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「江戸の人物画 姿の美、力、奇」(前期) 府中市美術館

江戸の人物画

府中市美術館で開催中の「江戸の人物画 姿の美、力、奇」前期展示に行って来ました。
展覧会のサイトはこちら。*作品リストあり。

こちらの展覧会も当初3月19日から開始の予定でしたが、震災の影響により25日からの開催となりました。しかし、このご時世、企画展の相次ぐ延期と中止の報が続く中、開催していただけるだけでもありがたい。

これだけは見逃せない!と思っていたので、朝一番で出かけてきました。
本展は、江戸の動物画、山水画に続く同館の江戸絵画シリーズで、今回は人物画をテーマに、江戸時代に描かれた人の絵を99点(前期56点、後期52点)の作品によって紹介するもの。
「なぜ人を描くのか、何のために描くのか」を考えるヒントになるような展覧会を、というのが企画意図となっています。

描かれたさまざまな「人のかたち」に注目し、狩野派、やまと絵、浮世絵、禅画、文人画、洋風画、蘆雪に若冲、円山四条派、曽我蕭白と多彩で珍しい人のかたちが勢揃い!

毎度のことですが、今回の展覧会はいつも以上に力の入った会場作り。黄色の入口が期待を膨らませるのに効果的です。
まず、黄色の門のような入口を抜けると、いきなり円山応挙の巨大な掛幅≪布袋図≫(名古屋市博物館蔵)、春木南湖≪項羽図≫(個人蔵)がど~んと鑑賞者を待ち受けています。
まずは、ここで度肝を抜かれ、圧倒される。
特に、応挙の布袋図は思わず顔がほころんでしまいました。名古屋市博、良い作品持ってるんですね。知らなかった。

この2点が導入部。

本篇はこれ以後に始まります。
展覧会は、以下の7つのテーマでそれぞれのテーマに沿った人物画を紹介。
・美の百様
・「迫真」のゆく
・聖の絵姿
・ポーズ考
・海の向こうの不思議とロマン
・人という営み
・かわいい

以下印象に残った作品です。

菱川師宣「紅葉下美人図」(個人蔵)を愛でつつ、師宣やっぱりいいわ~と思いながら、進んでいくと、いきなり奇妙な一幅に出くわす。

・志村榛斎≪見立江口君図≫(個人)
後期に展示される勝川春章の同名作品と比較すると、その違いが良く分かる。残念ながら展示会場では前期・後期と展示期間が異なるため、並べて比較することはできないが、図録上で両作品は並んでいる。
白像のにたりとした顔が何ともユーモラス。そして象の背中の上には波が描かれ、なぜかその上に江口の君が乗っている。波の描写も勝川春章のそれより細かくてカラフル。

・椿椿山 ≪高久靄像稿≫(栃木県立博物館)
・大久保一丘 ≪伝大久保一岳像≫ (府中市美術館)
・円山応挙 ≪三美人図≫(徳願寺)
・葛陂古馮 ≪関羽像≫ (個人)
今回、一番印象に残った作品は、冒頭の応挙≪布袋図≫とこの葛陂古馮≪関羽像≫だった。
暗闇からぬ~っとたちあらわれる≪関羽像≫は何とも不気味で、霊力のようなものを強く感じる。
関羽のオーラを出すことまで作家の狙いであるとするなら、葛陂古馮は見事にそれを実現していると言えよう。

・太田洞玉 ≪神農図≫(府中市美術館)
・渡辺崋山 ≪ヒポクラテス像≫ 九州国立博物館
九博へ初めて行った際に、この≪ヒポクラテス像≫を観て、あぁやっぱり崋山は素晴らしいと感銘を受け、忘れられない1枚となった。
久々に再会できて実に嬉しい。この作品は単なる西洋画の模写かもしれない。しかし、江戸時代にこれだけの技術をもってして、西洋画をおのずのものとした画家は少ない。これらの作品では瞳の描写に注目して欲しい。

・呉春 ≪松尾芭蕉像≫(個人)
何と言うことのない人物画であるが、私が描く松尾芭蕉という人物のイメージと、呉春と芭蕉の両者の関係まで想像できる人物画。絵から温かみとともに威厳が溢れる。仏画のように正面を向き、中央に描かれた松尾芭蕉は、俳人というより僧侶のように見える。

・作者不詳≪舞踊図≫(京都国立博物館)重要文化財
描かれたのは寛永年間(1624年~1644年)とされる。桃山時代あたりからこうした風俗図が描かれるようになる。本作品も色とりどりの小袖を着用し、扇を持って舞う6人の婦人図が横に並ぶ屏風絵。

応挙の立派な≪鍾馗図≫(大乗寺)も良かったが、

・谷文晁 ≪法隆寺五重塔塑像図≫(名古屋市博物館蔵)は凄かった。
初見作品だが、現存する法隆寺五重塔にある塑像を写したものと思われる。圧巻なのは、釈迦の涅槃を悲しむ羅漢のポーズや表情が激しい。

・曽我蕭白 ≪蝦蟇仙人図≫(個人) ≪美人図≫奈良県立美術館) ≪太公望・登竜門図≫(個人)他
蕭白は本展で、前期作品7点を出展。
一番のお目当ては≪美人図≫。嫉妬なのか裸足で水色の女がボロボロになった文を咥えて立っている姿は怖い以外の何物でもない。

・歌川広重 ≪命図≫(個人)
広重はそれ程好きではないけれど、本作のような機知に飛んだ作品に出合うと、いいなぁと思う。

・林りょう苑≪妖怪図≫(個人)
彼は大阪の絵師で、過去に大阪歴史博物館の特集展示で何点か作品を観て忘れられない画家になった。本作品は戯画風であるが、中国画の流れを組んだ精緻な美人図なども描く。

・小川破笠 ≪なぞなぞ≫(瓢箪と茄子)図
小川破笠にもこんなユーモラスな作品。野菜を擬人化した作品があるのだと驚く。しかし瓢箪を秀吉、茄子を家康にたとえた風刺画とも言われていて、なかなかに謎めいている。

・池大雅≪柳下童子図屏風≫(京都府立総合史料館) 重要文化財
これが観たかった。私の好きな大雅の屏風絵。中央に川にかかる橋から身を乗り出して魚取りをしているのだろうか?童子が2人。
日常に見かけるひとコマをスケッチしたかのような、のどかな風景と童子の図であった。


*前期展示:4月17日まで、後期展示:4月19日(火)~5月8日
計画停電で同館が停電になる場合は一時的に展示を観ることはできませんので、美術館ホームページにて開館時間等をご確認ください。
もちろん、強くオススメします。後期もほぼ総展示替えとなっていますので、お見逃しなく!
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「パウル・クレー展 おわらないアトリエ」 京都国立近代美術館

クレー展


京都国立近代美術館で5月15日まで開催中の「パウル・クレー展 おわらないアトリエ」に行って来ました。
展覧会公式サイトはこちら

パウル・クレーは大好きな画家。
元々、私が美術に関心を持つきっかけになった画家のひとり。
東近美に初めて行ったのも≪花ひらく木をめぐる抽象≫(本展にも出展されている)見たさだった。

その後、神奈川県立近代美術家鎌倉、川村記念美術館でのクレー展もかかさず観て来た。今回も、東京国立近代美術館に巡回するのは知っていたが、とても待ち切れなかった。東京は現在の状態が続くと開館時間も限られているし、観たいものは先に確実に観た方が良い。これは震災で学んだ教訓。

本展は、ベルンのパウル・クレー・センターが所蔵する作品を中心にヨーロッパ、アメリカ、国内所蔵の日本初公開作品を数多く含む約170点で構成されています。「アトリエ」をキーワードに、「特別クラス」の作品を紹介するとともに、具体的な技法を検証し、「創作のプロセス・手法」を明らかにします。~展覧会チラシの内容より

・・・と上記のような内容がチラシに書かれていることは知っていたが、観終わった感想は「難解」に尽きる。
図録をしっかり読み込めば、また違った感想になるかもしれないが、展覧会を一通り観ただけだと、なかなか専門の美術教育を受けていない素人には、技法や制作過程でまとめられた今回の展示は個人的に消化不良。
まとめ方が悪い訳では決してない。
開設パネルや関連DVDなども流れていたし、展覧会会場の設営も壁面を上手く使用し、動線も迷わせない上手い裕堂ができていた。
展示会場の様子は、以下『Paul Klee Times』という本展のためのスペシャルサイトで画像紹介されているので、是非ご参照ください。
http://klee.exhn.jp/times/kyoto/index.html

この他、茂木健一郎さんのクレーを巡る旅(全3回)など、クレーに関するコンテンツがニュース仕立てで紹介されています。

本来ならすぐに、感想をあげるつもりが今日まで日延べしてしまったのも、飲み込めないままだったのが原因。
感想を上手く書こうと思わず、いつも通り正直ベースで言ってしまえば、学究的過ぎてあまり楽しめなかったのだ。その後観た常設展示の方が楽しめたくらいで、それがまた悲しく虚しかった。

でも、東京に無事巡回したら、再訪しようと思っているのは、やはりクレーが好きなのと、2回観たら少しは消化できるのではないかという淡い期待故。いや、きっと行きます東京展も。


さて、展覧会構成は次の通り。
・自画像
・現在/進行形 アトリエの中の作品たち

プロセス1 写して/塗って/写して 油彩転写の作品

油彩転写については、実演DVD、しかしこれはディスプレイが小さかった。混雑して来たら見づらいのではないか。

プロセス2 切って/写して/貼って/切断・再構成の作品

プロセス3 切って/分けて/貼って/切断・分断の作品

プロセス4 おもて/うら/おもて 両面作品

過去/進行形 ”特別クラス”の作品たち

”特別クラス”の作品とは、自作をある時点から8つのカテゴリーに分け、それ以外に非売として手元に残した作品。これらは、自身や家族への思いやクレーにとって制作の指標となるものだった。
現在もこれらの作品群は、クレーの「遺産コレクション」としてパウル・クレー・センターのコレクションの基礎となっているという。

京都展では、東京展には出品されない作品がある。
≪カイルアンの眺め≫1914がその作品。この作品は≪カイルアン、門の前で≫1914年はもとは一つの作品であったが、プロセス3で展示されているこの2点はクレー自身によって切り離された。

この2点を再構成したのだろうか、同じカイルアンシリーズで≪カイルアンの様式で、穏やかな調子に移しかえて≫1914年も展示されていて、私はこの作品が3点の中で一番好きだった。

展示作品は、約170点だが、大半は水彩やペン画。、油彩転写に鉛筆や水彩を重ねるといった具合で、本格的な油彩の作品はそれ程多くない。
油彩作品のうち、国内の美術館所蔵のものが多いので、油彩を期待して出かけると肩透かしな気分になるので要注意。
水彩やクレーの線描がお好きな方や、制作過程をたどっていく本展の内容はクレー作品に対する理解を深めるためには非常に有効だったと思う。

今回の感想ではお気に入りの作品を7点。冒頭の東近美の「花ひらく木をめぐる抽象」は除く。
特別クラスの作品に集中してしまうが、
・≪幻想的なフローラ≫1922年
・≪襲われた場所≫1923年
・≪魔法劇場≫1923年
・≪ゴルゴタへの序幕≫1926年 宮崎県立美術館
・≪ぶるんのモザイク≫1931年

→ プロセス3
・≪Mのための花輪≫1932年 
・≪庭のリズム≫1932年

図録は、いつものA4サイズでなく一回り小さい単行本をもう少し大きく分厚くしたもので2500円。
今回はとりあえず購入を見送りました。

*5月15日まで開催中。
東京国立近代美術館に5/31~7/31まで巡回します。

冨井大裕個展 『色と形を並べる』 レントゲンヴェルケ

冨井
wrap (color sample) #1, (2008), ビニールテープ, 針金, 0.6x17x0.6 cm

レントゲンヴェルケで4月2日(土)まで会期延長が決まった冨井大裕個展 『色と形を並べる』に行って来ました。
本来の予定では、先週の土曜日3月27日に終了予定でしたが、好評かつ震災の影響で数日間の休廊があったためか、4月2日(土)まで会期延長が先週の土曜日夜に決定したようです。

冨井大裕(1973年新潟県生まれ)は、2000年頃より主に日用品を用いて彫刻作品の制作を続けています。

私が最初に冨井の作品を拝見したのは、馬喰町のギャラリーαM「変成態-リアルな現代の物質性vol2 揺れ動く物性 冨井大裕×中西信洋」でのことだった。本展が、コマーシャルギャラリーでの初個展というのは、ちょっと驚きだったが、確かに彼のプロフィールを観ていくと商業ギャラリーでの個展については掲載されていない。
(過去ログ)ギャラリーαM:変成体vol2 http://memeyogini.blog51.fc2.com/blog-entry-693.html

今回は、同ギャラリーのサイトに掲載されている、冨井が本展に寄せた文章が、彼の作品の意味や表現したいもの、関心を持っていることを分かりやすく表している。以下ご参照ください。
http://www.roentgenwerke.com/03exhibitions/2011exhibitions/03.Placing_Colors_and_Shapes/1103_tomii_2.html

レントゲンはそれ程広さがないので、αMの時よりも、作品間の間隔のバランスがよく、作品ひとつひとつが、全体に共鳴しているような空間が2階に創出されていた。

中央には、ビルの床によく敷かれている四角い床マットが何層にも重ねられている。
この重ね具合がまた絶妙なのである。微妙な色の差を利用して、等間隔に配色するよう上に上に重ねていく。
一つの色相の塊となったマットは最早マットであってマットでない別のオブジェになっていた。

壁に留められた、金と銀の大小のボルト重なり。
一見すると、これが作品とは気付かない方もいるだろう。
まるで、壁にとまった蝿のごとくボルトは普段からそこにあるような静かな存在になっていた。しかし金と銀の組み合わせそして重ねたことで、単なるボルトが偶然ではない作家の意図により彫刻へと変化した。
見る人にとっては、やはり日用品そのままなのかもしれないが、しかし、それとて作家は承知のことだろう。

ビニールテープをストローのように管状に巻いて色の横に並ぶ層を創り出していく。
このストローが楯を楯に並べていくと、これがまたビニールテープとは思えない美しさを醸し出す。

まさに、展覧会タイトル「色と形をならべる」そのままが、展示空間に息づいていた。
冨井大裕の求めていることが漸く理解できた気がする。

現在、彼は東京都現代美術館で開催中の「MOTアニュアル2011 Nearest Faraway|世界の深さのはかり方」展にも出品作家として参加している。こちらの展覧会にはまだ行けていないが、この個展を踏まえつつ新たな作品との出会いに期待している。

杉戸洋-青木淳展 「needle and thread」 小山登美夫ギャラリー東京

杉戸洋
(c) Hiroshi Sugito, courtesy of Tomio Koyama Gallery

小山登美夫ギャラリー東京で4月9日(土)まで開催中の「杉戸洋-青木淳」展に行って来ました。

展示風景は、同ギャラリーのサイトでご覧いただけます。→ こちら

本展は、来月青森県立美術館5周年記念企画展として開催予定だった(過去形!)「青木淳 x 杉戸洋「はっぱとはらっぱ」展の言わば前座、予告編とでもいうべき内容だった。
しかし、今日(3月28日)同ギャラリーのメールニュースによって、青森県美の「青木淳 x 杉戸洋「はっぱとはらっぱ」展中止が決定したことを知って驚く。小山登美夫ギャラリーに行ったのは一昨日、わずか2日前には本展を観て、青森県美の展覧会に思いを馳せ、高まる期待で一杯になった矢先にこの知らせ。。。

近日中に青森県立美術館のホームページにも中止!(延期ではない。なぜなら同ギャラリーのメールニュースには同じく4/1~3に予定されていたアートフェア東京延期のお知らせも記載されていたから。)の告知が行われるという。
公立美術館のスケジュールは先々まで、きっちり決まっているので、そう簡単に延期もできないのだろう。
そして何より、福島原発や余震がいまだ続いている毎日を考慮すると、中止もやむを得ないのかもしれない。

さて、同ギャラリーの「杉戸洋-青木淳」展はとても楽しい。
あの厄介なエレベーターが下りて来ず、珍しく清澄のギャラリー全体は土曜日にも関わらず、お客は少なくひっそりとしていたせいか、待てど暮らせど動く気配がないので、階段を歩くことにした。

入口を抜けると、そこはもう杉戸さんと青木淳さんのコラボレーション世界。
展示構成は主に杉戸さんのアイディアが溢れているのかな。
愛知県美術館で一昨年開催された「はらっぱ」展を思い出すような、会場自体が作品のようになっている。

天井からピンクや水色のネットが暖簾のように下がっている。ループ状にぶら下がり、輪になった所に、丸いカラフルな球がいくつか入っているものもある。飴玉のような、何とも甘酸っぱい導入部。進んでいくと、ビール瓶ケースを積み上げたようなオブジェや玄関マットを折り曲げて、長い毛を利用して顔を作ったり。既成のものを使用して絵画作品として見せる試みは、横浜美術館の高嶺格展でも拝見したが、こちらはもっとお茶目である。

