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永観堂 禅林寺 みかえり阿弥陀

まだ記事にできていないけれど、京都で野村美術館と泉屋博古館へ初めて行って来ました。この2つの美術館のちょうど間にあるのが紅葉で名高い永観堂 禅林寺。
私も過去、秋の永観堂を拝観したことはありましたが、ご本尊の記憶がない。
その頃は、まだ仏像に関心が薄かったこともあるのでしょう。長い回廊と間口からは想像できないほど広いお寺だったという記憶だけが残っています。

NHKの番組「にっぽん 心の仏像」という番組で、この永観堂のご本尊が紹介されて、左を振り返るその姿が珍しく再訪してちゃんと拝見したいなぁと思っていました。
生憎の雨模様で、しかも永観堂では法会が催されるようで、中はやたらと慌しかったのですが、目当ての「阿弥陀堂」までたどりつくと正面にありました。

思ってたより小さい。
そして、金の剥落は予想していたより進んでおらず金色に輝いていました。

正面からだと御顔は横を向いておられるのでよく見えません。
向って右側に回り込むと他の諸仏(地蔵菩薩など)も置いてあり、ちょうどみかえり阿弥陀の横を向いた顔が正面に来る場所から拝観することができました。
右側からの方が、阿弥陀との距離はぐっと近くなります。

写真で見るより優美な印象を受けました。画像だともう少し厳しいお顔つきに見えます。
じっと見ていると、私のことを待っていてくれるように感じます。
みかえり阿弥陀の教えというのが脇に貼ってありましたが、自分自身を省みるという想いもあるそうです。

みかえり阿弥陀の由来と画像は永観堂HPをご覧くださいませ。
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「妙心寺」展 後期 京都国立博物館

kyoto

「妙心寺展」の後期を京都国立博物館で見て来ました。
前期は、東博で鑑賞済みでもちろん後期も東博で見ることは可能だったのに、そうしなかったのは、京都展だけに展示される作品を見たかったから。

今回の目的は2点。
・山水人物図襖 隣華院方丈障壁画のうち 長谷川等伯筆
touhaku

・達磨像 白隠慧鶴筆 万寿寺
daruma

前者は、硬質な岩の表現が気になるけど、左端の松の表現に等伯らしさが出ている。いよいよ来年は等伯展。楽しみ。今回は20面のうち4面が出展されていたけど、20面が並んだ様子はさぞかし壮観だろうなと思う。

達磨像は、思ったほど大きくなかった。もっともっと大きな作品を想像していたので、「あれ?」という感じ。でも、白隠と言えば有名な「達磨像」。しっかり目におさめる。

展覧会の構成は以下。東博展でのログに書いていなかったので、今回書きます。
第1章 臨済禅-応燈関の法脈-
第2章 妙心寺の開創-花園法皇の帰依-
第3章 妙心寺の中興-歴代と外護者-
第4章 禅の空間Ⅰ-唐絵と中世水墨画-
第5章 遠諱の風景-荘厳と儀礼-
第6章 妙心寺と大檀越-繁栄の礎-
第7章 近世の禅風-白隠登場-
第8章 禅の空間Ⅱ-近世障屏画のかがやき-

東博展での展示と比較すると、流れは京都の方がすんなり自分の中に入って来た気がする。
関心は東博もそうだったけれど、第4章、第7章、第8章。
前期で見ていない後期で印象に残った作品は以下。

・「瓢鮎図」 大岳周崇等31名賛 如拙筆 国宝 室町時代
う~ん、これが国宝ですか・・・。鯰と瓢箪がちょろっと描いてあるだけ。上部は賛で埋め尽くされている。むしろ、大岳周崇含め31人の賛に価値があっての国宝指定か。

・「琴棋書画図」 霊雲院方丈障壁画のうち 伝狩野元信筆 室町時代 重文
こちらも、京都展のみの出品。

・「四季花鳥図」 霊雲院方丈障壁画のうち 狩野元信筆 重文
前期後期と4幅ずつの展示。前期は東博で見たはずなのに、あまり覚えていない。

・「鳥花山水図」 陳箴筆 明時代
京都展のみ出品作。明時代の中国絵画らしく大画面である。前期は2点同じく明時代の中国絵画が出ていたようで、こちらも見たかった。

・「法具変妖之図」 白隠慧鶴筆 金臺寺
これは面白い絵巻。法具を妖怪に見立てたストーリー。キャラがかわいい。白隠はユーモアセンスのあった人だったのだろうか?ちょっと人となりが気になる。

・「寿老・梅山鵲・竹鳩図」 狩野山雪筆 麟祥院
京都展のみ作品2つが最後を飾る。老梅図襖(メトロポリタン美術館)と並んで山雪の3幅対が出ていた。梅の表現は、老梅図での梅に通じる所がある。竹や梅の先端は筆先の割れを気にせず、あえて震わせている。

・「福寿草に双鶴図」 森狙仙筆 麟祥院
これには驚いた。徹底した細部描写には感心する。羽毛のけ1本、1本を描き、福寿草もとても美しい。

老梅図襖にお別れを告げて、京博を後にした。この日は大雨で、お客さんもやや少なめ。ゆっくり鑑賞することができました。

*5月10日まで開催中。

「親鸞聖人750回大遠忌記念 本願寺展-開かれる世界遺産の扉」 名古屋市博物館

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「日本一美しい本」を名古屋市博物館「本願寺展」で見て来ました。
本展は昨年9月、九博を皮切りに広島、徳島と巡回しこの春4月18日より名古屋市博物館に巡回して来ました。
本展では、親鸞聖人750回大遠忌をひかえた記念事業として開催され、西本願寺ゆかりの至宝、国宝5件、重要文化財26件を含む約150件で構成されます。
*以下本願寺は西本願寺を指します。以下所蔵先の記載がないものは全て本願寺蔵。

また、名古屋会場だけの特別出品として、真宗大谷派名古屋別院(東別院)の寺宝3件が展示。
この名古屋だけの特別出品作品のラインナップが凄いです。
画像はこちらの名古屋市博物館HPをご覧ください。

・「松に鳩図扇」 狩野永徳筆 安土桃山時代
織田信長の所持品として伝えられた金地の扇。
・「四季山水図屏風」 室町時代 重要文化財
・「源氏物語書画色紙貼交屏風」 江戸時代・17世紀

これら3点の寺宝は最後の最後に出て来ますので、お見逃しなきように。特に永徳筆の扇は見ものです。「四季山水図屏風」も見ごたえあります。

展覧会の構成は次の通り。
第1章 親鸞聖人と浄土真宗
波乱に満ちた親鸞(1173~1263)の生涯を、その肖像画や著作、絵巻などによってたどる。浄土真宗らしいのは絶対他力の宗旨を「名号」という文字<書>により本尊としたこと。様々な名号が登場します。
・「本願寺聖人親鸞伝絵」 南北朝時代 大阪・天満定専坊蔵 重文
ついつい絵巻に目が行ってしまう。他にも親鸞聖人伝を伝播する伝記絵多数あるが、これは一番。掛軸に作り直されているものの方が多く、巻物は稀少。

・「安城御影」 副本 連如賛 室町時代 国宝
親鸞83歳の寿像です。三河国安城の願照寺に伝来した正本をもとに、蓮如が作成させた模写。実家が安城なもので反応。

・「歎異抄」 連如筆 室町時代 重文
かの有名な「善人ナヲモテ往生ヲトグ、イハンヤ悪人ヲヤ」の部分は、後日登場する。私が行った時は、上巻の別部分でちょっと残念。

第2章 日本史のなかの本願寺
本願寺は親鸞の墓所を発祥とする寺院で、その管理権をめぐった後継争いや、時々の勢力との確執を経ながら歩んできた。歴代門主の肖像画や重要な文書類によって本願寺の激動の歴史をたどる。

ここで驚いたのは、浄土真宗の代々門主は世襲制を基本としていること。
したがって、その縁者、息子や長男、三男たちの中で、誰が正式な後継者となるかで時々争いが起きている。また、その争いは時の権力者との関わりもあり、様々な確執や勢力争いを巻き起こした。
西本願寺と東本願寺の2派に分かれたのも、この後継問題に端を発している。

・「九字名号」(御影堂旧安置) 寂如筆 江戸時代 
とにかく大きい。今っぽいロゴのように見える。

・「伏見天皇宸翰御歌集(広沢切)」  伏見天皇筆 室町時代 本願寺蔵
モダンな見返し。毎度のことながら、過去歴代天皇の名筆家ぶりには感嘆する。

・「織田信長起請文(きしょうもん)」 桃山時代 
織田信長の血判入り。石山合戦が終結した天正8年(1580)に出された赦免状。

・盆石(銘「末の松山」) 明代
・盆石(銘「残雪」)明代
盆石の良い物が2つも出ていた。特に後者の「残雪」は石のてっぺんの白い部分や胴まわりの緑色が「残雪」の銘にぴったりだった。

第3章 本願寺の至宝
最後に至宝がど~んと登場。

・「三十六人家集」 平安時代・江戸時代 国宝
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冒頭の日本一美しい本がこちら。お経でなく和歌集。今回展示されていたのは「順集」「頼基集」「清正集」の3つ。
中でも図抜けて美しかったのは「順集」。料紙の取り合わせ、金砂子など、まばゆいばかりの美しさ。
ここにかな文字が加わると、文字さえ模様の一部に見えてしまう。

・「慕帰絵詞(ぼきえことば)」 南北朝時代・室町時代
本願寺三世覚如の伝記絵巻。状態良く、人物の表情が生き生きと描かれている。

・「天井絵」 6面 江戸時代
朝顔、椿、桜など、海北友雪など当時名だたる絵師の手によるもの。

・「檜猿図」(猿之間) 2面 江戸時代
猿の愛らしいこと。他にも本願寺の各種空間を彩る襖絵多数。

*5月31日まで開催中。期間中展示替えがありますのでご注意ください。
展覧会はこの後、以下へ巡回予定です。
金沢市 2009(平成21)年9月19日(土)~11月3日(火) 於・石川県立歴史博物館
札幌市 2010(平成22)年4月17日(土)~5月23日(月) 於・北海道立近代美術館(予定)

「杉本博司 歴史の歴史」 国立国際美術館

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大阪、国立国際美術館で開催中の「杉本博司 歴史の歴史」に行って来ました。
2003年に東京エルメスギャラリーを皮切りに北米4都市、そして今年金沢21世紀美術館にて、かつてない大規模展を開催。
金沢21世紀はぐっとこらえ、この国立国際美術館への巡回を待ちに待って早速観て来た次第ですが、本展を見た後、私の頭は杉本博司一色。スギモト教信者になりそうなくらい、強烈なインパクトでした。こんなことなら、金沢も行っておけば良かった。同じであって、同じでなかったに違いないのです。

今回は杉本博司が過去自身で収集してきた品々と写真作品で構成されています。
たったそれだけなのですが、その内容は展覧会全体が杉本博司の作品であり、精神そのもの。
会場である国立国際美術館のB2・B3両フロアを使用しての展示は、杉本博司プロデュースの見事なインスタレーションです。

私が思う展覧会の見どころ

1.40㎡の弓型壁面を飾る《海景》シリーズ
弓型壁面での展示は過去北米での展覧会で好評を博してから作家自身もお気に入り。
このコーナーに足を踏み入れると、感動で背筋がぞわっとしました。最後の最後、閉館ぎりぎりに戻って行ったら、誰もいなくて独り占め。束の間の幸せ。

2.≪反重力構造≫当麻寺の建築古材と当麻寺写真
当麻寺東塔の建築古材群と杉本氏撮影の当麻寺写真の共演。彼自身が言う歴史を形作ったものからの影響が見事に作品として甦っている。
ここの照明はサイコー。磁場ような聖域を形成しているようにも感じた。

3.展示照明
完璧な照明。展示照明、デザインなど全て作家本人が手がけている。
作品を如何にして美しく、より映えさせるかに最大限の神経を払っている。しかも、作品を照らす照明の影さえもが、ひとつの作品になっている箇所が少なくとも2か所あった。

4.表装、表具に注目
杉本博司が収集して来た古美術品、特に平安時代の物がお好きらしいが、それらの表装は全て彼自身によるセンス、アイディアが活かされている。
表具に使用している揉み紙という和紙の色合い、グラデーション、古裂、更には軸木も要チェック。
軸木などは、木ではなく古い青銅器が使用されているものさえあった。
いずれも、この表装センスさえあればどんな物でも素晴らしい美術品に見えるのではないか。作品購入以上の値段が表装にかかっているかもしれない。

5.900㎡の大展示空間を飾る新作《放電場》
カメラを使用せず、放電現象をフィルムに焼き付けた実験的作品。元々は現像段階での失敗経験がヒントになっているそう。放電現象を写した写真は、さながらゾウリムシのような繊毛虫を思い起こさせる。
その2日前に豊田市美でヤノベケンジの放電インスタレーション≪ウルトラ-黒い太陽≫を見たばかりで、同じ放電現象でもアーティストが違えば表現手法も異なる見本と言える。

