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2009年3月の振り返り

今月も盛り沢山。終わってみれば37の展覧会。
ギャラリーを相当頑張って回って、少し楽しみ方が分かったかも。
噂の純画廊にも行ってみたが、陳列替されていたので、記録は残さず。

<展覧会>
「上村松園・松篁・淳之 三代展 」 日本橋タカシマヤ 3/4
「三井寺展」 サントリー美術館 3/6
「生々流転」他常設展  東京都近代美術館 3/7
「小熊秀雄展1」 豊島区立熊谷守一美術館 3/7
「中尾 彰-津和野・東京・蓼科- 展 」 練馬区立美術館 3/7
「ルオー収蔵作品展 色の秘密」 パナソニック電工 汐留ミュージアム  3/8 
「出光美術館コレクションの至宝 茶の湯の美」 栃木県立美術館 3/8
「ミロ展」 大丸ミュージアム・東京 3/9 
「名画と出会う-印象派から抽象絵画までー」 ブリヂストン美術館 3/12
「ルーブル美術館展 17世紀ヨーロッパ絵画」 国立西洋美術館 3/13
「小杉放菴と大観 ―響きあう技とこころ―」 出光美術館 3/14
「源氏物語と物語絵」 永青文庫 3/14
「生誕170年記念 楊洲周延」 太田記念美術館 3/14
「ミレーとバルビゾン派の画家たち」 青山ユニマット美術館 3/14
「チャロー!インディア インド美術の新時代」 森美術館 3/14
「山口蓬春と花鳥画の世界-コレクションに見るその移りかわり-」 山口蓬春記念館 3/15
「伊庭靖子展」 神奈川県立近代美術館 鎌倉館 3/15
「関合正明 慈しみのまなざし」 神奈川県立近代美術館 鎌倉館 別館 3/15
「所蔵名品展」 MOA美術館 3/15
「東本願寺の至宝展」 日本橋高島屋 3/18
「VOCA展 2009」 上野の森美術館 3/20
「山梨に眠る秘蔵の日本美術」&ミレー館 山梨県立美術館 3/20
「新・名品100選展」&常設展 東京富士美術館 3/20
「薩摩焼 パリと篤姫を魅了した伝統の美」展 江戸東京博物館 3/21
「ディーナー&ディーナーの試み」 東京オペラシティアートギャラリー 3/21
「難波田龍起・難波田史男」 東京オペラシティアートギャラリー 3/21
「荒井良二のいろいろ展」 世田谷文学館 3/21
「江戸絵画の風景250年 山水に遊ぶ」 府中市美術館 3/21
「第28回 損保ジャパン美術財団 選抜奨励展」 損保ジャパン東郷美術館 3/22
東京都現代美術館常設展&高木正勝講演 3/22
「中原淳一展」 松屋(銀座) 3/24
「アーティストファイル2009」 国立新美術館 3/28
「幻の薩摩切子展」 サントリー美術館 3/28
「ルーブル美術館展 美の宮殿の子どもたち」 国立新美術館 3/29
「小林秀恒展」 弥生美術館+竹久夢二美術館 3/29
「仙境に遊ぶ」 横山大観記念館 3/29
「詩人・建築家 立原道造」 立原道造記念館 3/29

<ギャラリー>
「土屋仁応展」 日本橋タカシマヤ美術画廊X 3/4
「小西真奈展」 アラタニウラノ 3/7
「中尾彰展 第2部童画・水彩画」 白銅鞮画廊 3/12
マイケル・ケンナ 「Mont St Michel モン・サン・ミッシェル」. ツァイト・フォト・サロン 3/12
「8人の新、アーティスト展」 ギャラリー・ショウ・コンテンポラリーアート 3/12
「全光榮(チョン・クァンヨン)展 世界を魅了した韓紙アートの傑作」 森アーツセンターギャラリー 3/14
林勇気(はやしゆうき)展「afterglow」 ニュートロン東京 3/14
「根上恭美子展「スターだらけの」 GALLERY MoMo Ryogoku  3/21
宇田川愛 「developing Utopia」 KIDO PRESS  3/21
山本桂輔展 「起立」 TOMIO KOYAMA GALLERY 3/21
「ショーン・ランダース」 タカイシイギャラリー 3/21
ベルンハルト・ブルングス展 「眠れるもの」 TKG Contemporary 3/21
田島秀彦展 KENJI TAKI GALLERY/TOKYO 3/21
ジェームス・ウェリング 「Notes on Color」 ワコウ・ワークス・オブ・アート 3/21
project N 36 原良介 東京オペラシティアートギャラリー 4Fコリドール 3/21
「On her skin 清水朝子展」 和田画廊
湯浅克俊 「版・モノクロームの深度」 INAXギャラリー2
「ホーリーファレル展」 Megumi Ogita 3/28
内藤礼「color beginning」 ギャラリー小柳 3/28
「青木野枝展」 ギャラリーハシモト 3/28
「イ・イェリン個展」 琴山画廊東京 3/28
麻生知子「家に帰る」 Gallery Jin 3/29
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麻生知子「家に帰る」 Gallery Jin

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麻生知子 「家」 2008年 油彩、キャンバス

VOCA展2009入選作家の麻生知子の個展「家に帰る」に行って来ました。

麻生については、今年のVOCA展で初めてその名前、作品に出会いましたが、入選作「家」2008年は家を側面と上から俯瞰した状態でそれぞれ描いた作品です。

そして、今回の個展「家に帰る」では外側から見ていた家の中に入って見るというコンセプト。
会場のGallery Jinは、地下鉄根津駅より徒歩7分。こちらは日曜日も開廊しているので、勤め人には助かります。日曜営業のギャラリーがもっと増えてくれれば良いのにと思わずにはいられません。

白い空間の中に、今回や20点弱の大小取り混ぜた作品が展示されています。
展覧会タイトル通り、家に帰って家の中のものがそのまま描かれています。

私が一番最初に気に入ったのは「ブレーカー」(?)を描いた作品。
まさにブレーカーがよくある位置に展示されているので、本物と見間違いそう。
面白い。

「お雛様」の俯瞰図も良かった。
オレンジに輝く雛段に見えるのはお雛様のお人形たちの頭のてっぺん。
お雛様を描いた絵はいくつか見たことはありますが、上から眺めた絵っていうのは見たことない。

1周して、過去の作品ファイルなど見ていたら、何とご本人麻生さんがお友達数人と一緒に登場。
機会をうかがって、ご本人に直接お話を伺ってみました。

私:「このお雛様の絵もそうですが、上から俯瞰した作品をどうして描こうと思われたんですか?」
麻生さん:「作品を見る方に、私と同じ視点で見てもらいたかったのです。例えば、引き出しを開けた瞬間とかなら、ひきだしを開けた時見るのは、引き出しの中ですよね。視点を共有して欲しかったのです。」

私:「そうすると、この畳の絵は?」(私六畳の畳に横になる男性一人が描かれた作品)
麻生さん:「この作品は空間がねじれてますね(笑)。上から畳を見たはずが、男性は横から見た姿になってます。」

ご友人:「このJRAのカレンダーは何?」
麻生さん:「父親の会社のカレンダーなんだけど、ちょうど3月に退職するので、記念に描いたの。」

麻生さんは、まだ今春卒業予定の学生さん。ほっぺが赤くて、かわいいお嬢さんです。
食べることがお好きなのか、絵のモチーフに食べ物がよく使われていました。
今回もみたらしだんごやお寿司などが。。。
麻生さんのホームページはこちら

麻生さんの絵、そのうち小説の表紙に使われるような気がします。予言。
「生活素朴派」と名付けたくなる作品群。
かの山下裕二先生も「美術の窓」で紹介記事を2か月にわたり書かれていました。
なぜか、応援したくなる麻生さんです。

*4月4日(土)まで開催中。

「ルーブル美術館展-美の宮殿の子どもたち」 国立新美術館

ru-buru

もうひとつの「ルーブル美術館展-美の宮殿の子どもたち」を国立新美術館で見て来ました。

この展覧会の特徴は、ルーブル美術館の7つの部門<古代エジプト美術、古代オリエント美術、古代ギリシャ・エトルリア・ローマ美術、絵画、彫刻、美術工芸>から出展された「子ども」にまつわる至宝約200点を展観していることです。

ルーブル美術館のロワレット館長は「名作を並べるだけのミニ・ルーブルではなく、子どもという感情を呼び起こすテーマを通して、異なる文明、時代と対話する。そこに今回の面白さがあります」と本展について語っています。

個人的には、本展こそ日本の国立新美術館でないと見ることができない、貴重な機会ではないかと思いました。
なぜなら、たとえ私が次回ルーブル美術館に行ったとしても、この展覧会に出展されている展示品をまとめて見ることができるかと言えば、無理だと思うから。
7つの部門に亘り、子どもに関する展示品だけを見つけることは広大なルーブルでは困難です。さらに、そこに至るまでに他の膨大な作品群を目にするわけで、それだけに絞ってという鑑賞は現地に行ったらなかなかできるものではありません。

以下展覧会の構成から簡単に内容を振り返ります。
各作品の画像はこちらの展覧会HPをご覧ください。

第1章 誕生と幼い日々
まずは紀元前2033年~前1710年頃のテラコッタ製の「二人の子どもを抱く女性の小像」から始まります。はるか昔より、子どもを抱く母の像が沢山制作されていたことが分かります。
造形も文明が違うと、実に様々。
ここでは、美というより歴史と文明の差を感じました。
・フラゴナール「子どもを抱く若い女性」 フラゴナールにしては上手くない。
・アンニーバレ・カラッチ 「赤ん坊の顔」 素描 小さいものだが、美しい。
本展での絵画的な見どころは素描の素晴らしさだと思う。これは全章を通じて、良い作品が出展されていた。

第2章 
子どもの日常生活
・オスターデ 「学校の先生」 1662年
オスターデ好きな私としては嬉しい1枚。この作品は学校の様子を描いたものだが、子どもが妙に老け顔でかわいくないのが気になった。オスターデの光の描写が上手い。

・シカルディ 「二人の若い娘を表したボンボン入れ」 
工芸品。べっ甲や金クリスタルガラスをかぶせた細工の入れ物に若い二人の娘が描かれている。

ゲーム盤や駒、これらが紀元前1295-1186頃のものだから驚く。他に紀元前12世紀の「台車にのったhリネズミ」やライオンなどのおもちゃ類も石灰岩でできており、造形的にも面白い。
猪形のがらがらや「関節の動く人形」まであったが、こちらも紀元前2~4世紀で、紀元前から既におもちゃが存在していたという現在と変わらぬ文化のあり方が分かる。

グルーズやオスターデの淡彩作品あり。絵としての魅力はいまひとつ。

第3章 死をめぐって
第3章の最大の見所は、「少女のミイラと棺」 ラメセス朝時代 前1295-1186年頃。
このミイラの前に立った時、背中に鳥肌が立ってしまった。あまりにリアルで怖かったし、あの場所だけ空気が冷たく感じたのは気のせいだろうか。
棺の周囲に描かれたのが少女の生前の姿だという。これは必見もの。

・フランソワ・リシャール 「小さな赤頭巾」 油彩
赤頭巾ちゃんとベッドに横になる狼の絵なのだが、リアルに描かれている。でも、死をめぐるテーマで赤頭巾ちゃんなのは何故だろう。

第4章 子どもの肖像と家族の生活
ここでは美しい彫刻塑像が沢山出ている。
・「少女」 テラコッタ16世紀 
・ジャック・フランソワ・サリ 「紙を編んだ少女の胸像」
・ジャン=ルイ・クアノン 「アレクサンドリーヌ=エミリ・ブロンニャールの胸像」
これらはルーブルに行ったら見過ごしてしまいそうな小さな胸像だけれど、ひとつひとつは美しいし、少女たちの表情がうまく表現されている。

・レオーニ 「少年の横顔」 18世紀 素描
・フィリベルト・ルドゥー 「少年の肖像」
・レオポルド・ボワイー 「幼いベルト・ジュリエット・デュボワ」
などの作品と共に、ベラスケスと工房「フランス王妃マリー=テレーズの幼き日の肖像」が展示されている。このベラスケスもいまひとつ。むしろ前記した3作品の方が好ましい。

習作ではバロッチの「二人の子どもの頭部の習作」が一推し。
ルーブル美術館主任学芸員の一推し作品でもある。この頃類型的に描かれた子どもを一人の人間として描いている所がポイント。表情が写実的でやさしげ。
ルーベンス「少女の顔」も必見。ルーベンスはあまり好きではないけれど、子どもを描いたものは別。
彼の描く子どもはどれも美しく愛らしい。

他に、ここではル・ナン兄弟の「幸福な家族」(でもちっとも幸福そうに見えない絵)やジョシュア・レノルズ「マスター・ヘア」1788年など絵画あり。

第5章 古代の宗教と神話のなかの子ども
ここでは古代ローマ時代、ヘレニズム時代、などの神話と共に描かれた子どものテラコッタや大理石彫刻、レリーフなどが展示され、博物館的な内容となっている。
「ヘラの遣わした蛇を絞め殺す幼児ヘラクレス」ブロンズ ベネツィアなどが印象深い。

第6章 キリスト教美術のなかの子ども
キリスト教に詳しくない自分としては、宗教的な意味合いも理解できず作品を鑑賞することとなるのが残念。
・ティツィアーノ「聖母子とステパノ、聖ヒエロニムス、聖マウリティウス」 1517頃
この絵の迫力はさすがに誰しもに伝わると思う。
・ブーシェ 「幼子イエスを抱えて座る聖母」 素描
素描といえどもブーシェの画技が垣間見える作品。

第7章 空想の子ども
・グェルチーノ 「両手を挙げた子どもの習作」
ペンと淡彩で描かれた習作。
・アントワーヌ・コワベル 「サトゥルヌスの表徴物を持つアモール」「空を飛ぶ二人のプットー」
・ルーベンス「レベックを弾く小天使」
これらの淡彩、習作はどれも素晴らしい。

最後を飾るのは
・ブーシェ「アモールの標的」 油彩 1758年
・マリー・ピエール 「忠誠の勝利」 油彩 1758年
いずれも下絵として描かれたそうだが、見事な大作。
ことにブーシェの「アモールの標的」はロココの魅力が溢れていた。

