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2009年7月の振り返り

7月の振り返りです。
今月は3連休+1日お休みを使って北陸+奈良方面に遠征。そのせいかどうかは分かりませんが、展覧会の数は42。相変わらず全ての展覧会についての記事が書けていません。

松坂屋美術館の「国立能楽堂コレクション展」はデパート開催の展覧会にも関わらず、初めて作品リストの用意がされていて感心しました。内容も大阪市美で今年拝見した「小袖展」を思わせる能衣装の数々他を堪能、なかなか良かったです。◎と○はちょっと厳しめに付けてみました。
毎度のことながら、完全に私個人の嗜好による結果です。

<美術館・博物館の展覧会> 合計43 (除く東博平常展)
・「天・地・人」 サントリー美術館 7/1
・「ゴーギャン展」&常設展 東京国立近代美術館 7/3
○「写楽 幻の肉筆画」 江戸東京博物館 7/4
・「-櫛・簪・宝飾品- 日本の飾り」展 明治神宮文化館 7/5
・「エカテリーナ2世の四大ディナーセット」 東京都庭園美術館 7/5
◎「やまと絵の譜」 出光美術館 *図録
・「久野和洋-地の風景-展」 練馬区立美術館
・「近代日本の花鳥画」 講談社野間記念館
・「戦争画の相貌-花岡萬舟連作-」 早稲田大学會津八一記念博物館
・「中国陶磁」 富岡美術館コレクション 早稲田大学會津八一記念博物館
・「川瀬巴水と吉田博」 UKIYO-e TOKYO
・「不折の愛した龍門ニ十品」 台東区立書道博物館
・「純粋なる形象 ディーター・ラムスの時代-機能主義デザイン再考」 府中市美術館
・「浜口陽三 生誕100年記念展-未公開の油彩作品群ときらめく銅版画」 ミュゼ浜口陽三
○「向付」 五島美術館
・「唐三彩と古代のやきもの」 静嘉堂文庫美術館 
○「道教の美術」 三井記念美術館 
○「中林忠良銅版画展」 町田市立国際版画美術館 
・「うみのいろ うみのかたち」 ブリヂストン美術館 7/14
○「橋本関雪展」 富山県水墨美術館
◎「塩田千春展-流れる水」 下山芸術の森 発電所美術館 *図録
・「愛についての100の物語」 金沢21世紀美術館 *図録
・「古美術品選」 福井県立美術館
・「生活と芸術-アーツ&クラフツ展」&「平田あすか サボテンノユメ」 愛知県美術館
・「国立能楽堂コレクション展」 松坂屋美術館
○「未来への贈りもの 岡田文化財団寄贈作品展」&常設展 三重県立美術館
◎「聖地寧波―日本仏教1300年の源流-」 奈良国立博物館 *図録
○「ターナーから印象派へ-光の中の情景-」&常設展 豊橋市美術博物館 
・「海のエジプト展」 パシフィコ横浜
◎「美をめぐる100年のドラマ フランス絵画の19世紀」 横浜美術館
・「柳宗理展」 横浜美術館アートギャラリー
・「鴻池朋子展 インタートラベラー神話と遊ぶ人」&所蔵品展 東京オペラシティアートギャラリー
・「美人画の粋 上村松園」 山種美術館
・「雪舟とその流れ-佐竹家狩野派模写絵展」 千秋文庫
◎「藝大美術館所蔵品選 コレクションの誕生、成長、変容」 東京藝大美術館
・「天皇陛下御在位二十年記念 日本藝術院 所蔵作品展」 東京藝大美術館
・「かたちは、うつる」 国立西洋美術館
・「ル・コルビジェと西洋美術館」 国立西洋美術館
○「美しきアジアの玉手箱 シアトル美術館所蔵 日本・東洋美術名品展」 サントリー美術館 *図録
・「4つの物語 コレクションと日本近代美術」 川村記念美術館
・「日本建築は特異なのか -東アジアの宮殿・寺院・住宅-」 国立歴史民俗博物館
・「「百鬼夜行の世界-百鬼夜行絵巻の系譜-」 国立歴史民俗博物館 *図録
・「謎のデザイナー 小林かいちの世界」 ニューオータニ美術館
(その他)
東京国立博物館 7/26 本館平常展


ギャラリーの方は、更に私の好みで左右されます。後半は失速気味でした。
こちらは、美術館、博物館より記事のアップに時間を要しないので、◎の個展は全て記事を挙げているはず。
来月は、再度関西系のギャラリーやら清澄、オオタファインアーツの小沢剛展、TWS本郷は欠かせないところです。

<ギャラリー> 合計27
◎坂本真澄展 「体育の時間」  GALLERY MoMo Roppongi
・早川克己 展 「Double:Vision」  GALLERY MoMo Ryogoku
○増子博子 「盆栽剣伝説」 Gallery Jin Projects
・「LAKE」 小原昌輝写真展 マキイマサルファインアーツ 
・「草間弥生展」 高橋コレクション日比谷
○「変成態-リアルな現代の物質性」vol.2 揺れ動く物性 冨井大裕×中西信洋 gallery αM
○内海聖史 「色彩のこと」 スパイラルガーデン
・内海聖史 「千手」 ギャラリエアンドウ
○竹谷満 「in the forest」 MEGUMI OGITA GALLERY
◎名和晃平 「L_B_S」 メゾンエルメスフォーラム
・梅津庸一 「ゴールドデッサン」 アラタニウラノ
・「袴田京太郎展」 コバヤシ画廊
・「照沼敦朗展」 月光荘 画室2
・「2009 ADC展」 ギンザ・グラフィック・ギャラリー
◎ヘルシンキスクール写真展「風景とその内側」 資生堂ギャラリー
・松山賢 「地図」 ギャラリー・ショウ・コンテンポラリー・アート
◎TWS-EMERGING 2009 村上滋郎「オコタがタワーでキャンピング」、松本奈々、小林達也
◎山田純嗣展 「絵画をめぐって-The Pure Land」 中京大学 C・スクエア
・「幕間 INTERVALLO 展」 BankART
・「白井美穂展」&「エリカ・タン展」 BankART
○手塚愛子 「落ちる絵-あやとり」 ケンジタキギャラリー
・「馬場俊光展」 BASE GALLERY
・「METAII 2009」後期 日本橋高島屋 美術画廊X
・Summer Group Show 「Hop Step Jump」 GALLERY MoMo Roppongi
・「CーDEPOT2009」 スパイラル
・「CーDEPOT monochrome」 新生堂
・「A House is not A Home」 スカイ・ザ・バスハウス
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「4つの物語 コレクションと日本近代美術」 川村記念美術館

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川村記念美術館で開催中の「4つの物語 コレクションと日本近代美術」を見て来た。

この展覧会は、川村美術館の所蔵品で抜けている日本近代の作品を他館や個人所蔵から借りて、自館の所蔵品とあわせて、4章に分け日本近代絵画63点を多角的にとらえると同時に、所蔵品をこれまでとは異なった視点で見つめ直すことを企図しています。~チラシより

展示作品リストはこちら(PDF)。
美術館ではリストが用意されていないので、これから行かれる方で作品リストが必要な方は事前に印刷の上、持参されることをお薦めします。
HPに掲載されているのだから、印刷して希望者には配布してくれても良いのになぁ。

各章の構成順で印象に残った作品は以下の通り。

1.レンブラントと絵画技法の摂取/展開-肖像とリアリズム

・高橋由一 「寒河江市隠像」 1887-88)年  油彩 山形美術館寄託
由一ファンとしては1枚でも見てない作品を見たいもの。真っ白な下向き▽髭が大変印象的な肖像画。本当にあんなに三角なお髭だったのだろう。

・渡辺幽香 「五姓田芳柳像」 1889)年 油彩 東京藝術大学
渡辺幽香と言えば、横浜で見た赤ん坊が石にくくりつけられている油彩を思い出す。こちらも別作品を見られて嬉しいが、東京藝大所蔵なので、以前みたことがあるかもしれない。

・原撫松 「影の自画像」 1907年 油彩 東京国立博物館
高松次郎の作品かと思うような異色の自画像。肖像画といえども、実に様々なもの。

・岸田劉生 「麗子座像」 1922/25年年 油彩 個人蔵
劉生作品は同じ個人蔵で、水彩の「村娘図」の2点が出展。いずれも数十年ぶりに公開とのこと。
これを逃すとまた数十年?麗子のカーディガンの紫と敷物の赤の対比が強烈。

・松本竣介 自画像 1941(昭和16)年 油彩 岩手県立近代美術館
神奈川県近美所蔵の「自画像」含め他1点の計3点出展。やはり松本作品は好き。この自画像は未見。

高島野十郎の自画像は、写実が行きつく所まで行って、逆に怖い。写実を超えて既に別の何かになってしまったような。

2.ルノワールと日本の油絵-裸婦と家族の肖像

・中村彝 「少女」 1913年 油彩 横須賀美術館
少女の恥じらうような裸体。このモデルは中村屋の娘かな。

・山下新太郎 「端午」 1915年 油彩 石橋財団石橋美術館
ルノワールの裸婦と一緒に本展チラシ表面に採用されている作品。これ、本当に色彩豊かで良い絵です。印象派の影響を受けているのがよく分かる。日本の近代洋画でこれだけの作品があったことは誇らしい。

・田中保(たなかやすし) 「金髪の裸婦」 1920-30年代 油彩 目黒区美術館
田中は「裸婦の田中」としてエコ・パリの画家として海外で活躍、そのままフランスで客死し、日本に帰国することがなく、国内での著名度が低い。プロフィール詳細はこちらが詳しい。
本作も鮮やかな金髪が目を引く。ちょっと異色な作風。

3.マレーヴィッチ、ヴァントンゲルローと同時代の抽象絵画-近代と精神

・村井正誠 「聚落」 1943年 油彩 世田谷美術館
・吉原治良 「雪(イ) (作品) 」 油彩 三重県立美術館
特に吉原の「雪(イ)」はいつもの吉原の作風とは違って、これは好きだった。

4.ヴォルス・ポロックと戦後美術-運動と物質

川村所蔵のヴォルス作品は訪問する度に気になっていたが、他館では見かけない。ヴォルスは一体何者なのか、どこの国のいつの時代の画家なのか調べたら、ベルリン生まれで主にフランスで活動した作家で、写真家としても活動していたと知る。しかし、それよりも驚いたのはその壮絶な生涯。
その最期は、腐った馬肉を食べて食中毒死!詳細はこちら
作風にクレーぽさを感じるなと思ったら、短期間だがバウハウスで学んでいたので納得。
水彩中心で、油彩は数十点しな残っていないと貴重だが、本展では2点出展されているいずれも油彩というのは、川村美の誇る所蔵品と言ってよいのではないか。

書家の作品として、井上有一と比田井南谷、森田子龍のものが数点あった。
比田井の名は、本展で初めて知ったが、「作品1」、森田の「凍」が良かった。

思っていたより楽しめた。

お馴染みロスコールームも復活。こちらのお部屋では、絵画が自分に迫って来るような感じが強い。
やはり、床の色は黒に近い焦げ茶。それも落ち着く理由だとやはり思う。
NHK日曜美術館で作家の高村薫さんがロスコー絵画について語られていた。今月発売の新刊「太陽を曳く馬」川村所蔵のロスコーの作品を下巻に使用している(下図)。
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高村薫の大ファンかつ、新作ではあの合田雄一郎が戻って来たとあれば、読まずにはいられません。
この小説、現代アートも絡んでいて(ロスコー絵画を意識した?)、高村さんの美術論も孕んでいるような。まだ、上巻途中ですが、この本のおかげで寝不足です。

☆耳寄り情報☆
7月24日以後、出版を記念し美術館のミュージアムショップで、前回のロスコー展ポスター(非売品)を先着45名に配布。上記著作もショップで販売中。
なくなり次第終了です。お早めに!


*9月23日(水・祝)まで開催中。

「美をめぐる100年のドラマ フランス絵画の19世紀」 横浜美術館

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横浜美術館で開催中の「美をめぐる100年のドラマ フランス絵画の19世紀」展を見た。
展覧会公式HPはこちら

ここ数年、横浜美で拝見した展覧会の中では一番良かったです。
横浜開港150周年と横浜美術館開館20周年を記念するに相応しい内容というのはまぎれもない事実。
質・量共に満足行く内容だが、作品の数が相当数あり、しかも大画面の作品が多かったせいか展示室が手狭なため、会期終わりには混雑し作品が見づらい(コーナーで人が重なりやすい)ことも予想されます。
本展が気になっておられる皆様には、ぜひ早目の来館をオススメします。

展覧会の概要は次の通り(展覧会チラシより引用)。
19世紀フランス絵画と聞いて多くの人が思い浮かべる印象派の画家たちとともに、その誕生の礎を築いた”アカデミスム”の画家たちに注目。保守的なものとして単純に理解されがちなアカデミスムの華やかさとその豊かな成果を再確認すると同時に、「保守」と「革新」相互の影響関係こそがこの絵画黄金期を築きあげたのだという、時代の真実を浮かび上がらせて行きます。
世界各地の40!もの美術館から集めた約80点の作品により19世紀フランス絵画の全貌を明らかにするものです。


第1章 アカデミスムの基盤 〜 新古典主義の確立
第2章 ロマン主義の台頭とアカデミスム第一世代
第3章 アカデミスム第二世代とレアリスムの広がり
第4章 アカデミスム第三世代と印象派以後の展開
と19世紀という100年間を4部構成で美術史の流れに沿いつつ作品を紹介。
知らず知らずのうちに、会場を出る頃には、私のような素人でもおぼろげにフランス絵画の歴史が理解できたような気がします。それって凄い!

更に、特筆すべきはめったと見られない名品やアカデミスムの画家による作品が目白押し。
図録を購入するかどうか真剣に迷いました。私が図録を欲しいと思う時はその展覧会に感動した場合です(結局見送りましたが)。

印象に残った作品は個人的嗜好がかなり反映してますが、次の通り。

第1章
・アングル&デゴッフ ≪パフォスのヴィーナス≫
チラシ表の右側裸婦。
NHK「日曜美術館」アングル特集で、この作品と同じポーズをモデルに取らせる試みをしていたのではなかったか。よくよく見ると、首は長過ぎるように感じるし、左側の首下の盛り上がりはちょっと変ではと違和感を感じる点もある。それにも関わらず、やはりこの裸婦には魅了される。
どこまでがリアルでどこからが画家の想像なのか、興味深い。

・アンヌ=ルイ・ジロデ=トリオゾン ≪エンデュミオンの眠り≫
本展では、やたら裸婦・裸体作品が多い。これは、美青年の裸体だが主題は神話。ルーブル所蔵のレプリカだが、大迫力。

第2章
・アリ・シェフェール ≪糸巻のマルガレーテ≫、≪聖アウグスティヌスと聖モニカ≫
私の好みは後者。しかし、こちらは1846年のサロン(フランスでの公募展の始まり)出品作のレプリカ。レプリカでこの出来なら、本物はさぞやと思わせる。

・アンリ・レーマン ≪預言者エレミヤ≫
左端の肌の浅黒い、黒い長髪の若者と預言者エレミヤの神々しさが、とにかく目をひく。画面から人物たちが飛び出してきそう。

他に、レオン・コニエ≪死せる娘を描くティントレット≫、ポール・ドラロッシュ≪クロムウェルとチャールズ1世≫、フランドランらの作品が印象深い。

第3章
・ジャン・ジャック・エンネル
エンネルを知ったのはこの横浜美術館の常設ではなかったか。
私の好きな画家である。今回は≪アベルの死体を見つけるアダムとエヴァ≫≪牧歌≫と素晴らしい作品が2点も来日していて感動。改めて、エンネル好きを再認識した。
特に≪牧歌≫は大作。この絵の前で相当長い時間を費やした。

・フランソワ・ミレー ≪施し≫
これはサイズが小さく、コーナーにあるため、混雑必至ポイント。
しかし、並んでも人の頭越しでも必ずご覧ください。もう何とも言えないミレーが描く農家の一場面。
淡い色使い。

・ジュール・ブルトン ≪休息≫
・クールベ ≪眠れる裸婦≫
クールベも大好きな画家。今回は国立西洋美術館からの1点のみ。こんな作品西美にあったっけ?

