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「演劇博物館80周年名品展」 早稲田大学坪内博士記念演劇博物館

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都の西北、早稲田大学キャンパスへついに足を踏み入れた。
何しろ早大と言えば、かつて私の憧れの大学であった。高校時代、なぜかラグビーが好きだった私は学生王者を同志社と共に争っていた早大、甲子園で荒木大輔が大人気だった頃である。
結局関東の大学を受験せず、この日までご縁のない大学になってしまった。

東西線の早稲田駅を下車して、早大まで早くも道に迷ったが、大隈講堂らしき建物を見つけた時には、これがかの有名な時計台!
それにしても、キャンパスが広い!
肝心かなめの演劇博物館がどこなのか、皆目見当がつかない。更に、この日は休日だったにも関わらずお祭りのようなイベント(ホームカミングとか言う、OB・OGのための催しだった)のために、学生とは思えない中高年がやたらと沢山構内にいる。

結局、ビラ配りをしていた女学生の方に、道をお尋ねしたら親切にも私を演劇博物館まで連れて行って下さった。彼女もようやく構内に慣れてきたと話していたので、恐らく今年の新入生に違いない。
おかげで、しばらく歩いて目指す演劇博物館が見えて来た。
これが驚いたことに、庭園美術館のような見るからに歴史的建造物といった佇まい。

演劇博物館は、昭和3年に坪内逍遙の発案で、エリザベス朝時代、16世紀イギリスの劇場「フォーチュン座」を模して今井兼次らにより設計されました。正面舞台にある張り出しは舞台になっており、入り口はその左右にあり、図書閲覧室は楽屋、舞台を囲むようにある両翼は桟敷席になり、建物前の広場は一般席となります。このように演劇博物館の建物自体が、ひとつの劇場資料となっています。
~博物館HPより

相変わらず下調べの甘い私は、行って初めて建物だけでも凄いことが分かったのであった。

そして、本題。
今回は、日本で唯一の演劇博物館である同館設立80周年を記念しての名品展。
建物に入ると古式ゆかしい建物の風情が満載。ランプ然り、床、柱、階段、全ての意匠が洒落ている。
名品は、全ての展示室に並んでいたが、メインは2階の企画展示室Ⅰ。
今回の一推しは、花柳章太郎の「いたづら帖」や舞台衣装の帯。
花柳は、新派を代表する女形役者であったが、絵ごころもあり絵日記のような「いたづら帖」は見ているだけで楽しい。全ページ見たくなるが、ガラスケースの向こうにあってはそれもできな。
帯は、かの小村雪岱、奥村土牛、木村荘八の手書きである。こんな著名な画家に直接帯路に絵を描いてもらうとは、羨ましい限り。

舞台衣装と言えば、他にも面白いものがゾロゾロ出ていた。
二代市川左団次使用「ジュリヤス・シーザー」アントニヤスの衣装や越路吹雪着用のリサイタルドレス・ニナリッチデザインなどなど。
越路吹雪のドレスは、1着:当時400万~500万だそうで、ドレス丈や全体の大きさからして、越路吹雪は小柄な女性だったのだなと感じた。

演劇博物館は、浮世絵も多数所蔵しているが、今回はごくごく一部しか展示されていなかったのが残念。絵画では「男舞図」、板に描かれている非常に貴重な作品が印象的だった。

もうひとつ。1919年にハリウッドに渡り1924年にモンゴルの王子役などで映画出演を果たした上山草人の存在だ。
大正時代にハリウッド進出を果たすとは、恐れ入った。
彼の映画ポスターや映画会社との出演料が記載された契約書などが展示され、とても興味深く拝見した。

演劇、歌舞伎、バレエに映画、いずれにも疎い私でも楽しめるバラエティに富んだ展示であった。

*11月3日まで開催中。入場無料です。
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「スリランカ 輝く島の美に出会う」 東京国立博物館 表慶館

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感想を書きづらい展覧会というものは、意外に多い。この展覧会もそのひとつであった。

スリランカはその昔セイロンと呼ばれていて、セイロンティーでお馴染みの紅茶で有名なお国柄である。隣国がインドなので、ヨガやアーユルヴェーダも行われている。文化的にはインドに限りなく近いというのが私のこれまでの知識。

そのスリランカの文化を僅かながらに伺う機会に恵まれた。向かうは東博表慶館。
今回は、表慶館の2階展示室も使用しての展覧会だった。表慶館には上京してから数度足を踏み入れたが、2階まで上がったのは今回が初めてで、改めて壮麗な建物ぶりに感動する。

展覧会は時代順の3部構成。
第1章 アヌラーダプラ時代(前3世紀~後11世紀)
第2章 ポロンナルワ時代から諸王国時代(11世紀~16世紀)
第3章 キャンディ時代とそれ以降

やはり仏像好きとしては、第1章、第2章の様々な諸像群に注目した。どういう訳か如来坐像がほぼ同じ大きさ、かつ、そっくりの形で、金太郎飴のごとく並んでいた。
今回の出展作のほとんどはスリランカの首都コロンボにあるコロンボ国立博物館からの出展。この如来座像も同博物館が所蔵している。

・「ヤクシニー」4世紀 ジェータバナ博物館蔵
ヤクシーは男神、ヤクシニーが女神で、古代インド神話に登場する鬼神。のちに仏教に取り入れられ護法善神の一尊となった。神と仏の差は肉体なのか?
ヤクシー像は、女性を強調したグラマラスなお姿をしている。豊穣や子孫繁栄の象徴なのだろうか。
神が仏教に取り入れられた例としては、来春東博にお目見えする興福寺八大衆もその一つ(いや、八つか)。

・観音菩薩坐像  9世紀 コロンボ国立博物館蔵
エキゾチックという表現はあてはまらない。やはり、日本の観音菩薩像とは違う。
くつろいだ雰囲気がとても良い。親しみやすい雰囲気を持つ。

・カーマとラティ立象 9世紀 コロンボ国立博物館蔵
男神と女神がそれぞれ背中合わせで張り合わされて一体となっている。
両神とも違和感を感じさせず、実にうまく作られている。珍しい。

第2章ボロンナルワ時代から諸王国時代
ここでは、ヨガで馴染み深いインドの神像にお目にかかれる。

・「ガネーシャ坐像とヴァーハナ」 コロンボ国立博物館 12世紀
ベストセラー本にもなった象姿をしたガネーシャと寄り添うように置いてあったネズミのヴァーハナ。
ガネーシャはともかく、ネズミは大きくてそれとは見えないのがご愛敬。

・「スーリヤ立像」  コロンボ国立博物館蔵 12世紀
太陽神像。ヨガの太陽礼拝「スリヤナマスカラ」のスリヤであろう。
そうか、ヨガのポーズはこの太陽神に対して礼拝している一連の動きなのだった。
そう言えば、ここ最近太陽礼拝のポーズしていないことを思い出す。

第3章 キャンディ時代とそれ以降
時代が新しくなるにつれ、ちょっと関心が薄れる。
ここでは、仏像よりも風俗、文化を示す工芸品、装飾品が展示メインとなっていて、ごった煮状態。
耳かきは万国共通同じ形態なのか。日本の耳かきとほぼ同じ形状であった。

寺院壁画の写真パネルが沢山展示されていたが、ちょっと臨場感には欠けた。
実際はもっともっと大きく素晴らしい遺跡であるのに違いない。もっと良い見せ方があったのではないかと思う。

*11月30日まで開催中。

「線の巨匠たち アムステルダム歴史博物館所蔵 素描・版画展」 東京藝術大学美術館

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美術好きな方の間で評判の良い「線の巨匠たち アムステルダム歴史博物館所蔵 素描・版画展」を見て来ました。
バロック、フランドルとまだまだ西洋絵画は不勉強で、知らない作家も沢山。

第1章 イタリア・ドイツ-ルネサンスからバロックの素描・版画
ここでは、チラシにも掲載されているフランチェスコ・サルヴィアーティ作の次の2枚が、断然良かった。

・「目を閉じる女性」
ふくよかな頬、長いまつげ、静かに瞳を閉じる女性の顔だけを描いた作品。飽きずにずっと眺めていたくなる。わずかに微笑んでいるようにも見える。

・「二人のプットーと天蓋、花環」
こちらは、ちょっと賑やかな作品。プヨプヨしたプットーのお肉はつまみたくなる。

第1章ではもう1枚。
アルブレヒト・デューラー「聖エウスタキウス」
この巨匠の手になる版画や素描群を一度に見たいのだけれど、なかなか機会に恵まれない。
今回1枚出会えただけでもめっけもの。やはり、力強く上手い。
そして、この作品では角の間に磔刑のキリスト像を生やした鹿が描かれている。これは宗教画でよく出てくる鹿なの?
何も角の間からキリスト出さなくても・・・と思うのは私だけだろうか。西洋宗教画にありがちな、隠喩表現の一種なのか。


第2章 「黄金の世紀」の夜明け -17世紀のフランドル・オランダ素描
この章では、ルーベンスやアントニー・ファン・デイク、ランペルールの素描が出ている。
ことさら、これが!という作品には巡り合えなかったけれど、全体的に質は高い。
ヤン・ブリューゲルの作品が気になっている昨今、本家本元作家自身の肖像画は興味深く拝見した。

アーフェルカンプの「風車のある冬景色」はオランダらしい1枚。

第3章 「黄金の世紀」のオランダの素描芸術

様々な素描作品が並ぶ中、注目したのは画材。一口に素描といっても、チョークで描いたもの褐色インクを使用したもの様々である。
メモを取らずに見たのがいけなかったが、ここでチョークを使ってここまで描けるの?!といった作品に出会った。
褐色インクも黒とは違って、味わいがある。
色のない素描や版画世界だからこそ、線の重要さが際立ってくるように思う。

第4章 レンブラントのエッチングの受容とレンブラント像
一番のお目当てレンブラントの版画作品。
ここでは10点出展されていた。やはり昨年の名古屋ボストン美術館で開催されたレンブラント版画展とは比較にならないほど、寂しい内容だったが、100フルデン版画にも再会できたし、良しとする。
でも、レンブラントのエッチングはこんなもんじゃない~と叫びたくなってしまった。

「クレメント・デ・ヨンゲ?の肖像」は版画作品と銅板が揃って展示されていた。銅板画は、木版と比べて版が傷みにくく、保存もしやすいのだろう。江戸時代の浮世絵の版木など、めったにお目にかからない(そもそも残ってるものがあるのか?)のに。

第5章 「黄金の世紀」への憧憬 -18・19世紀のオランダ素描と素描コレクション
エピローグ:芸大所属のオランダ近代水彩画
オランダ旅行の帰国の際、空港美術館で見たような風景画が、何枚かあったけど、どれがというものはなかった。

特集展示 19世紀日本の風景表現を中心に
なぜか、唐突に日本の風景画がずらり。オランダ風景画との比較にしては、あまりに違いがありすぎる。
高橋由一がぞろぞろ出ていて、しかも未見のものばかり。やはり、由一沢山持ってらっしゃるようですね。
亜欧堂田善「江戸街頭風景図」や司馬江漢「二見ガ浦図」などの良い作品が出ていたのは、めっけものだった。