6.鏡の割れ
≪放電場≫の展示空間の最奥鏡が1か所大きく割れている。これは杉本博司自身が、展示準備に際し、木槌で割ったもの。対角線上にあるマルセル・デュシャンへのオマージュか。
最後の映像インタビューによれば、『ズレ』を表現したかったらしい。どこまでも計算されている。


数十年前の化石から、アポロ計画のために作られた宇宙食、A級戦犯の雑誌表紙、肖像写真、解剖図等々作家自身の興味、関心対象はバラバラなのだが、それら全てのもの達が作家をインスパイアし作品制作の糧となっています。
更に感心したのは、この一見とりとめのない収集品が見事に一つの展示としておさまっていること。
国立国際美術館という建物を活かしきった展示空間がとにかく素晴らしい。冒頭述べたように、金沢に行っておけば、金沢21世紀美術館という個性ある空間を使用した別のインスタレーションを体験できだろう。そう思うと、見逃したのが悔やまれてならない。できることなら、2つの展示を比較してみたかったです。

海景シリーズや放電場だけでなく、過去の写真作品や、今回新たに再制作された《観念の形》もきちんとあるべきところで私たちを魅了しています。

杉本博司は単なる写真家と言うには、憚りがある。
建築家、演出家、プロデューサー、千宗屋氏が評しているように、いくつもの顔をもつ現代の数寄者というのがぴったりだと思います。

杉本博司のファンであってもなくても、必見の展覧会。お早めに。
作家自身による収集品についての解説入り展覧会図録は、定価8,500円が特別価格6800円で販売されていました(めちゃ重たい)。同じくミュージアムショップには、こちらのBRUTUSムックもあり(私はこちらをお買い上げ)。
brutus


*6月7日(日)まで開催中。なお、5月17日(日)は「国際博物館の日」で観覧無料です。

「ゴーギャン展」 名古屋ボストン美術館

ゴーギャン

名古屋ボストン美術館で4月18日から始まった「ゴーギャン展」を見て来ました。
名古屋ボストン美術館は今年の4月に開館10周年を迎えました。
その記念すべき年に選ばれたのは、ゴーギャン屈指の傑作≪我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか≫1897-1898年ボストン美術館蔵の日本初公開を実現。
名古屋の「ゴーギャン展」公式HPはこちら

東京国立近代美術館でも7月3日から「ゴーギャン展」が開催され、この名作は名古屋の後、東京へ向かいます。ただし、展覧会の内容は名古屋と東京では異なります。
東京展の公式HPはこちら

展示内容は作成年代順に第1章から第6章までを約40点展観しています。

第1章 ブルターニュ以前のゴーギャン
ここでは、2点「オスニー村の入口」1882-1883年、「森の中」1884年(ボストン美術館蔵)でピサロやセザンヌなど印象派、後期印象派作家の影響を受けている作品を紹介。
しかし、この後1996年「水浴の女たち」(西洋美術館蔵)では既にゴーギャンらしさを人物などで感じます。
 
第2章ブルターニュでのゴーギャン
ポーラ美術館、ひろしま美術案など国内美術館からお借りしたゴーギャン作品を6枚展示。
ここでは「恋せよ、さらば幸福ならん」1889年(ボストン美術館蔵)に目が覚めた。タヒチへ赴く以前の作品だが、力強い木彫でむしろ絵画よりゴーギャン本人のエネルギーを感じたほどです。
プリミティブで、ゴーギャンの野生への強い思いを想起させます。

第3章 最初のタヒチへの旅
「真珠のついた偶像」1892-93年(ひろしま美術館蔵)のブロンズ像は、やはり絵画より今回強い印象を受けます。タヒチという大地、風土、人物たちからの影響は、油彩作品より強く感じます。
ここでは、ドガが所蔵していた「イア・オラナ・マリア」1894年という水彩も見どころ。

第4章 フランスへの帰国 『ノアノア』版画連作
一旦フランスへ帰国し、 『ノアノア』版画の連作を開始。
ボストン美術館蔵と岐阜県美術館蔵の版画作品を同じ場面で比較します。
作家自身の自刷りとルイ・ロワ版との違いも楽しめます。
1点だけですが、一番後に刷られた娘ポーラによるポーラ版があり、これは前述2つの版とはまた違った味わいがありました。

第5章 我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか 
目玉作品は登場!
最近よく見かけるひな壇も設置されて近づいてもよし、少し離れてひな壇から見るもよしとなっています。
≪我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか≫(タイトル長い!)は相当大きい作品なので、今回このひな壇は有効でした。
左横には、本作品の解説が図解式で行われているので、こちらを読んでから見落とした部分を再度よく見ると自分では気付かなかった点が見えてきます。
ゴーギャンはこの作品を苦境の中、自身の感情を全てぶつけるようにこの作品を描きました。
まさに、渾身の一作。人間の一生を見ているようです。

第6章 タヒチからマルキーズ諸島へ
ここで、素晴らしい木彫作品が2点。戦争と平和シリーズの「戦争」、「平和」1901年(ボストン美術館蔵)です。
前半の木彫とこれら戦争と平和シリーズが大作を除けばもっとも印象深い。ここでもゴーギャンが繰り返し使用するモチーフが使われています。


結論から申し上げると目玉は≪我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか≫のみかもしれません。
国内のゴーギャン作品は既に見ているものが多く、初期の作品を中心にボストン所蔵のものが目新しいですが、油彩としてはいまひとつ。
昨年の名古屋市美で開催された「モネ展」に近い構成でした。あちらは、マルモッタン美術館の「印象-日の出」が目玉で、他は国内所蔵作品でした。

大作以外ではボストン美術館の木彫作品が良かったです。

残念ながらやや絵画作品が物足りず、画業を振り返るには苦しい気がしました。構成や展示方法は良かったので、予算の壁があったのでしょう。
岐阜県立美術館所蔵の版画作品ばかりが目立っていたようにも思います。
東京展の「ゴーギャン展」公式HPを見ると、こちらはこの他にも各国美術館からゴーギャンの名作を借り出しているようなので、東京展に期待しましょう。

名古屋ボストン美術館ではゴーギャン展と同時開催で「ノリタケデザイン100年の歴史」を開催しています。「ゴーギャン展」のチケットで追加料金なしで鑑賞可能と大変お得。
私はむしろこちらの「ノリタケデザイン100年の歴史」の方に感動してしまいました。過去見た洋食器系展覧会の中で、昨年のハマヤキ並みかそれ以上にヒットでした。
こちらの詳細はまた別途。

*6月21日まで開催中。

「ヤノベケンジ-ウルトラ」展 豊田市美術館

ウルトラ

豊田市美術館で「ヤノベケンジ-ウルトラ」展を見て来ました。
衝撃の「キンダガルテン」展から4年。
豊田市美にヤノベさんが新作「ウルトラ-黒い太陽」をひっさげて戻って来たのです。

本展では、ヤノベケンジの世界を象徴する<サヴァイヴァル>、<赤い森>、<再生>に焦点を絞り、90年代から近年の主要な作品群、制作ドキュメントやドローイング、模型、そして「トらやんの大冒険」の絵本原画も加え、"未来の廃墟"を出発点として《ウルトラ―黒い太陽》へと至る軌跡の旅をご紹介します。
豊田市美術館HPより。
ヤノベケンジ公式HPはこちら

もう、まどろっこしい前振りなしでいきなり核心に入ります。
「ウルトラ-黒い太陽」を最初見た時、巨大なフジツボ!と思った。もしくは、巨大突起付ヘルメット。
でも、係の方に伺ったらヤノベ氏は種子をイメージして制作したらしい。
再生の象徴としての種子なのだ。
サヴァイヴァル→赤い森→再生への流れの中でひとつの通過点になる作品に違いない。
黒い太陽は水面に設置されている。円形の鉄枠に水が張ってある。
左奥には美術館に似つかわしくない電気装置がいくつか並んでいる。
「ウルトラ-黒い太陽」(以下黒い太陽と略す)は-1日に3回のみ稼動する。
私は11時半開始の時間帯で見た。
不確かな記憶(なぜか美術館HPに稼働時間が記載されていない)によると。あとの2回は13時半と15時半だったと思うけれど、行かれる前に確認した方が良いです。

開始5分前になると警備員の方の数が2名に増え、ペースメーカーは付けていないか、携帯電話の電源を切るようにと確認される。さらに、電気技師のような方が1名電気装置にスタンバイ。
いよいよ始まるのだ。
警備の方からはできるだけ座って見るようにと指導があり、何だかものものしい雰囲気。
一体、何が始まるの~?
期待に胸が高鳴る。

11時半きっかりに、アナウンスが始まった。まずは前述の注意事項が再度繰り返される。それが終わるとゴォ~という効果音がなり、さぁ始まると思いきや始まらない。
あれれ?
件の技師の方が出口に向かって来た。
「すいません、ちょっとお待ちください・・・。」とどこかあせった様子で展示室から出て行ってしまう。
どうも機械の調子が悪いらしい。
美術館の学芸員の方々3名を引き連れて技師が戻る。
これで今日は中止になったら、はるばる東京から来た私はどうすればいいの~?

しかし、ヤノベケンジもとい黒い太陽は復活した。
2回目のトライ開始。
効果音の後、周囲を照らしていたスポット照明が消える。最初はこの照明が自動的に切れなかったので、緊急停止装置が働いたよう。
照明が消えたと思ったら、その後はもう何が起きたか分からないというか、驚きのあまり思い出せない。
「キャ~」という自分の悲鳴だけは記憶していて、とにかく何かにものすごく驚いた。多分音に驚いたんだと思う。
次の瞬間、黒い太陽はピンクの光線を四方に発していた。
黒い太陽というより、「ピンクの稲妻」の方がタイトルに相応しいように思うけど。
時間にしたら、1分も稼動していないのではないだろうか。
その間私はぼんやりと美しい光線を見つめていた。

黒い太陽が動きを止めた時、思わず拍手。動いてくれて本当に良かった。
仕掛けは、テスラコイル(人工稲妻発生装置)らしいが、機械音痴の私にはよく分かりません。強烈な電磁波を発するので、ペースメーカーはもとより携帯も電源を入れておくと壊れてしまう可能性があるのだそうです。要注意。

この他の作品は豊田市美の所蔵作品や他美術館所蔵品をお借りしての展示内容。
過去に見たことがあるものが多かった。
初見だったのはヤノベさんの作品製作ドローイングや絵本「トらやんの大冒険」の原画などなど。
さすがに絵もお上手で、あトらやん系の大掛かりなロボットやら今回の黒い太陽のような装置系を作るだけではなかった。当たり前と言えば当たり前だけど、それが新鮮だった。

「ファンタスマゴリア」2007年の太陽モチーフのシャンデリア風オブジェも美しい。
ヤノベさんの作品に美しいという形容はちょっと違和感を感じるけれど、でも綺麗だった。

観客みんなが楽しめて参加できる「トらやんの黒い森に、太陽を見つけよう!」は楽しい。黒くクレヨンで塗りつぶされた壁面を消しゴムで消して、下に描かれている太陽を見せていこうというワークショップ。もちろん参加しましたが、異常に手は疲れるけど、面白かった。

なお、今回の図録は限定600部発売。まだ完成していないので、どんな内容なのかはわかりませんが、送料込みで920円だったので予約して来ました。

同時開催の常設展「しんりょく!」では新収蔵品を中心とした内容で、速水御舟の作品を新たに何点か購入してたのが印象的です。

*6月21日(日)まで開催中です。

伊藤 存 「四月パカ」 タカ・イシイギャラリー

タカ・イシイギャラリーにて、伊藤 存 「四月パカ」を見て来ました。

伊藤存の作品、やっと複数見ることができたというじんわりした喜びがわく。
何しろ、2006年に開催された国立国際美術館「HYPERLINK "javascript:;"三つの個展:伊藤存×今村源×須田悦弘」を見逃したのは大きかった。
これは、私の好きな須田さんが参加されていたので、絶対行こうと思っていたのに諦めたのだ。

今回の個展ではこれまで同様、布に刺繍をした最新作で構成されています。

キャンバス役をしている布の色と刺繍の色糸の組み合わせ。
しかし、色よりももっと注目すべきは刺繍されている線、家庭科用語で言えば運針のようなラインステッチの方。
ステッチの長さ(作家さんご本人はストロークという言葉を使用している)や重なり具合、バランスむしろドローイング作品風である。
作家さんご本人による本展へのコメントはこちら

面白いのは、布に針を刺した後が沢山残っていること。
これって、制作過程の中での試行錯誤の結果なのか、はたまたこの穴も模様としてアートを構成しているのか?

