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「藤本能道 命の残照のなかで」 菊池寛実記念 智美術館

hujimoto

菊池寛実記念 智美術館で4月18日まで開催中の「藤本能道 命の残照のなかで」に行って来ました。
展覧会HP ⇒ こちら

本展は、藤本能道と美術館オーナーである菊池智氏との深いご縁がもとで実現した展覧会。菊池智氏は、藤本の晩年作品を展示するに相応しい空間を求めて、美術館展示室を一新。建築時に依頼していたアメリカ人デザイナー・リチャード・モリナロリ氏に依頼した。

今回は、藤本最晩年作品群(「陶火窯焔(とうかようえん)」展出品作品)が16年ぶりに公開されるとともに、1976年に菊池家への昭和天皇行幸用にオーダーしたディナーセット「幻の食器」も展示されている。

藤本能道(ふじもと・よしみち)は、1986年に人間国宝に認定された陶芸家で、過去に東近美工芸館と先月訪問した茨城県陶芸美術館常設展で作品を拝見したことがある程度。藤本能道のプロフィール詳細はこちら
故におよその作風は知っていたけれど、本展での展示は空間と展示方法全てが藤本作品のために設えてあり、作品そのものの素晴らしさが一層輝きを増していた。こんな支持者を得ることができた作家は本当に幸せだと思う。

まず、前半は生を謳歌している頃の作品。
前半部の作品で使用されている色絵の色彩は、緑や白、黄色、水色、茶といった自然を感じる爽やかな色彩が多く、モチーフもほとんどが鳥。鷺、鴨、翡翠、鶉、雀などが度々ポーズを変えて出てくる。作品は大筥がメインだが、六角筥、四角筥、八角筥や四隅をカットした四角隅切筥など、形の差異も楽しめる。

しかし、何より見どころはその色絵であろう。
制作過程は分からないが、色絵部分の下絵だけでも十分作品になるだろうという美しさ。ことに≪草白釉釉描色絵金彩蓮池白鷺図四角大筥≫1990年にはじまる草白釉シリーズはストーリー性さえ感じた。この美しさを醸し出しているのは色絵のみならず下地になっている草白釉や雪白釉などの釉肌であることも重要だろう。

後半は命の残照の中で力の限りを尽くした作品。
前半の爽やかで生命の息吹や命の動きを感じた鳥たちの作品が、燃え尽きる前の炎のように、炎の赤を主体とした作品群に変貌する。モチーフも、鳥から蝶や蛾へと変わる。

会場最奥中心にある≪雪白釉釉描色絵金彩陶火窯焔に舞ふ陶額≫1991年は、誰もが速水御舟の≪炎舞≫を思い出さずには
いられないだろう。
天才は常に炎に舞う蝶や蛾にわが身を映しこむのだろうか。
後半部の作品制作年代は1990年、1991年。この炎のような赤のシリーズを制作し、最期まで制作への情熱を捨てることの
なかった藤本も1992年5月16日に病で亡くなる。

そして、次のコーナーへ移ると川上から川下へ水が流れるようなしつらえが施され、そこに「幻の食器群」がずらりと展示されている。この展示方法はあまりに斬新で驚いた。
鑑賞者の立ち位置からは他とは違い、作品から距離があるので色絵の細かい部分を肉眼視するのは難しいが、そこは横にある解説パネルが補ってくれる。
このテーブルウェア制作を契機に、色絵技法が完成したという。

これだけ素晴らしい藤本作品を見せられるとどうしたって、初期の作品から晩年の作品までの制作変遷や過程を知りたくなる。
この続きを東京近代美術館、茨城県陶芸美術館、学長を勤めていた東京芸術大学美術館あたりで大回顧展を開催いただけないものだろうか。

智美術館までの凝った展示方法は取り得ないだろうが、作品をもっと拝見したい。

*4月18日(日)まで開催中。おすすめします。

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すぴか様

こんばんは。

> 「陶火窯焔」展をご存知だったのですね、

⇒ いえいえ、「陶火窯焔」展のことは解説パネルに書かれていたので
  知っただけで拝見はしておりません。
  ただ、文中に書いた通り、作品は数回ごくわずかですが拝見していました。
  あれだけの空間、ひとつ間違えると過剰ともいえる空間デザインですが
  作品がそれに負けていないことが素晴らしいです。

  回顧展が待ち遠しいですね。

No title

こんにちは。
「藤本能道 命の残照のなかで」 もうびっくりしました。
螺旋階段を降りると、そこは別世界。美術館自体があんなふうになっているとは。
「陶火窯焔」展をご存知だったのですね、私は全然知らなかったものですから,なおさら、もう感激の連続でした。
ほんとにどこかで大回顧展やってくれないかなあと思っています。
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