展示空間としても、国立新美術館の過去の展覧会の中では、工夫がされていて良かったと思う。
照明も落とし気味にして配慮されていた。

3月25日にスタートしたばかりだが、日曜日29日の午後に出かけたが会場内はかなり混雑していた。
ゆっくり見るなら金曜夜間の方が良いのかも。

*6月1日(月)まで開催中。

「詩人・建築家 立原道造」 立原道造記念館 はじめての美術館22

今日は、湯島から根津界隈を散策。
弥生美術館で「小林秀恒展」を見たのですが、受付で気になる案内とチラシを発見しました。
立原道造没後70年・開館12周年記念特別展「詩人・建築家 立原道造」の案内です。
今回は湯島から来たので、その存在に気付きませんでしたが、前回根津から来た時に、途中立原道造記念館を通り過ぎた記憶がよみがえって来ました。

私の心をとらえたのはその展覧会タイトルではなく1枚のパステル画(下)です。
mitizo

このポスター及びチラシに掲載されている無題〔二匹の魚〕。
真っ先に頭に浮かんだのは、パウル・クレーの絵でした。少し雰囲気が似ています。

それにしても、詩人で絵も描くというのは少し前に池袋モンパルナスの詩人としてこちらでご紹介した小熊秀雄(あの展覧会も良かった)もいますが、建築家にして詩人という方は聞いたことがありません。

早速立原道造記念館に行ってみることにしました。
実は、今日3月29日は立原道造の命日にあたります。この記念すべき日に私がここを初めて訪れるというのも何か運命的なものを感じますが、同館も1997年3月29日(道造58回目の命日だった)に開館しました。

展示室は2階・3階と小さなスペースですが、今回は道造の生涯、詩作、パステル画、設計図面などなど盛沢山な内容です。

立原道造は、1914年(大3)7月日本橋に生まれました。
母方の系譜にはかの水戸藩儒者である立原翠軒、画家立原杏所を持つとされています。
幼い頃から学業に優れ、また東京府立第三中学時代よりパステル画で抜群の才能を発揮。その頃、北原白秋などを訪ね、詩作も開始。
1931年第一高等学校入学、1934年東京帝大工学部建築学科入学。
一校時代、大学時代において「校友会雑誌」などで詩や表紙絵を次々に発表。
1935年「小住宅」により辰野賞を受賞、以後三年連続受賞する一方、「未成年」創刊、「コギト」「四季」などの雑誌に詩や物語を発表します。
1937年大学卒業後、石本建築事務所に入社し、「ヒアシンスハウス」を構想。更に詩集2冊を出版。
1939年、第一回中原中也賞受賞。前年から患っていた肺尖カタルが悪化、病状急変し、24歳で永眠。

まさに24年間という短い生涯を駆け抜けた夭折の天才詩人です。

建築家としての活動もさることながら、やはり注目すべきはその詩作でしょう。
一高時代に初めて作った手作り詩集「さふらん」「日曜日」に掲載されている詩は優しいリズムと短い言葉の一つ一つが絶妙に組み合わさって、こちらに心地よく伝わってきます。

どういう訳か、彼の詩を読んでいたら涙が浮かんできました。
別に悲しい詩であった訳ではありません。これ程の才能を持ちながら、24歳で逝ってしまうなんて、あまりにも悲しかったのです。

冒頭のパステル画にまつわる道造の詩。

パステルは やはらかし。
うれしかり、ほのかなる 手ざはりは。
うれしかり、パステルの 色あひは。   

韻を上手く使って、リズムを刻むのが道造の詩の特徴です。
後年、ソネットと呼ばれる「十四行詩」を確立しました。
彼の筆跡が私は好きです。小さくて形の良い文字が、詩の一部となって視覚的にも心地よい。

筑摩書房より「立原道造全集」全5巻が刊行開始されており、ちょうど第4巻が今月末に発売されます。
過去にも4度全集が様々な出版社より刊行されているそうですが、35年ぶりの今回はパステル画、建築図面などカラー図版を豊富に収録しているのが特徴。

欲しい。。。
最後は煩悩の告白となりましたが、とても良い展覧会です。
一度足を運ばれてはいかがでしょう。

*前期:2009年3月28日~6月28日
 後期:2009年7月7日~9月27日
<立原道造記念館>
開館時間  午前10時から午後5時(入館は4時半まで) 月曜休み
・交通
東京大学弥生門前
地下鉄千代田線根津駅交差点口から徒歩7分、池の端口から徒歩10分
地下鉄南北線東大前駅徒歩7分

「まぼろしの薩摩切子」 サントリー美術館

kiriko

本日六本木界隈では、六本木アートナイトと題して、夜を徹したアートの祝宴やらイベントやらが行われています。
サントリー美術館も、通常土曜日は20時閉館ですが今日は特別に23時まで開館。しかも、20時からは学芸員さんによるスライドレクチャー、21時半からは女性ヴァイオリニスト川井郁子さんのスペシャルミニライブが開催されるということで、本日スタートの「まぼろしの薩摩切子」展に行って来ました。

薩摩切子はスライド・トークによれば幕末のごくわずか約17年間という極めて短い期間にのみ薩摩藩の主導により作成されたガラス器です。作成期間が短く、ガラスという繊細な素材を使用しているため現存している作品も少ない中、本展では現存する作品の大半約150点と後継した薩摩系切子約10点を紹介します。

展覧会の構成は次の通り。
1.憧れのカットガラス
2.薩摩切子の誕生、そして興隆
3.名士たちの薩摩切子
4.進化する薩摩切子
5.薩摩切子の行方

作品リストはいつものように作成されていますが、今回の問題は、出品作品のどれもが同じような名前になっていること。ブロガー泣かせです。所蔵先もサントリー美術館を中心とし、相当数かぶっているため、ここで区別するのも難しい。

ということで、あれやこれやと作品名を連ねた感想は諦め、全体を通しての感想にとどめようと思います。

薩摩切子の魅力は、まずカットと色、最後にデザインでしょうか。
今回の展覧会では、過去注目されてこなかった無色の薩摩切子にもスポットを当てています。
江戸切子も冒頭の方に展示されていましたが、薩摩切子ほどの透明感がなく、白濁していました。
薩摩切子は純粋に透明無色のガラス器で、細かいカットはアイルランドなど西洋のガラス器の技術を
模倣し、それを超えるかという程に精緻です。

「無色切子」の中でも圧巻は、今回の展覧会にあたり徳川記念財団所有のガラス製品を調査し、薩摩切子であることが判明したという雛道具一式。こちらは、篤姫腰入れにちなんで作成されたと推定されています。ままごとセットのような無色透明な小さな小さなお道具は、まさに神がかり的技術。
どうやって、あれほど小さく繊細で美しいガラス製品を生み出したのか、ひたすら感心するのみです。
カットも細かく刻んであるので、ライトに照らされてキラキラ光る姿は宝石といっても良いほどでした。

薩摩切子の楽しみ方その2は、色。
赤にも実に様々な色合いがあり、深い赤、紅色、明るい赤。
そして赤の器は照明によって、美しい赤い影を落とします。器と共に、ぜひ影の美しさも堪能されると二重に楽しめることは間違いなしです。
青も同じく濃紺、藍、紫と様々に変化し、器を彩ります。
青の器では、蝙蝠を前面にかたどった舟形鉢が素晴らしかったです。

後期になると、赤や青系統だけでなく、研究が進み、緑や黄色の切子も出現し、貴重な作品が数点展示されていました。

最後はデザイン。
切子でできた文鎮、香水瓶は愛らしく、手に取ったら二度と手放せなくなるような姿をしていました。
こういった愛らしいデザインはなかなか西欧のガラス製品には見られないような気がします。
薩摩の日本ならではの意匠は、切子自体の姿だけでなく、ガラスに刻まれた模様にも特徴が表れていました。薩摩縞という着物の模様をガラス器にも使用した作品や、ぼかしを使ってより複雑な印象を作り出したり。後半の製品は、江戸後期のものとは思えないほどモダンで、現代で作成されたと言われても疑う者などいないのではないかと思われます。

華麗なる薩摩のガラスを楽しむ絶好の機会でした。薩摩切子を特集した展覧会は27年ぶりだそうです。

*5月17日まで開催中です。

東京富士美術館 新館 常設展示 はじめての美術館21

東京富士美術館はリニューアルオープン前に2度ほど行ったことがありますが、昨年の新館オープン後は足が遠ざかっていました。
山梨に行った帰り、八王子で途中下車し、静岡・東京富士美術館東郷記念「新・名品100選展」(3/22で会期終了)と常設展を見て来ました。

「新・名品100選展」の方は、竹内栖鳳の「獅子」やら本阿弥光悦「草花図下絵和歌」、川端龍子「池心」(雪月花・月)などが良かったです。

しかし、この企画展よりも感心したのは常設展示。
過去2回も企画展目当ての訪問で、その頃常設展示室が別に設けられていなかった?ため、所蔵作品を見たことがなかったのです。
今回、新館完成に伴い、企画展とボリュームある常設展を同時に鑑賞できる美術館となりました。

<展示室1> ルネサンスからバロック時代(15~17世紀)
この時代の作品を所蔵する美術館は国内で数少ないため、西洋美術館くらいか、作品に触れられるのは貴重な機会。
・「ジョバンナ・トルナブオーニ(?)の肖像」 ドメニコ・ギルランダイオ
・「蒐集家の肖像」 ティントレット 
・「煙草を吸う男」 ジョルジュ・ラ・トゥール
最後の作品はいろいろ言われてますが、一度拝見したかった。
ルーカス・クラーナハ(父)の作品まであったのには驚いた。

<展示室2> バロック、ロココから新古典主義 17~19世紀
・「犬を抱く少女」 ホーファールト・フリンク 
・「田園の気晴らし」 フランソワ・ブーシェ
・「豊穣な恵み」 ジャン=オノレ・フラゴナール
・「デッサンの勉強」 シャルダン
ブーシェやフラゴナールの作品もこれまた所蔵品として所有している美術館って西美以外うかばない。フランス・ハルス、ロイスダールらのオランダ絵画、ブリューゲル(父)(子)の作品もあり。展示室1と2が一番面白かった。

<展示室3> アカデミスムの絵画
・「シルクのソファー」 ミケーレ・ゴルディジャーニ
・「ユスーポフ公爵夫人」 ルブラン

<展示室4> 近代彫刻への扉
ロダンの「青銅時代」のみ展示されていた。

<展示室5> ①バルビゾン派(19世紀) ②印象派と後期印象派
ここではお馴染みのコロー、ミレー、ルノワール、ピサロ、マネなどがあり。
バルビゾン派については、先日アップしたユニマットの所蔵品の方が良かった。
・「鵞鳥番の少女」 ミレー

<展示室6> 多彩な表現の旗手たち 20世紀
ここでの一番のみどころは、マン・レイの油彩群。
マン・レイの写真はよく見るけれど、油彩はなかなかお目にかかれない。
「ゲイシャ・ガール」「杭のある海の風景」「うずくまる裸体」「トーテム」「スパニッシュ・ダンサー」いずれも良かった。個人的には、マン・レイの油彩好きだな。
・「青い背景の旭日」 マックス・エルンスト

<展示室7> ロバート・キャパの生涯
なぜ、ロバート・キャパの写真専用の展示室が?このキャパへのこだわりって何だろう?
13点ゼラチンシルバープリントあり。

<展示室8> 華麗なるジュエリー芸術
最後を飾るのは宝飾品。ナポレオンの「皇后ジョセフィーヌのティアラ」がひとつ燦然と光輝いていた。

15世紀頃の作品を少ないけれど所蔵していることで、西洋美術の流れが大まかに追えるのは魅力的です。

東京富士美術館
〒192-0016 東京都八王子市谷野町492-1
TEL:042-691-4511
開館時間: 10:00~17:00(16:30受付終了)
休館日:毎週月曜日(祝日、振替休日の場合は開館) 年末・年始、展示替期間
JR、京王線八王子駅からバスで15分程です。

「第28回 損保ジャパン美術財団 選抜奨励展」 損保ジャパン東郷美術館

「第28回 損保ジャパン美術財団 選抜奨励展」に行って来ました。
私は今回見に行くのが初めて。

出品作家である奨励賞受賞作家(36名)と推薦作家(26名)の計62名による各作品が展示されている。
ほとんどが未知の作家さんばかりであったが、岩田壮平、篠原愛など、わずかに知った名前もあった。

以下が印象に残った作品。

・長内さゆみ 「秋の水辺」 2007
この作品は、抜群にうまかった。私の後に入場された見知らぬ男性客が隣で「上手いっ!」と感嘆の声をあげておられたので「本当にお上手ですよね」とその後しばし2人並んで作品に見とれていた。

・岩田壮平 「花泥棒」 2008
この方の作品はどれも「花泥棒」というタイトル。以前見たのと全く同じなのだろうか?
描かれているものは大きな赤い花とその花を手にもって自転車を漕ぐ若い男性。でも、構図が違うような気がしたけれど、それを確かめる術がなかった。今回はガラスケースがなかったので、作品により近付け、膠彩特有のてらっとした感じを確かめることができた。

とこのお二人で終わってもよいくらいなのだが、あと数名の作家さんとタイトルのみ挙げておく。
・益村千鶴 「Lasting song」
・渡辺まり 「ギャロップ」
・大矢加奈子 「line-girls」
・安田正弘 「横臥裸婦(閑雅)」
・森川美紀 「Jiufeng」
・ましもゆき 「前夜祝」

*3月29日まで開催中。

ホーリー・ファレル「Home and Sea」 MEGUMI OGITA GALLERY

銀座のMEGUMI OGITA GALLERYにて開催中のホーリー・ファレル/「Home and Sea」を見て来ました。
個展開催のハガキにあったものは、ダイビングなどで使用するフルフット式のラバーフィン(ゴムフィン)黒色1対のみ。
今回は彫刻かオブジェのような工芸系の作家さんかと思いきや、全く違っていました。

これはまごうことなき平面絵画の展覧会です。
しかも、私個人はとっても気に入りました。
作品を見るためにもう1回か2回足を運んでしまいそう。いや、明日にでも再訪しちゃうかも。