見ていると、何となくぞわぞわ、むずむずっとしてくる作品たち。
やっぱり結構好きだな、こういうの。
7月18日からは東京都庭園美術館での企画展にも参加するので、こちらも楽しみです。

*5月16日(土)まで開催中。定休日:日・月・祝祭日 5月3日~6日は休廊。
東京都江東区清澄1-3-2-5F
火曜日 - 土曜日 / 12:00 - 19:00

「東京芸大 SPRINGBOARD 2009」 上野駅BREAKステーションギャラリー

はろるど・わーど」さんのブログで知った「東京芸大 SPRINGBOARD 2009」を見に、上野駅まで行って来た。
本当は、日曜の上野DAYに寄るつもりが、酒呑童子や又兵衛に気を取られ、帰る頃にはすっかり頭の中から消えていて、気が付けば最終日の23日木曜日。
幸いにも23時まで開いているので、会社帰りにふらふらと滑り込むことができた。

Part1、Part2と2回に分けて作品紹介があったようだが、今回見ることができたのはPart2のみ。
Part1のみに展示されていた森靖(もり おさむ)氏の彫刻「龍のから騒ぎ」を見逃したのは痛い。

Part2では8名の若き芸大卒業生たちの作品が展示されていた。
圧倒的に素晴らしかったのは、小島花菜子「お湯」。
はっきり言ってしまうと、この作品を見たさに上野に行ったようなもの。
和紙にエンビツで描いたモノクロ作品。エンビツと和紙の間が毛羽立っていて、絵肌的にも面白いけれど、やかんの注ぎ口を敢えて鑑賞者と反対側にして描いたところ、キャンバスを縦に3つに分割してやかんから湯気が立ち上る様子が描かれているところが個性的。
もちろん、絵は上手いのだけれど、それだけではないって所が良い。
遠くから見ると、エンピツ作品には見えない。

そしてもう一人の注目作家は岩井絵理さん。
この方は、神保町の「本と街の案内所」でミニ個展が4/15まで開催されていた。
こちらも駆け込みで行って来たのだが、彼女の作品、センス、才能には驚嘆するばかり。
同じ感想は私だけでなく、居合わせた他のお客さんも同様だった。
上野のBreakに展示されていた作品は1点のみ。

この作品、神保町では「本の街の音」シリーズ全作品が完全な形で公開されていた。
詳細はこちら

神保町の古い建物33棟を選び、その建物をイメージした曲を16人の同大音楽学部の学生に作ってもらった。その五線譜をもとに建物を描く。キャンパスは、古紙を交ぜて和紙を作る「浅草紙」という技法を用い、古本(この古本も音楽に関する各国の古本を神保町で集めた!)を原料に岩井さんが漉いた。

33棟の建物を五線譜で描いた作品は番号がひとつひとつ付されている。
近くにボタンがあって、作品番号を押すと、目の前にある五線譜の曲が会場内に流れるしくみ。
まさに視覚芸術と聴覚芸術が自身の中に同時に取り込まれるのだ。
多分私は8曲は聞いたけれど、時間がなく全曲聴けなかったのが残念。
ピアノ曲は、耳に心地よくそれぞれの建物にもマッチしている気がした。
残念ながら上野では建物をイメージした曲を聴くことはできない。

たまたま行った時間に作家の岩井さんがいらっしゃって、ご本人から直接作品に関してのご説明を伺えたのもラッキーだった。

作品とは関係ないけれど、音楽を流すのに使用していたHarmanのスピーカーデザインが試験管みたいで、センス抜群。しかも音が良い。思わずこのスピーカーが欲しいと思った。
あのスピーカーも岩井さんセレクトなんだろうか。・・・と思った時には、岩井さんは帰られた後。


岩井さんも神保町が大好きだったことが「本の街の音」制作のきっかけになったそうだが、同じく神保町大好きな私にとってこの作品は記憶に残るものとなった。

2人の若い作家さんの今後の活動をとても楽しみにしている。

*展覧会は既に終了しています。

「ジェラティン展」 小山登美夫ギャラリー

小山登美夫ギャラリー(Tomio Koyama gallery「ジェラティン展」に行って来ました。

前回の山本桂輔も凄かったけれど、今回は更に衝撃的。

いつもと同じつもりで入って行ったら、今回は奥の広い展示空間が壁で閉ざされている。
あれ?今回は作品が少ないのか、次回の準備中?と思いきや、全く違ってました。
狭い展示室に入ったら、木製のはしごがあり、その先は壁に開いた穴。
床にはスリッパ。
ちょうどその時ギャラリーには私ひとり。
靴を脱いでスリッパ履いてはしごを登る。
そして、穴を覗いた時、「はぁ???」という驚きが・・・。
何と穴の向こうには巨大な石庭が。
ギャラリー内に龍安寺石庭ですか~。

驚いたけど、ベニヤでできた屋台から見る石庭も良いもの。
すっかりリラックスしてしまいました。

その時は分かりませんでしたが、本当の作品では石の代わりを人間がするようです。
私が行った時は、布製?クッション系のが代役してました。

本来の作品画像と様子はギャラリーのブログでよ~く分かります。

ジェラティンはオーストリアのアーティスト集団。4人の作家(アリ・ヤンカ、フローリアン・ライター、トビアス・ウルバン、ウォルフガング・ガントナー)から成るユニットで、1978年に参加したサマーキャンプで初めて出会い、作品を制作、発表し続けている。今回が日本初個展となる。
ギャラリーホームページより

こんなの持って来ちゃうんだから、小山登美男ギャラリーって凄い。

*5月9日(土)まで開催中。休廊日 :日・月曜日、祝日
会期中の土曜日(4/25・5/2・5/9)16:00から19:00に、インスタレーションの再現を予定
東京都江東区清澄1-3-2-7F (丸八倉庫ビル)
• 開廊時間  12:00−19:00 (火−土曜日)

「花鳥」 東京国立博物館東洋館8室

近頃、東博の東洋館8室が気に入っている。
昨日アップした「法帖と帖学派」特集の隣には中国絵画のコーナーがあって、書と併せて東博訪問楽しみのひとつになっている。

今回は宋から中華民国の花鳥画を集めて展示し、宮廷画家、在野の職業画家、文人画家たちによる多様な中国花鳥画の世界を展覧している。
作品の画像の一部と展示作品リストはこちら

重文の「四季花鳥図(春)」呂紀筆(明時代)はこの季節らしい作品ですが、もう1枚重文が。
「蓮池水禽図」伝顧徳謙筆(南宋時代)。
現存する大幅の蓮池水禽図の最優品だということは、この記事を書くにあたって今知った。
どおりで。
何しろ、蓮の葉の虫食い部分までしっかり描かれていて、かの伊藤若冲も、もしかしたらこの作品、もしくはこの作品に類した作品を見たのかもなどと想像は膨らむ。

あと2枚、とびきりのお気に入りがあった。
・「藻魚図」伝景初筆(明時代) 重要美術品
これは構図がとても面白い。左上の小花のような淡い水色の模様がアクセントになっている。
左下に海藻、蟹や魚たちが上に下に泳いでいる。楽しい作品で、静嘉堂で見た渡辺崋山の「遊魚図」を思い出したけれど、こちらは更にデザイン的な気がする。

・「双家鴨図扇面」 うん冰筆 清時代
これは名品という点より、あまりにもラブリーだった。鴨の顔が可愛すぎ。

名品と言えばあと2点
・「芦鵜図」 林良筆 明時代
林良の名は、中国絵画に関心を持つようになってから、よく見かけるので私にも記憶がある。
芦を描く筆さばきはさすが。下草の雑さも計算されている。

・「花卉図」 趙之謙筆 清時代 4幅
中国近代画を代表する作品のひとつ。南国風の題材を扱っていて、それぞれ、サボテンや棕櫚などの植物が明るい色使いを使って描かれている。明らかに近代の香がした。

東洋館は2009年6月8日(月)より当分の間、耐震補強工事のため休館してしまうのが寂しい。休館中は、2009年8月4日(火)より表慶館などで代替の展示がされるようだけれど、確実に規模は縮小。
アジアの仏像や中国、韓国陶磁器も好きなので、リニューアルオープンが待ち遠しい。


ところで、今回も東博の常設は凄かった。
この後行った本館では、特集陳列「酒呑童子」が行われていて、「酒呑童子」の物語を描いた様々な作品を比較する試みはとても見ごたえがあった。
「酒呑童子絵扇面」室町・安土桃山時代の36面全部は、登場人物の様子や物語の内容が面白くて紙芝居を見ているよう。
異なる絵師による同じ場面の作品では、探幽のものが私の好み(除く扇面⇒これは抜群)で、
自分の好みの作風まで再認識してしまった。
この特集展示だけで、30分以上かけた気がする。

何も知らずに本館に行ったので、危うくこんな面白い特集を見逃す所だった。危ない危ない。
帰宅したら、「弐代目・青い日記帳」のTakさんが記事にされていて「これ、今見たところ~」と復習。
岩佐又兵衛「伊勢物語 鳥の子図」(4/19までの公開)も出ていたけれど、これもぎりぎりセーフで間に合って、ほっとした。

*「花鳥」は5月10日までの展示です。特集陳列「酒呑童子」は4月19日に終了しています。

「法帖と帖学派」 台東区立書道博物館&東京国立博物館

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台東区立書道博物館&東京国立博物館との共同企画「法帖と帖学派」展に行って来ました。
先に訪れたのは書道博物館。
こちらには最近、展示内容が変わる度に足を運んでいます。

何より素晴らしいのは、書の初心者にその楽しみ方、見方を教えてくれる博物館であるということ。
こちらの展示作品には全てタイトルと作者、時代の他に、「作品解説」(これは書かれている内容だったり、作者についての説明だったりいろいろ)ともうひとつ「みどころ」が付されています。
この作品解説とみどころが程良い長さで、長すぎもせず短すぎもせず、とても分かりやすい。

多分私は今回で3回か4回目の訪問になりますが、だんだんみどころがつかめて来たような気がします。錯覚かもしれませんが。

作品解説+みどころ案内のほかに、適宜ワンポイント解説が出ています。
例えば、今回であれば「法帖」(ほうじょう)の意味について、次のような説明がありました。
肉筆の作品を写し取り、石や木に刻して拓本を取ったもの。「書の手本」という意味から、石碑などの拓本も含まれることがある。法帖に対して法書と呼ばれる肉筆作品は当然一点もの。よって上層階級の人間しか所蔵できなかったため、法帖による複製は手本として尊ばれた。法書が改ざんされたり、失われた場合は、当然高い資料的価値をもつ。

今回、書道博物館での一推しは「淳化閣帖」-潘氏本-と同じく「淳化閣帖」-粛府本-です。
ド素人の私でもこの2つが素晴らしい書、作品であることが分かります。
「淳化閣帖」は北宋時代に制作された現存最古の書の名品集。全十巻。これを様々な人々が複製し、いくつか複製本が制作されています。両者はその複製本のうちの2つですが、複製にも出来不出来があります。
今回出ていた潘氏本(潘氏が家蔵の「淳化閣帖」原刻本をもとにしたもの)は、優れた出来栄えで名高いもの。

見所としては線の強さ、柔らかさだけでなくバランスや、墨色と実にいろいろ。殊に墨色まで、見どころ対象になっていることは、書道博物館で初めて知ったことです。

他には「跋」と言って、書を見た人たちの感想などが多く書かれているものほど評価が高く、更に著名な書家がその感想を書いている場合、更に価値は高まります。

とこんなことを書道博物館でお勉強した後、東博の東洋館第8室の書のコーナーへ行くと楽しめます。
こちらは、余分な解説はまずありません。
作品名と作者、時代、所蔵先のみ。
ですが、見方は書道博物館で習ったものと同じです。

東博の展示作品では、「群玉堂米帖」(米芾筆)が素晴らしかったです。
また、こちらには「淳化閣帖」-呉廷旧蔵本-が出展されていましたが、書道博物館で見た「淳化閣帖」潘氏本の方が墨色、線が美しく出ていたと思いました。

法帖を学んで一家を成した「帖学派」たちの作例から、古典に対する様々な想いを感じるまでには至りませんでしたが、素晴らしい書を見ていると、自分の書く文字も変わってくるような気がします。

*4月26日(日)まで開催中。

「芸大コレクション展 春の名品選(前期)」 東京藝術大学美術館

昨日アップした「尼門跡寺院の世界」と同じ会場の地下2階展示室で「芸大コレクション展」を見ました。
こちらと尼門跡を両方ご覧になられる方がほとんどだと思いますが、2つを続けて拝見すると相当に疲労します。私はぶっ通しで見て、へろへろになりました。

さて、芸大コレクション。名品選というタイトルは伊達についてる訳じゃない。

展示はジャンルごとに
1.古美術
2.日本画(近代)
3.西洋画
4.彫刻
5.特集陳列②平櫛田中コレクションより-昭和初期の彫刻を中心に
6.特集陳列①工芸下図の世界 ⇒ これかなりマニアックです。好きな方ははまる。

以下印象に残った作品。
・「小野雪見御幸絵巻」 鎌倉時代 重要文化財
「こんな絵巻あったんですか」的な驚き。面白そうなお話だということが絵で、私の好きな画風、からも分かる。
会期中、5月12日、6月2日に場面替えがあるそうなので、後期も必ず出かけたい。