*11月24日まで開催中。

「ピラネージ版画展2008-未知なる都市の彼方へ-」 町田市立国際版画美術館

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「ポポロ広場」1750年 404×547ミリメートル エッチング 町田市立国際版画美術館所蔵

町田市立博物館の日本画展の後、同じく町田市立国際版画美術館へ向かった。
両館がもう少し近いと良いのだが、一旦町田駅(バスターミナルで下車した方が良い)に戻り、版画美術館までは、徒歩で向かうことになる。
結局、同じ市内でありながら、30分程度移動に必要なのは不便。

ジョヴアンニ・バッティスタ・ビラネージ(1720-78)は、イタリアのヴェネツイア近郊で生まれ、ローマで活躍した版画家です。建築家・考古学者でもありました。ローマに深く魅せられたピラネージは、壮大な古代のモニュメントを銅版画によって紙の上に築きました。また、「トレヴイの泉」や「スペイン広場」など、ローマのさまぎまな名所の姿も描きました。ヨーロッパではこの頃、名所旧跡を訪ねる旅行、名づけて<グランド・ツアー>がブームでした。ビラネージの版画は“永遠の都’’として名高いローマに憧れ訪れる人々に競ってもとめられ、その名声はヨーロッパ中に広まりました
~博物館企画展HPより抜粋。

展覧会は、以下の3部構成。作品数は約200点と多いのに、作品リストが準備されていなかったのが残念。
Ⅰ.過去へのまなざし
Ⅱ.彼方へのまなざし
Ⅲ.ローマの風景

一見して思ったのは、版が大きいこと。ことに目をひくのは、書籍の扉絵で、構図、精密ぶりが圧倒的で、一番印象に残っている。

ピラネージの版画は、技法的に細かい、遠近法に優れていること、実際の風景ではなく、彼の中での理想化された風景を版画作品として残したことに意義があるのだろう。
ただ、全作品を見てちっとも感情的な揺さぶりを感じなかったのは私だけだろうか。
情感的でなく、どこか即物的なのだ。
人物も描かれているが、表情に乏しく、ただそこにいるだけといった感じがする。

愛する古代ローマの姿を次々に作品として残す。自身の喜びでもあったに違いない。
作る喜びにあふれていたということは、感じられた。

ピラネージ作品がツアー客に好まれて買われて行ったというのは、旅先で買う絵ハガキ、ガイドブックと同じ類いと考えても良いのだろうか。
実際以上に、美化されているのだから、写実を超えた空想というべきか。

どこか職人的なものを感じた。

*11月24日(月・祝)まで開催中。

Gallery MoMo 両国 「Opening Exhibition」

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ギャラリーMoMoと言えば、人形を使った映像アートでお馴染みの村田朋泰さんの扱い画廊ということで、以前から気になっていた。平塚でのこの春の展覧会と同時に、六本木のギャラリーMoMoでも個展が開催されていたので、行こう行こうと思っていたのに、結局行けずに終わった。

そして、そのギャラリーMoMoが両国の江戸東京博物館近くに2店舗目をオープンさせたという情報を知って早数か月。
もう少しで、こちらも見逃す所だったが、「はろるど・わーど」さんが最終日前日に記事をアップして下さったおかげで、思い出し慌てて最終日に行って来た。長かったな、珍しく。

さて、JR両国駅東口からは徒歩5~7分。江戸東京博物館とは清住通りを隔てた向かい側。日が暮れてからだったので、ビルは青色のタイル張りらしいが、暗くて分からず、少し迷ってしまい、ガラス戸の向こう側に、作品を見つけた時にはほっとした。

はろるどさんのお写真で見た通り、ギャラリースペースとしては奥に長く延びて、割合に広い空間。
六本木の店舗は、こちらの3分の1だそう。
白い壁に白い床、天井は黒と、メリハリのある仕上げになっていた。

さて、オープニングということで、主な取扱作家の作品がほぼ1点ずつ出ていたので、展覧会方式で楽しめた。
村田さんを除いて個人的な好みで気になったのは、次の7名。気になった順。
・大谷有花 
・坂本トクロウ
・奥田文子  ⇒ 25日から六本木のギャラリーMoMoで個展開催中。
・根上恭美子 ⇒ 彼女の彫刻はもう少し見てみたい。
・中矢篤志
・石庭美和
・早川知加子 ⇒ 好みからは一番外れるけど、何か気になる。

私の好みには合っている画廊さんのようなので、今後も定期的におじゃましたい。
広さも十分だし、これなら足を運ぼうというもの。

肝心の村田さんは、来年もまた同ギャラリーで個展の予定があるとのこと。
こちらも楽しみ。

六本木の奥田さんの個展も気になるところだが、なかなか六本木に行かないのが問題です。

*オープニングは既に終了しています。ご注意ください。

「近世初期風俗画 躍動と快楽」 たばこと塩の博物館

待っていた展覧会が始まった。渋谷のたばこと塩の博物館で10月25日から開催の「近世初期風俗画 躍動と快楽」である。
「躍動と快楽」って改めて読むと、かなり強力なサブタイトルですね。
一体何の展示なのと思わせぶりでもあり。

いや、早速初日に見て来ましたが、凄いですこの展示。
4階の企画展示室という限られたスペースながら、近世初期(桃山から江戸初期)の名品風俗画屏風絵がずらり勢ぞろい。
言葉であれこれ語るより、まずは1この日企画展示室で見ることができた作品をリストアップ(以下)。
*左横の番号は、作品リストより抜粋。

2.「醍醐花見図」 国立歴史民俗博物館 重文   *11月12日まで
4.「洛中洛外図(歴博D本)」 国立歴史民俗博物館  *11月16日まで
5.「阿国歌舞伎図」 京都国立博物館 重文  *11月12日まで
6.「四条河原遊楽図」 個人(西尾市岩瀬文庫寄託)
7.「清水寺遊楽図」 MOA美術館  *11月12日まで
8.「四条河原遊楽図」 個人 (6番とは別作品) 
10.「東山遊楽図」 弘経寺
12.「邸内遊楽図」 サントリー美術館   *11月12日まで
13.「輪舞遊楽図」 国立歴史民俗博物館  *~11月12日・11月18~30日
16.「風俗図」 たばこと塩の博物館  
17.「妓楼遊楽図」 国立歴史民俗博物館  *~11月9日・11月18日~30日
18.「美人きせる持ち図」 個人
19.「桜下弾弦図」 出光美術館  *11月16日まで
20.「桜下美人図」 個人
22.「大阪冬の陣図」右隻 東京国立博物館  *11月16日まで
23.「月次風俗図」 たばこと塩の博物館

以上16点。会期途中で展示替えとなる作品には注記あり。
つまり、約半分の作品が12日か16日には展示替えとなる。
もちろん、その後には神戸市立博物館蔵「観能図」や細見美術館の「北野社頭図」「遊楽人物図」「江戸名所遊楽図」などが待っている。

初日の展示で、目をひいたのは出光美術館の「桜下弾弦図」。以下。
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もう、これは別格と言っていい作品。他と明らかに違っている。描き方も絵具も又兵衛風で胡粉てんこもりで、風俗図なんだけど、そうでないような。
もうひとつ、サントリーの「邸内遊楽図」も精緻さではそれを上回るものなしと言った風情。
人物の腰には、ご丁寧にたばこ入れがぶらさがっている。しかも、それが皆種類が違っていて、描き分けされているのが心憎いばかり。

他の作品も甲乙つけがたい名品ぞろい。

言わずもがな単眼鏡、双眼鏡必携で臨まれることをおすすめします。遊楽図は、どうしても絵に張り付きになってしまうのが辛い。

今回の展覧会は博物館30周年記念展覧会にふさわしい内容。
今なら500円で来年1月25日まで何度でも入館可能なフリーパス500円を発売中です。
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デザインが4種類あり、お好きなものを選べるお楽しみ付。
現在の企画展は入場料300円。さらに、本展の後、2008年12月13日(土)~2009年1月25日(日) 「おらんだの楽しみ方 江戸の舶来文物と蔫録(えんろく)」が開催される。

この他、記念講演会も多数予定されているので、関心おありの方はぜひ。
11月1日(土)
『四条河原の誘惑』 河野元昭(東京大学名誉教授・秋田県立近代美術館館長)
11月8日(土)
『踊る大御殿 - 邸内遊楽図・探訪』 知念 理(広島県立美術館主任学芸員)
11月16日(土) 
『近世初期風俗画のまなざし』 小林 忠(学習院大学教授・千葉市美術館館長)
11月22日(土)
『初期洛中洛外図屏風の世界』 小島道裕(国立歴史民俗博物館教授)
11月29日(土)
『近世初期風俗画にみる嗜好品の諸相』 半田昌之(たばこと塩の博物館学芸部長)

※いずれも14:00から1階視聴覚ホールにて開催。当日先着80名。参加費無料(入館料は必要)。

*11月30日まで開催中。途中展示替えがあるので、注意です。

「駿府博物館所蔵 日本画名品展」 町田市立博物館

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橋本雅邦 「林間残照図」

「駿府博物館所蔵 日本画名品展」、町田まで足をのばしました。
町田市立博物館に訪れるのは今回が初。
町田駅のバスセンター1番乗り場から「藤の台団地」行きの乗車して10~15分の市立博物館で下車。そこから、徒歩7分で目指す博物館に到着です。
もう少し近いと思っていましたが、読みが甘かった。ただし、バスは6分~7分に1本と頻繁に出ているので、便利です。

まずは、駿府博物館と展覧会の概要をチラシより引用させていただきます。
財団法人 駿府博物館は、静岡新聞社・静岡放送を創設した大石光之助氏が「県民に奉仕する社会教育施設の実現」を目指して、昭和45年に(財)駿府博物館を設立し、翌年に静岡市紺屋町に開館しました。
収蔵品は、近代日本画、墨蹟、創作版画、郷土資料など約千点あり、なかでも近代日本画のコレクションの素晴らしさは有名です。
今回(財)駿府博物館の全面的なご協力を得て、これら日本画の名品を展示いたします。


駿府博物館の名は知っていたのですが、まさか日本画の名品を持っていたとは。。。てっきり、静岡の郷土歴史博物館の類かと思っていた私が馬鹿でした。

というわけで、貴重なコレクションのうち、名品64点を一度に見られるまたとない機会!しかも、これが何と何と入場料無料という太っ腹な企画。
受付で、人数だけ申告すると展覧会の解説本と鑑賞のためガイド「日本画のおもしろさ」の小冊子2冊を渡されますが、こちらは帰りに返却する必要があります。もちろん購入可能。

鑑賞のためのガイドを手にしつつ第1展示室へ。
う~ん、いきなり名品ばかり。
・「初夏」「素秋」 児玉希望 
・「破墨山水図」 狩野探幽
・「狐婚礼」「達磨」「達磨下絵」 下村観山
・「駿府鳥瞰図」 土佐光成
他多数。
この小展示室では、1点1点ガイドに書かれた「日本画の技法」を読みつつ、鑑賞するといつもの倍は楽しめます。
日本画の技法と言えば、「朦朧体」くらいしか知りませんでしたが、「日本画のおもしろさ」のおかげで、筆法、輪郭線、墨と色、表装や画材にまで視点を広げて見ていくと、楽しい楽しい。
この部屋だけで、30分くらい居たような気がします。