最初の小さな展示室では、正面に例のカラフルな球が花火の火花のように散っているような、色の噴水状に並んでいる。
杉戸さんの横長ペインティング2枚向かい合い、その上に小品がある。
近作で見かける下書き?と思わず疑いたくなる描きかけのようなペインティング。でも、この線だけの余白の多い作品が最近妙に落ち着く。VOCA展で観た作品の多くは画面に多くのものを描き込み過ぎなのだ。あれは流行なのだろうか?杉戸さんの絵画は真逆。引いて引いて、このまま行くと下地だけのキャンバスになってしまうのではと危惧を感じるほど。
僅かな色や線から杉戸洋の作品だとすぐ分かるオリジナリティがある。

一方、黒地に星のようなきらめきがある小品や入口側にあった色面の組み合わせで見せる抽象的な絵画とのマッチングも良かった。完全に杉戸洋の世界観が満ちている空間だったと言える。

中央には青森県立美術館の模型が置かれていた。
展示プランが、中に施されていて、なるほどシャガールのある部屋はここで、企画展示室はこの場所で、この壁にはペインティング・・・。
なんだかとても悲しくなって来た。あの模型プランが幻で終わってしまうとは。。。
2年かかっても3年かかっても、いや5年後でも良いので、「青木淳 x 杉戸洋「はっぱとはらっぱ」展を開催してください。どうか、どうかお願いします。


奥の広い展示室も凄いことになっていた。
入口には、やはりネットが玉を入れて待ち構える。

照明を落とした暗い空間に巨大な黄色のバルーンが二つ。これは何!?後でレモンと聞いて納得した。
こちらが青木淳の作品なのだろう。

壁面には杉戸のペインティング。ビニール製の縄跳びが、糸や線のように曲線を描きながら絵画と寄り添う。
折り畳み式の三面鏡宜しく、映画のスクリーンのような枠に濃厚なペインティングが。

青森は中止になってしまいましたが、こちらのギャラリーの展示も素敵です。
是非、足をお運びください。

*4月9日まで開催中。

「若冲水墨画の世界」 相国寺承天閣美術館

若冲

相国寺承天閣美術館で5月10日まで開催中の「若冲水墨画の世界」に行って来ました。
美術館の公式サイトはこちら

承天閣美術館では第一展示室と第二展示室の2つの展示室があります。
第一展示室では、肝臓の名品展-書画と工芸-を開催、第二展示室が若冲水墨画特集と言える内容。
何と言っても、今回の目玉は鹿苑寺大書院障壁画特別展示で、全50面を一挙に大公開するという、相国寺でなければできない、全面修理完成を記念しての公開です。

しかし、第一展示室も侮れません。
この美術館は書画もですがやきもの、茶道具、工芸等すべてにわたり、良い作品を所蔵しています。
今回も重要文化財の≪黄瀬戸大根文輪花鐘鉢≫が入口正面に置かれていて、その時点でやられました。
隣接のケースをのぞけば、大名物の≪唐物茄子茶入れ 銘珠光≫、勿論珠光の旧蔵品あり。

書画では、≪十牛図≫周文筆、これを観るだけでも十分に行く価値はあります。さらに、今回は≪耳川合戦図屏風≫八曲一双、狩野探意、≪雪松図≫維明周奎など朝鮮通信使がらみの資料と合わせて展示されています。

そして、お待ちかねの第二展示室。
この部屋で若冲といえば、どうしても2007年(平成19年)の「釈迦三尊像」と合わせて「動植綵絵」を一挙に公開した「若冲展」が思い出される。
あの展覧会の際は第一展示室に「釈迦三尊像」+「動植綵絵」30幅が公開され、この第二展示室では今回と同じく鹿苑寺の大書院障壁画50面が一挙に展示されていました。
あれから修復に出し、お色直しも済ませた所で、再びお目見え。

今更ですが、今回の50面の襖絵は次の通り。
・竹図襖絵 4面  → お客様を迎える際の最初のお部屋。節が特異なことから中国伝来の竹と言われている。
・秋海棠図襖絵 6面
・菊鶏図襖絵 4面
・松鶴図襖恵 8面
・芭蕉叭々鳥図襖絵 8面
・葡萄小禽図襖絵 4面
・双鶴図貼付 1面
・月夜芭蕉図 障壁画 (常設展示)床貼付 4面
・葡萄小禽図 障壁画 (常設展示)床貼付 11面

何やら、2007年あれからまだ4年しか経過していないとは思えません。襖絵を眺めて行くうちに、あの4年前のことを思い出していました。物凄く沢山のお客様がおしかけ、今回のように僅かに5名程度の来客で静かに鑑賞するなど夢のよう。やはり、離れて見たり近づいて見たり、奇想ばかり取り沙汰されていますが、構図が上手いと改めて思った次第。何度見ても良いものは良い。
今回は、ゆっくり静かに、襖絵や障壁画と対することができました。

また、2007年の時は菊鳥図襖絵がお気に入りだったのですが、勿論、この襖絵も良いのですが、若冲の芭蕉を描いた作品に心惹かれました。菊は邪気を払い、長寿を得られる、吉祥のモチーフ。芭蕉の大きな穏やかな葉を観ていると大らかな気持ちになってきます。ここでは、叭々鳥の存在も欠かせないポイントになっています。

障壁画をゆっくり堪能して、今回はそれだけではなく若冲の水墨画掛軸や≪群鶏蔬菜図押絵貼屏風≫六曲一双など昨年の若冲アナザーワールド番外編のような状態。・

・芦花翡翠図
・芭蕉図
・布袋渡河図
・エイ図
・山水図
・葡萄小禽図 (掛軸)など約20点も合わせて展示されています。

中でも極めつけは、林良≪鳳凰石竹図≫明時代、の作品を若冲が模写した≪鳳凰図≫の横並びの展示でしょう。
この両方が並ぶことも珍しいように思います。

この部屋にも北宋・南宋青磁、白磁、煎茶の諸道具、乾山、仁清など眼を楽しませてくれるやきものが待っています。

*5月10日まで開催中。会期中は無休なので、月曜は美術館も休み・・・という方は是非お運びください。

「中谷ミチコ展 境界線のありか」 横浜美術館 アートギャラリー1

横浜美術館 アートギャラリー1で開催されていた(3/27終了)「中谷ミチコ展 境界線のありか」に行って来ました。

中谷ミチコは2010年昨年の「VOCA展2010」で作品を拝見した時から気になっている作家さんで、VOCA展の後に同じく昨年開催された森岡書店での個展「そこにあるイメージ」にも行っている。

1981年生まれ、2005年多摩美術大学美術学部彫刻科を卒業後、ドイツに渡り、ドレスデン美術専門大学彫刻科に編入昨年同大を卒業している。
作家さんご本人のサイトはこちら

その後、どうされているのかと思っていたところ、今回の個展の案内が届いた。
大震災もあり、本来の開催期間は3/4~21日までとなっていたが、横浜美術館の休館もあり本日27日まで会期が延長され、私も観に行くことができた。

本展は黄金町エリアマネジメントセンターと連携し、中谷ミチコの滞在制作とその成果を展示しています。
ドイツから帰国直後より黄金町エリアに滞在し、新作の制作を行っていました。

展示作品は全部で8点。

中谷と言えば、VOCA展受賞作で見せた約10センチの厚みの石膏に浮彫状の粘土の原型を沈め、石膏の内側に凹状の人物や動物のかたちを定着させる。その原型を抜き取った’うつろ’を樹脂で充填するという手法の作品がまず浮かぶ。

本展でも合計4点が、うち1点は小さめの作品が1対になっているもの、この樹脂を使用した凹状の浮彫作品であった。わずかに着彩されたそれは、樹脂の影響もあって艶やかで時間を封じ込めているようにも見える。
モチーフの多くは少女が多いが、少女の瞳や唇、腕、爪など細部にわたってかたどりされている。

特に印象的なのは少女の目だろう。
例えば、≪牛頭と少女≫2011年(石膏・樹脂・顔料)で見せる少女の瞳は角度を変えて観ても追いかけて来る。視線から外れることができないのだが、これは作家も意図した訳でなくたまたまとのことだった。

モチーフは少女であるが、テーマとしては西洋の宗教画や神話画、歴史画の図像にイメージの源泉を持っているものが多い。これは勿論、作家の意図したことである。前述の≪牛頭と少女≫の牛はミノタウルス、少女は、サロメに斬首された聖ヨハネとが綯い交ぜになったものだという。

同様に≪来るべき日のイメージ≫2011年では、8人の少女達が絡み合う姿をモチーフとしているが、こちらも聖母像に依拠したと解説にあった。

今日はたまたま、アーティストトークに参加できたので、作家本人による作品解説や今回の個展のテーマなどを伺うことができた。

今回の展覧会では異なる表現手法でイメージを見せたかったというのが1点、全体として見えないものを見えるような展覧会にしたかった。そして観る人の中で物語ができるような展示構成にしたかったと語っておられた。

黄金町滞在は3カ月だったというが、ほぼ1日中、制作にあたっていたようで、「10年この生活はできません。」と相当自分を追い込んでの8点新作だったと分かる。

別のイメージの作品、こちらは凹状ではなく、凸状のレリーフ2点。
凸状と言えるのは、≪重くて黒くて深い森≫。非常に細かい鱗が付いた黒い犬6頭が隙間なくひと塊りに固まって壁に掛けられている。こちらも石膏に彩色。
犬というより、離れて見ると森のようにも見える。「森を作りたかった筈なのですが・・・」と中谷さん。作っていくうちにモチーフが変化していくことは度々起きるそうです。

そして、忘れてならないのは鳥のモチーフ。
重力がかかってないかのように見える存在として「鳥」が気になると言っておられて、凹状の2つで1組の≪印象 鳥Ⅰ≫と≪印象 鳥Ⅱ≫と石膏彫刻そのものの≪鳥≫この2作品の対比は面白い。

そして、中央には、ドローイング彫刻。
ドローイングも中谷にとっては彫刻である。
無題になっているが、壁面約横に2メートルくらいに華のような紋様が描かれている。自動速記のようなコンパスで描いたのか?と思えるほど正確な円。壁画の曼荼羅のようにも見えるし、なぜか音を感じてしまった。

反対側の壁面には、ドイツ留学時代に描いたドローイング≪空にある光の数≫紙・色鉛筆。緑のカーテンのようなそれは、彫刻とはまったく別の魅力がある。
繊細で、壊れてしまいそうな儚さがあり、一方で樹脂を使用した彫刻や石膏彫刻そのものはしっかとした存在感がある。
あるようでいて、ないようなもの。

そんな表現がぴったりかもしれない。これから、どんな作品を発表してくれるのか益々楽しみである。

*本展は既に終了しています。

「VOCA展2011-新しい平面の作家たち-」 上野の森美術館

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上野の森美術館で3月30日(水)まで開催中の「VOCA展2011-新しい平面の作家たち-」に行って来ました。

毎年恒例、今年で18回目を迎えるVOCA展は、全国の美術館学芸員、ジャーナリスト、研究者などに40歳以下の作家の推薦を依頼し、その作家が平面作品の新作を出品するという方式。
今年は、36名の作家が入選し、うち6名が選考委員によって、VOCA賞1名、VOCA奨励賞2名、佳作賞2名を選出、また大原美術館の先行による1名が入賞しました。昨年に続き今年も入選者全員が女性で、いよいよ女性ペインター隆盛の時代を迎えた感もあります。

・今年の入選作家と受賞者および作品タイトルはVOCA展公式サイトをご参照ください。
受賞者の作品画像も掲載されています。
http://www.ueno-mori.org/voca/2011/artist.html

ここから先は、筆者の個人的な好みで気になった作家さんを挙げていきます。

・後藤靖香 「あきらめて」240.0×400.0cm 顔料ペン、墨、カンバス *VOCA奨励賞
国立国際美術館の「絵画の庭」展で拝見して以来、忘れられない作家さんです。
今回はとびきりの大作で、昨年大阪の帝塚山画廊で拝見した作品より更に大きいのか、はたまた他の作品が小さいのか、ひときわ目立っていました。
何しろ、ボートから今にも落ちんばかりに身を乗り出す坊主頭の水兵さんが3名。波の描写も綿密です。
緊迫感と迫力が画面から立ち上っていた。作品は通常キャンバスを木枠やボードに張っているが、彼女の場合、木枠もボードもなしに、キャンバス地そのままを壁面展示していた。

・澤田明子 「ヒア」 岩絵具、麻紙 259.0×194.0cm
具象なのか、抽象なのか。画面に対しモチーフの細かい描き込みが多い作品が今回は特に多かったように思いますが、その中で、後藤さんと同じく異質な雰囲気を出していて、非常に印象に残りました。
引き算の画面構成とでもいうのでしょうか。僅かな筆致による人物と、寄り添うように電信柱のようなものが墨で描かれている。真っ白な余白の多い画面の思い切りの良さ。
彼女は今回初めて知りましたが、推薦者は神奈川県立近代美術館学芸員の李美那氏。

澤田明子さんのプロフィールをぐぐってみたが出て来ません。もう少し他の作品も拝見したいところです。

・森千裕 Eternal Itching ( SAYONARA ) 145.0×210.0cm 透明水彩、鉛筆、水彩紙、木製パネル
お名前は何度も見かけていましたが、作品は初めて、いや過去に拝見しているかな。
実際に画面に近づいてみないと、これが水彩で描かれているとは到底思えない。構図も面白く、画面はデザイン的。新感覚という言葉が合う。

・大竹司 Lewis(ルイス)200.0×175.0cm アクリル絵具、麻布、パネルアクリル板、紙
            64.0×56.5cm アクリル絵具、麻布、パネルアクリル板、紙
大竹さんは昨年個展「ビニル」を山本現代で開催された。愚かにも私はこの個展を好評だと知っていながら見逃してしまった。
漸く、体面した新作。やっぱり凄かった。なぜ彼が入賞しなかったのか不思議。推薦者はインディペンデントキュレーターの窪田研二氏。とにかく画面が面白い。モチーフがマンガちっくだが、ぎりぎりで寸止めされて決してマンガっぽい訳ではない。このバランスが大切。1978年生まれの作家さんだが彼は追いかけねばならない。

・山本聖子、コバヤシ麻衣子、片山高志、雨宮庸介、花澤武夫、冬耳、佐藤純也、小池真奈美などが良かった。
小池真奈美は、今年の東京藝大博士課程の修了展で初めて作品を拝見したが、抜群にうまかった。今回も「あたま山」194.0×390.9cm 油彩、白亜地、木製パネルに綿布は、全て本人の変身自画像キャラだと思われるが、お座敷遊びで江戸時代か現代か時代の感覚がマヒするような作品。
推薦者は、山下裕二氏。

既に知っている作家さんも多い中、これまで拝見した作品とかなり新境地を出している作家さんが何人かいて、これが非常に興味深く行って良かったと思った次第。

・山下耕平 「オートマチックボートコノコイ」241.0×276.6cm アクリル、カラーインク、ペンキ、ベニア、木製パネル

べニアを使って平面ではあるが、かなり立体を意識した作品。4/4~4/9まで銀座のギャラリー58で個展が開催される。私は、京都市立芸術大学の山下耕平さんだと思っていたが、この方は佐賀大学文化教育学部美術・工芸課程デザイン専攻卒業の別人であると分かった。大変失礼しました。同姓同名の方のようです。どおりで、作風が違ったわけだ。

・水田寛 「マンション15」227.0×363.0cm 油彩、カンバス
彼のマンションシリーズは、MOTアニュアルで初めて観て、その後京都市芸術大学ギャラリーかどこかで拝見している。こちらも、徐々に作風が変化し、しかも徐々に具象から遠ざかりつつある。
複層に亘って、絵具が重ねられており、多くを隠すことで、見させるとでもいうのか。レイヤーが積み重なったような平面作品になっていた。

パラモデルを平面作家というのだろうかということは脇に置いたとして。「Para-Existential Diagram/たゆたいダイアグラム」は、非常にうまくまとめてあった。さすが実力あるなというのを強く感じた。

なお、3月29日には後藤靖香(VOCA奨励賞)、中山玲佳(VOCA賞)によるアーティストトークが15時から1時間会場で開催されます。お時間がある方はぜひ。 

*3月30日まで開催中。

蝸牛 あや 「海のむこう 空のなか」 Showcase

かぎう

メグミオギタギャラリーShowcase(銀座5丁目)で3月26日(土)まで開催中の 蝸牛 あや 「海のむこう 空のなか」に行って来ました。
http://www.megumiogita.com/exhibition/index.html

