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2010年3月22日 鑑賞記録

先週来からの疲れが取れず、漸く連休3日目にして遠出する気力が出て来たので、日延べしていた水戸へ出掛けました。という訳で、本日の鑑賞記録です。宮城県美の高山登展は諦めました。

JRのホリデーパスを買って、土浦駅で下車。駅レンタカーでまずは茨城県陶芸美術館を目指す。茨城県は、県立の4つの美術館共通の年間パスポート(1年間すべての展覧会に何度でも入場可能)年会費3000円!が格安で便利です。

1.「濱田庄司展」 茨城県陶芸美術館 注:本日(3/22)に終了しています。

hamada

濱田庄司の作品は、日本民藝館、大山崎山荘美術館他、様々な場所で見て来たが、制作年代順に約170点で初期から晩年までの作品を通覧できたことは大きい。
濱田庄司が川崎市生まれだということ、リーチとともにセント・アイヴスで工芸作家としての活動を開始した後、沖縄で作陶していたことは全く知らなかった。沖縄の古窯「壺屋」で伝統的な技法やかたちを学んだことで、トウモロコシをイメージした「黍文」や「赤絵」が生まれたのだ。

ことに「黍文」が初期から晩年に向けてどんどん変化し、より単純化されていく様子が分かる。また、学生時代の濱田は雑誌の挿絵を投稿したりと、陶芸家になる前の出発点となる貴重な資料の数々も展示されていた。
濱田が亡くなったのは1978年、まだほんの数十年前のこと。作陶風景の写真パネルなどにより、作品を見ているだけでは分からぬ、釉かけや絵付けの様子がよく分かった。彼の独特の流れるような紋様がいかにして生まれたのか、そして濱田の使用した6つの釉薬、もっとも興味深いのは塩釉など、実験的な釉への挑戦とこだわりを知った。
先日、川喜田半泥子の陶芸を堪能したばかりだが、濱田も半泥子にも共通していたのは、「土」に対する考え方である。濱田「一流の土で二流のやきものを作るより、二流の土で一流のやきものを作りたい」。この言葉が忘れられない。半泥子「どんな土でもやきものにできぬ土はない」にも通底するのではなかろうか。
また、晩年に楽焼に取り組み始めていたことも興味深い。2点だけ展示されていた濱田の楽焼は肌色っぽい、これまでの彼のやきものにはない表情をしていた。

展示構成、作品、資料、いずれも私の知らなかった濱田庄司を存分に見せてくれ強い感銘を受けた。

2.「アンソールからマグリットへ アントワープ王立美術館コレクション」 茨城県近代美術館 3月28日まで。

antwerp

展覧会HP http://www.modernart.museum.ibk.ed.jp/exhibition/kikaku/index.html

出品作品の多くが初公開というベルギー・アントワープ王立美術館の近代絵画を70点で展観するもの。
第1章 アカデミスム、外光主義、印象主義
第2章 象徴主義とプリミティヴィスム
第3章 ポスト・キュビスム:フランドル表現主義と抽象芸術
第4章 シュルレアリスム
以上4章構成で、ベルギー近代絵画を概観する。未知の作家が多数。ヴァレリウス・デ・サデレール≪フランドルの雪景色≫1928年が印象深い。
マグリットの日本初公開となる≪9月16日≫1956年は、思わず「う~ん」と唸りたくなるような1点。闇に浮かぶ1本の大木の中央上部に三日月が白く光る。ただそれだけなのに、何とも不可思議な非現実的な風景が成立している。背景となる黒い森、マグリット作品によく登場する岩の小さなものがいくつも草原に点在している。これら背景の描き込みの細かさにも注目。マグリットは他に2点あり。

デルヴォーは、強度のマザコンで女性恐怖症だったらしいが、本展出品作≪バラ色の蝶結び≫1937年は、彼の妄想が絵画化したようで不気味。全裸の女性たちの上半身にピンクの大きなリボンが蝶結びされている。デルヴォーに差し出された贈りものなのか?中に1人だけリボンがなく、頭から白い布をかぶっている女性がいて、彼女こそデルヴォーの母なのではと想像した。更に、全く趣の異なるデルヴォーの水彩画≪ウェステンデの海≫は秀逸。
この両極端な油彩と水彩を見ていると、デルヴォーと言う人の倒錯した精神状態を考えずにはいられない。

他にも私の好きなレオン・スピリアールト≪セルフポートレート≫1908年、≪砂丘の少女≫1904~1905などやアンソールの初期作品が出展されている。
*本展は、広島⇒島根⇒東京へと巡回します。

茨城近美は常設展示も見逃せない。
今期は、近代日本画の名品の数々(東近美か東博かと思うような大作!)が勢揃い。
・川端玉章 ≪早春晩秋山水≫ 明治40年
・横山大観 ≪朝顔日記≫ 明治33年頃 ⇒ これは本当に素晴らしい作品だった。
・下村観山 ≪竹林七賢図≫ 明治45年頃 六曲一双
・菱田春草 ≪帰漁≫ 明治37年 ⇒ 仲良く大観の作品の右隣に展示されていた。墨画の優品で初見。
・木村武山 ≪熊野≫ 明治35年 ⇒ 144×200の大画面で平家物語の一場面を描いた歴史画。
・小野竹喬 ≪武陵桃源≫ 大正7年 六曲一双 ⇒ 「小野竹喬展」に出品されていないのが不思議なくらいの名画。六曲一双屏風で雄大かつ幽玄な桃源郷の世界を描く。萌えるような桃?の花々の色と川の流れが忘れられない。