それにしても、探幽の「破墨山水図」は小品ながら、良かったです。下村観山もこれまで好みではなかったのに、今回の上記3点は良かった。

ここで町田まで来た甲斐があったと大満足しましたが、大展示室が待っています。
冊子「日本画のおもしろさ」とはお別れし、ここから先はキャプションと解説に従って鑑賞を進めます。
明治以降の日本画壇、各団体所属の作家単位に作品が展示されていたのが特徴的。

およそ聞いたことのある日本画家の作品は全て出展されています。
清方、伊東深水、竹内栖鳳、小林古径、川合玉堂、平福百穂、木村武山、橋本雅邦、大観などなど。
更に、大阪画壇からは島成園「寮乃雪」が1点赤を主張した大阪らしい1点が出ていたのにも注目です。

気に入った作品は、数あれど敢えてあげるとすれば以下。
橋本雅邦 「林間残照図」 1903年 (上図)
横山大観 「仲秋の名月」 1953年 大観らしからぬ落ち着いた静かな印象の小品。
小林古径 「月」 大正初年 古径の若かりし頃の作品か。
木村武山 「滝見観音」 繊細な美しさ
下村観山 「春の朝」

結局2時間近くかけてゆっくりじっくり鑑賞。
本家本元の駿府博物館にも、今年の冬の青春18きっぷで是非行って来ようと思います。
ただ、駿府博物館では来月から山種コレクションの展示をするとのこと。一種逆転現象ですね。

明日10月26日11月3日まで開催中です。おすすめします。

「Art of our time」展 上野の森美術館 

高松宮殿下記念世界文化賞20周年「Art of our time」に行って来ました。
当日は金曜の夜間開館。
お客さんは、私を入れて3人ほど。。。つまりガラガラ状態でした。

展覧会の概要~展覧会チラシより抜粋~
高松宮殿下記念世界文化賞は、日本美術協会の総裁を務められた高松宮宣仁親王の「世界の文化・芸術の普及・向上に広く寄与したい」とのご遺志にもとづいて創設された全世界の芸術家を対象にした顕彰制度です。1989年より、絵画、彫刻、建築、音楽、演劇/映像の各分野で優れた業績をあげたアーティストを毎年1名ずつ顕彰しています。

今年、世界文化賞は20周年を迎えます。それを記念して、絵画、彫刻部門の20年間の受賞者41名による、主に国内所蔵の代表作を集めた展覧会を開催します。シュルレアリスムから抽象表現主義、幾何学的抽象、ポップアート、ミニマルアート、新表現主義、コンセプチュアリズム、そしていかなるイズムにも分類できない独自の表現まで、いずれも現代美術の歴史に大きな足跡を残した偉大なアーティストです。彼らの作品を一同に会して、20世紀後半から現在に至る’私たちの時代’の美術の流れを紹介いたします。


という訳で、過去の受賞者リストはこちらのラインナップ。錚々たる面々です。

<絵画 及び彫刻> 右側が彫刻部門受賞者
1989 ウィレム・デ・クーニング及びデイヴィッド・ホックニー(2名)   ウンベルト・マストロヤンニ
1990 アントニ・タピエス   アルナルド・ポモドーロ
1991 バルテュス   エドゥアルド・チリーダ
1992 ピエール・スーラーシュ   アンソニー・カロ
1993 ジャスパー・ジョーンズ   マックス・ビル
1994 ザオ・ウーキー    リチャード・セラ
1995 マッタ    クリストとジャンヌ=クロード
1996 サイ・トゥオンブリー    セザール
1997 ゲルハルト・リヒター    ジョージ・シーガル
1998 ロバート・ラウシェンバーグ    ダニ・カラヴァン
1999 アンゼルム・キーファー    ルイーズ・ブルジョワ
2000 エルズワース・ケリー    ニキ・ド・サン・ファール
2001 李禹煥    マルタ・パン
2002 ジグマー・ポルケ    ジュリアーノ・ヴァンジ
2003 ブリジット・ライリー    マリオ・メルツ
2004 ゲオルグ・バゼリッツ    ブルース・ナウマン
2005 ロバート・ライマン    三宅一生
2006 草間彌生    クリスチャン・ボルタンスキー
2007 ダニエル・ビュレン    トニー・クラッグ
2008 リチャード・ハミルトン    イリヤ&エミリア・カバコフ

ということで、期待は高まったのですが、スターが勢揃いしすぎた歌番組のような展開。
総花的な盛り上がりにも欠けていたのはなぜなんでしょう。

1作家、1点の展示があって、まさに現代美術の過去20年の歴史を振り返るような内容にも関わらず、印象が薄かったのは、とにもかくにも展示作品自体に魅力がなかったのかもしれません。
作品は国内の美術館、箱根彫刻の森美術館、東京現代美術館など主要な国内美術館からの貸し出し作品です。

もう少しインパクトのある内容だったらなぁ。

同時開催で受賞者たちを撮影した写真展(こちらは無料)が開催されています。
作品とアーティストが頭の中で一致しました。

*11月9日まで開催中です。

「ピサロ展」 大丸ミュージアム・東京

デパートの美術館は、毎日夜8時まで開館しているので勤め人にはすこぶる便利が良い。
ことに平日の夜のデパート美術館は空いていてお薦め。
難点はいつも、作品リストが準備されていないこと。そこまで求めてはいけないのだろうか。

大丸ミュージアム・東京で開催中の「ピサロ展」に行って来た。
イギリス最古の美術館「オクスフォード大学・アシュモリアン美術館」コレクションからの展示である。

個人的なこの展覧会の見どころは、ピサロの人物画とエッチング・ドライポイント作品。そして、思いもかけない出会いとしては、クールベの「石割りの少年」とミレーの「群れの呼び寄せ」のビッグネームの2点。

ピサロの風景画は印象派展覧会で、必ず1点は見つける。もしくは公立美術館の常設展でも1点は所蔵していることが多いのではないだろうか。
何となくピサロの風景画で、真っ先に浮かぶのは点描画技法。
もちろん、本展でも点描画作品はピサロ自身と息子のことに長男リュシアン・ピサロの作品とふんだんに展示されている。実は私が過去に見たのは元祖ピサロであるカミーユ・ピサロ自身の手によるものか、その子息によるものか判然としない。
ピサロだということは覚えていても、ファーストネームが、カミーユなのかリュシアンかをしっかりと見ていないから。
この展覧会まで長男も父の画風を受け継いだ作風の画家になっていることなど、恥ずかしながら知らなかった。

展覧会は次の3部構成になっている。制作時代順になっていないので、その点は見づらいがテーマで絞ると言う構成上やむを得ないのだと思う。
1.ピサロと風景画
2.ピサロと田園生活
3.ピサロ家の人たち

第1章では、点描画に至るまでの作品やピサロが影響を受けたバルビゾン画家コロー、ミレーらの作品も展示されている。
また、同様にピサロと同時代の画家たちクールベ、マネらの作品も展示されていた。
ということで、冒頭のお気に入りミレーとクールベに出会ったというわけ。
ことに、驚いたのはクールベの「石割りの少年」。
全くクールベと言う画家は見るたびに、作風が全く違うので常に新鮮な驚きがある。
どこが魅力ということを上手く表現できないのだが、なぜかどの作品にも惹かれるものがある。
個人的に企画展で今一番見てみたい西洋画家である。


ピサロに話を戻す。
第3部では、ピサロが描いた家族の肖像画が何点か展示されている。人物画などこれまで見たことがあっただろうか。残念ながら、風景画ほど印象には残らなかったが、彼の描く人物画特に、「うちわを持つジャンヌ」は良かった。

*10月27日まで開催中。最終日の27日は16時半までの入場となるので要注意です。

「モーリス・ルイス 秘密の色層」 川村記念美術館

モーリスルイス

川村記念美術館で開催中の「モーリス・ルイス」展に行って来ました。
モーリス・ルイスの作品はどなたも一度は美術館で見たことがあるのではないでしょうか。

20世紀アメリカを代表する画家で、49歳と早くして亡くなる。
彼の絵画作成技法は、妻でさえも知らず、他人に見せることはなかったという。

今回の展覧会では、彼の制作した作品のうち、3つの主要なスタイル<ヴェール><アンファール><ストライプ>を中心に16点をを紹介しルイス絵画の秘密に迫ろうとするものです。
~展覧会チラシからの抜粋~

これまで何度もルイスの作品を見ているが、こうして改めて一室全てを同種の作品に囲まれるという経験は初めてでした。
並べて見ると、似ているけれど1点1点、色のにじみや重なりが異なって、それぞれに表情を出していることが分かります。

Ⅰ.ヴェール
・東京都現代美術館蔵 「金色と緑色」
・川村記念美術館蔵 「ギメル」
この2点が気に入った。最後にもう1度この2つの作品の前に戻って座って眺めていた。

Ⅱ.アンファール
・ワシントンナショナルギャラリー蔵 「アンビⅡ」
この作品が群を抜いて個性的だった。今も忘れられない。
さすが、本場アメリカからの出品だからだろうか、他を圧倒していたように思う。

Ⅲ.ストライブ
ここでは、作品よりもルイスが好んで使っていた絵の具が展示されていた。絵の具にこだわりにこだわったルイスのために作られた特別の絵の具だという。
つまり、この絵の具なくしてルイス作品の完成はなかったのかもしれない。

普段完成された作品を見ていると、分からないけれど、制作の裏には作家達のたゆまぬ努力があるのだった。特に制作技法などは、全く素人には分からないもの。ルイスの場合、それが絵の具であった。先日見た丸山直文も独自の絵画技法を持っている。

秘密の裏側の全貌までは、理解できなかったがほんの一部を知ることはできた。

*11月30日まで開催中。

「丸山直文展 -後ろの正面」 目黒区美術館

maruyama
「one evening」 2008年

目黒区美術館で開催中の「丸山直文展-後ろの正面」展へ行って来ました。
この日は、画家の杉戸洋さんを迎えて、丸山さんと二人でアーティスト対談が予定されていたので、それを狙って2時ちょうどに入館。

2階の一番大きな展示室は既に定員80名を超えて100名ほどのギャラリーが集まっていました。
鑑賞の前に対談をお聞きすることに。
ゲストの杉戸洋さんは、名古屋在住の画家で、丸山さんとはほぼ同世代。
きれいな色を使うところは、丸山さんと似ていて、画風はもちろん違うけれど、私は杉戸さんの作品も好き。

で、対談ですがお二人ともあまり多弁ではないせいか、はたまたギャラリーを前に緊張されたのか、話はいまひとつ弾まない。。。
話題も新しく建てられたお二人のアトリエの話だったり、昔話だったり、昨年の広島現代美術館でのポートレイト展であったり、バラバラ。
ちょっとまとまってきたのは、丸山さんの作品がベルリンへ行ってから、変わって来たねというあたりと、人物を作品から除いてしまったらとか、展示会場へのこだわりのあたりでしょうか。

対談の会場となった目黒区美術館の2階で一番大きな展示室は、床も壁も真っ白。
これは丸山さんの意向で、
①ホワイトキューブの中で自分の作品を置いてみたかった。
②浮遊感が出るのではという目論見。
というある意味実験的な試み。
同じく2階の入って右最奥の展示室は、カーペットがはがされ、コンクリートむき出しの床になっていますが、これも丸山さんのお好みだそうです。
この奥の展示室は、ちょっと外国のギャラリー風といった感じです。

