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「レゾナンス共鳴」 サントリーミュージアム天保山

resonance

サントリーミュージアム天保山で6/20まで開催中の「RESONANCE 共鳴」展に行って来ました。
展覧会HP → こちら。(展示風景、作品画像一部あります。)

同館2回目となる現代アートの展覧会。1回目と同様グループ展形式の展覧会ですが、コンセプトは1回目と大きく異なります。本展の企画・構成を担当された大島氏の企画意図、構成は次の通り。

「本展は、鑑賞者が個々の作品から受けるであろう体験を事前にいろいろ想定し、会場内を歩きながら作品と次々と出会うことによって展覧会でどのような体験や思いを得ていくことになるかを逆算して全体を構成してみた。いわば鑑賞経験第一主義と言って良い方式。『レゾナンス共鳴』とは作品それぞれが伝える内容ではなく、私たちと作品との関係のあり方を示す」 
「鑑賞経験第一主義」は、通常の展覧会構成-まず知識の枠組みを作り、情報を整理しながら展覧会のセクションを設定し、最終的にそのセクションを組み合わせて展覧会を構成する-に比べると感覚的かもしれない。

~展覧会ハンドブック(図録にあたる)より

展覧会を拝見した後、この解説に目を通した時、腑に落ちるものを感じた。何パターンもの作品組み合わせや構成をシュミレーションしつつ観賞者の体験を想定して行ったからこそ、感動が味わえたのではないか。

大島氏へのインタビュー記事も「小吹隆文 アートのこぶ〆」に掲載されており、本展鑑賞の手引きになります(以下)。
http://blog.livedoor.jp/artkobujime/archives/1327034.html

何しろ、冒頭のイケムラレイコの展示方法にまず、どきりとした。
照明をかなり絞った一角にイケムラレイコの海なのか湖なのか風景画が浮かび上がる。心の中に徐々に浸食してくるかのような風景画で、じわじわと気持ちが締め付けられ、でも絵の前からなかなか離れがたく、しばらくの間暗さとイケムラ作品と不思議な対話を繰り返すことになった。

次にお馴染マルレーネ・デュマスのペインティング数点。
3番目にポール・マッカーシーのややショッキングな映像がある。幼児虐待、エロス的な側面が隠された内容で、見ていると辛くなった。

4番目はインド生まれでロンドン在住のラキブ・ショウ。本展で初めて知った作家だが、アクリル・ラメ、エナメル、模造ダイヤを使用した≪神の不在?・・・そして彼の血の涙によって民の町々は洪水となろう≫2008年は、宗教的な祭壇画のようなきらびやかさんがある一方、描かれたものは阿鼻叫喚の地獄絵図。細密緻密な線とカラフルかつ装飾的な画面は一見すると美しい。昔は仏画もこんなに絢爛出会ったに違いない。現代の宗教絵画で強い印象が残った。

更に衝撃作品が続く。小谷元彦≪SP4 the specter-What wonders around in every mind-≫2009年。実寸大の騎馬像に乗った亡霊のような武士像。大型彫刻作品で、昨年、山本現代で発表された作品だが私は初見。こんなにインパクトが強い作品、一度見たら簡単に忘れることはできない。皮膚がなく筋肉と骨格だけで造形された武士像はなぜか力強さがあり、そして不気味。馬も武士も目が怖い。そして、細部まで神経を張りめぐらせ、足の指、馬のひづめ、たて髪、前のめりな武士の身体、ディテールもゆるぎない。
こんな強烈作品が続いた後、伊藤彩のペインティングを見たら、ほっとしたのも束の間、今度は画面から感じられる不安定さから、妙に落ち着かない気分になる。
本展最若手の伊藤彩は先に見た国立国際美術館「絵画の庭」での印象とは違う。←筆者の勘違いでした。正しくは2010年「VOCA展」です。伊藤彩さんは、「絵画の庭」には出展されていません。空間的な狭さゆえか、作品から受ける感覚がよりストレート伝わる。

そして、本展のハイライトだと個人的には一推しのジャネット・カーディフ≪40声のモテット≫。この作品は、昨年エルメスのギャラリーで体験済みだったが、海に向かって大きく切りだされた窓から見える海を見つつ鑑賞するモテットは素晴らしいの一言。夕陽と夜景、2回時間を変えて堪能した。40人の聖歌による音の彫刻を一人でも多くの方に、経験していただきたい。
カーディフ作品で5階の展示作品は終了。4階へと移動。