DMを拝見した時には、てっきりペインティングの展覧会だと思ったのですが、行ってみたら刺繍アート作品で驚きました。

蝸牛あや(かぎゅう・あや)は1978年生まれ。2001年に多摩美術大学彫刻科を卒業後、さまざまな刺繍の伝統技法を学び、その可能性と魅力を追求するため、現在は刺繍による自由な作品づくりを続けている作家です。

今回は、彫刻家の土屋仁応さんのご紹介でShowcaseでの個展開催となったそうです。

本展の展示作品は、作家さんのサイトに画像がアップされていますので、是非ご参照ください。以下URL。
http://www.cagiu.com/works

狭いスペースながら作品数は割と沢山あって、どれも興味深く拝見しましたが、個人的にお気に入りは一番小さな作品だった「水母1」「水母2」。水母と書いてクラゲと読む。
そう、クラゲの刺繍作品になぜか惹かれてしまった。
以前占いで前世は水辺に棲むいきものだったと言われたせいなのか。
クラゲにこれまで特段親近感を抱いてはいないが、この2点は妙に愛着がわいた。

また、大画面の「青の時間」は福田平八郎の日本画を彷彿とさせる。
その一方で、「pillar」は抽象絵画や横浜美術館で観た高嶺格の「毛布」や「ブランケット」作品をなぜか思い出す。
こんなシンプルな楯の1本のストライプだけなのに、自己主張している。

刺繍作品を見るたびに思うのは、手工芸の刺繍とアートとの境界線。
この境界の分岐点はどこにあるのかと考える。

観る側がアートだと認識した時点で、それは芸術作品となるのかもしれない。

*3月26日まで開催中。開廊時間:12:00 - 19:00

「関西大学所蔵名品展」 柿衛文庫

関西大学

兵庫県伊丹市にある柿衛文庫で3月27日まで開催中の「関西大学所蔵名品展」に行って来ました。

本展開催を知ったのは、またもやtwitter上の呟き。
遊行七恵(@yugyo7e)さんが本展をして「面白かった、木村兼葭堂の・・・」云々という文字を観て行ってみようと。木村兼葭堂には、以前からとても関心がある。いずれ中村真一郎著「木村蒹葭堂のサロン」新潮社刊を読まねばと思っているのだが、なかなか時間が取れない、そもそも持っていない。

さて、行こうと決めたはいいが柿衛文庫ってどこにあったっけ?とピンと来なかったが、住所を調べたら伊丹市立美術館に併設されているというか同じ建物内のスペースのことだった。
伊丹市美には既に何度もいっているので、柿衛文庫も勿論訪問しているが、俳句にはあまり関心がないため軽く流し見していて記憶に残らなかったのだろう。

今回は、柿衛文庫の1階展示室で「柿衛文庫所蔵名品」、2階展示室、主に2階展示室で「関西大学所蔵名品」展が開催され、展示作品数は45点となっている。

さすが、百戦錬磨の遊行七恵さんオススメのことはあります。レアもの展示作品が多く、しかし小粒ながらもこれまで目にしたことのない作品も多く、なかなか楽しめました。

以下印象に残った作品を展示構成とともに振り返ります。

第1章 「木村蒹葭堂をめぐる人々」
・鍬形石 
蒹葭堂旧蔵の石。文字通り鍬のような形をした石である。蒹葭堂は奇石、奇貝の収集家で、この鍬形石もその一部。西洋で言うブンダーカマーみたいな状態に自宅はなっていたことだろう。
しかし、石好きの私としては鍬形石は興味深いのであった。

・木村蒹葭堂 「花蝶之図」 江戸中期
この人の博識ぶりはよく分かるが、絵も上手い。「花蝶之図」は南頻派の作品風だった。

他には十時梅「梅書画冊」「独楽園賀詞帖」など梅関係の資料が目をひいた。

第2章 「契沖と秋成」
秋成と言えば、昨年京博で開催された「上田秋成展」を思い出す。
・上田秋成 「万葉集歌貝寄せ」 紙本墨書 
この書物も木村蒹葭堂の依頼により、万葉集の数ある歌の中から、貝に関係のある歌を集めたもの。
そこまで、貝が好きだったのか蒹葭堂。マニアックだ。

第3章 「文人画・風俗画・写生画」
ここでは、関西を中心に活躍した江戸時代の画家たちの作品を紹介している。
関西の画家たちは、これまで日本美術史上、あまり取り上げられなかった。しかし、よくよく観ていくと面白い画家を沢山排出している。もっともっと彼らに注目が集まっても良いのにと思う。

・福原五岳 「酔李白図」 江戸時代中期 一幅

・月岡雪鼎 「見立楚連香図」 一幅 天明年間頃
・月岡雪斎 「美人観桜之図」    江戸時代後期
雪鼎の方が知名度は高いが、今回は雪斎の「美人観桜之図」が良かった。肉筆浮世絵と言って良いのかな。

・森一鳳ほか 「大阪名家肉筆画帖」
森一鳳は、大阪歴史博物館で「幕末大坂の絵師 森一鳳」が4/4まで開催中。こちらには行けてないが、可能であれば足を運びたい。
http://www.mus-his.city.osaka.jp/riyou/index.html

第4章 「耳鳥斎と戯画」
今回、最終章の菅楯彦とともに、大ヒットだった耳鳥斎。
まさに、マンガ文化のはしりではないだろうか。
・「別世界巻」では、面白いがかなり残酷な地獄の例が絵巻物に次々に描かれている。少し前に応挙の「七難七福図絵巻」を拝見したばかりだが、同じ地獄でも、相当発想が違っている。笑いを取りにいっている、狙っていると予測しているのだが、耳鳥斎とはいかなる人物であったのだろう。

・「絵本水也空」
これも耳鳥斎の最小限の線で、形態を表現する技を見せてくれる。単純な線だけれど、戯画にはこの軽い感じが向いている。

第5章 「近代大阪の絵画」
・菅楯彦「職業婦人絵巻」 1921年
カフェの女給、美容師、電話交換手、お座敷でのお大尽遊び、看護婦、派出看護婦、ヨイトマケ、稽古屋、農婦、機織りなど、当時の女性の様々な職業や風俗を活き活きと描く。挿絵画家に向いているようにも思う。
同様の職業婦人絵巻を伊東深水も描いていなかっただろうか。
この他、「象使図」含め、他3点も菅の画風を知る上で重要だった。

・北野恒富 「花の夜」 1921年頃
やっぱり北野恒富の美人画は好きだ。退廃的、大正のデカダンスをまとってはいるものの、退廃だけではない、ほのかな優しさが漂っているのが特に好きな点。
本作品は140.1×49.0のかなりの大幅で、美しい作品だった。

・野口小蘋 「美人図」
・久保田桃水 「大阪風景画帖」
上記2点も印象深い。

*3月27日まで開催中。

「第5回 shiseido art egg」 川辺ナホ展  資生堂ギャラリー

川辺ナホ

資生堂ギャラリーで開催中の「第5回 shiseido art egg」 川辺ナホ展に行って来ました。

いよいよ最終回となった同シリーズはこのたびの大震災の影響で11日よりギャラリーは休館、23日(火)より通常時間で開館しています。平日19時まで開館しているのは嬉しい限り。
これだけは、観ておきたかった展示だったので駆けつけました。

川辺ナホは、1999年武蔵野美術大学卒業後ドイツに渡り、以後ドイツを中心に主にインスタレーションや映像作品を展開しているアーティストです。
プロフィール等詳細は作家のサイトがありますので、そちらをご参照ください。以下。
http://www.nahokawabe.net/art/

本展では、<Open Secret>をテーマに映像3点とインスタレーション作品1点を展示しています。
入口を抜けて正面の壁に映し出される「HELP!」の文字。作品タイトル≪調和的だけど不公平≫2011年
何より、まずその文字と文字の意味を考えてしまいました。

3月4日から開催されていたこの展示を震災前に拝見していたら「HELP!」の文字も違って見えたかもしれません。
しかし、未曾有の大震災の後に「HELP!」が浮かんだり消えたりする様は、SOS信号のようにも見え、嫌が応にも震災で被害に遭った人々、直接的であれ間接的であれの助けの声のように感じます。

「HELP!」の文字が映し出される仕掛けが面白く、壁面手前にランダムに吊られているように見える色とりどりのカラフルな球体に光があたることで文字が写るという、立体を映像化、視覚化した作品。
そして、更に不思議なのは、展示室中にカラフルな光の輪が投影され、あたり一面に華が散ったような印象を受けます。

次に会場に入った時にモーター音の大きさに気付きます。
これはちょっと大き過ぎて、意図的なものなのか音を小さくすることができなかったのかが分かりませんが、個人的にはもう少し音は小さい方が良かった。
≪静止するふり≫は、映像とプロジェクターの両方が左右に動くことでコマの画像が1ヶ所に留まっているように見える…筈なのですが、私には留まっているようには見えなかったです。
音はプロジェクターを左右に動かすためのモーターから出ていました。

振り返ると高い支柱の上に、木彫りの人形がちょこんと乗っかっています。
≪どうしてぼくはこんなところに≫2011年は、この人形の影絵を映像で見せている。解説によれば、本物と偽物の影をもつアフリカのデベ族の人形で、私が観ている影は果たして本物なのか偽物なのか。
再び考えてしまいました。
この人形、1階スペースからよく見えます。

奥のスペースにインスタレーション作品≪封印した!≫2011年が。
炭を使って、床にレース模様を再現した作品で、レースのカーテンを通して部屋に差し込む陽の光を影として床に封じ込めたもの。同シリーズは川辺が長く取り組んでいる手法です。

川辺の作品は一貫して人間の「見る」という行為をテーマにしています。
しかし、私は今回の展示で「見る」という行為の更に背後にあるものを想像していました。

3月23日の展示再開後から配布されている川辺自身のメッセージに共感を覚え、その意味を考えているうちに「見る」ことはいつしか、自分の中から離れて行ったように思います。
筆者に了解を得ていませんが、ここで川辺のメッセージの一部をご紹介させていただきます。
以下。

私の中からこの「HELP」という単語が出て来たのにはやはり経緯があります。長い間、自分の中に家族というシステムや「家」という概念への疑問や疑惑のようなものがあり、それは答えの出ないまま、私がずっと考え続けてきた問題です。「家」そのものをモチーフとした差う品も制作しましたし、それ以外の作品の中でもこのテーマは、ほぼ全ての作品の中に直接的ではなくても関わっています。

(中略)

しかし、自分がずっと考え続けてきたまさにその家が、津波によって暴力的に破壊され粉々になってしまうのを目の当たりにし、津波で孤立された方々によって地面や屋根に大きく書かれた救難信号のなかに、HELPという言葉を見たとき、私は全く平常心でいられなくなってしまいました。これまで保ってきたギャラリーに展示している作品と自分の距離がぐちゃぐちゃになってしまったのです。そして、日常が完全に消失してしまっているあいだは、そこにはアートもいませんでした。

少しずつ被災地より復旧の知らせもとどくようになり、3月23日より、短い期間ですが展覧会をもう一度オープンできる運びとなりました。ほんの少しずつでも生活の中に文化が戻ってくることで、日常が回復してくることを願ってやみません。(略)


作品を一見しただけでは分からなかった「家」や家族についての言及が非常に興味深く、また同様に私もこれまで長く悩まされてきた問題でもありました。

残り少ない会期になってしまいましたが、本展を観て各人各様の思いを感じて頂けることを願ってやみません。

*3月27日(日)まで開催中。平日 11:00~19:00 日・祝 11:00~18:00 入場無料

「プリズム・ラグ 手塚愛子の糸、モネとシニャックの色」 アサヒビール大山崎山荘美術館

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アサヒビール大山崎山荘美術館で開催中の「プリズム・ラグ 手塚愛子の糸、モネとシニャックの色」に行って来ました。

手塚愛子は織物を色糸に分解したり、刺繍の表裏や縫われる前の糸を同時に見せたり、過去の様々な既成の織物を使用して再構成する手法で作品を作る。展覧会チラシによれば、『表面には「見えない」ものを取り出してみせます。』とされています。
本展では、「虹色」がキーワードになっています。フランスの印象派を代表するモネや点描画の新印象派のシニャックが目に「見える」色を探求したのに対し、手塚は「見えない」ものを取り出す手法で「虹色」に挑戦しています。

この展覧会に行く前に名古屋のケンジタキギャラリーで開催中の手塚愛子展を既に観ていて、この大山崎山荘美術館という特異な箱を使用して、どんな展示を見せてくれるのか楽しみにしていた。

まずは本館山本室。マントルピースのある重厚な部屋だが、ここでは、新作旧作含めて14点。
名古屋で観たのと同じようなドローイング(pear-womb)2011年をはじめその時に観た類似作品が多く、それ程驚きはない。旧作もかなり拝見しているので同様だが、レースに刺繍をした「laceーhome」「laceーpear-womb」は、もこもこした糸を使用した刺繍であるため、平面でありながら、立体感がある。

他に印象に残ったのは「落ちる果実」。赤、緑、オレンジ、青と4つの色糸を織物から取り出し、それらの糸で刺しゅうし刺繍用木枠が4つ垂れ下っている。4色の組み合わせが美しい。

一番良かったのは、山本室奥の外光が入るパルミラ室の作品「泉(発生について)」2009年の展示。
この部屋はパルミラの彫刻がどっしりと腰を据えている。
このサンルームに相応しく、白い大きな布に、パッションピンクの色糸で刺しゅうがされ、所々の大小様々な大きさの刺繍で使う木枠がアクセントとして挟まれている。
布は天井の1点から床に垂れさがり刺繍や木枠が床に広がっている
丸い刺繍の木枠がこの美術館でお馴染みのモネの睡蓮の花や葉のように見える。

刺繍について、眼を凝らしてみるとモチーフは様々で、あやとりしている手であったり、人間らしき姿も見える。この作品は初めて観たけれど、展示の仕方もバリエーションが多そうだし、その方法によって見え方や感じ方も変わってくるような作品。
この白布の泉をパルミラ室に持ってきたのはとても良かったと思う。

反対側の池のある部屋に向かう。
ここでは、「黒い織物を解く」2011年と布からほどいた垂れ下る糸の塊と布の配置が遠目からだと、よだれかけのように見える。

私は小さなサイズの作品より、大きな作品の方により魅力を感じる。

そんなことを考えながら、安藤忠雄設計の新館展示室へ向かう。
今回初めて警備の方に注意されてしまったのだが、新館では鉛筆でさえもメモを取るのは禁止だとか。
そこまで厳しくしなくても良いのにと素人は思うのだが、モネ作品を何点も展示しているので、やはり安全面への懸念なのだろう。

ここでは、中央の丸くなったコーナーにある2点「同一のふたつの織物」(door)2011年に圧倒される。
狭い遠景の空間の両側から252×128cmのサイズ感ある織物が2点向かい合わせで展示されているだけなのだが、ここでもほどいた糸はパッションピンクと水色。他に緑とオレンジだったか。
対するシニャックの作品が「ヴェネツィア」1908年

ここで使用されている光を創り出すための色と手塚がほどいた糸の色の関連性、共通性をどこまで感じ得ただろう。「虹色」というキーワードは作品からも意識しているのが伝わってきたが、モネやシニャックの作品と並べて見ると「虹色」だけでくくるのはやや無理があったように思えた。


そして順番は前後するが、新館展示室に入って正面に飾られているのが「糸会」2007年。「いとあい」これは、「絵」という漢字1字が糸へんに会うの組み合わせ。それを作品化したのが「糸会」。

また喫茶室の戸棚の所にも作品があるので、見逃さないようにご注意を。

<関連イベント>
・「大山崎茶会」5/14~5/15 参加費1000円(お菓子とお土産付、
詳細は美術館HPよりご確認ください。→ こちら

なお、同館は秋に新新館が完成するようです。こちらも楽しみです。


*6月12日まで開催中。

「柴田晩葉-湖都のモダン日本画家-」 大津市歴史博物館

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大津市歴史博物館で4月17日まで開催中の「柴田晩葉-湖都のモダン日本画家-」に行って来ました。

柴田晩葉・・・知らない画家だなと思いつつ、駅貼りのポスターの作品「京の町」が雪景色の京都の町並みをしっとりと描いていて、行ってみることに決めた。

柴田晩葉(1885-1942)は、京都美術工芸学校研究科を修了し、京都絵画専門学校二期生として卒業。山元春挙の門人として、大正時代の幕開けとともにデビュー。当時の最先端の美術モードから影響を受けたモダンな作品を手掛ける一方、牧歌的な詩情あふれる作品も制作。文展・帝展で入選を重ね活躍したが、終戦を待たずして没し、戦後の日展で活躍することなく知る人ぞ知る画家となってしまった。~展覧会チラシを引用し要約~

本展では、近年再発見された大作などを中心に、ユニークな表現を貫いた晩葉画の魅力を紹介するものです。
展示替えが一部作品にあるので、詳細は作品リストをご覧ください。
公式サイトの展覧会詳細 → http://www.rekihaku.otsu.shiga.jp/kikaku/kikakuten.html#KIKAKU54


