スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

「東北芸術工科大学 卒業・修了展」 東京都美術館

touhoku

昨晩、最後のアップで突然サーバーエラーとなり記事が全て消えたのでフテ寝しました。
気を取り直して、再度東北芸術工科大学卒業・修了制作展の感想です。

東北芸術工科大学は山形県山形市にあり、東北地方で唯一の芸術大学とのこと。
そういったバックボーンは今回初めて知りましたが、工科大の学生さん、卒業生の方の作品はTWS本郷、INAXギャラリー銀座などで昨年あたりから見ていて記憶に残っていました。

今回は、2月に同大を会場とした卒業・修了制作展の中から選抜された作品を東京都美の2会場で東京展として展示しています。

まずは、2階の第二展示室:日本画・洋画・版画から。
特に日本画の作品は印象に残った作品は全てと言っても過言ではない。中でも格別これは!と思った作品は次の通りです。

・土井沙織 「サバキノトリ」(大学院)
冒頭に展示されていたのだが、何よりまず大画面(3680×5490)のド迫力と背景の赤色のインパクトに驚く。
こんなに力強い日本画って久しぶりに見た・・・。巨大な多頭鳥が中央にどっかりと黒く太い線で描かれていて、赤との対比効果は抜群。この時点で、「これは凄い」と鉛筆とメモを取り出す。

・針生卓治 「山月記」(大学院)
この作品は今回のマイベスト。2600×3640のこちらも大画面。そこに描かれているのは岩のような牛の左後方からの後ろ姿。
もう1頭は真っ黒な影のようで、顔も尻尾も描かれていないので、一見すると同じ牛だと分からないかもしれない。
この作品は山古志村の闘牛を見て描かれたそうで、本展終了後は山古志村の役場に展示されることが決まっているとのこと。
針生さん御本人にお話を伺ったところ、作品に「重さ」を出したかった。その結果が牛であって、重さを追求すると白いもの軽いものをモチーフには選ばない。
ギャラリートークをされていた同大日本画コース准教授の三瀬夏之介氏は、黒い方の牛に山の見立てを感じると解説されてされていた。

・鈴木尚武 「音信不通」
通常の日本画の見せ方とは異なり、床には穴開きコンクリート(側溝に使用するような)に無機質な街の風景を描き、壁面にはビルの側面と電線とこちらもありふれた日本の風景を描く。二つの見せ方で殺風景な構築物を描くが、よくよく見ると絵肌には白い線が幾筋も入り細かいでディテールの工夫もなされていることに感心した。とても、面白い作品だと思う。

・木村聡美 「生ける」
見せ方で言えば、木村聡美さんの作品も考えられている。支持体そのものを生け花の花のように見立てて通常であれば1枚のボードで一気に見せるところを敢えて、縦長のパネルに分け、その配置も考えている。
見せ方だけでなく、肝心の日本画も白をベースに青を取り合わせ、こちらも白線で様々な花が描かれているのが近づくと良く分かる。平面絵画ではあるが、立体インスタレーションとしても楽しめる。

・菊池 咲 「生きている」
動物作品の日本画。キャラが立っているという表現は相応しくないと思うけれど、動物たちのとらえ方が均一でなく、バラエティに富んでいるのが面白い。
特に私が好きなのはラクダ。離れた眼ととぼけた表情がたまらない。
両腕を組んだ猿、いやゴリラかのさびしげな表情も心惹かれるし、左上の熊が、「ぼくを連れてって」という顔でこちらを向いている。
この作品も支持体の大きさや形は様々で、パズルのように組み合わせてひとつの画面を作りだしていた。

・西山綾子 「あしたには」
派手さはないのだけれど、女の子(多分作家さん御本人?)の部屋を上から俯瞰した図。
カーペットになっている部分に砂が使われていて絵肌とそこからあらわれる表情が特徴。スリッパの脱ぎ散らかし方、水色のペディキュアを塗っている
さりげない日常が作品から感じられる。色のバランスもうまいし、カーペットの縁取りのサクランボ模様が愛らしい。

・柴野緑 「full」(大学院)
紙、糸、インク、クレヨン、ニスを材料とした日本画という枠には当てはまらない作品だと思う。射撃の的に使用するような人体の枠組にニスで古びた感じを出した?のか、茶褐色になっている部分もあり、人体に血液のように糸でステッチが入っている。3枚の人体像の下にはそれぞれ足袋や上着などの装束が紙で作られ畳まれている。
一見するとどうしても「死」を意識せざるを得ない。死に装束なのだろうか?それとも巡礼?様々に想像が膨らむ。

・海老名麻未 「Labyrinth」
文字通りラビリンスを巨大万華鏡のような立体と緻密かつカラフルな日本画で表現。装飾的な華やかさは展示作品中一番だったかもしれない。

<洋画>
・竹田奈那 「石橋」
ヨーロッパ宗教絵画の再現のような作品。油彩でなくミクストメディアとされているが、描きここみの細かさはすごい。今後どんな作品を制作されるのだろうか?