4階最初の作品は小泉明郎の≪若き侍の肖像≫2009年(映像)。小泉明郎は昨年、森美術館のMAM Project2009で≪お母さん≫2003年という映像作品を拝見し、好感を持った作家。別作品しかも昨年制作された作品を拝見できるのはとても嬉しい。
そして、この作品も凄い。俳優が特攻隊員になりきり両親に、出陣前夜の最後の別れの挨拶をする演技をしてもらう。最初は演技でしかなかった俳優の様子が、作家によって繰り返される檄により、いつしか忘我の境地になり、感情が降り切れてしまう様子を撮影したもの。
う~ん、前回の≪お母さん≫もそうだったが、観客の心も激しく揺さぶられる。

アンドレアス・スロミンスキーの小道具のような作品、ヴォルフガング・ライプ≪ミルクストーン≫と続く。ライプの≪ミルクストーン≫は作品タイトルにあるように、真っ白な大理石にしか一見見えないのだが、実は本当のミルク(牛乳)が四角形の容器一杯に満たされているだけ。近づけば、浮いたほこりが見えて、やはり液体なのかと頭が理解してくれた。

西尾美也の洋服交換プロジェクトの後に、私の好きなアンゼルム・キーファ-の2点(大阪市立近代美術館準備室蔵)がある。荒々しい絵肌は、平面作品というより立体作品に近い。何かザラザラしたものが心理的に残る。

ライアン・ガンダーのインスタレーション。
ガンダーの作品が国内美術館で展示されるのは初だと思う。今年の東京アートフェアのトークイベントで、ガンダーのインスタレーションをアート・バーゼルで購入したコレクターの話を聞いたばかり。本展出展作品は≪ナサニエルは知っている≫(大和プレス蔵)。暗幕を抜けて中の空間に作品は・・・見えない。空間には何も置かれてはいない。あるのは壁面下部に開いた小さな穴とそこから見える雑草。そして空気通しの孔だけである。
孔から差し込まれる僅かな光の中で観賞者が何を思い何を考えるのかが狙い。

ヴァルダ・カイヴァーノのペインティングはさらりと流し、法貴信也の部屋へ移動。
法貴も今年、「絵画の庭」展や「タカ・イシイギャラリー」での個展で立て続けに作品を拝見しているが、今回の展示が一番良かった。
特に壁の上部にかけられていた大きめのペインティング(黒と灰色らしき2色のみ使用したドットが描かれている)やドローイング風の線が2本平行して走る作品。この部屋の展示は特に良かった。

伊東宣明の映像≪死者/生者≫の後、草間弥生とマーク・ロスコーの作品同士の対話がされている空間。
白のドット作品と、ロスコーの濃赤と黒のツートーンの作品、対照的でお互いに共鳴し合うものが感じられた。

金氏徹平のフィギュアを利用した作品の後、本展最期を飾るのは梅田哲也の電気製品か理科の実験を思い出す作品。
今回も風船は使用、ここでは何も起こらなくてもしばしの間じっとしていただきたい場所。突然がらりと動き始める、動く所までの辛抱。

同館の閉鎖が惜しまれる、感情が振幅させられる展覧会でした。
コンパクトな図録(840円)は展覧会の記念にぜひ。

関連イベントとして、下記日程でアーティストと学芸員によるギャラリートークが開催されます。
5月8日-伊藤彩、5月15日-法貴信也、5月22日-金氏徹平、5月29日-伊東宣明
*いずれも16時から開始。

*6月20日まで開催中。オススメです。

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Re: No title

> 伊藤彩は「絵画の庭」には出品してなかったのでは?

⇒ コメント有難うございます。ご指摘の通り、当方の誤りです。
  「絵画の庭」展パンフレットを再確認しましたが、出展作家
  28名に伊藤さんのお名前はありませんでした。
  記載誤りについてお詫びすると共に、本文記載を修正しました。
  
  
  

No title

伊藤彩は「絵画の庭」には出品してなかったのでは?
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