・アレクサンドル・カバネル
エンネルとカバネル何だか名前が似ててごっちゃになる。アドルフ・ジュルダンとの共作?≪ヴィーナスの誕生≫の甘さより≪パオロとフランチェスカ≫の方が好み。

・ポール・ホードリー ≪真珠と波≫ 
プラド美術館からはるばる持って来た素晴らしい1枚。何でしょう、この裸婦の蠱惑的な瞳は。どう見ても誘ってます。思わず誘われたら間違いなく付いて行きそう。

・ウィリアム=アドルフ・フグロー ≪フローラとゼフュロス≫
作り物のような完成度。

第3章が一番見ごたえがあり、かつ、気になる作品多数。メソニエの≪フルートを吹く男≫などオランダ絵画かと思わせる作品も出ていて楽しい。

第4章
・フェルナン・コロモン ≪海を見る少女≫
・ラファエル・コラン ≪エリーズ嬢の肖像≫
・カロリュス=デュラン ≪犬を連れた婦人≫
・リュック=オリヴィエ・メルソン ≪エジプト逃避途上の休息≫
・ポール=フランソワ・カンサック ≪青春の泉≫
コランを除いて、知らない作家さんばかり。でも、いずれも印象派と同時期の画家によるもの。

最後を飾るのはモーリス・ドニ≪フィレンツェの夕べ、浴女たち≫。
これが、また大作のドニでとても嬉しかった。エンネルの次に良かった。

*8月31日まで開催中。お早めに。

「ターナーから印象派へ-光の中の情景-」 豊橋市美術博物館 はじめての美術館40

ついに「はじめての美術館」シリーズも40に到達。我ながらよく頑張る。
今回は地元愛知県の行ってなかった美術館のひとつ(まだ沢山ある!)豊橋市美術博物館である。
同館は今年開館30周年を迎えるが、その記念として今回「ターナーから印象派へ-光の中の情景-」を8月16日(日)まで開催している。

豊橋市美術博物館へはJR・名鉄豊橋駅より市電にて約8分。下車後徒歩3分と足の便は良い。市電が走る町は愛知県では珍しい、しかも7分間隔だったかで走っており、市民の足として利用されているようだ。

さて、本展の概要は次の通り(展覧会チラシより引用)。
ベリ美術館、マンチェスター市立美術館、ダブリ・ハウス・コレクション並びに個人所蔵家の協力により、19世紀初頭から20世紀初頭のおよそ100年にわたるイギリスとフランスの画家の風景画を紹介するもの。ターナー、カンスタブルの巨匠をはじめ、ヴィクトリア朝のエドウィン・ランシア、ジョン・リネル、ラファエル前派のジョン・エヴァレット・ミレイ、ジョン・ブレットから印象派の影響を受けたイギリスの画家、ピサロ、ゴーギャンなどフランス印象派まで約100点を7つのテーマで構成。
大半の作品が日本初公開!です。


残念ながら作品リストが準備されておらず、100点もの作品と7つの構成をメモする程の時間もなかったため、簡単に感想を述べると、見ごたえはかなりあります。いやとてもあると言って良いです。

特に、ウィリアム・ヘンリー・ハント「イワヒバリの巣」(下図)や「プラム、グリーンゲージ、ブラックベリーとローズヒップ」の冒頭作品に一撃されました。
ヒバリ


以下、役に立たないと思いますがメモできた印象に残った作品。

・ジョージ・クラウセン「春の朝、ハーヴァーストック・ヒル」(下図)や「風景、雨の日」
asa

・エリザベス・アデラ・フォーブズ「ジャン、ジャンヌ、ジャネット」 
・ウジェーヌ・ブーダン 「トルーヴィル、満潮時の埠頭」
・シダネル 「窓から眺めた中庭」
・ジョン・リネル 「小川を渡る」
・カミーユ・ピサロ 「ルーヴシエンヌの村道」
・ウィリアム・コリンズ 「魚釣り」
・エドウィン・シンシア 「乱射」
・ターナー 「エーレンブライトシュタイン」(下図)
ターナー

などなど枚挙にいとまがない。というかチラシにメモするには限界があったのが悲しい。もっとご紹介したい作品は沢山あったのに~。

愛知県など近隣の方はぜひ、豊橋までお出かけください。

本展は下記に巡回します。
・岡山県立美術館 9月18日(金)~11月3日(火・祝)
・府中市美術館へ11月14日~2月14日
府中で再訪しようかな~。

「鴻池朋子展 インタートラベラー神話と遊ぶ人」 東京オペラシティアートギャラリー

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東京オペラシティアートギャラリーで開催中の「鴻池朋子展 インタートラベラー神話と遊ぶ人」を見た。
金曜夜間開館を狙って入ったが、会場はガラガラでちょっと意外だった。その分、ゆっくり鑑賞できたのでラッキーでしたが。

この展覧会は、鑑賞者が旅人になりきることが大切。
アート鑑賞しようとか考えず、ただ鴻池さんが用意して下さった舞台を旅すれば良いのだ。
平面、映像、立体あらゆる媒体が待っている。

地球をどんどん奥深く地中に入って行き、マントル、外殻、内殻と場面は徐々に移って行く。
作品ひとつひとつをここで語るのはやめた方が良いだろう。

何があるかお楽しみ!というのが作家の意図でもある。よって事前に作品リストは渡されず、最後に会場を出た時、「作品リスト兼展示配置図」や「ちきゅう探検シート」などが置かれていた。

鴻池さんの壮大な想像世界に取り込まれ、数十分間の旅を果たしたが、後で残ったものが何かと問われると難しい。
上野の森美術館で開催されていた「ネオテニー」展での展示もそうだったが、彼女の画力、構想力は素晴らしいと思うが、ちょっと私の嗜好からは外れている。どこが合わないのかを考えてみたが、キャラが立ち過ぎているのが苦手なのかも。

とはいうものの、次の鹿児島県霧島アートの森を会場にして行われる「鴻池朋子展 12匹の詩人」は興味津々。霧島でしか見られない野外展示っていうのが気になる。
屋外に出れば、更に彼女の想像・創造世界ははばたくに違いない。

ogawamaさんがブログの中で、舞台美術をやられると良いと書かれていたが同感。ただ、鴻池さんの場合は、自身の体験⇒体験に基づく空想世界があり⇒作品制作という順序になっているようなので、最初からテーマが決められていた場合はどうなるのだろう。

ちらっと上野でお聞きしたアーティストトークの中で、展示する上で照明への配慮について意見を述べられていたが、展示照明は本当にピタッとあてはまっていた、照明だけでなく展示構成は作家ご本人の思い入れを強く感じ、功を奏していたと思う。

「12匹の詩人」展(10/9~12/6)鹿児島が気になる。


なお、同時開催の収蔵品展「開館10周年記念 響きあう庭」では伊庭靖子さん、小西真奈さん、富田有紀子、山本麻友香、難波田親子の絵画など見ごたえある作品が勢ぞろい。
特に小西真奈さんの未見作3点が気になりました。

プロジェクトNでは山下美幸が登場。新作が揃っています。私は苦手ですが、2008年に雑誌「美術の窓」誌の山下裕二先生による「今月の隠し玉」で採り上げられています。

*9月27日まで開催中。

「美しきアジアの玉手箱」シアトル美術館所蔵 日本・東洋美術名品展 サントリー美術館

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7月25日から開催されているシアトル美術館所蔵 日本・東洋美術名品展「美しきアジアの玉手箱」をサントリー美術館で見て来ました。

シアトルと言えば、シアトルマリナーズかスタバの本拠地くらいしか浮かびませんが、アメリカ北西部に位置する港湾都市。シアトルに1933年に設立されたシアトル美術館には7000件に及ぶ日本・東洋美術コレクションがあり、全米でも5指に入る充実ぶりです。

本展では、同美術館選りすぐりの名品約100件を一堂に公開。これほどまとまったかたちで、アメリカ国外で公開されるのは世界初!(チラシより)シアトル美術館に行ったからといって、これら100点が展示されていることはないでしょう。

展示は大きく「日本美術」「中国美術」「韓国美術 その他のアジア美術」と分野別に分かれています。以下、展覧会の見どころをまとめてみました。
会期中、展示替えがあり、特に尾形光琳「山水図」は8/12~8/24が展示期間です。琳派ファンは必見の名品登場をお忘れなく。
詳細はサントリー美術館HPに展示期間と共に作品リストが掲載されています。

☆見所1 「鹿下絵和歌巻」前半部、後半部公開
「琳派」展、「対決展」など、本阿弥光悦と俵屋宗達のコラボ作品を見る機会は非常に多いのですが、この巻物実はとっても長いものだったと今回初めて知りました。
元々の所有者は当代きっての数寄者益田鈍翁。彼はこの1巻を前半部分、後半部分と2分割。なぜ分けたの?
鈍翁死後、巻物は売りに出され、当時シアトル美術館の作品収集品を行っていたシャーマン・リーの目に止まる。同館は鹿の動きがよりダイナミックな後半部を選択して日本の繭山龍泉堂の仲介により購入に至りました。
残る前半部分は更に分断され、日本国内の様々な所蔵家のもとへ散って行きます。

そんなバラバラになってしまった巻物が今回、後半部の里帰りにより、可能な限り集めた前半部と共にその全貌を見せてくれるのです。
壁際に分裂された状況と所蔵者、ガラスケースに本物がずら~っと並んでいる景色は壮観。
巻物はよく場面替えと言って、少しずつしか公開されないことも多いのですが、今回そんなケチなことはしていません。思う存分、再び一緒になった「鹿下絵和歌巻」を堪能できるのです。
改めて見ると、やはり光悦の書、宗達の絵と双方流れるような美しさ。
その壮大なスケールに唖然、感服させられました。

☆見所2 「烏図屏風」を代表格にする屏風の名品たち
展覧会チラシに使用されている「烏図屏風」作者は不明ですが、よくよく近づいて見ると烏には目も羽もちゃんと描き分けがされています。
・「竹に芥子図」 狩野重信
・「竹に月図」 室町時代
・「列士御風図」 室町時代
などなど、珍しい屏風の数々。この機会を逃したら、次はいつ見られるやら。。。
個人的には、「列士御風図」「烏図」はお気に入り。

☆見所3 与謝蕪村、北斎らによる軸もの
軸ものでは、
・与謝蕪村 「寒林夜行図」 ⇒ これすごく良いです!
・「蜻蛉・蝶図」 市川米庵ほか70名
・「五美人図」 葛飾北斎 (肉筆画)
など名品、珍品が並びます。 
特に「蜻蛉・蝶図」は画譜のように様々な蝶と蜻蛉が画面に散りばめられ(作者が皆違う)、そばに漢詩が添えられているという、風雅、当時の知識階級の寄せ書きの頂点作ではなかろうか。
70名という多勢の参加は珍しい。

☆見所4 中国、韓国のやきもの 
中国美術では、元代、明代、清代の絵画も良いが、焼ものに注目。
・「玳玻天目茶碗」 南宋時代
・「黄釉絞胎碗」 北宋時代
・「粉彩梅樹椿文盤」 清時代 ⇒ 皿の裏側にある絵付けも要チェック!
玳玻天目茶碗は、これに匹敵するほどの名品を相国寺承天閣美術館で拝見したか。
紋様もくっきりしており、上出来。

韓国やきものでは、「青磁象嵌菊花文盞托」の花文が愛らしく、これは欲しいと真剣に思った。

☆見所5 土偶他考古物および仏画
ごく個人的嗜好だが、一番最初に展示してある縄文時代晩期の「土偶」は一推し。
欠損がなければ、日本なら重文間違いなし。
中国の青銅器や仏画もなかなかのもの。ただし、京都・泉屋博古館と奈良博「寧波」展を見た後では、やはり迫力に欠けたが、これはこれで良いものです。

このご時世、よくぞこれだけ持って来てくれました。関係者の皆様に感謝です。

*9月6日まで開催中。
本展は以下に巡回します。東京以北へ行かないのはなぜ?
・神戸市立博物館 2009年9月19日-12月6日      
・山梨県立美術館 2009年12月23日-2010年2月28日 
・MOA美術館 2010年3月13日-5月9日      
・福岡市美術館 2010年5月23日-7月19日

「藝大美術館所蔵品選 コレクションの誕生、成長、変容」 東京藝術大学美術館

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東京藝術大学美術館で開催中の「藝大美術館所蔵品選 コレクションの誕生、成長、変容」を見てきた。明日(26日)で前期展示は終了、若干の展示替えと場面替えがあるため、前期までに1度見ておきたかった。

「開けてびっくり玉手箱」の表現がこの展覧会にぴったり。
本当に素晴らしく、かつ、多様なコレクションであった。コレクションの形成過程が理解しやすく、上手い展示構成だったと思う。
約140点(岡田三郎助の刀子を入れると180近い)もの作品展示があるとは、予想しておらず、更に質も高いため、相当疲弊したが大大大満足!
美術館が開館して10周年(まだ10年しか経過していないことにも驚いた!)を記念するに相応しい内容。これが入館料500円、ぐるっとパス使用可能とは恐れ入る。

印象に残った作品はほとんど全部に近いが、特別これは!という作品は以下の通り。

第1章 コレクションの誕生 岡倉天心と東京美術学校初期の収蔵品
*作品番号順で、展示順とは異なります。

・繍仏裂 白鳳時代 (前期展示) 重文
白鳳時代の裂にもかかわらず、仏の姿がしっかり刺繍されているのがよく分かる。ほのぼの系の仏(飛天?)で愛らしい。

・「岩石」 狩野芳崖 1887年
隣には同じく芳崖の畢生の名作「悲母観音」が並んでいたが、こちらは昨年も拝見しているので、今回はさらりと行く。むしろ死の前年に描かれた「岩石」のスケールの大きさ、技術の極みに感動した。
岩の奥に自分が吸い込まれそうなほど奥行感がある。