同館の企画展はほぼ毎回作品リストが用意されていない。
図録は700円でオールカラーだが、展示構成順ではないが、これで700円は買いだと思う。
今回は閉館間際に駆け込んだので、展示構成をメモする時間がなかった。
なので、印象に残った作品とおよその様子を振り返る。ただし、ほとんどの作品は制作年が不明なのか図録に制作年まで掲載されている作品が非常に少ない。

・「柾」(京都絵専卒業制作)1912年
まだ、強い個性が出ていない日本画。余白が多めにとってあるのと、柾の木の配置、構図が面白い。

・桃之節句 星野画廊蔵
星野画廊蔵の作品が今回もかなり出展されていた。稲垣仲静もそうだけれど、京都東山の星野画廊の星野氏が名前でなく眼で選んだ画家たちがこうして毎年紹介されていくのは実に嬉しい。
この作品は、お内裏様とお雛様が画面の極端に上部に配され、柳が斜めに垂れさがる。

・三井寺の桜 三女 郁子氏蔵
これは、かなりの本格派感漂う作品。実際大幅だったと記憶している。三井寺の桜と周囲の木々がかすんで溶けていくような、夢のような風景。しっかりと階段を上下する人物が2人描かれているのも良い。

・四季草花図 1914年 個人蔵
やや琳派を意識したかに思われる草花図。ただ、晩葉の作品の魅力はこうした琳派風でない作品にあるように感じた。

・三笑図衝立
戯画風。お坊さん1人と老夫婦の旅人だろうか?向いあってやや上向き加減で笑っている。
晩葉の作品にはこうしたほのぼのとした人物描写が多い。

・京の町 屏風 一隻
チラシ表面やポスターに採用された作品。墨の黒と胡粉の白、モノトーン中心で僅かに木の緑が右端にある程度。
基本屋根ばかり、そしてそこにはらはらと枚落ちる粉雪。ただそれだけなのに、静けさや空気感まで伝わる。

・宇治の茶摘 個人蔵
恐らく二曲一双。この茶摘みの作品を見ると、卒業制作の「柾」を思い出す。やはり、共通している点があり、本作で言えば、左下にあるブドウ?の木の配置や描き方。
茶畑や茶摘みの女性たちはかなり細部にわたって描いている。

・近江勝景図 1922年 
当時来日中の英国・エドワード皇太子が琵琶湖遊覧のために5月に来津した際に、滋賀県が献上した画帖(全20図)を屏風に貼り交ぜ、改装したもの。
晩葉だけでなく他3名との共作。晩葉は6点描いているが、宇治の茶摘みや三井寺の桜のように本格派としての実力を発揮している。「白髭神社」の湖?の青と白い鳥の群れ、船の白い帆が対照的。

・石峯寺之秋 1930年 大津・長久寺蔵
石峯寺と言えば、若冲。しかし石峯寺の石羅漢は晩葉の手にかかると皆幽霊のような様相で怖い。まるでお墓の幽霊のようにも見える。木に留まった1羽の黒鳥は鴉だろうか?

・雲龍図 阿形・吽形 青龍寺蔵 襖絵全8面 1925・26年
これまで追ってきた作品と異なるものではないが、これだけの大画面を己の墨だけで自由自在に龍を描く。
向いあい、見つめ合う1対の龍。雲が不思議な形をしている。

・唐獅子図 青龍寺蔵
雲龍図同様、青龍寺の仏間に接した両脇を飾る。こちらも龍とは違うが、シャープで動きがある唐獅子。
この他、同寺には「四季耕作図」も残されているが、私が行った時は展示替え前なのか、この耕作図は出ていなかったように記憶している。

この他、晩葉は沢山の色紙や扇子絵、短冊絵などを多く残している。

晩葉が属した山本春挙が主宰する山元塾の早苗会に加入。早苗会の他の画家の作品が何点かあった。
・塚本一葉、小林翠景、疋田春湖、庄田鶴友、高倉観崖らの他の仲間の作品も数点ずつ展示されている。

*4月17日まで  オススメします。

「大和文華館の中国・朝鮮美術」 大和文華館

大和文華館で3月27日まで開催中の開館50周年記念名品展Ⅲ「大和文華館の中国・朝鮮美術」に行ってきました。

大和文華館の名称が中国・南京の博物院の名称を参考に名付けられたと、本展チラシを見て初めて知りました。
同館の蒐集品の中で中国美術は開館当初から、絵画・工芸ともに充実していたそうで、頷ける話です。

目当ては中国絵画でしたが、全部で11点と思ったより少なくやはり国内で中国絵画をまとめて観るのは厳しいなぁと実感。
むしろ、今回の展覧会の中心は中国・朝鮮の彫刻・工芸でしょう。

では、印象に残った作品を振り返ります。

<中国の彫刻・工芸>
・石造 二仏並坐像 北魏
大きさはそれ程ではないが、多宝如来と釈迦如来が並んだ姿が愛らしい。

・細金細粒細工飾金具 9点 南北朝時代
来月、東京→九州をまわって奈良博へと巡回する中国文明展に出展されていたような細金の細工もの。透かし彫りがすごい。

・三彩立女 唐時代
陶傭。姿も彩色も残り状態は良い。ふっくらとした体つきと表情、これに似たものはMIHO MUSEUMにもある。

・白釉褐緑彩蓮池水禽文水柱 唐後期
・柿磁金彩碗 定窯
・青磁雛花蓮華文瓶 
定窯はじめ竜泉窯、磁州窯など北宋のやきものが並ぶ。青磁雛花蓮華文瓶は、広田松繁寄贈のもの。

あとはずらりと景徳鎮の青磁や黒柿落牡丹文大壺、赤絵牡丹蓮華唐草文鉢・・・。きりがないです。
清時代になるとぐっと明るく華美なものが登場する。
・素三彩果文皿 
アップルグリーンと海外で呼ばれるのがよくわかる。とても発色が美しい。仲間はビーチグルーム「桃花紅合子」これもよく熟した桃の色。

<中国の絵画>
大和文華館にはもう何度も行っているので、初見作品は少ない。
・雪中帰牧図 李迪 双幅 南宋 国宝
久々に2つ揃いで拝見した。小画面ながらやっぱり情緒がある。

・秋塘図 北宋時代 伝趙令穣筆 重要文化財
これが、一番のお目当てだった。この作品は初見かもしれない。数年前に同館で北宋絵画の展覧会があったのだが、最終日に駆け込んで展示替えで見られなかった作品もあったので。
画面はそれ程大きくないが、左に描かれた樹木の枝ぶりが北宋らしいか。損傷がかなりあるせいか、いまひとつ。

・蜀葵遊猫図 ・萱草遊狗図 伝毛益 南宋時代 重要文化財
同館の誇る中国絵画の代表作の対幅。揃いで観るのは冒頭に挙げた「雪中帰牧図」同様久しぶり。

・賞楓図 張風筆 清時代
私が関心あるのは明時代までの中国絵画だが、この作品は良かった。

他に南宋絵画といえばの馬遠筆「竹燕図」も出展されている。

<朝鮮の彫刻と工芸>
・黒釉葫芦瓶  
まず形の美しさに見惚れる。ひょうたん型の整った姿の美しさ。

・青磁象嵌辰砂雲鶴文合子
・螺鈿葡萄文衣装箱
また、新しくコレクションに加わったのは「螺鈿菊唐草文小箱」。

<朝鮮の絵画>
・楊柳観音図 高麗後期
私が一番好きな作品。ポストカードを一番最初にここで買ったのがこの作品。

・平沙落雁図 ・漁村夕照図 伝安堅 朝鮮前期


*3月27日まで開催中。中国のやきものがお好きな方は是非。

「襖と屏風ー暮らしを彩る大画面の美ー」 滋賀県立近代美術館

屏風

滋賀県立近代美術館で4月10日まで開催中の「襖と屏風ー暮らしを彩る大画面の美ー」に行ってきました。

世界でも襖という間仕切り道具があるのは、日本だけではないだろうか。屏風は他の国でも見かけるが、あれは逆輸入、すなわち日本文化が伝播したのではないかと思う。それくらい、海外で目にする屏風は中国はともかく西洋のそれは違和感を感じる。

本展は、同館館蔵品から、襖や屏風の様々なかたちを紹介し、ついで江戸時代から近代に及ぶ、これらの様相を展観するものです。

以下章を追って、印象に残った作品を挙げていきます。
館蔵品といえど、非常に素晴らしい日本画コレクション、特に近代日本画は他ではなかなか見られない名品揃いです。

第1章 屏風のかたち、襖のかたち
解説パネルで屏風の数え方の変遷など分かりやすく説明されているが、ついついいつものように、形より描かれているものに目が行ってしまう。

・山口華楊  山羊 2曲一隻  1924年
いきなり、艶やかな色彩の屏風が登場。2曲一双なので、それほど大きさはないが、山羊より寧ろその周囲にある草花の緑の色彩に圧倒される。

・山元春挙 深山雪霽鹿図 4曲1隻 1895年
この日は、常設展や後に行った大津市歴史博物館でも春挙の作品を観て、まさに春挙DAYだった。
これは山渓図だが、春挙の山水画は素晴らしい。常設にあった瀑布図は凄かった。

・幸野媒嶺   群魚図  6曲一双   1876年  個人蔵・寄託作品
非常に珍しい媒嶺の群魚図。こんな作品も描いていたのかという新鮮な驚き。岩に当たる飛沫と魚の活き活きとした様子が清々しく夏に相応しい作品だった。

・池田遙邨  近江八景図  4面  1935年頃
滋賀県縁の題材。遙邨は確か今年回顧展が開催される筈で、まとめて見られる機会いと今から楽しみにしている。
これは、状態は今ひとつで、寧ろ第2章に展示されていた「江州日吉神社」1937年の方が明るく艶やかで、両方を比較して観るのも面白い。

第2章 近世の襖と屏風

・久隅守景  近江八景図  6曲一隻
久隅守景大好きな私としては、未見の屏風絵が拝見できてとても嬉しかった。守景の好きな点は人物描写にある。特に左隻左下方の農民やら市井の人々の生活の有様はとても守景らしい。

・�田敬輔   山水図  6曲一隻
�田敬輔は曾我簫白の師でだった人物。この師ありて、あの弟子あり。
簫白程ではないが、かなり破天荒な筆づかい。特に墨の扱いが激しい。そして、構図の取り方が変わっている。

他に紀媒亭や横井金谷などご当地ゆかりの画化が並ぶ。
特に横井金谷の蝦蟇仙人・山水図hs16面(8枚表裏)の対策。

第3章 伝統と革新 ー京都画壇の風景屏風ー
・山元春挙  四海青波図  2曲一双   1928年頃
・岸竹堂  保津峡図    6曲一双  1892年
岸竹堂の保津峡図は、置き方によって、鑑賞者が保津川下りを追体験できるように制作されたのかもしれないといった解説があり、なるほどと思った。屏風は自由に置けるので、その置き方次第で見え方感じ方も変化する。この2隻に挟まれたら、どんな感じがするのだろう。美術館では横並びにしか置くことができないが、本来、調度品であったことを忘れてはならない。

第4章  近代の花鳥風月ー院展作家の屏風ー
第4章は凄かった。お得意の院展作家の大作屏風がずらり。
全てが印象深いのだが、とりわけといえばどうしても、個人の好みに走る。
・小茂田青樹   四季草花図  冬季・夏季  6曲一双  1919年
本来は春と秋を描いて四季全部を表現しているが、生憎そちらは他館にあるらしい。一緒に保存してあげて欲しいと思うがそうはいかない。
小茂田の作品の中でも代表作と言って良いのではないか。
夏は朝顔、冬は雪をかぶった南天の赤い実。いずれもため息が出る程美しい。

・速水御舟  菊花図  4曲一双   1921年   寄託品
御舟の細密描写時代の最後の頃の作品。まさに超絶と言って良い程の写実で、菊の花弁よりも葉のリアル感がたまらなく重々しい。

・小松均    裾野の牛   2曲一隻  1978年
近頃、小松均が気になってならない。
元はといえば、前回京近美の常設展で観た作品が強烈で、今回の作品もやっぱりすごくインパクトがあった。
前回観たのとはまた違う意味でのインパクト。
通常の屏風の大きさより横に長い画面が特徴的で、横一面に牛がえんえんと連なっている牧歌的かつどこかユーモラスな作品。

他に、菱田春草の「落葉」下村観山「鵜鴎図」、小倉遊亀ありと見ごたえ充分。

常設展では、アメリカ近代美術コレクションで、バーネットニューマン、ロスコー、モーリス・ルイスなど戸ともに、山元春挙プチ特集状態で、こちらも楽しめます。

*4月10日まで開催中。

今村遼佑「ながめるとみつめるのあいだ」vol.02 studio90

studio90にて明日まで開催中の今村遼佑「ながめるとみつめるのあいだ」展vol.02に行ってきました。

今村遼佑と言えば、先月まで資生堂ギャラリーで開催されていたart eggが記憶に新しいところ。
資生堂ギャラリーでの記事にも書いたけれど、私が彼の作品を初めて観たのは@kuaの「きょう・せい」展だった。
これは、グループ展であったことと、私が今村さんの作品について認識不足であったため、作品についての理解が及ばず、あの蛍光灯スタンドは何だったのだろう???が感想。

今回、studio90にてご本人が在廊されていたので、存分にお話をお伺いすることができて本当に良かった。

この個展は3回に会期を分け、制作していく中で、作品を発見し創出していくという現在進行形の内容。
1回目は観ることができなかったが、展示の状況は映像で見せていただけたので、vol.01とvol.02との関係性、つながりは理解できた。

vol.02ではスタジオを半分に分けて最初に左側のスペースに入る。
幸いにも、時間が遅かったこともあり私1人の貸切。
部屋には机と椅子が。
椅子に座ってボンヤリしていたら、コト、コト、と部屋のあちこち、そして机からかそけき音が聴こえてくる。
音の正体は何だろう?とよくよくみてみると、部屋のあちこちに金具のようなものが点在している。最初にこのスペースに入った時から気付いていたが、それが音を出しているというのに気付くのに少し間があった。

不定期に、どの金具がなるのか分からないので、ひとつに目星を付けてひたすら眺める。小さなピストン状のものが上から落ちた時床や机がコトリと鳴る。

しかし、今村さんの本意はこの音を聴かせることにある訳ではない。
それより寧ろ、日常的な室内空間を如何に僅かな作意で非日常的な空間に仕上げるかにあるのではないかと私は思った。

机上には、ランダムに描かれた様々な色と微妙に形や大きさが異なる円形の模様が点在するシートが何枚もあった。コンピューターに演算式を入れ、関数を変化させて生まれた計算結果で、数値を図形化したものらしい。

さて、音のスペースを出て、反対側似回るとそこにはアルミ箔で作られたバルーンが沢山、宙空に浮かんでいる。
種明かしをしてしまうと、バルーン同士が接触すると微量の電流が流れ、それが先程動いたピストンに連動する仕掛け。
風船の動きと音が繋がっているのだった。

風船の床との接地部分には配線が沢山あり、資生堂で見せていたように小さなLEDが点滅する。これも、風船の接触と連動する三重の仕掛け。LEDの明滅は光の強いものと弱いものと強弱がある。

1回目の映像に夜の6時~7時の映像があって、vol.01では風船とLEDがメインになっていたので、夜になり周囲が暗くなると、LEDの点滅も違った様子に見えていた。

最終回はどうなるのですか?とお伺いしたら、これから考えますとのこと。
最終回のスケジュールは未定だけれど、予定が合えば完成形?を観てみたい。

なお、今村さんは4月1日~24日まで大阪天王寺区上本町のGALLERY IND.にて「・・・の向こう・その他」と個展が続きます。

また、私は拝見できませんでしたが、studio90では森川穣の「天と地」も鑑賞可能ですが、こちらは日中でないと鑑賞できません。
両方ご覧になりたい方は、日の落ちる前にお出かけください。

「松坂屋コレクション 技を極め 美を装う」 松坂屋美術館

松坂屋美術館で開催中の「松坂屋コレクション 技を極め 美を装う」に行って来ました。

2011年は松坂屋創業400周年、また松坂屋美術館は開館20周年を迎える。
これを記念して、松坂屋が自社の呉服デザインのために収集した貴重な染織美術工芸品を徳川美術館の協力のもと特別公開されています。

本展は、江戸時代の松坂屋を描いた絵画や、桃山時代から江戸時代に制作されたきもの、能装束、陣羽織、甲冑、調度品などの名品150件余りを展示し、これらのコレクションを活用しデザインされた着物やマイセン磁器などの現代作品も展示することで、現在の松坂屋の取り組みも併せて紹介するものです。