ホーリー・ファレル(女性)は1961年カナダ オンタリオ で生まれ、日々の生活のストレスを解消する為に絵を描き始めました。自分自身の技法を独学で身につけ1995年より本格的に画家としての活動を開始しアメリカとカナダを中心に作品を発表しています。

今回が日本での初の個展開催で、オーナーの荻田さんがマイアミのアートフェアで目を付けられた作家さんだそうです。
まずは、どんな作品かこちらのHPをご覧ください。
http://www.fujitv.co.jp/event/art-net/go/775.html
http://www.megumiogita.com/index.html

画廊HPのトップになっている画像が、展覧会の案内ハガキ裏面です。

ただ、彼女の作品の良さは残念ながら画像では伺い知ることができません。
例によって、絵肌に特徴があるのです。
私は最初テンペラかなと思ったのですが、ハードボードの一種に油とアクリルを使って描いたもの。
専門的な教育を受けず、自身で画法を体得したというそのテカリのある独特の画面は、やはりその眼で見てこそ良さが伝わります。

モチーフは、展覧会タイトルに「Home and Sea」とある通り、家にある身近なもの「料理本」「レコードorCDジャケット」「カップ」と海に関するもの「足ひれ」「ライフジャケット」「釣りの浮具」などなど。
背景色はどの作品もグレーがかった白が中心。

もの言わぬそれらの作品たちは、いつの間にか自分に寄り添っている感じがします。
気が付くと、いるのが当たり前というのでしょうか。
ちょっと使いふるされたような愛着を感じる物たちなのです。

私が一番気に入ったのは「料理本」を描いた作品。入口脇にあった食器類の静物画も良かったな。

気に入られた方は私だけではなかったようで、3月17日からの個展ですが、一番大きな1点を除いて完売でした。やっぱりな~って感じです。
世の中不景気と報道されていますが、そこそこのお値段の作品がほぼ完売状態なのですから、良い作品には不況など関係ないのかもしれません。

*4月11日まで開催中です。オススメします。

「小野耕石展」 資生堂ギャラリー 

第3回シセイドウ・ア-トエッグのトリは「小野耕石展」。
年明けに、ミュゼ浜口で開催された展覧会で彼の作品を見、面白いなと思った。

小野耕石は、スクリーンプリントの版技法を用い、規則正しく整列した小さなドットに、何色ものインクを100回以上刷り重ねていくことで、石筍状に積み重ねられたインクの層をつくり出し、鑑賞者の見る位置によってオプティカルに変化する作品を制作しています。
~資生堂ギャラリーHPより引用

今回の展示では、月に照らされた静謐な「湖」をイメージした作品を発表している。
でも、最初見た時、「湖」というイメージはまるでわき起こらず、階段上から下を見下ろした時に思ったのは「じゅうたん」であった。

カーペットのように大小様々なインク層の粒粒でできたパネルのようなものが、床に並べられている。
このカーペットが奥と手前の展示室に一つずつ。
壁面には粒粒平面でライン模様のある作品が2つ。

すべて粒粒が乗っかった平面作品と言える。
私がミュゼ浜口で気に入ったのは粒粒を使った立体作品だったので、今回は拍子抜けしてしまった。
平面だけのアプローチではなく、立体や会場に置いてあった作品集のように石、岩に粒粒を張り付けるという既存のものとの組み合わせ作品も見たかった。

会場にはたまたま小野さんご本人がいらっしゃって、どなたかとお話されていたが、岡山の奈義町現代美術館での展覧会が決まったらしい。
当分平面作品に進まれるのだろうか。そうだとしたら個人的には残念だな。

*3月29日まで開催中。

「ミレーとバルビゾン派の画家たち」 青山ユニマット美術館 はじめての美術館20

はじめてにして、最後の訪問となる美術館となる青山ユニマット美術館に行って来た。
美術館の閉館って、物悲しい。
何より、作品はどうなってしまうのか?もう、一般に公開される機会はないのか?そんなことばかりが頭をかすめた。

展示は4階から下がって3階、2階まで見て行く方式を取っている。
まずは4階、ここはユニマットで一番有名なマルク・シャガールの作品展示階。
この階には油彩14点の展示があった。

・「ソファーに座る少女」 1907年
シャガールの初期の作品には興味がある。これは、展示作品中、一番古い作品でシャガールがわずか20歳で描いたもの。ゴーガンの影響を受けているそうだが、言われてみればそうかなという程度。

「ブルーコンサート」「誕生日の大きな花束」「屋上の花」「アルマ橋」が良かった。

3階 シャガールとエコール・ド・パリ
3階には油彩以外-水彩やドローイングなどのシャガール作品12点とエコパリの作家による作品が展示されている。

シャガールは油彩も好きなのだが、水彩やグアッシュも好きで、こちらの方が気に入った作品が多かった。特に、「ピンクの鶏冠の雄鶏」、「横たわる農夫」「想い出」などが良い。特に、「横たわる農夫」「想い出」は画材に和紙や墨を使用しているのが目をひいた理由かも。

エコパリ作家では、何と言ってもキスリング「長椅子の裸婦」 1950年が二重丸。
裸婦の肌の滑らかなこと。磁器のような肌の表現方法はキスリングならではのもの。赤と緑を使った敷布の色の対比が効果的。
私の好きなキース・ヴァン・ドンゲンの「女性像」もあって、嬉しかった。でも、この作品はヴァン・ドン・ゲンにしては力不足な気がする。

ラウル・デュフィ「オーケストラ」1945年も過去に見たデュフィ作品の中で、良いなと思うものには出会えなかったが、今回はなぜか違った。その理由を上手く説明できないのがもどかしい。
後半は藤田嗣治の作品が6点並んでいた。
中でも「バラ」1922年は素晴らしい。葉脈までも克明に描く。枯れ際なのか、花が頭を垂れてるのが気になったけれど、影の描き方と言い文句のつけようがない。

2階は今回の特集展示 ミレーとバルビゾン派の画家たち
山梨のミレー館に行くことを事前に決めていたので、その予習になればと思っていた。
こちらも堂々たるコレクション。

トロワイヨンの大作「水辺の牛」やドービニー、ディアズ・ド・ラ・ペーニャなどが揃っているが、やはり一番はミレーの「犬を抱いた少女」「一日の終わり」「眠るニンフとサテュロス」が良かった。
犬を抱いた少女の背景が気になったのだけれど、あの背景の色使いはよく写真館で記念写真を撮影する時に背景で使用される幕の色に似ている。
前面の人物を引き立てる色だと思う。

ラストは私の好きなクールベ「シヨン城」1875年。
おとなしく、落ち着いた感じの風景画。空の色、湖面に反射するお城の描写が良かった。

これだけの作品群を所蔵しているなんて、凄いなぁと単純に感心した。閉館は残念だけれど、これまでの期間だけでも一般の人に公開していただいたことに心から感謝したい。
なお、閉館に伴いミュージアムショップのグッズが全品値引きされていました。

*3月31日で閉館となります。
開館時間10:30~18:30
銀座線 外苑前駅 4番出口(いちょう並木口)徒歩2分
半蔵門線・大江戸線 青山一丁目駅 5番出口 徒歩5分

「進める荒井良二のいろいろ展」 世田谷文学館 はじめての美術館19

お世話になっている方からチケットを頂戴したので、「進める荒井良二のいろいろ展」を見に世田谷文学館に行って来ました。
京王線・芦花公園駅から(ろかこうえんと読む!)徒歩5分。
世田谷区というのは、どこもかしこも閑静な住宅地が多い。私の現所在地とは大変な違いで同じ東京都とは思えない。

1階展示室が会場ですが、もう大変な混雑ぶり。子供と若い男女が圧倒的に多い。
まず荒井良二さんとは誰かをご紹介します。
荒井良二(1956~)は日本大学藝術学部美術学科を卒業後、1990年から絵本を作り始め、翌年には『ユックリとジョジョニ』(ほるぷ出版)で世界的な絵本の新人賞〈エズラ・ジャック・キーツ賞〉にノミネートされました。以後、旺盛な活動により、数々の絵本賞を受賞し、現在日本を代表する絵本作家として知られています。2005年には、世界的な絵本賞〈アストリッド・リンドグレーン記念文学賞〉を受賞し、世界でも活動が注目されている。
その一方、雑誌「Hanako」「Olive]にカットを数多く掲載し、イラストレーターとしての活動も積極的に行う。

本展では、イラストレーション、絵画、立体作品、屏風など「アライ・ワールド」を大展開しています。

私も会場で「Hanako」のカットを見て、この絵を描いていた人か!と合点が行きました。
しかし、絵本作家としての活動は全く存知上げなかったので、それはそれとして新しい発見がありました。
とにかく赤・青・黄色と色のオンパレード。
ぎっちり、ごっちゃり、ポップで明るくなる作品ばかり。

荒井さんご自身の発想が会場にあふれかえり、少しでも沢山のお客さんに楽しんでもらおうというアーティスト精神が目一杯発揮されています。
特に、本展のチラシには驚きました。
紙袋になっています。こんなかわいいイラスト入りのしかも、紙袋になるチラシ絶対捨てる訳にはいかない。永久保存版決定!
私が行った時には机上のチラシは残り少なくなっていました。
もう、既にはけてしまったかもしれない。。。

図録も1200円でご本人のサインと入館チケット付きの特典ありで、この図録のチェックを忘れたことが悔やまれます。

展覧会の内容は、以下HPをご覧ください。拙文でご紹介するより、余程分かりやすく雰囲気が味わえます。
http://www.setabun.or.jp/exhibition/arai/

*3月29日(日)まで開催中。
世田谷文学館
開館時間:10:00~18:00 毎週月曜休館
〒157-0062
世田谷区南鳥山1-10-10 TEL 03-5374-911
<交通案内>
京王線ご利用の場合: 「芦花公園」駅南口より徒歩5分
小田急線ご利用の場合: 「千歳船橋」駅より京王バス利用(歳23系統千歳烏山駅行)
「蘆花恒春園」停留所より徒歩5分

「東本願寺の至宝展」 日本橋高島屋

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平日の夜は、デパートの展覧会。
こんな図式が徐々に最近出来上がりつつある。日本橋高島屋にて「東本願寺の至宝展」を見た。
会場到着は6時半頃、1時間半もあれば余裕~と思っていたら結局「お客様恐れ入ります。閉館となりますので・・・」の声が係の方から、かかって慌てて最後まで見るということになった。
前回の「上村松園、・松篁・淳之 三代展」と言い、近頃の日本橋高島屋開催展覧会は、侮れない。

真宗大谷派の本山、京都・東本願寺。東本願寺は、1602年家康から京都・烏丸七条の地を寄進され伽藍造営をしたものの、その後4度の大火に遭い、1985年再建、現在に至る。本展は2011年の宗祖親鸞精人七百五十回遠忌を記念し、東本願寺にまつわる美術品、再建・周福に関する史料などを展覧するものです。

展示は以下の5部構成。
1.親鸞と東本願寺
2.円山応挙と近世の香り
3.幕末と東本願寺
4.近代京都画壇の宝庫
5.焼失と再建の歴史
6.棟方志功と念仏の教え

以下印象に残った作品です。
・「唐人物・花鳥図」 狩野元信
これは優品の水墨画三幅の掛軸。元信は大阪本願寺の画事を一手に引き受け、宮廷・公家の注文に応じ描き分けたと言う。この作品にはしばし見とれる。

・「稚松図」/「竹雀図」 円山応挙 1791年
東本願寺を飾る襖絵。応挙はここで若年・壮年・老年を表現したかったという。

・「老梅図」 円山応挙
同じくこちらも襖絵。この老梅図は必見。応挙の簡易な筆さばきと見えるが、実は墨の濃淡だけで、対象を描く簡単なようでいて簡単でない技法の結果。線に迷いがない。

・「雪中松鹿図」 円山応挙
・「渓流香魚図」 伝長澤蘆雪
それぞれの画面が両面に描かれている。なんと、この衝立ガラスケースに入っておらず直置き。
そんな扱いでいいの~?と驚くほど近寄れる。
これは今回の展覧会開催にあたり、同志社大の狩野博幸教授(日本絵画史)が昨年、応挙作と確認したもの。画像と詳細はこちらの記事をご覧ください。
伝蘆雪の「渓流香魚図」は落款や印がないから、微妙ですが、でも内容的には面白い作品。
これは要チェックです。

・「山水図」 月僊
どこが好いと聞かれると難しいが、しっとりとする山水図。

・「寿老人・寒山拾得図」 狩野永岳 1852年
こちらも大きい三幅ぞろい。江戸後期なので、図様も新しい雰囲気がある。

・徳川慶喜にまつわる書
慶喜は書も絵もなかなかのもの。

明治期の京都画壇が誇る壮麗な襖絵の数々が登場。
・阿弥陀堂襖絵「花鳥図」 羽田月州
・御影堂襖絵 「安養六種図」 衝立「唐獅子牡丹図」 望月玉泉
豪華絢爛は東本願寺のイメージそのもの。

・「寛政度用材運搬図屏風」
こちらも要チェック作品。巨大屏風に描かれているのは、度重なる焼失のため、再建に必要な木材を運搬する様子が「異時同図法」で描かれている。不思議なのは、同じ画面でありながら木材の大きさが相当に変化している所。また運搬に携わる人の膨大な数とその様子も見どころ。

・「阿弥陀如来立像」 13~14世紀
一体のみ仏像の展示があった。この仏像も素晴らしい。前面・背面に精緻極まる錐金が施されている。必ず横、背面もご覧ください。単眼鏡は必須です。

・園林堂襖絵「天に伸ぶ杉木/河畔の呼吸」 棟方志功
これは圧巻。こんなにも沢山の志功による襖絵は初めて見た。流れるような線、志功らしい色使い。
しかし、本願寺のイメージとはどうも結びつかない。

志功の襖絵展示の前に、東本願寺に関する映像コーナーがあり、これはオススメ。
襖絵、衝立はやはり実際どんな風に建物におさまっているかがとても重要。取り外して見るとしっくりこない襖絵が建物の一部となり、全体の構成の一部とされた時こそが最高の状態と言える。
映像コーナーではその様子が美しい画面で見ることができ、理解が深まったが、時間切れで最後まで見られなかった。