・「白雲紅樹」 橋本雅邦 1890年 重文
これまたものすごい大画面、超大作。雅邦の展覧会を一度しっかり拝見したいと思った。最後の狩野派の流れを組む日本画家と言ってよいのだろうか。
散りゆく紅葉、白い滝、大きな白雲、猿が老木に乗っている、もうどこを見てよいのか分からない。
本展マイベスト。これ見に再訪したい。

・「群仙図屏風」 曽我蕭白
こちらは文化庁所蔵のものと同じタイトルだが、墨画で、着彩なし。もちろん、初見で、こんなのあったの~と驚いた。
しかしながら、蕭白の個性を如何なく発揮した画面で、モチーフになっている鳥は既に通常の鳥とは思われず、完全に未来形バード、想像の産物に、波頭は生き物のように蠢き、左隻に描かれていた手前の男の脇毛が妙にリアルだった。
誇張された描写、不気味だろうが下品だろうが、やはり面白い。

・「鯉図」 伊藤若冲
コレクション形成期に既に若冲作品があったことは注目すべき。鯉が身体をひねり、周囲に水草が描かれている。若冲らしいと言えるかは微妙。

板谷波山の学習期制作品「鬼女」は彫刻家としても大成したのでは?と思わせるほど上手い。

第2章 正木直彦校長時代のコレクション

・「飛天象」 北魏時代
これが一番最初の入口上部に飛んでいるかのごとく展示されていた。この時点で、早くも好印象。
 
・「金錯狩猟文銅筒」 後漢時代
正木校長自らが入手したもの。細かい象嵌細工が非常に丹精で美しい。

・「柳下鬼女図屏風」 曽我蕭白
こちらは過去に見たことがある。鬼女は怖いと解説にあったが、怖いというより逆にユーモラスに感じた。やはり、蕭白の特徴足の親指が異常に長い。

・「百鬼夜行絵巻」 江戸時代 場面替えあり。
これを見つけた時、小踊りしたくなった。先日有楽町で開催された「百鬼夜行フォーラム」にも紹介されていた藝大本「百鬼夜行絵巻」だ。こんなに早く本物にお目にかかれるとは思っていなかった。
道具の名前が絵の横に書かれているのが特徴的。

・「工芸各種図案」 今和次郎 1912年
やった!和次郎作品が突如現れる。今回は工芸図案。和次郎さんの絵が好きな私としてはもちろん図案もお気に入り。やはり彼らしい素朴さが好ましい。

・「序の舞」 上村松園 1936年
この日の朝一番で山種美術館の「上村松園」展を見て来た所だった。やはり、「序の舞」が本日見た松園作品の中では一番だった。きりっとした雰囲気。踊りの動きの中の一瞬を絵に閉じ込める。

・「伊香保の沼」 松岡映丘 1925年
水に足を付けた様子が涼しそう。でも女性の表情はどことなく魂が抜け出ているかのようで、何を思っているのだろうか。風で髪がほつれた様子がリアル。

・「華炎」 澤田政廣 1932年
彫刻作品だが、天女が逆立ちして彫刻されているという不思議な作品。

第3章 黒田清輝と西洋画コレクション

・「小児と葡萄」 ベルナルディーノ・ルイニ原作を久米桂一郎が模写。

・「収穫」 浅井忠 1890年 重文
浅井忠はもっとクローズアップされて良いと思う。明治23年でこれだけの西洋技法を身に付けていたこと自体素晴らしい。

・「老人」 原田直次郎 1886年
お馴染み「靴屋の親爺」(重文)も隣に並んでいたが、「老人」は初見。やはり直次郎の人物画には力がある。

・「鮭」 高橋由一 1877年 重文
教科書で大変お世話になった由一の「鮭」。もしかすると、実作品を拝見したのは今回初かも。
思っていたより大きな作品だった。

・「婦人像(厨房)」 黒田清輝 1892年
完全なる西洋画といって差し支えないのではないか。日本人が描いたように見えない所が凄い。

・「雨模様」 三宅克己 水彩 1899年 前期展示
イギリス水彩画のよう。懐かしい感じがする。

・「思郷」 和田英作 1902年
和田英作は私の好みの画家。他にも数点出展されていたが、中ではこれが一番。

・「黄泉比良坂」 青木繁 1903年 前期展示
彼は新しい日本の洋画を生み出さんとしていた。いや、生み出していたが正しい。
もう少し長く生きていたら、どんな作品を生み出していただろうか。

・「婦人像」 レオナール・フジタ 1909年
自身の自画像(1910年)と並んで出展。本作は本邦初公開。新発見作品。黒田清輝の影響が見られる若き日の油彩。

第4章 平櫛田中の彫刻コレクション

・「子守」 橋本平八 1928年
東近美で見て以来、橋本平八の木彫が大好きになった。今回の「子守」も橋本らしい作品。素朴というかのみ跡が残る朴訥とした所が好き。

・「横笛堂」 平櫛田中 1913年
写実的彫刻。この時代で彼の右に出る彫刻家はなかなかいない。光雲くらいだろうか。

*前期展示は明日(7月26日)まで。後期は7/28~8/16まで開催。おすすめします。

手塚 愛子 展 「落ちる絵 - あやとり」 ケンジタキギャラリー東京

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鴻池朋子展を観る前に、近くのケンジタキギャラリー東京にて開催中の手塚 愛子 展 「落ちる絵 - あやとり」を見て来ました。

手塚愛子さんの作品は、愛知県美、群馬近美など各地で見て参りましたが、正直それほど好きな作家さんではありませんでした。
しかし、今回の個展に展示されていた新作はとても気に入りました。

一番好きだったのは、冒頭の作品。
ただし、この作品NFS=NOT FOR SALE でした。
同じ系統の作品が最奥のオフィススペース手前に1点ありましたが、こちらも既に売約済み。
お値段が比較的手ごろなこともあるのでしょうか、そうでなくてもこの「あやとり」の刺繍と薄い白布の向こう側にある糸のからまりは、影のようでそれが作品の魅力を増しています。

今回は東京都庭園美術館での展覧会「Stitch by Stitch」の「Stitch」を意識されたのか、これまでの織物から糸をほぐす作業にプラスαしてその糸を刺繍する工程がプラスされているのが特徴。
垂れる長い糸は別で付け足したかのように思われますが、やはり布から取り出した糸だとのこと。

この垂れる糸の先に円い木枠の中に刺繍作品がぶら下がっている。
それを称して「落ちる絵」が展覧会タイトルになっているのでしょう。

上記東京都庭園美術館での「Stitch by Stitch」展 (9月27日まで開催中)だけでなく、所沢ビエンナーレ(8/28~9/23)にも出展されるそうです。
どちらも見逃せなくなってきました。

*9月9日(水)まで開催中。ギャラリーはオペラシティから徒歩数分の所にあります。ぜひ!

「L_B_S/名和晃平」 メゾンエルメス

今更書くのも気が引けますが、メゾンエルメス8階フォーラムで開催中の「L_B_S/名和晃平」に行って来ました。

前評判通りというのがまず一番最初に感じたこと。

それにしても大きなヘラジカで、驚いたのなんの。エレベーター降りてすぐに目に入ったので、これは過去最大では!とまず大きさに仰天した。
透明の球体にも素材に違いがあって、本物の巨大水晶玉だったり、ガラスの球体ありで、どれが水晶か探すのも楽しいかもしれない。
しかし、その透明な球体の奥にあるものがまた驚いた。
本物のヘラシカの剥製。
剥製が球体に覆われて、新たな形で永遠に保存されていく。しかし重さは確か4トンだったか?
どこか日本の美術館に買って欲しいなぁ。
この作品が展覧会タイトル部分の「B」=「BEADS」。

「BEADS」の隣にあるのが「SCUM」。意味は泡?上皮で良いのだろうか?
様々な日用品、雑貨にポリウレタン樹脂を吹き付ける。この手法って金氏徹平さんに似てませんか?
手法は同じでも作者の意図は違う。

本展は、Cell(細胞・器)という概念を3つの彫刻で表現するもの。
さしづめ、SCUMは増殖する白い触手か。

3つめの作品は、EVをはさんだ向こう側にあるのは「LIQUID」。
ブロガーの皆さんが夜の鑑賞をお薦めされていたので、私も夜間鑑賞。
その空間にいたのは私だけだった。
ぶくぶくと静かな音がまず聞こえて来た。
プールに泡がある間隔を置いて立ち上がって来る。消えては立つ。
単調な動きにも関わらず見ていて一向に飽きないのは、秩序ある美である所以か?
種明かしは、会場に置いてある案内文に書かれていた。
シリコ-ンオイルを発光させ、グリッド状に泡を発生させる。

見事に展覧会テーマが空間に表現されていた。作家の力を目の当たりにした時の高揚感がたまらない。

*9月23日まで開催中。

「未来への贈りもの 岡田文化財団寄贈作品展」 三重県立美術館 はじめての美術館39 


愛知県にほぼ40年住みながら、なぜか一度も訪れたことになかった三重県立美術館に行って来ました。
行かねば!と強く思わせたのは、何と言っても先日まで開催されていた東京都美術館での「日本の美術館名品展」である。
ここに作品を出していた美術館で行っていない美術館をリストアップしたら、地元近辺の美術館で行けていない所が数館出て来た。その一つが今回ご紹介する三重県美。

三重県の県庁所在地津市に三重県美はあるが、名古屋から津までは結構遠い。更に電車賃も相当かかっていた。過去形にしているのは、JRと近鉄の競合により、JRがお得な快速「みえ」号の回数券を販売したため。
この快速は特急料金不要にもかかわらず52分で名古屋と津を結んでいる。一方、近鉄は特急利用でほぼ倍の運賃が必要、所要時間は49分とJRと大差ない。

ということで、行きはJRの快速を利用、帰りは奈良⇒京都まわりで新幹線で戻った。

津駅から美術館までは徒歩10分。
想像以上に大きく、かつ立派な美術館で驚いた。過去(2001年か2002年)に1度行こうとした時、同館は増改築で長期休館となってしまったのだ。
改築前の状態は知らないが、初訪問の三重県美の印象派大変良かった。展示室も広々としている。
幸運にもこの日「三重県家庭の日」ということで、入館料(500円)が無料だった。

今回は、岡田文化財団(三重県の文化振興活動を行っている)から寄贈された作品の全容を同財団30周年を記念して紹介するもの。注:7月20日(月)で会期終了。

今回行かねばと思ったもうひとつの理由は、展示作品の中に曽我蕭白の襖絵)「許由巣父図」と「松に孔雀図」を見つけたため。
展示作品リストと展示風景は美術館HPをご覧ください。*画像多数あり。
しかし、HPに作品リストは掲載されているというのに会場には作品リストの準備がされていなかったのはとても残念。
印刷だけしていただければ良いのに・・・。
仕方なくチラシに印象に残った作品名を書いたが、あまりに多すぎて途中でやめてしまった。

別格扱いの作品は蕭白の襖絵ふたつ。これは素晴らしかった。いわゆる蕭白の本気絵。やっぱり凄い画家です。
私は「許由巣父図」の方が好きだったが、チラシに採用されているのは「松に孔雀図」のみ。これは人によって意見の分かれる所かもしれない。

蕭白以外にも名品がずらり。
・フランシスコ・ゴヤ 「アルベルト・フォラステールの肖像」 1804年
goya

ゴヤの油彩など、めったとお目にかかれない。名品展には出てなかった。出展されていたダリより、こちらの方がインパクト大きいと思うのが、本展が予定されていたため出展見送りか?

・ラウル・デュフィ 「黒い貨物船と虹」 1949年頃
三鷹で見たデュフィ作品のイメージとはかなり違う。軽やかというより、力強さを感じる。

・クロード・モネ 「横から見たアルジャントゥイユの泊地」 1874年
モネはもう1点「ラ・ロシュブロンドの村」1889年出ていて、いずれもモネらしい空の色。睡蓮作品より新鮮味がある。

・和田英作 「富士」 1909年

・須田國太郎  「信楽」 1935年
日本の洋画の中では一番好きだった。色が素晴らしく、信楽の夕暮だろうか、 画面いっぱいに赤茶色があふれている。

・安井曾太郎 「人物」 1905年
木炭デッサンの力強い線。

・長谷川利行 「裸婦」 水彩
利行も早逝画家なので、観るのは同じ作品ばかり。これは初見。やはり利行は私の好み。

・宇田荻邨  「巨椋の池」  1924年
宇田作品は全10点。中でもこの「巨椋の池」の朱色の蓮花が白い画面に強いアクセントになっている。

・関根正二素描一覧
・村山槐多素描等一覧
この二人の夭折の画家の素描がこれほど沢山見られるとは、今回の最大の収穫のひとつ。
関根正二は好きな画家で、その才能が非常に惜しまれる。素描では彼特有の色使いが見られないが、1点描きかけの油彩「天使」があったのは嬉しかった。

村山槐多は素描に含めて、当時の想い人であった稲生氏への熱き気持ちを読んだ詩やラブレターの数々が心を打った。
純粋な人だったのだろう。
中でも「ピンクのラブレター」(以下)は文字が水彩で塗りつぶされ判読が難しいが、絵でもあり詩でもあり、ラブレターが芸術作品になっていた。

新館には彫刻家の柳原義達記念館が併設されていて、こちらも大変居心地の良い空間になっている。窓から望む景色が美しく、彫刻と共になごめるのが良い。

次回企画展は、9月5日(土)から10月12日(月)まで「生誕130年記念 菊池契月展」を予定している。
こちらも楽しみ。
なお、津駅に戻りバスに乗ると、川北半泥子の蒐集品(約3万点)を公開している「石水博物館」がある。
今回時間がなく、立ち寄れなかったが次回訪問時には立ち寄るつもりです。

*「未来への贈りもの」展は既に終了しています。

福井県立美術館 「古美術品選」 はじめての美術館38

北陸シリーズ最終回は、福井県立美術館で開催中の所蔵品によるテーマ展「古美術品選」です。

福井県立美術館に私が着目するようになったのは、昨年横浜美術館で開催された「源氏物語の1000年-あこがれの王朝ロマン」で福井県立美術館所蔵の岩佐又兵衛作品を拝見してから。
又兵衛は福井の出身、ご当地ゆえに又兵衛の作品を所蔵しているのだろうと。
その後、千葉市美で行われた岩佐又兵衛展図録(この図録どうしても欲しい!全く見つからない)でも福井県美所蔵作品が出展されているのをチェックした。

今回北陸行きを決めて、すぐに福井県美のHPを調べてみたら、7月26日まで「古美術品選」を開催しているではないか!
願ったり、叶ったり。

金沢に1泊して、朝から福井に向かった。
福井県にはスキューバダイビングで何度も行ったが、福井市内は今回初めて降り立った。
市内には巡回バスが2種類走っているようで、福井駅観光案内所の方にコミュニティバスすまいるを紹介いただいき利用した。
バス停はちょうど県美の眼の前。ただし30分に1本なので注意。

2階が常設展示室で、今回の訪問時に企画展は開催されておらず県民書道展などの催し等が行われていた。

今回の「古美術品選」はコレクションの中から、福井県ゆかりの曾我派や岩佐又兵衛などの作品約30点を中心に、鎌倉から江戸時代の古美術の優品を展示するもの。

以下印象に残った作品。展示品リストはこちら
福井県美HPでは所蔵作品画像の検索システムが完備されていて非常に便利。
今回の展示作品大半の画像がこちらから確認できるので、併せてご参照ください。