杉戸さんはこの試みに対して、真っ白な状態ではなく、通常の木のフローリング状態で作品を見てみたかったとおっしゃって、真っ白と木の床両方あれば、比べられたのにねというご意見でした。
確かに、木の床に置いた時との比較ができたら面白そう。

対談は1時間弱過ぎたところで、お暇して、作品鑑賞に入りました。
作品はほぼ年代順に展示されています。
丸山さんの作品は、各地の美術館で何度も見かけているので、近作の大半は既に見たことがある作品でした。本展のために描かれた作品3点+2点と今年の新作が計5点あり、こちらはもちろん初見ですが、特に2枚の「meltwater」シリーズ2枚が気に入りました。
この作品では過去に見られたような人物などが一切描かれていません。
そのため、むしろすっきりした印象を与えています。

同じ新作「appear」は前述のベルリン成果というか、ベルリンに行っていなければ出てこなかったであろう緑が存分に使用された作品です。こちらも、同じく人物等一切なし。むしろ、完全に抽象画のように見えます。

過去の作品は、これまであまり見たことはありませんが、やはり今の作風に通ずるものがあり、特段の違和感はありません。

1階では、丸山さんのアトリエが再現されており(この手法は小林孝亘さんの展覧会と同じ)、その中で本人が登場されて「appear」制作風景及び制作について語るDVDと過去の作品500点から91点を選んだシュウゴアーツ制作のDVDが放映されているので、こちらもお見逃しなく。

入口最初の展示室では、ドローイングがずらり。
このドローイングを眺めていると、丸山さんの文化服装学院⇒セツ・モードセミナーという服飾関係のご経歴が見事に現れていました。人物の描き方などが、デザイン画のようです。

ここまで、制作風景、過去の作品、ご自身の画家としての全てをさらけ出すことに対しても、対談で語られていましたが、丸山さんご本人は、「いろんな目で自分を見てもらえるのもまぁ良いかな」と覚悟を決めたそうです。
対して、杉戸さんは「僕にはできない・・・」とつぶやいておられたのが対照的でした。

*11月9日まで開催中です。

「ボストン美術館 浮世絵名品展」 江戸東京博物館

boston

ついに、「ボストン美術館 浮世絵名品展」が東京に巡回して来ました。
この展覧会は、名古屋⇒新潟⇒福岡と巡回し、ここ東京が最終地です。
私は既に、名古屋展初日に鑑賞しているので、今回はパスしようかなと思っていましたが、従兄の上京がきっかけで、東京展を見ることになりました。

で、結果は見て良かったです~。名古屋で見たのは、今年の1月2日。既に9か月が経過すると、人間の記憶(いや私の記憶だけか)ははかないもの。
初めて見るかのように楽しめました。

ということで、初めてこの展覧会をご覧になる方には、1月の記事をご参照いただき、今回は他会場で既に1度鑑賞済み、東京で2度目の鑑賞となる方に参考となる記事を目指そうと思います。

Ⅰ.名古屋展で出展されていなく、東京展で見られる作品 ⇒ 計16点
以下作品と東京展での作品番号です。

11.二代目市川海老蔵の景清のにせ五郎  二代鳥居清倍
15.げんじ五十四まいのうち 第十八番 げんじ 松風  西村重長
18.初代尾上菊五郎の虚無僧姿の曽我五郎  奥村政信
22.見立三夕 定家 寂連 西行  鈴木春信
30.座敷八景 舞台の秋月  鈴木春信
33.女三の宮と猫  鈴木春信
40.伊達虚無僧姿の男女  鈴木春信
42.青楼芸子俄狂言尽  玉屋弥八内 三味線・・・以下略  磯田湖龍斎
50.雛形若菜の初模様 丁字屋内 突出し おとは路 はるの にしき 磯田湖龍斎
58.風俗東之錦 汐汲み  鳥居清長
59.当世遊里美人合  花下酔美人  鳥居清長
70.三代目市川高麗蔵の放鳥亮五郎吉 ・・・以下略   勝川春潮
75.鷹狩り行列   喜多川歌麿
83.四季子供あそび  秋   玉川舟調
121.あふみや紋彦  歌川国芳
136.東海道五十三図絵 五十四 大津 名ぶつ大津ゑ  歌川広重

約150点のうち1割にあたる16点を多いとみるか少ないとみるか。

私は事前の下調べが悪く、会場で名古屋では出ていなかった作品を係の方何人かにお聞きしてみたが、「結局HPには掲載されているが、ここでは分かりません。」とのこと。
2回目の方は、できれば展覧会HPから作品リストを印刷し、持参された方がよろしいかと思います。
東京会場では、東京のみで展示される作品だけが掲載されています。

ということで、見たのか見ていないのか判然とせぬまま鑑賞を終え、自宅で作品リストと照らし合わせてみると、見ていなかった上記16作品の半数以上にお気に入りの○を付けていることが判明!

つまり、会場限定で展示される作品は、保存状態が良好中の良好もしくは貴重な作品、もしくは、褪色が進みそうな作品である可能性が高いということです。
ことに、それが顕著だったのは鈴木春信の4点。いずれも、ピンク、緑、紫などの発色が素晴らしい。

これは2回目だろうが、3回目だろうが、再訪する価値があると思われませんか?

それにしても、この展覧会は誰もが鈴木春信の作品に魅了されますね。件の従兄も春信が良かったと申しておりましたから。

なお、11時頃までが比較的空いている時間帯だそうです(10/18に係の方に聞いた状況)。
チケットを買うのに列ができやすいので、事前の購入をおすすめします。

*11月30日まで開催中です。土曜日は、夜19時半まで(入場は、30分前まで)開館しています。

2008年10月19日 鑑賞記録

今日は、私の母の誕生日。
親不孝な娘でごめんなさい。この場を借りて、感謝とお祝いの気持ちを捧げます。

さて、昨日の鑑賞(ボストン浮世絵+川村記念美術館+八犬伝の世界)で、抜けがら状態であったこともあり、珍しく12時スタート。

小粒なところを幾つか行って来ました。

1.太田記念美術館  『国貞・国芳・広重とその時代 -幕末歌川派の栄華-』

前期の会期が10/26までとなっていたので、またも浮世絵か~と思いつつ入館。
やはり、お気に入りは国芳。しかし、ここで私は学習した。国定は、弘化年間に師匠の豊国を襲名(歌舞伎のようだ)し三代豊国となった。つまり、国貞=三代豊国。
浮世絵を見ていると、似たような作者名がわんさか出てくるので、混乱してくるが、漸くひとつ完全に脳の中で一致をみた。
見所は、国芳の三枚続ものであった。三代豊国の役者大首絵も「おっ」と思うものが何点かあった。

2.目黒区美術館 「丸山直文展-後ろの正面」

詳細は別記事にて。

3.畠山記念館 「数寄者 益田鈍翁 -心づくしの茶人-」

畠山記念館に漸く行って来た。ずっと気になる美術館であったが、なかなか足が向かなかったのに、さる方からチケットを頂戴し、ありがたく使わせていただくことにした。
ここは、周囲の街並みがすごい。いわゆる、お屋敷街。その中に突如、広大な敷地を持った畠山記念館がある。全貌は地図で見ただけで、実際に歩いていないので分からないが、何やらすごそう。
敷地内に茶室がいくつもある。
そして、記念館自体が創立者の畠山一清(畠山翁)の設計だという。
2階が展示室になっているのだが、何より驚いたのはこの日2階の展示室は窓が開放されていた。
古美術系の美術館で窓を開けることなど、これまであったことがない。
自然風の心地よさを感じながら、窓外の庭を愛でつつ、作品鑑賞するという何とも贅沢な空間なのであった。
しかも、2階にも茶室が。蹲まで設置されていて、室内の庭や、緑はなかなか根付かないのだろう、ちょっと大変そうだった。
しかし、係の方が打ち水をされて、心配りが行き届いている。

肝心の展示品は、今一つであったが光琳の軸と特別展示【重要文化財】柿の蔕茶碗 銘 毘沙門堂
は目をみはった。
三井記念美術館で企画展開催中の森川如春庵直筆の書簡などもあり、これがまた達筆で、う~んと唸る私である。

4.礫川(こいしかわ)浮世絵美術館 「月百姿」月岡芳年展  後期展示

前期に続く鑑賞。受付の方が毎月訪れる私の顔を既に覚えていらっしゃる。
お客様は私一人だが、受付の方のお知り合いがいらっしゃって、二人でよもやま話に花が咲いていた。よって、イマイチ集中できず。

芳年の月百姿の中に、今回も心ふるえる1枚があった。「雨中月 児島高徳」。雨の降りそぼる中、一心に祈る姿があまりに美しい。
芳年の線は、現代の漫画家のようだ。版下絵を見ていたら、漫画の原画の色入れ前を思い出した。
昨日千葉で見た「芳流閣両雄動」に再び出会う。なるほど、こうやって浮世絵マニアになっていくのか。

5.日本橋高島屋 「柳原百連展」

こちらも、チケットをいただいたので行って来た。歌人であった柳原百連の数奇な生涯を遺品や書簡、作品集など全200点でたどる。
写真を拝見すると、美しく聡明な女性であることが分かる。しかし2番目の夫に向けた絶縁状を新聞に公表するあたり、普通ではない。さらに、3番目の夫となる学生宮崎に当てた手紙の内容たるや、あまりに激しすぎて、よく男性の方が逃げずに受け止めたなと、むしろ宮崎龍介やその家族に関心した。

「ヴィルヘルム・ハンマースホイ 静かなる詩情」 国立西洋美術館

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話題のデンマークを代表する画家ハンマースホイの展覧会に行って来ました。
この展覧会がなければ、私はこの先ずっとハンマースホイの名を知ることはなかったかもしれません。
月並みですが、評判通りのとても良い内容でした。

展覧会は6部構成になっています。
Ⅰ.ある芸術家の誕生
Ⅱ.建築と風景
Ⅲ.肖像
Ⅳ.人のいる風景
Ⅴ.誰もいない室内
Ⅵ.同時代のデンマーク美術-ピーダイルステズとカールホルスーウ

冒頭、Ⅰ章の解説にもありましたが、振り返ればこのⅠ章が本展ダイジェストのような気がします。
後に続く風景、肖像、室内既に初期の頃から、これらのモチーフを手がけていることが分かります。

次のⅡ.建築と風景では、無機的な建物だけを描いた作品が続きます。しかし、単調ではありますが、むしろ好ましい単調さであることが特筆すべきことではないかと思います。
そして、建物の作品が続いた後、私が一番好きだった風景画が現れます。
ハンマースホイの作品に描かれる空の色は、北欧特有の灰色の重たい感じがします。しかし、唯一明るい色調の風景画がありました。

「ライアの風景」1905年

この作品は、チラシにも掲載されミュージアムショップでポストカードとしても販売されていました。見たところ、一番売れ行きが良かったです。
次に続く「ティアスデーエスコウエン(火曜の森)」 1893年も色調は暗めですが、良かった。
さらに、「ゲントフテ湖、天気雨」 1903年は、光輝く湖面がすばらしく、天気雨や北欧特有の雰囲気を存分に醸し出しています。

これらの風景画は、静かに穏やかに見る者の心を鎮めて行きます。
鎮静剤的絵画作品というたとえがぴったりかもしれません。

次からはいよいよ、人物が登場しますが、ハンマースホイは女性の後ろ姿が大好きだったのか、正面を向いている作品は少なく、ほとんど後姿ばかり。
この後姿ばかりを描いた理由は何だったのでしょうか?

