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中原浩大「paintings」 ギャラリーノマル

ギャラリーノマルで開催中の中原浩大「paintings」に行って来ました。

中原と言えば、ギャラリーαMのこけら落としとなった個展が忘れられず。それ以前に豊田市美術館で彼の展示があったのに、その頃の私はまだ美術と無縁の関係だった。

ノマルは二度目。最初に行ったのは名和晃平の個展で、あれは何年前だったか。
ドアを開けると、以前観た空間とは違うスクエアなホワイトキューブになっていて驚く。最初は、敢えて仕切って使用していたのだろう。

まず右側壁面にびっしり展示された大量のDVDに目が行く。1枚1枚にドローイングが施され、カラフルな色とイタズラ書きのような線描。
縦に20枚横に50列、合計1000枚!

よく観ると、DVDにはドローイングした日付と思しき数字が入っている。
20枚1セットの作品。受付カウンターの側にはランダムというかやや乱暴に着彩されたDVDケースが並ぶ。

反対側の壁面には、ショートパスタのような、黄色、赤、青などの色をした短い管状のプラスチック?ビーズを組み合わせた四角の面。先週、豊田市美術館で中原のLEGOブロックを使用したモンスターを観てきたが、こちらは立体でなく、平面に落とし込んだ作品。発想は同じだと思う。
四角は一番大きな画面で、その下に植物のような茎と葉が、同じ素材で作られていた。

同様の平面は四角だけでなく円形のものも3つ。

さて、お楽しみはこれから。
照明を落として、DVDに入っている映像3つを鑑賞。全部で7分弱。
ドローイングが描かれたDVDが早回しされるAプロ。自由で奔放で、愛らしいドローイングだけが次々めまぐるしく現れては消えるBプロ。
最後は、カラフルな光だけがフラッシュのように明滅するCプロ。

絵画を解いてパーツにしたような映像だった。

*5月29日まで開催中。日曜・祝日休廊。
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「ボストン美術館浮世絵名品展 錦絵の黄金時代」 千葉市美術館

boston

千葉市美術館で開催中の「ボストン美術館浮世絵名品展 錦絵の黄金時代」に行って来ました。

千葉市美術館の金曜・土曜は夜8時まで夜間開館が開催されています。
山種美術館で混雑の中、浮世絵展をご覧になった方も、今なら千葉市美術館でゆっくり落ち着いて浮世絵を堪能できます。

私は夜間開館狙いで行って来ましたが、会期も始まったばかりということもあり、館内は空いていました。
そして、「イブニング・スライド&レクチャー」と題して、夜間開館に合わせ、担当学芸員の方が本展の見どころをスライドを使って1時間で解説する企画にも参加できました。
今後は、5月13日(金)、5月27日(金) 17時~18時まで 9階講座室 講師:田辺昌子学芸員

さて、今回はボストン美術館の5万点にのぼる浮世絵関連の所蔵品の中で、鳥居清長、喜多川歌麿、東洲斎写楽を中心に同世代の浮世絵師の作品を加えた約140点を展示しています。

ボストン美術館の浮世絵名品展は今年で3回目?4回目?でしょうか。
今回は、浮世絵よりも版本に目が奪われました。ボストン美所蔵の版本の美しさは毎度のことですが、今回は浮世絵のコンディションの良さより、版本の良さが目立っていたと思います。

お気に入りは、
鳥居清長:「子だから五節遊」シリーズ、「五代目市川団十郎の・・・静午前」。
喜多川歌麿:「四季遊花之色香 上・下」、三枚続きの「唐美人宴遊の図」、「大名屋敷の山東京伝」
・「煤掃き」は紫がしっかり残り、線も美しく表情も活き活きと描けていて、やっぱり歌麿良いなぁ~。
・「虚無僧姿の男女」は、黒と白の着物の模様がやや下方から見上げると浮かび上がってくるという摺りの妙技を堪能できます。白い方が空摺、黒い着物は、正面摺。いやはや凄い技術です。
レクチャートークでお話がありましたが、人気絵師には彫師も摺師も一流どころが付いて、作品の完成度を高め、よりレベルの高い作品が作られるシステムになっていたようで、歌麿の絶頂期ならではの絵師、彫師、摺師の見事な共演でした。

それに比べて、写楽はと言えば、う~んこちらはあまりぱっとしません。
大首絵もそれ程コンディションは良くなく、寧ろ千葉市美術館所蔵の特別出品「三代目大谷鬼次の江戸兵衛」の雲母の乗りの方が良かった。
ただ、千葉市美術館ならではの試みとしてこの「三代目大谷鬼次の江戸兵衛」と「市川男女蔵の奴一平」を横並びにして、まるで芝居と同じような状況を創り出す展示は楽しめました。
2つで1つのような2枚続きの作品のように見えるのです。

同時代の浮世絵師の作品では、勝川春章「中村仲蔵」、鳥文斎栄之、ボストン美は栄之の良い作品が沢山あるようで、毎回、鳥文斎栄之の続きものシリーズの色の美しさ豪華さにはため息が出ます。

ちょっと変わった所で初めて名前を知ったのが五郷です。
五郷は鳥文斎栄之の弟子ですが、初めて作品を観たように思います。「玉屋うち濃紫 蔦屋内三しう」は紅嫌いの紫色と墨色を中心とした作品ですが、これが渋くて良かった。

版本では、歌麿の狂歌本「銀世界」「普賢像」は最高!
清長の「彩色美津朝」。
私の好きな摺物は、数が少なく残念でしたが、北尾重政の2点はコンディションも品も良く眼福ものでした。特に「祝儀の品」の雲母の使い方は紐から熨斗まで上手い!

肉筆画は3点、気に入ったのは落款なしですが「見立琴棋書画図」、栄之の「隅田川納涼図」も良かったな。

写楽のキューピーちゃん?という千葉市美限定グッズあり。

*6月5日まで開催中。

「MOTアニュアル2011 Nearest Faraway|世界の深さのはかり方」 東京都現代美術館

アニュアル2011

東京都現代美術館で5月8日まで開催中の「MOTアニュアル2011 Nearest Faraway|世界の深さのはかり方」に行って来ました。
展覧会の概要等はこちら

毎年恒例のMOTアニュアル。11回目となる今年は以下6名の作家により「Nearest Faraway 世界の深さのはかり方」を副題に構成されています。ちなみに昨年の副題は「装飾」。

<出品作家>
池内晶子|椛田ちひろ|木藤純子|関根直子|冨井大裕|八木良太 (アイウエオ順)

6名の作家のうち、もっとも強く印象に残ったのは、冨井大裕だった。
展示順序だと、一番最初の展示室を使用していたが、作品数も旧作から新作まで、展示作品数も多かったが、どの作品も観るたびにはっとする驚きがあったのが忘れられない。
例えば、カラースポンジを積み重ねた作品。あのキッチンで使うスポンジが、こんなに美しいものになるのかという不思議。
本展チラシにも採用されている《ball sheet ball》2006年もアルミ板に色の違うスーパーボールを一定の間隔でサンドイッチさせただけなのに、立派なオブジェが再構成されたオブジェとしてそこにある。
日常探そうと思えば、すぐに入手できそうなものを使用して、本来そのものが持つ役割や意味合いとは別の、むしろ用途も意味もない、用途等を排除し別のオブジェとして再生する。

どの作品からも語りかけてくるような存在感があったのも忘れられない理由だろう。
冨井の作品は、2009年ギャラリーαM 「変成態-リアルな現代の物質性」 Vol.2 冨井大裕×中西信洋で初見。2年前より今回の方が、何をどう表現したいのかをより感じとることができた。

先日のレントゲンヴェルケでの個展も良かったが、両展示とも今彼が持つ力をフルに発揮していたと思う。

木藤純子は、昨年、京都・蹴上のアートスペース虹個展「白と黒」、京都芸術センターで「panorama」を拝見したが、展示としては一番これまで観た中では分かりやすかった。

縦に長い空間に桜の花びらのような紙片が散らばっている。ちょうど季節は桜が8分咲きの頃。
桜吹雪のイメージがすぐに浮かぶ。散ってしまった桜の花びら。
ふと上を見上げると三角屋根の天窓部分にスクリーンシートが貼ってあるのか、ガラスの向こうに木の影が観える。影のような樹木から花びらが舞落ちたという状況せっていだろうか。季節にピッタリの作品だった。
木藤は、目に見えない空気感や時間や温度などを作品を置くことにより可視化し、空間を変化させる。

椛田ちひろは、前述の馬喰町にあるギャラリーαMで5月7日まで個展開催中。
私は、先にギャラリーαMの作品展示を観たのだが、その展示作品と今回展示しているが、あまりにも作風が違うので驚いた。
MOTアニュアルでは白く薄い布を天井から吊るし、その布に細かい油彩ボールペンドローイングを施す。一方、ギャラリーαMでは平面作品で、キャンバスかボード(恐らくボード)にコールタールでも塗り込んだのかと思う程、黒で前面を塗り込める。その表面は凸凹していて、絵画というより立体的であった。その横には四角に切った小さなアルミ箔を壁一面に重ねて貼っている。
MOTでは、線描を活かした作品だったのに、αMでは線描は一切なかった。
この振り幅の広さは何だろうと関心が湧く。

八木良太は京都市立芸術大学の卒展時に博士課程棟での展示作品がヴァージョンアップされていた。カセットテープの磁気テープでぐるぐる巻きになった球は大きさから言って、ボーリングの玉にそっくり。
京芸では球はボーリング場にかつてあったような「棚」で出番待ちをしていた。しかしMOTではボール置きが新たに作られ、1個1個が点在して配置されていた。レコードの針の上に乗せて音を楽しめるのはどちらも共通している。

私は、奥にあったNYのタイムスクエアの映像作品がとても気に入った。八木さんらしい、早送り手法が使われ楽しめる。

池内晶子は今回初めて知った作家さん。彼女は白の絹糸を使用したインスタレーションで、一瞬、石上純也氏の昨年の豊田市美術館での作品を思い出した。絹糸だけで作られた造形と言って良いのか、儚いけれど美しい。

関根直子の鉛筆画作品は、目黒区美術館の「線の迷宮」展以来だろうか。
インパクトは出品作家の中で一番弱かったかもしれない。会場で音が聞こえるとのことだったが、記憶から抜け落ちている。そもそも私の耳はその音を捉えていたか。

「世界の深さのはかり方」というタイトルと6名の作家の作品に共通点や連続性は、個人的にはあまり感じられなかった。寧ろ、タイトルに無理があるような気がした。

図録は東日本大震災の影響によって完成が遅れているそうです。


なお、同時開催している常設展が非常に良かった。特に以下の3つは三重丸。
・特集展示:ピピロッティ・リスト 
・クロニクル 1947-1963 アンデパンダンの時代
・チウ・アンション 「新山海峡1」30分15秒の映像

アンデパンダンは当時の貴重な資料が満載で、ポスターや展示作品リスト、新聞広告など資料だけをじっくり観ているとどんどん時間は過ぎていく。貴重な近代日本美術史のひとつの潮流が丁寧に分かりやすくまとめられていた。
チウ・アンションは水墨画を壮大なアニメーション化した作品。観ていてワクワクして、30分などあっという間だった。

*5月8日まで開催中。

安部典子 “TIME LAG”-Linear-Actions Cuttin Project 2011 スカイ・ザ・バスハウス

スカイ・ザ・バスハウスで5月14日まで開催中の安部典子“TIME LAG”-Linear-Actions Cuttin Project 2011に行って来ました。
*会期は当初、5月7日まででしたが、5月14日まで延長されました!
詳細は、ギャラリーのサイトをご覧ください。
⇒ http://www.scaithebathhouse.com/ja/exhibitions/2011/03/noriko_ambe_time_lag/

現在、NYを拠点に制作活動している安部典子(1967年生まれ)の8年ぶりの日本での個展。
ペーパーワークというには、あまりにもダイナミックな造形美、かつ逆に繊細な美しさの積層があり、両者の拮抗する美を堪能した。

本展のテーマは「Time LAg」時間の感覚を主題とし、様々な形で時間軸や時の流れを表現する。

≪edges of Current≫はまるで、海に面した陸地と紙の積み重ねは地層の積み重ねに重なり、海と陸との海岸線を描いていた。その美しさたるや、真っ白な紙を一体何枚使用したのだろう。
紛れもない、紙を使用した彫刻だった。紙1枚が1年いや100年単位の時間に見える。

白い彫刻は、紙の集積体となった時、大理石のようにも見える。小さめの作品でも使用する紙の枚数は800枚から多くて1000枚。気が遠くなるような世界だ。
作品を作る過程において、ドローイングかデッサンなどを書き起こすのだろうか、いや展示されていたか。
観に行ったのは、4月の始めだったので記憶が既に薄れていてもどかしい。

そうかと思えば、私の関心を強くひいたのは「BOOK CUTTINGS」シリーズ。
特に、私の好きな写真集、ロバート・フランクの「The Americans」を使用したカッティングワークは写真集自体の美しさと相まって、別次元で、安部の手を加えたことにより写真集であって、写真集でない写真彫刻が完成されいた。

もう1点、河原温のBOOK CUTTINGSも面白かった。河原と言えば、時間を文字に落としこんで視覚化しているが、その彼の作品を更に加工しることで、河原自身による時間軸の破壊が起き、そこには安部の時間が加えられたように感じた。

≪Flat File Globe Crcking≫は、メタルキャビネットとのコラボレーション。縦の時間軸を視覚化。
引き出しごとに、紙による彫刻作品がおさまっている。
この作品の画像は、作家本人のサイトでご覧いただけます。⇒ http://www.norikoambe.com/works/index.html

他に、≪The Sand≫など全部で8点、濃密で充分満足いく展示内容だった。

彼女のテキサスでの個展が、昨年のアメリカ美術評論家協会(AICA-USA)の選ぶ2010年のベスト展覧会のひとつとして、マリナ・アブラモヴィッチや蔡國強などそうそうたるアーティストと並んで選出されたというのも納得できる内容。非常にハイセンスな作品でワクワクした。

*5月14日まで。

「写真家・東松照明 全仕事」 名古屋市美術館

東松

名古屋市美術館で6月12日まで開催中の「写真家・東松照明 全仕事」に行って来ました。
詳細は本展公式サイトをご参照ください。→ こちら

オープニング初日は記念鼎談が開催され、合わせてそちらにも参加。出演は、中平卓馬(写真家)、倉石信乃(明治大学理工学部准教授、写真史)をゲストに迎え、東松照明も出演予定だったが、年明けより体調を崩し、現在入院中。当日は、1日外出許可を得て、電話での出演鼎談となった。