そんなことにならないよう、時間に余裕を持ってお出かけされることをオススメします。

*3月30日まで開催中。最終日は、18時閉会、17時半までの入場となります。

<巡回予定>
会期:4月8日(水)~4月20日(月) 会場:大丸札幌店
会期:4月29日(水)~5月11日(月) 会場:高島屋大阪店
会期:5月13日(水)~5月25日(月) 会場:高島屋京都店
会期:9月19日(土)~10月25日(日) 会場:名古屋・松坂屋美術館

「山水に遊ぶ 江戸絵画の風景250年」前期  府中市美術館

府中市美術館で開催中の「山水に遊ぶ 江戸絵画の風景250年」に行って来ました。
府中市美術館は2007年に「動物絵画の100年」と題した展覧会をやって好評を博し、その続編として今回は江戸期の風景画250年を展観する内容となっています。
動物絵画100年は残念ながら拝見できなかったので、今回は!と開催前から展示作品をチェック。

本展では会期中展示替えが多数行われ、すべての展示作品を見るには3回(前期・後期A、後期B)足を運ばねばなりません。
しかし、府中、更に府中駅からもバスが必要と足の便が悪いにも関わらず、3回足を運びたくなる展覧会です。

風景画を様々な角度から取り上げ、こんなのもあれば、あんなのもあるよ~的な発見があります。

テーマ1<山水に暮らす> 
(1)自然とともにある
・熊谷直彦 「騰竜隠雲之図」 個人蔵 <前期のみ>
双幅で内容的につながりがある作品。左で2人の男が強風にあおられ、右幅では宙に舞う傘、強風に塵の渦が舞っている。上方にあるあやしげな雲の描写、風という目に見えないものを描く描写いずれも素晴らしい。

・谷文晁 「白河楽翁下屋敷真景図」 白河市歴史民俗資料館
小さな画面に美しい那須連山の風景が広がっている。

(2)神の国のすがた 
・小泉斐 「男山伝説図」 個人蔵
机に伏してうたた寝する人物が見る夢を1枚の画面に絵画化。まるで、漫画の一コマのようでもある。海から山へと竜が昇り雲を巻き起こす。
作者は「こいずみ・あやる」、私は初めて知った名前。下野生まれで、高田敬輔や円山応挙に学んだという。

・岸駒 「芙蓉峰図」 静岡県立美術館
神々しいまでに雄大な富士山。ここでは富士山の絵が多く出ていたが静岡県美の作品に良い物が多い。

テーマ2<絵をつくること>
(1)中世の残像
・狩野山雪 「富士三保松原図屏風」 静岡県立美術館 前期のみ
山雪ではあるが、画面構図は平凡。やや変色し状態はいま一つ。それでも大画面に描かれた三保松原はみせてくれる。

・原在中 「富士三保松原図」 静岡県立美術館 前期のみ
こちらも静岡県美蔵。きれいな青いトーンがとにかく美しい。横に長く平面的に広がりを見せる。

(2)実景と絵すがた
・高久靄 「袋田滝真景図」 栃木県立美術館 前期のみ
滝には滅法弱い。この作品も色、構図とも良い。

・平井顕斎 「白糸瀑布真景図」 浜松市美術館
平井顕斎も初めて知る。今回は知らない江戸画家が沢山あって、奥深い。彼は谷文晁、渡辺崋山に学んだ遠江の生まれ。実際の白糸の滝より美しいのではないかと思える程、美しく描けている。カビのような汚れがなければ、最高なのに。

・小田野直武 「日本風景図」 照源寺、「富岳図」 秋田県立美術館
小田野は秋田蘭画の中心的存在。なかなかその作品を見る機会が少ないが、西洋画法を取り入れた秋田蘭画は、時代の先端を行っているようで大変興味深い。

・淵上旭江 「真景図帖」 府中市美術館
小さな図帖の一画面一画面が、エメラルドかアクアマリンの宝石のように美しい。岩絵の具の翠、碧、青はこんなにも美しかったかと感動する。

テーマ3<奇のかたち>
・曾我蕭白 「山水図押絵貼屏風」 京都国立博物館 前期のみ
蕭白の水墨画。本気出したらこんなもの朝飯前風。一番左の面が一番良かった。

・曾我蕭白 「松鶴山水図」 前期のみ
前期の蕭白の中ではこの作品が白眉。双鶴の立つ姿も工夫があり、波の表現、遠景の山々の幻想的な雰囲気、更にその手前に飛ぶ鶴の群れ。もう見所がありすぎです。

・倉屠龍(くら・とりゅう)「山水図屏風」 個人蔵 前期は右隻を展示
最初見た時、蕭白かと思ったほど作風が似ていた。詳しい経歴は謎。こんな画家もいたんですね。

・鈴木芙蓉 「那智瀑泉真景図」 飯田市美術博物館 前期のみ
この作品は昨年飯田市美術博物館に行った際に拝見し、今回で2度目。
縦長の大画面に那智の大滝が一気に流れ落ちている。水しぶきが風で横殴り。大迫力で空気が見る者に伝わる傑作。

・小野田直武 「岩に牡丹図」 秋田県立近代美術館
巨大な牡丹が岩山の中から顔を出している。珍妙な絵。茨木で昨年見た原田直次郎の画面を突き破って描かれた犬の作品を思い出した。牡丹はきれいなのに・・・。

・墨江武禅 「月下山水図」 個人蔵 前期のみ
これも知らない作家。大阪の人で、宋元画を研究。技法が独特、塗り残しのような白く残る箇所、丸いふちどりと不思議な画面。

・安田雷洲 「山水図」 個人蔵
これまた変わった技法の作品。私のメモには「毛むくじゃら法」とある。

テーマ4<ロマンティシズムの風景>
(1)物語る山水
・宗仙 「波に鴛鴦・白鷺図屏風」 個人蔵 前期のみ
宗達かと思いきや、その一派である宗仙の作。誰が描いても良いものは良い。

(2)体感する自然、見霽かす心地
・池大雅 「山水図屏風」 個人蔵 前期のみ
中国山水の流れを汲むような技法、特に木の描き方に特色あり。

(3)憧憬
・司馬江漢 「蘭客舟遊図」 個人蔵 前期のみ
本当に西洋絵画かと思った。江漢の作品は本展で多数見られるが、常設で特集展示も開催されている。常に新しい挑戦をしているように思う。

・土井有隣 「西洋海浜風俗図屏風」 京都国立博物館 前期のみ
ヴェルネの銅版画を水墨画にしてしまった作品。驚きの技術。

・谷文晁 「蜀桟道図」 個人蔵 前期のみ
そそりたつ岩山に自分が睥睨されているよう。

・伊藤若冲 「石峰寺図」 京都国立博物館
最後の最後にこの作品を持ってくるあたりが心憎い。おいしいものは最後。
五百羅漢、白いにょろにょろのような羅漢が思い思いの様子をしていて、見ていると時間が経つのを忘れる。亀に乗ってるのまでいた。状態が素晴らしく良い。この作品、あまり京博でも出していなかったように思う。

今回の展覧会は、チラシデザインが良いです。とても目立つ。
更に図録の図版印刷も良い。
加えて、チケットに2回目半額券が付いてます。でも3回目は半額になりません。ぐるっとパスを使用すれば団体料金です。もしくは5回以上来館するならメンバーシップ(年間2500円)もあり。

次回は200円の解説ガイドを借りてみようと思います。

*前期展示は4月12日(日)まで、お早めに。

「VOCA展 2009」 上野の森美術館

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上野の森美術館で開催中の毎年恒例「VOCA展」に行って来ました。
VOCA(ヴォーカ)展は、全国の美術館学芸員、ジャーナリスト、研究者などに40歳以下の若手作家の推薦を依頼し、その作家が平面作品の新作を出品するという方式により毎回、国内各地から未知の優れた才能を紹介するという試みです。企業のスポンサーがしっかり付いていて、大賞作品はスポンサー企業のお買い上げとなります。

さて、入賞者は次の通り。
・VOCA賞1名  
三瀬夏之介 「J」 佐藤美術館での記憶はまだ鮮やか。

・VOCA奨励賞 2名
樫木知子 「屋上公園」「ふくろのウサギ」
初めて知った作家さん。オオタファインアーツで同時進行の個展開催中。
ちょっと苦手な作風かつモチーフのとらえ方ですが、個展に行ってもう他の作品も見る予定。

竹村京 「dancing N.N. at her room and at the same time in a library in Berlin」
こちらは、愛知県美他で数回作品を見ています。特段変わった感じはせず、むしろ今回はスケールが小さいように思った。

・佳作賞 2名
今津 景 「COSMOPOLITAN] 
櫻井りえこ 「あやとり」「金魚のおはか」

・大原美術館賞 1名 浅井裕介 「人」「今日は今日」「植物」
・府中美術館賞 1名 高木こずえ TARONASUでの個展を拝見したところ。個展と同じシリーズの作品。

さて、これら受賞者の作品ではVOCA賞の三瀬さん、大原美術館賞の浅井さんが私の好み。
浅井さんは、、昨年「赤坂Art Flower」で知りました、マスキングより泥絵の方が好きでした。

全体的には勝手な個人的好みだけで言わせていただくと、出品作家中一番インパクトがあったのは名和晃平「Catalyst #11」。シリーズ作品と思われるので、既に似た系統の作品はどこかで発表しているのかもしれませんが、私は初めて対し、画面に描かれた網に自分も取り込まれるような錯覚を受ける程でした。
一見クモの巣?かと思うような白いキャンバスに黒の糸のようなものが網状に広がっているだけなのに不思議です。

他に印象に残った方々。
・船井 美佐 「womb - 世界の内側と外側はどちらが内側でどちらが外側なのか」
・田尾 創樹 「信頼と実績のおかめぷろ ご依頼お問い合わせはcontact@okamepro.comまで」
・風能 奈々 「花の瘡蓋」
・池谷 保 「下地」
・鈴木 ヒラク「bacteria sign #32, #33, #34, #35」
・まつながえみ「たゆたう僕らの夢の隙間」
・麻生 知子「家」「犬の家」「郵便箱」
などなどが気になる作品でした。

とりわけ、最後の麻生さんは今回初めて知った作家さんですが、面白い油彩です。
この方も同時進行で谷中で個展を開催中なので、来週あたり覗いて来ようと思います。
個展の案内状の絵ハガキがかわいいし、良くできています。2パターンありますが、上野の森美術館に置いてありました。まだあるかな?

田尾さんは、展覧会最初に展示されていた作家さん。この方も赤坂の展覧会に出展されてました。
赤坂の時はあまり印象に残らなかったようで、私の展覧会記事にも記録されていません。
今回も最初ビビッドな明るい色使いで元気の良い作品と思うにとどまりましたが、会場を出て、作家さんの過去の作品集をめくっていると、これはなかなか面白いと思った次第です。この方は、こんな油彩作品単独でなく、ドローイングなどとからめて、田尾ワールドを作り上げて欲しい、それでこそ力量が発揮されるのではと思います。

ここで単体作品を見て気にならなくても、別の機会にまとめて拝見し「おっ」と思うこともあるだろうなと。少なくとも今回気になった作家さんの個展はチェックしていきたいです。

*3月30日まで開催中。

宇田川愛  「developing Utopia」 キドプレス

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清澄白河で開催中の宇田川愛個展「developing Utopia」に行って来ました。

ドイツでの3年間の留学を経て帰国し、初の日本での個展開催です。
過去のご経歴を拝見すると、留学により個展開催などの活動はドイツ中心になっておられたようです。

絵画はシルクを支持体にし、紙で裏打ちされているもの、そのままシルクのみにしているものとあります。
アクリルで染め上げられた色のグラデーションにまず惹かれる。
シルクを使われているので、日本画専攻の方かと思いきや、そんなこともなく、むしろ版画をご専門とされていた頃もあったそうですが、今はペインティング中心に手がけていらっしゃるとのこと。

狭い展示室には鳥籠と鳥が吊るされていますが、このオブジェもお手製です。

彼女の思い描いた世界は「かごめかごめ」と題される絵画や「ユートピア」など、強い物語性を感じます。展覧会テーマの「ユートピア」というのは私にはピンと来ませんでしたが、自分も彼女の空想の世界に入り込んだ感じを受けました。

受付に女性がいたので、作品について質問をしたら何と後から「私が実は作者なんですが・・・」とおっしゃるので驚きました。勝手な感想を話していたので、身の縮む思い。
宇田川さんは、可憐でとても美しい方です。

「かごめかごめ」(入口入ってすぐの左の絵)は、あの歌から着想を得たそうだが、歌の怖いイメージではなく、もっと前向きな世界で捕らえようと、昼と夜の境目を描かれたそうです。
私の中にある「かごめかごめ」のイメージそのもので、作家さんのお話を聞くまでやはり怖い印象でした。しかし、背景のブルーと木々や鳥の黒との対比がマッチし、木や鳥の描きこみもしっかりしているので観ていて飽きることがありません。ほのかな月明かりと中央のカーテンのようなオーロラのようにも見える幕こそ、夜と朝の境目です。
あの向こう側に何があるのか、想像が膨らみます。
そういえば、ドイツの黒い森を思い出しました。

展示室奥の作品も見せていただきましたが、「アイスブリッジ」シリーズはじめ他に2点あります。
アイスブリッジは年に数回、川が完全に凍り、橋のような状態になる現象らしい。カナダなどの寒い地方特有の現象。描きたかったものは、その刹那な一瞬を切り取ること。

画像より実際の作品の方を見ないと質感の美しさを実感できないかもしれません。

*3月28日まで開催中です。

2009年3月21日 ギャラリ-巡り

今日は、両国を皮切りにギャラリーを中心に動いてみた。でも、美術館にも行っている。

<両国>
・根上恭美子展「スターだらけの」 GALLERY MoMo Ryogoku  3/28(土)まで
ショーウィンドウにへばりついた人体彫刻三点はかなりお下劣なんだけど、インパクトは強烈。
外から伺うと、天井から沢山の犬のようなものがぶら下がっている。
中に入ると「焼豚」と題する彫刻で、レジン(樹脂)を素材にしているが、一見すると木彫のようにも見える。「焼豚」というタイトルながら実際は犬。中に半裸体の男性もぶら下がっている。
奥には絵画作品で、こちらは初の試みらしい。木彫も一点あったが、確かな技術をもってどこまでも笑いを追求する姿勢は脱帽。過去の作品集を見ていたら劇画風の絵があったりで面白い。