・女性は後ろ姿が一番魅力的だと感じていたのか。
・妻とでさえ、なかなか向き合いにくかった。閉鎖的?
・うなじが好きだった。
・相手が意識していない状態で、見るのが好きだった。

などなど、想像は尽きません。

そして、妻を青白く描いたのはなぜか、それも不思議です。
あまりにも病的な女性として描かれていました。確かに展示会場にあった妻・イーダの写真も決して健康そうではなかったですが。

そして、誰もいない室内を描き続けます。
誰もいない室内を美の対象として見ていたのでしょうか。同じ室内を幾度も幾度も描いています。
いつか、自分がその部屋に入り込んでいるような気がして来ました。

この室内にあるロイヤル・コペンハーゲンのパンチボウルも人物以上にクローズアップされています。

どの作品にも共通して言えるのは、光や影の扱いが抜群に上手いこと。
時に、写実から外れても、自分が美しいと思った画像をキャンバスに写しこんだのでしょうか。

とにかく、謎は深まるばかり。

会期終了まぎわに、また見にいってしまいそうです。
不思議な魅力にあふれていました。

*12月7日まで開催中です。

「八犬伝の世界」展 千葉市美術館

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またも、すごい展覧会を開催してくれました、千葉市美術館さま。
今日(18日)と明日(19日)は「市民の日」ということで、展覧会の鑑賞料は千葉市民でなくても無料!
ということで、待望の18日を待って見て来ました。

昨年の「芳年・芳幾の錦絵新聞」以来の訪問2回目。錦絵新聞の展覧会もその圧倒的な展示数に驚いたが、今回もまた凄かった。同時開催の「ナンバーズ」と合わせると、総作品数は前回以上なのではないでしょうか。

2008年は、曲亭馬琴没後160年に当たる年。これにちなんで、服部仁氏の八犬伝浮世絵コレクションを中心に、馬琴の資料、近代日本画、現代の歌舞伎、少女漫画に至るまでの多彩な作品約250点を通して、現代にも通じる「八犬伝の世界」の魅力を探るものです。~展覧会チラシより抜粋。

250点って。。。
八犬伝と言えば、NHK人形劇「新八犬伝」を思い浮かべます。私も小さい頃、TVで人形劇を見た記憶があります。ただ残念なことに、ストーリーが思い出せない。

でも、そんな人でも大丈夫。この展覧会を見ればいつしか、八犬伝の魅力に取り込まれます。
冒頭では、「南総里見八犬伝」の読本が登場するのですが、まずこの読本の表紙に目が釘付けになりました。
表紙がわんこだらけ。しかも1冊1冊、デザインが違う。
かわいらしすぎます。
中を読まなくても、表紙や挿絵を見ているだけで楽しくなること請け合い。
馬琴は、自ら読み本の挿絵イメージを画家に伝え、その挿絵を見て、またストーリーを膨らませるという絵とストーリーが一体となって進んで行くというのも特色。

なるほど、八犬士と言い、登場人物、ストーリーどれも魅力的で、これなら歌舞伎やお芝居になっても無理はない、江戸時代の人々がこぞって読むのも納得できます。

さらに、この原作を基に展開したのが浮世絵。これが今回の展覧会の中心。
しかし、出るわ出るわ、次から次にいかに巷で八犬伝の人気が高かったかが伺われます。

浮世絵作品の中で、やはり面白いと思ったのは国芳と芳年の作品。
この2人の作品は個性が大いに発揮されていて、臨場感がありました。
また、普段まずお目にかからない縦長の続きもの。これも多数展示されていて、しかも、縦長であることが物語をたどる上で、実に効果的で感心します。

展示は、全部で7章から構成されていますが、第2章の「『犬の草紙』に見る登場人物たち」では、話が分からなくても、絵を見ているだけで、こいつは悪者、これは八犬士と何となく見ただけで分かります。
南総と言えば、もちろん千葉県。現在の地名と同じ地名が浮世絵の随所に出て来ますので、それらをチェックするのも楽しいです!

個人的なイチオシ作品は、芳年の「芳流閣両雄動」と国芳「義勇八犬伝」シリーズ全8枚八犬士分。

最終章では、明治、大正の日本画作品でも八犬伝をモチーフに使用した菱田春草「伏姫」などが展示されていました。こちらも浮世絵と併せて楽しめます。

かのNHK人形劇で使用された辻村ジュサブロー作の犬塚志乃が1体。
この人形を見た瞬間、過去の記憶がよみがえりました。懐かし~。

やはり、これはしっかりお話を読んでみたいと思います。
とりあえず、お手軽な碧也ぴんくさんの漫画「八犬伝」から始めてみようっと。

なお、同時開催のナンバーズも必見です。
何しろ目玉作品がぞろぞろ。中でも必見は月岡芳年の「風俗三十二相」全32枚及び表紙。
これ壁に縦4枚×横8列で展示されていますが、上の2枚は下からだとよく見えない!
もったいないことしますよね、千葉市美術館さんは。
1度に32枚って、めったに見られないのに。。。。悔しいです。
他にも数にちなんだ作品多数。なぜか岸帒の「群蝶図」まで出てました。

この日は、午前中江戸東京のボストン美術館所蔵浮世絵展も見たので、1日で見た浮世絵は、400枚を突破しました。
賢明なる読者の皆様は、真似なさいませんように。朦朧としてきます。

入場料を浮かせた分、ミュージアムショップで図録とわんこの絵柄のエコバック(500円)買ってしまいました。このエコバックのわんこは、芳年の風俗三十二相のように言葉のひっかけで「ほじゃけん(犬)」「かえるけん(犬)」「しらんけん(犬)」「みんけん(犬)」「やるけん(犬)」「きかんけん(犬)」などなど四国弁にちなんでいます。
母が徳島の生まれで、これまたら懐かしくてついつい。
千葉市美のミュージアムショップは狭いスペースですが、欲しくなる商品がたくさんあって誘惑されます。危険危険。

*10月26日まで開催中。

「パリ・ドアノー ロベール・ドアノー写真展」 日本橋三越本店

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「パリ市庁舎前のキス」という写真作品を誰でも一度は目にしたことがあるのではないか。
東京都写真美術館の壁には、拡大して展示されている。

かの写真を撮影したのが、ロベール・ドアノー。
写美では、ドアノーの展覧会も開催されないなと思っていたら、日本橋三越で「ロベール・ドアノー」の展覧会が開催されることを知った。
チケットを頂戴したので、最終日に行って来た。

日曜のデパート会場は大勢のお客さんで混雑していたが、やはりドアノー人気の影響だろうか。
パリの様々な風景、光景、人物が写しだされていた。
特に印象的だったコーナーは、

・「パリの犬たち」
・「子供」
・「モデル、ファッションデザイナー、コレクションの舞台裏」
・「パリの何気ない街角」

以上4つ。

パリには犬が多い。
ドアノーが写した犬たちは、皆表情までもしっかり表現されている。
ありふれた日常の中で切り取った一瞬。

もうひとつ、パリならではと思ったのがファッション、パリコレの舞台裏。
夜のクリスチャン・ディオール(メゾン)を撮影した写真では、窓辺にお針子さんらがいて、華やかな世界の舞台裏を垣間見た気がした。
風景だけでなく、ショーの舞台裏、デザイナーの肖像写真などなど興味深い写真がいっぱい。
デザイナー自身にどこかメゾンの個性が表出されている感じも受けた。

今回はモノクロ作品約200点による日本で初の大回顧展。
確かに、見ごたえがあり、ドアノー写真の良さも存分に感じられる内容だった。

*この展覧会は、10月13日で終了しています。

「巨匠ピカソ 魂のポートレート」 サントリー美術館

国立新美術館と共催の「巨匠ピカソ」展。サントリー美術館では、ピカソの自画像に焦点を当てた展覧会を行っている。
展示作品は58点と国立新美術館に比較すると約3分の1なので、先にこちらを見た方が良いかもしれない。さらに、なぜかガラスケース越しで作品を見る状況であるため尚更。

とはいえ、こちらには青の時代の「自画像」と青の時代に入るきっかけとなった「カザジェマスの死」を見ることができるのだから、外せない。
「カザジェマスの死」は、ピカソがゴッホの影響を受けていることが伺われる。しかし約半年後、全く色調の違う「自画像」を描くのだから恐れ入る。

・「二人の水浴者」
・「ピエロに扮した若者の自画像」
・「ピエロに扮するパウロ」
これら新古典主義時代の3点も素晴らしい。ピカソが自身の子供を描いた作品は何点もあるが、どれも優作が多いように思う。
今回出品されている「ピエロに扮するパウロ」もそのひとつ。
この本物を間近で見られたのは嬉しい。

ピカソの自画像と言えば忘れてならないのはミロタウロスの存在。
自身をメタモルフォーゼした姿。しかし、これら一連のミロタウロスの作品を見ていると、ピカソの頭の中は、女性のことだけであったのかと恐ろしくなる。
しかし、人間的魅力がなければいくら著名な画家だと言っても、次から次に女性と愛を交わせないだろう。
作品を生み出すエネルギーの源が女性の存在であったのは間違いないが、ピカソがどうしようもなくもてない男だったら、どうなっていたのだろうか?

晩年のピカソの自画像も胸を打つ。どこかレンブラント風なポーズを取っているが、簡略な線と2色使いのみ。それでも、見る者に感動を与えるピカソの上手さが際立っていた。

*12月14日まで開催中。

MASAKO 「MY HOME」 ギャラリー・ショウ・コンテンポラリー・アート

MASAKO

ギャラリー・ショウ・コンテンポラリー・アートへ行って来ました。
こちらも、初めて訪れるギャラリーです。名古屋にいた頃、日本橋と東京駅がこんなに近いとは夢にも思っていませんでした。地下鉄に乗らないと遠い距離だとばっかり。
実は、東京駅からバリバリ徒歩圏だということを知ってから、まだ日は浅い。。。

ということで、ギャラリーはブリジストン美術館と日本橋高島屋のちょうど真ん中くらいにありました。ドアを開けて地下に下りて行くと、意外や意外、白を基調としたかなり大きいギャラリースペースが展開されていました。

初訪問のきっかけは、個人的にイチ推し注目株MASAKOの個展開催です。

今年の4月に「101TOKYO Contemporary Art Fair 2008」(於:旧練成中学校)へ行った時、一番印象に残ったというか、MASAKOの名前と作品が唯一記憶に留められました。
最初の印象は、大好きなデュマスの作風に似ているということ。ギャラリーの方によれば、ベーコンにも似ているとおっしゃるお客様もいらっしゃるとか。なるほど、言われてみれば、ストロークやタッチ・色のトーンが似ています。