時間は1時間半だったが、そのうち約1時間しっかりした口調で自身の写真について、出演者や司会の名古屋市美術館学芸員・竹葉氏からの質問に答えていた。
中平卓馬は、一言もマイクに向かって話さなかったが、彼を指名したのは東松照明氏自身で、曰く「非常に気になる写真家だった。アル中で、記憶喪失になったが、その前は論客だった。体調を悪くしてどうなっているのか気になったので、ぜひあって話したかった。」とのこと。

東松氏本人が出席されていたら、また状況は変わったかもしれないが、今回は東松氏が、中平氏との出会いから当時の交流の様子を思い出話のように語っておられたのが印象深い。その時、中平氏は何を思っていたのだろう。

さて、本展はタイトルそのもの、写真家・東松照明の全仕事を振り返る回顧展である。

展示構成は次の通り。
1.記憶の肖像、廃墟の光景
2.占領/アメリカニゼーション
3.投影ー時代と都市の体温
4.長崎ー被爆・記録から肖像へ
5.泥の王国
6.太陽の鉛筆ー沖縄・南島
7.“他者”としての日本への回帰ー京・桜
8.“インターフェイス”ー撮ることと作ること

総展示作品数約550点と非常にボリュームのある内容になっている。通常、常設展で使用する地下一階の展示室も使用しているので、見落としのないように。動線が分かりにくいのも要注意です。
いわゆるビンテージプリント、モノクロなら大半がゼラチンシルバープリント(一部インクジェットプリント)、カラー写真はタイプCプリント最終章の《プラスチックス》はポラロイドを使用した組写真になっている。

ここでは、詳細を割愛し感想に留めたいと思う。
全体としては、回顧展に相応しい内容で、私の知っていた東松照明の写真などごく一部であったと分かった。かつて見た一部の写真の印象で写真家のイメージを定めてしまうことの愚かさ、恐ろしさをこの回顧展で思い知らされる。

恐らく私が初めて見た東松照明の写真は、第1章の廃墟の光景だったと思う。愛知県出身で、愛知大学時代より写真を始めた東松氏にとって最初の被写体は地元名古屋の光景だった。
岩波写真文庫の仕事を手がけるようになり、やきものの町・瀬戸や、伊勢湾台風、敗戦の記憶が愛知などの写真群の印象が非常に強い。
これら1950年代の写真は初期作品で、その後、一気に飛んで長崎シリーズを知っている程度。

しかし、全体を通じて、東松照明の中には常に占領、敗戦国日本のイメージがつきまとっていたのと、彼が愛知県で住んでいたのが、名古屋市守山区とかつて米軍基地があったため、日本国内の米軍基地がある土地に行き、そこに滞在し撮影するというスタイルを貫いている。彼にとって日本の歴史は占領=アメリカニゼーションだったという。

特に長崎では、「好きな女性との付き合いに似ている。」とご本人が
電話で語ったように、滞在するうちにどんどん引き込まれて、慣れ親しみ打ち解ける、長崎の人々との関係が浮かび上がる。

その中で、異質な作品が東京シリーズ。
東京新宿の風景を撮影した《エロス》、《アングラ酒場》、《東京・新宿》など1960年代の写真は時代背景をモロに象徴しており、学生運動が盛んだった当時の様子を《全学封鎖》《プロテスト》で発表。

この時の出来事で興味深い話を東松氏は語った。
「ある日、突然西新宿の自宅に匿名の電話がかかって来た。何日の何時にこの線路で事件が起きる。とだけ告げて電話は切れる。
実際に、指定された日時にその場所に行ってみると、そこで警官と学生の衝突が起きる。
恐らく、当時教員をしていた大学もしくは早稲田大学の学生が自分に写真を撮影して欲しくてかけて来たのだと思う。もしかすると、黒幕は中平だったかもしれない・・・。」

そんな血生臭い、暑い時代がモノクロプリントで迫る。
そして、中平卓馬を被写体にした写真が2枚あり、ひとつは編集者としての中平卓馬(1964年)、もう1点は写真家中平卓馬 東京・新都心(1967年)。当時、東松は中平は詩人になると思っていたそうだ。
結果、意に反し中平卓馬は写真家になる。
鼎談では、東松氏が中平氏の面倒を見ていたような話題があがっていた。本来、東松がすべき学生への授業を中平に任せたとか。当時の授業の内容については倉石氏が、「写真集1冊コピーして来い」という大胆なものだったと一例があがっていた。

そして、「泥の王国」シリーズ(1963年)。
東アジアを撮影したこの有名なシリーズも私は知らない。
東松照明という写真家に強い関心がそれまでなく、写真をしっかり見るようになって日が浅いとはいえ、今回初めてこの一連のシリーズを見て、別の感慨が浮かぶ。
そしてそれは、占領地を撮影地としてライフワークにして来た集大成としての沖縄の写真「太陽の鉛筆」に続く。
離島や海の写真にはただただ圧倒される。沖縄ではカラー写真がどんどん増えていることが分かる。
キャプションに「自分のモノクロ写真には常にアメリカが見え隠れする」とあったが、カラーを選択することで、そこから解き放たれたのだろう。
1980年代、京・桜シリーズでもカラー写真が選択されているが、中で埼玉・荒川村(1982年)の写真に惹かれた。

最終章の近作で、新たな境地を見せていることにも驚く。
《ゴールデンマッシュルーム》と題された3点の写真は明らかに創造写真へと向かっている。
同様に千葉・九十九里浜で拾ったプラスチックを再構成し海の生き物に作り替え撮影したシリーズ砂浜「プラスチックス」(1987~1989)は、最初に見た廃墟シリーズとの違いに歴然とするのだった。

鼎談の最後に、写真がドキュメントかクリエイションかという話題が上ったが、東松照明にとってはどちらも彼にとっての写真だったのだ。
写真は時間を止める。見て貰う人によって時間を復活させる。岩波文庫時代から培った組写真は、最終的に、観る人の感性で生まれ、完成する。見る人に自由に感じて貰うための方法だと語っておられた。

自由に感じ、考えるるためにじっくりともう1度、東松照明の仕事を見たい。

図録は2500円307頁。

*本展の巡回はありません。オススメします。

「池田遙邨展 ー旅と自然を愛した画家ー」 碧南市藤井達吉現代美術館

池田

碧南市藤井達吉現代美術館で5月8日まで開催中の「池田遙邨展」に行って来ました。
美術館のHP → こちら

池田遙邨は、以前大阪で、「雪の大阪」という作品を観た時に初めて意識した。その後、あちこちで1点ずつ見かけることはあったが、まとめて観たいとずっと思っていたところ、今回の展覧会の開催を知り、とても嬉しかった。

本展では、およそ80年に及ぶ遙邨の画業を、初期(10~20歳代)、中期(30歳代~戦前)、円熟期(戦後~80歳代前半)、晩年(80歳代後半~没年)の四期に分け、倉敷市立美術館所蔵の代表作を中心に振り返ります。

感想を記す前に、碧南市藤井達吉現代美術館について触れておくと、この美術館は私の好きな美術館の一つで、いつ訪れてもとても落ち着く。更に今回は、作品リストに加え、『遙邨物語』というA3二つ折の両面(合計4面)に漫画で池田遙邨の生涯と画業を分かりやすく説明するシートが作成されていた。
これが、実によくできていて、遙邨の人となりやその人生がうまくまとまっていて、最後にそれを読み返したら、更に展覧会の理解が深まった。
この遙邨物語は他の巡回先でも配布されているのだろうか?
とても良いアイディアだと思う。
漢字にはふり仮名がすべて付されているので小学生でも楽しく読める。
親子で訪れるのにもオススメの展覧会。

そして、展覧会の内容はと言えば、素晴らしかったの一言に尽きる。
幼少時より絵が好きで、洋画から絵の修業を始めた遙邨だったが、大正2年に同じ岡山出身の小野竹喬と出会う。
初期作品の激しい作風の移り変わりは、衝撃的で、紙に水彩で描いた粗いタッチの作品と大正8年(大正8年に竹内栖鳳に入門)以後の絹本作品の緻密さとのギャップが同一人のものとは思えない。

私の知っている遙邨の作品の一部は大正8年~14年頃までの作品である。
・南郷の八月
・颱風来
・空
・災禍の後 ⇨ 大正震災の1年後秋に描かれた。関東大震災の様子を描いたものだが、この作品は文展で落選。
・貧しき漁夫 ⇨ 洋画の影響が強く伺われる。この時期ムンクやゴヤなど人生の暗部を描く画家に影響を受けていた。

中期、災禍の後が落選の後、栖鳳のもとを去り、京都を離れ倉敷、岡山を放浪。所持金がなくなり再び京都に戻ると神社や寺の古い作品をひたすら模写する。
参考出品としてこの頃の模写スケッチも出展されている。

ついに大正15年作風がガラリと変わり再び帝展で入選を果たす。

更に面白いのは歌川広重に憧れ東海道を3度も旅して、あらゆる場所を歩きながら描いた。

・富嶽十景
・昭和東海道五十三次 ⇨ これは画帳になっていたが、岡崎の伊賀川堤の頁が展示されていて、当時(昭和6年)と今との比較を知る事ができ非常に興味深かった。
・祇園神社  個人蔵  絹本でありながら、厚塗りで油彩のようにも見える。
・雨の大阪  ⇨ 京都市美術館で以前観ているが、何度観ても好き。
・日光山 姫路市立美術館蔵

昭和8年頃には冨田渓仙に影響を受ける。渓仙も竹喬も好きなので、だから遙邨が気になっていたのかもしれない。

戦後、彼の作風は一段と変わる。
昭和23年頃から幻想的で童画を思わせる作風へ。
思わず古賀春江を思い出した。遙邨は古画を学びつつも、時代の潮流に敏感でそれを自身の作品に取り入れているように感じる。また、その後作品の中に動物が必ず描かれるようになる。
・幻想の明神様
・石    ⇨  石ブームがこの時代にあり、遙邨は1000枚も写生したという。
・飛石
・鳴門 ⇨ 奥村土牛の描いた鳴門と比較すると構図の大胆さ、斬新さが目を引く。
・叢

しかし、最晩年にはついに本当の独自の道を見つける。
そこには時代も流行もなく、ただただ自分と 向かい合う旅を愛する老画家の姿が浮かんで来る。

そして旅に生きた詩人種田山頭火の句を絵にするシリーズを始める。昭和63年で92歳に亡くなる直前まで28点もの山頭火シリーズを生み出す。

山頭火の詩と遙邨の絵はぴたりとあって、詩のイメージが増幅していくようだった。自らの姿を絵の中の旅人(僧)に重ねていたのではないか。

本当に良い展覧会だった。
なお、会期中前・後期で展示替えがあります。
前期は4月24日まで、後期は4月26日~5月8日までです。

碧南市藤井達吉現代美術館へは、名古屋からJRまたは名鉄で刈谷駅まで出て、刈谷から三河線で30分乗車し碧南駅で下車。徒歩6分です。

オススメです。
この後、倉敷市立美術館が最後の巡回先となります。お見逃しなく。

平川祐樹 「微かな予兆」 STANDING PINE-cube

平川

名古屋の長者町にあるSTANDING PINE-cube で明日4月24日まで開催中の平川祐樹「微かな予兆」と4月23日本日のみ開催のイベント、同じく長者町の万勝S館(旧ATカフェ)でのイベント「One Day Cafe #1」3階展示《ささやきの奥に》に行って来ました。

STANDING PINE-cube のサイト→ http://jp.standingpine.jp/current/index.htm

平川祐樹さんは、1983年名古屋市生まれ、現在愛知県在住。
先に行ったのは万勝S館の展示の方。
最初に観た時、どこかで観たことがあるような気がしたが、この時は思い出せず。
自宅に戻って、あいちトリエンナーレの「中川運河ー忘れ去られた都市の風景ー」の出展作家さんの1人と分かった。

今回は壁面で1作品、その壁面に垂直に設置したスクリーンの両面で2作品を上映していた。

各1分30秒のループ作品だが、まず目が行ったのは水らしき液体が生きものの如く拡張し動き出す映像。この動きが面白くてしばし見つめる。そのうち正面の壁で、ただいま多くの日本人を苦しめている杉の木らしき森が写し出され、この映像は刻々と場面が変化したように記憶しているが、はっきりと思い出せない。
そのうち、液体作品の裏側の映像も始まったので裏に回って観始める。この位置に来ると、他の2作品を同時に観ることはできるず、この作品のみに集中することになるのだが、雨や土に雨が浸透していくような映像だったか。
こんなにも記憶がないのは、最初に観た液体があまりにインパクトが強すぎて、他の作品の印象がふっとんだことにある。

加えて、その後えびすビルでの個展作品のも拝見したため、ごっちゃになってしまった。

しかし、確実に言えることは人を引きつける魅力が映像に宿っていたということ。最初の印象というのは非常に重要で、パッと観て、観続けるか、立ち去るか決める人は多い。少なくとも私には十分足を止めさせる力が作品にあった。

万勝S館から徒歩数分でえびすビルパート2の3階にあるギャラリー、STANDING PINE-cubeに到着。このビルには何度か行ったが、ギャラリーができたのは知らず初訪。

EVを降りたら真っ暗で、焦ったけれど、展示の演出であったのだろう。照明をなくしモニターが10個。手前の壁面に横一列で4つか5つ。残りは奥のスクエアな空間を囲むように並んでいる。
こちらは、カラーの映像中心で効果音付き。
真っ暗な雰囲気と合間って不穏さを醸し出していたが、よくよく見ると日常で見かける光景をクローズアップしていることに気づく。

自転者の車輪が、カラカラと回るがそこには誰の存在もない。
紅蓮の炎が赤々と燃え立つが、やがて火の手は消失する。どの映像にも人は映されていない。裏側に人の見えない気配を感じて不穏な気持ちになるのかもしれない。

裏側のスペースにも作品のあるので見落とさないように。
こちらは、またポエティックな平面作品で、映像作品と言って良いのだろうか。
何かの小説の文字を選択して、そこだけを微かに光らせる。まさし「微かな予兆」。
残った文字のかけらを集めると、本来繋がっていない文字の集積に意味が生まれる。意味を見つけているのは鑑賞者自身であり、作家ではないのだ。
「観客主体の作品だ」と、ステートメントに書かれていた。