・「二十五菩薩来迎図」 鎌倉時代 作者不詳
いきなり鎌倉時代の仏画登場。文化財指定は何も受けていないが、複数の菩薩が踊ったり、琵琶や笛などの楽器を奏でて、実に楽しそうな様子だった。

・「阿弥陀八大菩薩像」 朝鮮王朝時代 作者不詳 寄託作品 福井県指定文化財
ちょっと変わった菩薩像だなと思ったら、朝鮮渡来の絵画と分かり納得。
14世紀、15世紀の仏画を所蔵しているとは素晴らしい。

・曽我紹仙 「寒山捨得図」 室町時代 紙本墨画
この作品も指定文化財になっていないが、個人的には非常に惹かれた。左上部から右下へ伸びる松?が良い。

ここから岩佐又兵衛作品が続く。
・「龐居士図」 紙本墨画

又兵衛40代の作品と言われている。2人の居士が描かれているが、その顔だちはまさしく岩佐派の頬がふっくら下膨れ。着彩がやや色落ちしているのが悲しい。

・「和漢故事説話図」 額打論、琴棋書画
50~60代の江戸出府の折に描かれたらしい。いずれも小品ながら、非常に細かな描写。
状態も良い。もうこの2枚と上記「居士図」を拝見できただけで、来た甲斐があったと感じた。

・「三十六歌仙図」 中納言兼輔、中納言家持、源信明朝臣、中務
この4点の中では、唯一の姫を描いた「中務」がお気に入り。
賛が入っているものもあり、あれも又兵衛の書なのだろうか。

・「歌仙図」 躬恒・伊勢・興風
前述の三十六歌仙図の方が良かった、状態がいまひとつ。

・岩佐陽雲 「霊昭女図」 
最後の岩佐派。陽雲については又兵衛以上に不明な点が多い。岩佐陽雲以重(もちしげ)。
肉筆浮世絵風。浮世又兵衛の継承者であることは異論なし。

・「源氏物語図屏風」 作者不詳 寄託作品 福井県指定文化財
豪華な17世紀の屏風。見ごたえがあった。

・菱川師宣 「二美人と若衆読書の図」 
ここで師宣の肉筆画が見られたのは嬉しい。

・鍬形慧斎 「菟道蛍狩図」(うじほたるがりず)
こちらも珍しい肉筆浮世絵。蛍狩の情緒ある画面が好ましい。

・葛飾北斎 「杣人春秋山水図」(そまびとしゅんじゅうさんすいず)
こちらも北斎肉筆画の名品。左右の山水の緻密なことといったらない。
これは今回のベスト3のひとつ。

他に「岡島コレクション」の中から江戸時代の工芸品の優品が15点展示されているので、こちらもお見逃しなく。
岡島コレクションは、大野市出身の岡島辰五郎氏(明治13~昭和37)がアメリカ・ニューヨークで美術貿易商を営む間に収集していたものを、昭和33年に本県に寄贈したものです。同年、岡島美術記念館が福井市宝永の養浩館裏に開館、昭和55年の閉館後は所蔵品は県立美術館に移され現在に至っています。~美術館HPより

*7月26日まで開催中。

増子博子 「盆栽剣伝説」 Gallery Jin Projects

bonsai

まもなく終了してしまうギャラリーの個展をご紹介。
谷中のギャラリージンで、増子博子「盆栽剣伝説」が今週の土曜日25日まで開催中。

増子博子プロフィール
増子博子は1982年宮城県生まれ
2006年 東北工業大学工業意匠学科卒業
2008年宮城教育大学大学院教育学研究科教科教育専攻美術教育専修修了
2009年2月に、トーキョーワンダーサイト本郷で大規模な個展を開催

本展は、同ギャラリーの2008年個展に続いて2回目の開催となる。
技法はペンで描いた細密画。
特色は技法よりむしろ対象、描いているものだと思う。
元々盆栽を細密に描いているが、この盆栽どんどんと進化を続け、今年は盆栽が剣になってい更に進化を遂げた。
彼女の盆栽を見ていると、植物というよりメカニカルな印象を強く受ける。
盆栽を構成しているパーツは、まさにパーツ(部品)といった感じで、植物のそれとは異なる。

作品の変遷はギャラリーHPをご覧ください。画像が満載です。

盆栽は剣になるのか、冒頭の画像のように鳥にも見える。
細密画を描く作家さんは多いが、この奇妙な盆栽たちを眺めるのは楽しい。

*7月25日(土)まで開催。ただし、最終日は17時までなのでご注意ください(通常は19時まで)。

「近代日本画の巨匠 橋本関雪展」 富山県水墨美術館

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北陸シリーズ3回目。
富山県水墨美術館で開催中の「近代日本画の巨匠 橋本関雪展」に行って来ました。

北陸に到着して一番最初に赴いたのがこの水墨美術館。
2回目ですが、いつ行っても広大なお庭が広がっていて、とても景色が良い美術館です。

「橋本関雪展」は当初姫路市立美術館で鑑賞予定でしたが、豚インフルエンザの流行で関西行きを断念。先にご紹介した発電所美術館の「塩田千春展」、「関雪展」と金沢21世紀美術館の展覧会の3つの展覧会の最大公約数で日程を決めました。

水墨美術館の企画展示室は狭くはないのですが、姫路市美ほどではないため、前期・後期で展示替えがあります。私が行った時は後期日程。
約40点の展示でしたが、橋本関雪の日本画家としての力量を知るには十分な内容でした。
橋本関雪は、明治16年神戸市生まれ、旧明石藩の漢学者であった父から、幼少より経書詩文を学ぶという環境で育ちました。はじめ四条派の画法を学び、20歳で京都に出て竹内栖鳳に入門し、才能を開花させ、明治41年第2回文展初入選後、画壇に確固たる地位を気付きました。

本展では、初期から晩年までの代表作を紹介し、画業を振り返ります。
印象に残った作品は以下の通り。

・「静御前」 明治29年
140.5×70.5センチの大作。これが13歳の時に描いた絹本着彩の日本画とは到底信じがたい出来の良さ。小林古径、安田靭彦と若き日の作品の素晴らしさには毎度目を見張るが、関雪もこの1枚で天賦の才を感じさせる。

・「南国」 大正3年 姫路市美蔵
六曲一双屏風。日本画の画題としては当時珍しかったのではないだろうか。古の渡来人を描いたか。壮大な画想。文展で2等入選作品。

・「漁樵問答」 大正5年頃 華鴒大塚美術館蔵
こちらも六曲一双屏風。禅問答を画題にした作品。金地墨画淡彩があでやか。

・「鉄拐先生」 大正7年

・「木蘭詩」 大正9年 五幅対 京都国立近代美術館蔵
大作ではないが、五幅のうち一番最初にあった木蘭に囲まれた部屋で物思いにふける美人の絵がとても好き。非常に描法は細かい。

・「琴高騎鯉図」 大正14年 華鴒大塚美術館蔵
こちらもよく見かける画題。関雪ヴァージョンは鯉が大きい!ユーモラス。

・「摘瓜図」 大正14年 姫路市立美術館蔵
丸々とした瓜が気に入る。

・「樹上孔雀図」 大正15年 足立美術館蔵
二曲一双屏風。華麗な孔雀が樹の枝にとまる様子はあまり見かけない。しかも顔は横向き。

・「訪隠図」 昭和5年 足立美術館蔵
物語性を感じる作品。

・「寒山拾得」 昭和5年 華鴒大塚美術館蔵
やはり、この画題が出てくる。左に寒山、右に拾得。金地墨画淡彩。

・「竹林煙月図」 昭和8年 足立美術館蔵
墨画淡彩。基本的にモノトーンの静かな画面で見ているとこちらの気持ちも静かになる。

・「霜猿」 昭和14年
チラシに使用されている真っ白な老猿の孤高な姿を描く。ニューヨーク万博に出品された。

・「防空壕」 昭和17年 東京国立近代美術館
他のモチーフとは比べると異質。インドネシアに赴いた際に着想を得たらしい。かつての彼の日本画とはかなり趣を異にしている。

印象に残った作品には挙がらなかったが、但陽信金所蔵作品もかなりの数出展されていた。
他にスケッチが14点、印類17個(京都・橋本関雪記念館蔵)が出ていたが、関雪のスケッチ、特に動物を題材にした作品はとても愛らしく、彼の動物への温かいまなざしを感じた。


常設展にも名だたる日本画家の作品が展示されている。
今回は横山大観「立山遠望」(明治35年)、川合玉堂「湖畔連雨図」(明治45年)、堅山南風「鳰沼」(昭和4年)、入江波光「遊鯉」(昭和10年)など楽しませていただいた。

*7月26日(日)まで開催中。
本展はこの後下記に巡回予定です。
・島根県立美術館 ・平成21年8月5日(水)より9月14日(月)まで開催
・大丸ミュージアムKYOTO 平成21年9月30日(水)より10月12日(月)まで開催
関東方面への巡回はありません。

「聖地寧波-日本仏教1300年の源流-」(前期) 奈良国立博物館

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奈良国立博物館で開催中の「聖地寧波-日本仏教1300年の源流-」展へ行って来た。
いやはや、この展覧会凄いです!
「院政期の絵画」展以来、仏教絵画の名品、逸品、特に南宋時代の仏画を堪能させていただいた。

あまりにも凄いので、途中めまいがしそうになり(院政期の絵画展でも同様の現象が起きた)、もう駄目~と思って右を向いたら、なぜかそこに遊行七重さんのお顔が。
むむ?これは幻の七重さん?疲労のあまり似た人かと思いきや、あちらも気付かれ「あれ~」ということになりました。
が、我ら二人相変わらず過密スケジュールのため、静寂な奈良博展示室の片隅でこそこそと15分程お話しお別れしました。七重さん東大阪のお寺に間に合ったのでしょうか?

話を戻します。
この展覧会の見所は多数(本当に多数!)あれど、厳選しこれだけは必見というもののみ今回ご紹介。展示替えは前期が8/9まで、後期は8/11~8/30までとなっているが、極めつけの逸品は前期8/2までの限定展示とか、大徳寺の五百羅漢図(全82幅!!!)は3期に分けて展示なので、くれぐれもご注意ください。
やはり、前期の8/2までに来場されることを強力にオススメしますが、その理由は後で書きます。

☆見所1☆
・清涼寺 釈迦如来立像 国宝 7月30日までの展示、要注意!
有名な清涼寺様式仏像の原像がこの釈迦如来立像。私は過去「見仏記」を読んで、こちらの仏像のイラスト(byみうらじゅん)に衝撃を受け、はるばる見に行った。
もちろん、見ることはできたが、仏像との距離はかなりあったが、今回は違う。
こんなに寄ってもいいんですか?!というくらい近い。感動~涙もの。あの時はやはり明かりが足りず細部まで拝見できなかったが、今回は違う、もう前から横から斜め後方から思う存分見させていただいた。
こちらの仏像の中には様々な納入品があり、そちらも併せて展示されている。
仏像好きな方、ぜひ行って下さい。今月30日までの短期間の展示で、その後称名寺の同様式の釈迦如来立像(重文)に展示替えされます。

☆見所2☆
・泉湧寺 観音菩薩坐像(楊貴妃観音) 重文 8月2日までの展示
この美しさ。初見の仏像です。
過去に泉湧寺でご覧になった七重様によると、やはり堂内は薄暗くこんなに明るくしかも近寄れるなどとは夢のようだとか。
もう、頭の飾りの立派さもさることながら、やや面長の顔立ちは明らかに大陸の香りが漂います。
楊貴妃を偲んで作成されたという曰くも、嘘か誠か存じませぬが、むべなるかな。
こちらも必見。
なお、脇を固める「韋駄天立像」も素晴らしい造形美。

・清雲寺 観音菩薩坐像 重文 8月2日までの展示
こちらもかなり風変わりなご様子の仏像。
もう1度見たいですが、2度は無理。

☆見所3☆
・大徳寺 五百羅漢図(82幅) 重文
今回そのうち3分の1が出展されていたが、これほど羅漢図が面白いものとは知らなかった。
やはり、どうにも我慢できず図録(2000円)を購入したので、後ほどじっくり復習するが、羅漢達が愛獣に乗ってどこやらに向かっている様子、水に足をつけてくつろぐ様子、まさに人間の営みを表現するその多様性、神秘的な画題あり、観音様と競演する画題ありとにかく楽しめること請け合い。
展示は画題別になっている。

・ボストン美術館 五百羅漢図 2幅
大徳寺五百羅漢図は当初100幅で合計500の羅漢を描いていたと考えられている。上記の通り82幅が大徳寺に現存するが、残り10幅がボストン美に2幅がワシントン・フリーア美術館に流出。残り6幅は不明。
このボストン美術館所蔵10幅のうち2幅が里帰りしているが、この展示方法が泣かせる(またも感涙)。ガラスケースはるか向こうにあるのではなく、割と最近見られるガラスケースには入っているけど至近距離まで寄れる展示方式なのである。
思いっきり画面近くまで寄れるので、単眼鏡は不要。ただし、縦に長いので上部を見るには必要。
大徳寺蔵のものより、出陳が少ないせいか保存状態が抜群に良い。

この他、「六道絵」新知恩院蔵や奈良博蔵の「仏涅槃図」も素晴らしいが、六道絵は相変わらずとても怖い。餓鬼道、畜生道など地獄には落ちたくない。

入口入って正面には「宋風獅子」(飯盛神社蔵)がお出迎え、こちらのあうん獅子も風変わり。
大陸伝来の仏教を隅々まで見せてくれる展覧会です。
また、銀製の「銀阿育王塔」など中国の博物館から出展されている文物も多数あり。この王塔など銀細工の精緻の極み。

ところで、奈良博の展示方法が来るたびに良くなっている気がする。
今回、よく特別展で拝見する藤原道長の経筒も展示されていたが、過去に拝見したものと同じものとは思えないほど、金がキラキラと輝き美しさを見せていた。
文字刻も全てが書き下ろしされて展示されていて、とにかく照明の使い方がうまい。

第4章以後の展示室では五島美術館の「向付」で見られたような垂れ幕が、効果的に配され展示に華を添えていた。

個人的には、東博の「阿修羅展」より数段楽しめたと書いたら怒られるだろうか。

*8月30日まで開催中。展示替えの内容詳細は博物館HPに掲載されています。 

「愛についての100の物語」 金沢21世紀美術館

kanazawa

北陸シリーズ第2弾。
金沢21世紀美術館開館5周年記念展「愛についての100の物語」に行って来ました。

本展は既存の境界を超えて多様なジャンルの表現者たちを招き、「愛」をめぐって語り合う場を創出します。キーワードは”オープン・ダイアローグ”(開かれた対話)。物語とは、出会いの場で交わされる開かれた対話そのもの、そのありようは無限であると考えます。~美術館チラシより~

展示は、大きくゾーン1とゾーン2の二つに分かれ、開催期間も異なります。
ゾーン1は8月30日(日)まで、ゾーン2は7月20日(月・祝)の明日までの開催となるためご注意ください。

各ゾーンで印象に残った作家さんを挙げていきます。展示は作家単位に展示室または展示コーナーが設けられていますが、金沢21世紀美術館は迷路のごとく迷うので、入口でもらう展示配置図をしっかと確認して回らないと見落とすものが出てしまいそうです。

<ゾーン1>8/30まで展示
・塩田千春 《記憶の部屋》 2009年
金沢ではベルリンで集めた古い窓を使用したインスタレーション。以前愛知県美で開催された「愉しき家」展で塩田作品に初めて接したものと似ているが、大きさなど更にヴァージョンアップしている。
このインスタレーションを使用して劇団「チェルフィッシュ」が岡田利規による新作書き下ろし演劇(恋愛ものらしい)をライブパフォーマンスされているが、期間、時間限定で私が訪れたときには既に終了していた。

・チェン・ジエレン 《ファクトリー》 2003年 DVD
チェンは1960年台湾生まれの台北在住作家で、私は今回初めて知った作家。1980年代はゲリラ的パフォーマンスやアンダーグラウンドアートなどで台湾の政治体制を痛烈に批判した。1990年代より写真作品で注目を浴び、2002年映像作品へ発展。
この《ファクトリー》は30分の無声映像作品だが、決して飽きさせることなく最後まで見せる。
とにかく映像のつくりがうまい。
台北の7年前に閉鎖された繊維工場を舞台に、20年以上働いていた女工達が戻り作業を再現、女工の震える指やむくんだ足のクローズアップ、廃墟、工場は退職金も賃金も未払いのまま閉鎖し、問題は未解決のまま。
痛烈な社会批判をこれだけ印象的な映像で映し出す力量は計り知れない。
今回のイチオシ。

・森村泰昌 《なにものかへのレクイエム(人間は悲しいくらいにむなしい)1920.5.5-2007.3.2》
こちらも映像作品。森村の映像はなかなか拝見する機会がないが、こちらはソビエト連邦建国者レーニンの演説様子を再現。圧倒的で、迫真のなりきりぶり。脇の群集も良い。

・サラ・ジー 《喪失の美学》 2004年
オープニングで見たのと同じものではないか。展示場所も同じエレベーター横か?

