポーランドと同様の展示は今回で3度目ですが、2000足の靴は過去最高数とのこと。
作家だけでなく、それを支援し協力した方々との共同作品です。

右手スペースでは、こちらも巨大インスタレーション「眠りの間に」が。
こちらも糸、今度は黒糸とベッドを使用したクモの巣のような作品。
どの作品にも一貫して言えるのは、時間の経過や過去の記憶を提示していること。

壁には、横浜トリエンナーレ2001で展示された「皮膚からの記憶」が、ぶらさがっていますが、こちらもすごい。巨大ドレスに泥とシャワーで加工し、使い古した感を出しています。


塩田作品は、愛知県美術館で「愉しい家」(2006年)という展覧会で旧東ベルリンの解体されるビルや廃屋から集めた多数の「窓」を組み合わせた小屋のインスタレーションを目にしたのが初。
その作品だけでは、何を言わんとしているのか汲み取れませんでしたが、今回の展覧会でようやく彼女の目指すもの、表現したいものが何であるかが分かったような気がします。

映像作品「落ちる砂」も時間や崩壊を表現していて、はかなく朧げでした。

何とも存在感のある国際派アーティストだと思います。

*9月15日(月・祝)まで開催中です。

「国宝 法隆寺金堂展」 2回目 奈良国立博物館

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何もそんなに足しげく通うことはないのに・・・と思いつつ、やはり行かずにはいられない、そんな我が身が悩ましい。
と言う訳で、7月5日(土)に四天王像四体そろい踏みを目当てに、奈良博へ再訪してきました。
1回目の記録はこちらをご覧いただければと存じます。
http://memeyogini.blog51.fc2.com/blog-entry-310.html

さて前置きなしで、結論から申し上げますと。「四天王像は4つ並んでこそ初めて良さが分かる」ということです。
2体では感じられなかった、4体並「飛鳥パワー」、「飛鳥オーラ」のようなものを辺り一面に発しているのを感じます。
場の力というのは恐ろしいもの。
4体をそれぞれ見比べると、微妙な違いも分かって、これまた楽しい。

1体ずつの大きさは、むしろ仏像の中では小さめと言えるし、お顔ものっぺりとした独特のもの。妙に丸っこい身体付を見ていると、後年に制作される四天王とは大きく異なります。
仏というより、身体だけ見ていると人間っぽさを感じてしまいます。

背後、斜め、真横、正面、様々な角度から四天王像を熟視していると、飛鳥時代へタイムスリップしたかのような気にさえなってきます。

この4体がそろったことで、会場が大きく引き伸ばした金堂を再現し、観客は金堂内に踏み込んだかのような体験ができるのではないでしょうか。欲を言えば、2体の四天王像と入れ替わりに展示替えされた吉祥天もぜひ一緒に並べていただきたかったです。

2度目は正面左側の金堂壁画もじっくり鑑賞してきましたが、右側に比べ、損傷が激しく見づらいのですが、アジア各地の影響を受けた仏像は、印刷とはいえ見事。

最後に前回見落とした場外出てすぐのグッズ売り場にて3D四天王像はがき(350円)をGET.
この3Dはがき、地下通路にあるミュージアムショップでは見つけられませんでした。

さて、展覧会の混雑状況ですが、この日は10時過ぎに入館。スムーズに入場できましたが、前回よりわずかに混んでいたように思いますが、押し合いするほどではありません。

近鉄奈良駅構内の近鉄営業所では、お得な前売り切符を発売中で、当日券より200円引きです。

*7月21日まで開催中。

「岡鹿之助展」 ブリヂストン美術館

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会期末の駆け込みで、慌しく見て来ました。
今回の「岡鹿之助展」は、ブリヂストンの誇る常設スペースを大きく使っての展覧会。昨年だったかセザンヌの展覧会時とは逆のスペースの使い方でした。

さて、展覧会は
1章 海
2章 掘割
3章 献花
4章 雪
5章 燈台
6章 発電所
7章 群落と廃墟
8章 城館と礼拝堂
9章 融合
の9部構成になっています。
印象に残ったのは、「雪」を描いた風景の数々と3章「献花」で展示されているお馴染みパンジーたち、そして8章「城館と礼拝堂」のわずかに魁夷作品を思い出させるモチーフ作品。

岡鹿之助は不思議な絵を描きます。
たとえて言うなら、日本の素朴派でしょうか。
点描らしからぬ点描画ゆえに、作品が醸し出す雰囲気は詩的で茫洋としています。

マイベストは「水辺の城」1968年と「朝の城」1670年。特に前者は作品前に椅子があったので、座ってじっくり眺めることができました。
水にうつる朝靄の中の城の風景が幻想的です。

この展覧会雑誌「ギャラリー」では、ワースト3にランクインされていましたが、どうしてでしょうか?
個人的な好き嫌いは別として、悪くない内容だったと思います。
岡鹿之助の作品を観る前に、鑑賞者はブリヂストン所蔵作品で本展に関係のある作品がまとめて展示されていました。ボナール、デュフィ、アンリ・ルソーなどの作品は、後ほど鹿之助作品を見ている際に浮かんできた作家達です。

*展覧会は7/6で終了しています。

「芸術都市 パリの100年展」 東京都美術館

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モローの作品を見ておきたかったので東京都美術館で開催中の「芸術都市パリの100年展」へ行って来ました。
お客様の入りは、会期終了近いにもかかわらず、それほどでもありません。
今年は、日仏修好通商条約締結以来150周年にあたるということで、ルーブル、オルセー、カルナヴァレ、マルモッタン、プティパレ、ロダンなど世界的に有名なこれらの美術館より出品協力を得て、油彩、彫刻、素描、版画、写真など約150点で1830年代~1930年代の近代フランス100年の芸術を回顧する内容です。