この個展、明日が最終日だが再訪したい。何か気になる。

*万勝S館の展示は既にに終了しています。
ただし、One Day Cafeは#2が5月28日(土)、#3が6月25日(土)に開催される予定です。

「長沢芦雪 奇は新なり」 MIHO MUSEUM

芦雪

MIHO MUSEUMで6月5日まで開催中の「長沢芦雪 奇は新なり」に行って来ました。

長沢芦雪(1754~1799)は円山応挙に学び、習得した技術を自在に駆使して、穏健な師のスタイルとは対照的な機知に富んだ表現を展開しました。
大胆な構図、斬新なクローズアップ、動物の生き生きとした表現と動き、師の自然観察を更に進めた光の表現、対象の大きさを逆手にとった視覚遊戯など、鋭い観察眼と機知的感覚で、傑出した作品を生み出しました。
本展では、無量寺の「龍図襖」「虎図襖」、「富士越図屏風」(個人蔵)などの代表作をはじめ、82年間行方不明だった「方寸五百羅漢図」(個人蔵)を初公開し、芦雪の魅力とその全貌を紹介します。
 ~MIHO MUSEUM 『Shangri-La』より。

さて、本展は、前期・後期で大幅な展示替えがありますが、更に4/12~5/8、5/10~展示と期間限定展示作品がかなりあるので、作品リストとスケジュール帳をにらめっこして、いつ行くのが良いのかよ~く塾考することが先決です。
展示作品リストはこちら

なお、展覧会構成は次の通りです。
・応挙に学ぶ、南紀へ向かう
・大画面に描く
・奇は新なり
・迫力ある作品
・芦雪をめぐる人々
・奇想横溢
・多彩な表現 方寸五百羅漢図

何しろ、桃源郷を標榜する美術館。山をかきわけ、えっこんなところにと思うような山奥に突如、I.Mペイ設計の美術館が現れるのです。
レセプション棟から、美術館棟までのアプローチにはトンネルと左右には、今の季節には枝垂れ桜並木があり、自然と美術作品を楽しめる世界が広がります。
美術館棟まで行くと、鶯の鳴き声も聞こえて来て、まさしく「桃源郷」のイメージが体現されている場所だと言っても過言ではないでしょう。

余談ですが、岡崎市美術博物館で開催中の「桃源万歳」展を観に行かれる前に、ここで桃源郷のイメージを膨らませるのも両展覧会を楽しむ方法の一つかもしれません。

さて、本展の見どころのひとつは、82年ぶりに発見された「方寸五百羅漢図」(個人蔵)でしょう。
この作品は最後の最後、終盤に登場します。
それまで、掛軸や屏風など、大胆かつ奇抜な構図の水墨世界を見せてくれた芦雪が、僅か3.1センチ四方に五百羅漢を描き込んだ作品です。
本作品は、着彩されており羅漢の輪郭が上部に行けば行くほど、曖昧にかすんで描かれており、この濃淡で遠近を表現しているのでしょうか。隙間なく、びっしりと描き込まれた羅漢の着衣の色は様々で赤っぽいものもあれば、わずかに水色っぽいものや農紺色もあり。

この五百羅漢図は誰かの依頼によるものだったのか、はたまた自身の信仰によるものか。
芦雪の仏画は、この他、無量寺蔵の「揚柳観音図」、達磨図あたりしか浮かばず、本作品の異質さは飛びぬけているように思います。
図録にこのあたりの考察論文が掲載されていることでしょうが、内容のチェックまで至らず。

この他、印象に残った作品は、「蹲る虎図」(個人蔵)、これはかの有名な無量寺の「虎図襖」の虎によく似ていますが、真正面から向かい合った虎を描いている点が面白い。
芦雪は、「牛図」(個人蔵・4月5日~5月8日まで)もそうですが、真正面から向き合った動物を描いた作品が何点かあるのも興味深い。

「蹲る虎図」は、いかにも猫を描いたような虎なのですが、愛敬があるのが魅力的。

そして、拝見するのは2度目になりますが、「群猿図屏風」(六曲一双・草堂寺蔵・重文)の見事な構図と、墨の使い方は圧巻です。ここでは、黒と白の対比にも注目すべきで、右隻では、右端に大きな崖が黒をメインに、しかし雪を表現しているのか白の絵具が流れたような痕跡が数か所あり、山や崖に深みを与えています。
黒い山の頂上にいる1匹の猿は、この猿だけ白猿。
左隻は白っぽい草むらに黒墨で毛が1本1本描かれた猿が5匹。うち1匹は母猿の背中にちょこんと鑑賞者に背を向けて乗っかっているのが何とも愛らしく、いかにも芦雪だなとつくづく感じ入りました。

そうかと思えば、師の円山応挙ばりの「牡丹孔雀図」(下御霊神社蔵・4/24迄)の艶やかな彩色写実画ありと実に上手い絵師でした。

会期中には、約50点の作品が展示されています。
50点だと、普段見慣れている東博、京博あたりの特別展と比較すると、ちょっと物足りない感がありました。
また、屏風絵や障壁画の割合がやや少なく掛軸中心ですが、それでも芦雪作品の魅力は伝わってきます。

昨年の6月12日~7月19日に和歌山県立博物館で開催された企画展「長沢芦雪の動物画」では、展示作品数は13点と少なめですが、ほとんど屏風や襖絵中心の構成で、13点中、重要文化財指定されているのが9点、残りは和歌山県指定文化財)。

襖絵の場合、なかなか全ての面は展示できないが、8面中3面~5面、また「枯木鳩図襖」は全12面が展示されていて、こちらは逆に展示室が狭く感じる程だったのを思い出しました。
他にはお馴染みのプライスコレクションより「箔像黒牛図屏風」こちらも黒白の対比に注目。
そして、唐子や「仔犬図屏風」(これは愛らしすぎて離れられない。応挙も芦雪も仔犬を描かせたら日本一ではなかろうか。などの子供や犬、動物を描かせたら右にでるものはいないかも、と思う愛らしさがどの作品からも滲みでいるのだった。
そうかと思えば、「七福神図」(個人蔵)のユーモラスな作品もあり。

45歳で謎の死を遂げた芦雪。もう少し長生きして、もっともっと作品を残して欲しかった。

<関連イベント>
学術講演会「長沢芦雪の魅力」 4月23日(土)13時~16時
講演者:冷泉為人、河野元昭、辻惟雄 13時~14時半
第一部 3名による講演(各30分)
第二部 鼎談、質疑応答

参加希望の場合は、MIHOMUSEUM広報まで電話での申し込みが必要です。参加料無料、入館チケットは必要です。

なお、MIHO MUSEUMの枝垂れ桜は、現在7~8分咲きだそうです。GWには、満開の桜を堪能できると思います。
桜の開花情報は美術館の公式サイトに掲載されています。ライブカメラによる実画像あり!(以下)
http://www.miho.or.jp/japanese/inform/new.htm

MIHO MUSEUMでは、作品感の間隔も十分に取られていて、ゆっくりじっくり鑑賞できるのもポイント。超充実の所蔵品展も合わせて、ゆっくり信楽の里を堪能されては如何でしょう。

*6月5日まで開催中。展示替えにはご注意ください。

木村太陽/齋木克裕 「テレポーターズ」 Maki Fine Arts

木村
木村太陽 / Taiyo Kimura
コラボレーション作品「縮地より」2011年、Colored Pencil on Paper

saiki
齋木克裕 / Katsuhito Saiki
コラボレーション作品「縮地より」2011年、Archival Pigment Print
Courtesy of SCAI THE BATHHOUSE


Maki Fine Artsで4月23日まで開催中の木村太陽/齋木克裕「テレポーターズ」に行って来ました。
詳細はギャラリーのサイトをご参照ください。→ こちら

本展は当初、3月26日~4月20日までの開催期間でしたが、震災により、4/1~4/23までに会期が変更となっています。

木村太陽さんは、金沢21世紀美術館、森美術館での展示以来、都度追いかけしている作家さん。
今回は、創形美術学校時代から約20年来の友人である齋木克裕さんとの2人展。

齋木克裕さん(1969年生まれ)は、本展で初めて知りましたが、2002 年よりニューヨークを拠点として活動を続けています。建築物や空などの風景写真を、立体または平面上に再構成する作品を発表。写真における抽象的表現の可能性を提示しているようで、主として写真を使用した制作活動を行っています。~ギャラリーサイトより一部引用~

さて、展示空間は2人がそれぞれ持ち寄ったドローイングと写真各150点のうち、100点ずつ、計200点が見事に壁面でつながっているという、非常に面白い空間が仕上がっていました。

私が最初に木村太陽さんのドローイングを拝見したのは森美術館の「笑い展 現代アートにみる『おかしみ』の事情」(2007年)だったと記憶しています。
おびただしい数のドローイングは思わず「くすり」と笑ってしまうような笑いと、緩さ、バカバカしさがあって、1点1点丹念に観たのが忘れられません。

久々に木村さんのドローイングを拝見して、やっぱり、この緩い感じがたまらないなぁと、気に入ったドローイングをいくつも発見。そして、ここは注意すべき点ですが、木村さん、齋木さん、それぞれがドローイングと写真の両方をごっちゃに展示しているので、特に写真はどちらの方が撮影したものなのか、結構判断が難しいかもしれません。
ドローイングは、幾何学的でシンプルなものが、齋木さん作品だとギャラリストさんが教えて下さったので、割合簡単に見分けがつきます。
これらの写真とドローイングは一見、無差別に展示されているように見えますが、よくよく見ると全て描かれているもの同士がつながるような展示になっているのも大きな見どころ。
なるほど、そうつなげたか~と思わず感心するような繋げ方が何か所もあり、それもまた面白い。

元々、2人が相談したうえで制作したものではなく、自由に制作した作品を持ち寄って、会場でパズルのように、あーでもない、こーでもないと3日間で展示されたそうで、即興パズルとしての面白見もあり。
壁面と壁面の間には黒い糸がロープウエー宜しくぶら下がっているし。

とにかく楽しい空間に仕上がっていました。

中央にはモニターが2台。映像作品≪縮地≫で、左側が木村さん、右側が齋木さんの映像作品で、こちらもバラバラなのにシンクロしています。
本展のテーマを象徴するような、二人の作品を天秤にかけたオブジェもあり、どちらにも傾いていない、上手いバランスを保っていました。

*4月23日まで開催中です。

小野さおり展 「ギフト」 GALLERY MoMo 両国

小野さおり
ハジマリノザワザワ 2010年 oil on canvas 145.5 x 145.5cm

両国のGALLERY MoMoで5月14日まで開催中の小野さおり展「ギフト」に行って来ました。
詳細はギャラリーのサイトをご参照ください。→ こちら

小野さおりは1981 年福島県生まれ。2005 年女子美術大学大学院修了、昨年群馬青年ビエンナーレ及びシェル美術大賞展でグランプリをダブル受賞、一躍脚光を浴びています。

シェル美術展も群馬青年ビエンナーレいずれも行きましたが、今回の個展で明らかに作品がブラッシュアップされ、ステップアップしていることにとても驚き嬉しくなりました。

シェルも群馬青年ビエンナーレの作品、いずれもトーンが暗くと背景の花模様の描き込みやラインが甘い印象を受けましたが、最新作では大きな飛躍を感じました。

特に、個展タイトルになっている作品≪ギフト≫2011年は同タイトルで2点ありますが、116.7㎝×116.7㎝の正方形の≪ギフト≫はこれまでにない明るい赤系統の金魚鉢と中に描かれた海の生き物の作品が、とりわけ目を引きます。

サンゴの中心や枝部分にキラリと光る個所は、まるでサンゴの目か宝石のようでもあり、金魚鉢のガラスの質感表現、特に透明感が増し、光沢やガラスの厚みも上手く表現されていました。

筆跡を残さないフラットな画面、そして、今回特に印象的だったのは、画面の下側に描かれている花を縁取る黒っぽい線。黒のように見えるけれど、実際は複数色を使用しているようで、その色の違いが作品全体から輪郭線を浮かせることなく、FITさせているようです。これらの背景処理の上手さは、シェル美術大賞受賞作品の≪ハジマリオザワザワ≫2010年と、反対側の壁面に展示されている2011年作の≪ミテイルカラハジメヨウ≫の2点こちらも同一タイトルでサイズやモチーフは違う、と比較するとよく分かります。

個人的なお気に入りは、先に挙げた赤系統の≪ギフト≫、≪ミテイルカラハジメヨウ≫と人の腕にクラゲのような触手が生えている≪イツモトオナジコト≫2011年、そして≪ザワザワ≫。

小野さんは、福島県のご出身で、漁師の家庭に生まれ育ったとのこと。海や海の生物は、幼少の頃から慣れ親しんだものなのでしょう。
深海に潜ると、深度が深くなるほど外光から遠ざかり、必然的に海は暗くなる。
小野さんの作品の背景に黒っぽい色が多いのは、深海のイメージなのだろうかと勝手に想像してしまいました。


彼女の作品に囲まれていると、自分が海に沈んでいくような錯覚を覚えます。

震災でご家族は幸いにも助かったとのことで、本当に良かったです。そして、そんな心労の重なる状況の中で、この個展開催にこぎつけたその頑張りと心意気に敬意を捧げたいと思います。
素晴らしい作品を見せていただいて本当に感謝です。

最後に作家のステートメントより一部をご紹介して終わります。

”ギフト”それは私が与えられたものであり、返していかなくてはならないもの。祈りを込めて、大切な人たちに、大切な自然に、大切な私自信に。

その思いが十分に伝わって来ました。

*5月14日(土)まで開催中。オススメします。
営業時間:11:00 - 19:00  日曜・月曜・祝日休み GW中はカレンダー通りの営業となります。

TOUGEN「現代作家による桃源郷へのアプローチ」 masayoshi suzuki gallery

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愛知県岡崎市のmasayoshi suzuki galleryで5月22日まで開催中のTOUGEN「現代作家による桃源郷へのアプローチ」に行って来ました。

「今につづく桃源郷」をテーマに写真、映像、立体等の新しいメディアによって表現活動をする現存作家6名によるグループ展。岡崎市美術博物館で開催中の「桃源万歳」の連動企画展となっています。
出展作家は次の6名。
大崎のぶゆき、志賀理江子、関智生、丹羽誠次郎、三宅砂織、山田純嗣 (アイウエオ順)