・鈴木邦之 [Untitled」
廃材を利用したオブジェ。絵画でなく彫刻作品だと思う。何を表現しているのか、いや具体的な何者かがなかったとしても彼の作品(これだけは地下3階彫塑室に展示)
は異彩を放っていた。

<版画>
・斎藤絢 「お誕生日おめでとうというお葬式」
タイトルのお葬式にふさわしくないほどデコラティブな立体人形。大きさが作家本人とほぼ同じくらい。御本人によれば「自分の支配下における程度の大きさを選んだ」のだとか。5体とも全て違う作り込み。ニットあり、カラフルな小さな玉をくっつけたものあり見ていてとても楽しい。l
なぜ「お葬式」なのかをお聞きしたら、立体人形と私はコミュニケーションできない。死んだ人ともコミュニケーションできない。だから、お葬式というタイトルにしたと答えが返ってきた。
今は何でも作りたいし描きたいという気持ちが作品にあふれている。

地下3階
ここでは、工芸作品(陶芸、漆芸、金工)が特に私の好みだった。

・菊池麦彦 「LURE BAG」 漆芸
漆でできたカラフルなルアー。私にはウミウシのように見えた。この技術があれば、ルアーでなく他のものに転用しても美しく現代的な漆芸作品が見られるのは間違いないと思う。

・鈴木祥太 「凛」 金工
野にある植物やツバキを金工で表現。さりげなくはかない「野菊」や「山ブドウ」は素敵だった。御本人によれば、金工で植物を制作したのは卒業制作が初めてとのこと。ハイジュエリーが好きで金工を学び、今後もジュエリーや今回のような彫刻とバランス良く制作していきたいとお話して下さった。

・星野友里 「いつかいつもきょうも」 陶芸 大学院
展示されていたプレートセットが欲しい。あんなに愛らしいプレートで食事できたら毎日楽しくなりそう。梯子が付いているのはなぜだろう。

・高橋幸子 「いとなむ」
羊毛で椅子を覆った造形作品。連続性と羊毛の切れなさのイメージが重複する。もこもことした素材を活かした大胆な作品。

・及川裕介 「神威」 彫刻
彼の木彫は、操り人形のように細かいパーツに分かれており、今にも動き出しそうだった。落武者風な形態が印象的。

ざっとこれだけ挙げてみたが、ここに記載しきれなかった作品にも素晴らしいものが多かったです。
教授陣のご指導もさることながら、学生さんが自分の作りたいものを明確に企図していて、作りたくて描きたくてという気持ちが作品から鑑賞者にストレートに伝わって来ます。

必ず「あっ」と驚くような作品、「これ、欲しい!」と思う作品に出会える筈。
ぜひ、お出掛けください。

なお、4月5日(月)~10日(土)までアートスペース羅針盤で「東北画は可能か?其の一」が開催されます。
上記でご紹介した作家の作品も展示されます。4月10日にはトークイベントもあり。
アートスペース羅針盤:中央区京橋3-5-3 京栄ビル2F
詳細は、三瀬夏之介さんのブログにて。http://blog.natsunosuke.com/?day=20100324

*4月3日(土)まで開催中です。

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

「東北芸術工科大学卒業・修了展(東京展)」 東京都美術館

東京都美術館(台東区上野公園8-36) 「東北芸術工科大学卒業・修了展(東京展)」 東北芸術工科大学の本年度の卒業・終了制作から選抜された作品を一同に紹介します。東京都美術館で開催中の「東北芸術工科大学卒業・修了展(東京展)」へ行ってきました。 私自身、

コメントの投稿

非公開コメント

はろるど様

こちらこそ、有難うございました。
本当に見ごたえがありましたね。
羅針盤での展示が楽しみです。

No title

先日はありがとうございました。これまでこうした卒展で日本画が印象に残らなかっただけに、今回の東北芸工大のは目から鱗でした。これからも見ていきたい方も多いですよね。

羅針盤も楽しみです!
カレンダー
05 | 2017/06 | 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -
ブログ内検索
twitter
最近のエントリ
カテゴリー
最近のコメント
最近のトラックバック
天気予報

-天気予報コム- -FC2-
カウンター
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。