展覧会構成は次の通りです。また松坂屋美術館としては珍しく作品リストが用意されていました。

第一章 呉服を商う 江戸~明治の松坂屋

伊藤屋と称した江戸時代の松坂屋を絵巻や浮世絵で紹介。松坂屋(かつては伊藤屋)の紋は当然だけれど今も昔も変化していないことがよく分かる。特に浮世絵は当時の風俗や時代を振り返るのにもってこいの資料価値がある。

ちなみに伊藤屋の開業は1611年で呉服小間物問屋として、清州から名古屋本町に移住した。その後、呉服太物小売りに転換し、尾張藩の呉服御用となるのは1740年のこと。
現在の三越かつての越後屋の創業は1673年なので、それより60年も早かったことが分かる。

ここで印象に残った作品は、「米騒動絵巻」1959年桜井清香筆、御所解模様小袖(前期のみ展示)。
小袖は、以前、サントリー美術館、大阪市立美術館等に巡回した「小袖」展出展作品以外のコレクションから多く出展されている。

第二章.時代を紡ぐきもの(松坂屋コレクションにみる意匠美の変遷)
タイトル通り、「きもの」デザインの変遷を名品裂地、小袖等でたどる。
この第二章がメインかと思いきや、24点の出展、意外に後半に作品が多いので、集中力を使い果たさないように要注意。

桃山時代の「菖蒲と蓮に菊花模様小袖」「井筒に朝顔薄模様裂」「山道に唐花模様小袖」「住吉模様小袖」「菊萩模様帷子」「梅に鶯模様小袖」など、個人的にはやはり桃山時代の小袖デザインが大胆で好み。初期の大胆さがある。

第三章 人生を語るきもの(誕生の彩り、婚礼の寿ぎ、追福の祈り)
生涯の大事なシーンに欠かすことのできない「きもの」の有り様と、そこに籠められた人々の願いや祈りを読み解く。
ここでは、江戸後期の振袖やお道具を中心に人生の節目折目に使用する様々な品物を展示している。
「軍馬模様振袖「押し絵屏風ひな遊び」「菊立桶に織枝模様打掛」「梅に冊子散らし模様振袖」「州浜に海松貝模様打敷」などが目を引く。
特に「押し絵屏風ひな遊び」は、武家のひな祭りを押し絵であらわした屏風。縮緬と金と錦と細工で彩られた精巧な工芸品といえる。
着物類だけでなく、牡丹業平菱蒔絵十二手箱、香盆、双六盤、貝桶など節句に使用するお道具類も多数展示されている。

最近は、成人式でも着物を着ない女性が増えているというが、やはり節目の時の着物はきりっとして気持ちも変わろうというもの。日本の伝統衣装の存在は消えて欲しくないと改めて思う。
かくいう私も七五三、成人式、卒業式、披露宴には着物を着ていた。。。

第四章 武家の装い(姫君の雅、武将の勇、芸能の華)
本展では、この第四章がメインと言える。

展示作品は前期(3月21日まで)と後期(3月22日~4月10日)と若干入替があるが、約70点が第四章で展示されている。
ただし、作品リストと展示順が一致していないので、第四章に含まれる作品は結構会場のあちこちに展示されているので注意。
「水葵模様小袖」「龍に竹牡丹模様掛下帯」「謡曲模様小袖」「宝尽模様腰巻」「波に千鳥模様陣羽織」「松竹蒔絵十種香具箱」「雷に牡丹模様唐織」「御簾に色紙桐模様唐織」「花の丸に唐松模様縫箔」などなどお気に入り。ここに挙げたものは、江戸前期のものが多い。前述したとおり、私の好みは桃山から江戸前期の小袖のようだ。

第4章でとびきりのお気に入りは何と言っても「子犬に雪持万年青模様筥迫」(前期のみ展示)。
あまりの愛らしさに見入ってしまった。子犬が二匹、すずらんと雪があしらってある。どこかの姫君のための特注品だろう。他にもデザイン重視の筥迫が何点か展示されていたが、着物の装いをよりおしゃれに、かつ、愛らしく見せるものとして筥迫の存在って面白いなと思った。

他に注目すべきは能面。
全部で7点が出展されていて、桃山~江戸初期のものと室町時代までさかのぼるかも?と推測されている「能面 深井」もあり。

第5章 現代に息づく美(松坂屋コレクションの活用)
最終章では、小袖だけでなく、古代裂や辻が花など多種多様な裂地を蒐集し、デザイン制作につなげた現代作品を紹介。
バカラやマイセン磁器、そして、平成2年制作の「一ツ紋付南天模様訪問着」とそのデザインがなどあるが、最後はピンと来なかった。

ここでは、全ての作品の所蔵先について記載しなかったが、名古屋市博物館から1点、徳川美術館から約40点の作品を借用し展示されている。まとめて見るにはまたとない機会でしょう。

松坂屋美術館の最後のコーナーにあった松坂屋史料コーナーがいつの間にか同美術館の裏側に別途一室を設け「松坂屋史料室」としてオープンしていた。
いつから、開設されたのだろう?

展覧会の前後にはこの史料室にも必ずお立ち寄りください。今回は江戸時代の松坂屋と題した企画展で、歌川豊国の浮世絵などの展示がありました。

*4月10日あで開催中。前期(3/21まで)、後期(3/22~4/10)

「柴田是真 伝統から創造へ」 豊田市美術館 高橋節郎館

豊田是真

豊田市美術館は、谷口吉生の建築で名高いが、本館とは別に高橋節郎館があるのをご存じの方は少ないかもしれない。

もちろん、愛知県近郊の方、建築関係の方はご存知だと思うけれど、存在に気付かず中に入られたことがない方もあるのではないだろうか。
かくいう私も急いでいる時(他の美術館とのはしごで時間がないとか)は、高橋節郎館には寄らないこともある。

今回は、ここ最近一気に美術会で脚光を浴びている「柴田是真 伝統から創造へ」展が開催されるというので行って来ました。
高橋節郎(1914~2007)は、漆工芸家で長野県生まれの高橋と豊田市との関係は?と思っていたら、1984年に豊田市民文化会館にて「黒と金の世界橋節郎」を開催後に作品75点を寄贈したことから始まるのだそう。
(参考)Wikipediaより

本展は、1995年に開館した高橋節郎館の開館15周年を迎えるにあたり、より多くの方に漆文化や工芸の素晴らしさを紹介するために企画された第一弾の企画展となっています。

柴田是真(1807-1891)は、既に古美術ファンの方ならご存知でしょうが、幕末から明治にかけて画家として、漆工家として偉大な足跡を残した作家ですが、時代の狭間、そして絵画と漆芸というジャンルの狭間に位置した作家であったため、長い間美術会の間で、脚光を浴びることがありませんでした。
三井記念美術館で開催されたエドソンコレクションを中心に展観した「柴田是真の漆絵」で一気に存在が世間に周知されたと申し上げても良いでしょう。

今回は、是真の残した次の大きな3つの成果に着目し、是真作品約40点と彼に大きな影響を与えた江戸時代の漆工家・絵師の小川破笠(おがわ・はりつ、1663-1747)の作品2点で構成されています。
①伝統を忠実に受け継ぎ次代につないだこと
②失われていた技術を復活させたこと
③多様な技法によって新しい世界を切り拓いたこと


先に開催された三井記念美術館他に巡回した是真展と比較すると、国内の是真作品で出展されていなかった作品がかなりありました。また、絵師・画家としての是新作品に特に見るべきものが多く、両方の展覧会を拝見でき良かったです。

以下印象に残った作品です。

Ⅰ.絵師・画家としての是真
・明治宮殿千種之間天井画下絵 112枚のうち9枚 明治20年 東京藝術大学
この下絵が、素晴らしかった。
明治宮殿の千種之間の往時の様子も写真で展示されていたが、それはもう見事な天井画。
その一部を前期後期と2回に分けて、合計18枚を展示する。
草花を描いたものが多かったが、鶏頭が特にお気に入り。

・鵜飼之図 清水三年坂美術館
清水三年坂美術館も是真のコレクションが相当あって、昨年展覧会が開催されていたのに、観にいけなかった。
ここで、同館のコレクションの一部を観ることができて嬉しい。

・雪中鷲図 明治7年 東京国立博物館
鷲が獲物を狙う一瞬をとらえた佳作。まるで、写真のように瞬間を切り取っている。実に上手い。 

・写生帖『蝶真写』『魚』『鳥』『桜華百色 全』 東京藝術大学
写生帖を眺めていると、是真の画力が実感できる。実によくものを観ている。

Ⅱ 漆職人・作家としての是真

・漆絵画帖 東京国立博物館および個人蔵 各二帖
是真の魅力のひとつは漆絵だと個人的には思っている。あの粘々した漆で絵を克明かつ精緻に描く技術は凄い。
何度観ても惹かれる。

・蒔絵夕顔引戸 根津美術館
初見だと思う。蒔絵を施した工芸技術の粋を集めた作品。

・武蔵野三重手付きたばこ盆 たばこと塩の博物館
秋草の模様が施された、琳派風の煙草盆。

・蛍蒔絵吹雪 個人蔵
これは見せ方が良かった。下から白い照明をあてて、まるで器自体が蛍のように光っていた。
実際には上下をきれいに面取りした器で、形がすこぶる整っている。更に、その上に蛍紋様が、控えめに施されている所が実に日本的。蜂須賀家の旧蔵品。

・瓢箪形花入
・柳流水蒔絵重箱 静嘉堂文庫美術館 江戸後期
いずれも初見か。静嘉堂文庫は間違いなく初見。さすが、良い蔵をお持ちです。これは明治前の作品ですが、既に是真のセンスの良さと技術の高さが伺われる作品。

この展覧会の最後に小川破笠と是真の作品がそれぞれ横に並んでいたが、明らかに是真の作品デザインにモダンさを感じた。小川破笠はきっちりとした仕事、従来の伝統を受け継いだという印象だったが、是真のそれは、新しいものを志向しているように見え、両者の違いが鮮明になった。

3月20日(日)午後2時~ コンサート「漆絵の粋×箏曲の粋」が開催されます。
場所:豊田市美術館講堂 当日観覧券必要

*4月3日まで開催中。

東北地方太平洋沖地震について自分ができること

遅ればせながら、東北地方太平洋沖地震の被害にあわれた皆さまには、心よりお見舞い申し上げます。

未曾有の大災害となり、今なおその被害の全容が明らかになっていない時に、このようなアートブログを続けることは如何なものか、自分に問いかけましたが、今私ができることをそのまま継続するだけと思い至りました。

幸か不幸か、私の本業は本災害にも関係する仕事であり、まずは本業に励むこと、明朝一番に出社して業務にあたることを自分の使命だと思っています。
また電力不足の折、暫くブログ更新が滞ることがあるやもしれませんが、ご容赦いただきたく存じます。

募金や節電はもちろんのこと、ひとつひとつできることをやっていこうと思います。

1日も早く、余震がおさまり復旧作業が進むことを願ってやみません。
また、支援にあたられている関係者の皆さまにも、敬意と感謝、そしてくれぐれも二次災害に遭われませんことをお祈りしています。

「林勇気 あること BEING/SOMETHING」 兵庫県立美術館 ギャラリー棟1階 アトリエ1

林勇気

兵庫県立美術館 ギャラリー棟1階 アトリエ1で3月19日(土)まで開催中の「林勇気 あること BEING/SOMETHING」に行って来ました。

本展は、兵庫県美が注目する作家紹介ブログラム「チャンネル」第1回となります。
*「チャンネル」と名付けた意味合いについては、以下同美術館のサイトをご参照ください。
http://www.artm.pref.hyogo.jp/exhibition/hayashi/index.html

林勇気(1976年)は、関西を拠点に活躍する映像作家。「ファミコン世代」を自認する林の代表的な作品は、コンピュータゲームの画面を思わせる世界を人物が淡々と歩きつづける映像作品です。
私が彼の作品を初めて観たのは、恐らくギャラリー・neutron tokyo(東京)であったかと思います。
最初に観た時から、単調でゆっくりとしたリズムながらも、中毒性のある長時間観ていても時間の経過を感じさせない和やかな映像だったと記憶しています。

その後、昨年神戸のギャラリーヤマキファインアートでの個展を拝見。
この時は、映像よりむしろDVDに添えられているドローイングの柔らかさと優しさに注目していた。

本展新作の映像《あること being/something》では、初の試みとして、作品の素材となる写真や映像世界の住人(出演者)が一般から募集されていて、twitter上でも募集の呟きを何度か目にしていました。

さて、兵庫県美のギャラリー1を訪れるのは初めて。同館には何度か行っているが、ギャラリー棟が有ったこと自体気付かなかった。
いざ、入ってみればかなりの広さ。

まず何より最初に目にするのは高い天井を活かした大型3面スクリーンで上映されている《あること being/something》である。
実際に登場する様々な人物や事物、人物は一般公募の皆さまだと思われるが、私は背景の変化にも関心を持った。
過去に拝見した作品では、背景色の変化はなかったが、今回は水か空をイメージさせるように青色が変化していく。

その中を漂う人やもの。
観ているだけで心地よい。

キッチンを利用した(恐らく、個展のために設置したと思われる)Iphone?ipod?を利用し、小さな画面で映像をキッチンのあちこちに仕組む。
この手法は、大山崎山荘美術館で先日拝見したさわひらきも非常に上手い見せ方をしていたが、若干配置の上で、林さんの場合は、見づらい位置に置かれているものが何個かあり惜しまれる。

《garden》2008年は、ファミコンゲームが好きだという林を象徴するような作品。思わず、スーパーマリオを思い出した。スーパーマリオと水道管ゲームを足して2で割ったような映像。
地下坑内をめぐる、林本人?と思しき男性一人が、水の中を潜ったり、軽々とジャンプしたり丁丁発止の軽やかな身のこなし。
傍には、映像作品のもとになっているドローイングも合わせて展示。
やっぱり、彼のドローイングは素敵だ。

キッチンのある方に戻ると、奥に小部屋がある。
作業スペースのようになっているそこにも映像作品《The outline of everything》2009年があり、これは最初の新作に続いて私のお気に入り。
ひもを使用して、木や家?にするすると線が長くなったり、短くなったりして変化していく。
まるで、ひもが生き物のように見え、一本の線の可能性をとことん追求している作品。

これらの映像は、一見CGに見えるかもしれないが、作家自身や親しい友人、木々、ビー玉、空と雲、日常の身近にある景色などを、ビデオカメラやデジタルカメラでコマ撮りで撮影し、1フレームずつ切り抜いていき合成をすることで映像を制作しているという。

日常を映像に取り込むという新聞評などを観たけれど、果たしてそうなのか。

私が思う林勇気作品の魅力は、ゆるやかなリズムと色彩、そして登場人物自体の動き方にあるように思う。
その点、今回の新作はファミコン的映像から大きく踏み出した新境地開拓といえ、今後の作品がますます楽しみになってきた。
あの3面映像を床や天井に流してみても面白いかもしれない。

なお、最終日にはクロージングイベントとして屋外スペースで上映がが開催され、林さんご本人もいらっしゃるようです。
日時:18日(金)、19日(土) 両日とも午後6時から午後7時まで
場所:屋外展示スペース 4階 「山のデッキ」

*林勇気さんの公式サイト:http://www1.odn.ne.jp/tropfen/kanyukuyuki/

「ビートルズとその時代」 岡崎市美術博物館

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岡崎市美術博物館で3月21日まで開催中の「ビートルズとその時代」展に行って来ました。

特段、ビートルズに強い思い入れはないのだけれど、岡崎市美博の展覧会でハズレなしという経験から行ってみることにした。

本展では、1950年代~60年代のファッション、インダストリアル・デザイン、音楽などを通じて当時のライフスタイルを本格的に紹介するものです。
この展覧会は、いわき市立美術館→埼玉県立近代美術館を巡回し、最終巡回地の岡崎市美博での開催となっていますが、ビートルズの新発見の貴重な資料は岡崎のみに許可されて日本初公開されています。
更に、日本初公開なのは、レッド・ツェッペリンのギタリスト。ジミー・ペイジが本展のために愛用のエレキギターや衣装を特別に出品しています。
ファン必見の内容。

50年代、60年代を懐かしむご年配のお客様、この年代のデザインやファッションを愛する現代の若者、私が思っていた以上に様々な年齢層のお客様が展覧会を楽しんでいるようでした。

冒頭に、本展最大の見どころをご紹介したいと思います。
これぞ、学芸員魂!と私は感動しました。
これは展覧会の最後の最後に登場するのですが、ビートルズのレコード『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』(1967年)のジャケットに関しての新発見。
同ジャケットの右下にポータブルテレビが写っている。私は格別ビートルズファンではないため、知らないのですが、このジャケットは有名なもので、メンバー達が持ち寄った人物や品ものがコラージュのように集められ、それらの意味付けや誰の持ち物だったのかが不詳で、謎を秘めたレコードとしても知られているそう。
このジャケットは1967年3月30日にチェルシーのスタジオで撮影されています。