印象に残った作品は次の通り。
・ポール シニャック 「ポン・デ・ザール」 1928年
・ジョルジュ ダンテュ 「トロカデロ公園、サイ、雪の印象」 1933年
・モーリス ユトリロ 「ベルリオーズの家」「コタン小路」
ユトリロの白はとても印象的だった。アルコール中毒となっていたのに、なぜこんな端正な絵を描けるのだろう?
・ガブリエル ロッペ 「エッフェル塔の落雷」
・ラウル デュフィ 「家と庭」 1915年
・レオナール フジタ 「無題」 1920年頃 パリ市立近代美術館
この少女像、以前にどこかで見た記憶が。
・マルセラン デブータン 「乳母車」 1880年頃 ファーブル美術館
・ヴィクトル ユゴー 「嵐の古城」 1837年
ユゴーが絵を描くとは知らなかった。てっきり文筆業だけかと、多才な人であったのか。
・ウジェーヌ カリエール 「アナトール・フランスの肖像」 カルナヴァレ美術館
・テオドール ルソー 「森のはずれ」 ファーブル美術館

そして、一連のモロー作品全5点。
未完なものがほとんどでしたが、通常国内で見られる作品より大型な作品で、これだけでも来て良かったと思います。
ことに「レダ」(2点)と「「デリラ」は素晴らしい。
いつか行ってみたい「モロー美術館」です。

束の間、フランスにいるような気分を味わえます。知らない作家の作品を見るというのも楽しいもの。

*7月6日まで開催中。

「大岩オスカール 夢みる世界」 東京都現代美術館

オスカール

大岩オスカール氏の作品を初めて見たのは、確か豊田市美術館だったと思う。今回の展覧会にも出品されていたが、「エイジアン・ドラゴン」(豊田市美術館蔵)で間違いない。
豊田市美の広く天井の高い空間に負けない作品で、オスカールという一風変わった名前と共にインプットされた。

そして、月日は流れついに日本初の個展。初期から最新作まで約70点の本展は、とても満足の行く内容だった。
展示の方法もなかなか。
最初の導入部は小さく見せておいて、ここでは「バナナ」1984年がお気に入り、次の部屋でどっか~んと「クジラⅠ」「クジラⅡ」を正面からでなく、横に並べていたのが良かった。
この展示方法によって、クジラ(実は最初潜水艦だと思っていた)が自分に向かって来る錯覚を覚える。この緊迫感がたまらない。

次に、「ハチ公のレントゲン」が置かれていた展示室で一番目を惹いたのはガスマスク付けた犬と風船のインスタレーション。風刺がきいている。

風刺というのが、大岩オスカールらしさと言っても良い。ただ大きい、メカニック的、カラフルさだけではないプラスアルファの風刺があるからこそ、美の裏に潜んだ意味を考えてしまうのだろう。

続く展示室で「野良犬」「ガーデニング」シリーズ等の大作群をじっくり拝見。
やっぱり良いなぁ。

最後は最新作「総理大臣の夢」で悪夢を絵画化してくれていた。

ご本人出演の映像インタビューとパブリックアートが2階で紹介されていた。パブリックアートはともかくインタビューの内容は彼の作品を理解する上で参考になる内容であった。

*7月6日まで開催中。

MAMアートコース第2回 「現代アートを買ってみる?ーアートマーケットの最新情報」

昨日、森美術館アカデミーヒルズで開催された掲題講演会に参加した。

以下森美術館HPからの引用
アートを「見る」だけではなく、身近な生活空間に取り入れるとしたら? アートのPRやファンドレイジング活動で活躍する辛美沙が、現代アートを「買う」ことの楽しさやその方法について、世界のアートマーケットの最新情報を交えながら語ります。
日時:2008年6月30日(月)19:00─21:00
出演:辛 美沙(アートフェア東京 エグゼクティブディレクター/Misa Shin & Co.代表)

辛 美沙
アートならびに建築関連プロジェクトのコンサルテーション及びマネージメントに関わる。1990年から1999年にわたりNYでの画廊運営、アートのPR及びファンドレイジングに関わる。その後拠点を東京に移し、アーティスト・イン・レジデンスの運営、森美術館等を経て現職。2000年から2008年まで、東京芸術大学においてアートアドミニストレーションの教鞭をとる。ニューヨーク大学大学院芸術経営学修士課程修了。


で、感想はと申しますと、上記で案内されている講演内容と乖離していたかなと感じた。その最大の要因は、講演内容が散漫になってしまっていて、最後まで単に「世界のマーケット情報」と「アートと様々なマーケットの関連性」といった巨視的視野での内容で、そのどれもが浅く広く語られるため、今更な~というお話も多かった。
どうせ、辛さんをお呼びするならもっと狭く浅くアートフェアの裏側や資金調達について語っていただいた方が余程面白かったのではないかと思う。

とどのつまり、最後まで何が印象に残るということがないのが残念。
強いて言えば、中国アート市場は過熱しすぎで危険ということだろうか。

最後の最後でアートと政治的市場との関連性がわずかにとりあげられ、これが一番興味深かったけれど、あまりに短すぎて。。。尻すぼみ。

帰りに、お土産としてアートフェア東京用に作成された布エコバックと「ART BOOK vol.1」が配布される。この小冊子の方がテーマに沿った内容で、さらに懐疑的な気持ちになった。
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