岡崎市の康生通り(岡崎市内の中心部)にあるこのギャラリーは初訪。
スペース的にはかなり広い。地下に展示スペースがあったので京都のeN-artsを思い出したが、あちらの地下スペースより、sayoshi suzuki galleryの方が広い。
1階も天井が高く、現代美術の展示にはもってこい。コンクリート打ちっぱなしのややハードな空間だった。

最初に、拝見したのは三宅砂織さんの連作。6点程あっただろうか、小さめの作品で、価額が手ごろだったせいもあるのか、1点売却済になっていた。手法はこれまでと変わらず。

志賀理江子さんはカナリアシリーズから、同じく6~8点。
彼女は岡崎市の出身。
カナリアシリーズはあいトリや森美術館でも拝見しているが、何につけても人を引き付ける力のある写真。
構成力が抜群なのと、不思議な発色があいまって、私にはやや怪奇的に見える。しかし、実際の撮影状況はまるで平和なのだと、以前金沢21世紀美術館でご本人のトークで知り驚いた記憶がある。

大崎のぶゆきさんは、これまで私が拝見したのとはまるで異なる作品だった。
今回は奥まったコーナー全部を使用して、壁面に壁画のような白地に黒の紋様が描かれ、作品にも同じく白地に黒の紋様が。紋様のダブルイメージだが、果たして、これが大崎さんの考える桃源郷なのかと首を傾げたくなった。
映像作品もあり、こちらも黒の模様がドロドロと液状化し溶けていく様をスローで流したもの。
個人的には、かつて拝見した白ベースのペインティングの方が好み。

関智生さんは、岡崎市美術博物館で同時開催している「桃源万歳」にも出展されているので、まずはそちらを先にご覧頂いた方が良いのではないだろうか。先日開催された東京・スパイラルでの「行商」でも作品が展示されていた。油彩画のご出身なのだが、英国留学を経て、現在は岩絵の具を使用した作品、特に赤のみを使用した、版画のような作品。

山田純嗣さんは、僭越ながら中京大学Cスクエアから大化けされたような気がしてならない。
正直ベースで書いてしまうと、中京大学での展覧会の前、日本橋高島屋美術画廊Xでの個展で初めて作品を拝見した。その時、真っ白な世界観は記憶に残っているが、それほど強く惹かれることはなかった。

しかし、中京大学Cスクエアの個展案内を拝見した時、いつものように「これは行かなければならない。観たい!」という思いが湧きあがり、行ってみたら大正解というか衝撃的な内容だった。
この時、山田さんの立体作品を初めて拝見した。元々平面作品に、これらの立体を制作し、それを写真撮影し、パネルに転写し、更にその上からエッチング(?)腐食版画により紋様を付けるという気が遠くなるような工程を経て1点の作品が出来上がると知り驚く。
そして、平面から抜け出た、小さな立体たちはそれは愛らしく、二次元の平面が突如目の前で三次元化、現実化して現れたのだった。

その後、個展があるたびにほとんど(群馬県であったのはさすがに行ってない)拝見していると思うが、直近では豊田市美術館敷地内にある施設を会場に開催された「アイチ・ジーン」での展示も素晴らしかった。作品もさることながら、展示方法が毎回空間にピタリと合って、インスタレーションになっているのだ。
特にレストランの展示は、もう永久にそのままにしておいて欲しい程で、今度あのレストランに行ったら寂しい思いをするのは間違いないと思う。

前置きが長すぎ。
まず、地下へと続く階段は、桃源郷へのアプローチ。某美術館のトンネルと同じ意味を持たせる見立てだそうです。地下に下りると、そこには真っ白な毛氈に遊ぶ動物たちの桃源郷とニッチを利用して白いタワーが展示されていたが、この動物たちが実にかわいい。
観ていると飽きないし、そのうち動くんじゃないかとさえ思えて来る。

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そして、再び1階の平面に戻ると、夢から現実に引き戻されたように、先程観た動物たちが、平面パネルにおさまっているのだった。
他に小品や、昨年の不忍画廊個展で発表された着際のお花の作品、そして、那智の滝図(黒バージョンと白バージョン)が待っている。
注2階の受付近辺に受胎告知の一部であるドローイング作品(ドローイングは非常に珍しい!)もあるのでお見逃しなく。これも美しかったです。
山田純嗣さんのtwitterアカウント:@JunjiYamada です。


丹羽誠次郎さんは、初めて知った作家さんで1967年愛知県生まれ。この方の作品がもっとも理解に苦しんだ。よって割愛させていただきます。

*5月22日まで開催中。
Masayoshi Suzuki Gallery
愛知県岡崎市康生通南3-20 STAGE BLD 2 1F
開廊時間 : 12:00~19:00 [月・火・水曜日休廊]ただし5月3日(火)・4日(水)は開廊
アクセス方法等詳細はこちら。(ギャラリーのサイトにリンクします。)

梅田哲也「はじめは動いていた」 ARTZONE

京都三条のART ZONEで開催中の梅田哲也 「はじめは動いていた」に行って来ました。

梅田さんは、2年前から追いかけているアーティストで、可能な限り展示は拝見していますが、今回のART ZONEの展示は凄かった。愛知県豊田市の「あいちアートの森」喜楽亭では、古い料亭を活かした感性や感覚が研ぎすまされるような作品だったが、今回は規模的に私がこれまで観た中で最大クラス。

何しろ、ARTZONEがあるVOXビル全体を利用して、まるでオリエンテーリングのように観客はビル内のあちこちにある作品を見つけていく。

通常の出入口は塞がれているので、最初どこから入れば良いのかちょっと迷ったが、奥に進むと黒塗りの受付が登場。入場無料だが、ここで「順路案内」を受け取り、いざ出発。

「行きは、青色のテープ、帰りは黄色のテープを辿って下さい。」と書いてある。
その文章に導かれるまま、青色のテープを辿ってまずは3階に。
その前に、VOXビルは飲食店などがテナントで入っている雑居ビル。
ARTZONEはこのビルの1~2階なのだが、3階へ向かうのだ。

3階に到着。向かって右の倉庫の中に作品が。

以下、書いてしまうと面白くなくなるので省略。
屋上まで上がって、更にそこにある階段を上るのを忘れずに!私はまさか、この階段の上に作品があるとは思わず、というかそんな所に上ってはいけないのではないかと勝手に思っていた。幸いにも戻る途中で係の方に、出会って懐中電灯の存在と屋上の屋上にも作品があると教えていただいたので見逃さずにすんだ。

それにしても、何とも面白い。

ビルの中のARTZONEのスペースに黄色のテープを辿って戻ると、そこにも作品がそこかしこに。
天井近く梁の向こう側にあり、梯子に登らないと見ることができない作品もあるので、女性の方はスカート・パンプスなどヒールの高い靴は避けた方が良いと思います。

1階の作品はとにかく巨大。しかもタイミングが合えば、凄い動きが観られるようだが、この時は微動だにしていなかった。あのブルーシートの袋状のものが持ち上がったらさぞかし・・・。

私の好みは、梅田さんの作品ではよく見かけるが、磁石を使用したものが、まるで毛虫のようでかわいい。
のんびりと這うように動く磁石の動きは作家の意図通りなのだが、じ~っと見つめていると、磁石の意思で動いているように見えるのだ。

私は初日の夜に行ったのだけれど、その後も作品が追加されているとのこと。

明日17日は、ゲストに映像作家のさわひらきさんをお迎えして「茶会・徘徊」イベントが、そして、最終日の24日(日)10時からはサウンドアーティスト鈴木昭男さんと料理人に山路製めんを迎えて、ライブパフォーマンス「BREAKFAST FAST EXTRA」を開催(一般2000円、学生1500円)。

そう言えば、さわひらきさん、梅田哲也さんともにオオタファインアーツが扱ギャラリーだった。

最終日のパフォーマンスは観たい。。。製めんということは、おうどんでも食しながらパフォーマンスを拝見するのだろうか。鈴木昭男さんは、2年前、あざみの市民ギャラリーの展覧会に参加されていたが、パフォーマンスは拝見したことがない。この二人の組み合わせでどんなパフォーマンスが繰り広げられるのか楽しみ。

梅田哲也さんは、美術館という箱を出て、制約の少ない既存空間の方がより大がかりでダイナミック、かつ空間を活かした作品を制作でき彼の魅力を存分に発揮すると改めて痛感した。

*4月24日(日)まで開催中。オススメです。
平日:13時~20時、土日祝:12時半~20時(最終日除く)

田口行弘展「Pan! Pan! Pan!」 無人島プロダクション

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無人島プロダクションで開催中の田口行弘展「Pan! Pan! Pan!」に行って来ました。
ギャラリーのプレスリリースはこちら

田口行弘は、2005年よりベルリンを拠点に、世界中で作品を制作・発表し、注目を集めています。田口は、「ある場所にもともと存在するもの」を動かしながら作品を制作、彼自身が「パフォーマティブ・インスタレーション」とよぶこの手法で、ギャラリー空間から街中にいたるまで、屋内/屋外とわず、さまざまな場所を彼の表現の舞台にしたてあげます。また、このパフォーマティブ・インスタレーションと並行して、ものを少しずつ動かすさまは写真で記録していき、撮影した画像をつなぎ合わせて映像作品にする「ストップモーション・アニメーション」も制作、このふたつの手法を主軸とした表現活動を展開しています。 ~ギャラリープレスリリースより。

田口行弘と言えば、何と言っても昨年のギャラリーαMでの個展「複合回路vol.1 田口行弘展」の訪れるたびに会場が変化し、最後にそれが映像になってクロージングするという、最初から最後まで目が離せない表現活動が印象的で、以来、追っかけをしている作家さん。

今年も大阪のPINEBROOKLYNで開催された「ABOUT」も拝見し、大規模な回顧展とも言えるインスタレーションと映像作品の展示で、複合回路とはまた違った形式で作品を披露していた。
その後、同じく大阪で道頓堀川に畳を流すというプロジェクトを行ったのだが、会期がわずか1週間と短く、さすがにこれは拝見できず。
しかし、今回会場にこの畳プロジェクトのアイディアデッサンが2つほどぶら下がっていて、どんな様子だったかおよそのイメージがつかめた。

今回。は、鏡やアクリル板、合板、そして会場である無人島プロダクションにもともと存在していた扉や障子など板状のもので会場を構成しつつ、ここ数年、海外で行ったプロジェクトの映像作品の上映や写真、ドローイングの展示を加え、会場全体をコラージュしています。

全体的な雰囲気としては、前述のPINEBROOKLYNでの展示に近いかもしれないが、無人島プロダクションにあった素材や鏡、板を巧みに使用して、いつもの無人島が無人島ではないような、別の空間が仕上がっている。
板や鏡を活かした映像の展示方法は特筆すべきものがあり、このあたりが、田口さんの上手い所だなぁと感心する。ちょっと秘密基地を探索するような気持ちで奥に入っていくとここにもあそこにも映像作品が!宝探しのように映像が見つかる。

今回の個展タイトル「Pan! Pan! Pan!」の意味は?と直接田口さんに伺ってみた。
「パンする」→ カメラワークにおいて“Panoramic Viewing”の略で、「パノラマのように見る」こと。
「パノラマ」そして「パネル」を多数使う。以上の頭3文字「Pan」を3つ集めて「Pan! Pan! Pan!」。
再び、なるほど~と納得。

展示されている映像作品は次の6点。
・≪09.Nov.2009 Berlin≫
・≪Lauf≫ これは、英語で言うrunのドイツ語。オーストリア・Linzで制作。
・≪Spiral≫ ベルリンで制作
・≪contact≫ → モニター3台で別方向から撮影した3つの映像を同時に流す。妙な立体感と臨場感あり。 
・≪piece≫ 
鈴木貴之さんとのコラボレーション映像。ブランデンブルグ門の前で、朝の5時から夜22時まで二人でピースサインをしてポーズ。
・≪daily motion 2010≫ 日記風の映像作品。

どれも、それぞれ見どころのある作品だが、個人的には、≪09.Nov.2009 Berlin≫が好み。
ベルリンの壁の残骸やら、街を映像化しているが、カメラで撮影したコマ撮り画像をつなぎ合わせただけなのに、アニメーション風に見えるのが不思議。
他の作品では、この作品のようにアニメーション風にはなっていないので、異質で興味深かった。

鈴木さんとのコラボ映像≪piece≫も面白い。
二人でピースしてポーズを取っているだけなのに、さすが観光名所。なんだなんだと途中で学生らし気団体が乱入したり、平気でカメラの前を通るおじいさん、世界が繋がっている気がした。

映像作品のほとんどすべてに田口さん本人が出演しパフォーマンスをしている。
特に≪contact≫では砂浜に立つ男女の間を伝書鳩よろしく何度往復していることか。
身体も勝負なのだ。

なお、田口行弘は、同時並行で森美術館にて「MAM PROJECT 014:田口行弘」にも出展。3月26日~8月28日

アーティストトーク:4月16日(土)14:00-15:30
会場:森美術館53階ギャラリー

明日のアーティストトークに参加できないのは非常に残念。震災で日程変更になり、行けなくなってしまった(涙)。

森美術館の展示はまだ行けていないので、こちらも必ず。
そして、無人島での展示も再訪する予定です。
入口入って左側にある大きなインスタレーション作品を撮影したポスターがかっこいい!このポスターも販売しています。

*5月14日まで。
Open:火~金|12:00-20:00 土~日|11:00-19:00 Closed:月・祝日

版画の「アナ」-ガリ版がつなぐ孔版画の歴史 和歌山県立近代美術館

和歌山

和歌山県立近代美術館で4月17日まで開催中の「版画の「アナ」-ガリ版がつなぐ孔版画の歴史」展に行って来ました。

先日、現在国立西洋美術館で開催中の「レンブラント 光の探求/闇の誘惑」展では、銅版画(凹版)を堪能したが、今回は、孔版である。

孔版は、版にあけた孔(アナ)からインクを通して刷る技法で、古くは型紙による染色(ステンシル)に起源をもち、現在においては、シルクスクリーンへ発展している。
孔版の中でも特に、日本で発達したのが謄写版、いわゆる「ガリ版」であった。明治以後、官公庁や会社、学校に普及したらしい。