常設第2展示室では「人間像の表現」をテーマに所蔵作品を展示。厚みのある展示内容。

3.「親鸞-茨城滞在20年の軌跡-」 茨城県立歴史館 *本日で終了しています。

shinran

茨城行き決行の要因のひとつ。本展の評判を何かで読んで気になっていた。評判通りの茨城県を切り口に親鸞の軌跡を約100点でたどるという興味深いものだった。展示作品も、仏像から絵巻、経典に至るまで幅広く充実している。
特に、茨城県に残る≪聖徳太子絵伝≫上宮寺蔵、≪聖徳太子絵伝≫妙安寺、≪親鸞聖人絵伝≫願牛寺蔵などは状態も良く絵もしっかりとしていて見ごたえがあった。
そもそも親鸞が40歳~60歳までの20年間茨城県で布教活動をしていたとは、本願寺展にも行きながら全く知らなかった(記憶になかったが正しい?)。この20年間に親鸞の布教が残した足跡は非常に大きいことがよく分かる展示内容。解説も分かりやすい。難点は、毎回ここの特別展には作品リストが用意されていないこと。・・・と思ったら、帰宅後HPを見たら作品リストが掲載されていた。⇒ こちら
これからここに、行く時は作品リストを印刷して持参しよう。
図録は1000円とお値打ちなのに厚みもあり、お手頃な値段。

仏像では木造「阿弥陀三尊像」1307年のものが印象的。向かって左の菩薩の顔が個性的だった。

秋には、私の好きな立原杏所の展覧会が予定されている。これも見逃せない。

4.「リフレクション/映像が見せる“もうひとつの世界”」 水戸芸術館 5月9日まで

reflection

展覧会HP http://www.reflection-alternatives.jp/

聞きしに勝る内容。2時間強を予定していたが、やはり全作品を見ることはできず、日を改めて再訪する予定。1度全作品を見るなら4時間は必要だと思う。しかも、内容がかなり重かった。
今日は、さわひらきの新作、Chim↑Pom、八幡亜樹、マティアス・ヴェルカム&ミーシャ・ラインカウフらの作品を鑑賞。さわひらきの新作は、映像でついにここまでやったか!という驚きと感動がないまぜになり、連続2回も観てしまった。さわひらきさんのファンは必見です。

この展覧会については、全ての作品を見てから日を改めて別途アップしようと思います。今日は時間が足りずに見ることができなかったローラン・モンタロンの長編(1時間くらい)が気になります。

で、最後の締めくくりは、水戸から上野に出て本日最終日の「長谷川等伯展」(後期)へ。19時15分頃入館しましたが、待ち時間もなく、お客様もそれ程でもなくストレスなしで鑑賞できました。3度目の鑑賞となりましたが、これまでとは違って「山水図襖」に強く惹かれ、その前でかなりの時間を費やし、やっぱり好きな「善女龍王像」にしばしのお別れをしてきました。

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茨城県立近代美術館で「常設展」を観た!

「茨城県立近代美術館」設計:吉村順三 茨城県立近代美術館で「常設展」を観てきました。千波湖のほとりに建つこの美術館は昭和63年に開館、この建物の設計は吉村順三によるものです。玄関を入ると広いロビーには、いくつかの彫刻が展示されています。なかでも僕が

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No title

いいえ、とりあえず今は、ほぼ絵画オンリーです。
費用の関係で青春18を使ってますので時期も限定されます。
朝が弱いということもあって近美だけですね。

では、また。

ベンゼン様

今回のベルギーは仰る通り、渓仙展にでの感動には及びませんでした。
茨木は近代美術館だけ行かれたのでしょうか?

水戸芸術館の「リフレクション」展は映像好きなら面白いと思われるのですが
行かれたのでしょうか?

今年度の茨城近美は冬に開催される音の展覧会(恐らく現代アート)が気になっています。

No title

ごぶさたです。
最終日に行ってきました。溪仙に続き茨城は2度目です。
結果としては、前回の方が良かった。
何で目玉の9月16日のポストカードがないのかなあ。
ちょとひどいですよね。巡回する初台でも用意しないのかな。
常設の方は前回より良かった。
帰漁、いいですね。
春草は前回もいいのがありました。
にしても水戸駅、駅弁復活して欲しい。

では、また。

Minnet様

こんばんは。
コメント有難うございます。
電車は楽ですが、この日は運転も結構したのでそちらに
疲れてしまいました。

等伯展は3回見てもやっぱり良くて、行くたびに新しい作品の
魅力を感じることができました。
最終日のラスト45分前に入館しましたが、人波もなくスムースに
鑑賞できたのは本当に幸いです。
私は京博展にも行く予定なので、またレポしたいと思います。

No title

こんにちは。
さすがに守備範囲の広さでは、memeさんの右に出る者はいませんね。
水戸で美術館巡りをしてから上野への超高速移動は物理的に可能ですが、さぞかしお疲れになったと思います。
長谷川等伯展の最終日は比較的空いていたのでしょうか。
記憶に残る素晴らしい展覧会でした。
いつかまた「善女龍王像」と「愛宕権現像」を追いかけて、等伯の地元の石川県七尾美術館に行きたいと思っています。
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