本展開催の準備にあたりビートルズ関係の資料は東京在住のコレクターI氏に出品をお願いし、その中からポール・マッカートニーのサインが入ったインボイス(請求書兼納品書)を担当学芸員の村松氏を見つけ、非常に気になるものとして追いかけ始めます。そこには。1967年12月17日にマッカートニーが、ソニー製の9インチポータブルテレビを購入したことが書かれていました。
前述のレコードジャケットの撮影の約3か月前の購入。
つまり、ポール・マッカートニーが購入したばかりのテレビを持ち込んだ可能性が出てきました。
ソニー本社にインボイスに記載された型式を確かめると、ジャケットに撮影されているポータブルテレビと同型のものと判明。

このテレビとは逆側にはジョン・レノンが日本講演の際に購入して持ち帰ったとされる「福助」が写っています。

福助が日本の伝統を象徴し、ポータブルテレビが当時日本が世界に先駆けた最先端技術の象徴。つまり伝統と先進の対比をジャケット上でなしえたという仮説が成り立ったのでした。

展示には、前述のインボイスとレコードジャケットいずれも展示されています。この素晴らしい発見に思わず拍手をしたくなりました。やるな!って感じです。

展覧会は「1950-1955」、「1956-1965」、「1966-1970」、「Swinging Sixties」、「特別出展」の大きく分けて5部構成になっており、大変見ごたえがありました。

個人的には、映画『ローマの休日』に登場するスクーター「ベスパ」や噂に名高い中判カメラ「ハッセルブラッド1600F」などいきなり、食いついてしまうような本物が登場。

以後、私は特に車にそそられてしまいます。
「ミニ・ヒーリー カブリオレ」は手づくりで製造された3台のうちの貴重な1台。古いのにカッコいい。
車ではないですが、自転車「モールトンスポーツ・Fフレーム」ミニスカートでも乗れる自転車としてデザインされたとか。自転車の流行の背景には石油不安がありました。

時代を追って、デザインや風俗を観ていくと、如何に世相やその当時に起きた事件、流行が日常の品々にデザインとして取り込まれているのかが良く分かり非常に興味深かったです。

府中美術館で回顧展があったばかりのディーター・ラムスのデザインした電化製品やオーディオなども展示。府中で予習しておいて良かった。

また、イギリスだけでなく北欧デザイン、フリッツ・ハンセンやジョージ・ジェンセンのアクセサリ、ポールセンのランプなどインテリア製品、ヤコブセンのカトラリーなども展示されている。

お気に入りは、1970年のポータブルラジオ「パナペット70 R70」のデザイン。
1969には年月面に人類が着陸。カラフルな球体でどこにでも吊り下げられる愛らしさはどこか宇宙や月を思わせる。


3月20日にはエンディング・スペシャルライブ「ヴィンテージギターで聴く50's~70'sサウンド」が開催されます。
第1回 11:00~ 第2回 14:00~ 各80名
開演1時間前から整理券配布予定。会場:1階セミナールーム

展示作品約300点、とても楽しい内容の展覧会でした。やっぱり岡崎市美博の企画展は当たりです!

*3月21日(月)まで開催中。

「Art in an Office-印象派・近代日本画から現代絵画まで」 豊田市美術館 

豊田アート

豊田市美術館で開催中の「Art in an Office-印象派・近代日本画から現代絵画まで」に行って来ました。

本展は、豊田市内の企業が所有し、一般には見る機会のないコレクションの一端を約80点展示し、企業のオフィスと美術作品について考えてみようとするものです。

展示は大きく第1部、第2部と2つに分かれています。

第1部では19世紀~20世紀の西洋絵画と近代日本画、洋画とを展観し、第2部は豊田と言えばお馴染みのトヨタ自動車株式会社が2006年~2010年までに購入した現代美術作品「TOYOTA ART COLLECTION」を公開。

「TOYOTA ART COLLECTION」は、毎年審査があって、その結果購入作品を決定するとのことだが、地元愛知県ゆかりのアーティストの作品と東京都のメジャーギャラリー、例えばギャラリー小柳、小山登美夫ギャラリー、タカ・イシイギャラリーの扱い作家が特に多いのが気になる。

以下第1部より印象に残った作品とともに振り返る。
<西洋絵画>
・モイーズ・キスリング 「スペインの女」 1925年
100.2×73.5のなかなか大きなサイズの作品。キスリングは好きなので、1点でも嬉しい。

・ジュール・パスキン 「下着姿の座る少女」 1928年
パスキンも好きな画家のひとり。これは晩年の作品で、彼はこの絵を描いた2年後に亡くなる。彼の絵の魅力は何と言っても真珠のような絵肌にある。淡い色彩とゆらめくような甘い雰囲気の中にどこか不安が漂う。この作品、どこかで観たような気がする。

・フランシス・ピカビア 「モレ=シュル=ロアン池」 1904年
ピカビアはダダの作家としてカテゴライズされるが、この作品は隣に展示されていたシスレーの「春の朝・ロワンの運河」1897年にそっくりな印象派そのものの作品。ピカビアは20代にシスレーのもとで、ロワン川の絵を描いていたのだそうで、次々と作風を変えるそのカメレオンぶりに興味をそそられる。

<日本画>
・前田青邨 「鵜飼」 1933年
横長の、恐らく額装される前は絵巻であったに違いないが、一部を切り取られたようにおさまっている。
やや損傷がみられる。本展担当学芸員の天野氏によれば、青邨は構成的に優れた画家だとのこと。なるほど、青邨の上手さは常々感じていたが、その源が何であるかがはっきりしなかった。構成力。これから彼の作品を鑑賞する際に念頭に置いておこう。

・上村松園 「つれづれ」 1940年頃
松園らしいきりりとした目元の厳しい美人画。この作品は、昨年開催された上村松園展にも出展されていなかったように思う。

<洋画>
・岡田三郎助 「花の咲く風景」 1920年
・岸田劉生 「麗子微笑」 1920年
・和田英作 「カーネーション」 1939年
・岡鹿之助 「運河」 1967年
これらは、いずれも各画家の佳作だと思う。それぞれの作家の良さが作品にあらわれており、眼福。

・藤田嗣治 「二人の人物のいる風景」 1917年
藤田の初期作品は非常に貴重。日本人の洋画作品の中で一番強く印象に残った。まだ、この時代の作品は藤田らしい陶器のような白は使用されていない。モディリアニの作品に似た重く暗い画面だ。

・小絲源太郎 「豪雪」 1973年
なかなか小絲の作品は他で観ることができないので、貴重な機会。

第2部 TOYOTA ART COLLECTION
このコレクションでは、実際に展示する場所をアーティストに見せて、その場所に合った作品を制作してもらうというコミッション・ワーク。実際に、会議室や応接スペースに作品が展示され、社員が打ち合わせや応対している写真も合わせて展示されている。

ただ、コミッション・ワークという割にはトヨタ自動車を意識した作品は非常に少なかった。

・杉戸洋 「Century」2007年
杉戸のセンチュリーはマイベスト。この油彩、とても素敵だった。杉戸さんらしさ満載。小さな黒塗りの車が一台道を走っていく様子を描いているが、すぐにセンチュリーと分かる。

・鬼頭健吾 「cosmic dust」2006年
鬼頭健吾は、豊田市美にもコレクションがある。今回のような4点組の「cosmic dust」シリーズは初見。1枚ど~んとあるより、4点並べるとまた違った魅力が出て来る。

・田幡浩一 
ギャラリー小柳での個展を拝見したばかりの田幡の作品。淡い色のアクリル板に彼らしい線の細く美しいドローイング(?)がエナメルで描かれている。紙にドローイングより重さを感じる。

・みがきッコ(山本高之/出口尚宏:協力 山田尚子)
山本高之と言えば、あいトリの映像作品を思い出す。今回は写真作品。撮影されているのは。私も好きなトヨタのVitz。車のナンバーもしっかり撮影されていたが、誰の車を使用したのだろう。

・安田悠 「Obscure」2008年
安田悠の作品があるのは良かった。彼女の作品はもう少し観てみたい抽象と具象の境界上にあるような画面。

・大巻伸嗣 「ECHO-Crystallization」 2005年
水晶、修正液、アクリル板を使用した平面作品。額装されているので壁に展示されている。素材が水晶を砕いて粉状にしたものをいつものように大巻風の模様をかたどる。

・森北伸 「童の庭」 2010年
立体ではなく、3点ひと組の平面作品。立体でないのが残念。森北さんの作品は平面より立体の方が好き。

・木村友紀 「忘れ領域/y」2009年
これもトヨタを意識したのか?と推測される写真を使用した作品。やっぱりインパクトある。

・米田知子 「ヘッセの眼鏡-兵士の写真を見る」 1998年
彼女の作品はとても好きだが、これはかなり以前の作品。コレクションの中ではもっとも制作時期が古い。

・池田光弘 Untitled 2008年
池田の作品はShugo Artsの個展で拝見したが、やはり力がある。

この他、名和晃平さんのDotシリーズ、手塚愛子の織物作品「Reverse/Repetition」、横内賢太郎、伊庭靖子、藤本由紀夫、渡辺豪、樫木知子、塩保朋子、桑久保徹ら錚々たる作家の貴重な企業コレクションを一堂に観る機会はこれを逃すともうないかもしれない。

なお、常設展示のコレクション展「浮船」はイケムラレイコ、丸山直文、トニ-クラッグ、毛利武史郎、山口啓介らの5名のアーティストの作品を組み合わせた展示室1は良かった。
続く、展示室2では杉本博司の「Sea Scape」シリーズ。展示室3は難解な内容で、頭をフル稼働。小清水漸の作品と彦坂直嘉の組み合わせ。

展示室4は荒木経惟、イケムラレイコ、中村哲也、奈良美智、ボイス、村瀬恭子、大岩オスカール、牧野義雄、福田美蘭。
浮船のイメージにそぐう作品もあればそうでないものも。
村瀬恭子の作品は、ちょっと苦手だったのに今回観たら良かったのはなぜなんだろう。

*「Art in an Office」は3月27日まで開催中。

「アイチ・ジーン」 豊田市美術館

愛知

豊田市美術館展示室9、レストラン、茶室:又日亭(ゆうじつてい)を会場に愛知県立芸術大学資料館と清州市はるひ美術館の収蔵品および作家により新作を広く紹介する展覧会「アイチ・ジーン」に行って来ました(3/6で終了しています) 。

同展は、第1期~第3期と会期と会場が3回に分けて開催され、今回の豊田市美での開催は最終回の3回目。なお、第1期は昨年9/14~10/3まで愛知県立芸術大学資料館、第2期は2/1~2/20まで清州市はるひ美術館で開催されており、いずれもそれぞれ異なる内容での展示となっていたようです。
私は残念ながら第1期、第2期は観ることができませんでした。

さて、第3紀の出展作家は次の12名です(敬称略、あいうえお順)
阿部大介、安藤陽子、井出創太郎、上田暁子、城戸保、坂本夏子、鈴木雅明、谷村彩、丹羽康博、長谷川冬香、細井博之、山田純嗣

展示会場ごとに印象に残った作家さんや作品を振り返ります。
なお、展示作品の画像については、ブログ「art lumiere ombre」様で沢山ご紹介されています。是非、以下URLをクリックしてみてください。
・展示室内写真付レポート 「アイチ・ジーン」 豊田市美術館
http://artlumiereombre.blog98.fc2.com/blog-entry-170.html
・展示室内写真付レポート「アイチ・ジーン」 阿部大介/山田純嗣
http://artlumiereombre.blog98.fc2.com/blog-entry-171.html

1.又日亭(ゆうじつてい)
普段、この又日亭に入る機会はないので、今回初めてこのお茶室に入りました。思ったより広かった。
ここでは、井出創太郎、城戸保、谷村彩、丹羽康博、山田純嗣の作品を展示。
茶室という空間に現代美術や城戸保の写真をどう合わせるかが見どころのひとつである。
あいちトリエンナーレのプレイベント「あいちアートの森」で会場となった同じ豊田市内の料亭、喜楽亭の展示を思い出す。

上り口には、丹羽康博のテラコッタによる敷石風作品がひっそりと。あまりにもマッチしているので、最初からそこに置かれていたのかと思った程。
このテラコッタがあるのが、通常なのかと思ってしまう。

靴を脱ぎ、待合に入ると城戸保の写真が不思議な形式で置かれていた。
彼の写真を最初に観たのは愛知県美の「はらっぱ」展、そして昨年の東京ユマニテでの個展で、私は彼の写真が好きなので、今回も楽しみにしていた。
ユマニテの時は、黒と白のコントラストを強調した、絵画のような写真であった。今回は、モノクロを強調した写真ではなく、スナップショット的なモノクロ写真が3点。
中でも、たけのこが唐突に中心に写っている≪bamboo shot≫2010年、≪hole≫2010年(いずれもゼラチンシルバープリント)が特に印象深い。

後でご本人にお尋ねしたところ、田んぼの真ん中になぜか筍が落ちてころがっていたそうで、それを「パシャっ」とおさめたという。絶対非演出の写真であったか。あまりに決まっているので、そこに置いて写したと言われても不思議ではないスナップだった。
≪hole≫2010年は、動物の鼻の穴がクローズアップされた写真で、私は牛かと思ったのだけれど、馬の鼻の穴が正解。

奥の茶室に進むと、炉には事前にドローイングされた紙で織られた鶴が天井から千羽鶴宜しくぶら下がり、端に木片がくっついている。谷村彩の作品。彼女の作品は初見だが、同じく床の間には、木彫で作られた「さるのこしかけ」があった。これがリアルで、さるのこしかけって木でできているんだっけ?と首をひねる。

最後のお部屋に進むと、そこには中京大学・Cスクエア以来の再会となるユニコーンのインスタレーション≪UNICORN IN CAPTIVITY≫2011年が!!!
真っ白なユニコーンを中心に周囲を草花が囲んでいる。
針金や木で心棒を作り、粘土で形を整え、最後に真っ白な石膏をかける。まるで、雪景色に迷い込んだような錯覚を覚える。この部屋の明かりは障子を通して光が差し込む。
障子越しの柔らかな光の変化で、作品の見え方も、時間とともにかわってゆく。
確かに3時頃と夕方5時過ぎ、蛍光灯のもとで観た作品はちょっと違って見えた。

2.レストラン
山田純嗣の個展と言っても差支えない展示内容になっている。
豊田市美のレストランはガラス張りになっていて、内と外の境界がガラスのみ。中からはダニエル・ビュレンの鏡を使用した作品を眺めることができる。
入口から飲食スペースまで、比較的長い廊下があるが、この廊下を上手く活かして、平面作品を作るのに使用している前述の石膏付の小さなオブジェ(立体)が無数に並ぶ。これまでは、平面作品にするための立体であったが、本展では、最初からインスタレーション作品にするための立体も混在している。

動物やら、<ミニチュア版>岡本太郎の太陽の塔、かたつむり、そして昨年の不忍画廊で観た「HANAKO」の犬小屋と花子(犬)もいるではないか。。。可愛らしすぎる。
壁には、「FLOWERS」パールペイントを使用した着彩を施した山田独自の手法で制作された平面作品が展示されている。
このインスタレーションと平面は外からもよく見えるので、中から観ても外から観ても楽しめる。

これで終わりかと思えば大間違い。
中に入ると、これも昨年の個展で拝見した大作≪BOAT IN FOREST≫2010年が。
そして、レストランの厨房と客席の間にある仕切りの上に、またも無数の動物オブジェが黒と白混在して並んでいる。
天井近くにオブジェが並んでいるのもCスクエアでの個展を思い出し、まだ少し前のことなのに懐かしさで一杯になった。この小さな動物たち、全部持って帰りたい欲求がむくむくとわき上がる。
他に、透明ケースに入った大きめの白い塔のオブジェもあり。これは、その場所に置くために制作されたとのこと。
ぴたりと決まっていたのは言うまでもない。

更にテーブル(普段は豊田市美術館野の記事が掲載された雑誌などが乗っている)の上には、前述の≪BOAT IN FOREST≫の真っ白な模型が!詳細は、先にご紹介したブログ「art lumiere ombre」様をご参照ください。ばっちり写真に撮影されています。
いや、この模型だけでも凄いです。。。本当に。思わずため息が出てしまいました。

このレストランのテーブルもガラス。外との仕切りもガラス。水をイメージするにはピッタリの空間で、ビュレンの鏡面作品にも模型や平面作品が反射していました。

3.図書室
図書室は、阿部大介の作品が3つ。
入口すぐには、発砲バインダーを使用した洋服の立体が天井からぶら下がる。図書室出てすぐの壁面には≪夢が漏れる07-01≫2007年。これは版画作品に入るのだろうが、今まで観たことのないような魂の抜け殻というか。儚い洋服の残像とでもいうべき痕跡が印画紙にとどまっている。

