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「伊藤若冲アナザーワールド」 静岡県立美術館

sizuoka

静岡県立美術館で5月16日まで開催中の「伊藤若冲アナザーワールド」に行って来ました。
展覧会チラシ(上)の伊藤若冲の文字に鶏や烏?が、「ザー」の「ザ」の濁点に菊が使われているのがご愛嬌。
展覧会HP → こちら

昨年、MIHO MUSEUMで開催された「若冲ワンダーランド」に続く若冲の水墨画に焦点を当てた展覧会。
そして、もう一つのテーマは黄檗僧・鶴亭らの作品から、若冲水墨表現に影響を与えたであろう作家たちの作品を紹介します。

第1章 若冲前史
静岡県美では、会場の都合上第2章の作品から展示が始まり、第2章の後に第1章と逆になっているので注意。
約10点の作品が紹介されているが、メインは冒頭に挙げた鶴亭の水墨画。「墨竹図」、「墨菊図」など竹や菊、樹幹表現に類似点を感じるが、
「木蘭図」の濃い目の墨をたっぷり使った表現、擦法、大胆でシンプルな線描が一番若冲らしいかなと思った。
若冲のネタ本、発想源と紹介されていた大岡隼人『欄間図式』、大岡春ト『画巧潜覧』の版本に観る若冲の構図デザインの類似は偶然かはたまた
本当に若冲の源流なのか。これだけでは、結論付けられない。

第1章は巡回先の千葉市美で、更に沢山の鶴亭作品が紹介される予定なので、再度表現の類似点を確認したい。

第2章 初期作-模索の時代
動植綵絵までの水墨画を中心とした作品を33点で(後期:4/27~5/16)紹介する。
若冲ワンダーランドでの出展作もあるが、まだまだ未見作も多くあった。こうして観ると若冲は多作なのか、作品が多く残っているなと改めて感じる。

・「葡萄図」個人蔵
私にとっての若冲原点作品と同じ。一番最初に若冲作品に触れたのは相国寺の葡萄図襖絵だった。本作はそれと同じ葡萄をモチーフとする。

・「隠元豆・玉蜀黍図」 草堂禅寺
これはMIHOですれ違ったもしくは途中で出展中止になった作品だと思う。
隠元豆には蛙と虫が、玉蜀黍には雀が、動植綵絵の「池辺群虫図」「秋塘群雀図」へつながる表現が本作にはある。
葉の穴や欠けを塗り残すことで表したり、隠元の蔓の表現、隠元豆の袋に入っているはずの豆がうっすら見える微かな墨の使い方の妙。
本作品で使用されている四角の印が、本作に合っていた。

・「髑髏図」 西圓寺
これは、今回一番驚いた拓版作品。黒を背景にして髑髏を白く浮き立たせる。暁斎の作品?と思ってしまった。「乗興舟」と同じ技法で正面摺と言われる版画。
本作品の他に同じ版木で2点が現存する。

・「払子図」個人蔵
これも未見。左右幅は無染浄善(禅僧)の書。中幅が若冲作品で払子としゅ杖を描く。若冲には大変失礼なのだが、払子が大根に見えたのは私だけだろうか?
無染の死に対する餞として、本作を描いたという説もあり、キャプションには「無染へのレクイエム?」と見出しあり。
話はそれるが、本展の作品解説は非常に分かりやすい。まずキャプション冒頭に短く見出しがあり、その後に数行解説が続く。この方式でキャプションがあったのは板橋区立美術館を思い浮かべるが、板橋ほどはじけていない。他の来場者も「この解説分かりやすいよね」という会話が聞こえてきて好評だった。

「岩に牡丹図」「釣瓶蕪子花図」「柳白鷺図」など初見作品は他にもあった。着彩画では「雪梅雄鶏図」両足院蔵が素晴らしく水墨だけでなく若冲らしい着色作品もあるので楽しい。

第3章 着色画と水墨画 25点が出展されている。

・「百合図」 個人蔵
百合の葉の表現と第2章にあった「隠元豆・玉蜀黍図」の玉蜀黍の葉の表現がとても似ている。本作は水墨+着色。繊細な筆法が印象的。

・「厖児戯箒図」個人蔵
・狩野養信筆「等春筆狗子図模本」東京国立博物館
同じ等春の作品を模写した作品と言われている。「厖児戯箒図」は2007年の「若冲展」開催にあたり蔵を整理していて発見された若冲初期の作品。どちらが上手い?
(参考)2007年若冲展過去ログ
http://memeyogini.blog51.fc2.com/blog-entry-102.html狩野養信の作品と

・「出山釈迦図」 西福寺
本作品も初見。過去に一度でも観ていたら忘れられそうにない。釈迦の衣の衣文線はお得意の筋目描きだが、ここまで過剰だと衣文線が衣文線でなく別のものに見えてくる。キャプション見出しは「もはや抽象芸術」!

