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「きょう・せい」 京都市立芸術大学ギャラリー @KCUA

kyousei
京都市立芸術大学が4月2日に堀川御池に新たにギャラリーをオープンしました。
地下鉄東西線「二条城駅」徒歩1分、市バス「堀川御池」バス停下車すぐという好立地にギャラリーとは「さすが京芸」とつくづく感心する。
ギャラリーというより美術館と言っても良いほどの広さがあり驚く。本展で使用されているのは@KCUA1と@KCUA2だが、更にギャラリーA・B・Cの3つの展示スペースを用している。
同建物平面図やギャラリー情報等はこちら

ただし、内部の照明、壁など建物は味気なくそっけない。
京芸の新築建物なら、このあたりはもう少し個性的な空間でも良かったのではと思うが、どんな展示物でも合わせやすいとされる白壁の無機的空間。

こけらおとしとなる企画展は1階・2階の空間を使用して京芸の卒業生・修了生を中心としたグループ展「きょう・せい」が第1期・第2期とに分けて開催される。
本展チラシによれば、タイトルの「きょう・せい」は共に生きる/共に棲む/京に生きる/京に棲むといった複数の意味をはらんでいるのだけれど、本展に潜むもう一つのテーマは
第1期企画担当の青木加苗氏による「柔らかく生きる」という解説を一読されることをお薦めしたい。
特にポイントとなるのは青木氏が出展作家たちに課した「作家自身のテーマ性を直接的には示さず封印すること」だと思う。個々の作家がもつ作家性を封印することによって
何が見えるのか、この試みが作家自身も気づかなかった制作のヒントにつながったり、本質的な問題意識に目を向ける機会になるのではないかと同氏は述べています。
他の作家の制作をヒントとして自分の中に取り込んで行ったり、展示方法を共同で考えたりするようにとグループ展ならではの試みも行っていることにも注目しつつ展示を鑑賞していくと
非常に楽しい時間を得られる。

まずは第1期出展作家は以下13名。
Antenna、石塚源太、上田順平、岡本高幸、苅谷昌江、川野美帆、貴志真生也、田中英行、谷澤紗和子、宮永亮、矢津吉隆、若木くるみ、山下耕平(あいうえお順)

会場に入るとすぐに混沌とした世界が待っていた。
苅谷昌江≪Space Oddity_wave≫2009年に象徴されるような世界観、私には都会のいや京都のジャングルのように見えた。
特に1階の混沌ぶりはすさまじく、展示作品名・作家名と作品配置図を受付でいただいたものの、どれがどれだけ分からない状態。
谷澤沙和子の付け爪やぬいぐるみを使用した立体作品や上田順平≪ツカイノモノ≫2006年、田中英行≪Coming≫≪牛(大)≫、あちこちに小さな画面で流されている宮永亮≪地の灯について≫2010年くらいはそれと判断できるが
他の作品はどれがどの作家のものなのか分からない。


監視員の方に教えていただこうと尋ねてみると、どうもやたらとお詳しい。もしやと思ったら、出展作家の谷澤沙和子さんであった。
谷澤さんその節は本当にありがとうございました(この場を借りてお礼申し上げます。)

谷澤さんによれば、会場作りは出展作家達で相談して決めたが、釘を打ってはいけないなど会場展示での制約が多くなかなか面白い空間を生み出すのに苦労した。
結果的に、Antennaによる屋台を模した≪フクヤタイ≫2010年、≪ソソギモン≫2010年、≪ウラガワ≫2010年、貴志真生也≪ヌル≫2010年などの大きな核となる立体を先に制作し、あとを埋めて行くような展示になっていった。

驚くのは最奥にある苅谷昌江の≪Window's Shadow≫2010年で、この立体インスタレーションは冒頭に展示されている≪Space Oddity_wave≫をそのまま立体にイメージ化した作品とのことで、
説明を伺わなければインスタレーションが苅谷さん制作とは思いつかなかったと思う。

この逆の現象が2階の展示スペースにあり、個人的には2階の展示スペースはとても気に入った。
手前にある金箔張りの大画面絵画は何と谷澤さんの≪HUG≫2008年。私は谷澤さんの作品を知ったのがごく最近、京都オープンスタジオとMA2ギャラリーでの展覧会のみなので、これだけ大きな
平面を手掛けておられることを知らなかった。
この絵画の向かいにあるのが、宮永亮≪地の灯について≫で今度は壁面を目いっぱい使った大画面での展示。更にその手前には矢津吉隆の≪The Corona≫シリーズ4点(white、blue、redの3点と大型Corona)。
そして、もうひとつ矢津作品の中央あたりに位置していたのが岡本高幸≪Xマン solar≫2010年。光に反応して音声が出るというメディア系(?)電気的人体オブジェ。
これらが同時に点灯し稼働し始めた時には、本当にワクワクして一気に気分が高揚した。

また、この室内には同じくメタリックな雰囲気をもつ石塚源太の針など使った現代漆平面作品が華を添えている。

私が訪問した際、ご年配の女性が二人2階にいらっしゃって、お二人は石塚作品に大感激しておられた。更に、この2階でも熱心に解説して下さる監視員の方がおられ、この方も
作家の貴志真生也氏であった。

2階の通路には川野美帆≪ハマグリはウサギにささやくの。順番が大事なの。ハマグリは彼女に微笑んだの≫2010年の長い染色作品が川のように流れていた。
よくよく見るとこの布には沢山の吹き出し、セリフが書かれていて、全て読んでいたらこれだけで1時間はかかるのではないかと思われる。

1階と2階の吹き抜け空間には若木くるみの版画作品とオブジェ≪版木と木屑≫がぶら下がっている。若木の≪ユジノサハリンスク≫と宮永亮≪地の灯について≫の一場面が似ているということで、
展示では版画作品に宮永の映像を重ねて見せる工夫があり、これも本展ならではの発想で面白い。実際、重ねてみると本当によく似ている。
若木くるみさんは、2008年川崎の岡本太郎現代芸術賞展で大賞の「岡本太郎賞」を受賞されているが、受賞作品は彼女自身の頭部を利用したパフォーマンス的な作品であったため、実は版画作家さんだったと
今回初めて知った次第。だから、ギャラリーjinで個展開催なのかと納得した。

最後に2階から1階へと続く階段の壁に山下耕平≪Through the Looking-Glass,and What Alice Found There≫シリーズ2010年が全部で30点展示されている。ガラスにペイントした作品なのだが、
過去に私が見たINAXギャラリーと修了制作展にガラスにペイントした作品ってあっただろうか?少なくとも山下耕平は、ずっと「山」「登山」をテーマにした作品というイメージが強いため、
今回のファンタジー系、寓話的なテーマは非常に新鮮で、今後もこのテーマで作品制作にあたられるのだろうかと気になる。

思った以上に鑑賞に時間を要したので、この企画展は再訪したいところだが、4月25日(日)までとなると厳しそう。
2009年岡本太郎芸術賞展で好印象だった矢津吉隆と昨年の「ULTRA2」で知った石塚源太の新作をちゃんと見切れなかったのが心残り。

たとえ完成されていなくてもカオスならではの魅力と企画担当の青木加苗氏の意図はしっかりと見る側に伝わってきた。

なお、館内のギャラリA・B・Cでは「美工創立130周年記念展」が同時に開催されています。村上華岳、堂本印象、福田平八郎、甲斐荘楠音はじめ日本画、洋画、版画、彫刻、漆芸、陶芸、染織の各分野の卒業生作品を展観しています。

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