年令が分かってしまうが、私が小学生だった頃、学校の先生が配布して下さるプリントはガリ版刷り。確か、大学生の部活(バレーボール部)で、部員の作文集を例年作成し1年生が編集や作成作業にあたるのだが、確か鉄筆でガリ版ではなかったか。いや、さすがにあの頃にはボールペンで謄写する方式だったか。

とにかく、木版や銅板、石版よりも私にもっとも馴染み深いのは謄写版であることは間違いない。

本展では、和歌山市で謄写印刷工房を開いていた清水武次郎(1915-1993)の謄写版の作品や仕事ともに、同じく謄写版で独自の画境を拓いた福井良之助の作品、日本のシルクスクリーン版画のさきがけとなった村井正誠、横尾忠則ら、現代版画のなかの孔版画など、清水と同時代の孔版画によって、孔版の多様性を紹介するものです。

1.清水武次郎の仕事

第1章の清水武次郎の仕事が本展において、最大の見どころと言って良いだろう。初めて知った版画家で、彼が1915年(大正4年)に和歌山市に生まれ、学生の頃から絵を描いていたが、絵画の製版を得意としていた先輩教員の奥山勇の影響を受け、独学で謄写版の技術を学び、カット集の制作を始める。
そして、驚くべきことに、終戦の年1945年に置く大和謄写印刷書、「蝸牛工房(かぎゅうこうぼう)」を開くことを決め、良く年5月に『創作かっと図案集』を発行する。また、謄写版による雑誌『とうしゃ文化』の創刊も同年に開始。
この雑誌を観た、孔版画家、若山八十氏(わかやまやそうじ)から、「創作版画」としての謄写版を薦められ、本格的に版画制作を開始する。

その後、清水は日本版画協会展への出品をはじめ、国画会展などに出品するようになったが、1967年に展覧会への出品をやめた後も、昼間の謄写印刷所の仕事を終えた後に、制作を続け、1971年に初めての個展を開催。以来、個展を主な作品発表の場とした。
ロウ原紙だけでなく、新しく開発された和紙をもとにした孔版原紙をはじめ、さまざまな素材と技法による孔版により独自の表現を追求していった。

初期作品では、「少女」1948年や「物頭」1948年が良い。
「少女」は、具象的でこの後、晩年になるにつれ抽象的な作品へと変化していくが、その作風の変化を味わうのもこの展覧会の魅力のひとつ。「少女」は背景の夏ミカン?なのか樹木と少女の洋服、背景の空の色、色の組み合わせの妙が印象深い。

そして、前述の「とうしゃ文化」は創刊号からずらりと並ぶが、表紙絵の何とも言えない味わい、懐かしさ、しかし懐かしいだけでない芸術性、殊に私は色味とモチーフのデザイン性に惹かれた。

1958年以後の作品から徐々に抽象化が進んでいく。
「考える鳥」1958年、「埋もれた壺」1959年は謄写版の作品。1962年頃より、和紙孔版の作品取組が始まる。
和紙と言えば、かのレンブラントも支持体である紙に対して強い探究心を持っていたが、やはり洋の東西を問わず版画家の愛するのは「和紙」と共通しているのが嬉しい。

1970年代以後の作品ではタイトルも「作品」と無題に近いものになり、その作品は何らかの形態というより色面の追求、もしくはマティスの切絵を思わせるような画面に変わる。

また、展示では清水の作品だけでなく、彼が保存していた謄写版の貴重な資料も多数紹介されている。
各地の謄写版技術家との交流や、先輩・同業者からの行為と励ましが文書として残されている。また、昭和初期の孔版版画の潮流も読み取れる。

件のマティスの切絵「ジャズ」シリーズ1947年はステンシルで制作された版画集。加えて町田市版画美術館で過去に一度観たかもしれない『ガゼット・デュ・ボントン』1920年(個人蔵)の挿画は、すべてステンシルで1枚ずつ彩色されている。

2.謄写版の三人-若山八十氏、福井良之助、野田哲也
この章では清水と同時代の謄写版画家の3人の作品を紹介する。

若山八十氏(1903-1983)は、戦前から雑誌『孔版』を出版し、1942年以来、日本版画家協会をはじめとする展覧会に謄写版による版画を出品。

今回はこの雑誌『孔版』(個人蔵)が創刊号から90号まで、途中わずかに展示されていない豪\号数(例えば2号、3号、ただしこちらは再刊ものなら出展されている)一挙に展示。
こんな機会はなかなかあるものではない。『とうしゃ文化』も良いが、こちらも魅力的。

私個人としては、福井良之助(1923-1986)の作品が、3名の中では一番好みだった。モチーフは身の回りの静物や人物、動物、植物。特に「蝶と菫」1963年、「けし(2)」1959年などが気に入った。
彼はストレートに謄写版に紙と和紙には手を出さなかったようだ。

3.シルクスクリーンの三人-村井正誠、横尾忠則、靉嘔
ここについては省略。

4.現代美術のなかの孔版
最後は海外作家や現代美術の中で孔版を取り入れた作品の紹介。

有名どころでは、力点シュタイン、ウォーホル、バスキア、フランク・ステラ、リチャード・セラなど。
日本人作家では、うらわ美術館の本をめぐる展覧会で拝見した荒木高子や三島喜美代の作品と再会。
草間弥生や高松次郎らの作品もあり。
これらはみなシルクスクリーン技法が使用されている。シルクスクリーンとは1907年にイギリスで布地のプリントのために特許が取られたのが最初。
もともと枠に張った薄い布の目を利用して版を作る技法。

大正から昭和40年代までの孔版画の歴史から現代美術まで、現在に「ガリ版」に類似した技術が多くの作家によって使用されているのがよく分かった。

なお、和歌山近美は常設展示も充実しています。常設のコレクションはアメリカ近代美術と小倉遊亀をはじめとする日本画コレクションを多く所有している。ごく最近ではコレクターの田中恒子氏による作品寄贈があったり、充実していた。

*4月17日まで開催中。

「幕末大坂の絵師 森一鳳」 大阪歴史博物館

森一鳳

既に4月4日で終了しているが、大阪歴史博物館で開催されていた「幕末大坂の絵師 森一鳳」に行って、これが良かったので記録として残しておくことにする。

森一鳳(1798-1871)は大坂(大阪でなく敢えて大坂!)で活躍した絵師。養祖父は猿の絵で有名な森祖仙、養父は円山応挙の高弟で森徹山である。
一鳳は、肥後藩主細川家のお抱え絵師にもなり、幕末に京都御所が再建されたときには襖絵を描くなど、当代一流の画家となった。
本展では、幕末に生きた大坂の人々がどのような絵を好んだかを一鳳の作品を通して紹介します。

展示は以下の4部構成で、展示作品は約20点。
1.藻刈舟
2.神仏と人
3.鳥や獣
4.四季を彩る
5.風景

以下印象に残った作品。

・「藻刈舟図」 個人蔵 
何気ない、余白の多い作品であるが、刷毛で描かれた飴の描写がまるで、光がさし込んでいるかのようにも見える。雨の中で藻を刈る姿は「雨が降るほど儲かる」に通じると言われているそうで、縁起の良い絵としてだけでなく、夏に相応しいように淡彩で簡略に描かれた作品が多いとのこと。

・「鹿に若松図」 個人蔵
鹿の毛は粗目で、曾祖父の素仙の描法が時代が下るにつれ、変化していることが分かる。
とはいうものの、鹿の描き方構図はやはり森派らしいように感じた。

・「白狐図」 個人蔵
野に佇む白狐。円山応挙が描いた「白狐図」と同じ構図のこの作品は、ボストン美術館にも応挙作品と一緒に収蔵されているのだそう。狐の目には金泥が用いられている。

・「猿図」 個人蔵
一鳳のこの猿図はマイベスト。見ざる聞かざる言わざるを、猿のポーズで見事に表現。おどけたようなポーズと猿の愛らしい表情が忘れられない。

この他、「美人図」「立雛図」「長春小鳥図」(この作品では薔薇が描かれている)などが良かった。

なお、大阪歴史博物館の特集展示は見開き中折のパンフレットが毎回用意されていて、関東地方ではなかなかお目にかかれない地元関西で活躍した画家の特集展示は特に要チェック。
これが、後々他の展覧会で役に立つことが多い。

*本展は4月4日で終了しています。

「小村希史展」 MEGUMI OGITA GALLERY

小村
"The sounds in My Mind" 2011, 162.1 x 130.3cm, oil on canvas

MEGUMI OGITA GALLERYで開催中の「小村希史展」に行って来ました。
詳細はギャラリーのサイトをご参照ください。→ http://www.megumiogita.com/exhibition/2011/1104komura/index.html

小村希史は1977年生まれ。
高校卒業後、渡米し4年間アメリカで暮らす。幼少時より、絵が得意であったことを思い出し、本格的に絵画を始める。
最初の個展は2年前のアンシール・コンテンポラリーギャラリーでその後、上海での展示を最後に今回2年ぶりの個展開催となった。

『芸術新潮』4月号(最新号)の小特集「アートと暮らす夫婦のかたち」で、小村作品ばかり収集しているコレクターのご夫婦の記事を拝見し、興味を持った。
DMをいただいた時には、「怖い絵」というのが先に立ち、行くかどうか迷っていたがそれ程までに執着するだけの何かがあるに違いない。そして、その何かを確かめてみたいと思った。

真っ白なメグミオギタギャラリーの壁をおどろおどろしい肖像画、背景色も黒や暗い色を使用しているため、なおのこと不気味な雰囲気が漂っている。
これで、照明を落としたら間違いなく怖い。

近づいて作品を観ると、かなりの量の絵具を重ね。盛り上がっている個所がいくつもあった。
その絵具の盛り上がりが平面絵画なのに、横や斜めから観ると立体的で、色遣いやモチーフの激しさに絵具の厚みが加わり、一層迫力が増しているのだった。

その一方で、細い糸のようなカラフルな線がランダムにからみあった作品も2点。
荻田氏によれば、「埃」を描いたのだそうで、その繊細な線は肖像画の粗いタッチとは正反対。
画家の良曲を見せられた気がした。

奥には風景画が1点と椿を描いた作品が1点。私はむしろこちらの2点の方が落ち着いて眺めることができたが、更に私にとってツボだったのは、水彩やドローイング作品。

小村がメキシコを旅していた時に見つけた細い金枠で作られた小さな写真スタンドに、小村の水彩画が入っている。犬や人物なのだが、油彩とはまるで違った懐かしい画風。
しかし、筆力、絵の上手さは確かだと素人目にも分かる。
特に『ブルー』という小冊子(500円)のドローイングは、あのウィリアム・ケントリッジの作品を思い出させた。

印刷物にも関心が高いらしく、小冊子や昭和初期のカストリ雑誌や画文集、デッサン集に加え、レコードジャケット+中に作品集小冊子に絵ハガキサイズの作品付。しかもレコジャケは1点1点印刷の具合を変えていて、黒白の濃淡が異なるという凝りよう。

奥のコーナーには、あの3月11日の大地震があったその日に描いたドローイング100枚が1枚千円で販売されている。
売り上げは寄付されるのだとか。
画家の地震当日の重いが鉛筆の筆圧、描画、点描にあらわれている。

かの日本美術史家の山下裕二教授も小村の力量を高く評価しておられ、過去に寄稿した小村作品についての文章がギャラリーに置かれていた。

日本の芸術・美術大学の教育にスポイルされていない、力強さとオリジナリティ溢れる作品の数々。
行って、実際に作品を観ることができ良かった。

*4月23日まで会期延長しています。個人的な好き嫌いは別としてオススメします。

「レンブラント 光の探求 闇の誘惑」 国立西洋美術館

レンブラント

国立西洋美術館で開催中の「レンブラント 光の探求 闇の誘惑」に行って来ました。

レンブラントって凄い!と思ったきっかけが私の場合、版画作品だった。
2007年10月に観た名古屋ボストン美術館での「レンブラント版画展」で彼の力量を目の当たりにし感動。明暗描写と一切無駄のない線にひたすら感心し、天才だと思った。

この時のレンブラント版画作品は117点(アメリカボストン美術館所蔵品)で、他にデューラーの版画作品13点合計130点で構成されていた。
(参考)過去ログ:http://memeyogini.blog51.fc2.com/blog-entry-177.html

本展では、レンブラント(1606-1669)の明暗表現を考察する上で重要な役割を果たした版画約100点と絵画素描20点を取上げ、その初期から晩年にいたる諸作品において、、どのように光と闇の表現に取り組んだかを辿ります。

詳細は本展公式サイトが充実していますのでそちらをご参照ください。以下URL。
http://www.ntv.co.jp/rembrandt/index.htm

展覧会は次の3章から構成されています。
第1章:黒い版画:レンブラントと黒の諧調表現
第2章:淡い色の紙:レンブラントの和紙刷り版画
第3章:とても変わった技法:レンブラントのキアロスクーロ

全体としての感想は、冒頭に挙げた名古屋ボストン美術館の「レンブラント版画展」に展覧会意図も共通したものがあり、版画作品においては約3年半ぶりの再会を楽しんだという印象。
名古屋ボストンでも和紙刷りなど、レンブラントが和紙を使用していたことに注目し、取り上げていたのを記憶している。
私は、平日の金曜午後2時頃(この時期は閉館が16時だった)に入館したにもかかわらず、かなりのお客様が入っておられて、元々小さな版画作品なので、既に行列ができていて、ゆっくり鑑賞するには無理のある環境。
一方、2007年の名古屋ボストン美の展覧会はほぼ貸切状態で、じっくりゆっくり鑑賞できたので、個人的には名古屋ボストンの版画展の方が良かった。

となると、名古屋では展示されていなかった素描と絵画作品に必然的に関心が向く。
レンブラントの油彩は、非常に数多くまた贋作が多いのでも有名。

フランスをはじめ世界各国から作品貸出の中止が続くこの時期、西洋絵画の展覧会は非常に貴重だ。特に絵画は、じっくり鑑賞した。版画作品の展示は混雑していたが、油彩コーナーでは混雑も列もなく、ストレスなく鑑賞できたのは幸いだった。
ただし、私が行った翌日の土曜日は、入場もしくはチケットを購入する人の列が、正門の外まで続いていたようなので、今後は混雑必至だろう。