他に同じく西福寺「仙人掌群鶏図」(対決展に出展されていた)、「菜蟲譜」佐野市立吉澤記念美術館蔵が出展されていて、両作品とも静岡会場のみで展示される。
西福寺は若冲と懇意な関係にあったのだなと個性的な作品の所蔵先として忘れがたい。西福寺蔵の2点は出展の頻度が少ないのでお見逃しなきよう。
 
第4章 晩年-多様なる展開 約35点
第4章では晩年の若冲作品に見る多様な表現を追う。
白象群獣図、樹下鳥獣図と升目描き作品も登場。明らかに、升目の塗り方に違いがある。前者は形も左端に中の四角はきっちり寄せられ、塗り方も丁寧。どの升目も寸分狂いなく塗られているが、後者のそれは、丁寧さ、きっちりさがなく雑である。若冲印の有無にも注目。
作者についての議論が過去より取り沙汰されているが、もっと若い研究者の意見も聞いてみたい。特に、本展担当の静岡県立美術館学芸員、福士氏が図録に落款と印象について、興味深い論文を掲載されておられた。

・「椿に白頭図」 個人蔵
・「賞春芳帖」 千葉市美術館
若冲の多色摺版画に観る表現。水墨も着色画も良いけれど、木版画もやっぱり良い。
個人蔵の「椿に白頭図」は「賞春芳帖」の中にある一図を扇面図に利用したもの。こんな風に若冲作品が生活の身近にあれば良いのに。

・「鶏図」 個人蔵
若冲と言えば、鶏の絵師とイメージされるほど鶏を描いた作品が多い。しかし本作はなかでもとりわけ印象深い。初めて観たように思う。
鶏がユーモアに溢れる構図で活き活きと描かれる。様々なポーズに、鶏ポーズ集と名づけたくなるほど。鶏たちの顔のかわいいこと。全部で11図あるが前後期で六図と五図を分けて展示。千葉市美で残り六点を観るのが楽しみ。
ここに描かれている鶏は全て二羽か三羽で描かれ一羽単独のものはないことにも注目したい。

・「山水図」 西福寺
またも西福寺所蔵作品。これもまた個性的な山水図。特筆すべきはそそり立つ巨岩が画面から浮き上がり、やたら岩ばかりが目立っている。

・「雛に双鶏図」 個人蔵
弱いものを守る若冲の生命への温かいまなざしを感じる。

・「鯉図押絵貼屏風」 六曲一双 個人蔵
これも初見。右から4つ波の表現、波とからまる鯉の動きが面白い。鯉の押絵貼屏風は珍しい。落款があるのが1点でその位置から、元々現在のような並び方ではなかったとされている。

第4章からなる「若冲アナザーワールド」は若冲ワンダーランドを超える作品量。
国立博物館の特別展クラスの展覧会であることは間違いありません。時間には余裕を見ておいた方が良いです。
静岡会場は多くの観客が来場されていましたが、ストレスを感じるほどの混雑ではありませんでした。先のことは分かりませんが、千葉会場は混雑が予想されます。静岡会場のみ展示作品もあるので、静岡会場でご覧いただくのも良いのではないでしょうか。
静岡県立美術館ではリニューアル記念のコレクション展を開催中。こちらもいつも以上に見ごたえのある内容です。
コレクション展については、次回感想アップ予定。

5月8日には、佐藤康宏氏(東京大学教授)「若冲における墨と色」と題した講演会も開催されます。先着250名、11時より整理券を配布。

本展図録は、静岡・千葉の両会場あわせて170点の作品を掲載し2000円。きっと会期末には売り切れなのでは?

*5月16日まで開催中。オススメです!
本展は、5月22日から千葉市美術館へ巡回します。千葉会場での出展作品は同館HP(下)に掲載されています。
http://www.ccma-net.jp/exhibition_end/2010/0522/0522.html

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あおひー様

> こんばんは。
> 若冲のはもうかなり見たと思ってたら、まだまだ見たことのないのがありました。

⇒ 仰る通りですね。もう観たと思いきやまだまだ甘いと痛感しました。

> あと、これでポスターの販売もあったら最高なんですけどねー。

⇒千葉では売ってくれるかもしれませんよ。問い合わせてみたらいかがでしょう?

No title

こんばんは。
若冲のはもうかなり見たと思ってたら、まだまだ見たことのないのがありました。

この若冲の絵の面白さは一時味わってしまうともう抜け出せませんね。

当然、千葉も行く予定です。

あと、これでポスターの販売もあったら最高なんですけどねー。
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