・「鳳凰図屏風」 狩野常信 江戸時代 *前期のみ展示
沢山の鳳凰が思い思いの姿をしている。ちょっと珍しい、大らかな感じの屏風絵。大作です。

・「寡婦と孤児」 菱田春草 1895年 *前期のみ展示
これが見たかった。春草の大画面。書きかけみたいに見える背景に子供を抱いた母のうつろな目が際立っている。

・「草紙洗小町」 上村松園 1937年
絵を見た時、なぜ肝心の草紙に文字が描かれていないのか疑問で、きっと理由があるに違いないと思い早速帰って調べてみた。タイトルの「草紙洗小町」は能の演目のひとつで、小町が水で草紙を洗ったあとの情景が描かれていたのだと知った。詳細はWikipediaをご覧ください。

・「靴屋の親爺」 原田直次郎 1886年 重要文化財
やっと見たかった1枚に出会えた。いろんな所で印刷されているのは見たけれど、多分本物は初めて。力のこもった作品。とても江戸時代から20年もたたない頃の作品とは思えない。

・「ムードンの夕暮」 岡田三郎助 1899年
紫色の夕暮の空と宵闇が、とても心に残った。

・「或日の少女」 橋本平八 1934年
冒頭入口に展示されている木彫。彫り後を残す技法。祈りを捧げる少女の姿が女神像にも見える。

・「ミスターボース」 藤川勇造 1932年
これはあの新宿中村屋と縁の深かったラス・ビハリ・ボースではあるまいか。きっとそうに違いない。
ちょうど大河小説「安曇野」全巻を漸く読み終わる所で、タイムリーだった。

・「喫煙具」 土屋安親 江戸時代
江戸期の工芸品。茄子はたばこ入れなのか?ものすごい技術で煙草盆まで技が凝らされていた。

後期には、池大雅の「富士十二景図」(3幅)や菱田春草の「水鏡」が出て来ます。

*前期展示は5月17日まで。後期は5月19日~6月14日まで。
前後期で一部の作品の入替があります。

「皇女たちの信仰と御所文化 尼門跡寺院の世界」 東京芸術大学美術館

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「皇女たちの信仰と御所文化 尼門跡寺院の世界」展に行って来ました。
事前予習なしに入った展覧会。
そもそも尼門跡(あまもんぜき)とは、皇族・公家など、高貴な女性の入寺によって営まれてきた独特な品格を 持つ寺院で、現在京都・奈良に13か所(以下)を数えるのみ。しかも大半が一般非公開となっており、私も含め、その存在自体を知らない日本人も多いのです。
当然、そこに伝わる寺宝が公開される機会もなく、ひっそりとベールに包まれた小世界であったと言えるでしょう。
本展では、13の尼門跡、大聖寺、宝鏡寺、曇華院、光照院、円照寺、林丘寺、霊鑑寺、中宮寺、法華寺、三時知恩寺、 慈受院、宝慈院、本光院に関連する作品、約180点でその世界を紹介します。

で、行って来たわけですが最初から最後まで、ずっと疑問になっていたのは「なぜ、皇女たちは生まれながらにして尼門跡入りが決まっていたのか?」です。
冒頭で、皇女として生まれてから尼門跡入りするまでの過程、10歳(?)で前髪を切り揃えるとか、
が年齢とともに説明されていました。
どう見ても生まれた時から、尼門跡入りが決まっているとしか思えませんが、なぜそうなるのかが分からない。図録を拾い読みしたのですが、理由の説明は見つからず。
帰宅して、ネットで検索したらやっと私の疑問にひとつの回答を提示して下さっているブログ「千尋の美術散歩」が見つかりましたので、ぜひご関心ある方はクリックを。

どうやら、天皇といえども財政は苦しく一般人で言うところの里子(あまりに失礼な例えですが)に出す先が尼門跡であったようです。
なるほど~。だから親側の天皇家との交流もあり下賜されたお人形やら、お道具類が沢山出てくるわけですね。
こうして、高貴な身分の女性たちを受け入れた尼門跡は、生け花や文学、香道、当時の文化的教養と信仰を身につける場として今日まで続いていることを本展ではとっくりと教えてくれます。

ところで、この尼門跡の文化的価値を見出したのは日本人ではなくコロンピア大学名誉教授のバーバラ・ルーシュさん。きっかけは、無外如大禅尼(京都・景愛寺開基)の頂相彫刻と出合ったことでした。景愛寺は応仁の乱で廃絶、その寺宝を受け継いだのが景愛寺支院であった宝慈院です。
その出会いがなかったら、今回の展覧会は生まれませんでした。その道のりは以下産経ニュースをご覧ください。
http://sankei.jp.msn.com/culture/imperial/090410/imp0904101514015-n1.htm

いつもでしたら、印象に残った作品などをつらつらと挙げるのですが、本展はそれが非常に難しい。
作品名などむしろどうでもいいような気がします。
展覧会全体が一つの作品、文化そのものですから、とくと全部をご覧いただくしかありません。

と言いつつ、衝撃的だったのは尼僧の血で書いたお経や、爪でかたどった仏三尊、尼僧の髪の毛でを使った書、究極は手の皮膚の上に書いたお経(これは写真のみ)。何やら、すさまじいまでの信仰心を感じてしまいました。

その一方で幼くして両親と離れ離れになってしまった尼門跡入りした女性たちの遊び道具は華麗で知的で雅です。
今で言うぬいぐるみ「動物」などは、リアルでいてしかもかわいい。
変わりものでは、明治男性版人生ゲームの「男子一代出世競べ双六」(5/10まで展示)。
尋常小学校をスタートとして、商工官農4コースを選び、ゴールは全て安楽隠居。これを作成したのが
大知文秀尼というから驚きます。制作目的は何だったのでしょうか?

御所人形もかつて見たことがないような珍しい物「びんぷく立姿」(5/4まで展示)がそろっています。

地階の展示室の中宮寺の密教法会の再現、法華寺雛会式の再現、更にはキャノンの高精細プリントを使用して霊鑑寺上段の間を再現など、出来うる限り、尼門跡の儀式やお寺の様子などを伝えます。
霊鑑寺の襖絵は本物も2つ出展されていましたが、「官女唐子襖図」は大勢の子どもたちと遊ぶ官女が描かれ、尼門跡にふさわしい襖絵でした。

最後にご紹介する見どころは、中宮寺「天寿国繍帳裂」などの裂、布類。
同じく中宮寺蔵の「藍鼠地子犬雪輪文様小袖裂幡」(江戸時代・5/10まで展示)は、キュートな子犬が描かれたとても珍しいもの。
他にも、明治以後の神仏分離政策で皇女の門跡入りを禁じられ、財政的に厳しくなった尼門跡を支援した昭憲皇太后大礼服(5/31まで展示)などなど沢山の珍しい布モノが出ています。

作品リストに掲載されている作品は全部で195点。リストと展示順がバラバラなのでちょっと見づらいですが、いっそ作品リストなどうっちゃって、会場の解説や音声ガイドだけで見た方が良いかもしれません。

*6月14日(日)まで開催中です。本展覧会の巡回はありませんのでお見逃しなく。
会期中、かなりの作品に展示替えがありますので、ご注意ください。

「月岡芳年名品展-新撰東錦絵と竪二枚続-」 UKIYO-e TOKYO はじめての美術館26

前回からの続き。
専修大学を後にし、向かったのは明治神宮前の太田記念美術館。こちらで「ジャパニーズ・ビューティ」鑑賞と藤澤紫先生の土曜講座を拝聴した後、豊洲のららぽーと内にあるUKIYO-e TOKYO(平木浮世絵美術館)へ向かった。

こちらも豊洲という場所のせいもあり、なかなか足が向かない美術館のひとつだったけれど、芳年名品展とあれば駆けつけるしかないでしょう。
ということで、漸く初訪問。

平木浮世絵美術館と言えば、リッカーミシンの創業者である平木信二氏の個人コレクションを基礎に「リッカー美術館」として当初スタート。今の豊洲に移転したのは2006年10月とまだ最近のこと。

さて、今回は月岡芳年コレクションの中から「新撰東錦絵と竪ニ枚続」に焦点を絞り込んだ展示。
前回の専修大学の展覧会が広く浅くだったので、こちらは狭く深くとなかなかバランスが良く、専修の展示を見てからこちらを見ることができたので、順番的にはちょうど良かった。

「新撰東錦絵」シリーズも非常にハイレベルで素晴らしい作品が揃っていた。
でも、それらの感動を凌駕するほど、良かったのが「竪二枚続」シリーズ。
絵から張り付いて動けなくなりそうでした。
もちろん、中には有名かつ専修大学にも展示されていた「奥州安達がはらひとつ家の圖」など見たことのあるものも含まれていたが、素晴らしい作品は何度見ても飽きることがない。

今回良かったのは次の作品。
・「田舎源氏」 1885年
☆「文覚上人荒行」 1885年5月
☆「袴垂保輔鬼童丸術競圖」 1887年9月
☆「平維茂戸隠山鬼女退治之圖」 1887年11月
・「清玄堕落之圖」 1889年2月

などなど、でも本当は「竪二枚続」は全部好きだし良かった。
このシリーズと月百姿を画集か何かで出版してもらえないものだろうか。
月百姿はなぜか、海外版がある。芳年は海外受けしそう。
画風にどこか西洋ぽいところが感じられる。

次回展示も「芳年美人画・風俗三十二相」。これは千葉市美で確か全点見た記憶があるけれど、また見たいのでもちろん行きます。

展示数は全部で37点と少ないですが、作品のコンディションは良好で、芳年好き、浮世絵好きの方なら必見です。

*4月29日(水・祝日)まで開催中です。
平木浮世絵美術館 UKIYO-e TOKYO
東京都江東区豊洲2-4-9
アーバンドック ららぽーと豊洲
ISLANDS 1F
開館時間 11:00~18:00
(ご入館は17:30まで)
東京メトロ有楽町線 「豊洲駅」 2番/7番出口 徒歩5分

「月岡芳年展 描く」 専修大学図書館本館 研修室

本日は、浮世絵の日と勝手に決めた。
皮切りに、「弐代目・青い日記帳」のTakさんがブログで紹介されてから、とらさんogawamaさんなど著名なアートブロガーの方々が生田の専修大学入りをされている。
遅ればせながら、私も行って来ました。

今年は月岡芳年(大蘇芳年)が誕生してから170年の節目。本展は、専修大学創立130周年を記念して同校文学部教授、学生さんによる企画展。
「雪月花」「風俗三十二相」「新形三十六怪撰」、「月百姿」」などの代表作を中心に約80点で芳年の作品を展観します。

会場は専修大学生田校舎9号館3階にある図書館本館の研修室。
展覧会HPで構内の地図を確認したら、9号館前まで行くバスを除いては、どのバス停からも距離があるなと覚悟していたけれど、行ってみたらすんなり到着できて、思ったより近かった。
さほど広くない研修室に80点も作品が展示されているようには思えなかったが、初見の作品が結構あって、意外に充実。前評判通りの内容でした。

チラシには後期の代表作を中心にと記載してあったけれど、この展覧会では芳年の初期から晩年までに発表した様々な作品シリーズを、相当数網羅してあったことが私には一番嬉しかった。
「月百姿」や「新撰東錦絵」「風俗三十二相」などはわりと馴染みがあるけれど、初めて知ったシリーズもの、たとえば「英名二十八衆句」「大日本名将鑑」「機嫌競」などなど、特に初期の作品が新鮮であった。
展示順は年代ごとではなく、シリーズ単位で各シリーズ2~3枚、多い物で9枚「見立多以尽」などバランスが良い。

全部を見終わる頃には、芳年が「月百姿」を描くまでの画業を振り返ることができた。

やはり、初期の作品は師匠であった歌川国芳の影響が特に色濃く出ていたし、以前から思っていたけれど、兄弟弟子の河鍋暁斎の作品と着物の線の描き方がとても似ている。

個人的には「月百姿」も含め、どうしても円熟されてきた後期の作品「雪月花」が好みだけれど、初期の作品でも「通俗西遊記」シリーズ「混世魔王」や「和漢百物語」の「清姫」なども良かった。

芳年は美人絵より武者絵がかっこいい。本当に毎度のことながら彼の描く武者には惚れ惚れする。

「大日本名将鑑」は、神武天皇以外の作品もページをめくりたくなってしまう。
しかも、あの場所だとめくりたい誘惑に余計駆られてしまった私です。

この後、豊洲のUKIYO-e TOKYOで開催中の「月岡芳年名品展」に続きます。

*本展は日曜は休館。来週の金曜24日で終了します。

「第20回 日本陶芸展」 大丸ミュージアム・東京

大丸ミュージアム・東京で開催中の「第20回 日本陶芸展」へ行って来ました。

日本陶芸展は今年度でちょうど20回を迎える歴史ある展覧会。
私はこれまで一度も拝見したことはありませんでしたが、東近美の工芸館の陶芸展示が最近好きになって来たので、今回初めて行ってみることにしました。
元々、実力日本一の陶芸作家を選定することをコンセプトに1971年に始まり、2年に一度開催されています。
そして今回は、988点の公募作品から120点が選ばれました。本展ではこれに招待作品30点を加え、合計150点を一堂に展観します。
受賞作品の画像についてはこちらをご覧ください。