展覧会の見どころは、前述の公式サイトの説明が充実しているので、今更私がここで書く必要はないが、個人的にこれは!と思ったことをつらつらと。

●版画
・≪羊飼いへのお告げ≫1634年 レンブラントハイス
本作が制作された1630年代、彼はルーベンスを強く意識していたという。この作品を観ると、その影響振りがよく分かる。とりわけ、黒の使い方が抜群にうまく、黒の諧調を変化させることで、画面に奥行き感、遠近感、モチーフが浮かびあがってくるような効果をあげている。

・≪貝殻≫1650年 レンブラントハイス
風景画や人物画は、宗教画は多く描いているが、静物画は本作品ただひとつ。非常に希少価値が高い。モチーフは巻貝の貝殻であるが、この貝殻は東方から伝わってきたと推測されている。ここでも黒と白で貝殻の模様を上手く創り出し、非常に存在感があったのは、他の作品とは趣を異にしたモチーフだったためだろうか。

・≪ヤン・シックス≫2点1647年・プチ・パレ、レンブラントハイス。
≪ヤン・アセレイン≫1647年 
レンブラントは一つの銅版画を使用して作品を制作していたが、1枚の原画に手を加えたり、支持体である紙を洋紙でなく和紙を中心に他の紙も使い、自作の版画にぴったりの深みの出るものを探していた。
≪ヤン・シックス≫は2点、≪ヤン・アセレイン≫1647年は3点出展されていて、和紙、オートミール紙など紙の種類のよって、版画の陰影深みが変わっていくのがよく分かる。

・≪イタリア風景の中の静ヒエロニムス≫1663年 クストディア財団
この作品も2点、和紙とオートミール紙それぞれに刷られていた。和紙の方が、線に湿り気があるような気がする。

・≪病人たちを癒すキリスト≫(百グルデン版画)
レンブラント版画作品の中でも代表的。もう1点≪三本の木≫は前回拝見した時のベストだが、今回はこの作品に注目、非常にゴージャスな画面。
この百グルデン版画は、は他の作品よりやや大きく、特に和紙刷りの作品の前で仁王立ちして動かない男性がおられ、ゆっくり観ることができなかったのは残念だった。

・≪オンファル≫1645年 レンブラントハイス
ドライポイントのみで制作した作品の始まりとなる。エッチングやメゾチントとは違う、線の太さや滑らかさがあるのが特徴。


●絵画
・≪東洋風の衣装をまとう自画像≫1631年 パリ市立美術館
版画では、本展チラシ表面にも使用されている≪石の手すりにもたれる自画像≫など、レンブラントは非常に多くの自画像を残しているが、その心のうちには何があったのかを考えてしまう。

本作品はレンブラント25歳の肖像。まだ若々しく表情に自信なげな様子と横を向いたリアルな犬一匹。背景は強い明暗表現をとっている。

・≪書斎のミネルヴァ≫1633年頃 個人蔵
金色のガウン、まばゆいばかりの金髪。ミネルヴァだけにスポットが当たったような明暗表現は、やはり画面から人物がせり出してくるような印象がある。

・≪音楽を奏でる人々≫1626年
レンブラント初期の貴重な作品。本作品ではまだ黒の部分が少なく、極端な明暗表現が取れていない。また、全部で4名もの人々がモデルになっているが、どの人物も表情・動きがかたいなと思った。

絵画はまずまずの内容、いやこの時期10点近くのレンブラントの油彩を鑑賞できただけで十分有り難かった。


なお、国立西洋美術館は本日(4/12)より常設展示(小企画含む)が再開されています。
開館時間は、今後余儀なく変更する場合がありますので、行かれる際には必ずチェックを忘れずに。

*6月12日まで開催中。
本展はこの後、名古屋市美術館に巡回します。6月25日(土)~9月4日(日)

内海聖史展 「さくらのなかりせば」 ギャラリエ アンドウ

さくらのなかりせば

渋谷の文化村ミュージアムと松濤美術館のほぼ中間で、松濤に向かって右方向の脇道を入ってすぐにギャラリエ アンドウはあります。
ギャラリーのサイトはこちら

4月23日まで内海聖史展「さくらのなかりせば」を開催中で、早速行って来ました。

このブログで「内海聖史」で検索すると、結構な数の記事がヒットし、どうやら最初に作品を拝見したのは2008年6月の東京都現代美術館の「屋上庭園」。
そして、同年11月に静岡県美の「風景ルルル」展での展示に感動し、以来個展、グループ展に関わらず拝見しているような気がする。
直近では、昨年10月の京都芸術センター「panorama すべてを見ながら見えていない私たちへ」展での展示だろうか。

とにかく、色彩に全身が包まれるという感覚が忘れられず、回を重ねるごとに展示方法も作品もダイナミックにかつ巧みになっていると思う。
こうして、一人の作家さんを追いかけていくと少しずつ違いや変化が見えてきて、それも楽しみの一つになっている。
*内海さんご自身のブログ「色彩の下」→ http://uchiuminfo.exblog.jp/

さて、今回の個展「さくらのなかりせば」は、4月の桜の季節にピッタリの作品。

ギャラリエアンドウの展示空間は決して広いとは言えない。しかし、敢えて壁面の約3分の2を使用した大作は、満開の桜を見上げるのでなく、自分の目線と平行に観るという新しい花見体験のようだった。

ピンク色、桜色、微妙な色の変化、色数だけで30色、50色だったかを使用されているとのこと。
ギャラリーに入った瞬間、本当は白い壁面が淡いピンク色に染まっているように感じたが、照明によって作品の色が反射したため、壁の色までピンク色になっている。

ちょうど内海さんが在廊されていて、次々と訪れるお客様に作品の説明をされていらっしゃった。
ここで、調光可能な照明を操作して、徐々に光を落としていく。
すると、桜色も深くなり沈んでいくのがよく分かった。
最後は自然光で観たのだが、窓がない空間なので、夜桜をイメージした。以前、プライスコレクション展で、照明を変化させることにより、屏風絵の金箔、金地の見え方が変わる展示が行われたことを思い出す。

桜色の作品の前に佇むと、自分自身もほんのりと染まっていくような、そして、ぽかぽかと身体が暖かくなるような感覚があり、色彩はエネルギーで、鑑賞者は色から伝わるエネルギーや感触を身体で受け止める。
目から取り込んだ情報であるにもかかわらず、それが体中に伝わっていく感じ、まさしくエネルギーが身体を循環していくような感じ。

内海さんの作品では緑色や青色がよく使用されるが、ピンク色ベースの大作は今回初めてとのこと。
これまでもピンクを取り上げてみたいと考えておられたそうだが、夏では暑苦しいし、作品を公開する季節を考えるとタイミングが合わず、漸く今回4月の個展とのことで、ピンクに挑戦することができたとお話して下さった。

ピンク色中心の画面に桜餅に使用される桜の葉の色、若い緑の葉色も所々にあり、葉の形はしていなくても色の粒の集積が、葉っぱに見えて来るから不思議。この色の組み合わせがまた絶妙である。

絵画による室内でのお花見体験は実に素晴らしく楽しかった。
鬱々とした気分が晴れ、作品から元気も貰うことができた。
内海さん、そしてギャラリエアンドウのオーナーに心から感謝致します。

なお、入口入ってすぐの左側に小さな作品が1点。この他小サイズの作品が展示はされていませんが、奥に何点かありました。

*4月23日まで開催中。

「原口典之・若江漢字」展 横須賀美術館

横須賀

横須賀美術館で本日4月10日が最終日の横須賀・三浦半島の作家たちⅠ「原口典之・若江漢字」展に行って来ました。

原口典之と言えば、2009年の横浜Bankartでの個展があまりにも衝撃的で、その名を忘れられなくなった。
2009年の個展過去ログ:http://memeyogini.blog51.fc2.com/blog-entry-665.html

その原口典之の展覧会が2年ぶりに開催されるというので、これは行かねばと思っていたら最終日になってしまった。
しかし、つくづく行って良かったと思う内容だった。

本展は原口典之(1946~)と若江漢字(1944~)はともに第二次世界大戦後に横須賀に生まれ、現代社会に対して時に懐疑的、批判的な立場で制作を行って来ました。
本展では、原口の平面作品と若江の写真、インスタレーション作品を取り上げモノに対する両者の違いに注目しジャンルにおいても対照的な展示を行います。~展覧会パンフレットより一部抜粋。

まずは、若江漢字の作品から振り返る。

展示室1:「写真」
若江の1970年代の写真が展示されている。
大変恥ずかしながら、若江漢字は今回初めて知った作家、ご自宅の敷地内にカスヤの森現代美術館を建設し、運営していらっしゃる。同美術館のことは知っていたのに、肝心の若江氏のことを知らないとは本末転倒も甚だしい。
これを機に、必ず年内にカスヤの森現代美術館に行くことに決めた。

のっけから、ぐいぐい引き込まれる写真が並ぶ。
・「石と木」19070年
木の上に石がのっかっているモノクロプリント。

しかし、この後続く写真は、写真に加工を施し、例えば、小さな穴をあけて写真の下にある台を見せてみたり。「見る事と視える事」のシリーズは、カメラを通して視点を変えることで別の世界を見せるという、若江の言葉が、私がここ最近写真を見るたびに考えることへのひとつの答えを呈示してくれていた。

写真+写真のコラージュや写真の一部を切り取ってメビウスの輪を作ったり、鑑賞者へ視ることと見ることの違いを投げかけて来る。

展示室2:「雷音」

この展示室2のインスタレーションが素晴らしかった。
≪雷音≫1999年は、鉄の避雷針、鉄の棚、アクリル、石炭、灰、ネオン等を材料にエネルギーの変遷を作品化したもの。
東日本大震災後、俄かに原子力発電所の存在からエネルギー問題に脚光が浴びている昨今、本展は3月11日のちょうど1カ月前に始まったが、まさかこんなことになろうとは。。。いや、1990年代、それ以前から若江はエネルギー問題に着目していたに違いない。
この作品は18世紀の産業革命から、木炭→石炭→石油→広島・長崎への原爆投下→原子力発電と一連のエネルギーの道を作っている。作品の中央には小さな十字架がまるで、墓碑銘のように立てかけられている。
エネルギー変遷の背景に、一体何が起きていたか。何を人類は犠牲にしてきたのか。
改めて問いかける作品で、あまりにもタイムリーな出会いだった。

反対側の壁面には写真彫刻と言うべき≪気圧≫6点組の作品が並び、こちらも写真と石炭、背景は鉱山だったのだろうか、こちらも美しさの中に、辛辣な批判が籠っている作品だった。

≪A-Ω≫1999/2004年は、この展示室の中央にあったが、この作品が一番意味が分からなかった。
グレーチング、ブリキ缶、ピンポン玉、フラスコ、硫黄、体温計、温度計あの作品は一体何を象徴していたのか。

≪黒い雨≫2004/2006年は、タイトルからも分かるように広島の原爆について作品化したもの。原爆ドームの写真とともに、黒い雨を意味するタールでできた雫の連なり。重く黒い。

展示室3:「アフリカにて」

若江の関心は、エネルギー問題にとどまらず、アフリカの存在に向けられた。
ガラスやシルクスクリーンでアフリカ大陸を強調して、表象化する。

作品の合間に展示されていた≪我が街≫2002年(15点組)は、15色にアクリルの3分の1を異なる色で着色し、残りの3分の2には横須賀の風景の写真。これが実に美しく素敵だった。

原口典之の作品について。

今回は、冒頭に記載したように平面作品で、従来の原口典之作品のイメージを一旦壊すことが作家の目的であったようだ。
展示作品には作家本人の言葉がキャプションとして添付されている。
原口の平面作品は、紙に鉛やゴムを貼り付けるもの。

いかにも原口らしい作品だが、白い紙の上で、強い存在を放つ鉛や真っ黒なゴム。物質の重力、無機的でありながらも、しっかりと存在感を放つ物質。
壁面一面を使用したドローイングやグワッシュ作品の組み合わせ。

作品の中には、数式が書かれたメモのようなものも貼られていて、2009年に視た巨大な飛行機や立体作品の制作過程の一部が伺われる。


横須賀美術館に来たら忘れてならないのが常設展示。
ここは、毎回常設で私の好きな朝井閑右衛門のコーナー(今回は朝井閑右衛門の中国風景)や特集展示「パステルと水彩による風景画-木下コレクションを中心に」がとても良かった。

朝井の中国風景は初めて観た作品ばかりで、洋画だけでなく墨画も描けるとは知らなかった。
水彩画は前回来た時に気に入ってしまった矢崎千代二の水彩を再び堪能。

他に近代洋画のコレクションも充実している。
これに加えて、別館で谷内六郎作品の展示もしており、これを観るたびに心が和む。今回も愛らしい作品が多かった。地元のお菓子店の包装紙デザインも谷内が手掛けており、現在もなお包装紙は使用されている。

横須賀美術館は、何度来ても居心地が良く私の好きな美術館の一つだ。

*本展は既に終了しています。

バク・スンウ 「Blow Up」 MISA SHIN GALLERY

blow up

MISA SHIN GALLERYで4月16日まで開催中のバク・スンウ(Back Seung Woo)「Blow Up」に行って来ました。

バク・スンウは、1973年韓国生まれで現在ソウル在住の写真家。
プロフィールは同ギャラリーのサイトをご参照ください(ただし英語)→ こちら
バク・スンウ本人のサイトもあります。→ こちら。*今回の展示作品画像がご覧いただけます。

私は、彼の写真集『Blow Up』を昨年末に六本木の青山ブックセンターで見つけた。
北朝鮮のスナップで、一体どうやって撮影できたのか、よく発刊できたなという驚きと、モチーフもさることながら、写真自体の質にも惹かれるものがあり、思わず購入しようかと思ったが、既に他に別の写真集を購入していたため、この時は見送ったが忘れられない写真集だった。

辛美沙さんのギャラリーで韓国人写真家の個展を開催すると聞いて、サイトをチェックしたら、どうやら私が年末に見つけた写真集を撮影した写真家であるらしく、これは行かねばと思った次第。
早速ギャラリーに置かれていた写真集「Blow Up」を観たが、やはり間違いなく同じもの。

写真集もさることながら、展示自体もインパクトある内容。
展示の様子は、こちら

大判の写真が手前に1点、奥の事務所スペースにも3点ほどあり、他に4ツ半?サイズの写真が壁一面に並んでいる。
そして中央にはスチール製の立体模型が。
手前にあった大きな写真のモチーフを平面から立体に落とし込んだバク・ソンウ初めての試みらしい。