・島袋道浩 《箱に生まれて》2001年
シマブクさんの関西弁による語りが好き。

・木村太陽 
お馴染み《はたらけはたらけ》の他に最新作壁面ドローイング《立ち往生》、《プラス・マイナス・ピープル》など楽しませてくれる。
お下品なんだけど、好き。もちろん、ドローイングは全部読みきった。

・山本基 《100の迷宮》2009年
山本の塩で制作するインスタレーションはオープニングで明確に記憶されている。今回場所を変えて新たに《100の迷宮》を制作。大きさもパワーアップ?いつ見ても、素晴らしい線。塩でできているだけに取り扱い要注意。

・ラファエル・ロサノ=ヘメル 《パルス・ルーム》 2000年
展示空間に300もの白熱電球がぶらさがる。
鑑賞者1名がぶら下がっている二つのグリップを握ると、その鑑賞者の心拍数を感知し、目の前の電球1つにそのリズムが移行、たちまち全ての電球にそのリズムが伝わる。
心臓の鼓動という目に見えないものが、電球によって視覚化されていく過程が美しくはかない。
こちらもオススメ。

<ゾーン2> 明日(7/20)まで
・アニッシュ・カプーア 《Turning Water into Mirror,Blood into Sky》2000年
全部で3点出展されていて、カプーアの魅力にどっぷり浸れる。
中でも《Turning Water into Mirror,Blood into Sky》は赤く染色された水をアルミの水槽に入れ回転させると、さてどうなるか?
答えは見てのお楽しみ。鏡面のように、水にはまったく見えません。
驚愕の作品でした。

・鈴木ヒラク 
広い展示室を鈴木ヒラクの最新作ドローイングとその映写で見せる。旧作の《bacteria sign》も壁一面に並べて壮観な風景だった。
展示室外の床に銀色のマーカーで描かれた《エコー・ドローイング》2009年も見逃さないように。
彼の描く線、形は曼荼羅かプリミティブアートのように増殖している。

・照屋勇賢 《儲キティクーヨー、手紙ヤアトカラ、銭カラドサチドー》 2008年 DVD
これは素晴らしかった。ゾーン2のイチオシ。
照屋の映像作品は初めて見たけれど、見せ方は実に彼らしい。段ボールを利用してミニシアターを作成、これは他の作家でも見たような手法だが、画面の大きさ、段ボールの利用方法がやはり照屋さんだなと思わせる。
映像の中身も、皆違う。小舟が小川流れに乗っていたり、海で漂流していたり、街中の水溜りにあったり、舟は照屋手製の折り紙によるもの。
移民国の国旗を掲げている。
「儲けておいでよ、手紙は後からでよいから、お金は先に送りなさい」はかつて沖縄からの移民船に投げかけられた言葉だそう。

・アナ・メンディエータ 1948年キューバ生まれ、1985年NYで死去
アースボディワークと《魂ファイアーワークのシルエット オアハカ メキシコ》1976年(映像)は土着文化、土に対する彼女のこだわりを存分に見せつけられた。

・横溝静
先日の天保山ミュージアムで写真作品を拝見したが、今回は映像。でもやっぱりちょっと間のびして最後まで見切れなかった。

図録は文庫本をもう少し大きくしたサイズの小冊子、オールカラーでたったの900円。
思わず買ってしまった。ここにご紹介できなかった作家も含めて全部で43名ものアーティスト、表現者が紹介されている。

また、友の会に加入した。県外在住者は入会金500円は別として、年会費はたった2000円。
2回行けば元は取れる。
秋には「オラファー・エリアソン展」も予定されているので、2回行く!という方はぜひ加入されてみては?ただし、当日美術館での申し込みの場合、午後4時までが受付時間なので要注意です。

山田純嗣展 「絵画をめぐって-The Pure Land」 中京大学アートギャラリー C・スクエア

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中京大学アートギャラリー C・スクエアで開催中の山田純嗣展「絵画をめぐって-The Pure Land」に行って来ました。

結論から申し上げると、非常にオススメです。
まさか、これほどの展示が行われているとは予想していませんでした。
恐るべし、山田純嗣氏&C・スクエア。

山田さんは、昨年7月の日本橋高島屋美術画廊Xの個展を拝見して以来、気になる作家さんのおひとりでした。
日本橋高島屋での個展の様子は「弐代目・青い日記帳」さんや私の拙い記事をご参照ください。


会場の中京大学 C・スクエアは旬な現代アーティストさんの個展を開催する名古屋では要注目なギャラリーなのですが、いかんせんここは商業画廊ではありません。
れっきとした中京大学(ハンマー投げの室伏選手が在学されていた)キャンパス内にあるギャラリーです。大学内にあるが故の制約か、開館が9:00~17:00 休館:日曜・祝日と勤め人には非常にハードルが高い運営をされています。
私も過去何度も行こうとトライしましたが、気づくと日曜・祝日もしくは17時過ぎ等ハードル高し。
しかし、今回の「山田純嗣展」は逃してはならない!と意を決して、3時頃中京大学八事(やごと)キャンパス入り。

ギャラリースペースは予想外に広く、ちょうど馬喰町のギャラリーαMに広さも感じも似ている。コンクリートの柱が邪魔な所まで同じだ。

作品は全部で28点!もあったことにまずびっくり。
リストを見てすぐに、腰を据えて拝見しようと心構えができた。
2009年制作の最新作は10点。

今回は、通常の画廊での展示では決してできない試みが行われている。

山田氏の作品制作過程は非常に手間がかかっている。
まず、粘土で模型原型を作り、石膏を使いオブジェを作る。黒色のは石膏自体を染色されているのだそう。
その後、そのオブジェを写真に撮り、印画紙に焼く。
印画紙に、凹版で規則的な柄や不定形の傷を刷る(エッチング、アクアチントの版画技法)。
刷られたインクは印画紙上に微細に盛り上がり、撮影した画像から新たな作品へと再生を遂げる。

最新作では作家自身が好きな名画に表現されている生物やモチーフを復元しつつ、新たな形へと再生している。
特に素晴らしいのは「UNICORN IN CAPTIVITY」 2008-09年
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真っ白なユニコーンが無数の草花に囲まれている。
制作期間1年ちょっと。
作ったオブジェの数190個!途方もない数。
この作品はNYのメトロポリタン分館のクロイスターにある中世絵画(山田さんはその作品がお好きなのだとか)を模したもの。
中に小さな蛙が一匹いるので、探してみてください。
蛙は再生の象徴なのだそうです。

この個展が必見なのは、完成された平面作品だけでなく、その制作過程で作られたオブジェ全てがインスタレーションとして展示されていること。
薄い白いカーテンを開けるともうひとつの「UNICORN IN CAPTIVITY」世界が出現している。
ここには全ての白いオブジェが集まっていた。

これオブジェと平面作品をセットで欲しくなります。

逆に黒いオブジェばかりを集めたコーナーもあり。
こちらが、天井の梁にまで黒の動物オブジェが並んでいて、かわいい。
「DEPARTMENT-STORE」2004年、「NACHI FALLS(B)」2009年(根津美術館:那智滝図をイメージ)、「炎舞」2009年(速水御舟の作品イメージ)など黒い作品はこうして作られたのか~と納得してしまった。

黒の動物たちはオブジェだけでも欲しいです、私は。
更に、エッチングだけを印画した状態の作品も複数展示。ここまで見せていただけると、さすがの私も制作過程が理解できます。

今日は運良く山田純嗣さんが会場にいらっしゃって、制作手法などなど直接お話を伺うことができました☆☆☆
ハンサムな方で、年甲斐もなく緊張してしまった。。。

これだけの展覧会もっともっと沢山の方に見て欲しい。
特に、とってもかわいいオブジェ達はこの先見ることができないかもしれないです。

個人的に一番お気に入りは、やはりUNICORNとその左隣にあった「FROG」2009年。
山田さんが作られる動物や草花はどれも素敵です。
そして、その上に描かれた無数の線、模様はオブジェに与えられた新しい命の糸口なのかもしれない。


作家さんの言葉によれば、この展覧会のテーマは次の通りです。
「絵画は物質に過ぎないが、その本質ははそれを通じて感じる不在の理念の方にある。それを顕すには、絵画に対する奉仕、つまり絶対的な信頼、愛が欠かせない。そんな気持ちで私はこの展覧会の副題を “The Pure Land”(浄土)とした。『囚われの一角獣』、『那智滝図』をはじめとした、私の好きな名画をもとにした作品とともに、会場に不在の理念としてのまだみぬ浄土が顕れることを願って。」

なお、オブジェには出会えませんが、その他の最新作は8月3日(月)~29日(土)より、八重洲の不忍画廊で「山田純嗣展」にて展示される予定です。東京近県の皆様はぜひお運びください。

*7月29日(水)まで開催中 (注)会期が当初の7月25日から延長されました。
会場最寄駅の八事は名古屋駅から地下鉄を乗り継ぎ30分弱。駅の5番出口と大学は直結しているので便利です。

「塩田千春展-流れる水」 入善町下山芸術の森 発電所美術館

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早朝7:20羽田発小松空港行の飛行機で、今朝から北陸入り。
初日の目的地は富山の水墨美術館&発電所美術館だが、レール&レンタカーで富山駅からレンタカーを使用したかったのと、早朝の飛行機はお値段が安かった等々の理由で小松空港を目指した。

小松→富山までJR、富山からは前述の通り駅レンタカーで入善を目指す。

さて、行って来ました。「塩田千春展-流れる水」開催中の発電所美術館
これで2回目の訪問(1回目は内藤礼さんの「母型」)です。

そして今回も私が到着するのと前後してお客さんが帰られ、帰る時に新しいお客さんが来られたので、結局あの広い空間を独り占めしてしまった。

噂には今回のインスタレーションの様子は聞いていたし、5月だったかに行われた資生堂ギャラリー主催の塩田千春アーティストトークにもしっかり参加して、塩田さんについての予習も完了。
しかし、毎度のことながら、噂や話やスライドでは作品の本質に決して触れることはできないと痛感する。

中に入って、早速作品と対面した。
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会場の展示の様子は「Art Lover Blog」様で沢山の画像が紹介されています。

白く塗られた病院用のベッド(これは塩田作品ではよく使用される)が天井から扇状に床に向かって広がりつつぶら下がっている。
全部で35台のベッド。
床に向かっているのか、天井の高みへとベッドが昇っていくのか、それは見る人の感じ方受け取り方によるだろう。
最初、私はベッドが宙吊りになっているのを見て、痛ましい気持ちになった。

ポツ、ポツ、ポツ。
音がする。
耳をすますと聞こえてくるその音は、天井から水の雫が落ちている音だった。
ベッドの周りを歩いてみると、高さ5センチ程度の鉄の枠の中に水がたまっている。

その時だった。
美術館の係の方が展示室内に入ってこられ、壁からぶら下がっているハンドルを引っ張っる。
すると、天井に据え付けてある6つ(だったと思う)のシャワー口から一斉に水が勢いよく流れて来た。

音が変わる。
サーっ。
ベッドの近くまで行くと水しぶきが自分にもかかる。
ベッドに跳ね返った水は、鉄の枠に落ちてたまり、外の排水溝に流れて行く。
どんどんどんどん水が天井から降ってくる。

その状態のまま、2階にある展示コーナーへ上がって、上からインスタレーションを眺めて見ると、これはこれで壮観な景色だった。

「美術館が立地している黒部川扇状地から湧き出る水を思わせる、天井から吊るされたベッドにはシャワーから伝うように「命の水」が流れるというイメージを作品化した」~展覧会チラシより引用~


2階にも最新作が展示されている。
・「待つこと」
またベッドのインスタレーション。こちらには白いシーツと布団、枕がセッティングされており、その横には点滴用のスタンドやチューブ、そしてベッドの上には古びた家族の写真が何点か置かれている。
額に赤い針金がぐるぐると巻きつけられているものもある。

・「旅立ちの時」
2つの革鞄とひとつの木箱。真ん中の鞄には電話が1つと受話器が複数ぶら下がっている。右端木箱には川石が、赤い糸と針金でまとめられている。左端の鞄は3つの中で一番高い位置にあり、中が覗けなかったが、恐らく空だったのではないか?
旅することが多い塩田の日常を作品化したものと思われる。電話でいつも現実に引き戻されると彼女は言っている。

クレヨン、水彩、赤い糸を使用したドローイングが5点。
・「出口」
・「内へ」
・「対話」
・「横たわる」
・「流れる水」
いずれも人をモチーフにしているのが特色で、赤い糸がイメージさせるのは「血」だろう。

全ての作品を通じて感じるのは、塩田千春作品でテーマとされることの多い「生と死」。
特に今回は「生」を強く意識した作品となっている。
塩田自身はかねて死、生きることへの不安を作品化し続けて来たが、出産などの体験により次第に「生」を強く感じるようになったという。