また図書室奥の壁面は同じく発砲バインダーを使用したのか、でこぼこと触角を刺激されるような加工が施されているのであった。図書室奥までちゃんと入って観ているのだろうか。もう少し、ここは案内があった方が良かったと思う。折角の作品が気付かれないではもったいなさすぎる。

4.展示室9
ここにはペインティングが展示されているが、やはり坂本夏子の作品に目が行く。
今回は過去に観た作品と違って、歪みがあまりなく、寧ろ奥行きや遠近感を強調するかのような作品≪Queen of White≫2011年が良かった。

安藤陽子は、昨年東京のINAXギャラリーで拝見した作品と同じだったと思う。絹本に顔料を使用して描いた作品は透明感にあふれ、その一方で絹本に溶けだしてしまうようなポートレート。彼女たちは皆、未来をみつめているのか。ややうつろな表情であるようにも見えるし、夢見ているようにも見える。

鈴木雅明の油彩は、一風変わっていて、前川千帆の版画をなぜか思い出す。夜景シリーズから、色彩を多く取り入れた新作だとのことで、この日はアーティストトークがあったが、現在取組中の新作は、全く別のドット作品。
様々な方向にチャレンジしている真っ最中の作家さんだった。

上田暁子は3月14日から始まる「VOCA2011」展で大原美術館賞を受賞。
今回は2008年~2010年に制作された3点が展示されていた。
ちょっと私の好みからは、外れるけれど強い黒の背景、闇をバックに少女たちの群像を描く。

なお、図録(1000円)は本展展示風景ではなく、各作家の作品を全点、城戸保の写真にて掲載。
しかも和綴じでかなり凝ったデザイン。サイズは小さいけれど、城戸保写真集とも言えて、私としては楽しめる内容。700部限定です。欲しい方はお早めに。豊田市美術館のミュージアムショップにて販売されています。

*本展は既に終了しています。

岐阜県美術館所蔵品展2011年1月-3月 岐阜県美術館

順序があちこちしていますが、岐阜県美術館の企画展「伊藤慶二 こころの尺度 + 林武史 石の舞・土の宴」の後に、常設の所蔵品展を拝見する。

実の所、企画展も勿論関心はあったが、所蔵品展に今回訪問の目的があったのだ。

岐阜県美術館は19世紀の画家オディロン・ルドンの作品を多くコレクションしていることで著名。
それゆえか、19世紀の西洋版画作品も良いものを持っている。

今期(2011年1月-3月)の所蔵品展の感想と印象に残った作品は次の通り。

第1室 日本の美術
・山本芳翠 「裸婦」 1880年頃
山本芳翠の作品は他館でなかなかお目にかかれないが、岐阜県美では少なくともほぼ1点はいつも展示されていると思う。今回の作品も未見作。ただし、いつもの神教的なものが強く表には現れておらず、比較的芳翠にしては地味目な作品。

・原田直次郎 「花」
この原田直次郎という画家が私にはよく理解できない。何しろ茨城近美でかつて見た唐突に画面から犬の顔面が飛び出す作品、あれを観て以来、この画家の突拍子のなさにおののいた。
つい、東近美に常にある《騎龍観音》のイメージが浮かぶが、今回は濃厚な薔薇(だったか?)のゴージャスな色彩溢れる薔薇の花々。そうして、私は再びけむに巻かれる感じを覚えた。

・関根正二 「チューリップ」1918年
関根正二は大好きな画家。なぜ、あんなに早く亡くなってしまったのだろう。本当に悲しい。私は彼の作品の色遣いが大好きで、この「チューリップ」も背景とチューリップの色彩の組み合わせが絶妙で、これぞ関根正二にしかなしえない油彩画に仕上がっていた。色彩は輝くばかりの美しさなのに、チューリップが縮こまっているのが対照的。そんなところに哀愁を感じる。

・木村庄八 「パンの会」 1928年
木村の油彩も大きな画面の作品はなかなか出会えない。むしろ、挿絵や装丁画の方がよく見かける。この作品は木村の油彩画の本領がよく発揮されている佳作。

・佐藤慶次郎 「オテダマ」 1974年
アクリル棒を丸い球がポンポンと上下する、まさにオテダマ運動が自動的に行われている。作家の佐藤は2009年に惜しくも亡くなられたようで、そこまでずっと平面主体の作品だったのが、突如として動きのあるそして懐かしさを感じる作品で、これと関根の作品2つが特別印象深い。

第2室 第3室 西洋版画:夢か現か
国立西洋美術館のブレスダンの版画作品についての記事をアップしたところ、Luca様がコメント欄で岐阜県美の常設にもブレスダンが出展していることを教えて下さった。
しかも、西美では出ていない作品とのこと。
ロドルフ・ブレスダンは1枚でも多く観たい版画家。今回は以下9作品を拝見。
・「ローマ軍団」 1856年
・「浴所と時の神」 1857年
・「竿を持つ聖家族」 1858年
☆「東方の騎士」 1861年
☆「母親と死神」 1861年
・「沼のほとりの聖家族」 1865年
・「鹿のいる聖家族」 1871年
・「カエサルと捕虜たち」 1871年
☆「エジプトへの逃避途上で憩う聖家族と荷鞍をつけたろば」
リトグラフとエッチングが混在しているが、彼の場合、エッチングもリトグラフもそれ程大きな差を感じない。が、あの異常なまでの緻密さはエッチングの方が特性を活かせるような気がする。
☆印の3点は特に良かった。

茨城県近代美術館の常設展示でも拝見したばかりのマックス・クリンガー「死について、第一部」1889年連作版画。
ここでは、ルドンの油彩「オフィーリア」「神秘的な対話」、おなじみの「眼をとじて」など5点の油彩画もあった。

・オディロン・ルドン 石版画集「夢想」 1891年 全6点 やっぱり19世紀の版画でルドン作品ははずせない。

第4室 工芸:織りの世界 こちらは染織、着物作品の展示。

第5室 墨の世界
・竹内栖鳳 「瀑布図」 1900年頃
栖鳳の瀑布図は構図が特徴。円山応挙を踏襲しているような墨画。やっぱり上手い。それ程大きな作品ではないのに近づくと滝のしぶきが飛んでくるような気がした・

・猪熊弦一郎 「猫(一)」「猫(二)」 1946-47年頃
生活に困窮していた猪熊は支援してもらっていた西山家の襖に熊谷守一ともども絵を描いた。
子供が描いたようなお茶目な猫たちの作品。まるで落書きしたような襖絵で、こんな襖のあるお家に住んだなら・・・と思いに耽る。

・村井正誠 「つくし」「二石」「舞」 1970年代
村井の作品も一度まとめて拝見したいが、なかなかその機会がないのは残念。

帰りにLuka様お薦めの2001年の展覧会図録「想像の森へいらっしゃい リラクセーションとしての19世紀西洋版画」800円k購入。ピラネージを皮切りに最後はゴーギャンのモノタイプ版画で終わる内容。薄いがA4サイズで図像が大きく主要な作家も網羅されているし、19世紀版画の流れも追える。

*4月10日まで開催中。

2011年3月5日・6日 鑑賞記録

3月5日午前0時新宿発の深夜バスにて名古屋へ向かう。帰名するのにバスを利用したのは初めてだが、今回利用したバスは足元もシートも広めでなかなか快適だったが、唯一の難点は暖房の効きが悪く、窓際の私は非常に寒かった。
毛布は備え付けがあったのだけれど、ダウンをかぶっても寒い。
次回は別のバスを予約済なので、当分乗り比べしてみるつもりです。

さて、この土日は岐阜県美+愛知県内の美術館+ギャラリーひとつを回りました。
以下簡単な鑑賞記録です。今回はどれも充実した内容だったので、美術館の展覧会は別記事をアップします。

1.愛知県美術館「レンバッハハウス美術館所蔵 カンディンスキーと青騎士展」+常設展
カンディンスキーと青騎士展は三菱一号館美術館で既に観ていたので、今回は時間がないこともあり気になる作品のみじっくりと。
しかし、やはり箱が広いのに作品が小さいため、寂しい感じと無駄な動線が多すぎると思った。もっと企画展示室をしぼるか仕切るかした方が良いのではないか。天井高が三菱よりかなり高いので、絵が一層小さく感じる。

常設、これがまた素晴らしかった。
一番のツボは、木村定三コレクションの「朝鮮陶磁特集」。
少女の陶製彫像に加え、青磁に白磁、とどめは井戸茶碗に熊川茶碗。高麗茶碗や三国時代の土器は大好物なので、嬉々として観て回る。

そして、テーマ展は大西康明「体積の裏側」。
大西さんの作品は以前、大阪の「Art Court Frontier 2010 #8」@アートコートギャラリーで拝見した作品と同じ手法を使ったもの。
今回は空間が広かった分、作品も大きくなっていたが印象は前回とそれほど変わらない。ただ、素材となっているシートがあまりに薄く動くたびにカサカサと音を立て、それも狙いなら良いのだけれど、そうでないならもう少し、厚みのある材料の方が良いのではないか。材料によって、せっかくの作品が安っぽくなってしまうのは残念。

新収蔵作品では、岡崎乾二郎「あなたがたのかんがえは・・・」「天使は翼があるから・・・」「野には(この世界では見えぬ・・・」の黄金比を使用した3部作に吸い寄せられる。この3部作、大きさもかなりのもの。
若手の坂本夏子「Painters」2009年もしっかり入っていた。
他に岸田劉生、正宗徳三郎らの作品が新収蔵、寄贈されていた。

・愛知県立芸術大学卒業・修了制作展
愛知県芸の卒展は今回初めて拝見した(と思う)。無駄にパンフレットが厚い紙を使用しているのが他大学と違うが、作家とタイトルがきちんと書かれているので、観る側としては非常に観やすい。
日本画:小柴一浩、辻恵、山岡佳澄、油画:石井貴紀、木全佑輔(彼は既にギャラリーが付いていたような、要確認)、横野明日香、江上真織、東条香澄、彫刻:葉栗里、上村文香、里村英昭、本田篤志、デザインは各学生さんみな個性的で良かった。高柳佑真、安東哲 以上が目に留まった学生さん。

・松坂屋コレクション 技を極め、美を装う 4/10まで
巡回なしで松坂屋創業400周年+松坂屋美術館20周年記念となれば、力が入っているに違いないと予想していたが、案の定素晴らしかった。以前、大阪市美他で松坂屋京都染織参考館の名品を展示する「小袖」展が開催されたが、今回はそこで展示されていない更なる秘蔵品を一堂に展示。約150点は非常に見ごたえがある。「小袖」展が気に入られた方は是非とも足を運んでいただきたい内容。

・「ビートルズとその時代 SWINGING LONDON 50's-60's」 岡崎市美術博物館 3/21まで
開館30分後に到着したのに、既にお客様はかなり入っていて、年配のご夫婦やいかにも60年代に青春時代を迎えていたのでは?と思われる方々など幅広い年齢に人気のようだった。
予想外に面白い内容で、特にビートルズのレコード・ジャケット「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」の謎を新たに解明した発見に感心しきり。
福助とソニーのポータブルテレビ。
こちらも、是非とも足を運んでいただきたい内容。ジミヘンのギターや衣装、ベスパにミニ・ヒーリー・カブリオレがあるかと思えば、北欧デザインもあり、府中美術館で昨年企画展があったディーター・ラムスなど(これ観ておいて良かった)、岡崎市美博の企画展もまずハズレたことがない。

・豊田市制「Art in an Office-印象派・近代日本画から現代絵画まで」3/27まで
・「柴田是真 伝統から創造へ」4/3まで
・「浮船」 4/3まで
・「アイチ・ジーン」 3/6で終了
以上すべて豊田市美術館

以上4つ、うち「アイチ・ジーン」は愛知県立芸術大学芸術資料館のアウトリーチ活動の第3回目として、会場を美術館内展示室、レストラン、又日亭と使用したものなので、主催は別。
それでも他3つの展示を全て観ても鑑賞料一般300円は他館では考えられないコストパフォーマンスの良さ。
いずれも秀逸であるが、柴田是真は、三井記念美術館・承天閣美術館他に巡回した是真天を補って余りある内容。3月20日、藤井達吉と絡めた講演があると知り、うずうずする。藤井達吉はとても好きで気になっているのに、是真とどこかで関わりがあるのだろうか?分身したい。

「Art in an Office」は、これを逃したら次に観られるのはいつのことやら・・・という普段企業内で展示されている作品が公開されている。非常に珍しい作品が何点か、そして噂のトヨタコレクション(トヨタ自動車のコレクション)の現代美術作品が勢ぞろい。すべてコミッションワークというから凄い。
杉戸洋さんの「センチュリー」は完全にツボだった。欲しい。。。

「アイチ・ジーン」は愛知県立芸術大学史料館、はるひ美術館、そして最後の会場が豊田市美術館での展示。
何といっても、贔屓目なしで、山田純嗣さんの展示が抜群に良かったです。
個人的にはレストランの展示が特に良かった。外のダニエルビュレンの鏡を利用することも考慮の上での作品配置。あれは、ずっとあのままレストランに展示してあると楽しいのに。
又日亭の和室を利用した展示も、めったと見られない内容。昨年、東京ユマニテで個展を拝見した城戸保さんの写真、今回はスナップショットが畳に置かれているのが面白い。牛だと思っていたら馬の鼻で、奥の床の間を使った1点も良かった。書きだすと長くなりそうなので、ひとまずさわりだけ。

・手塚愛子 展  透明な果実 1
・小柳裕 展 温室育ち Hothouse Plants ケンジタキギャラリー名古屋 いずれも4/23まで
手塚愛子さんは、いつものタペストリーの糸をほどいてほどいて・・・そこからイメージを創出させる作品だが、小品と他に1点これまでとはちょっと違った見せ方をする作品があり、大山崎山荘美術館での展覧会が楽しみになった。

小柳裕の作品は初見。ジュートを支持体に使用して、その上から油彩で静物もしくは花などを描く、高島野十郎のろうそく作品の模倣かと思うようなモチーフの作品が2点あった。


この他、藤原えりみさんの講座『西洋絵画を視る』も受講でき、内容の濃い2日間でした。

「伊藤慶二+林武史展」 岐阜県美術館

岐阜県美術館で開催中の「伊藤慶ニ+林 武史展」に行って来ました。

 このたび、岐阜県美術館では、岐阜ゆかりの現代美術のアーティストを紹介する展覧会の第3弾として開催されるものです。過去の二回は拝見していませんが、今回は立体造形と石彫作品の展覧会だったため、行ってみることにしました。

 土岐市出身の陶芸家・伊藤慶二は、全国でも最も早い時期から、やきものによる立体造形を手がけてきた第一人者です。近年は「面(つら)」のシリーズで、様々な人間の頭部を発表し、話題を呼びました。
 岐阜市出身の彫刻家で東京芸術大学准教授の林武史は、長年にわたって御影石によるスケールの大きな彫刻を制作し続けていますが、今回は従来にない体験型の新作も展示されます。~岐阜県美術館サイトより。

展示はまず、伊藤慶二の作品から始まり、伊藤と林の作品は明確に展示空間が分かれています。

受付では作家本人による解説と一般の作品解説含むの音声ガイドが無料で借りられますので、これは借りられることをお薦めします。

以下印象に残った作品についての感想です。
・伊藤慶二
「HIROSHIMAー土」 1975~2005年  陶
壁面にタイルのように色も質感も、そしてあるものは平たく、別のものは突起が付いていたり、穴があいていたりと見せる表情は様々。
伊藤は原爆で焼土になった大地を陶という手法で表現した。
20歳の頃、広島の原爆資料館で観た原爆投下後の広島の写真や資料から、今回のシリーズが制作された。

・アーカイブ室
伊藤が、これ迄作品制作にあたり、影響を受けたものを自身の所蔵品から、そして合わせて彼の作品を並列して並べている。
ちょっとオモチャ箱的な感覚があって、この部屋が実に楽しい。
そこに置かれている品々、例えば、銅製匙やガラスの食器、李朝青磁の硯など、何げない日用品にも美を見い出す、民藝の精神と似た物を感じた。
壁には和紙で絵巻物風に、それら置かれている物を描画している。
これがまた、とても素敵な線と色。
個人的には、十二支のウサギや牛が愛らしくて手元に置きたくなるような感じだった。
また、後ろの和紙の絵画も、彫刻をはじめる前迄、画家として絵画を学んでいた成果なのか。これも魅力的で、百鬼夜行の絵巻から化物が飛び出して来た・・・と言ったら近いかな。

・「面」(つら)   2010年
絵画から離れて彫刻に向かっていた伊藤だが、最近再び絵画に戻る試みも始めている。その最初は自画像だった。何点も並んだ面はプリミティブで純粋で、埴輪のような無表情ではなく、どの面にも表情がある。モディリアーニの彫刻をふと思い出す。