なぜ、韓国国籍のカメラマンが北朝鮮の様子を撮影できたのか。
今ではまったく困難だが、2000年頃、北と南の交流制限が緩和された時代があったらしい。この時、報道カメラマンとして北朝鮮に1か月入国。現地のガイドに従って案内された個所を撮影し、無論フィルムは検査されたが、検閲を免れたフィルムデータをPCに取り込み、1コマの中から重要なモチーフだけをトリミングし拡大をしたものが作品とされている。
恐らく、実際のフィルムでは肉眼視するのもやっとか、見えないくらい小さく写っているものを拡大している。

また、拡大だけでなく、敢えて写真背景を赤にしたりとより戦列な印象を与えるような加工を施す。
それが効果的な作品もあるし、過剰に思える作品もあったが、特に写真集は私たちの知らない、そして行くことはまずないであろう街の様子を僅かではあるが伝えてくれるが、その事実より、写真が訴えてくるもの、その強さに感動した。

*4月16日まで開催中。

2011年4月9日ギャラリー巡り

今日は都内でギャラリー巡り。
土曜日に行かないと、平日夜には行けないギャラリーがいくつかあって、美術館や博物館とは違う魅力がギャラリーにはあります。

・福島沙由美 Ravelling memory Gallery Art Composition 4/28迄

福島さんはTWS本郷-emergingで作品を拝見して以来、要チェックの作家さん。最近では秋葉原の3331で開催されたTokyo Front Lineの同ギャラリーブースでも紹介されていた。この展示もかなり面白かったが、今回は久々の個展で楽しみにしていたが、何と東日本大震災で作家のアトリエが半壊し、予定していた作品の完成が難しくなってしまったとのこと。よって、今回は旧作と最新作の一部が展示されている。たとえ一部であっても非常に完成度が高く、完成後の全体像が目に浮かぶ。超大作で、来春の東京藝大修了制作展までに完成させる予定とのこと。
支持体がキャンバスのものと和紙を使用している作品があって、私としては和紙をベースにした作品の方が、テクスチャーや全体としてウェットな感じが好ましく感じる。
モチーフは水を鏡面に写したものを画面に落とし込む。抽象的ではあるが、水や光の反射をモチーフにした作品は浮遊感がある。
それにしても、一日も早く震災被害から立ち直って、制作に再び戻っていただきたいと心から願うばかり。

・椛田ちひろ 「私」のゆくえ ギャラリーαM 成層圏Vol.1 5/7まで 4/29~5/5休

現在、もっとも行くのが困難なギャラリーになってしまった馬喰町のギャラリーαM。何しろ開廊時間が震災の影響で12時~16時とわずか4時間。土曜日も同じという凄まじさ。
で、早速行ってきたわけだが、公開制作中なのか、絵具などが作品の前に散らばっていた。
黒と白のモノトーン世界。反対側の壁は小さなアルミパックが無数にとめられている。まるで鏡のようにアルミが反射。そして隣には黒でもなく白でもない、メタリックな表情の、ペインティングというより彫刻的な表面の絵肌勝負の平面作品。

椛田ちひろは1978年生まれ。2004年に武蔵野美術大学大学院美術専攻油絵コース修了。油彩、ボールペンなどで単色を塗りつぶしていくことで生まれるフラットな絵画を制作している。無機的ではあるが、単色画面には塗りはフラットでも凹凸があったり、物としての存在感がある作品だった。

・内海聖史展 さくらのなかりせば ギャラリエ アンドウ 4/23まで

松濤美術館へ行く途中にある小さなギャラリーであるが、内海さんの素晴らしい大作を拝見。詳細別記事にします。良いもの見せていただき感謝です。

・Art for Tomorrow TWS渋谷 4/14迄

Japan Art Donation(JAD)とトーキョーワンダーサイトの共催によるチャリティ展覧会。作品の展示・販売を行い、売り上げはすべてJADに寄付される。

出品作家がすごい。以下。
青木野枝、青木陵子、青山悟、秋吉風人、ALIMO、飯沼英樹、池田光宏、磯邉一郎、稲垣智子 、臼井良平、榎本耕一、遠藤一郎、大竹寛子、小野さおり、開発好明、笠原出、加藤泉、金氏徹平、亀井佑子、鬼頭健吾、木村崇人、小泉明郎、佐藤好彦、ジャンボスズキ、隊長檸檬、鷹野隆大、高松明日香、竹村京、Chim↑Pom、流麻二果、西野達、にしまつこうじ、原倫太郎、春木麻衣子、平子雄一、藤林悠、藤原彩人、フランシス真悟、松宮硝子、宮島達男、安田悠、柳原絵夢、ユミソン、吉澤美香

作品は小品が多く、しかもお値段は通常ギャラリーで呈示されている価額より相当お手頃になっている。好きな作家さんの作品があったら是非購入を。
鬼頭健吾、佐藤好彦、流麻二果さんの作品はかなり心が動いた。特に流さんの作品は国立新美術館に出展されていた油彩ではなくドローイングとコラージュを掛け合わせたような素敵な作品でとても良かった。初日でも結構、売れていたので、明日以後も売れていくのではないだろうか。

また、公開制作で青山悟さん、秋吉風人さん、榎本耕一さんが参加。青山さんがミシンを踏んでいるお姿を初めて拝見したが、さすがプロ、またたく間に作品が出来上がっていくではないか。魔法のようだった。
公開制作で完成したドローイングは2000円以上の寄付金によって購入可能です。

今日はHITOTZUKIさんのライブペインティングもあり。明日10日はあいトリにも参加されたNibrollのダンスが15時半~16時まで開催されます。

・白金アートコンプレックス合同展覧会 「シャッフル」 4/30迄

詳細は別記事。特に良かったのは5階と2階のNANZUKA UNDERGROUND、ロンドンギャラリーの等伯の屏風は眼福で応挙もまずまず。
本堀雄二の段ボール製仏像が、本物のリアル仏像に負けず存在感をアピールしているのが、面白かった。やはり素材でなく、造形によるものなのだろうか。

・田口行弘展 「Pan! Pan! Pan!」 無人島プロダクション 5/14迄

現在、森美術館のMAMプロジェクトでも個展開催中の田口行弘による無人島での同時期開催の個展。
こちらも別記事。
大阪のパインブルックリンでの個展に似た会場作り。今日はオープニングで田口さんご本人とも久々にお話をちょっとだけ伺う。今日は人が大勢いたので、再訪してかなりたくさん映像があるので、じっくり観たい。おまけのような「SAKURA」の短編は気に入った。

利部志穂 「こい、来る う とき」 Art Center Ongoing

利部

吉祥寺のArt Center Ongoingで4月10日まで開催中の利部志穂「こい、来る う とき」に行って来ました。

利部志穂(かかぶ・しほ)は、2007年に多摩美術大学を修了後、個展やグループ展をはじめ、海外での展覧会へも精力的に参加する1981年生まれの女性アーティストです。

私が彼女の作品を初めて意識したのは、昨年10月に柏のisland:Actionで観た「脱臼」展だった。
1階の奥にある広いスペースをフルに使ったスケール感の大きな「もの」たちが、組み合わさって別の新しい形を創り出していた。「脱臼」展ではグループ展だったが、私はこの中で一利部さんの作品が強く印象に残り、ここで初めて利部志穂という作家を認識したのは間違いない。

その後、スパイラルで開催されたアートフェア「ULTRA」でも出品作家として参加され、こちらはさすがに小品だったが、利部さんらしい既存のどこにでもあるような様々な物を組み合わせた彫刻(と言って良いのだろう)を出展されていた。

残念ながら、今年開催された府中美術館での公開制作や、震災のため会期半ばで中止になった板橋区立美術館での「発信//板橋//2011 けしきをいきる]を拝見できなかったので、今回のOngoingでの個展は何としても観たかった。

Ongoingも初訪。吉祥寺駅から徒歩8分程度か。これまで無料で展覧会を観ることができていたようだが、今回の利部展から入場料(紅茶付)400円が必要。
それ程大きくない民家の1階がカフェスペース、2階が展示スペースになっている。

特に本展で気になったのは展覧会タイトル「こい、来る う とき」というタイトルだった。
何とも意味深で興味深い。ちょうど、私が行った時に利部さんご本人が在廊されていたので、お話を伺うことができた。タイトルにはかけ言葉のように幾つか意味がある。「恋(に)狂う時」「来い、来る、うとき」「恋(が)来る うとき」など。他にも考えれば展開できるかもしれない。

利部さんの創り出した2回の空間は実に不思議な世界に包まれていた。
モチーフのひとつになっているのは「幸福な王子」という物語。
この物語を利部本人が英語で朗読する音声が流れつつ、その一方で日常の利部の生活の一部?なのか携帯電話がなって会話を始める映像が最初に目と耳に飛び込んでくる。

天井からは5円玉を通した糸が数本張られていて、そうかと思えば、植木鉢がひっくり返っていたり、植物があったり。部屋の奥には森か林か緑の木々をメインにした映像がループで流れる。

その手前には銀色の円形の円盤がぶら下がり、映像の緑の光によって円盤が美しく反射する。その一瞬がたまらなく良かった。

また、今回は初めてスナップ写真を使用したインスタレーションとなっている点もポイント。
床に散らばったスナップ写真は、緑と青のどちらかが使用され、その色イメージがプラスチック下敷きを緑と青で並べる。
床に散らばった写真と言えば、花代さんの作品を思い出した。

中央には古ぼけたミシンがある。

着想を得たのは、「幸福な王子」だったのだろう。そこから、どんどんイメージを膨らませ、別の作品、それらの作品を使用した空間作品になっている。

また、作品は2階だけでなく、1階に作品やドローイングが数枚展示されているので、こちらもお見逃しなく。
また、明日には、イベントとして19時からライブ・パフォーマンスがある。
日曜10日は利部志穂による「Pre Ongoing school」もあり。

なお、この後4がt23日から5月22日まで@3331のアキマタビ21にて、利部本人によるキュレーションの展覧会「せいめいのれきし」が開催される。
利部さん本人だけでなく、先日横浜美術館ギャラリーで個展を開催した中谷ミチコも参加するのでこれまた楽しみです。

*4月10日(日)まで開催中。

西澤諭志展「ドキュメンタリーのハードコア」 サナギファインアーツ

4月16日まで茅場町のサナギファインアーツで開催中の西澤諭志展「ドキュメンタリーのハードコア」に行って来ました。
詳細はギャラリーの公式サイトをご参照ください。→ こちら

同ギャラリーには初訪問。
Twitter上での評判が良かったので、行ってみることにしました。

西澤諭志は1983年生まれ。同ギャラリーでの個展は2009年に続き2度目の開催となる。
作家プロフィールはこちら
また、作家のサイトに作品画像が掲載されています。→ http://d.hatena.ne.jp/areti/

運良く、ギャラリーに西澤さんが在郎されていたので、簡単にお話を伺うこともできました。

展覧会のDMに使用されている作品「大井町 倉庫 窓A」が一番最初に目に入ります。部屋の中から窓を通して外の風景を写した作品ですが、窓にはめられている格子がなぜかまっすぐではなく、微妙にずれて上に繋がっている。
これはなぜなんだろう?

答えは分割写真。数十枚の写真をPC上でデジタル処理して1枚の写真大版に仕上げているとのこと。
そうして見ていくと、明らかにズレが分かる写真と、うまくつないであって分割されたものを再構成したとは分かりにくい写真が混在しています。
分割写真と分かった時、鑑賞者は他の写真はどうなんだろうと懐疑的になります。
しかし、その時点で西澤さんの狙いに鑑賞者は見事に入り込んでしまっている。すなわち、彼は、日常的な風景を如何にして鑑賞者にじっくり足を止めて見てもらうかを考えて写真を制作している。

入口入って左側は窓を内側に取り込んでいる写真シリーズ、反対側の壁には、もう一つの狙いである触角を感じてもらいたいという写真が並ぶ。
こちらは、曇った窓ガラスや水滴、ふさふさしたフェルト状の靴など、思わず写真を触りたくなるようなモチーフを選んで撮影されている写真群。
どちらのシリーズも西澤さんご本人の部屋からの撮影とのこと。

旧作品のポートフォリオも置かれていたので、眺めて見ると、こちらは無機質な空間、日常生活をする空間の何気ない一部をクローズアップしたり、ポイントとなる一部のトリミングによって、普段観ているものが別のものに見えて来る、別の見え方をすることに気付いてもらいたい、という意図。

西澤さんの写真を拝見して、再び、写真というものの魅力や意味合い、そして表現主体が写真であることの意味について再び考えさせられた。もちろん、私の中に答えはまだ見つからない。見つからないからこそ、写真を観に行く。

*4月16日まで。
開廊時間:12時~18時までとありますが、私が到着したのは18時過ぎでしたが開いていました。
事前に電話されると良いかもしれません。1

「鹿島茂コレクション1 グランヴィル-19世紀フランス版画展」 練馬区美術館

granvil

練馬区美術館で4月10日(日)まで開催中の「鹿島茂コレクション1 グランヴィル-19世紀フランス版画展」に行って来ました。

当初、本展は4月3日(日)で終了予定でしたが、関東大震災の影響により休館があったため、会期を延長して再開となっています。

19世紀のフランス版画は大好きなので、本展も楽しみにしていましたが、どうもグランヴィルは私好みではありませんでした。
ドーミエと比較されることの多いグランヴィル、もともとドーミエもあまり好きな版画家ではなく、彼と比較されるグランヴィルはどうだろうと展覧会のチラシを観て期待し、今回初めてまとめて拝見しましたが、やっぱり…苦手。
どうも風刺画自体に魅力を感じないというのが理由かなと。
そうは言いつつ、グランヴィル作品の魅力は、個人的な好き嫌いは別として充分に理解できる展覧会、これだけの個人コレクションを所有する鹿島茂氏、しかもコレクションは他にも沢山ある!のですから驚きです。

前半の初期作品では、石版画、1832年頃より木口木版主体となりいずれの版画技法においても手彩色で作品を仕上げています。手彩色仕上げは19世紀のフランス版画では多く見られ、普及版になると手彩色ではなくなりますが、浮世絵で言うところの摺物のような、コレクター、時別顧客には手彩色対応していたのでしょう。
特に木口木版の緻密な画面を観ていると、グランヴィルが最後に正気を失ったというのも分かる気がします。

グランヴィルの風刺版画はドーミエとは異なり、動物や植物、虫、鳥などを戯人化しているのが特徴で、その点に関しては、ドーミエに比べ大いに魅力的。中には、愛らしいもの、面白いものが沢山あります。彼の作品が『不思議の国のアリス』の挿絵画家ジョン・テニエルにも影響を与えたそうですが、なるほど共通点があるように思いました。虫も動物もグランヴィルの擬人化は時にシニカル、時にユーモアに溢れ、観ているとついつい時間が経過するのを忘れます。・・・ってやっぱり、結構好きなのかも。

グランヴィルの不思議な空想世界は、シュルレアリスムとも関連付けられていますが、彼の場合、シュルレアリスムとは違い、作品背景に思想はなく、むしろ作家個人の空想世界に埋没したものが表出したように、私には見えました。それゆえ、余計に怖かった。

印象に残った作品は、彼の代表作とされる『もうひとつの世界』、『フロリアンの寓話』、『ル・マガザン・ビトレスク』。
グランヴィルが挿絵を手掛けた本は表紙の装丁も豪華で、特に本展では貴重な特装版が展示されているので、眼福でした。
19世紀のフランスでは、こうした豪華な装丁本が流布していたのでしょう。
この点も、日本の浮世絵との共通点があるように思いました。

なお、4月16日(土)~5月29日(日)まで、三鷹市美術ギャラリーにて「ドーミエとグランヴィル展~戯画と挿絵の黄金時代~」が開催されます。→ http://mitaka.jpn.org/ticket/110416g/
グランヴィル続きます!