今回の新作は、MASAKOがもっともこだわり続けている黒を主体とした人物画がメイン。対象は「MY HOME」のタイトル通り、家族の肖像画、子ども達(兄弟)などが中心です。
今回、再度作品を見て思ったのは、やはりデュマスとは異なる個性だと言うこと。
見ていると、アメリカの一昔前のアート作品のようにも感じます。ちょっと懐かしい雰囲気。
日本人画家の絵とは思えないどこか異国の雰囲気が漂っています。
ただし、お部屋に飾るにはちょっと暗すぎるかな~というのが個人的な感想です。こうして、ギャラリーで楽しむには満足できます。

黒以外の色を使い始めたのは、今年に入ってからだそうで、ますますこれからが楽しみな21歳の作家さんです。

MASAKOプロフィール
1987年 埼玉県生まれ

展覧会歴
2007年 中西真子展/ホワイトキューブ PB
2007年 国展 入選
2007年 MASAKO展/CITY GALLERY
2007年 シェル美術賞2007 入選
2007年 アミューズアートジャム2007 最終審査ノミネート
2008年 グループ展「7人の新人展」/GALERIE SHO CONTEMPORARY ART
2008年 トーキョーワンダーウォール2008 審査員長賞受賞

ギャラリーHPは以下の通りです。
http://www.g-sho.com/current/

「巨匠ピカソ 愛と創造の軌跡」 国立新美術館

国内過去最大規模での開催と鳴り物入りの「巨匠ピカソ 愛と創造の軌跡」へ行って来ました。
それにしてもタイトルが仰々しい。

何を隠そうピカソが好きな私にとって、これはとても楽しみな展覧会であった。ピカソは91歳と長寿で、しかも多作なアーティストであるが故、どれだけ見ても見てない作品はたくさんある。
ことに、私が好きなのはピカソの初期の作品、青色、バラ色、新古典主義と限られている。

ということで、今回良いなと思った作品も必然的に上記時代の物がほとんどであった。

・「マドレーヌ」
・「2人の兄弟」 この2つがベスト。
・「肘掛か椅子に座るオルガの肖像」
こちらも、長らく見たかった作品。複製を愛知県のメナード美術館で見て以来、本物に会えるのを楽しみにしていた。
・「水差しとリンゴのある静物」
キュビスムしていない普通の静物画。普通に描くと抜群に上手い。ただ、リンゴでなく梨に見えたのは、私だけであろうか。
・「泉」 
単色の油性クレヨンで何気なく描いただけなのに、ものすごい力がある。
・「窓の前に座る女」
・「朝鮮の虐殺」
・「膝をかかえるジャクリーヌ」
などなど、図録でしか見たことがなかった作品の本物を前にする感激。何と言っても、ピカソは色の使い方が抜群にうまい。デフォルメされた人物達も鑑賞に耐えられるのは、ひとえにこの色使いの上手さではないかと思う。新古典主義以後の作品は好みではないが、色に惹かれてついつい見入ってしまう。

ピカソの作品は図録で見ると何てことがないのに、本物を見るとどれもこれも作品にエネルギーを感じる。ピカソ自身の性的、生的エネルギーの昇華したものが絵画であり、彫刻であったのだろう。
大きな新美術館の展示室にも負けないのはピカソ故ではないか。

大きな作品だけではなく、線の美しさも折り紙つき。
今回は、エッチングも展示されていたが、中でもフェルナンド・ロ・ハースの「ラ・セレス」は良かった。
もっとじっくり見ていたかったけれど、人が並んでいるので遠慮した。

初期から晩年までの作品をこれだけ通して見られる機会はなかなかない。
満足できる内容だった。

*12月14日まで開催中。

「大琳派展」 東京国立博物館

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話題沸騰、東京国立博物館平成館で開催中の「大琳派展」に12日朝一番で行って来た。
正門前に到着したのは9:15。しかし、既に長蛇の列。開館10分前には門がオープンして第一弾の行列群(おそらく50名程度)が中に入って行った。
私は第一弾には、入れず続く第2弾目で門の中に入ることができた。列を崩さず、行列したまま平成館へ向かう。漸く平成館に入ったのは9:40前であったか。
それでも、前にいる人はわずか50名程度であるため、中に入ればスムーズに鑑賞することができた。

全体的な感想としては、琳派の系譜がよく分かった、これが一番の収穫。先日、板橋区立美術館で小林忠先生がおっしゃっていた「起承転結」という言葉を使用すると、宗達が「起」、光琳「転」、抱一「承」、其一「結」という印象を受けたがいかがなものか。

ただ、この12日の展示作品で「おぉ~」と感動を覚えたのは鈴木其一の「風神雷神図襖」一点。
この作品だけはずっと見たかったのがやっと見られた喜びとその大きさと美しさにはるか遠くよりその姿が見えた時、既に感動していた。「これが、あの・・・以下絶句」。

もう一点感動的だったのは、奈良の大和文華館所蔵「扇面貼交手筥」尾形光琳筆。
何なんでしょうか、この意匠の美しさ、華麗さは。驚きを通り越して感動。横から見ても上から見ても、恐らくひっくり返しても、四方八方どこから見ても楽しめる、見る玉手箱。華麗の一言。

小ぶりな作品が多い中、やはり「んんっ!」と思ったのは。伊勢物語図色紙「芥川」「水鏡」「月のうちの桂」俵屋宗達筆。
状態が良いので、見栄えするとともに、伊勢物語の情景をを情感豊かに描いている。まさに見る物語。これは、後期に展示替えで別作品が出展されるので楽しみ。

もう1点其一の「秋草・月に波図屏風」も良かった。後ろから照明を当てると、見えてなかった月と波がうっすらと画面に現れる。光と渾然一体となった江戸絵画の素晴らしさを表す逸品。
其一は、表装画も面白い作品がいくつかあって、現代につながる琳派の創始者ぶりを垣間見る作品が多かった。


作品リストと展示順がごったになっているので、リストを見ながら回ると、見づらかった。
後半で抱一、其一の絵画(掛け軸中心)がぞろぞろ出てくるので、最後まで集中力が途切れないようにするのがポイント。
前半は、対決展など他の展覧会で何度か見ている作品も多いので、初見作品、好きな作品に絞りこんで見るのも良いかもしれない。

*6期に分かれて展示替えがあるので、ご注意ください。11月16日まで開催中。

レーシック手術

昨日、都内某眼科でレーシック手術を受けました。
関心がおありの方も多いと思うので記録として簡単に残します。

きっかけは、職場で話題になっていたこと。
最初1人が受け、次にまた1人。
私にとってレーシックは遠い話であったのに、身近な方が数名受けているのを知り、一気に身近な話題となった。
元々、レーシックと言うと「失敗したら、失明するんじゃないか・・・」とか「本当に視力が戻るのだろうか・・・」と不安ばかりが先に立っていたが、いざ、体験者の話を集めると、時代の変化で技術も変わり、今では危険性が極めて低くなっている様子。
それでも、手術は手術。眼を外科的に手術するというリスクは変わりない。

まずは情報集め。
どこの医療機関で行うかが重要なようだ。目の前に座っていた新人君は眼科ではなく美容外科らしき所を選択したようだが、勧めないと言っていた。
ということで先陣の方の後を追い、今回の眼科にお願いすることにした。
選択理由は
1.通院に便利。
2.1人の医師が検査と手術を両方行っていること。これが別々な病院は多い。
3.最新鋭の機器を導入していること。
などが決め手となった。

実際、検査に行って医師とお話したが、穏やかなとても良い先生であったのが一番大きな理由かもしれない。安心してお願いできた。

最初の検査で、私の眼は角膜の上下バランスが悪く、すぐに手術できず2週間目薬をさして様子を見ることになった。元々アレルギー性結膜炎で、転勤間際の疲労が重なり、結膜炎を悪化させた影響かもしれないが、肉眼では分からないわずかな厚みの差があるらしい。

ちなみに、検査料、目薬代は全て手術する時の費用に込。
よって、初回はお金を払っていない。
2週間後に、再検査を行い、今度は手術可能となり、昨日の手術日を決めた。

検査当日。
再度当日の状態を検査。実はこの日またも異常値を示していたが、手術できないような異常性は他の検査結果からも伺われないということで、手術実施。
私は、もう老眼も気になる年齢であったため目標視力を左右で変えた(モノ・ビジョンというらしい)。これは最初の検査の際に、医師からのアドバイスを受けたことに従ったもの。
こちらの院長はご自身もモノ・ビジョンでレーシックを受けていらっしゃるので、体験談として納得できた。

手術自体は両目で10分程度。
レーザーで角膜を削るというのは、聞くだに恐ろしいが実際は20秒程度。その前に缶の蓋を缶切りで開けるように機械で切り込みを入れる。この時の圧迫が一番怖かった。
更にレーザーで角膜を削る際、匂いが気になる。

問題は手術終了後である。
これが一番痛い。
手術中は目に麻酔用目薬を点眼するため、痛みは感じないが、この麻酔が切れてくると痛い。
医師の話によると、骨格の小さい女性の方が男性より痛いらしい。
また、麻酔目薬で痛みを感じなくすることもできるが、傷口の治りが遅くなるとのこと。
ここは、涙を流しつつ忍の一字。

視力は手術後すぐに上がっていることが分かった。私は元々右が0.03、左も0.05と両目ともに0.1を切る強度の近視なので、眼鏡なしでは暮らせない。
術後、ベッドから立ち上がって薄眼を開けて足もとを見たら、既にはっきりと見えているのが分かった。
そして、今朝目覚めると視界良好、痛みも嘘のようにおさまっていた。成功して良かった。

術後の痛みは眠りにつくまで、少なくとも5時間は続いていた。痛み止めの内服薬をいただいたので、それを飲めば多少緩和されるが、やはりこの時間が一番辛かった。

手術した当日は、1時間院内でじっとした後、診察を受ければ自宅に帰って良い。無論当日は、まっすぐ帰宅し安静にしていることが必要。
この日は帰る際に外出用ゴーグルをして眼を保護して帰宅。眠る時も外出用とは別のゴムが付いたゴーグルをして眠る。

手術翌日の今日は診察を受けて、異常がなければほぼ通常の生活に戻れる。
これで、眼鏡とも煩わしいコンタクトレンズともオサラバだ。

正木美術館開館40周年記念展「禅・茶・花」 東京美術倶楽部

三連休である。芸術の秋である。
そろそろ、旅と名のつくような遠出をしたい気持ちではあったが、この3連休は都内潜伏。
あっという間に終わってしまった。

さて、正木美術館40周年記念展は、本家本元の正木美術館へも見に行った。しかし、大阪では3期に分けての展示であったため、全作品を見ることは叶わなかった。
何だか消化不良のままに終わってしまった展覧会だが、さる方のご配慮で(いつも、チケットありがとうございます!)リベンジの時が来た。

会場となっている東京美術倶楽部は今回が初訪問。
新橋駅から、若干迷いつつも何とかたどりつく。何しろ会期最終日で、18時閉館であったため焦り気味であった。

で、じっくり鑑賞できました~今回は。満足度もかなり高かった。
今の私が興味をひかれつつある鎌倉・室町時代の水墨画や宋・元時代の中国絵画など、十二分に眼を肥やさせていただいたと思う。
東京展では、出品点数約70点。正木美術館の所蔵作品は1200点に上るというから、ごくごく一部なのだろう。