シャワーから出る水はいつまでもいつまでも流れ続けているので、係の方に水道代は?と伺ったら、発電所美術館のある地域は地下水が豊富な水系であるため、水道代の徴収がないとのこと。
しかし、「地下水をくみ上げるポンプの電気代はかかりますが・・・。」と説明いただいた。

最後にシャワーの水を止める瞬間もまた見所のひとつ。
勢いよく流れ出ていた水がとまり、静寂が訪れる。水に映りこむベッドの影も何か語りかけてくる。

そして、窓の外から雨音が聞こえてきた。
夏の通り雨。
美術館を出る頃には、通り雨は止んでいた。
夢のような、日常と非日常がクロスした不思議な経験。
発電所美術館での塩田展は、塩田千春が海外を拠点として活動しており、予算的に通常困難な企画だったが、今年は隣県の新潟で妻有トリエンナーレが開催され、塩田の参加も決まったため、トリエンナーレ作品制作とからめてのタイミングなら可能と本展にGOサインが出たのだそうです。
景気のせいか美術館の予算も削減され企画展も年3回→2回を余儀なくされる中、これだけハイレベルなアーティスト招聘、制作、学芸員さんはたった1人でとても頑張っていらっしゃる。
天井のシャワーも業者に依頼すると、予算超過になるため何と、学芸員さんが設置されたとか。
それで入館料500円は安い!
が、県外在住者にとっては入館料より交通費の問題の方が大きく、でも交通費など美術館には還元されないのだ。
塩田千春の世界にどっぷりと浸れたのは本当に幸せだったと思う。

9月6日(日)9月23日まで開催中(好評につき会期延長)。もちろん、オススメします。

車の場合、ETC車なら入善スマートICより5分。
私はETCカードを名古屋に忘れたので、黒部IC利用、そこから約10~15分程度でした。
東京からなら、飛行機で富山空港(ANA)を目指し、そこからレンタカーで入善を目指すのがもっとも時間的に効率が良いと思います。
富山空港→富山IC→黒部または入善ICまで約1時間。飛行機は1時間として東京から2時間圏です。
運転得意なら、小松空港利用でJR使用せず金沢21世紀やらをからめてもよし。

「うみのいろ うみのかたち」 ブリヂストン美術館

ぐるっとパスを使用してブリヂストン美術館に行って来ました。
現在同館ではテーマ展示「うみのいろ うみのかたち」と夏にぴったりのテーマ展示を行っています。

前回のテーマ展示マティスの時と同様に、今回も立派なカラー刷りのミニパンフかつ作品リストをいただいて会場入り。

「かたち」「いろ」「モティーフ」「イメージ」の4部構成で「海」というテーマを通し、コレクションの中から30点を選び、その種類と表現方法の多様性を紹介するものです。
展示作品画像はこちらをご覧ください。

<Shapes かたち>
何度か見ている青木繁の≪布良の海≫をさしおき、ぐっときたのは和田三造≪海≫。
波が岩にあたってしぶきをあげている様子が描かれた大作です。
青木のやや穏やかな海とは対照的に、こちらはかなり荒い海。和田三造描く海の色が気になりました。緑の入れ方が、私の好きな海の色に近い。

藤島武二≪淡路島遠望≫1929年、≪ナポリ湾≫1908-1909年、≪潮岬海景≫1931年
藤島作品は3点出ていましたが、遠景の淡路島を描いた作品のみのっぺりと平面的でのんびりした風景を描いています。他の2点は小品ですが、絵の具を厚めに塗った粗いタッチの作品。
私はのっぺり淡路島より、≪ナポリ湾≫が好みでした。

<Colors いろ>
海を描いた色に秀でる作品と言えば、まずはモネ≪黄昏、ヴェネツィア≫1908年頃。
ブリヂストン所蔵品のモネの中では圧倒的にこの作品の色に惹かれます。海の色より、黄昏時の空の虹のような色のグラデーション。

安井曾太郎≪内海上空≫文藝春秋の1954年8月号表紙絵
小品ですが、画面を単純化しているので、一見何が描かれているのか分かりづらい。
よく見ると飛行機の窓から見た瀬戸内海の景色と飛行機の翼だということが分かってきます。
マティスの影響を受けているのでしょうか。

金山平三 ≪港≫ 1945-56年
金山平三は不勉強で初めて知る作家さん。前にも拝見したことがあるかもしれませんが、記憶にない。
モネ、藤島武二と続き、一転してこの金山の≪港≫は写実的な港の風景を俯瞰して描いています。
落ち着いたややグレーがかった配色も他の作品とは一線を画し、とても印象的。
金山作品はまとめて見たくなりました。

ピエール・ボナール≪海岸≫1920年
ボナールはここ1年くらいの間にどんどん好きになってきました。
この≪海岸≫も右端の犬が愛らしく、見ているだけでのんびりとした感じになれる1枚。

<Motifs モティーフ>
古賀春江 ≪海水浴の女≫ 1923年
これはとても見たかった1枚。古賀春江ファンとしては1枚でも多く彼の作品に接したい。ピカソの影響を受けているようで、思わず伝説の≪アヴィニヨンの娘たち≫を思い起こさせる。
キュビスム的な水着姿の女性のとらえ方が特徴的。雲の形にも要注目です。

ポール・シニャック ≪コンカルノー港≫ 1925年
「いろ」のコーナーに入れても良いのではと思うほど、明るい色彩。

藤島武二 ≪港の朝陽≫1943年
昭和天皇の即位を祝うための作品依頼を受けた藤島は日の出をテーマに多くの作品を描きました。
本作もその1枚。今回藤島作品は最後のイメージ以外で全てに出ていたけれど、海をよく描いていたのだろう。

<Images イメージ>
ここでは必ずしも海をテーマとして描いた作品だけを紹介していない。ただ「海」をイメージさせる何かを持っている作品たち。

古賀春江≪涯しなき逃避≫
今回もっとも印象深かった作品。解説によれば本作はドイツ人医師の著書「精神病者の絵画」に掲載された絵をもとにしているそうだ。
画面中央を横切る水平線のような直線と空間を浮遊する生物は古賀自身が追加したモティーフ。
彼のシュルレアリスム的作品。
ポスターになりそうなデザインセンスを感じる。
古賀春江≪感傷の静脈≫1931年も未見作品。これだけ普段見られない古賀作品を見ることができて大満足。

ザオ・ウーキー≪07.06.85≫1985年、≪21.9.50≫1950年
やはり、海を感じさせる抽象絵画と言えばこのザオ・ウーキーの≪07.06.85≫が一番。
何度見ても吸い込まれるような群青色と白と他に様々な色の組み合わせによって大画面を構成。
今回、初期の作品(小さめ)も展示されていて、船を感じさせる模様が描かれているような、こちらも素敵な作品でした。


本展に関連して土曜講座「海を描く画家たち」(全4回)が開催されます。1回あたり2時間(14時~16時)。古賀春江に関する講演「古賀春江と海のイメージー絵画と詩をめぐる考察」が開催されるので、早速チケットを購入(400円)しました。
詳細はこちら

村上滋郎 「オコタがタワーでキャンピング」 TWS本郷

「TWS-EMERGING2009」2回目<119~121>の村上滋郎、松本奈々、小林達也の3名による展示をTWS本郷へ見に行った。

圧倒的だったのが村上滋郎 「オコタがタワーでキャンピング」。

MURAKAMI

2階の1室を使用して村上滋郎の世界が広がっている。
手前の小部屋はペインティングだけ。
そこを出ると、まさに「オコタがタワーでキャンピング」なのである。百聞は一見に如かず。「名は体を表す」とはよく言ったもの。

村上滋郎のプロフィールや今回の展示にあたってのコメントはこちら

ミクストメディアで流木やレコード盤、ガチャガチャの球形ケース、こたつなどなど様々な既存の製品やものを利用してキャンプ場を作り上げた。
村上滋郎曰く「ユニット」をテーマに既製品を組み合わせて制作活動を続けているする。

横浜美術館で大規模な個展を行った金氏徹平も既製品を使用して別の世界を作り上げていたが、私はこの村上滋郎の世界の方が好き。
とにかく楽しい。
そして、小学生の時のキャンプの楽しかったことまで思い出して、懐かしくなってしまった。
壁を飾る大小様々なドローイングも愛らしく、ミクストメディアと併せてユニットを構築している、共存関係にあると言って良いと思う。

相当な時間、この部屋にいて部屋を2周はした。
もう少しいても良いくらいだった。

今一番楽しんで欲しいインスタレーション空間です。
大人も子供も楽しめること請け合います。

*7月26日(日)まで開催中。 
11:00~19:00 入場無料 月曜休館、祝日の場合は翌火曜日

「中林忠良銅版画展-すべて腐らないものはない」 町田市立国際版画美術館

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仕事からみで町田に行くことになり、早めに終了したおかげで、帰りに町田市立国際版画美術館で開催中の「中林忠良銅版画展-すべて腐らないものはない」に立ち寄った。
ちょうど先週のNHK「日曜美術館」のアートシーンでも紹介されていたばかり。

中林忠良も初めて聞く版画家。
1937年に東京に生まれ、1959年に東京藝大絵画科に入学、当初油彩画を学ぶが、次第に油絵の具に違和感を覚える。そんな時、駒井哲郎と出会い、彼の銅版画に魅了され指導をあおぐことになる。
本展は、中林が銅版画と出会った1961年から現在に至る48年間の創作活動を7つの局面に分け、版画集も加え130点余りの作品で展観するものです。

冒頭に、銅版画を始める前の油彩「裸婦」1960年が創作への一歩として紹介されている。確かに上手いけれど、個性はあまり感じられない。よって私の印象にも全く残っていない。

7つの局面は以下の通り。
Ⅰ 版画事始め 1961-1967
Ⅱ 衆と個 1968-1972
Ⅲ 状況の受容と抵抗 1972-1975
Ⅳ あらためて原点の模索 1976-1978
Ⅴ Position-野辺へのレクイエム 1979-1995
Ⅵ 転位-版、位相の構造 1980-2001
Ⅶ 黒(暗)と白(明)の拮抗と調和 1995-2009

版画事始めの本当に最初の2点は駒井哲郎の影響が明らかであった。思わず駒井の作品かと思ったほど。
しかし、その後「根」「Nucleus]yorino便り」シリーズなどからすぐに個性があらわれ始める。
そこから先は、どんどん中林の版画世界に魅了されていくことになった。

どの局面の作品も私には好ましかった。
「Flower Age Ⅰ」 1968年の黄色のパンジー
「白い部屋」シリーズでは背景にベラスケスの「王女マルガリータ」が画中画として使用されていたり、シュールレアリスム的だったり、作者にとってかなり冒険的試みだったのではないか。

「囚われる風景」では「白い部屋」から一転して黒の量が増える。

1976年に恩師駒井哲郎の死に接し、その際に制作した「師・駒井哲郎に捧ぐ-碑」1976年は、他の作品とは一線を画していた。まさに駒井哲郎に捧げた墓標以外の何物でもない。
中林の悲しみが単純な構図にも関わらず作品から伝わって来た。

この駒井の死を契機に、作品は更に高みへと、深まっていくように感じた。
「Position」シリーズで見せる草花の枯死?なのか、時間が停止しているような印象を受ける。

そしてもっとも好きなのがシリーズ「転位-地」。1980年から「転位」と題するシリーズ作品の制作が始まり、現在2009年の最新作に至るまで継続している。
様々な転位シリーズの中でもっとも好きなのは「転位’04-地-Ⅰ」2004年、「転位'07-地-Ⅱ」。
黒と白の反転、分量、平面作品なのに立体的にも見え、奥はどこまであるんだろう?と思わせる遠近感の錯誤。
静かで、深くて、やはり時間が止まってしまったような感覚を受ける。

「Transposition-転位-Ⅲ 腐蝕過程Ⅰ」では、腐食液に銅板をつけこみ、2時間腐食ごとの過程を全18枚に刷りあげる。
時間の経過とともに銅板は溶けて、腐触34時間目に残された形は長くのびた丸のようになっていた。

版画集は全7点が展示されていた。どれも思わず欲しくなるような出来栄え。
「蝕海頌」(オリジナル版画集). シロタ画廊 Gallery Shiroma/, 1975
「大腐爛頌(オリジナル詩画集) 詩・金子光晴」 1975年 ギャルリーワタリ刊
この2つが特に良かった。
版画と詩というのは、なぜこんなにも合うのだろうか。

つくづく見ることができて良かったと思った。

本展のasahi.comの展評を見つけた。こちらをご覧ください。

*8月2日(日)まで開催中です。

「近代日本の花鳥画~花と鳥の肖像~」 講談社野間記念館 

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講談社野記念館で開催中の「近代日本の花鳥画~花と鳥の肖像~」を見て来た。
今回は、最初から昼食を野間記念館の屋外テラス席で食べようと、東武百貨店で購入し持参した。

さて、やはり野間記念館はそれほど広くはないが、毎回楽しませてくれる。
今回も日本画の名画が目白押し。存分に堪能させていただき、更にのんびり緑溢れるお庭を眺めつつお昼をいただくのは至福のひとときだった。

展示は、大正から昭和初期に確かな地歩を固めた花鳥日本画家たちの作品を厳選して展示。特にメインは荒木十畝とその師である荒木寛畝の作品。
私は師弟関係が逆かと勘違いしていたが、十畝の方が弟子だった。何たる不勉強。

で、いきなりすごい1枚が銀箔二曲一双屏風に仕立てられている。
≪梅に烏≫ 1902年 荒木十畝
墨画淡彩で、極めてシンプルな構図なのだがこの銀箔のバックにはぴったり。カラスは好きではないが、この絵は好き。
荒木十畝の大作が続く。
≪残照≫ 1920年
≪黄昏≫ 1919年
いずれも色鮮やかな大作で、目がうるうるしてしまう。しかしこの2作品は対照的であった。
残照の方は夕日に照らされて金色に輝くザクロの葉と赤い実、そして山茶花と画面をいっぱいに使って色鮮やかな花と鳥(小さな鳥が1羽)を描ききる。
あまりに色鮮やかで、タイトルが≪残照≫でなければ夕暮とは分からなかっただろう。

対する≪黄昏≫は色数を抑え秋の夕刻を描いている。
群青と白い猫の対比にはっとする。夕刻というより夕闇迫るその間際といった様子に見える。
本作は第1回帝展出品作で、圧倒的な評価を得て、2回目の帝展から審査員に選抜された。

山口蓬春 ≪四季花鳥≫ 1933年
野間には本当に良い日本画がある。この作品は四季の花鳥を描いた四幅対。
それぞれの季節のどれもに作者の温かな視線を感じる。

第2室にも、見たことのない名品がずらり。

速水御舟 ≪朱華琉璃鳥≫ 1933年
あまりにも御舟らしい1枚。何がと言えば、その色使い。大きな椿の赤い花は良しとして、問題は椿の葉。緑色の部分より、黒い部分の方が多い。そして椿の枝にとまる瑠璃鳥の胸元は黒。
この赤黒瑠璃色の3色の対比が見事。瑠璃鳥の腹部分は白で、それがアクセントになっていた。