<清澄白河>
・宇田川愛 「developing Utopia」 KIDO PRESS  3/28(土)まで
今回の一推しアーティストはこの方。
別記事扱いとしましたので、こちらをご覧ください。*3月21日修正

・山本桂輔展 「起立」 TOMIO KOYAMA GALLERY 3/28(土)まで
基はと言えば、この展示を目的に清澄へ向かった。
好みとは異なるが、面白い内容。展示室内の巨大木彫は遊具のお化けというか、何と言うか。
この方の特色はそのアクティブな色使い。組み合わせも、強×強で、弱がない。
私は絵画より、木彫の方が面白さを感じた。これだけのものは、作るのも大変だろうが、なかなかお目にかかれない。一見の価値あり。

・タカイシイギャラリー
メイン展示ショーン・ランダースより、手前の展示室にあった映像作品が面白かった。
でも、ギャラリーHP見ても作家さんの名前がない。どなたか、見に行った方があれば教えてください。
ギャラリーの方にお聞きしたのですが、メモしなかったのですっかり記憶がありません。
女性で、素材をテーマに扱うインスタレーション中心の方。今回はアクリルがテーマ。

・ベルンハルト・ブルングス展 「眠れるもの」 TKG Contemporary
ドイツで活動している作家。その独特のマチエール、線は何か懐かしさを感じる。固いんだけど、そこがこの人の個性であり味のように思う。いかにもドイツの作家さんという感じを受け印象深い。

<初台>
・田島秀彦展 KENJI TAKI GALLERY/TOKYO 3/28(土)まで
ここは初訪問。名古屋にもケンジタキギャラリーはあって、帰名の度にちょくちょく寄っている。
田島英彦は、愛知県芸出身、現在名古屋在住の作家。同郷作家さんであった。
絵画の中に一部小さな小さな電飾が施され、色とりどりに光。最初ガラスか何かかと思ったら、作品から電気コードがつながっていたので、電気によるものと分かった。
磁石?やモーターを使って動く作品もあり、仕掛けが面白い。背景に描かれているものは、かわいいモチーフで色遣いも繊細な感じ。この方も注目印。

・ジェームス・ウェリング 「Notes on Color」 ワコウ・ワークス・オブ・アート 3/28(土)まで
写真と版画の展示。
ロサンゼルスを拠点に活躍しているジェームス・ウェリングの新作展。 3年振り6度目となる今展では、モダニズム建築を撮影した「Glass House(ガラスの家)」やコンピューターグラフィックを用いた「Quadrilaterals(四角形)」ほか、フォトグラムの最新シリーズが展示さている。クールでモダンそのもの。
もうバリバリのお金持ち宅や店舗のインテリアにマッチしそう。

・project N 36 原良介 東京オペラシティアートギャラリー 4Fコリドール 本日終了
2001年トウキョウワンダーウォール大賞を受賞。 油彩20点弱。この方の作品について語るのは難しい。タッチは粗め、今回の作品群で使用されている色は緑、黄色、白中心。
好みは分かれると思う。

「山梨に眠る秘蔵の日本美術」 山梨県立美術館

以前も書いたけれど、私は「蔵出し」とか「秘蔵」という言葉にとても弱い。
「なんだかスゴイものが出るんじゃないか・・・」という好奇心がムクムクと沸き起こり、居ても立ってもいられない。まぁ、そこまではいかずとも、相当気になる。

ということで、「山梨に眠る秘蔵の日本美術」展が山梨県美で開催中と知り、ミレー館も行ってみたいしと美術館ホームページで調べてみたが、どんな作品が出展されているのかが判然としない。
かくなる上は行くしかないってことで、行ってみたら大当たり。
失礼ながら、それほど期待していた訳ではないから尚更だったのかもしれないが、「えっ、こんな作品が!」というものが何点もあり、最初からアドレナリンが一気に噴出するのが自分でも分かった。

前置き長くて、申し訳ございません。
<展覧会概要>
開館30周年を記念し、寄託作品をはじめ、県在住コレクターや旧家が所蔵する日本美術の優品、珍品90点を紹介。展示作品の中では新発見、初公開のものが多数です。

以下印象に残った作品です。
第1章 古美術の絵画
冒頭作者不明の南北朝時代作と思われる仏画あり。続いて探幽の「竹虎図」「雲竜図」いずれも墨画
で、虎や龍なのに微笑ましい感じ。応挙の「琴高仙人乗鯉図」と有名どころが続く。

・呉春 「ほおずき図」 
小さな作品で団扇絵にする予定だったものかもしれない。ほおずきの淡い緑好き。

・土佐光起 「鶉図」 土佐派らしい緻密な一枚。佳作と思う。

・天龍道人 「葡萄図」
葡萄和尚と呼ばれるほど、葡萄の絵をよく描いたらしい。最初立原杏所かと思ったが全然違った。
双幅の作品で2枚で1つの葡萄が蔓を伸ばし、葡萄の房を付けた様子を描く。構図が面白いし、墨線も個性的。

・白隠 「関羽図」
この1枚迫力がある。他にも白隠の絵は2枚「達磨図」「七福神図」と出展されていたが、これまで見て来たものとはかなり違う。

文晁は最大の目玉。すごい優品が出ていた。
・「水墨山水図」
・「牡丹双孔雀図」
・「鷹図」
中でも一番好きなのは、水墨山水図。牡丹双孔雀図は、チラシにも掲載されているが、超リアルな孔雀が精密に描かれている。あまりの濃厚さに目が寄ってしまいそう。

・狩野芳崖 「文殊菩薩」
こちら、新発見の作品。芳崖が悲母観音を描く前の初期の仏画。小さい作品だけれど、優美な感じ。

第2章 「鉄斎、小蘋と近代の大家たち」

・「釈孔老三酸図」 富岡鉄斎
富岡鉄斎は8点も出ている。大作が多く、どれも見ごたえ十分。中でもこれが一番印象深い。

・「西王母図」 1890年 野口小蘋
野口小蘋(のぐちしょうひん)は明治期から大正期に活躍した女性日本画家。松園と言い、この小蘋と言い、繊細かつ緻密な画風はどこか似ているが、中国絵画の影響が強いように思う。美人画、文人画を多く手がけ、今回も全6点展示。

・「秋山暮靄」1896年 竹内栖鳳 
これは素晴らしい1枚。あまりに上手いので誰が作家かと見たら栖鳳でやはりと納得。
空気感が伝わってくる。

・「四季花木図」 1883年 渡辺小華
崋山の息子である小華の4面紙本。屏風仕立てになっていた。
父親譲りの画面で写実的。

第3章 山梨ゆかりの近代絵画
ここでは、近藤浩一路の墨画を挙げたい。この作家以前どこかで作品を見て、印象に残っている。
まとめてどこかで展覧会をして下さらないものだろうか。
「鶏冠井青嵐」 1924年が良かった。
この他、近藤乾年「百大黒図」もユーモラスでほのぼのした。

*3月29日まで開催中。

「山口蓬春と花鳥画の世界-コレクションに見るその移りかわり-」 山口蓬春記念館 はじめての美術館19 

明後日22日(日)までと会期終了が迫っている展覧会をひとつ。
日本画家であった山口蓬春の記念館に行って来ました。
山口蓬春記念館のホームページはこちら
場所は、神奈川県の葉山。神奈川県立近代美術館葉山館と道路を隔てて反対側の坂を上ってすぐです。バス停を降りて、ここでいいの?と思うような細い路地を進んで行くと、ガラス製の看板が見えてきます。
そこはもう別天地。どなたかの別荘か庵といった風情。
元々蓬春が実際に住んでいた家を美術館として開放しています。庭は広くはありませんが、様々な植物があって、四季折々の風情が楽しめそうです。

靴を脱いでスリッパに履き替え入館。係の方から、「蓬春に関するビデオをご覧になりますか?」とお声がかけられます。約15分と適度な長さで蓬春の経歴作品の変遷がまとまっています。緑茶まで係の方から出していただけるので驚きました。他ではない家庭的な雰囲気が良いです。

今回は蓬春の作品というより、彼が所有していた絵画作品の展示が中心。
特に中国絵画が数点あったので、意外な喜びでした。
・「八哥鳥」 作者不明であるが、これが状態もなかなか良く、見ごたえあり。
・「鳩梅図」 呂記 
・「翡翠」 林良 この人は書もやるのではなかったか?

日本美術でも驚きの作品群。
・「雁図」 狩野尚信
・「十二ヶ月風俗図」 伝・土佐光吉 重文
・「飛鴨図」 尾形光琳 酒井抱一箱書
・「櫻草の圖」 菱田春草
とりわけ素晴らしいのは、土佐派の筆による「十二ヶ月風俗図」。
これと、前述の中国絵画を見られただけでもう大満足。月ごとの行事を土佐派らしい繊細な筆使いで表現。華麗な色彩と相まって、ことに着物の描写は細かい。

2階では画伯が使用していたアトリエがあります。
ここは東京藝大で同窓だった吉田五十八の設計です。今度は建築として見るべきところが満載。
ド素人の私でもその広く高く切り取られた窓(全て引き込みできる)が、いかに素晴らしいか分かります。
また、収納やインテリアにも要注目。私は座の低い椅子が上手く使われていることにも感心しました。
正坐は疲れる、でも背の高い西洋椅子も日本画を描くには適していないように感じるのですが、この椅子ならピッタリ。
室内はカーテンで半分光を遮っているものの明るく、にもかかわらず林良の「蓮池鷺図」(明時代)、これが複製ではない!を展示しているので、大丈夫なのかとこちらが心配になったほど。
他に、蓬春の中国絵画の模写作品、狩野尚信「蘭」なども展示されています。

反対側の棟の2階には旧アトリエがあり、こちらからは葉山の海が見え眺望抜群。
こんなところで、日向ぼっこしつつお茶を飲みたいと誰もが思うのではないでしょうか。

鎌倉から葉山は一駅。葉山に来た折には、ぜひ立ち寄りたい隠れ家のような美術館です。

*3月22日まで開催中。3月27日からは「山口蓬春・絵の秘密」が始まります。

<山口蓬春記念館>
・開館時間  10:00~17:00(入館は16:30まで)
・休館日  ・毎週月曜日(ただし、祝・休日の場合は開館、翌日休館)、祝日の翌日(ただし、土・日曜日は開館)、展示替え日、夏季館内整備日、年末年始
所在地 〒240-0111 神奈川県三浦郡葉山町一色2320
・TEL 046-875-6094
・交通  JR横須賀線・湘南新宿ライン「逗子駅」より京浜急行バス3番乗場又は京浜急行線「新逗子駅」南口2番乗場より「海岸回り葉山行(逗12)」「海岸回り福祉文化会館行(逗11)」にて約18分「三ヶ丘(さんがおか)・神奈川県立近代美術館前」下車徒歩2分。
※駐車場はないので、ご注意ください。

山梨県立美術館 ミレー館 はじめての美術館18

東京に隣接する関東地区の県立美術館で、たったひとつ行っていない美術館がありました。
山梨県立美術館が最後のひとつ。
愛知県と山梨県は直線距離にすれば、栃木や茨木より近いのですが、名古屋からだと東京まで出てまた戻るようなルートとなるため、美術館どころか山梨県にも足を踏み入れたことがありませんでした。

山梨県美は、ミレーの美術館としてその名を轟かせ、今年の1月にミレー館を新設しNHK「新日曜美術館」でも紹介されていたのは記憶に新しい所。
好機到来。特急かいじと青春18きっぷを使って、本日山梨⇒八王子⇒上野ツアーを敢行しました。

甲府駅を出てすぐに山梨県立美術館ミレー館のチケットと往復バスチケットのセット販売チラシが目に止まり、目の前のびゅうプラザで購入。通常より80円お得の960円。
80円ってまた微妙だよな~と思っていたら美術館で、購入したばかりのミレー作「眠れるお針子」のポストカードのプレゼント付でした。
山梨県立美術館は、常設展(ミレー館)と企画展はそれぞれ別料金です(セット券もあり)。通常、たとえば愛知県美などは企画展チケットで常設展も入場可能なので、ちょっと驚き。
私は企画展も見たかったので、企画展料金を追加しチケットを購入、ただし、企画展チケットは100円引きになります。

展示室は全て2階、それにしても館内が広い。私が過去行った中では静岡県美に次ぐ広さではないでしょうか。
ミレー館は別館になっている訳ではないのか、少なくとも中から普通に2階に上がるとそこがもうミレー館と称する展示室です。TVで見た通り、壁面は落ち着いた赤。
ミレーの作品には白壁より、この渋い赤壁が似合います。

・「ポーリーヌ・V・オノの肖像」 1841-42頃
今度東京都美に来るのはこの作品のはず。ミレー初期の人物画は丁寧。わずかに微笑んでいるのかいないのか。それにしてもか弱そうな女性である。

・「眠れるお針子」 1844-45年
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この作品、思っていたより良い。じっくり眺めた。ポーリーヌの肖像とは全く違う、丁寧さが別の方向に進んで、良い意味で自分の好きに描き始めた感じがする。

・「落ち穂拾い、夏」 1853年
ん、これは凄い。小さな落ち穂拾いの作品だけれど、今回のミレーマイベストはこれかもしれない。
女性達の姿が柔らかいでもしっかりと描きこまれていて、まだ暗さはなく、光を感じる。

・「夕暮れに羊を連れ帰る羊飼い」 1857-60頃
羊の頭が無数に画面にある。その後ろには広大な草原が。大地の雄大さがかえって羊飼いの孤独を際立たせている。

・「無原罪の聖母」 1858年
法王の依頼で短期間で仕上げたが、「崇高なまでの美しさ」を求めた法王の意思とは違った作品になったという曰く付作品。ミレーが描いた聖母は可愛いらしくて親しみやすい存在に感じた。ミレー自身、そんな聖母像が欲しかったのではないか。

・「冬(凍えたキューピッド) 1864-65年
四季シリーズの冬を描いた作品。凍りつきそうなキューピッド。こんな作品も手掛けていたとは、ミレーのイメージが私の中でどんどん変化して行く。