展示は、タイトル通り「禅・茶・花」を中心としてコレクションの始まりと未来へを加えた5部構成。

以下印象に残った作品多数、よって中でも星印(特に気に入った作品)のみ。
・「蓮図」 能阿弥筆 室町時代
この鑑賞の直前に東博で大琳派展を見たばかりで、そこでも蓮図を何点か見ていた。琳派につながるルーツはこの能阿弥なのではなかろうかと「蓮図」を見ながら考えた。

・「墨梅図」 王冕筆
同じ墨梅図は場内に全部で3つあった。うち一つは、絶海中津の重文。しかし、私が一番好きだったのはこの作品(no.59)。華やかさは一番だったように思う。

・「瀟湘八景図巻」  雪村筆 室町時代
墨彩による絵巻物。流れるような筆つかいと物語の展開。雨の様子が素晴らしかった。

・「熊川茶碗 銘たちばな」  朝鮮時代
当代きっての茶人正木孝之のコレクションであるから、茶碗、茶杓と茶道具は逸品ぞろい。と偉そうに書いても実は茶道具はいま一つ分からない分野ではある。
完全に好き嫌いだけで見ている昨今だが、どうも私は朝鮮時代のお茶碗が好みらしい。

・「 騎獅文殊図」 虎関師錬賛 南北朝時代
・「 騎獅文殊図」 良詮筆 乾峯士曇賛 南北朝時代
いずれも重文。この2点の横並びは素晴らしかった。賛(何が書いてあるかは読めないが・・・)と絵の調和も良い。見ていると落ち着いた気持ちになれる。

未来へのコーナーは、現代木彫アーティスト須田悦弘さんの作品3点。

今回の展示は演出過剰?と思えるほど、茶席や解説、展示方法など工夫が凝らされていた。
正木美術館の展示室にはない十分な広さでの展示で、個人的には東京展で一度に見られて本当に良かったと思う。
残念だったのは、室町時代の屏風2作品を拝めなかったこと。これだけは3回展示替えがあったようだ。最終日に見たのは江戸時代の「竹図屏風」。図録に掲載されていた上記2作品、実物をぜひ見たかった。。。

*この展覧会は既に終了しています。

「液晶絵画」 東京都写真美術館

液晶絵画

会期終了間際の駆け込み鑑賞してきました。
大阪の国立国際美術館で開催されていた頃から、見に行こうと思っていたのにここまでずれ込むのも珍しい。

さて、ずばり映像作品をテーマとした展覧会。
全体としての印象は、まずまず。

良かった作品は、
・「水の森」 千住博 
屏風状の液晶に山水画の映像とBGMに効果音が流れている。水面のさざ波が動きを見せて、まさに動く水墨画。

・「イヴニングドレスの女」 ジュリアン・オピー
眉毛と目の動きだけで、こんなに作品の印象が変わるとは。わずかな動きだけなのに、とても面白い。「ペンダントをつけたキエラ」もゆらゆら揺れるペンダントだけ見ていると、催眠術にかかりそう。

・「Fortunetelling」 やなぎみわ
やなぎの映像作品は初見かもしれない。彼女の写真を映像化するのも悪くないと思った。不気味な写真が映像化されると、ますますその不気味さが発揮されるようで怖い。

・「Blue Gas Eyes」 ミロスワフ・パウカ
地下1階展示室の冒頭にあった、ガスコンロの青い火を映像化。日常のありふれた光景のひとコマを切り取って見せる手法。絵画作品で小林孝亘が同じテーマと対象を扱っているのを思い出した。

・「雀村往東」 ヤン・フードン
モノクロの映像で音声なしなのに、何か足を止めさせるものがあった。

・「新山海経2」 チウ・アンション
何とも不思議なアニメーション作品。個人的にはもう少しひねりが欲しいところ。

・「Yo Lo Vi」 ドミニク・レイマン
アイディア勝負。時間差で作品を鑑賞している自分が映像化された視野に入る。
思わず遊んでしまう。

・「フェルメール研究」 森村泰昌
映像作品はこちらも初めて。好き嫌いは別として、液晶絵画のタイトルにふさわしい作品だと思う。

*10月13日まで開催中。

「北斎DNAのゆくえ」 板橋区立美術館

板橋

やっと行って来れました「北斎DNAのゆくえ」です。
思わぬアクシデントに土日をつぶされ、前期は見逃してしまい、残る会期もあと1週間弱。

そして、10月5日(日)には、学習院大学教授・千葉市美術館館長:小林忠先生の講演会「私の好きな北斎」もお聞きすることができました。

まずは、展覧会から。
主催者による今回の見どころは、天才北斎のDNAが門人28名にどう受け継がれたかを、肉筆画に焦点を絞り探っていくこと。
なるほど、門人たちの作品には、学芸員さんが判定した北斎DNA度が付されています。

主催者の意図は別として、個人的に感じた見所は、やはり北斎本人の肉筆画名作の数々。どれをとっても素晴らしいの一言に尽きます。
後期の目玉は「二美人図」重要文化財(MOA美術館蔵」)でしょうか。

小林先生の講演会でも、この二美人図は北斎美人画の中でも傑作に挙げられるとのことでした。
が、私にはどの北斎の手になる美人画はどれも名作に見えてしまうのです。

北斎作品で印象的だったのは、「拷問の図」と「弘法大師修法図」。
前者は、こんなテーマの作品も描いていたのかという意外性に、後者はやはり作品自体の大きさと迫力に圧倒されました。

門人たちの作品では、私のご贔屓である魚屋北渓の作品を楽しみにしていたのですが、わずかに3点。残念ながら、今回の展示作品は・・・。もっと上手い作品もあるのに、残念です。

もうひとつは、葛飾応為「吉原格子先の図」。彼女は北斎の娘ですが、北斎が「お~い、お~い」と呼ぶのにちなんだのと、為(北斎)に応えるの語呂合わせでの名前だと、これまら小林先生のお話で知りました。
応為は、北斎死後どんな人生を送ったのか、没年など詳細が不明だそうです。才能ある画家だったはずなのに、何も分からないと言うのは、不遇だったのでしょうか。

「吉原格子先の図」は応為の光に対する鋭い感性がフルに発揮された名作。
愛知県にあるメナード美術館で、応為の名と作品を初めて見ましたが、その作品も同じように光による明暗がしっかりと描き分けられていました。


小林先生の90分に及ぶ講演会は満員御礼、日本浮世絵学会の定期研究会も兼ねていたためか、立見も出るほどの盛況ぶりでした。定員100名でしたが、120名はいたと思います。
最初は硬いお話し振りでしたが、スライドを使った作品解説になる頃から、お話も興に乗って来られたのか、大変楽しかったです。

来週11日(土)はいよいよ大御所、辻惟雄先生の登場です。関心がある方はぜひ。

*10月13日まで開催中です。

「高山辰雄遺作展 人間の風景」 練馬区立美術館

takayama

練馬区立美術館へ初めて行った。池袋からめったに使わない西武線に乗車して、中村橋駅より徒歩3分。駅近なのは嬉しい。

さて、高山辰雄遺作展の前期最終日に行って来た。前期、後期併せて、初期から晩年までの作品約100点による回顧展である。
展示室は、他の区立美術館と同じような広さという印象を持った。建物自体はどこといった特徴が感じられない。やはり、渋谷の松濤は特別だと改めて思う。
作品は大型なものが多いので、半々に分けないと展示は難しい。

全体的な印象としては、高山辰雄特有の人物表現(表情、顔)をした人物画が多い。ゴーギャンが好きで、その影響を受けた作品「朝」「夕」1973年の屏風などが見られた。
高山辰雄とゴーギャン、これまで思いもしなかった取り合わせだが、言われてみれば成る程と思う作品多数。

個人的には、暗い色調のバックにたたずむ精神的・幻想的な人物画はあまり好みではない。
しかし、「聖家族」シリーズの中の「聖家族Ⅰ」1993年と「森」1985年(チラシトップに採用されている)は良かった。
再見となった東京藝大卒業制作「砂丘」1936年も、やはり記念碑的な作品。むしろ、こちらの画風の方が好きだったりする。

*後期展示は10月11日~11月3日まで開催。
前期と後期で大半の作品が入れ替わります。

「Akasaka Art Flower 08」 赤坂一帯

flag
このチラシを見なければ、行っていなかっただろう。

赤坂サカスを中心とした赤坂一帯で展示されている「Akasaka Art Flower 08」というアートイベントに行って来ました。
その前日に横浜のZAIMで開催されていた現代アート展「THE ECHO」を見たのですが、複数の現代アート作家による展示という共通項をもとに、それぞれ比較しつつ感想を書いてみようと思います。

「Art Flower」は、赤坂一帯の7か所で作品展示をされていますが、中心となる会場は、旧赤坂小学校と「島崎」(元料亭)の二つです。
まず、赤坂サカスでチケットを購入すると、パスポート(本当にパスポートを模したスタンプ台帳+参加アーティスト解説+地図などが記載されたガイドブック)を受け取ります。各展示会場でスタンプを集めると、草間弥生グッズ=クリアファイルがプレゼントされます!
私は、まだ全ての展示会場を回っていないため、貰えてません・・・。

パスポートを片手に早速会場へ。以下印象に残ったアーティストを挙げて行きます。

1.旧赤坂小学校

・「by the Window 旧赤坂バージョン」 池田光宏 
いわゆる影絵仕様の映像作品。小学校の1階ガラス窓に映し出された活動する人々やテーブルの影が、刻々と変化して行く。人も動けば、テーブルや椅子も動く。花が咲いたり、延々と映し出される影は、通りの向こうから他人の家を伺っているような感覚にも似ている。
影と言っても、光の明るい色でなく、虹色なので、色彩的にも美しい。本展の中でベスト3のひとつ。

・「泥絵・昨日の半分と明日の半分」「Masking Plant」 浅井裕介
小学校エントランスホール全体に描かれた絵画は、会場周辺の土を溶かし泥状にしたものを画材にして描いているという。とても泥で描いたとは思えない出来。
入口すぐのこの作品を目にすると、アート祭典なんだなと言う気持ちも高まる。
もうひとつ「Masking Plant」はマスキングテープとマジックを使用して、階段脇の壁を植物で覆っている。縦横無人にのびる植物は、階段を上り下りするたびに目を楽しませてくれる。

横浜のZAIMも古い建物を再利用しての展示であったが、このような会場自体を使った展示の工夫に欠けていた。池田や浅井のような作品が会場にあったら、数倍楽しめたに違いない。


・「あなたが誰かを好きなように誰もが誰かを好き」2006-2008 小沢剛
赤坂小学校体育館に出現した8メートルの座布団の山。日曜6時頃に入ったのだが、大勢こどもたちが遊んでいた。入口の反対側にこっそり大人も何人かいて、みんな座布団山に寝転がったりして、思い思いにくつろいでいる。私はと言えばお約束通り、座布団山のてっぺんから滑り台をして遊ぶ。
数年前の森美術館の展示でも、同じように座布団を使用したインスタレーションがあったけれど、あちらの方が山の高さは高かった。
脇にはジャングルジムが。山の中は空洞になっていて、座布団山列車と題した大きな台車が置いてある。これが30分に1回、スタッフの人力により動く。ちょうど行った時、発車時間になったので、子どもたち5名が参加して大はしゃぎであった。子供だけでなく、大人ものんびりできる場所。

