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「歌川国芳-奇と笑いの木版画」 府中市美術館

kuniyoshi

府中市美術館で開催中の「歌川国芳-奇と笑いの木版画」展に行って来ました。
企画展HP(画像掲載あり) ⇒ http://www.city.fuchu.tokyo.jp/art/kikakuten/kikakuitiran/kuniyoshi/index.html

朝一番で府中に向かったのですが、府中駅からの「ちゅうバス」で府中市美術館長の井出氏が同乗されて、なぜか嬉しくなりました。それにしても「ちゅうバス」30分に1本をせめて20分に1本へ増便していただけると嬉しいのですが。

さて、府中市美術館での国芳展、本展では前期後期とほぼ総入れ替えで約230点が展示されます。
ちょうど、ロンドンのロイヤルアカデミーで国芳展の次回開催案内(昨年春にKUNIYOSHI展が開催された)を横目で見つつ、ロンドンでも国芳は人気なのか!と思った記憶が蘇ります。このロイヤル・アカデミ-での「KUNIYOSHI」展は、3月12日~6月13日までJAPAN SOCiETYで開催中です。詳細はこちら

府中市美術館ニュースによれば、欧米開催の「KUNIYOSHI」展は武者絵が中心らしいのですが、府中市美での国芳展は、武者絵に限らず、国芳の魅力を余すところなく漏れなく全て教えてくれました。

私が感じた府中市美の「歌川国芳」展の魅力をいくつかあげてみます。

1.冒頭の展示方法が絵草紙屋風。疑似江戸体験できる。
展覧会に入って最初のコーナーは、とても重要です。ここで、一気に気持ちが鷲掴みされると、次への期待が高まるのは言うまでもありません。そして、この点を府中市美は見事な展示方法で誰もを魅了してくれました。具体的には黒い台に5点程の浮世絵がまるで売り物のように置かれているのです。江戸時代にもこのような平台を使い、絵草紙屋は浮世絵を並べていたに違いありません。
お気に入りの役者のものを買おうか、ちょっと季節を感じる、今なら桜の風景画を買おうか、やっぱり色っぽい美人画だよ~などと江戸っ子たちの会話まで浮かんできます。

2.出展作品の摺、発色ともに非常に状態が良い。
浮世絵で発色や摺の良さは大変重要です。今回展示されていた作品はほぼ全て、非常に状態が良かった。特に≪魚の心≫、≪本朝武者鏡 がま仙人 天竺徳兵衛≫の雲母は良く残って、画面がキラキラしていました。

3.普段みかけない珍品も多数。
世界に数枚という作品があったかまでは確認していませんが、国芳の作品はあちこちで何度も何度も観ていますが、それでも観たことがないという作品が沢山あります。浮世絵というのは、どの作家もですが、無尽蔵のようで観ても観ても知らない作品が出てきて奥深い。本展出展作は全て、1人の個人コレクター所蔵品二千数百点から選びぬいた作品。前記の状態の良さは個人コレクター愛蔵品だったことも大きな理由だろう。

展示構成は、図録によれば大きく以下の3つ
1.国芳画業の変遷
2.国芳の筆を楽しむ
3.もうひとつの真骨頂
となっているが、実際はもう少し細かく分けられ、最後に戯画で終わっています。

中盤の大きな見どころは、何といっても国芳の肉筆画です。
前期は6点の肉筆画が出展されていましたが、≪太夫道中之図≫、≪立美人図≫、≪静御前図≫など美人画はともかくとして、≪水を呑む大蛇図≫には度肝をぬかれました。紙本墨画淡彩、基本は水墨作品で、国芳はこんな墨画も描いていたのかという驚きがひとつ、もうひとつは画面中央に最初は亀かと見まごうような恐ろしい生きものがぬらりと布を咥えているとしか思えませんでした。
しかし、タイトルを見れば、布ではなく水を飲む大蛇だったということで、上手いのか下手なのかよく分かりませんが、驚くような描写だったことは間違いありません。

3枚続きの武者絵も大きな国芳の魅力ですが、個人的には、最後の「奇と笑いと猫の画家」での作品が一番国芳らしいと思います。
国芳ほど、ユーモア溢れる作品と奇抜な発想を浮世絵に取り入れた画家はいないでしょう。
何しろ、私の浮世絵事始めは国芳の≪人かたまって人になる≫≪みかけハコハゐがとんだいい人だ≫≪猫の当字 たこ≫これが見たくて浮世絵展があれば行っていた程。

はじめて国芳の人間パズル絵を見た時の驚きと言ったら・・・。江戸時代にこんなことを考える人がいた!
その後、NHK番組「歌川国芳」で、実際にこの人で人の顔を作ることができるのかを再現していましたが、無理をすれば何とか人の顔に見えなくもない。
もしや弟子達にやらせていたのでしょうか?それとも、国芳先生の頭の中で創り上げられた?

そして、猫好きな国芳は猫を描いた作品が沢山あります。本展覧会のチケットにも登場するにゃんこは何とも愛らしい。猫や動物を擬人化するのも得意技です。

もうひとつ忘れてならないのが国芳の幕府への反骨精神。
天保の改革による締め付けに抵抗するかのように、役人や将軍を皮肉る風刺画を描くあたりが、やはり江戸っ子気質なのでしょう。

前後期を通じて展示される「むだ書」を3種類一度に見られる機会もなかなかありません。
比較するとどれも、それぞれ個性的で楽しいですが、タイポグラフィーの走りのような文字ロゴの面白さは特筆ものです。
タイポグラフィーの日本の元祖は国芳ではないのかと思ってしまいました。

お楽しみは展覧会を出た後にも続きます。

会場を出ると、私も苦手な浮世絵の旧かなづかい、江戸時代の文字の読み方を大きくパネルで解説してあり、これがとても分かりやすかった。クイズ形式になっていて、誰もが思わず考えてしまうはず。
これだけ丁寧に解説パネルを用意してくれた展覧会は過去に一度も経験したことがありません。
また、図録やポストカードを売っているコーナーも絵草紙屋風になっていて、徹頭徹尾江戸時代を感じさせる工夫で一杯でした。

この内容で入館料600円は本当にお値打ちです。
展覧会パンフレットは3つ折りの豪華版。このパンフレットも永久保存決定でしょう。
図録(2300円)は、図版は小さいですが、作品解説はぎっしり。文字と図版の量が1対2くらいで、読み物として内容が充実しています。

*前期展示は4月18日まで。後期展示は4月20日~5月9日まで。お見逃しなく!

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