まだまだ、この他何点も油彩作品が展示されていた。これだけ蒐集しているなんて、噂には聞いていたけれど、期待以上。
私はミレーの版画作品も好きで、もちろん水彩やエッチングも数点展示されています。エッチングでは「羊毛を梳く女」1855-56が良かったかな。

ミレーだけかと思いきやこれでは終わらない。
ミレーと同じバルビゾン派の作品が次の展示室でずらり。どちらの部屋も広くてゆったりと鑑賞できます。
・「木を伐り出す人々(川のある風景) 1637頃 クロード・ロラン
クロード・ロランは西洋美術館で開催中のルーブル美術館にも出展されているが、私はこちらの作品の方が良かった。ロランはイギリスでも何枚も見て、さほど関心はなかったが、この作品は構図と言い、中央の人物の着衣の色などがアクセントになり、作品がしまっていた。

・「森の中-夏の朝」 1840頃 ジュール・デュプレ
デュプレは記憶にない作家。過去どこかで見ていると思うのだけれど。。。
今回は色鮮やかで、はっとさせられた。絵が生き生きとしていて、夏に相応しい。

・「森の中の羊の群れ」 1860頃 シャルル=エミール=ジャック
羊の画家と言われるこの作家。その中でも優品でサロン出品作品である。もう、羊が生きているかのよう。草の中に色とりどりのお花が描かれているのも好感。

以下印象に残った作品タイトルと作家名のみ。
・「大農園」 ジャン=バティスト=カミーユ=コロー
・「牧草の取り入れ」 ジュリアン・デュプレ 
・「朝」 ジュール・ブルトン

他に「版画の世界-ウィリアム・ブレイクの幻想」と称し、ブレイクのエッチングが5点。
これもなかなか見られないので、嬉しかったです。

常設展はミレー館の西洋絵画だけでなく、常設展示室では春の情景を描いた近代日本画(主に地元関連作家中心)、名取春仙の役者絵(木版)、近代の洋画・水彩画も併せて鑑賞できます。
名取の役者絵とかねてから気になっている近藤浩一路の水墨画が良かった。これらは、一度にまとめて観る機会が欲しいところです。

この後、企画展「開館三十周年記念 山梨に眠る秘蔵の日本美術」に行き、大興奮。
素晴らしい内容だったので、次回の記事へと続きます。

*5月24日までの展示内容です。

「生誕170年記念 -楊州周延展-」 太田記念美術館

太田記念美術館で開催中の「生誕170年記念 -楊州周延展-」に行って来ました。

楊州周延(ようしゅう ちかのぶ)は、明治期の浮世絵師で当時、月岡芳年、小林清親に続く人気絵師でした。
私も過去何度か楊州周延作品を見て来ましたが、そのイメージは明治期の浮世絵特有の赤、紫などの色のどぎつさでした。
正直、あの毒々しいまでの特に赤色、紫は苦手で、ちょっと敬遠したくなる感じだったことは否めません。当然、今回も生誕170年記念だし、やはり一目見ておこうという気持ちがあったくらいで、過大な期待はしていませんでした。

ところが、やはり実際行ってこの目で見ないと分からないもの。
「えっ、これが周延の作品?」と意外な感想を思わずもらすような浮世絵が何枚もあるから驚きです。
すっかり、展覧会が楽しくなってしまいました。

以下印象に残った作品です。

�.新時代を迎えた女性たち
・「真美人 三十一 眼鏡の婦人」 1897年
・「真美人 十四 洋傘をさす女学生」 1897年(下図)
真美人

1階に展示されてた「真美人」シリーズは全36枚もので、女性の日常生活の一コマを浮世絵にしたもの。冒頭に書いたどぎつい周延の浮世絵イメージを最初に破壊してくれたのが、このシリーズでした。
本展ではこのシリーズが一番のお気に入り。
特に眼鏡の婦人は、明治らしい息吹を感じ、江戸時代って終わったんだな、新たな時代の到来がひしひしと伝わります。
美人画もこんな形式に変化してくるのも面白い。
そもそも江戸時代に眼鏡をかけた美人の浮世絵ってなかったのでは。
色合いもあっさりしていて、一見すると周延のもの?って分からないほどです。

・「時代かがみ 明治 慈善会」 1897年
こちらの「時代かがみ」もシリーズ作品で、明治に行われた行事等を浮世絵化したもの。
明治30年(1897年)に、既に慈善会と称するバザーがあったんですね。
他にも「隅田川ボート競走会」など当時の世相の一端を知ることができます。
これも、あっさり系の作品。

2階展示室
・「あつま風俗 七 夕立」
・「あつま風俗 三 遊歩」
・「あつま風俗 一 歌留多あそび」 他全7枚の展示
1月~12月まで1カ月を1枚とした12枚もの。
これも周延らしからぬどちらかと言えばあっさり系。
金魚鉢や虫かご等のちっちゃな小道具類や女学生の自転車姿が愛らしい。
周延の作品に愛らしいという表現を使用することなど、思いもよりませんでした。

�.過ぎ去りし江戸へのノスタルジー
周延は元武士。しかも彰義隊とともに上野戦争、さらには函館戦争にも参加するという、浮世絵師としては非常に稀有な経歴をたどりました。
それゆえ、江戸時代の幕府での行事の様子、武士の生活などを絵画化しています。

・「松野栄 大久保彦左衛門盥登城之図」 1889年
盥に乗って江戸城に参内したという逸話(実際はそんなことしてない)を絵画化。
実際にこんなことしてたら面白いな~。

�.静謐なる歴史物語世界
周延は歴史故事や物語、芝居を題材にした作品も描いています。

・「時代かがみ 建武之頃 竹馬の古図」 1896年
・「時代かがみ 慶長の頃 阿国歌舞伎」 1896年 他
1階にもあったこの「時代かがみシリーズ」は。南北朝から主に江戸時代を中心にその時代の風俗を描いています。

また「東錦昼夜競」シリーズは上下で2分割した画面構成。
これは明治の新聞浮世絵でも見られるような画面分割で、上下で異なる絵が描かれています。
下部の絵部分が画面4分の3位を占めていて、残りの4分の1は絵と文章で構成。

・「日清戦争守永中尉之奮戦」 1895年
日清戦争までは、浮世絵で戦争の状況を描いており、その後日露戦争時には写真に撮って変わられました。今回歴史でなく実際に起きていた戦争浮世絵はこの1枚のみです。

ところで、私は東京に出てすぐ5月に、大田記念美術館の会員となりました。
年会費4千円で年間24回まで入場無料、招待券2枚等の特典があります。
会員になって良かったと思う美術館の一つです。
維持会員の募集は4月26日申込書到着締切で、それ以後だと翌年度の募集まで待たねばなりません。
浮世絵にご興味おありの方はご検討されてはいかがでしょう。
毎月展示替えがあり肉筆浮世絵コーナーも楽しみの一つです。

*3月26日(木)まで開催中。

「慈しみのまなざし 関合正明展」 神奈川県立近代美術館 鎌倉別館

一昨日アップした同じく神奈川県立近代美術館鎌倉館で「伊庭靖子展」を見た後、別館で「慈しみのまなざし 関合正明展」に行って来ました。

関合正明は大正元年東京の明石町に生まれ、川端画学校で学んだ後、27歳で中国に渡りました。満州で民生部の嘱託画家として働きながら、満州国主催美術展覧会で特選を受賞、一躍注目を浴びます。終戦により帰国。1947年から数年間のみ国画会に参加した後は画壇を離れ、挿絵や装丁の仕事をしつつ個展での作品発表と句集、随筆の執筆活動を行っています。
1970年の渡欧を機に、ヨーロッパ、インドネシアなどで描かれたスケッチをもとに味わい深い風景画を生み出します。晩年の1974年に北鎌倉に住まいを構え、日常の事物に目を向け、画境を深め、2004年に亡くなりました。
今回は、油彩、水彩、パステル、素描、挿絵等約170点で関合正明の画業を紹介する、公立美術館初の回顧展です。

別館での展覧会は鎌倉館に寄れば必ず立ち寄っていますが、今回は内容が濃く充実していました。
関合正明の名前も聞いたような聞いたことないような、作品も意識して拝見したのは今回初。

最初に見た「ざくろ図」1963年、「蓮」、家族(?)一人一人の肖像画(下図)の小品を見て、ぐっと惹かれるものがありました。
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「邑子像」 1976年 個人蔵

これはおざなりに見てはイケナイ。
時間はあまりありませんでしたが(この後、熱海のMOAに行ったため)、時間ぎりぎりまで作品を見届け、最後は駅までダッシュです。

サイズが1メートルを超えるような大きい作品は1点のみで、基本的には20センチ~30センチ程度でおさまる小品がほとんどです。
むしろ、私にはこれらの小品が特に気に入りました。

1980年代に植物を描いた「白紫陽花」、「野の花(十薬)」、「山枇杷」は、緑が印象的で、形態のとらえ方も彼特有のものがあります。
それらからは、優しい印象を受け、ひっそりと咲く野の花にはとりわけピッタリな雰囲気を醸し出していました。これらの作品は北鎌倉移住後のものですが、鎌倉の自宅で穏やかな日々を送っていたことまで偲ばれます。

渡欧後のフランス、ポルトガルでの風景スケッチもその土地それぞれの空の色、たとえばフランスの風景では青い空はなく、常にグレー、ポルトガルの風景では漸く青空が描かれていたり、土地土地の空や海の色、家々の壁の色が気になりました。
「エトルタの岬」は一見すると、ブラマンク風の黒い太い線を使っていて、フランスの風景にこの黒い太い線はマッチするのかななどと1人合点。

ガラスケースに入った「カット類」も好ましく、こういう細々したものが最近好きだなと、だから私の好みにこの作家さんは合ったのかもしれません。

見過ごすにはあまりにも惜しい内容です。
「伊庭靖子展」と併せてご鑑賞ください。入館料は本館、別館共通です。

*3月22日(日)まで開催中。

「所蔵名品展-国宝 紅白梅図屏風-」 MOA美術館

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毎年恒例(と思われる)MOA美術館の「所蔵名品展」に行って来ました。
今回は青春18きっぷを使用し、葉山⇒鎌倉⇒熱海とまわったのでちょっと急ぎ足の美術館巡り、最終目的地のMOA美術館では閉館まで粘りました。

さて、展覧会タイトルに「紅白梅図屏風」とあるので、ブログ記事冒頭にも掲げましたが、ホントは「感動!鎌倉時代仏画名品展」と題したかったです。
展示作品リストはこちら

MOAがこれほど、素晴らしい仏画を所蔵していたとは、全く存知上げず。
私の来訪目的は岩佐又兵衛の「山中常盤物語絵巻」「浄瑠璃物語絵巻」。それぞれ一巻ずつ、しかも数場面分しか開かれていないので物足りないのは、言うまでもない。
でも、ちょぴっとでも良いので観たい、これがファン心理というもの。
「山中常盤物語絵巻」は初見。昨年「浄瑠璃物語絵巻」の極彩色に感動したので、山中も絶対観たい!この一心でした。

たとえ一場面とは言え、やはり素晴らしかった。。。もう、溜息もの。こうやって地道に毎年通うしかないのか!となぜか咆哮してしまう私です。

中国絵画は面白い作品が何点か。
寒江独釣図 伝馬麟 中国 元時代 (重文)は、魚が2匹泳ぐ姿が愛らしい。ちょっと中国絵画らしからぬ雰囲気です。涼しそう。
この他、「蓮に鶺鴒・葦に翡翠図」 伝牧谿 中国 南宋時代(重文)、「山水図」伝馬遠 中国 南宋時代 (重文)などもまずまず。  

紅白梅図屏風は、さらりと流して先に進むと、今回の目玉、仏画と仏像コーナーへ。
奈良博でもなかなかお目にかかれないような鮮やかな曼荼羅図や愛染明王像などなど。
枚挙にいとまがありません。
・「童子経曼荼羅図」鎌倉時代 重文
・「吉祥天曼荼羅図」同上

いずれも曼荼羅図ですが、特に前者は初めて見るような図柄です。
何しろ、曼荼羅に童子がたくさん円状に配されています。
また、これらの童子によ~く着目すると、何と足袋のような靴下のようなものを履いている。
靴下履きの童子の曼荼羅って・・・。驚きです。
う~ん、これは一体何で靴下履いてるんでしょうか。仏教的な意味合いはあるのか。謎です。

一方「吉祥天曼荼羅図」の方は絢爛豪華、オールキャスト。
至るところ、天女やら何やらが配され、どこを見て良いのやら、あちらもこちらも見どころ満載の曼荼羅図。私は上部両脇に配された天女が好きでした。

・「阿弥陀三尊像」  高麗時代
高麗時代というからには、日本でなく大陸産の仏画でしょう。阿弥陀三尊のお顔が日本のものとはやはり違う。ここで見るべきは着衣の「透け感」。
あぁ、またしても「透け感」、更に精緻な紋様。美しすぎます。

紋様と言えば、鎌倉時代を象徴するような「錐金」を忘れてはなりません。
重文指定こそされていませんが、「二十五菩薩来迎図」 双幅でしょう。
驚くべき細かさで、二十五体の菩薩それぞれ全てに錐金紋様が施されています。

鎌倉時代の仏画は、損傷がひどかったり、退色が進んでいたりと鑑賞に堪えないような作品も多いのですが、さすがはMOA。
どれもこれも状態が非常に良く、色が鮮やかです。

仏画がお好きな方、関心がおありの方は必見でしょう。

おまけのように末尾になってしまいましたが、「湯女図」(重文)、「機織図屏風」いずれも17世紀江戸時代の風俗図、ことに後者は珍しい図様で、楽しめました。
歌麿の肉筆画「桟橋二美人図」なども出展されています。

*3月23日まで開催中。木曜日休館です。

「小杉放菴と大観 ―響きあう技とこころ―」 出光美術館

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2009年となって、既に3ケ月が経過しようとしています。
この間、様々な展覧会を見て来ましたが、今回の出光美術館は素晴らしかった!
いつも、充実した、ハイレベルな展覧会を企画する美術館として高評価を得ていますが、東京に出てから見た出光の企画展では一番良かったです。
単に、私の好みにマッチしたってことなんですが、あれだけまとめて放菴作品を見られてHAPPYでした。