受賞作品の中で私の心を一番とらえたのは、愛知県高浜市在住の準大賞・日本陶芸展賞「銀の痕跡」(自由造形)森 克徳(53)さんの作品でした。
愛知県高浜市は瓦作りで有名です。その瓦の製陶技術を使用して、受賞作「銀の痕跡」は制作されたそうです。
映像では分かりにくいのですが、表面のやや鈍い、でも、虹色のような輝きが今も目に焼き付いています。ちょっと宇宙ぽい広がりさえ感じました。自由造形=まさに彫刻です。

大賞・桂宮賜杯「黒彩ノ器」(実用)今泉 毅(30)の作品は、一見すると、何ということのない単なる黒い器なのですが、その陶器の質感、シンプルなデザインは、作家曰く「黒楽ちゃわん」のイメージにヒントを得たというのが分かる気がしました。

受賞作以外に、工芸館でも何度か作品を見たことがある招待作家30名の力作あり、残念ながら受賞には至らなかったものの入選を果たした約120点は大変見ごたえがあります。

作品は、招待作家作品、伝統部門、自由造形部門、実用部門とに分かれて展示されています。
それぞれに良さがありますが、一番面白かったのは自由造形部門でした。
若い作家さんも多いのかもしれませんが、様々な趣向と発想を陶芸彫刻で表現することの素晴らしさと苦労を改めて感じることができます。

日頃古美術に目が行きがちな自分ですが、現代作家さんも伝統工芸、実用分野、自由造形それぞれに技術の研鑽と新しい表現へ挑戦する意欲を感じました。

なお、大丸ミュージアム・東京では、東京店だけで使用可能な「大丸TOKYOミュージアムパス」(詳細下記)が発売されていました。
■有効期間 2009年3月5日(木)→2010年2月28日(日)
■販売価格 1,500円<税込> 
■販売期間 2009年3月5日(木)→2009年5月18日(月)
■販売場所 東京店10階ミュージアム入場券売場(展覧会開催中のみ)、1階案内所

今回の日本陶芸展入場料は一般800円です。ただ、昨年度に比べると同館での今後の展覧会ラインナップがはっきりしないため、お値打ちなのかは微妙なところ。
ちなみに私は名古屋の松坂屋美術館のMAMパスカードを購入しているため、大丸ミュージアムは無料入場可能です。

*4月20日まで開催中です。

「万華鏡の視覚」 森美術館

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森美術館で開催中の「万華鏡の視覚」展に行って来ました。

今回は、オーストリア・ウィーンのティッセン・ボルミネッサ現代美術財団が所蔵する作品で構成され「アートはコミュニケーションツール」がテーマ。
光、色、音、言語、概念を視覚、聴覚、触覚など、さまざまな感覚を刺激するアートで体験できます。

ティッセン・ボルミネッサ現代美術財団は、優れた現代美術の所蔵で名高いとのことですが、初耳。
本展のプレス向け内覧会に行かれた方のブログによれば、ハプスブルク家の末裔が、ジャネット・カーディフの「To Touch」欲しさに立ち上げた財団らしい。
個人には売れないと作家に言われ、財団を立ち上げたそうだが、その時点で普通ではないです。

と、そんなこととは露知らず、作品を鑑賞したのですが、数ある作品の中で、もっとも面白く、楽しめ、関心したのは上記の「To Touch」でした。
ほぼ真っ暗な部屋の中央に木の机だけが置かれています。
鑑賞のポイントは机の端から端、真ん中など全部を触ってみること。
できれば、ちょっとタイミングをずらして触っても良いのですが、一気に触りまくっても、それはそれで面白い。
室内には私ひとりしかいなかったので、5分以上「To Touch」に遊んでもらいました。
まさに、触覚+聴覚の融合といいますか掛け合わせを体験できる作品です。

イェッペ・ハインは割と最近SCAI THE BATHHOUSEの個展を見ましたが、今回の作品は「映す物体」。
が、これは大きな誤算が。
夜間に行ったのがいけなかったのでしょうが、中のモーターが充電切れか何かで、ピクリとも動かないただの銀の球。
どうも、本来は近くにいる人間に反応してか予期せぬ動きをするそうです。
動かなかったら、面白さは半減以下。
係の方によれば閉館してからでないと、モーターの入れ替えができないとのことでした。

他にも出品作家は名だたるアーティストがずらり。
トレイシー・エミン、ジム・ランビー、オラファー・エリアソン、スゥ・ドーホーが知った名前。
この中では、オラファー・エリアソンの作品「投影される君の歓迎」が、やっぱりきれい。鑑賞する側にスポットが当たり、光の変化を楽しめ自分も作品の一部になったような気がした。

原美術館で展覧会開催中(まだ行けてない!)ジム・ランビー「Zobop Gold」は、白、黒、金色のビニールテープで構成されているとは思えない室内の変化が楽しめる。

初めて知る作家さんの作品では、ロス・カルピンテロス「凍結された惨事の習作」はショッキング。
目を凝らしてじっくり眺めたけど、あれは本当によく住宅の塀に使用されるブロックそのものでしょうか?発砲スチロールってことはないですよね。
時間を切り取った、宙に浮く粉砕されたブロックのかけらは、妙に美しかったりするのでした。

マシュー・リッチの「家庭農園」は、祖母のリンゴ園がイギリス・ロンドンのヒースロー空港のために売買されたことがきっかけとなった作品。
壁、床の平面絵画のみで構成された一室で、作者が鑑賞者に伝えたいことが表現されています。
絵自体、何となく好きな感じで、なぜか妙に居心地よく、好きな作品でした。

あとは、LSDレメディーの噴水やら、ミラーボールがくるくる回ってたり、シャンデリアがモールス信号で点滅してたり、Y字型の鏡面+電球アートとか、派手なんですが何だかなぁって作品が多かったです。
映像作品ペーター・チェルカスキー「未知の世界」は長時間見たら、頭も目もおかしくなる、絶対に。

全体的な感想としては、難解な作品が多かった気がします。
特に日本語という独自の国語文化をもつ国民としては、言語面で理解できない作品もありました。

*7月5日まで開催中。

「平泉~みちのくの浄土~」 世田谷美術館

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世田谷美術館で開催中の「平泉~みちのくの浄土~」へ行って来ました。
珍しく私としたことが、出遅れて気が付けば会期終了まで残り1週間となってあせりました。

この日は夏日を記録する好天で、そのせいもあってか砧公園の人でも多かったのですが、世田谷美術館に入ってびっくり。
会場、相当混雑してます。あ~、やっぱりもっと早く行けば良かった。。。公開先に立たずです。

ぎゅうぎゅう、ずらずらと列が並ぶ場内を上手くすり抜け、きっちり作品は鑑賞することができました。

ブログ「はろるど・わーど」のはろるどさんも記事に書かれているように、本展の見所は、「第1章みちのくの古代・みちのくの仏たち」で展示されている東北地方の仏像と「第3章 輝きの浄土~中尊寺の至宝」で紹介されている金色堂内の仏像群および中尊寺経の3つに集約されていると申し上げても良いでしょう。

東北地方の仏像は、なかなか現地で見ようと思っても所蔵先が点在していて難しいもの。
今回は、黒石寺の四天王立像のうち持国天、広目天や、勝常寺の同じく持国天、広目天立象、岩手天台寺の聖観音菩薩立像、如来、伝吉祥天立像、岩手・浅井智福愛宕神社の毘沙門天立象などなど気づけば第1章は作品リストのほぼすべての作品にチェックが入ってました。
中央や西国の仏像とは異なり、東北地方の仏像はどこか異国風な表現を感じました。

同じく仏像では、今回のメインである中尊寺金堂西北壇上の仏像群。文字通り金キラでしたが、こちらは学生時代に東北地方を旅して以来の再会です。
あの頃は仏像に興味なかったよなぁと思い出に耽りつつ、拝見しましたが、私は勢至菩薩立像が好きです。

最後の中尊寺経。
こちらもかねてより見たかった国宝の金銀で経文を記す装飾経の名品中の名品。
奈良博でも装飾経はいくつも見ているけれど、やはり中尊寺経は素晴らしいの一言に尽きます。
見返しの絵と金字、銀字で使用されている金・銀の量、発色などを自身の鑑賞ポイントとしていますが、どれをとってもこれまで見て来た中でも最上位に属します。
美しい。華麗。溜息ものでした。
仏像ともども、図録で見なおしては惚れ惚れしてます。

更に「金光明最勝王経金字宝塔曼荼羅図」(国宝)も1巻のお経となる文字を使用して塔をかたどり、周囲には細かい浄土の様子が絵で表現され、こちらも大変見ごたえがあり、食い入るように見て来ました。平安後期のものでこれだけ状態が良いのは、めったと外に出さなかったのでしょう。

他には「第2章 仏像平泉~みちのくの中央・朝日差し夕日輝く~」の遺跡出土品、中でも「白磁水柱」文化庁蔵(重文)、かわらけ、烏帽子、さいころ等々、よくぞこんなものがと考古学的興味が掻き立てられました。
「訶梨帝母坐像」の素朴さ、「鉄樹」毛越寺蔵(重文)、これは平安後期のまさにアートを意識した彫刻ではないかと驚嘆しました。
造形的にも、現代アートとして展示されていたら平安のものだとは分からないのではないでしょうか。

2階の常設展として使用するスペースも今回は、特別展にあてられていましたが、その最初にあった仏像群にも驚かされます。
「思わず複製ですか?」と係の方にお尋ねしてしまった「騎師文殊菩薩半跏像」や「四眷族立像」(いずれも重文)など平安時代後期のものとは思えぬ鮮やかさ、あれは近代に補修されたのでしょうか?

最後は「第4章 祈りとまつり」で、今に伝わるお寺の行事や芸能を紹介。これはこれで、平泉文化を紹介する上で、重要なパートでした。

会場が狭いせいか、作品リストや章だて通りの展示がされておらず、全体の内容が理解しづらかったのは残念ですが、大量の作品群で展開された本展は私の想像をはるかに超えた素晴らしい内容でした。できることなら仙台市博物館で本展を拝見したかったですが、とりあえず貴重な作品を集めて公開していただいたことに感謝したいと思います。

*4月19日まで開催中です。
チケット売り場に、列ができていましたので時間に余裕をもっておでかけください。

「台湾の心 台湾の情 廖修平・江明賢二人展」 渋谷区立松濤美術館

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江明賢 《士林の蒋介石邸》1998年

松濤美術館で4月7日から始まった「台湾の心 台湾の情 廖修平・江明賢二人展」を見て来ました。
台湾人作家の二人展であるが、そもそも今を生きる台湾人アーティストを私はこれまで1人も知りませんでした。

今回の2名のアーティストプロフィールは美術館HPによると次の通り。
「台湾版画の父」といわれる廖修平<りょうしゅうへい>(1936~)は台北に生まれ、国立師範大学卒業後、東京教育大学、さらにパリ、ニューヨークなどで留学を重ね、1977年に再来日し、筑波大学で教鞭をとり、版画研究室創設に尽力。東京版画ビエンナーレ、サンパウロ国際版画展などの各種国際展で数々の賞を受賞しています。
もうひとり、台中生まれの江明賢<こうめいけん>(1942~)は台湾師範大学を卒業後、スペインなどに留学し、様々な西洋の美学、水彩の技法を伝統的水墨画の中に取り入れ、新たな水墨画の道を切り開きました。

本展では、両氏の作品を紹介するとともに、その作品を通して、戦後台湾美術の足跡を検証します。

版画と水墨画と技法は全く異なるため、全く受ける印象は異なります。
私の感性では、2階の展示室にあった廖修平の版画はモチーフに台湾らしさを感じましたが、ちょっとピンと来ませんでした。

一方地階展示室の江明賢の水墨画には感心しきり。個人的には大変素晴らしい作品だと感じました。「2009年4月は水墨画の月」と勝手に思っているのですが、その思い込みにピタリと合う内容です。
彼は台湾、台中の原風景を土台に、台湾各地の名所、主要建築を作品のモチーフとしています。
それらの作品を見ていると、台湾の風土がいつしか自分の中に芽生えてくる、目の前に浮かんで来ました。
歴史と今をつなげているような感じを受けます。

写真ではなく、水墨画、モノクロではなく着彩されているのですが、その色の使い方も江明賢オリジナリティあり。
墨の濃淡、時々画面の端に現れる木の枝の描き方。
彼の個性は作品のあちこちに見て取れます。

古美術の水墨画とは一味もふた味も違う、現代に生きる作家による水墨画作品は新鮮でした。
さすが、松濤美術館のセレクトは違う!
ぜひ、会場でご覧になってはいかがでしょうか。