安田靭彦 ≪春雨≫ 大正時代
これは第2室のマイベスト。散ってしまった椿の花、散ってしまったのは雨に打たれたせいかもしれない。春の雨が柔らかく描かれていて、ゼンマイが春の季語のように季節を表す。抒情的。

永田春水 ≪皐月頃≫ 大正期
この季節にぴたりと来る。涼しげな作品で見ているだけで涼を呼ぶ。作者の永田春水の名は知らなかったが、野間の解説によれば荒木十畝の弟子筋にあたる。

第3室にも荒木十畝の四幅対≪四季花鳥≫があった。中でも春と冬が好き。冬にはおしどりが仲良く描かれていて微笑ましい。

野間記念館ならではの十二ヶ月図色紙も荒木十畝、木村武山、堂本印象、小茂田青樹、徳岡神泉ら他充実した内容で、必ずお気に入りの十二ヶ月図が見つかるはず。

これで野間記念館も夏季休暇に入り、秋には「近代日本の洋画」展が9月5日より始まる。野間の洋画コレクションも楽しみ。

*7月20日(月・祝)まで開催中。


「向付-茶の湯を彩る食の器」 五島美術館

五島美術館で開催中の「向付」展に行って来ました。
mukou

「向付」とは、茶の湯の食事「懐石」に使用する食器のうち刺身などの料理を入れる器のこと。
懐石膳の向こう正面に置くことからその名がついたと言われているそうです。
他の懐石道具は揃いで作った漆器なので、陶磁器の「向付」はお膳の中で華やかな彩りを添える重要な役割を果たすことになります。

また、16世紀末から盛んに取り入れられた「向付」のデザインは今も日本の食器の中に息づいておりその影響力がうかがわれます。

本展は、「向付」が茶の湯の食器として取り入れられた16世紀末から江戸時代、18世紀中ごろまで使われたものを中心に約100件集め、日本食器の多様性の原点として「向付」の魅力を紹介しようとする試みです。

以下展覧会の構成と共に印象に残った作品(相当数になった)をご紹介します。 

第1章 和物-桃山時代

・≪黄瀬戸向付≫ 個人蔵

・≪志野草花文四方筒向付≫ 東京国立博物館
私はどうも筒型の向付に著しく弱いことが判明。

・≪志野竹の子文筒向付≫ 徳川美術館
竹の子文ってありですか?かわいい。

・≪弥七田織部高脚四方向付≫ サントリー美術館
サントリーは後半、色絵でも良い向付を沢山出していた。

・≪弥七田織部猪口≫
上の向付とセットで出したら楽しそう。

第2章 和物-江戸時代

・≪仁清百合形向付≫  野村美術館
品の良さはピカイチ

・≪乾山絵替筒向付≫ 湯木美術館
筒と同じく弱いのが絵替。これはその両方の要素がミックスされ、乾山の中では一番だった。

・≪銹絵染付幔幕文筒向付≫ 京都国立博物館
絵付けが可愛い上に、種類も豊富。こんなのがあったら、自分のはどれにしようか迷う。

・≪色絵唐花文向付≫ サントリー美術館

・≪白現川葡萄文割山椒形向付≫ 福岡市美術館
割山椒の形をした向付は人気だったのか、何点もあったが、シンプルにして清楚。夏にぴったり。

第3章 中国製-古染付・祥瑞
☆印なしだが、個人蔵の古染付や葡萄葉形向付は良かった。

第4章 中国製-赤絵
赤絵はともかく金襴手は静嘉堂の素晴らしいのを見ているのでピンと来ず。あのとき、向付は出ていただろうか?そう言えば、出展美術館の中に、静嘉堂の名前がない。
近くなのだから、まさか1点も向付がないってことはありえまい。
・≪色絵祥瑞輪花絵替向付≫ 個人
やはり、絵替に嗜好が偏る。

第5章 その他
ここでは、オランダや華南など日本でも中国でもないものが出ていた。
・≪寄向付≫ 北村美術館
全部で5点、それぞれ鼠志野、志野、唐津、織部、珍しい白地金襴手のセット。

どれかひとつ、持って帰って良いと言われたら、この寄せ向付か乾山の絵替だろうなぁ。

以上103点もの向付の他に発掘参考資料として、京都考古資料館から各窯元別の出土品向付が51点も展示されている。

もう1度行きたいくらい素晴らしい内容でした。
やきもの初心者のために、専門用語解説チラシもあります。こういう丁寧さがこの美術館の好きなところ。解説も長くなく短くもなく適度で好ましい。

*7月26日まで開催中。

2009年7月12日 鑑賞記録

海の日をからめた3連休に都内にいないので、会期終了が近い展覧会とやたらめったら展示替えのある三井記念美術館の「道教の美術」などをはしご。
移動距離多すぎ、かつ、効率悪すぎ。
でも、見たいものから見て行くとこうなってしまうんですね。

ひとつひとつ記事をアップできそうにないのでまとめて本日の鑑賞記録とします。

「純粋なる形象 ディーター・ラムスの時代-機能主義デザイン再考」 府中市美術館 7/20まで

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これは、行こうか迷っていた。
私はデザイン関係の仕事をしている訳でもないし、でもちょっとデザインには興味がある。
フクヘン」ではデザイン関係者などは必見の展覧会扱いされていたし、「中年とオブジェ~魅惑のモノを求めて~」のテツ様の記事を拝見し、やはり行くことにした。
決めたはいいが、府中は遠い。府中駅からバスっていうのが不便。

で、展覧会の内容はデザインの歴史をたどりつつ、ブラウン社のデザイナーだったディーター・ラムスのデザインした製品やブラウン社のデザインチームが制作した製品を紹介する。さらに、後年のデザイナーがいかにラムスの影響を受けたかやデザインの10原則などと共にその功績を振り返る。

ディーター・ラムス(Dieter Rams 1932年生まれ)
建築とインテリアデザインを学んだ後、1955年ブラウン社に入社し、61年からはデザイン部長としてチームを牽引。つねに「良いデザイン」に誠実であろうとした40年以上におよぶ彼の活動は国際的に高い評価を獲得している。

ラムスの信条「Less but Better―より少なく、しかし(それゆえ)より良い」。
デザインはシンプルかつ機能的であることが一番と私自身は思っているので、彼のデザインには共感できる所があった。
一番すきだったのは、電卓、白雪姫と呼ばれるレコードプレーヤー、そして今なお販売されている壁面収納シェルフ。
展示を見ていたら、自分の雑然とした部屋を急に何とかしたくなった。

ちなみに図録はぶっとい故、4000円と高価格にも関わらず売れ行き好調。残部少なそう。欲しい方はお早めに。

常設は木版画特集といつもの牛島憲之作品、いずれも併せて楽しめたが、公開制作は話題の鷹野隆大 ( たかのりゅうだい)。この日は12時から現像?を行うようで午前中はclose。残念。


「華麗なる貴族文化の遺宝 唐三彩と古代のやきもの」 静嘉堂文庫美術館 7/26まで
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さすが、静嘉堂文庫と言いたくなるような唐三彩。高さ1.3メートルもの巨大な文官2人の像は圧巻だった。あ・うんでお墓を守る獅子や首をひねってくつろぐ様子のやきものなど、表情豊かな作品が多い。
重要文化財は1件、≪三彩貼花文壺≫(上図)の白釉の陶肌の上に、メダリオンのような三彩の飾り付け。
これぞ、シンプルな美ではなかろうか。
≪加彩魌頭≫唐時代の着彩の細かさ、今でも肉眼視できる保存状態の良さに感動した。

出光美術館の次回展が唐三彩。今年、この両館は水墨画に続いて、企画がだぶる。さて出光はいかに。

「向付」展 五島美術館 7/26まで

この企画展は、鑑賞記録などで簡単にすませられないような充実した内容。
何しろ、全国の美術館・博物館から向付の名品をかき集めて並べている。
もう眼福以外の何物でもない。
春に田中丸コレクションで九州の焼物、窯を総さらえしていたのが今回役立った。それにしても、私もだんだん焼物を見るだけで、○○焼、唐津、黄瀬戸、織部などなど分かるようになったことが大進歩。
何も分からずとも、知らぬうちに覚えていけるようだ。
詳細は、明日別記事を挙げます。


「道教の美術」三井記念美術館 9/6まで ただし、展示替えあり!

この企画展、やたらと展示替えが多い。展示作品数に比べ、箱が小さいので具合が悪い。
7/26までしか展示されない作品は以下5点。
≪老子像≫ 牧谿 岡山県立美術館
≪老子出関図≫ 商喜 明時代 MOA美術館
≪神農図≫ 雪舟 岡山県立美術館
≪天帝図・北帝≫ 元時代 霊雲寺 重文
≪七星如意輪曼荼羅図≫ 鎌倉時代 引明寺

それ以外でも大半の作品が8/2で入れ替わるので要注意。8/9までというのもあり。
いずれにせよ、全体像がわかりにくいので、大阪市美のような大きい箱でどかんと見る必要がありそう。今回は予習です。
図録は、電話帳並の厚さで2,500円か2,400円だが、印刷は良かった。


「浜口陽三 生誕100年記念展-未公開の作品群ときらめく銅版画」 ミュゼ浜口陽三 7/20まで
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「二人の裸婦」 1950年

地下展示室の未公開・新発見の油彩作品が珍しく新鮮だった。
佐倉市美術館に行った際も、新発見作品の一部が展示されていたが、さすが本家本元量が違う。
≪台南孔子廟≫
≪月・星・橋の風景≫
≪ジュンヌ・フィーユ≫
≪貝殻≫
≪コーヒーミルとさくらんぼ≫
≪赤い花の咲く風景≫⇒ これが今回のマイベスト。鮮烈だった。これも新発見。

ぐるっとパスの使える美術館。水天宮からすぐなので、ぜひ新発見作をご覧ください。版画家浜口陽三の別の一面を見ることができます。

「日本の“美術”の愛し方-美への扉-」 徳川美術館

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徳川美術館で本日(7/12)まで開催の「日本の“美術”の愛し方-美への扉-」を見て来ました。
記事アップが会期ギリギリになってしまい、申し訳ございません。
本展については、「Art&Bell by Tora」様が詳細な記事を書かれていますのでご高覧ください。

本展は、「青磁」「水を表す」「遊楽図屏風」「動物へのまなざし」の四つのテーマから、徳川美術館が所蔵する優品のみどころを紹介し、日本の美術の歴史をたどるものです。

それにしても、所蔵品だけで約110点の作品から展観するって、凄いことだと思う。

<美を見いだす-青磁玩賞-> 

「青磁の美」
・青磁中蕪形花生 南宋
青磁の美というのは、どこを見ればよいのだろう?どうも、鑑賞歴の浅い私が見る限り、発色、美しく優品と言われるものは濁りがない。
次に形。バランスがとれた、美しく整った形が好まれるのか。
その観点から見ると、この蕪形はやはり美しかった。

・青磁吉祥文字文花生 明
展示品にはこれら花生と香炉が多く、茶道具コレクションが多いのだと分かる。
吉祥文字文のめでたい図柄。

「識別するまなざし」
・青磁袴腰香炉 南宋・元
・飛青磁振出
振出は先日、現代陶芸作家の青木良太さんの作品を拝見したばかりだが、元々は元・明下手するともっと前から存在していた道具だったと知る。
この青磁振出もかわいい。

・珠光青磁茶碗 銘 荷葉 元-明
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ちりめんのような気泡あり。気泡などあってはならないのかもしれないが、景色になっていて良いと思った。こちらは、青磁と言っても青いわけではない。黄みを帯びた発色。村田珠光が好んだということで、珠光青磁と呼ばれる。

・青磁獅子耳付花生 清
展示品の中では新しい清時代の作品。
耳付花生では南宋の≪青磁鳳凰耳花生≫や≪青磁鯱耳花生≫など名品もあり。鯱耳とは、名古屋に相応しい。

「用いる心 伝える意志」
・楼閣人物図螺鈿中央卓
螺鈿細工には本当に弱い。これも精緻な明時代の工芸品。

・青磁香炉 銘 千鳥 徳川家康所有 大名物 南宋

≪美の創造-うつろう水を表す-≫
「水の質感」
・鯉亀図風炉先屏風 円山応挙 2曲一双
何度見ても良い。亀だらけ。小さな子亀もいる。応挙は子犬とか子亀とか小さく愛らしいものを愛でていたのだろう。何となく人となりがしのばれる。

張月樵の屏風と軸ものが各1点。≪雪中花鳥図屏風≫はぎっしり、みっしりと画面密度が濃い。
他にここでは広重、国貞、などの浮世絵が展示されていた。

「水の意匠」
蒔絵は徳川美術館お得意。今回は≪波に桐蒔絵香箱≫桃山-江戸が華麗であった。時代を遡った室町の経箱や硯箱もあったが、桃山の華やかさには勝てない。

・封筒各種 真光院良子(尾張家18代義礼夫人)収集 明治-大正
この水の意匠の封筒が愛らしい。いかにも明治・大正のデザインがあふれていて、このような封筒まで水の意匠が好まれていたことがよく分かる。

<近世日本人の「自画像」-遊楽図屏風を中心に->
ここがメイン展示になる。
・遊楽図屏風(相応寺屏風)8曲1双 重要文化財 江戸
byoubu
江戸初期の遊楽図屏風は、賑やかで見所が多い。これも名品。じっくり堪能。次はいつ出してくれるやら。400名以上が描かれているという。


・華洛四季遊戯図巻 上巻 円山応挙筆 2巻の内 重要美術品
夏の鴨川べりで夕涼みをする人々を描く。線香花火を楽しむ人、飴売り、団扇売り、流しそうめんらしきことも行われている。そうめん流しって江戸時代からあったのか?ところてん?
oukyo

<動物へのまなざし-いきいき、かわいい->
「いのちの表現」
・里すゝめねぐらの仮宿 歌川国芳
・道外獣の雨やどり 歌川国芳
動物を描かせても上手い。めったに外に出さないのか発色が素晴らしい。

根付が何点かあったが、工芸品にも動物意匠は好まれている。

「動物大集合」
最後は水滴、香炉、香合、水指、陶印、目貫など様々な文房具、工芸品の数々で締めくくる。
現代でこんなに凝ったものを作ったら、いや作れるのだろうか?と思った。


併設の蓬生文庫では「七夕」「近代の詩歌」と題した特集展示を行っていた。

ことに近代の詩歌では表紙絵、装丁などを蔵書から楽しむ趣向。
七夕の方は季節がらぴったりな展示内容。七夕伝説は、中国で生まれ、奈良時代に日本に伝わり、平安時代の宮廷儀式として発展した。このあたりは、三井記念美術館で開催中の「道教の美術」にも出てくるかもしれない。

*本日(7/12)で終了。

「ヘルシンキ・スクール写真展 風景とその内側」 資生堂ギャラリー

資生堂ギャラリーで開催中の「「ヘルシンキ・スクール写真展 風景とその内側」を見て来ました。

ヘルシンキがどこの国だったか思い出せない(答:フィンランド)私なので、ヘルシンキ・スクールって?と分からぬままに会場入り。
で、これが大当たり!!!
この写真展、すごく良い。写真好きの方なら必見です。私も再訪するかも。