・「祈り」
最新作。まさに伊藤の思いここに極まれり。陶、木、布、鉄などを組み合わせた祈りの姿。作家本人をイメージしたのかもしれない。

林武史
・「水田」
林の作品は展示空間によって配置を変えるためインスタレーション的な要素が大きい。林は1年間のヨーロッパ留学を終え、帰国した際に日本を感じたのが水田だったと語っている。水は無く、床は美術館のまま、それでも花崗岩が整然と並ぶ様は湿った鑑賞者に田圃をイメージさせる。

・「林間」
これまでこの作品をガラスケースに横一列に配置したことはなかった。敢えて、林は林間をガラスケースに入れることで、どんな風に作品が見えるのか、気づかなかったことを観たかったと言っている。

・「石間」「紅の庭」
この二点は展示室から出て、多目的ホールに展示された体験型作品。
石彫に靴下ばきとはいえ、乗っていいとは思いもよらず。
周囲は、赤でリトグラフをした長い美濃和紙に囲まれ、囲みの中に石彫がある。
石の大きな欠片の集積だが、突起が丸く作られていたり、本来のあり方とは異なると思うが、思わずそこに足のツボを当ててしまった私。大変気持ち良かったです。

実に楽しく、観ることの楽しさを味わわせてくれました。
各作家のアーティストトーク他イベントも用意されています。

*5/8迄開催中です。オススメします。

「第14回 岡本太郎現代芸術賞展」 川崎市岡本太郎美術館

太郎賞14

川崎市岡本太郎美術館で開催中の「第14回 岡本太郎現代芸術賞展」に行って来ました。

当日は、何と1600通を超える応募があったという岡本太郎生誕100年記念講演 「篠原有司男(ギューちゃん)、岡本太郎を語る!!」*パフォーマンス:ボクシングペインティングあり!に運良く当選し、そちらの講演とパフォーマンスをしっかと観てきました。
豊田市美術館での「ギューとチュウ」展でボクシングパフォーマンスを観ることができなかったので、生でその雄姿を観られて感動~!ご本人は、とても小柄で気さくな方でした。石原都知事と同い年だとか。

このパフォーマンスの模様は、ブログ「中年とオブジェ~魅惑のモノを求めて~」さんで画像+動画付で詳細がアップされています。URLは以下の通り。是非、ご参照ください。
http://blog.livedoor.jp/schizou/archives/2011-02.html#20110228

私はと言えば、皆さんがTシャツにパンチされているのを呆然と眺め、終了後のドサクサにまぎれ、「サインをお願いします・・・」とオズオズと差し出したノートに、さらさらと私の似顔絵を描いて下さるではないか!勿論サイン付。家宝にします~とテンションは最高潮になったのは申し上げるまでもありません。
しかし、本当にパワーのある方で、パワーもエネルギーも同時にいただいた気がします。本当に有難うございました!

さて、毎年楽しみにしている同館主催の岡本太郎現代芸術賞展。
今年で実際に観に行くのは3回目となる。
今年の応募総数は、818点と過去最多。そのうち以下27組の作家が入選し、太郎賞(1点)、敏子賞(1点)、特別賞(3点)作品が選ばれ入選作品すべてが展示されている。
<入選者>
秋永邦洋、 池田典子、 上田尚宏、 大垣美穂子、 おおば英ゆき、 大森隆義、 オル太(岡本太郎賞)、 加藤正臣、金子良/のびアニキ、 鎌田あや、 川埜龍三、 北野謙(特別賞)、 衣川泰典、 熊澤未来子、 高野浩子、 コフネコトモ子、坂本夏海、 島本了多、 高嶋英男、 チームやめよう、 照沼敦朗(特別賞)、 藤堂安規、 二藤建人、 松延総司、望月俊孝(岡本敏子賞)、 諸橋建太郎(BARBARA DARLINg)、 山本麻璃絵(特別賞) (50音順)

今年の全体的な印象はを3点挙げる。
1.どこかで作品を観たことがある作家さんが多かった。

2.立体、インスタレーション、パフォーマンス、映像、写真と実に多彩な表現手段の作品が入選を果たしていたこと。特に映像作品が増加しているように感じた(数えてはいない)。

3.作品の大型化

2、3の影響によって、展示室内はかなりのカオス的様相を見せていて、例年より展示室が手狭に感じた。また、大型の立体作品やインスタレーションを平面絵画と同室に展示するため、どうしても平面でかつ小さな作品は、目立たなくなってしまうのが不利かなと。作品には適切なサイズがある。勿論大型作品は見栄えするが、作品の良し悪しはサイズでは測れない。
小品の丁寧な水彩+鉛筆画はあの空間に置かれて、居心地が悪そうに見えた。

個人的に印象に残った作家さんを挙げる。

・オル太 「つちくれの祠」
オル太は11名のアーティスト集団。さすがに太郎賞受賞したのもうなずける。
まるで舞台美術のような巨大な造形物である祠はアニミズム信仰を思わせるような原始的かつ宗教的な雰囲気を醸し出し、そこだけ、現代から切り離された別の時空が流れている感じ。
この作品を使用し、メンバーがパフォーマンス祠TIME「一生供物」を行っている。日程は下記の通り。
3月12日(土)、20日(日)、26日(土)、4月3日(日)時間:各日10:00~17:00
このパフォーマンスを観てこそ、作品の持つ意味合いや感じ方が変わるし、それこそが完成作な気がしてならない。

・望月敏孝 「うつつみ」
彼の「うつつみ」は、昨年上野の東京藝大近くで開催された「続・続・続・続展」で強く印象に残っているので、すぐに思い出した。
会場内の至る所に、ひっそりと気配を漂わせたかつらと黒布の女の子。そんな単純なものだけなのに、しっかりと頭に刻み込まれる、そんな作品。他の作品を観てみたい。

・北野謙 「our face project」
過去の太郎賞展に写真作品が入選したことがあっただろうか?少なくとも私がこれまで観た13回、12回には写真がなかったような、私が失念しているだけかな。
今回は実際に出会って撮影した複数の肖像を暗室で均等に微小の露光を重ね1枚の印画紙にイメージ化したもの。
大判の3点は版画作品のような画像の中に不思議な光と影を放っていた。既に中堅と言って良い写真家の今回の作品は完成度が高かった。

先日、京芸の新研究棟で拝見した水木塁さんの作品の多重露光作品とは似ているが、違った制作技法という理解で良いのか。どうも技法になると、いや技法だけでないが、滅法弱い。

・山本麻璃絵 「ものモノ」
日常よく見かける雑多な工業製品やプラスチック製品などなどを木彫で表現する。彼女の作品は東京ミッドタウンアワードや群馬青年ビエンナーレ2010で観ていた。
このまま、このモチーフシリーズを続けるのだろうか、今後の活動を注視したい。

・上田尚宏 「Distortion≪1/X≫」
この作品は、一定時間を経過すると光が巨大な水道管のような円環を動き回るというしかけがあるので、しばらくじっとしていた方が良い。もしくは近くに移動してすぐに戻るとか。
面白いのだけれど、何かもう一つ欲しいかな。

・コフネコトモ子 「SOUL DANCE」
新たなパフォーマンス登場か。ボディアート+ダンスパフォーマンスを世界中をめぐって行う。
体を張った女性アーティスト。彼女のボディペインティングになぜか刺青を思い出した。

・島本了太 「しらない言葉の百鬼夜行」
これは、面白かった。
やたらと巷に流布している外来語、専門用語を並べて、作家は言葉の意味を知らず、言葉の音や文字性だけを頼りにそこから見出したものをイメージして絵画にした。
現代を風刺しているようで、その実、真剣だったりするのかなと如何ようにも解釈できる。
横長の作品を壁に展示、最後の部分の隣に、「この絵に書いた言葉の意味をしりません。もし、意味をご存じものがあれば教えてください。」とコメントと箱が用意され、箱に投稿された回答も一緒に展示されている。

他に、「Domani・明日展2009」で拝見した高野浩子の一段と大きな想い出についての作品、高嶋英男「ヨシ子さんがつくる。」、熊澤未来子「狂慌」、グロテスクかつエロティックなインスタレーションではあるが存在感抜群だった諸橋健太郎「勃たない世紀のHistoria」、松延総司らが記憶に残った。

なお、コフネコトモ子他の作家のパフォーマンスやアーティストトークなどのイベントもあります。
詳細は美術館の公式サイトをご確認ください。→ こちら

*4月3日まで開催中

「煌めきの近代~美術からみたその時代」 大倉集古館

煌めき

大倉集古館で開催中の「煌めきの近代~美術からみたその時代」展に行って来ました。

本展では、幕末・明治から昭和に至る時代に美の面から焦点をあて、その特色と輝きを示す試みを行うものです。
出展作品は約40点。会期中一部作品の展示替えがあります。

この展覧会では、横山大観の「夜桜」(同館所蔵)も展示されますが、私は同じ大観でも個人蔵の特別出品「秋色」を観たかった(2/27でこの作品の展示は終了)ので、この展示期間中に行って来ました。

以下印象に残った作品です。

・「山水図」 橋本雅邦 6曲1隻
橋本雅邦がもとより、好きなので、この屏風絵はとても嬉しかった。しかもモチーフも好きな山水図。雅邦は元々山水図のような風景画が多い。水墨画の見事な作品だった。

・「万里長城図巻」 田能村直入 明治時代に活躍した文人画家で、田能村竹田の養継子。
全体的に線が堅い。巻頭の賛は、富岡鉄斎によるもの。

・平家納経 経箱 田中親美
田中親美と言えば、平家納経だけでなく源氏物語絵巻の模本作成をしたことでも有名。平家納経だけでなく、経典を入れる箱まで再現してしまうとは恐れ入る。
その精緻かつ華麗な美しさは、オリジナルをも超えているほどの出来栄え。

これは今回のベスト3のひとつに挙げられる。

・朱色地螺鈿高卓
作家不明の作品だが、明治の工芸技術は素晴らしいものがある。
この作品以外に、自在置物なども数点あり、こちらは江戸時代のものだが、明治の工芸につながる工芸品。使用目的は飾りだったのだろうか?

・「山四種」 横山大観 4幅
大観の四季それぞれの山の風景を描いた掛軸
春:靄、夏:霧雨、秋:嶺風、冬:雪餘

一度観たことがあると思うが、山四種は好きなモチーフ。四季によって変化する山の情景の空気感が伝わる。

・「秋色」 横山大観
前述の私が観たいと思っていた作品。作品リストでは一幅とあったが、これは間違いだろう。大型の屏風絵。
右隻に槇に紅葉に、蔦。
左隻には、紅葉したツタ。

・「桂川の秋」 穴山勝堂 
穴山の名前は本展で初めて知った。松岡映丘に師事していたという。作品からは、師匠ゆずりの高貴な感じを受ける。

この他、伊藤若冲の「乗興集」なども出展されている。
来年度頭に開催予定の東京藝大美術館の「香り展」の予習にぴったりの香道のお道具が素晴らしい。ひとつひとつ、仕事に手を抜かない丁寧な作業の様子が伝わる。

*3月21日まで開催中

2月のギャラリー鑑賞記録 書いていないもの編

なんだか、日増しに労働状況が悪化してきた今日この頃。
2月も気が付けば今日で終わり。
書いていない展覧会が山のようにあることに気付く。TOKYO FRONTLINEや恵比寿映像祭にも行ったのに感想まだ書いていない。そして猛烈に本が読みたいのに読めていない。

と愚痴愚痴言ってる時間があったら、少しでも記事を書こう。
今回は書いていないギャラリーの展示の感想です。ほぼ全て既に終了しているため、まさに記録のための記録。

・福永大介展 「何かを味方にすること」 小山登美夫ギャラリー 2/26に終了
ギャラリーサイト→ http://www.tomiokoyamagallery.com/exhibitions/daisuke-fukunaga-exhibition-2011/

福永大介は1981年生まれ。何でも村上隆のGEISAIで小山氏がスカウトしたそうだ。2009年のVOCA展にも出展。

今回展示されていたのは、約10点の新作ペインティング。
人物と日常生活の一端を捉えた作品なのだが、なぜか落ち着かない気持ちにさせられる。
私が一番気になったのは色の使い方と形態の把握。
前述の通り、人物も日常で使用される道具も不安定な感じだが、背景の描き込みは丁寧でしかも美しい。
人物や物の色の配し方が、また独特で一瞬ゴーギャンの作品をなぜか思い出したのだが、決して似ている訳ではない。
そうした不安定さや落ち着かなさがありながらも、どこか惹かれるものがあるのは福永の大きな魅力だろう。大画面でもやや小さめの画面でも、作品の完成度のブレはないように感じた。

・松井亜希子 -冬の水 うつろう光影-展 INAXギャラリー2 2/24終了
ギャラリーサイトhttp://www.inax.co.jp/gallery/contemporary/detail/d_001794.html

同ギャラリーでは久々の版画作家の展示。モノクロの写真のような銅版画。
今回の作品モチーフは「水」たゆたう水。水の表情を銅版画でいかに創出しているかが鍵。横200cmの大阪の水景をモチーフにした新作は圧巻だが、非常に上手いし版画とは思えないような線描に魅せられる反面、版画でしかできない表現が作品に見えるかと言えば、それは見えてこなかった。
上手いだけの版画作家さんは卒展などを拝見していると非常に多い。
問題はその先で、版画特有の、版画でしかできない表現って何だろうと彼女の作品を観ながら改めて感じた。

・村岡佐知子 「weather report」AI KOWADA GALLERY 2/26で終了。
1983年生まれ。
天候をペインティングで表現。全部で作品は5点あったが、何か物足りない。絵から感じられる力や感情が伝わって来なかった。画面上に散らばる色が、星空のように見えたが、そこから天候というテーマへの結びつきは私には感じられず残念。

・関口 正浩 「反転・回転・反復」 児玉画廊京都 3/26まで開催中
彼の作品はG-tokyo2011にも同画廊で出展されていた。
幾何学な色彩面で構成されているが、キャンバスにじかに描いているのではなく、カッティングシートもしくは紙のようなものに色を塗り、それを貼り付けて画面構成をしているようだ。

この貼り付けの色面構成と貼り付け方法により、表情は様々に変わる。特に敢えて、しわがよるような貼り付け方をすると画面が歪んで、見えたりと面白い。絵具では難しそうな皺表現が、作品の表情にニュアンスを追加する。

・ロンドンギャラリー
今期は、昨年福井県立美術館で同ギャラリーオーナー田島氏のコレクションにより「シルクロードと東アジアの仏教美術」展が開催された。その中からごく一部の作品を展示している。
東博の「平山郁夫と文化財保護」展と合わせて観るのも楽しいと思う。
最奥の床の間のお軸が、鎌倉時代の錐金の美しい仏画であった。北魏の仏塔はやはり素敵な微笑みをいつもたたえている。

・アイ・ウェイ・ウェイ展 終了 SHIN MISA GALLERY
これはオープンしてすぐに観に行ったが、狭い会場内で作品とくっつくような距離でしか鑑賞できず、昼間だったので、シャンデリアの輝きがいまひとつだった。
作品は一見シンプル。巨大な2階まである天井まであるシャンデリアが下がっている。
光は中から当てているのか、ガラス?の飾りが光を乱反射していたのだが、お昼に行ったため、その光がよく見えなかった。最終日だったのか、特別にギャラリーの入口の重い重いドアを全面開放して下さって、日没後に作品から引いた位置で、鑑賞するのは以前観たのとは別の作品化?と思うほど美しかった。

・渡辺豪「lightedge - 境面 II -」2/26で終了
昨年愛知県美術館で、「現代美術の発見VI 渡辺豪 白い話 黒い話」を拝見したばかりだったので、今回の展示作品もうち2つがかぶっていたと思う。

本が上からゆっくりとゆっくりと落ちて来るかぶさってくる、いや流れて来ると言った方が分かりやすいか。音はほとんどなく、ひたすら時間がここではゆっくりと流れるのだ。

大型の書籍がゆっくりと落ちる作品の正面には、未見作が1点。アパートの一室が歪んでくるという不思議な映像。
奥のスタッフルームにも作品が数点あった。
詳細はex-chamberさんのブログにアップされています。

・「田幡浩一 trace of images」 ギャラリー小柳 3/11まで
ギャラリー小柳さんの好きそうな作家だなというのが第一印象。映像と平面作品が何点か出ているが、線の細い、マンガと絵画のちょうど中間に位置するような作品だった。(←これは寝ぼけて書いていたようです。全くそのような作品ではありません。謹んでお詫び申し上げます。)アニメーション的な見せ方を映像で見せると面白いと思ったのだけれど、今回の映像作品は個性的ではあったけれど、あまり魅力は感じず、むしろ絵画の方が良かった。
虫や花のモチーフ作品は、平面から抜け出て動きだしそうな予感あり。まだまだ、これから変化し益々新しい表現をして下さる印象を持った。
*田端浩一さんの感想について3月1日に修正しています。

他にもまだあるような気もしますが、とりあえず今日はこの辺で。
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