ところで、松濤美術館は本展終了後の平成21年5月18日(月)~7月27日(月)の間、設備調査および展示替え期間につき、休館となります。
松濤美術館の2か月に及ぶ休館は寂しいです。

*5月17日(日)まで開催中。会期中一部作品の展示替えが行われます。
前期:4月7日~26日(日) 後期:4月28日(火)~5月17日(日)
いつも用意されている作品リストは、学芸員さんがご多忙とのことで、まだ作成されていませんでした。

「国立トレチャコフ美術館展 忘れえぬロシア」 Bunkamuraザ・ミュージアム

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「国立トレチャコフ美術館展 忘れえぬロシア」に行って来ました。
実は、この展覧会は今年私が楽しみに待っていたものの一つ。ロシア絵画にはなかなかお目にかかれる機会が少なく、イリヤ・レーピンの作品も出展されると知り、いそいそと向かった。

結論から言ってしまうと、すごくすごく良かった。
この展覧会は、郡山などにも巡回するようなので、時期を改めてもう1度行こうかと思うくらい。
印象に残った作品、ほぼ全部に近い。でも、図録は諦めました。やはり買うべきだったかなぁ。。。

第1章 抒情的リアリズムから社会的リアリズムへ
アレクセイ・ヴェネツィアーノフ 「干し草作り」 1820年代半ば
干し草の香がこちらまで漂って来そうな感じ。少年の表情がとても良い。

イワン・シーシキン 「木陰で休む家畜の群れ」 1864年
これをリアルと言わずして何とする。牛や羊の毛並みは本物のよう。しかも横向きの牛のすねた眼が何とも言えず、リアルであった。

ワシーリー・ペローフ 「眠るこどもたち」「鳥追い」 1870年
ワシーリー・ペローフは子供をよくモチーフにしていたそうだ。この「眠るこどもたち」も2人の子供がすやすやと寝息を立てていそうな雰囲気。指1本1本にも作者の神経が行き届いている。

第2章 日常の情景
ワシーリー・マクシモフ 「嫁入り道具の仕立て」 1866年
一見すると、若草物語の風景?と思わせるような食卓の様子と娘たちが並んでいる。ドレスが細部まで描かれ、フワフワ感や透明感まで感じた。

アレクセイ・コルズーヒン 「修道院の宿舎にて」 1882年
オランダ風俗画、フランス・ハンスなんかが描きそうな1室に何人もが入り混じった風俗画。
いやらしい商人の娘に対する目付きや床に散らばったゴミなど、細部まで描きこんでいる。

第3章 リアリズムにおけるロマン主義
この第3章が最大の目玉だったと思う。次から次へと名品が出て来た。

フョードル・ワシリーエフ 「雨が降る前」 1870-1871年
タイトル通り、今にも雨が降りそうな空の様子。単に暗いだけでなく、一部はうっすらと明るくなっているのがよりリアル。こういうのがリアリズムの中にあるロマンなの?

ニコライ・ドゥボフスコイ 「冬」
ぼた雪みたいなかたまりが沢山あって、この絵は面白かった。同じように冬の風景を描いた作品は他にもあったけど、これが一番。

アルヒープ・クインジ 「エルブルース山ー月夜」 1890-1895年
彼は今回出展している画家の中ではとりわけ個性的。ちょっとシュルレアリスム風の月夜で、闇の中に浮かびあがる山とそこから流れる渓流の描写、光の表現にははっとさせられた。

アブラム・アルヒーポフ 「帰り道」 1896年
この作品が本展マイベスト。でも、マイナーな作品のようでポストカードも何もなかった(悲)。大草原に向かって前を見て進んで行く少年。こちら側には背中しか見えないところが、想像力をかきたてられる。これぞ、ロマン主義の表出ではないか。

イワン・クラムスコイ 「髪をほどいた少女」 1873年
クラムスコイは次章で著名な「忘れえぬ女」があったが、「髪をほどいた少女」も憂いある表情に、一本一本線で描かれた少女の毛髪表現は素晴らしい。

第4章 肖像画
イワン・クラムスコイ 「忘れえぬ女」 1883年
文字通り忘れられそうにない名作。絵の前に立ったら、感動して背筋が寒くなった。なんという表情なんだろうか。私は彼女に見下されてしまったのか。挑発的な瞳の秘密は何だろう?睫毛は長く濃い黒。画像やチラシ、ポスターで見るより、本物ははるかに迫力がある。
これが原因で図録に手が伸びなくなってしまったかもしれない。
帽子の房飾りや縁どりの表現など本物そのもの。漆黒のドレスのリボンはつややかで滑らか。

クラムスコイによる肖像画は「画家シーシキンの肖像」1879年、「自画像」1874年とあったがいずれも佳作で素晴らしかった。

イリヤ・レーピン 「画家レーピンの息子、ユーリーの肖像」 1882年
「文豪ツルゲーネフの肖像」 1874年共々、やはり上手い!ツルゲーネフなどは性格まで絵から立ち上って来るように感じた。

第5章 外光派から印象主義へ
なぜ、ロシアの画家にはフランスの画家と比べて、世界的な評価が与えられないのだろう?
今回の印象主義作品は、印象派作家に勝るとも劣らぬものもあったと思う。

ワシーリー・ポレーノフ 「モスクワの中庭1877年 」「アブラムツェヴォの池」1883年
ロシア絵画と言えば、重厚長大的なイメージが先行するが、この両作品はそんなイメージを見事に払拭してくれる。

イワン・シーシキン 「陽を浴びる松」 1886年
光の表現が見事。

イリヤ・レーピン 「秋の花束」 1892年
レーピン大活躍。リアルリズムあり印象主義あり。やはり私はレーピン大好き。

ワレンチン・セローフ 「エヴドキヤ・モロゾの肖像」 1908年
最後から2番目にあった肖像画。モデルの目と表情がどこかで見たような。もの言いたげな感じが忘れられない。

素晴らしい75作品。毎年トレチャコフ美術館の所蔵品展やって欲しいなぁ。

*6月7日まで開催中。

「椿会展2009 Trans-Figurative」 資生堂ギャラリー

4月7日から開催中の「椿会展2009」に行って来ました。
参加作家は、今話題沸騰中の伊庭靖子、塩田千春、祐成政徳、丸山直文の4名。
作品はギャラリーHPでご覧ください。ただし、出展作品とは異なります。

ドアを入って、地階へ下りて行く階段から展示は始まっている。
祐成政徳の手すりに似た黄緑色の触手?「too yound to do」が階段手すりの真上から地階へと誘う。
踊り場には、彫刻作品「Pedestal」が1点。頂上にあったのは確か本物の林檎。

地階展示室には、待ってました伊庭靖子新作油彩画5点、丸山直文の大作、こちらも新作「ivy1」「ivy2」「story」の3点がど~んと。
平面絵画でも、力のある作家さんの作品が並ぶと壮観な眺め。

最奥には、黒毛糸とミシン台が織りなすインスタレーション「無意識の不安」2009年がある。

これらのうち、個人的には伊庭靖子さんの絵画が一番だった。
神奈川近美の展覧会、東京アートフェアで1点、見てきたけれど、こうして他の作家による作品と並べてみると、美しさが際立っている。
今まではぼんやりと良いかなぁ程度が、ものすごく良いに変わった瞬間。
無論、個人的な好みは人それぞれなので、異論もあることだろう。

でも、敢えて一推し宣言したくなる。
陶磁器の青も良いけれど、もし貰えるものなら(貰えないけど)リネンものがいいなぁ。
思わず、すり寄ってしまった。

さて、今回のテーマは「Trans-Figurative」には、「Figure(形象)」「Trans(超える)」には、これまでの椿会のイメージを超える、そして各作家が現在の自己の世界を超えるという想いがこめられているとか。

本展示にあたり、以下の日程でギャラリートークが開催されます。
事前申込制!ですので、お早めに。定員60名で、申込多数の場合は抽選です。
申込用紙、詳細はギャラリーHPより。
伊庭さんのギャラリートークは4/10(金)締切ですが、今日でも申込OKでした。

*6月21日まで開催中です。

「美人画展と色絵の美」 松岡美術館

今週は、木曜日から一気に新入社員3名が配属となり、一度に3名って・・・。案の定バタバタ状態。
おかげで、疲れが抜けず今日も松岡美術館一つで、あまりにしんどい(名古屋弁?)ので予定を全部切り上げて帰って来た。
ただし、松岡美術館の後、板橋区立美術館に向かったのだけれど、ここで大誤算が発生。
2時からの山本勉(清泉女子大学文学部教授)氏による「まずは見てみよう(仏像のみかた)」美術講演会を前から楽しみにしていた。
しかし、高輪台から西高島平まで都営三田線一本だというのに、1時間を要し、走って会場に向かったが到着は2時10分。会場は大入り満員だそうで、中にすら入れてもらえず門前払い。
あまりのショックに展示作品をささっと見てふらふらと帰宅した。はぁ~、聞きたかったのになぁ。。。

気を取り直して、本題。
松岡美術館の「美人画展-麗しの女性美を求めて-」は、上村松園「春宵」、伊藤小坡「麗春」、鏑木清方、伊東深水と美人画名手の作品がずらり並んでいた。菊池契月「寛永麗人」も良い。

それより前の時代では応挙や蹄斎北馬、応挙などあり。
過去に見た作品もあり、ちょっと感動はなかった。

むしろ、「美人画展展」より展示室4の「色絵の美」が素晴らしかった。
前回松岡美術館を訪れた際は、今回の逆で絵画の方が良かったのだけれど、展示内容も変わるので、こちらの印象も変わる。

最初に「黄地紅彩龍文壺」「黄地青花紅彩牡丹唐草文瓢瓶」やら黄色と紅色の鮮やかな色の対比がされている素晴らしい黄地彩に惹きつけられる。
続くは、緑を交えた「黄地緑彩」の焼き物の数々。
特に唐子図鉢など、大好きな唐子入りの模様の鉢が愛らしい。
これら全て景徳鎮窯である。

五彩のものも非常に出来がよくハイレベル。
「豆彩花果文鉢」やここでも「五彩唐子図大鉢」など唐子文のものがあり、楽しい。
五彩の中では他に「五彩唐草文長頚瓶」の姿がきりっとして良かった。

中国のやきもの、ことに景徳鎮のものは色出しが素晴らしい。
こちらは眼福でした。

*4月19日まで開催中です。

「筆墨の美-水墨画展 第一部中国と日本の名品」 静嘉堂文庫美術館

2009年4月は水墨画の月、などと勝手に思っている。
一昨日五島美術館の「春の優品展 水墨画・古筆と陶芸」をアップし、今回は五島美術館に行ったその足で、静嘉堂文庫美術館で始まった「筆墨の美-水墨画展 第一部中国と日本の名品」に行った。
今回の水墨画展は第一部、第二部と春・秋2回に分けて、同館の所蔵する水墨画でその魅力を多角的に紹介するというもの。

中国絵画と日本絵画、絵画にまつわる文房具も撮り交えての展示。
さすが静嘉堂と唸るような名品がたくさん展示されていた。

以下印象に残った作品。
<中国絵画>
・「羅漢図」 牧谿 南宋時代 重要文化財
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南宋時代の水墨画で「伝」のない牧谿作品にはなかなかお目にかかれない。
これは、一目見たら忘れられないような羅漢図で、大蛇が羅漢の身体に巻きついている中、瞑目する姿を描く。一見こわ~い作品で、傷みもあるため、蛇の様子がよく分からないのだけれど、よくよく見ると、奇妙で怖い絵だと分かる。

・「羅漢図冊」 雪庵 元時代 重要文化財
一帖十九図のうち6図が展示されている。様々な羅漢の様子が面白い。

・「寒山図」 元時代 重要文化財
線の妙技。頭髪のみぼかしが使用されている。

・「歳朝題詩図」 李士達 明時代 重要美術品
元旦を迎えた朝の風景。爆竹を鳴らして、驚く子どもの様子など、よく見ると当時の風俗図のようにも見えて面白い。

・「白梅図」 張ぼう 清時代
明時代、清時代の水墨画がやはり多く、その中でも「白梅図」はいつもお気に入りの題材。

<日本絵画>
・「山水図」 室町時代
筆者不明の水墨画であるが、すっきりとした佳作だと思う。

・「洞山良价禅師図」 岳翁蔵丘 室町時代 重要文化財

・「四季山水図屏風」 式部輝忠 室町時代 重要文化財
今回一番驚いた作品。式部輝忠の名はこれまで記憶にないけれど、室町時代の水墨画としては状態も良く春夏秋冬とそこに遊ぶ人々の様子が見事にモノクロームで描かれている。

・「絵手鑑」 酒井抱一 一帖七十二図のうち四図 江戸時代
抱一の絵手鑑からは「南瓜」「虎」「釣人」「雲龍」の4つが展示されていた。注目は「雲龍」で、一番のお気に入り。抱一はやはり上手い!