*4月10日まで開催中。

「末永史尚展」-2009- See Saw gallery+cafe

末永
「絵画棟クロージング展 camaboco」(東京造形大学)展示風景 2010年

名古屋市瑞穂区蜜柑山町にあるSee Saw gallery+cafeで開催中の「末永史尚展」-2009-に行って来ました。

こちらは2年半程前にオープンしたとのことで、galleryにcafeを併設し、住宅をgalleryにしたような居心地の良い空間でした。
外観や内部はギャラリーのサイトでご覧いただけます。→ こちら
お友達のお家に遊びに行ったような感覚、東京で言えばnewtronが近い雰囲気ですが、あちらはギャラリー専門でカフェは併設されていません。

女性オーナーの方にお話を伺った所、「自分が欲しいなと思う作品の展示しかしません。」とのこと。
東京にもよく来られるとのことで、どういったギャラリーを回られるのですかとお尋ねしたら、国分寺のとswitch pointと吉祥寺のon goingだそうで、3年もいながら両方一度も行ったことのない私は恥ずかしくなりました。
今週必ず両方、初訪問するぞ!と決意を新たにした次第。

さて、末永史尚さんに関心を持ったきっかけは、twitterから。
プロフィールは作家さんご本人のサイトをご参照ください。→ こちら

呟きは毎日読ませていただいていましたが、肝心の作品を拝見したことがない。
ところが、名古屋で前期後期と2期に分けて、旧作・新作の展示をされると知り、早速前期に行って来ました。
*前期-2009-は4月9日(土)まで、後期-imitate-は4月12日(火)~5月14日(土)まで

今回は大小合わせて15点程度の作品が、自宅スペースのような空間に飾られていました。
ホワイトキューブや、コンクリート打ちぱなしのいかにもギャラリーといったスペースでないため、作品を観ていると、自分の家もしくは部屋に置いたらどうするだろう、どうなるだろうといった想像がしやすく、それだけで楽しめます。

末長さんの旧作はパズルのような絵画で、支持体自体もご自身で制作された木製パネル(中は空洞なので重くはない)を三角形にし、その上に水玉、大きい水玉も小さい水玉もあり、それを置き換えることで、今回は猫や木をイメージさせるような別の形を創り出す。
言わば、平面作品でありながら置き方を変えることで別のイメージ、造形を創り出すことに大きな魅力があります。

私の一番のお気に入りは、グリーンの下地に白の小さな水玉が沢山描かれていて、それが木の葉のように三角形が縦に並んでいる作品≪Tangram painting Ryu-Sui≫。
今回の個展のDMでは同作品は犬のような形に並んでいて、自由自在に遊べるのが本当に楽しい作品。

See Sawのオーナーが猫がお好きとのことで、白地に円を上下で2分割してそれぞれ別の色を塗っている作品を猫型にして壁面展示していましたが、これも白い塗り壁によく合っていました。

こんな作品に囲まれて、ケーキセット(500円!)やコーヒーやジンジャーエールなどいただきつつのんびりするのは、本当に贅沢。
しかも、器は多治見の知る人ぞ知る「ギャラリーももぐさ」のオーナー安藤雅信さんの白のデルフト焼き風のコーヒーカップにケーキ皿です。これを幸せと言わず何と言うか。
なお、カフェのテーブルや椅子も作家さんに特別にオーダーして作っていただいたもの。

お庭には立派な桜の木が一本あって、この日の名古屋はぽかぽか陽気。桜も7分咲きでした。

話題を作品に戻すと、最奥にも部屋がひとつあり、こちらにも作品が4点ありますのでお見逃しなく。

旧作は上記のようなパズル形式、小さな作品では≪あみだくじ≫が描かれたものがあり。若干気になったのは、ベースの色の塗りが粗いこと。ただ、これは敢えて粗く塗っているような気がしてなりません。
あみだくじはもう少し太い線でも良かったような。

中に1点だけ、後期につながる作品≪ロスコー≫があり、こちらも素敵だなと思っていたら、案の定売約済になっていました。これは、他のパズルのような作品とは異なり、通常のキャンバス?にロスコーの作品を小さくして横と縦に並べ1画面に再構成した作品。でも、見方によってはロスコー作品がトランプかカードみたいに見えて来る。

後期は「imitate」がテーマですから、ロスコー以外にどんな作家のimitateが観られるのか、楽しみです。

それにしても、名古屋にこんな素敵なギャラリーができたことは本当に嬉しい。
地下鉄名城線の総合リハビリセンター駅から徒歩3分と、交通も至便です。

近隣の方、遠方の方も名古屋に来られた際にはぜひ、足をお運びください。

2011年4月2日 名古屋・京都ギャラリー巡り

最近移動は専ら夜行バスだが、名古屋⇔東京間は3列シートのバスが少なく、今回は初の4列シートに。狭かった!しかし、安かった。今後バスにするかは検討課題にしよう。

今日は、名古屋と京都のギャラリー巡り珍しく美術館には行かずでした。そして忘れてならないのは、『西洋絵画のひみつ』朝日出版社刊の著者でもある藤原えりみさんによる「西洋絵画を視る②」講義を朝日カルチャーセンターで聴講したこと。今回も非常に充実かつ興味深い内容、そして作品例の数々に感銘を受ける。西洋絵画が以前より面白くなってきたことは間違いありません。

さて、以下ざっくりと訪問したギャラリーと感想です。

・OJUN展     ギャレリアフィナルテ   名古屋
点数は油彩と版画が半々程度、交互に並んでいた。初めて行ったギャラリーだが、結構広い空間でゆったりと眺める。DMに当初使用していた作品タイトルが「津波」だったため、急遽作品を変更されたとオーナーさんから伺う。作品数はやや少なめ。入口に小品の油彩あり。これはちょっと珍しかった。

・末永史尚  see  saw  gallery
twitterのアカウントが@kachifuさんの個展。私は初めて作品を拝見するので、旧作から新作両方観たかった。前期は旧作中心、後期は新作中心になるそう。
こちらは二年半前にオープンした普通のお家をcafeとgalleryにしたスペース。名古屋にこんな素敵なギャラリーができていたとは!嬉しい限り。
この展示は面白くて楽しめた。cafeの器は安藤雅信さんのやきもので。至福のひととき。詳細は別記事にします。

・安井仲治展    Taka  Ishii  gallery
名古屋から京都に土曜日に移動したのは、これを観るため。京都のギャラリーは日曜もOPENしている所は多いが、小山登美夫ギャラリーや児玉画廊などは東京と同じく日曜は休廊。
安井仲治は大好きな写真家の一人で、今回はモダンプリントながら30点たっぷり見せていただきました。

・増井淑乃 「グッバイヘイロー」 小山登美夫ギャラリー京都
猫が全ての作品に登場するのだが、これが妙に存在感を放っており、しかも表情が怖い。無数の曲線と点で描かれた背景は様々に同系色を使用しているが様々に表情を変える。水彩画とは分からなかった。むしろペン画のような細い線の連続。

しばらく行かないうちに、小山登美夫ギャラリー京都の1階はセラミック、やきもの作品を扱う専用スペースが作られていた。

・川崎優美 tayu-tau 立体ギャラリー射手座 既に終了
作品とアーティスト紹介はこちら

写真によるインスタレーション。京都造形大のデザイン映像?科を中退しイギリスへ留学。帰国後初めての個展。河原温の作品を思い出すような、1か月毎日ほぼ同じ時間に長時間露光で撮影した紙を印画紙に焼き付け、壁面に並べて展示。同じ紙なのに、日によって色が異なる。水色っぽいのがあれば、灰色っぽいのや、やや緑がかったもの、そこには日々の光や空気、湿度すべてが投影されている。

映像も1点。協力してくれた人々の両手を撮影した作品。もうひとつの壁面には大判の写真が。日常の中の非日常的な風景、もしくは彼女の目に留まったものが拡大されていた。

・梅田哲也個展『はじめは動いていた』4/24まで 京都 ART ZONE

これはめちゃめちゃ良かった。元々梅田哲也さん大好きなのだが、これまで観た中でも一番大掛かりかつ、動線まで考えてオリエンテーリング的な楽しさがある。
初日に行ったので、全ての作品が完成していなかった。24日まででなく会期延長してほしい。週末日曜にイベントがあるようなので、ART ZONEのブログやtwitterは要チェック。
とにかく、イチオシです。詳細別途。

今村遼佑展「・・・の向こう・その他」 GALLERY IND.

大阪上本町駅徒歩2分のGALLERY IND.で4月24日まで開催中の今村遼佑展「・・・の向こう・その他」に行ってきました。

先日京都のstudio90でも今村遼佑展を拝見したばかりですが、並行して開催される今回の個展はどうなるのか、興味津々。
そして、意外や意外。

今回は初めて写真を使用したインスタレーションが展開されていました。

本展タイトル「・・・の向こう・その他」の意味が、なるほどそういうことか、と展示を拝見して腑に落ちる面白さ。

今村さんは、次々に新しい展開、手法を取っていますが、一貫して、目には見えないもの、もしくは、日常生活ではすぐそこにあるのに気付かないものを作品を通じて、私たちに見せてくれる、感じ取ってもらおうとする姿勢が感じられます。資生堂ギャラリー、studio90、そして今回と3つの展覧会を通じて、私はそう感じました。

彼の写真の使い方は、木村由紀のインスタレーションを一瞬思い出させましたが、写真を見せることが主眼なのではなく、写真は空間全体を作家の意図するものにするための道具の一つでした。

土管の向こうに見える世界、実に様々なのですが、小さな穴から見える世界はいつもと違った世界。こんな見え方もあったんだな、と小さい頃に土管を覗いていた自分を思い出したり。

中央のテーブルには粘土で作られた灯台が。

壁のコンセントの先には同じく粘土で作られた街灯が。

時間によって、この空間は見え方が変わってくるはずです。
新しい今村さんの展示空間をぜひ、味わってみてください。

忘れかけていた何かが見つかりますように。

*4月24日まで開催中。

2011年4月1日 鑑賞記録

2011年4月1日の鑑賞記録です。

・行商   スパイラル
お目当ての作家さんが出展されるので、行ってみることにした。save tohoku の@heimaさんが主催されていたブースが私好みの作家さんが多く楽しめた。
lower akihabaraで、山口英紀さんの新作を拝見。今回は、モチーフのクローズアップ、彩色で支持体は紙本だったと思う。これまでとは違った新しい試みだが、成功している。
斉藤ちさとさんの写真、西澤さん、そしてもう1人名前を失念したが、三名の方の写真に足が止まる。

・レンブラント展    国立西洋美術館
平日の昼間だし空いているかと思いきや結構混んでいて焦る。版画作品中心の構成なので、必然的に列ができ並ぶ。これから先、土曜日曜はますます混雑しそう。
油彩も思ったより出展されていたので、この時期西洋美術の展覧会が観られただけでも有難い。ただし、版画は名古屋ボストン美術館で開催されたレンブラント版画展の方が出展数は多かったように思う。

・シュテーデル美術館所蔵フェルメール<地理学者>オランダ・フランドル絵画展   文化村ミュージアム
これは、大当たりだった。フェルメールの地理学者も、無論良いけれど、それ以外のフランドル絵画も粒揃い。静物画、肖像画、風景画とジャンル別に名画を堪能。

・ここではないどこかへ   文化村ギャラリー
グループ展。冒頭にあった青焼きのような廣瀬遙果さんの写真作品がとても良かった。後で、扱いギャラリーなど調べねば。

神楽坂アートコンプレックスへ

・橋爪 彩 イムラアートギャラリー
名前とDMを観た時には気付かなかったが、ギャラリーで赤い靴の作品群を観て、所沢の引込線で拝見した事のある作家さんだと思い出した。
今回の大作、油彩もさることながら、鉛筆画の妊婦の女性像も素晴らしく、技術の高さに目を見張る。

・小沢さかえ展    モリユウギャラリー
先日行ったばかりのVOCA展に入選されていた小沢さかえさんの個展。
いつもの小沢さんワールドの作品の中に、写実的な女性の顔の新作が2点。新しい試みとのことだが、表情までしっかり描かれている人物像は力強く魅力的だった。

・yuka comtemporary
笠井麻衣子さんの個展は既に終了していたが、明日チャリティーがあるとのことで、オーナーが在廊されていたので、笠井さんや安田悠さんの作品を観ることができた。このギャラリーは前々から行きたかったが、なかなか行けず漸く今日が初訪問。場所はフォーシーズンホテルの近くで川沿い。
これを機に足を運ぼう。なぜか、愛知県出身の作家さんを多く取り扱っていらっしゃる。


私には珍しくスーツにパンプスでの美術館・ギャラリー巡りで脚が痛くて泣きたくなった。パンプス厳禁。
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