本展は単なる放菴の回顧展ではなく、日本画の大家横山大観との関わりにスポットを当てて2人の作品を展観するという点がポイントであり、私がツボにはまった理由です。

印象に残った作品と共に展覧会を振り返ります。

第一章 洋画家・未醒時代
お酒が大好きだった後の放菴は洋画家時代の画号を未醒とした程。
冒頭で絵の師であった、五百白文哉「日光東照宮」、放菴の「日光東照宮」と並んでいます。この頃は、師の作品に忠実だった様子が伺われます。
その後、西洋画の道に進みますが、池大雅の「十便帖」の複製に留学先のパリで出会い、東洋の美に帰る転機を得るのです。
このあたりのエピソードがドラマチック。
、放菴の作品のいくつかに池大雅風表現が感じられ、生涯放庵の中で大雅というのはどんな存在であったのか、そのあたりも気になります。

洋画時代では「湖畔」(1914年)は油彩ですが、どこか日本画風の清冽な色彩、塗りでした。

第二章 日本画家・放菴時代
第三章 壁画に込めた祈り
この2つのコーナーはお気に入りが目白押しでした。
・「柳下人物」 1926年頃
・「陽光」 1936年 木蓮大好きな私は、放菴の描く木蓮がとりわけ好き。
・「四季(夏 河童)」 1961年 3匹の河童が楽しそうに泳いでいる?いいなぁ、こののどかさ。

壁画ではやはり、これでしょう。
・「天のうづめの命」 1951年
油彩なのに、日本画のような表現です。戦後出光興産タンカー「日章丸」竣工記念に贈った作品。
出光佐三との結びつきを知るエピソードとして、こちらも有名。
竣工にふさわしい、天の岩戸を開かんとさせる祝の舞。こちらも河童に劣らず楽しそう。

第四章 運命的な出会い
ここから、大観と絡めた作品展示が始まります。
大観作品は、いかに出光といえども沢山は揃わないので、日本各地の美術館から借りた名品が並んでいました。民間美術館はどうしても自館の所蔵品だけの展示になり、マンネリに陥りますが、出光では他館からの貸し出された作品も展示することで、新鮮さをキープ。これ大切です。

第五章 響きあう技
新しい日本画の技法を模索していた大観と洋画の技法「片ぼかし」を使用した放菴、二人の技が日本画に新表現を与えます。
・「月下逍遥」 1921年 横山大観 横山大観記念室
・「香具山」 1920年 小杉放菴
・「達磨」 1920年 横山大観
・「秋色山水長巻」 1920年 小杉放菴 
一番感動したのは、「秋色山水長巻」。あの海の青色!あの青はどうやったら出せるのでしょう。
絵の中に自分が吸い込まれそうな作品でした。

第六章 東洋思想への憧れ
放菴は父親が神社の神官であり、国学者であったこともあり、漢学籍を絵を描くかたわら続けていました。その影響が作品の随所に表れています。
・「七夕」 1918年 小杉放菴
・「山窓無月」 1919年 横山大観 永青文庫
大観作品の中では、これが抜群に良かった。細川の殿は良い作品をお持ちで、よくぞ貸出してくれたと感謝しました。
・「寒山拾得」 昭和時代 小杉放菴
こんな可愛い寒山拾得は初めて。私はほのぼの系に弱いのかと、自分の新たな一面を発見。

第七章 出関老子
ここでは、ご存知有名な放菴の「金太郎」が展示されている。
何度見ても楽しい。何より、金太郎の表情が最高だと思います。

第八章 掌中の山水人物-放菴画帖の魅力-
こういう小さなアイテムも放菴の魅力の一つです。放菴は一時、漫画挿絵を手がけていました。
どれも好きなのですが、中でもお気に入りは「古事記八題」 昭和16年
訪問時には弓を天に向かって放とうとしている天雅彦が展示されていました。
図録には展示替えで、実際見ることができなかった残りの7作品も掲載されていますが、残り7つも素敵です。
これ、欲しい~~~。

第九章 麻紙の放菴・放菴の麻紙
福井の岩野平三郎の麻紙なくしては、放菴作品は得られなかったと言っても過言ではない。
それほどまでに、彼は麻紙を重視していました。この福井の名工との知遇を得たのも、もとはと言えば大観の仲立ちがあったればこそ。
やはり、お互いが作品に与えた影響は大きかったのだと結びます。
・「竹」 1930年
放菴作品の中では、珍しい竹の水墨画。こんな余白を活かした水墨画も素晴らしい。
竹のしなやかさが感じられます。
・「梅花小禽」
同じタイトルが2作品横並びしていました。個人的には右側にあった黄色ぽい背景の梅作品が好きでした。

いつもながらの丁寧な解説で、普段展覧会概要の理解が乏しい私にも、すんなりと内容が理解できました。ありがとう!出光美術館。

*3月22日(日)まで開催中。

「伊庭靖子展-まばゆさの在処-」 神奈川県立近代美術館鎌倉

神奈川県立近代美術館鎌倉で開催中の「伊庭靖子展」に行って来ました。
この作家さんのお名前は随分前から知っていて、作品も一度(2005年森美開催:秘すれば花展)は見ています。
日本の美術館での個展は初めてのようで、今回は近年制作された作品約40点を中心に展観する内容でした。
出展作品画像は作家さんご本人のHPをご参照ください。

彼女の作品の特徴は自身で身近なものを撮影し、その写真のイメージをもとに絵画へと転換することにあります。また、モチーフはリネン、クッション、ソファ、枕、オレンジ、ゼリー、磁器など対象となっているものが、かなり限定されており、作品タイトルがありません。
「タイトルがない」というのは、美術館泣かせ。
作品リストを作っても、全て「Untitled」になってしまうので、大きさや制作年などでしか区別ができません。
そこで、神奈川県近美は知恵をしぼり、作品リストに小さなモノクロ画像を掲載、その上で①制作年②サイズ③所蔵先④カタログNO⑤作品展示番号(裏面に展示室図面+作品番号で位置が一目で分かる)も併せて記載するという工夫が凝らされています。
制作年の後ろには、ご丁寧に制作順序を示す番号までカッコ書きで記載されていて、頭の下がる思いでした。こんな分かりやすい作品リストは初めて。

過去のケースのように1枚単独で見ると、やや印象が薄くなりがちですが、40点以上まとめて拝見するというのは楽しい経験でした。
これだけまとめて見ると、改めて伊庭さんの写真のような絵画が鑑賞側に与える感覚・呼び起こすものが、何となく自分の中に見えて来たような気がします。

私が受けた感覚というのはまず第1に「清潔感」。次に「透明感」。
例えば、海が見えるような真っ白なシーサイドハウスの応接間やキッチンに、伊庭さんの作品はぴったり。
都会のマンションでも白を基調にした部屋なら、一気にその部屋の清潔感が高まる気がします。

個人的には「プリン」と第2展示室にあったリネン模様のクローズアップ、2008年、2009年の作品が好きです。
プリンは全作品中、自分が一番食べたいと思ったのと、あのプルルンとした質感、カラメルのてり感が堪りません。プルプル感は紫色のゼリーをクローズアップした作品にも強く出てましたが、私はゼリーよりプリンが好き(絵には関係ないけど)。
リネン模様の方はより美しく洗練された感じを受けました。
普段見慣れているものを拡大し描くことで、見過ごしがちなその物の持っている質感を鑑賞者に見せる。写真では見えない質感を絵画への転換により、鑑賞者に見せてくれることが彼女の力量であり、目指すところではないでしょうか。

それにしても枕やリネンが多いのはなぜ?お好きなのでしょうか。

私の好きな小林孝亘さんの過去の作品にも「pillow」と題された枕のみキャンバスに描いた作品があります。今回伊庭さんの作品にも同じような枕を描いた作品があり、小林さんのそれを思い出しました。
筆跡を残さない所など似た感じは受けますが、同じものをキャンバスに大きく描いた作品でも受ける印象は違いました。そんな比較をしても楽しめると思います。

*3月22日まで開催中。

2009年3月14日 鑑賞記録

今朝は、ネットで遊んでいたらすっかり出るのが遅くなってしまいました。
まだ見ていないのに、会期が明日または来週までという展覧会がいくつかあったので、会期終了が早いものを中心にスケジュール立てしたつもり。

1.「小杉放菴と大観 ―響きあう技とこころ―」 出光美術館
これは素晴らしかったです。感動~のあまり、出光で初めて図録買いました。別途記事予定。
*3月22日まで開催中。

2.「源氏物語と物語絵」 永青文庫
源氏物語よりむしろ絵巻物展の方がタイトルに相応しいように思ったのですが。。。最初に出ていた「北野天神縁起絵巻」に一番萌えました。もっと見たい、巻き戻して~っという心の叫びは敢え無く玉砕。あんなにちょっとしか(だって、1場面だけ!)ではもの足りません。
何回も通えば、全部見ることができたのでしょうか?
重文指定の「長谷雄草紙」も良かったけれど、同じく展示場面が少なすぎ。
小物類では「伊勢物語かるた」や絵巻キャラの目貫なども楽しい。
2階展示室では、西遊記にちなんだ作品(版本)など出ていました。
*明日(3/15)で終了。

3.「生誕170年記念 楊洲周延」 太田記念美術館
周延と言えば、どくどくしい赤や紫を使った明治の浮世絵師という印象を持っていました。
ところがどっこい、太田記念の展示を見たら、そんな毒々しい浮世絵ばかりでないことを発見!
印象が変わりました。いくつかお気に入りもあったし。
この展覧会は良かったです。詳細記事は何とか書きたい(希望)。
*3月26日まで開催中。

4.「ミレーとバルビゾン派の画家たち」 青山ユニマット美術館
これも詳細別途記事にします。ここでは遊行さんはじめ、美術関係のいろいろな方にお会いしました。
皆さんユニマット美術館とのお別れでいらっしゃったのでしょう。
*3月31日まで開催中。遅めの時間が空いててオススメかも。

5.「チャロー!インディア インド美術の新時代」 森美術館
会期終了駆け込みで見て来ました。
予想以上に面白かったです。特に最初の展示室の象と映像、それに続くインスタレーション(衝立)や「SHADOW」という映像作品はすごく面白かったです。
展示室に入ると、自分の影が映り、上からゴミがどんどん降って来て、どんどんゴミに取りつかれ、埋もれてしまうというゴミ社会を風刺した映像作品。
どうやって、あの仕掛けを作っているのでしょうか?インドのアーティストの映像作品は侮れません。
テート・ブリテンで見た調理器具を使ったインスタレーションを作るスボード・グプタが森美にも登場していましたが、作品はテートの方が大きくて力がありました。森美のは、迫力不足。

この他、インドの澤田知子風写真を展示していた女性アーティストや赤瀬川原平風お札のアートやら。
あと好きだったのはハンコアーティスト。ゴム印で肖像画を作ってた作品良かったです。
これを見て「インドの現代アートは旬!」という思いを強くしました。
*明日(3/15)で終了。現代アートがお好きな方は必見かと。

6.「全光榮(チョン・クァンヨン)展 世界を魅了した韓紙アートの傑作」 森アーツセンターギャラリー
森アーツセンターギャラリーっていつもは森美術館のチケットでは入場できなかったように記憶していましたが、今回は森美のチケットで入場可能。
韓紙を三角すいなどの箱形にしてオブジェ、ミクストメディアを制作。
色は全て自然染料で着色しているので、使用されている色が限られていますが濃淡が美しい。
宇宙的な感じを受けました。
作者のコメントでは「不安な現代を投影させた」とおっしゃっておられましたが、私はさほど感じませんでした。

7.林勇気(はやしゆうき)展「afterglow」 ニュートロン東京
ユニマット美術館からすぐ近くのニュートロン東京に行って来ました。初訪問です。
「はろるど・わーど」さんなどのブログで高評価の記事を拝見し気になっていました。ギャラリーというより、お宅拝見といった感じで、もともと住宅のような建物です。
林勇気は映像作品を出していましたが、アナログの写真を使って、アニメーションを作るというのが手法だそうです。
作家自身がどの映像作品にも登場し、自ら演じています。
新作は背景にパステルカラーを使っていて、BGMと共に観ていると環境映像のような癒し系。
過去の作品はファミコン、古いですがマリオシリーズを思い出しました。
*3月22日まで開催中。

「ルーブル美術館展 17世紀ヨーロッパ絵画」 国立西洋美術館

ルーブル

13日(金)夜、西洋美術館の「ルーブル美術館展」に行って来ました。
18時半過ぎに入りましたが、思ったよりお客さんは少なくて、ゆっくりじっくり鑑賞できました。前回のハンマースホイも夜間開館狙いでしたが、その時より空いてました。

今回は、71点の展示作品中、日本初公開作品が約60点というのも魅力のひとつ。
更に、フェルメール、レンブラント、ルーベンス、ラ・トゥールなど有名作家の作品が上野に終結しているのだから、行かずにはおれません。

前評判通りの内容でしたが、中でも気に入った作品を5つだけあげてみます。

・ジョルジュ・ラ・トゥール「大工ヨセフ」
文句なしのマイベスト。
一目見た時、思わず息をのみました(ちと大げさですね)。
絵の前に立ったら、更に感動が足もとからじわじわと押し寄せます。
図録や本展パンフレットでは何度も見た作品ですが、本物はやはり違う、違い過ぎます。
素晴らしかったのひとこと。
ろうそくの炎に照らされた少女の手の描写。
何でしょうか、あの透け感は。
最近、上村松園の「透け感」についても感心したばかりですが、西洋画で透けを描写するラ・トゥールもすごい。夜の画家と言われる所以がこの1枚で納得できます。

手ばかりでなく、少女イエスの顔、ヨセフの額、顔にかけての明暗表現。
どれをとっても、実際の作品ではもっと迫ってくるものがありました。作品自体もかなり大きかったので余計でしょうか。

もうこの1枚見たら、ふらふらとしてしまい、後の鑑賞に影響を及ぼしました。

・ウィレム・ドロスト 「バテシバ」
一見してレンブラントかと思いきや違っていました。
しかし、ドロストはレンブラントの弟子、レンブラントにもバテシバを描いた著名な作品があり、着想はそこから得たと言われていますが、このバテシバも妖しさ満載で良い絵です。
バテシバの白い衣服、露わになった乳房、その表情、ダヴィテからの手紙と作品中に見所は沢山ありました。