・「遊魚図」 渡辺崋山 江戸時代 重要文化財
静嘉堂は崋山の名品を何点か所有しているが、この「遊魚図」も素晴らしい。縦に長い掛軸で、波の様子と泳ぐ魚の位置関係が変わっている。崋山にしては奇抜な構図だと思った。

・「壽老図」 池大雅 江戸時代
一気呵成に描き上げたかと思われるようなちょっとユーモラスだけど、迫力ある作品。

この他、英一蝶の「朝噋曳馬図」 江戸時代など、どちらかと言えば日本画で好きな作品が多かった。

今回入口に「展示作品が掲載されている図録を配布していますので、お申し出ください」との貼り紙を発見。受付に行くと、過去の図録の在庫整理とのことで、全て無料で持ち帰って良いとのこと。
嬉しくて、全部いただいたのは良いけれど、全部で9冊は重かった。
内容も古い(と言っても平成に入ってからの図録)とはいうものの、ほとんどオールカラーで出来は良い。

さすがに、今週の土日まで残っているかは分かりませんが、行かれる方は要チェックです。

*5月17日まで開催中。
なお、伝馬遠作の「風雨山水図」南宋時代(国宝)は4/29~5/6の期間限定で展示されます。関心おありの方は、この機会をお見逃しなく!

「うつわ U-Tsu-Wa」 21_21DESIGN SIGHT

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21_21DESIGN SIGHTで開催中の「うつわ U-Tsu-Wa」展に行って来ました。

少し前にテレビ東京系列の「美の巨人たち」で出品作家のひとりであるルーシー・リィーの特集が放映され、実際の作品を観たいなと思ったのです。

実際行ってみて、ルーシー作のボタンは色合い、形とも素敵でした。
器はと言いますと、素敵だったと思われますという曖昧な印象しかありません。
なぜなら、肝心の器がよく見えなかったのです!

他の2人の作家エルンスト・ガンペールとジェニファー・リーの2人も素晴らしい作品だったと思いますが特にジェニファー・リーの作品はルーシー同様、よく見えませんでした。

最初の展示室はガンペール作品オンリーの展示。
流木などを使用した器で、その木肌や元の形を活かして制作された器は個人的にはとても気に入ったのですが、通路から作品までの距離が遠すぎます。

これがもっと顕著なのは、次の広い展示室にあったルーシーとジェニファーの器。
驚くべきことに、一方の壁面(観客が立っている場所の先にある壁)からは水が流れおち、プール状の展示台にも水が張られています。
その水面に器がひとつひとつ置かれています。
たとえて言うなら、器を蓮の花に見立てたということかもしれません。

しかし、片方からしか水面を眺めることができないため、水が流れている側に近い器は遠くて色とおぼろげな形しか判別できない。
せっかくの器ですから、上から、左右の側面からじっくり眺めたいのに、近寄ることすらできません。

ということで、ルーシーとジェニファーの器は遠くからしか見ていないので、多分素敵だったのだと思うとしか言いようがないのです。

会場が21_21デザインサイトなので、展示演出に凝ったのでしょうが、展示に懲りすぎて、肝心の作品が観客にきちんと鑑賞できないというのはちょっと不満です。
美術館ではないと割り切ってしまうしかないのかもしれませんが。

冒頭に挙げたルーシー作のボタンはケースに入っていて近くでじっくり眺めることができました。
また、ボタンを使用した三宅一生の洋服も展示されていて、こちらは良かったと思います。
しかし、この内容と展示数で入場料千円はお高い気がしました。

*5月10日まで開催中。

「館蔵 春の優品展 水墨画・古筆と陶芸」 五島美術館 はじめての美術館25

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はじめての美術館シリーズもついに25館目となりました。
休みのたびに美術館巡りをしていても、まだ行っていなかった美術館が25もあることが驚きです。
いかに、日本列島に美術館・博物館の類が多いかということでしょう。

今回は五島美術館。
自分でもまだ行ってなかったのが意外なくらい東京では有名で、東急グループ元会長五島慶太氏が蒐集した古美術品をもとに昭和35年(1960年)に開館されました。

最寄駅は東急大井町線上野毛駅です。
しかし、私は何を思ったのかその手前の等々力で下車。等々力渓谷を散策し、いつまでたっても美術館の案内がないので、不審に思い、漸く間違えに気付いたという体たらく。
元来た道を引き返し、上野毛駅から徒歩5分ほど行った閑静なお屋敷が並ぶ一角に、漸く目指す五島美術館を見つけました。

本館はかの吉田五十八設計。驚いたのは、中に入ってその奥に広大なお庭があったこと。
先日横山大観記念館のお庭について触れましたが、大きさでは比較になりません。
今回は時間がなかったので、お庭散策はわずかだけでしたが、1周したら、20分程度かかりそうです。

さて、今回は春の優品展、テーマは「水墨画・古筆と陶芸」です。
お庭と言い、展示内容といい畠山記念館に少し似た雰囲気だなと思いました。

以下印象に残った作品となりますが、全体としてバランス良く優品展の名に相応しい素晴らしい作品を鑑賞させていただくことができ大満足でした。
ご紹介している作品の一部の画像は美術館HPよりご覧いただけます。
<水墨画>
・「布袋図」 愚中周及筆 見心来復賛 室町時代
大きな袋を肩にしょった布袋様の横からの姿はどことなくユーモラス。無駄な線がありません。

・「梅画賛」 一休宗純筆 室町時代
一休宗純は、絵も伸び伸びした感じが良いのですが、私は書が特に好きです。この作品も伸びやかな筆使いは絵以上のものがありました。

・「雪嶺斎図」 僊可筆 麟仲祖祥(生歿年未詳)・貞芳昌忠(生歿年未詳)・九成僧菊(?―1567)賛
こちらも絵より足利晴氏による題字や花押に惹かれた。題字がとにかくかっこいい。室町時代のもの。

・「猿図」 僊可筆・「布袋和尚」 一行書 雪村周継筆 室町時代
よくある手の長~い猿の絵だけれど、これも見ごたえある作品。水墨画の良さを伝えてくれます。

・「松鷹図」「松山懸瀑図」 川合玉堂 
いずれ劣らぬ水墨画の名品2幅。特に後者の滝の絵は胡粉を散らしてしぶきを表現?

・「白糸の瀧」 川端龍子
久しぶりに龍子の作品を見る。大胆な作風の白糸の瀧で、龍子らしい。

<古筆>
・大手鑑「筆陣毫戦」 奈良-桃山時代 ★4月28日までの展示
この古筆は素晴らしいのひとこと。まず、見返しの華麗さに見とれる。話題の光明皇后による筆は料紙にかわいい絵柄が入っていて、皇后の人となりを感じさせた。

さすがは五島美術館で、古筆は次から次に素晴らしいものが目白押し。
「蓬莱切」藤原行成筆、「烏丸切」藤原定頼筆、「下絵古今集切」藤原定頼筆は特にお気に入り。
今気付いたが、行成と定頼の2人の作品だけお気に入りマークを付けていました。行成は元々好きな書家ですが、定頼も今後チェックです。

<古写経>
内容はまるでわかりませんが、展示5作品は全て重要美術品か重要文化財指定のもの。
中でも「紺紙金銀交書俱舎論」の金字、銀字の鮮やかさは凄かったです。銀も普通は黒くなっていたり色が沈んでいることが多いのに、これはキラキラ輝いていました。
さぞかし、当時は素晴らしい輝きだったのだろうと思われます。

<陶芸>
・長次郎赤楽茶碗 銘 夕暮
これは、夕暮の銘がぴったりの茶碗。口あたりから胴にかけての色の変化が夕暮時の空の色のようでした。

・古伊賀水指 銘 破袋 重要文化財
この水指は茶器関連の書籍で目にしたことがあったかもしれません。初めて見た気がしませんでした。二度とこんなものは作れないだろうと言わしめるだけのことはあります。
淡緑色が形に似合わず、すっきりとした感じを醸し出していました。

まだまだ素晴らしい作品が沢山展示されています。
もっと早く訪問したかったなと思いました。

*5月10日まで開催中。国宝「源氏物語絵巻」が4月29日~5月10日まで展示されます。
五島美術館 東京都世田谷区上野毛3-9-25
■開館時間=午前10時~午後5時(入館受付は午後4時30分まで)
■休館日=毎月曜日、祝日の翌日、展示替えのとき年末年始など

「やなぎみわ マイ・グランド・マザーズ」 東京都写真美術館

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東京都写真美術館で開催中の「やなぎみわ マイ・グランド・マザーズ」に行って来ました。

やなぎの作品は、原美術館での『無垢な老女と無慈悲な少女の信じられない物語』展や他の美術館での現代アート展覧会で接しているけれど、不気味な写真という印象が強くあまり好みではありませんでした。

しかししかし食わず嫌いとはちと違いますが、今回の展覧会は違います。
とても良かった!

好印象だった理由は、まず色。
エレベーターガールシリーズは別として、これまで見て来たやなぎの写真はモノトーンが多く、その分不気味さが増していたようにも思います。
今回は全点26点(他1点映像作品あり)カラー。作品リストによれば、発色現像方式印刷を使用しているそうですが、色の鮮やかさがまず目につきます。補色を使って、色を引き立てている写真もあれば、逆に色数を減らし、トーンの落ち着いた色だけで見せる写真もまた良い。

そして、最大のポイントは写真から溢れ出るストーリー性ではないでしょうか。
この「グランドマザーズシリーズ」は、若い女性が思い描く50年後の自分の姿を作り上げたもの。
作家とモデルが約1年も対話を繰り返しながら、背景、服装、小道具、表情にいたるまで、特殊メイクやCGを駆使しつつ、綿密に表現されています。
写真としても十分に魅力的で、圧倒的に美しいか迫力があり、どんどん惹きこまれ、いつしか女たちの夢の中に自分も入っているようにさえ感じます。

鑑賞者である私たちには、完成された夢の一場面とその作品に添えられている短い文章しか提示されませんが、そこからどんどん物語が自分の頭の中に紡ぎ出されていく。
それこそが、このシリーズの面白さかもしれません。

今回は若い女性の50年後だけでなく、男性モデルの50年後の姿も混じっています。
どの写真が男性か分かるでしょうか。

以下特に好印象の作品。タイトルのみ挙げます。
・「MINEKO」 2002年
・「TSUGUMI」 2007年
・「AI」 2003年
・「MIWA」 2001年 これはやなぎ本人が被写体?
・「MIE」 2000年
・「ARIKO」 2009年
・「MITSUE」 2009年
・「MOEHA」 2009年

図録を買おうか迷って、結局見送りました。やはり実際の作品と印刷は違いすぎる。。。

*5月10日(日)まで開催中です。

「第12回岡本太郎現代美術賞展」 川崎市岡本太郎美術館 はじめての美術館24

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会期ぎりぎり最終日の今日、川崎市岡本太郎美術館の「第12回岡本太郎現代芸術賞展」に行って来ました。
川崎市岡本太郎美術館は以前から行ってみたいなと思いつつ、小田急線が苦手でかつ、最寄駅から徒歩17分にひるんで、さしもの私もなかなか一歩を踏み出せませんでした。
しかし、「現代芸術賞展入選作品をこの目で確かめたい!」の一念でついに決行。

向ケ丘遊園駅を出て、府中街道方面に向かってひたすら直進。生田緑地という広大な緑地公園まで徒歩10分程度。今日はお天気も良く、穏やかな日和だったので散歩にはもってこい。緑地内の桜も見事に花を咲かせていました。
岡本太郎美術館は緑地内の奥の方にあります。

チケットを買って、展示室内に進むと、赤い壁に覆われたトンネルがあり、そこを抜けると常設展の1コーナーへ。
企画展目当てで行ったのですが、ここの常設展には驚きました。太郎ファンにはたまりませんし、私のような太郎初心者にも非常に分かりやすく彼の画業を紹介しています。
かの有名な「傷ましき腕」は、背筋がぞくぞくするような緊張感がありました。
私は岡本太郎の絵画より彫刻のような立体作品の方が好きです。広い展示室には、大きな立体作品がいくつもあり、太郎の母、岡本かの子に捧げた文学碑「誇り」はイメージにぴたり。
岡本太郎は、母から性格も顔も才能まで受け継いだのだと今回初めて学びました。

先を急ぎます。
企画展示室では、「岡本太郎現代芸術賞展」入選作家による全21作品が紹介されています。
入賞者は美術館HPをご覧いただくとして、好印象だった作品のみ以下記載します。

・森 靖 「絶対領域-竜」 (入選)
この人の木彫は強烈な存在感を放っていて、入選よりもっと上の賞でも良かったのではないかと思います。同じく彫刻作品で特別賞を受賞していた花岡伸宏よりも作品自体は完成されているようにも感じましたが、正当すぎて、逆に評価を得られなかったのかもしれません。
この方の作品最近、とあるギャラリーで写真を見せていただいたような気がします。確かめてみよう。

