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「生誕120年 小野竹喬展」 東京国立近代美術館

ono

東京国立近代美術館で開催中の「生誕120年 小野竹喬展」(前期)に行って来ました。
展覧会HP ⇒ http://www.momat.go.jp/Honkan/ono_chikkyo/index.html#advice
訪れたのは、会期早々の3月7日。にも関わらず、思ったよりお客様の出足が良く人気作家なのだと実感した。
本展は、1999年におこなわれた生誕110年・没後20年記念展以来、10年ぶりとなる大回顧展でにふさわしく本画119点、
スケッチ52点と出品数は過去最大になっている。

展覧会の構成は次の通り。
第1章 写実表現と日本画の問題
特集展示Ⅰ 竹喬の渡欧
第2章 自然と私との素直な対話
特集展示Ⅱ 奥の細道句抄絵

小野竹喬は、竹内栖鳳に明治36年に入門。その後、土田麦僊らとともに明治42年に京都市立絵画専門学校に入学し、大正7年に
麦遷、村上華岳らと国画創作協会を設立する。

雑駁に感想を書いてしまえば、本展で私がもっとも興味深かったのは初期の作品から、竹喬スタイルの確立に至るまでの変遷であった。
往々にして、作家独自の作品スタイルを確立するまでの過程は、分野を問わずどの作家においても興味深いものがある。
中でも、今回の竹喬は1939年を境に、突然と言って良いほど表現方法が変わってしまう。
「南画風の表現から新しい画風は、色の面によって対象を把握し、かつ日本画の素材を素直に活かそうとするものだった。
この時期、竹喬は大和絵の表現を手本とし、線も色も古い大和絵に学ぼうとした。」~美術館HPより。

そして、学習の成果により対象の単純化、カラリストと呼ばれるほど温雅な色彩を特徴とした作風を創り上げる。

<第1章で印象に残った作品>

・「野之道」1906年 
・「故郷の春」 1909年頃 大きく余白を左に取り、余白を活かした画面構成。
・「郷土風景」1916年頃  手前の樹木の細い幹が特徴的。以後、竹喬の描く樹木の幹は往々にして細くひょろ長い幹をしている。
セザンヌの影響を受けているとされている作品だが、なるほどひょろひょろした幹の感じはセザンヌに似ている。
・「波切村」1918年頃 日本画なのに油彩画のようだった。
・「冬日帖」1928年 画面を見ていると音が聞こえてくるような作品。
・「風浪」 1930年 スケッチがそのまま大画面になったような作品。

<第2章で印象に残った作品> ここからは自己のスタイルを確立して以後の作品が並ぶ。ずっと見ているとほっこり暖かい気持ちがしてくるから不思議だ。
・「仲秋の月」 1947年 描線のない形態の把握が面白い。
・「奥入瀬の渓流」1951年 渓流が鑑賞者に向かって流れて来るようなやまと絵風の明るい画面。
・「深雪」 1955年
・「海」 1971年
・「宿雪」 1966年 
この作品が忘れられない。筍のような樹木の下にある根雪の表現。相変わらずひょろっと細い樹木の描き方。
対象はシンプルになっているが、色彩も雪以外はアクセントになる色を使用している。ポスターになっても不思議ではない。
・「夕茜」 作品を見て和歌を思い出す。なんという情緒あふれる絵画だろう。
・「鴨川夜景」 1973年
風景画の多い竹喬にしては珍しく、人物が入った作品。
          
そして最後の最後で本展の目玉作品となる「奥の細道句抄絵」シリーズ。
竹喬の晩年の代表作として知られ10点全部が展示されているのも見逃せない。
心中の風景を頭の中で構図と色調を組み立て描く。竹喬のスタイル確立後の作品は、みなどこか大らかで(これは形態の単純化によるものだが)、
ともすれば、どの作品も似たような印象しか生まれず、やや飽きが出てくるが、「宿雪」で背中がしゃきんと伸びた。
私がイメージする竹喬の色は水色や青、緑といったベースに茜色を効果的に使用する。

特集展示1は、ヨーロッパ各地に出かけた際のスケッチ、これは土田麦遷の作品と並んで展示されていたので、両者の比較ができて面白い試み。
個人的にはスケッチに関して言えば、竹喬の方がうまいと思った。

特集展示2では、奥の細道に旅した際のスケッチ。この中では「紅花Ⅱ」が一番気に入った。

なお、本展に合わせて、近代美術館常設展、特集で「水浴考」、須田国太郎特集も拝見した。中でも「水浴考」はここ最近気に入っている近代美術館独自の
所蔵作品によるテーマ展示。今回は遠藤利克、塩田千春、新海竹太郎の「ゆあみ」など、展示作品の選択が面白い。

「小野竹喬展」後期展示も行けるだろうか?気持ちを落ち着かせたい時、安らぎを感じたい時に竹喬の作品は非常に効果的だと思った。

*前期展示は修了しています。現在は後期展示中。4月11日まで。会期末間際は混雑しそうです。

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とら様

こんばんは。
竹喬の作品は、見ているとほのぼのとした気持ちになってきますね。

後期展示は私も行こうか迷っています。
そろそろ暖かくなりそうですが、雨も降ってきそうです。

No title

こんにちは
画風の変化がはっきりとわかる良い展覧会でした。
>気持ちを落ち着かせたい時、安らぎを感じたい時に<
ということで後期にも行こうかと思っていたのですが、
あまりの花冷えで出足をくじかれています。
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