・「パラモデリック・グラフィティ」 パラモデル
2名のユニットによる作家。パラモデルそのものを使用て作り出した絵画が体育館の壁、天井を覆い尽くす。小沢の座布団山とのコラボによって、会場が見事に化けている。
よく天井にあれだけのものを取り付けたと感心しきり。また、絵画(景色)としても見ごたえがある。

・「月夜のスカートめくり」 スサイタカコ
体育館2階の小部屋を目いっぱい使用しての展示。これはニッチで不思議な空間であった。
スサイはクレヨン、水彩、アクリル絵の具によるイラストと実写アニメーション、更にそれを具体化した人形やぬいぐるみなどが狭い室内を覆い尽くす。日々作品数が増えているのではないか。室内には作家さんご本人もご自身作成のキャラに扮して、観客をお出迎えされていた。
手芸アート極まれり。密度の濃い空間。


2.島崎(元料亭)

・「Duquheapure」 松宮硝子
2階の奥座敷を使用したインスタレーション。本展MYベスト3の1点。薄暗い座敷の床の間にある展示を見たら誰もが息を飲むのではないか。南極を思わせるような氷の空間=実はガラス。
さらに、この氷の塊は、室内のあちこちに増殖している。室内に小型懐中電灯があるので、必ず部屋のあちこちを照らしてみてください。増殖中の氷を沢山見つけることができる。
ここでも、作家さんご本人がいらっしゃって、しかも暗い中、ガラスを使って作品を作り続けていた。
来週までには、更に増えているのではなかろうか。
美しくも脆い生き物のようなガラス達。これが松宮硝子の世界である。

・「IKEBANA 2008」「PIKA PIKA」「PIKA PIKA2007」 トーチカ
トーチカは、ナガタタケシとモンノカヅエを中心としたユニット。名前は初めて知ったが、海外でメディアやアニメーションの部門で受賞している。
なるほど、映像アートであるが、これも面白い作品だった。
何より良いのは、料亭の床の間空間とそこにある花瓶、花鉢などの調度品を利用した作品であるということ。まさに、そこでしか味わえない内容になっていて、空間を上手く活かしたお手本のような映像であった。

その点対照的だったのは「ECHO]で見た映像作品。映像作品はいくつかあったけれど、どれもいま一つ。名和晃平の「Dot-Movie」は良かったけれど、いかんせん狭い空間での立ち見で、落ち着かない。

・「White horse in the studio」 青山悟
この作品、会場を出た後に、刺繍であると知り、びっくりした。この作品も展示方法が上手い。
玄関入ってすぐの廊下突き当りに展示されているので、一番目につきやすい。しかも、ピンスポットが作品を照らしているので、暗い空間の中で、作品が浮かびあがって見えた。
側に近寄って、じっくり拝見したにもかかわらず、刺繍と気付かない私って・・・呆然。
本当に刺繍なのか、もう1度確認したい程。

青山悟は、唯一「ECHO」にも出展していた。にも関わらず、私には作品の記憶がまるでない。
ZAIMは各アーティストが1人または2人で1室を使用していたが、空間としては広目の部屋が多かった。ゆえに、作品自体に力がないと、その魅力がぼけてしまったのではないだろうか。
もちろん、ZAIMでも彼の作品が刺繍だったという記憶はない。


今回のアートイベントで、残念だったのは赤坂見附で下車すると、会場の案内図も道案内も何もないため、作品展示場所にたどり着けない。しかし、赤坂駅で下車して、赤坂サカスを起点とすると、行ったり来たりで、動線の効率は悪くなる。
もう少し、会場地図案内をあちこちに立て看板していただけると、どこからでも入りやすいのにと思った。

*10月13日まで開催中(会期中無休)。開催時間:11:00~19:00
注1:赤坂氷川神社の一部は17時で終了。
注2:チケットは当日のみ有効だが、16:00以降の入場は最終日を除く翌日以降再入場可。

「現代美術への視点6 エモーショナル・ドローイング」 東京国立近代美術館

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東京国立近代美術館で開催中の「エモーショナル・ドローイング」展に行って来ました。

本展では、中近東、アジア、日本から16名の作家のドローイング作品によって、その現状と可能性を探ります。
一口にドローイングと言っても、見せ方は多様で、紙上に表現されたものもあれば、DVDで音楽と併せて映像を楽しむ形式であったり、また画材も鉛筆、水彩、色鉛筆、インク、木炭など、それぞれ多彩な表情を見せています。
更に国内外の作家の作品を見て行くと、思ったほどお国柄による違いというのは感じませんでした。
インドの作家ミトゥ・センのものなど、日本人作家と言っても疑問に思わないの気がします。それほどに、アジア各国の作家に日本アートが影響を与えているのかもしれません。

日本からは、イケムラレイコ・奈良美智・辻直之・坂上チユキの4名が参加、とりわけ奈良美智の出展数は群を抜いて多く、ファンの方は必見でしょう。

個人的に印象に残ったのは、展示室冒頭にあったイケムラレイコの作品です。最初誰の作品か意識せず見て「!!!」とショックを受けたのですが、イケムラレイコと分かって驚きました。
イケムラレイコと言えば、彫刻、立体作品ならすぐに浮かぶのですが、ドローイング・・・見たことあったっけ?でした。
彫刻にはない魅力がドローイングには沢山あって、私はこちらの方が好きです。線も良いのですが、何より色の使い方が好み。中でも、シリーズ「波 風 存在」よりとシリーズ「樹の愛」は良かった。

映像作品も多かった中で、好印象だったのは「からっぽの空-めざめ」2008年 アマル・ケナウィ(エジプト)です。
クラシック(バッハか?)と共に実写のような風景とドローイングがミックスされたビデオアニメーション。
約4分の作品ですが、もっと見たいと思ったのはこの作品が一番。短さが後を引く??

奈良美智は、制作年代順に壁一面を使用してずらりとドローイングが並びます。そして、いつものように奈良小屋がど~んと中央に。小屋を作ったら日本一じゃないでしょうか。小さくても、奈良ワールドの魅力がいっぱいに詰まった空間です。

*10月13日まで開催中です。お気に入りの1枚を見つけてくたさい。

「速水御舟-新たなる魅力-」 平塚市美術館

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「花ノ傍」1932年

病は癒えたような、癒えてないような微妙な状況ですが、寝こむほどではないので、やはり出かけてしまった。まぁ、出かける気力だけは衰えていないようだ。

今日から開催の「速水御舟-新たなる魅力ー」を見に平塚市美術館まで行って来た。
この展覧会、一言でまとめると「山種美術館所蔵品以外での速水御舟回顧展」となる。

速水御舟のコレクションと言えば、やはり山種美術館のそれはつとに有名。もとは、かの安宅栄一コレクションであったものを買い受けたもの。本展は、この旧安宅コレクションを除いて、日本各地より集めに集めた約100点で速水御舟の画業を振り返ると言うもの。サブタイトルは、「新たなる魅力」であるが、このサブタイトルと出展作品との関係性は不明。
図録をしっかり読んでくればよかったかな~。図と解説がほぼ半々の内容だったので、タイトルとの関連性にも触れていたであろう。。。

作品は、御舟の年齢順におおよそ展示されている。今回の特徴は、一点一点に解説が一切付されていないこと。キャプションにあるのは、タイトル、制作時の御舟の年齢、所蔵先(記載がないものも多数)、公募展に出展されていた場合はその公募展名のみ。
展示の区切りに短めの解説はあったが、却って私はこのシンプルさのおかげで鑑賞に集中できた。
繰り返しになるけれど、先に名古屋で見た二つの公立美術館の展覧会が解説多すぎで辟易していたのかもしれない。

印象に残った作品は多数、中でも!というもののみ以下抜粋。

・「小春」 1910年 桑山美術館 
展覧会冒頭にある作品。何と御舟1が16歳で描いたと言う。どう見ても16歳の絵じゃないでしょ、これは・・・と呆然。しかも、この作品「第10回翼画会展」に早くも初出展している。

・「焚火(秋の朝)」 1913年 霊友会妙一記念館
箒を持った少年(お坊さんだったか?)が庭を掃いている。「箒」はよく禅画で描かれるアイテムだが、後に御舟は禅を学ぶ。その前兆を示すようで興味深い。

・「隠岐の海」 1914年 広島県立美術館
波頭が画面下3分の2を占めている。構図が変わっているので、特に印象に残った。上3分の1の風景も上から眺めたような俯瞰図になっているのも珍しい。

・「伊勢物語」 1917年 大谷コレクション
絵がこれほどまでに、物を言うのかと思うほど、伊勢物語の情景が伝わって来た。上手い下手ではなく、なぜか気に入ってしまった。

・「洛北修学院村」 1918年 滋賀県立近代美術館
この年あたりから、御舟の細密技法が始まる。この作品も凄い。緑で覆われた美しく緻密な、翠の匂うような作品。

・「京の舞妓」 1920年 東京国立博物館
先だって、東博で見た京の舞妓に早くも再会。どう見ても顔色、肌色悪すぎます。怖いので、忘れられない。後半に、「女二題」1931年も展示されているが、そちらの女性も肌が黒っぽくて、汚い。
どうして、御舟の描く写実女性はあんなに顔色が悪いのだろうか。

・「黍の図」 1924年 メナード美術館
糖黍なのか、緑ではなくここで使用されているのは「赤」。なぜか御舟と言うと、赤を思い出してしまう私は、この1枚が一番御舟らしいのかもと思った。

・「闘虫」 1926年 西丸山和楽庵
西丸山和楽庵からの出展作がかなり多かった。中でもこの「闘虫」は御舟が描く生き物絵画の中で、好感を持った1枚。

御舟は40歳で病死と早逝する。ことに晩年の作品は、20代30代前半と違って、小品が多いように思った。芙蓉、牡丹など花をよく描いたのだろうか、これらの作品がずらりと並ぶ。

・「円かなる月」 1935年 霊友会妙一記念館
絶筆。死を予兆していたのか、どこかバランスがおかしい。松の下に月が描かれている。さらに、どちらかと言えば色調も暗い。この他、未完の「盆梅図」も隣に展示されていたが、こちらも下図段階で見る限り小ぶりな作品だった。命の灯と共に作品まで小さくなってしまったのか。

第2会場には、制作にあたっての「下図」やスケッチ、直筆の書簡などが展示されている。それらも、もちろん興味深いが、一番関心をひいたのが御舟作「絵皿-樵夫図」「留袖下絵屏風」などの琳派の影響を受けたと思しき作品たち。
ことに「樵夫図」のモチーフは宗達のそれとそっくり。

この他にも御舟が影響を受けたセザンヌ、デューラー、岸田劉生などの影響がうかがわれる作品が第1会場にあった。

御舟のピークは20代~30代前半にあったのだろうか。山種コレクションを見届けていないので、判断にできないが、この展覧会だけを見るとそんな印象を持った。

それにしても、平塚市美術館の企画力は素晴らしい。この内容を市の美術館で開催できるという実力は、国内有数ではないだろうか。春にあった村田朋㤗の展覧会も大変良かった。遠方からでも見に行こう!と思わせる展覧会を開催できる美術館というのはそれ程多くない。
なお、本展と同時にで神奈川県在住の伊藤彬「モノクロームによる現代の表現」展も開催されている。

*11月9日(日)まで開催中。
平塚市美術館HPには、インターネット割引券(100円引き)があります。
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