・タムラサトル 「50の白熱灯のための接点」(特別賞)
柏のTSCA個展で、同作品が出展されていたそうですが、私は初見。接点部分を振子の重りとし、そこから火花を散らす豪快な作品。さらに、それに連動して壁にある50個の白熱灯が点灯します。
アートって何でもありだな感高まります。

・花岡伸宏 「ずれ落ちた背中は飯に突き刺さる」(特別賞)
作品タイトルがそのまんま彼の立体作品を表現しています。この大胆な発想には驚きを禁じ得ません。
なぜ、背中から落ちた背負われた子ども2人がご飯茶わんの中に突き刺さるのか、そういう疑問を真剣に考えてはいけないのでしょうか。

・山上渡 「ウシロノショウメン」(特別賞)
こちらもインパクトがありました。壁にど~んと巨大な黒っぽい円と白い同心円が重なっています。白い円の中に描かれた模様が細かい。遠くで見て良し、近くで見ても良い作品。

・佐藤雅晴 「アバター11」(特別賞)
今回、森、タムラと並んで特に良かったアーティスト。
個人的には苦手なアニメ調の作品だが、「振り返る」をテーマに11人の肖像が、繰り返し様々な場面で振り返る行為を行っています。観客は、自分が見ている肖像が振り返るたびに、目が合い、距離感が近くなり、また逆の方に目をそらされると、距離が遠くなるという、疑似体験をするのです。
肖像のアニメ自体、とても美しい出来具合。

たまたま本展を見た後、秋葉原の「101TOKYO Contemporary Art Fair」へ行ったら、5月9日(土)より佐藤雅晴の個展が初めて日本で開催されることを知りました。場所は先日麻生知子の個展で行った根津の「GALLERY Jin」。101では佐藤の別作品が2点あり、絵画風の作品がやはり良かったです。5月の個展が楽しみ。

この他、本を使った作品の飯田竜太、蛍光灯の巨大インスタレーションを作り上げていた井口雄介、発泡スチロールには見えなかった雪山(氷山?)を作った小田原のどか、成長著しい淀川テクニック、壁から落下する蔦を描いた「ツタフ」の笹倉洋平が良かったです。

平面、立体を問わず新しい表現の可能性を追求した若手作家の作品21点を見られる機会は貴重だと思いました。

*本展は今日4/5(日)に終了していますので、ご注意ください。
川崎市岡本太郎美術館
開館時間 : 9:30~17:00(入館は16:30まで)
休館日 : 月曜日(月曜が祝日の場合は除く)
   祝日の翌日(祝日の翌日が土日にあたる場合を除く)

「アートフェア東京2009」 東京国際フォーラム

fair

名古屋に住んでいる時は、毎回指をくわえて行けないよな~これのためだけにはと思っていた。
そして、東京へ移住して1年。
ついに、アートフェア東京に行く日がやって来た。
初日の昨日(金曜日)は阿修羅展の魅力に抗えず、阿修羅を優先してしまい、今日は今日とて静嘉堂美術館による水墨画の魅力に抗えず、結局出向いたのは18時頃。

お客さんはそれでも結構いて、でも展示が見づらいという程でもなかった。

まずはフォーラムから。
<ギャラリー小柳>
目黒美術館「線の迷宮」展で印象深い小川百合さん一本勝負。
内藤礼の個展におじゃました際に、小川さんの作品が沢山あったので?と思っていましたが、アートフェアの準備をされていたようです。良いけれど、お高い。

<ラディウム・レントゲンヴェルケ>
話題の内海さんの作品がやはり目立つ。大きさや色、ドットの大きさも様々。緑色のがきれいだった。

<西村画廊>
意外や意外。一番奥にあった町田久美さんの古い(2000年だったか?)作品がまだ残っていた。
手が出ない値段でもなかったが、どうしてだろう。
曽谷さんの最近の作品が気になった。

<ミヅマアートギャラリー>
山口藍オンリー。こちらも目立っていた。好きではないけれど、山口藍さんもきれいな線を描く人だ。

<ケンジタキギャラリー>
ここで、私はとても気になる作品に出会った。
ムットーニのからくり人形。八王子夢美術館で「ムットーニワールド」と題した展覧会が5月末から予定されている。ムットーニってどんな外国人だろうと思っていたら、武藤政彦氏でれっきとした日本人作家なのであった。
展示ブースには2つ黒い箱があり、私はひとつだけ覗いたが、これ面白い!
八王子には絶対行く。

<小山登美夫ギャラリー>
シュテファン・バルケンホールの彫刻も売約済み。
風能奈々の作品が気になった。今年のVOCA展でも入選しており、要注目。
廣瀬智央の透明キューブのミクストメディア?も良かった。

<SCAI>
今日でSCAIでの個展が終了する大庭大介の丸い絵画が気になる。
結局SCAIの個展には行けなかったので、恵比寿だけでも行って来ようかな。

<香染美術>
初めて聞くギャラリー。ここは丸山友紀オンリー。金地にカラフルな動物、鳥をはじめとした生き物を現代風に描いている。愛らしい動物の姿に購入者も多く、かわいいなと思うものは全て売れていた。

<その他>
北川宏人のテラコッタ作品は、2か所のギャラリーで見つけた。ひとつのギャラリーでは完売していたのに、もうひとつのギャラリーではまだ残っていたように思う。ブースの場所も販売上、重要なファクターなのかもしれない。
日本画の岩田壮平の花と葡萄の作品をいつき美術画廊で発見。でも、ちょっとインパクトにかけるな。
一番小さくて色がきれいな作品はやはり売れていた。

岡村桂三郎や三瀬夏之介の作品も販売されているのを見ると不思議な気持ちになる。岡村作品はあの巨大なパーテーション絵画でなく、小さく切り売りされていて、買い安いお値段になっていた。

古美術の画廊も忘れてはならない。
池大雅の立派な掛軸がかけてあったのは浦上蒼穹堂だったか。普段は怖くて敷居もまたげないような古美術商でも気楽に覗けるのはアートフェアの魅力。
小川芋銭の紙本作品もこなれたお値段で隣のブースの画廊で飾られていた。


TOKIAに移動。
雨が降って来たので、移動は目の前といえどちと面倒。同じフォーラム内で開催できないものか。

<YUKARI CONTEMPORARY>
大畑伸太郎。この人は今回一推し。
発砲スチロールで躯体を作り、その上から和紙を貼って着色。もしくは着色した和紙を貼っている。作業順序はどちらだろう。背景の絵画から人物が抜け出たかのような錯覚を与えるのがポイント。
何しろ造形が素晴らしい。
これ欲しい。

<MEGUMI OGITA>
MEGUMI OGITAの記事ばかり書いているが、まわし者ではありません。
以前こちらでご紹介した上條花梨の小さい作品が全部完売していた。すごい人気で驚く。
しかし、上條作品より今回嬉しかったのは保井知貴(やすい ともたか)の彫刻に出会えたこと。女児
とうさぎが1点ずつ。今回の展示作品画像はないけれど、過去の作品は作家さんご本人のHP(以下)で見ることができます。
http://www.yasuitomotaka.com/menu/menu.html

これが漆と麻布、螺鈿、黒曜石、岩絵の具で作られているのだから驚く。
要は乾漆造りなのだ。まさに現代の仏師ではないか。
うさぎが欲しい~。

新たな物欲を増殖させて帰路につく私であった。

*明日5日の17時で終了します。

「国宝 阿修羅展」 東京国立博物館平成館

asyura

前評判の高い展覧会には、大抵始まった1週目か2週目の金曜夜間開館を狙って出かけます。
初日にいきなり約1万人の入場者があった「国宝 阿修羅展」に本日夜、行って参りました。

入場の列は皆無。
第1会場、第2会場ともさほどの混雑もなくスムースに鑑賞できました。
第1会場第1章入ってすぐのガラスケース展示だけはやや詰まっていた程度です。

さて、この展覧会、やはり「阿修羅展」が相応しいタイトルだなと実感。
興福寺のガラスケースにおさまっている時は、それほど強いオーラは感じませんでしたが、今回の1体だけにスポットを当て、360度ぐるりと回れる特別なステージが阿修羅像には過不足なく、ぴたりと決まっていました。
こういうのをスターの貫録というのでしょう。

もうひとつ、私が強く惹かれた物があります。
第2章にあった「阿弥陀三尊像」(飛鳥時代)法隆寺蔵。
私は飛鳥仏大好きなので、この阿弥陀三尊のお顔は申すまでもなく、後背と思しき華麗な銅細工。
懸け仏風のレリーフ状の装飾も素晴らしい。
これはどれだけ見ていても飽きません。なぜ、法隆寺のものがこの展覧会に?と思ったら、阿修羅像を発願した光明皇后の母、橘三千代が拝んでいたものだと言われています。
阿修羅とのつながりは、かなり薄いですが、こんなに素敵な仏像が見られただけで満足。

華原馨の芸術性も特筆すべきものがありました。
こんなすごい馨はこれまで見たことがありません。

本展で残念だったのは、十大弟子、八部衆の背面側の照明です。
せっかく後ろまで回り込んで見られるというのに、肝心の背面に照明がほとんど当たっていないため、薄暗く、わずかに残る彩色を見ることがかないませんでした。
せっかく東京までおいでいただいたのですから、阿修羅像以外の立象にも細かく照明の心くばりが欲しかったです。

出土品のガラス玉には下からスポットを当てて、ガラスが実際以上にキラキラ輝いて美しかったのに、なぜ背面の照明がないのか?疑問です。

第2会場の第3章では、飛天に一番興味を持ちました。微妙にそれぞれ顔立ちが違い、動きも違っているので見比べるのが楽しい。
巨大な四天王像(康慶作)は、下敷きになっている邪鬼とそれぞれの像が身に付けている衣の袖部分の表現方法を要チェック。
特に持国天の邪鬼は個性的でした。

最近になって運慶作とされた「釈迦如来像頭部」は、運慶にしてはインパクトなかったです。
頭部と言えば、やはり私には山田寺仏頭しか考えられない。
山田寺仏頭は上京してきませんでしたが、私は興福寺の仏像の中でこれが一番好きですが、今回は見られずちょっとさびしいです。
大スターは2つもいらないってことかな。

1周して、もう一度第1会場に戻ったら、ガラガラでした。
閉館ギリギリまで阿修羅のお部屋で粘って、様々な角度から3つのお顔を拝見し、どの角度が一番好きかを試してました。
閉館1時間半~2時間前が狙い目かもしれません。

*6月7日まで開催中。ただし、八部衆のうち、3体は4月19日までの展示となります。
全点ご覧になりたい場合は、お早めに。

「仙境に遊ぶ」 横山大観記念館 はじめての美術館23

上野の不忍池の横、不忍通りにある「横山大観記念館」へ行って来ました。

ここは、横山大観が明治42年より生活し、名作を生み出した場所。
ただし、建物(邸)は戦災によって焼失し、昭和29年に再建し、その後昭和51年より美術館「横山大観記念館」として公開を開始しました。

門をくぐると、前庭はそれほどの広さはありませんが、表玄関までのアプローチは個人宅に伺っているかのようです。玄関手前で入場券を購入し、館内へ。

1階と2階が展示室になっていますが、元々大観の個人宅としていた建物なので、広さはありません。
むしろ、広い!と思ったのは奥の庭。これは庭園と言っても良いかもしれません。
向こう側に、隣の白いビルさえ見えなければ、相当情緒ある風景でした。
それでも、4月には桜、山吹、5月にはツツジと1年を通して四季の花々を楽しむことができるそうです。
また、坪庭のような内庭も配されており、どの部屋からも庭を楽しめる工夫がされています。

肝心の展示物は思ったほど多くありませんでした。
一番印象に残ったのは、大観の作品でなく、彼が所持していた「不動明王立像」藤原時代(重要文化財)です。
不動

それほど大きなものではありませんが、僅かながら足の部分に着彩が残されており、当時の様子がうかがわれます。表情もなかなかのもの。
他には、「仙境に遊ぶ」ということで、小川芋銭「蓬莱山」「河童」などでしょうか。
芋銭は、本当に河童がいたと信じていたそうです。

「仙境に遊ぶ」は3月29日に終了していますが、現在「花と宴」と題した展示が6月21日まで開催されています。
展示作品は、大観の「阿やめ」「牡丹」「春蘭」「生々流転」(習作)などと速水御舟「夜桜」、富田渓仙「祇園夜桜」。
春らしい内容とお庭で鑑賞が楽しめるやもしれません。

<横山大観記念館>
・休館日:毎週 月曜・火曜・水曜日 【長期休館あり:夏期、梅雨、年末年始】
・開館時間  午前10時から午後4時まで【入館は午後3時45分まで】
       展示最終日は午後3時で閉館
・交通のご案内
 営団地下鉄千代田線「湯島駅」から徒歩7分
 営団地下鉄銀座線「上野広小路駅」から徒歩12分
 都営地下鉄大江戸線「上野御徒町駅」から12分
 JR「上野駅」「御徒町駅」から徒歩15分
 京成線「京成上野駅」から15分
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