・フェルメール 「レースを編む女」
フェルメールも良いもの、イマイチなのと様々ですが、これは良い作品でした。一通り観終わった後で、この作品を再度観るために戻りましたが、人気作家ゆえに、この作品の前だけはお客さんは絶えませんでした。今後混雑したら、この小さな作品は満足に鑑賞できないように思います。
それが分かっているだけに余計、心ゆくまで楽しみました。
観ていて不思議だったのは、クッションの下になっている青色のもの。これは机に布がかかっているのでしょうか。
後程ちゃんと調べてみますが、予習なしで見た時は判然としませんでした。
クッションの糸、赤と白、フェルメールがよく使う黄色の上着、青いスカート、彼らしい作品だと思います。

・ヘーラルト(ヘリット)・ダウ 「歯を抜く男」
昨年、国立新美術館で開催された「ウィーン美術史美術館所蔵 静物画の秘密」でダウを知り、今回もまたダウらしい「歯を抜く男」良かったです。
手前の籠にかかっている布の色の青さ。床、奥にあるドクロ、歯を抜く男と抜かれる男。
細かい描写が際立ちます。

・カルロ・ドルチ 「受胎告知」
これはえも言われぬ美しさ。ことに、私は「天使」が気に入りました。
聖母も頭のヴェールのビロードの質感、その色の青さ、袖口の赤と対照的。

あっという間に5作品で終わりました。
これ以外にもニコラス・マース「婦人の肖像」、ビエル・フランチェスコ・モータ「弓を持つ当方の戦士」、アドリアーン・コールテ「5つの貝殻」、ミシェル・コルネイユ「天国の栄光」、ヤコブ・ヨルダーンス「4人の福音書記者」などなど印象に残る作品は多数ありました。

結局展覧会のテーマはうっちゃって、作品だけをひたすら鑑賞してしまいましたが、この際テーマはどうでもいいかなと思わせる内容だったしと自分に言い訳です。

閉館まで残り10分は常設を観に。
企画展の出品作家であるジョルジュ・ラ・トゥールはもちろん、ルーベンス、ダウ、クロード・ロランなどの別作品を改めてみると、何度か見たことのある絵でも、一味違って見えるので不思議です。
常設も併せて鑑賞すると、相当数の西洋絵画の名品たち。
企画展の後は、ぜひ常設展も鑑賞されることを強くオススメいたします。

*6月14日まで開催中です。

「中尾彰展 第2部 童画・水彩」 白銅鞮画廊

nakao

京橋のツァイト・フォト・サロンに行った帰途、同じ通りに1軒の画廊を発見。
「あ、こんな所にも画廊がある!」近づいてみると、ショーウィンドーには昨日アップしたばかりの練馬区美術館で開催中の「中尾彰展」のポスターが貼ってあった。
中を覗くと、優しい色合いの水彩画がいくつも並んでいるではないか。入口の外にある看板を見ると「中尾彰展」と書いてある。
「ん?」これはもしや、練馬で見た中尾彰さんの展覧会なのではと、早速中に入って見ることにした。

やはり、思った通り練馬で見た中尾彰さんの作品展覧会で、今日(12日)から第2部童画・水彩画展が始まったばかりだった。
練馬の展覧会では油彩画中心で、私は水彩画や童画をもっと見たいなと思っていた所だったので、まさかここでその作品に出会えるとは!嬉しくてワクワクしてしまった。

左程広くないすぺーすであったが、水彩画は20点程あっただろうか。
風景画やアネモネなどを花を描いた作品が多い。
同じモチーフというのはほとんどなく、どれも新鮮だった。
水彩の中にクレヨンで描いたお庭か何かの絵があって、クレヨンも味があるなとしばし眺める。
画廊の方に「なぜ、この1枚だけクレヨンなのですか?」とお聞きしたら、「制作年が1940年なので、画材がなかったんではないでしょうか。」とのことでした。
黒いチョークか何かで描いた「アネモネ?」の花の絵も強い線で個性的だったのだけど、同じように絵の具がなかったのかもしれない。

童画の方は絵本の原画が展示されている。
なかなか、原画にはお目にかかれないのでこちらもしかと拝見。
ギャラリー内に、現在は絶版となってしまった絵本も一緒に置いてあり、美術館とは違い、こちらでは絵本(2冊)に触って全てのページを見ることが可能。
ギャラリーの良さってこういう所なのかなと初めて、美術館にはないギャラリーの良さを感じた。

絵本と全く同じ原画は1枚で、後は同じ物語のために描いたが、結局採用に至らなかった作品なのだそう。1冊の絵本作成に、何枚もの絵を描いているんだなということがよく分かった。
他には、絵本に使われている簡単な挿絵やキャラクターのドローイングを画廊できちんと額装して展示してあり、額装をきちんとするといたずら書きのような下絵も立派な作品になっていた。
「ネズミと餅」などは、ネズミ年に飾るといいよなぁと思わず財布のひもを緩めたくなる衝動にかられた。

画廊は見ているその作品を購入することができるのも美術館とは違う点。
欲しいと思えば、お金さえ許せば自分の物になる、何と言う魅力的な誘惑だろう。

練馬区立美術館の展示より、個人的には白銅鞮画廊(はくどうていがろう)の展示の方が気に入ってしまった。東京駅から徒歩圏内で中尾彰の優しい世界に出会えます。オススメ展覧会です。

*3月27日まで開催中。第1部の油彩画展は終了しています。
東京都中央区京橋1-9-5 白銅ていビル
11:00~18:00 土・最終日は17:00まで
休廊日:15・20・21・22日

「中尾 彰-津和野・東京・蓼科-展」 練馬区立美術館

nakao

チラシの絵(上図)に惹かれて「中尾彰-津和野・東京・蓼科-展」に行って来ました。
この日は、普段使わない有楽町線を利用して美術館・ギャラリーを回ろうと思い立ったのです。
練馬区美術館の最寄駅、中村橋のある西武池袋線に直接乗り入れる列車もあると今回初めて知りました。

展覧会の概要は次の通り。
1904年(明治37年)に島根県・津和野で生まれた中尾 彰<なかお・しょう>(1904-1994)は独学で絵を学び、10代を満州で過ごします。
1931年(昭和6年)の第1回独立美術協会展入選以来、独立美術協会を中心に油彩画を発表。画家としての活動の一方で、1935年頃から文芸同人誌「日暦」に参加して詩文を発表。また1941年(昭和16年)から子供のための美術運動を展開し、児童出版物に執筆するとともに教科書や新聞の挿絵などを多数手がけました。
しかし、これまでその画業はあまり取り上げられることがありませんでした。
 今回の展覧会では、中尾彰にゆかりの深い島根県立石見美術館・練馬区立美術館・茅野市美術館の共同企画により、油彩画約60点を中心に、絵本・童画などをまじえて、画家としての生涯を振り返り、その全貌に迫ります。

上記概要の通り、これまで中尾の画業が取り上げられることはなかったせいか、私も名前を知りませんでした。先日アップした小熊秀雄と言い、知られざる画家というのは、あまりにも多すぎる!

作品はほぼ年代順になっていますが、初期の旧満州を描いた風景画や「ロシア夫人の顔」1932年などのどこか暗い作風が、徐々に緑や黄色のパステル調へ移っていく過程が興味深いです。

この作風の変化に影響したのは、長野を知ってからでしょうか。
晩年まで東京練馬と長野・蓼科のアトリエを行ったり来たりしたとのことですが、今回展示されていた作品に描かれているのは、長野の風景だったように思います。
何しろ、彼が使う緑、緑と一口に言っても様々ですが、特に黄色混じりの緑は印象的でした。
私は、黄緑色を味わいに出かけたのかもしれません。

同じモチーフで何枚も何枚も描いているのも特徴です。
チラシの作品「庭前にて」に描かれたピンクの衣服を着た女性は奥さま?
とてもほのぼのとした長閑な雰囲気。
人物も植物も家具さえも、形は単純化されています。

童画家としての作品として松谷みよ子作の「天人のよめさま(国ができるころ)」や雑誌「コドモノクニ」なども洋画と別に展示されています。
「天人のよめさま」は、明らかに読んだ記憶があり、その挿絵を描いた人だったのか・・・と思いをあらたにしました。この年代の童画家が手がけた絵本は何かしら自分も接していることが多いです。

今回の展覧会は油彩中心でしたが、水彩も手掛けていたようなので、こちらも展示していただけたら良かったのにと要望がひとつ。

中尾自身の文章によると、彼が画家になる上で非常に重要な作品であったという「3枚の古いランプの絵」があったと言います。中尾の作品は戦中や戦後の火事で作品の多くが失われたため、この3枚のランプの絵も焼失したのでしょうか。今回の展示はありませんでした。
もし、どこかに残っているならば是非一度見てみたいと思いました。

*3月29日まで開催中です。

「「彫刻//新時代 Vol.3 土屋仁応展」 日本橋高島屋 美術画廊X

上村 松園・松篁・淳之 三代展」を観た後、6階の美術画廊Xの「土屋仁応展」を観に行った。
「シリーズ彫刻/新時代VOL.3」ということで、目下現代アートではもっとも彫刻に関心のある私にうってつけの内容。

まずはプロフィール。
1977   神奈川県横須賀市出身
2001   東京藝術大学美術学部彫刻科卒業 
      卒業制作 サロン・ド・プランタン賞
      図書館情報大学(現在、筑波大学に統合)による買い上げ
2003   東京藝術大学大学院美術研究科文化財保存学専攻
      保存修復彫刻研究分野修士課程修了
      修了制作 サロン・ド・プランタン賞
2007   東京藝術大学大学院美術研究科文化財保存学専攻
      保存修復彫刻研究分野博士課程修了

展覧会は、2005年の成山画廊での個展を皮切りに、昨年は企画展 「ANIMAL FANTASY イヌイト・アート&動物たち」北海道立近代美術館にも出展している。

今回私がもっとも気になったのは、蓮の花の彫刻作品。
須田悦弘さんの植物彫刻を思わせるような花弁の薄さ、曲線が見事。

土屋作品の場合はその材質にもっとも注目すべきだろう。
大きな作品では樟を、小さめの物には桧と使い分けをしている。2つの材に対する使い分けの理由も書かれてあったのに、失念してしまった。
この蓮の花も近寄って、鼻を近づけると桧の仄かな香が心地よい。
また、彫刻自体の木肌も実に滑らかで、これは大きな作品になるほど顕著になっている。
思わず彫刻であることを忘れて、頬をスリスリしたくなる程スベスベで柔らかな感じを受けた。

もうひとつの特徴は作品の色合い。
蛇や魚の彫刻は好みではなかったが、兎や小山羊などは彼特有の白っぽい色が効果的だった。
あの色目は終始一貫したものなのだろうか?
この白色の効果か作品が神秘的に見える。
花の場合は、白からもう少し進んで若干赤みがかっていて、動物たちとの取り合わせもマッチしていた。

私が会場を訪れた際、ご本人がいらっしゃったのだけれど、別のお客さんと長くお話をされていたので、結局直接お話しできなかったのは残念。

これから、どんな作品を作られるのだろう。要注目作家です。

*3月23日まで開催中。

「上村松園・松篁・淳之 三代展」 日本橋高島屋

会社帰りに、日本橋高島屋で開催中の「上村松園・松篁・淳之 三代展」に行って来ました。
最近デパートの展覧会って侮れないよなぁと思いつつありましたが、この展覧会も予想以上の見ごたえで満足です。
上村松園の美しい美人画、それも未見の作品で良い物が何点か出ていたことが満足の要因と言えるでしょうか。個人的には、同じデパートでも日本橋三越より、日本橋高島屋の展覧会の方が空間も広目で照明も落とし気味(適度な配慮あり)で落ち着きます。ただし、今回は、会場そばで設営準備をされていて、うるさかったのが気になりましたが、これは運が悪かったと諦めるしかありません。

松園の作品で印象に残った作品を挙げます。
・「楊貴妃」 1922年 松伯美術館蔵
・「伊勢大輔」 1929年 
・「ほたる」 大正2年
・「待月」 大正15年 京都市美術館蔵
・「紫式部図」 石山寺蔵

これらのほとんどの作品に共通して描かれているのが「透け」感。
「楊貴妃」では御簾、「伊勢大輔」「待月」では着物、「ほたる」では蚊帳とあちらこちらで、これでもかと透けを描く技術を披露しています。
この「透け」感描写こそ、松園の卓越した技術の1つと言えるでしょう。
・・・と思っていたら、やはり「弐代目・青い日記帳」さんで、更に詳細なる解説を加えご紹介されていますので、ぜひそちらをどうぞ(私の記事の方が後なので、とっくにご覧の方も多いでしょうが)。

約40点の松園作品を鑑賞していると、同じ美人画でも鏑木清方のそれとはどこか受けるものが違うことに気付きました。松園の美人画に描かれた女性たちには、凛としたもの、気品のようなものを感じます。特に歴史上の人物には一層その思いを強く受けました。
先日、東近美の常設展で松園の「静」を拝見しましたが、これなどはまさに、その最たる作品のように思います。

「人生の花」(京都市美蔵)や「焔(下絵)」など再会する作品もあり、何度見ても良いものは良いと感じました。

これだけの画家を母に持つと、さぞやプレッシャーもかかるのではと危惧されますが、息子「松篁」は花鳥画に己の道を見出します。
彼の作品は野間記念館などはじめ、あちこちで見かけますが、今回展示されているような大作は奈良の松伯美術館で拝見して以来。
狩野派と違い、世襲制でもなく特段、母松園から指導を受けた訳でもないのに、画家を目指し、文化勲章を受賞するまでの道のりたるや、如何なる苦労があったことでしょうか。
その片鱗すら浮かびませんが、「月夜」1939年は、はっとするような美しい作品でした。

三代目、淳之は父の花鳥画をさらに単純化したように見えます。インタビューで話されていた「余白に思いを込める」という言葉が一番印象的でした。

末尾ですが、チケットを頂戴したことこの場を借りて御礼申し上げます。

*3月16日まで開催中。
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