そもそもヘルシンキ・スクールとはギャラリーHPによれば・・・(ちょっと長いですが)
ヘルシンキ・スクール(ヘルシンキ派)とは、ヘルシンキ芸術デザイン大学の教育課程から導き出されたアプローチや考え方を継承する教師、学生、卒業生たちのグループを名づけたもの。
ヘルシンキ・スクールは、今回のゲスト・キュレーターであるティモシー・パーソンズが1982年に客員講師としてヘルシンキ芸術デザイン大学で教鞭をとるようになったことからはじまる。同大学では、ひとつの考え方を教えるのではなく、様々な教師により、それぞれの生徒の個性を尊重するという方法がとられており、また、写真の技術や理論を指導するだけでなく、卒業生たちをプロのアーティストとして育て上げることにも力を注いできた。
ヘルシンキ・スクールの写真に共通してみられるのは、美しい自然がつくりだす風景と、北欧独特の光と色の捉え方、風景の内にあらわされる物語性です。


出品作家は4名の若手女性アーティスト。各アーティストについての紹介はこちらをご覧ください。

まず、地下へ下りていく途中で1枚の写真≪満潮≫2006年がある。
これはスサンナ・マユリ Susanna Majuriの作品。彼女は、4点出品しているが、うち3点は水に浮かんだり、腰まで入っていたりする女性(1人だったり、複数だったり)をモチーフにしている。
水に浮かぶ女性と言えば、ラファエル前派のミレイのオフィーリアを思い出すが、その写真版のような雰囲気を醸し出している。抒情的。

地下の展示室まで入ると最初に目に入るのは、氷河の白く青い世界≪氷景Ⅱ≫2005年。
あ~、これぞフィンランド。
作家は、ティーナ・イトコネン Tiina Itkonen 1968年生まれ
北極圏に住む先住民族の人物写真を間にはさんでいるが、青白い世界から、こちらは一転して色の配色が素晴らしい。偶然なのか意図的なのか(いや意図的に違いない)、背景と人物の着衣の色が補色関係になっている。
・≪男Ⅳ≫2002年
・≪マーヤ≫ 2002年
などが最初の方に展示されていたせいか、特に鮮烈に記憶に残る。

次の作家は、サンドラ・カンタネン Sandra Kantanen 1974年
今回私が一番惹かれた作家。
中国の風景画に影響を受け、北京の中央美術学院に留学した経験がある。構図や色彩など、絵画の影響を多分に受けた風景や植物の写真を撮る。
彼女のフィンランドでの個展図録が参考資料として、カウンターに置かれていたが、今回の作品とはかなり違っていて、作家紹介の通り、中国風景画のような写真だった。
元々、中国絵画が好きなので好きになるのは当然の図式。

今回展示作品は全て最新作(2009年)。
sandra

一見すると、写真の上からペイントしたのかと思わせるが、実はそうでなく現像前にデジタルでネガを処理するのだとか。このあたりは、今回の展覧会図録に解説されている。
≪無題(潮2.養魚池)≫、≪無題(山3)≫などは幻想的で柔らかい光がある。

この最新作も良いが、旧作の加工なしの写真も好き。
写真集出ないだろうか。

奥の部屋には、スサンナ・マユリの3点と壁1面に、4名の中では一番サイズの小さな写真が9点並んでいる。
女の子らしい視点だなと思った。
作家はアンニ・レッパラ Anni Leppälä 1981年
日常の何気ない風景のように思えるが、実はそうではない。
さりげない物語性というのだろうか、何か訴えてくるものがある。

彼女の写真はブルータス・フクヘン鈴木芳雄氏が一番印象に残った作品としている。
フクヘンブログでの本展紹介記事はこちらを参照ください。

やはり、もう1度行こう。記事を書いていたら、また見たくなってきた。
図録1000円は迷ったあげく、購入を見送ったけれどこちらも買ってしまおう。手許に置いておきたい。
この展覧会のオリジナルリーフ?がとても可愛い。
もしかすると、もうなくなってしまうかもしれない。私が行った時には残り数枚程度になっていたが、補充されるだろうか。

ところで、8月2日に関連企画?なのか束芋さんと川内倫子さんの対談が資生堂ギャラリーで開催される。
ギャラリーHPでは何も案内されていないようだが、会場に参加申込用紙があった。
気になる方はお早めに。
締切日を確認するのを忘れたけれど、まだ間に合うのではないだろうか。
定員を超える場合、抽選あり。

*8月9日まで開催中。

「照沼 敦朗 展」 ~平面作品&アニメーション作品~ 月光荘 画室2

資生堂ギャラリーの帰路、ギャラリーグラフィックへ向かう途中、月光荘画室2の前を通りかかった。
何か気になったので、覗いて見た。

「照沼 敦朗 展」 ~平面作品&アニメーション作品~ 7/12(日)明日まで!
11:00~明日最終日は16:00まで
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平面作品の集積体がアニメーション。
アニメーション作品を3本か4本拝見したが、なかなか面白い。
特に兎のシリーズは、続きを作って欲しいなぁ。

原画の方は、ペン画が中心。アクリルか油彩もわずかだがあった。
相当に緻密な絵で、以前八王子の西洋版画の展覧会で彼の作品に似たような版画を見た気がする。

緻密な絵も、アニメーションにしてしまうと違和感はない。
また、音楽も悪くない。
比較論は良くないけれど、横浜美術館で拝見した金氏徹平さんの映像より、こちらの方が面白かった。

百聞は一見に如かず。作家さんのHPから映像作品を見ることができます。
あおひーさんに、ぜひ見ていただきたいなぁ。

*明日の16時で終了です。気になる方はお早めに。

竹谷満 「in the forest」 MEGUMI OGITA GALLERY

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竹谷満、日本初個展となる 「in the forest」のため、銀座エルメス裏のMEGUMI OGITA GALLERYに行って来た。

竹谷満氏は、1980年富山県生まれ。
2003年に絵を描き始める。特に専門の美術教育を受けていらっしゃる訳ではない。
2003年初めて「芸祭」に出展、以後2004年、2006年、2008年と2年ごとに出展。

この芸祭でMEGUMI OGITA GALLERYのオーナーである荻田氏の目に止まり、同ギャラリーの取扱作家となった。
その後ギャラリーの海外進出に伴い、
2008年 AQUA HOTEL MIAMI 
2009年 Pulse NY
      NEXT Chicago
      SCOPE Basel

海外のアートフェアでは顧客から「奈良の再来か」とか反響を呼んで、値段がこなれていた(水彩ドローイング10ドルだったか)で売ったため、相当数売り上げたとか。

今回の個展が始まる前、たまたまギャラリーに行ったら、既に個展の準備が始まっていて、床に竹谷の小さなドローイングが広がっていた。
その時は「アールブリュット」「素朴派」「子供のいたずら書き?」などといった印象を受けたが買おうとは思っていなかった。

ところがである。
荻田氏からギャラリーの壁一面に作品を貼り付けるのは大変だったけれど、完成したので、ぜひ見に来て下さいとメールがあり、オープニングの3日後行ってみた。
入ってすぐに、あっという驚きで一杯になる。

数週間前に見た作品が展示によってこんなにも、印象が変わるのか!
油彩も今回は6~7点程用意されていて、その油彩を囲むようにして小さなドローイングがひしめいている。
1点1点見て行くと、楽しくなってくる。
ユーモラスで、上手いのか下手なのか、色彩的にも面白い。
ここで、この色を使いますか?って思ったり。
絵本の挿絵や表紙とかのイラストを手がけても良さそう。

油彩は、加藤泉風の≪八月の海水よく≫など、こちらはまだまだ粗いけど色の組み合わせ、線の感じなど個性的。

絵の大きさなどによって値段に差があるが1枚1500円~。
愉しくなって、ついつい3枚購入。1枚だけより、複数枚買って、コラージュみたいに並べたら、絶対素敵だと思う。

こんな展示方法を考えた荻田氏はやはりセンス抜群。見せ方でこうも作品の印象が変わるのかと再認識できた。
アメリカでは段ボールに入れていて、お客からちゃんと並べた方が良いとアドバイスされたとか。

とにかく面白いので、ぜひその目で確かめてみてください。
荻田さん撮影の画像による本展パンフも素敵です。このパンフレットを見ていると、ついつい欲しくなってしまう。

*7月25日まで開催中。
MEGUMI OGITA GALLERYへは占いの看板が出ているビルが目印です。
エルメスより1分。
銀座5-4-14-4F 銀成ビル4F

「久野和洋-地の風景-展」 練馬区立美術館

kuno
≪地の風景・かたすみ≫

前回練馬区立美術館で開催された「現代の水墨画2009」を見に行った際、傘をそのまま美術館傘立てに忘れて来てしまった。
帰宅後忘れものに気付いて、慌てて美術館に電話したが、取りに来られるのはいつでも良いと言われそのまま早や1か月。

先日遊行七恵さんにそのお話をしたら、突如傘を憐れむ歌を突如歌われ、私の良心にプレッシャーを与えられた。そのおかげで、漸く練馬に出かけることにした。
遊行さん、その節は歌をありがとうございます!

さて、気になっていたのが「久野和洋-地の風景-展」である。
常設企画ということで、入館料無料。1階の常設展示室のみの展示なので、作品数は15点と多くはないが、大作もあり、見ごたえがあった。

久野和洋氏は、1938年名古屋市生まれ、ゴッホの生き様に感動を受け、画家を志す。
武蔵野美術学校卒業後、1974年には国立パリ高等美術学校に招待研究生として入学。
この滞欧時代に、ジョットの≪聖痕を授かるフランチェスコ≫に出会い、衝撃を受ける。ジョットの模写に励み、完成後帰国。昨年度武蔵野美術大学教授を退任。

今回は、入館無料にも関わらず作品集並の立派な全展示作品の図版が掲載されたパンフレットが配布される。このパンフレットは間違いなく保存版。

そして、肝心の絵であるが、件のジョットの模写作品に始まり(これも見事)、≪ノルマンディの教会≫1975年はかなり私の好み。

しかし、一番印象的なのは≪地の風景≫シリーズ。
≪地の風景≫1995年
≪地の風景・夕暮れ近く≫ 2003-2004年
≪地の風景・明ける朝≫ 2003-2004年
≪地の風景・坂の道≫ 1998-99年
はとりわけスケールが大きく、美しく、夕暮れ、朝焼けの2枚は横並びされていたが、椅子に腰をおろしてじっくり堪能したい作品。

≪地の風景・かたすみ≫(上図)2000-01年は、白ユリにキリスト宗教絵画的なものを感じたが、崇高さが現れていた。

気持ちが落ち着く素晴らしい作品軍だった。
お近くの方は、ぜひおでかけください。

*7月20日(月・祝)まで開催中。

「草間弥生展」 高橋コレクション日比谷

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日比谷に高橋コレクションが居を移した、間借りしたというべきかというのは知っていたが、やっと行って来た。

オープン記念ということで、第1回は高橋龍太郎氏(精神科医)が現代美術のコレクションを始めるきっけかとなった草間弥生コレクションの公開。コレクション第1号は1998年に彼女の油彩絵画・赤のインフィニティ・ネット(無限の網)≪NO.27≫1997年だった。

記念すべき)≪NO.27≫をはじめ、水彩とインク、パステルで描かれた≪Star≫など、油彩、アクリル、版画、水彩とバラエティに富んだ平面作品とお馴染みの立体作品≪手のアキュミレーション(ソファー)≫1980年、網目に覆われたミロのヴィーナスとペインティングによる≪STATUE OF VENUS  OBLITERATED BY INFINITY NETS (Y)≫1998年、≪鏡の部屋 No.3≫などこちらも充実している。

私のお気に入りは次の作品。
・≪春に立つ≫ 1977年 水彩・パステル・鉛筆・コラージュ

・≪自画像≫ 1995年 エッチング
草間さんのエッチングって初めてかも。エッチングもまた味わい深い。

・≪少女たち-愛はとこしえ≫ 2003年 アクリル/キャンパス

・≪Infinity Dots≫ 1998年
いつものドット作品。紫と白の組み合わせが好みの理由。

・≪ジュリエット・グレコ≫ 1970年
油彩、彩色した金網、木枠と珍しい作品。こんなのもあったのかという驚き。もう1枚シャロン・テイトをモデルにした作品もあったが、グレコの方が良かった。一番印象に残っている。

・≪Infinity≫ 1953-1984 エッチング
やはり。エッチング作品が気になる。グレコに続いてお気に入り。

入口でいただいたポストカードは実際の作品を見たら≪Star≫(冒頭画像)の方が良かったのでそちらをいただいた。
全部で28作品。ポストカード付きで300円。草間弥生の次は誰なんだろう?
今回は過去に見た作品も何点かあったので、満足感はあまりなかった。収穫はエッチング。

次回若手作家グループ展(↓)に期待したいかな。
「ネオネオ展 Part1 [男子]」
<会期>2009年8月1日(土)〜10月18日(日)
    ※8月14日(金)〜8月17日(月)休み

*7月26日(日)まで開催中。11:00~19:00 月曜休
☆ここなら、お子様とご一緒でも大丈夫でしょう。
東京都千代田区有楽町1-1-2 日比谷三井ビルディング1階
【交通案内】
 ・JR「有楽町」駅徒歩5分
 ・東京メトロ千代田線・日比谷線「日比谷」駅(A5、A11出口)徒歩1分
【入場料】一般 300円/大高生 150円 ※中学生以下無料

「袴田京太朗 展」 コバヤシ画廊

昨日見に行った内海聖史さんのブログ中で、「僕は現在袴田さんの作品に飢えています。なぜかは解りません。」とあるのを拝見し、迷っていたが気になるので銀座のコバヤシ画廊「袴田京太朗 展」に行って来た。

袴田さんの作品はアクリル板を重ね合わせて彫り込んだ立体作品。
作家さんのお名前に聞き覚えがあったが、作品を拝見してすぐに思い出した。

今回の新作展なかなか面白い。
基本的に作品は対になっているか、6点でひとまとめのような形になっている。
私が好きだったのは「葡萄」。
2体の女の子像が葡萄の房を持ち立っていた。それぞれ、木でできている部分とカラーアクリル板の積層部分の量がちょうど逆になっている。

このカラーのアクリル板と木の組み合わせが良いのだけれど、一番素敵なのはアクリル板の色の組み合わせではないだろうか?
形態も何か語りかけられているような感じ。

もうひとつは入口手前にあったカラーバット6本組み。
これが1本1本色が違っていて、素材の組み合わせ、色の組み合わせが楽しい。
部屋の奥に事務所部分があり、そこにも2点だけ小さな作品があった。
このうち1つはバット1本(単独)。
少しずつ異なる色相で構成されている。

表現手法は全く異なるが、色層の変化が見せ所の一つになっているのは、内海さんとの共通点か。
そう簡単にくくられるものでもないだろうが。
形も不均衡に見えるゆがみをうまく作りだし、アクリル色相が美しく見えるよう工夫されているように感じた。

*7月11日(土)まで
.M.11:30 - P.M.7:00 最終日はPM5:00で終了です。
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