スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

「近代日本美術の百花」 千葉市美術館

chiba

静岡県立美術館に続いて、半年間の空調設備工事が終了しリニューアルした千葉市美術館。
リニューアル後の最初の展覧会は所蔵命品展「近代日本美術の百花」。
明治以後、大正・昭和前半の日本画・版画を中心に「花」にまつわる作品を同館所蔵作品約250点で展観するものです。

展覧会構成とともに印象に残った作品を振り返ります。

第一章 祝福された四季 花の伝統的な役割に光を当てる。

・橋本明治「春庭」「春信(橙)」
橋本明治の描く形が好き。「春庭」のチューリップの愛らしさ、「春信」に描かれた橙の無骨さ、いずれも橋本明治でなければ描けない形だと思う。

・戸張狐雁 稲村の秋 1912年
彼の木版画を見ると、物寂しい切ない気持ちがしてくるのはなぜなのか。ちょっと抑えた色調や描きこみ過ぎず「抑制」という言葉を思い出す。

・吉田博 「蜀葵」「雲井桜」
結局好きな作家は変わらない。吉田博の木版画は何度見ても色の美しさ、スケッチの正確さに目を奪われる。

この他、星襄一「こぶし」、椿貞雄「春夏秋冬極楽図」が良かった。

第二章 私の庭 プライベート空間の花

・山村耕花 「壺と百日草」
この壺、最近よく見かける掻き落しの壺だった。山村耕花も骨董好きだったのだろうか?想像が膨らんだ。

他に川上澄生の木版4点など。

第三章 粧う花々 花にたとえた美人画
第三章は見ごたえがあった。特に山本昇雲の「今すがた」シリーズ。山本昇雲は他でもあまり見かけないが、美人画とりわけ「今すがた」シリーズは凝った作りの木版画シリーズで、描かれた女性の表情、仕草、着物の色や文様の精緻さ、背景になっている草花など見どころは1枚に満載されている。

伊東深水の「信美人十二姿」シリーズも強烈。同シリーズ全12作品を一挙公開。
これは嬉しかった。1枚2枚は見かけるけれど一度に12枚見られる機会など、そうそうある筈がない。
「おしろい」「浴衣」などに見られる匂い立つような色香は同じ女性から見てもKOされそうだった。

同じく小早川清「近代時世粧ノ内」シリーズも六枚出ている。本当にこれだけで大判振舞であることが分かる。
「ほろ酔ひ」「化粧」「爪」「瞳」「黒髪」「口紅」の六点はいずれも当時の風俗をよく表現している。
もちろん、版画技術も素晴らしい。「瞳」で描かれた女性のまとうストールはエンボス加工のような処理が施してあるし、雲母の乗りも良い。小早川清の作品イメージは「赤」。彼の使用する「赤」のインパクトに今日も降参。

第四章 舞台の華
ここも、見ごたえある木版画が続く。歌舞伎役者をモデルにした大正期の版画がずらり勢ぞろい。
「よみがえる浮世絵」展の続き、続編もしくはパワーアップ編といったところ。

やはりイチオシは山村耕花。「梨園の華」シリーズは歌舞伎好きの方にはたまらない内容。
「中村吉右衛門の黒影土右衛門」、吉様は麗しい。「初代中村雁治郎の茜半七」の切れ長の目。後に同じ初代中村雁治郎を描いた名取春仙の作品が続き、同じように春仙も切れ長の目を描く。
私は山村作品の方が好み。今回名取春仙出展作品は間延びした感じにひっかかった。

吉川観方の3点。彼は上方の絵師。「観方創作版画」で見る「成駒屋の紙治 河庄の場」1923年は、江戸の歌舞伎堂艶鏡の大首絵を思い出した。いずれも好み。歌舞伎役者は、歯ではなく目が命だと思う。

第五章 返り咲く錦絵 外国人による明治・大正の木版画を振り返る。

ここでは、私の一番のお気に入りヘレン・ハイドの木版画が8点!も出ていた。普段は多くても3点程度なので、これだけでも来て良かった。しかも、見たことのない作品もあったりで、全部持ち帰りたくなる。
ヘレン・ハイドの木版画集とかないものか。真剣に欲しい。

彼女はアメリカ人で特に子供をモチーフとして描くことが多い。
今回は「追いかけっこ」「家路」「かたこと」「金物屋の店先」「内緒話」「6月のある日」「亀戸天神の太鼓橋」
「東京の元日」の8点。中でも「東京の元日」は素晴らしい。セル画かと思った程、発色が良かった。紙そのものが白ではなく黄味がかかっており、意図的なものなのか、焼けてしまったのか。この黄味がかった紙がハイドの作品をより効果的に見せてくれた。
彼女の木版画はどこか写真的でもある。「内緒話」はオーバルにカットされていて、肖像写真を思い出した。

バーサ・ラム、エリザベス・キースも登場。でもハイド以外なら、私はフリッツ・カペラリのちょっと戯画風な作品が好き。「鏡の前の女(立姿)」で鏡に映った女の生足にくらっと来た。

第六章 花の都 都市に見る風景

一番印象に残ったのは織田一麿「画集銀座の内」シリーズ。石版画で深い陰影が特徴。

川西英の「曲馬」の華やかな色使い、人物描写が彼らしい。

第七章 花模様 花に関連した装幀本や図案、画集などを紹介。
再び山本昇雲の「今すがた」シリーズが登場。

神坂雪佳「百々世草」からあじさいとかきつばた。ちょうど季節にぴったり。

圧巻なのは橋口五葉の夏目漱石、泉鏡花らの著作本を飾る装丁画の数々。その数、約20点。
杉浦非水のデザインも好きだけれど、橋口五葉の装丁の華麗さに心躍る。これだけ沢山の五葉の装丁を見たのは初めて。
橋口五葉は木版画も沢山出ている。「温泉宿」「長襦袢の女」など色香漂う美人画と装丁は同じ人物によるものとは思えない。

他に石井柏亭「邪宗門」の曼荼羅のような装丁も忘れがたい。

第八章 季節はめぐる
漸く最終章。
日本画で横尾芳月「線香花火」、長谷川潔「思想の生まれる時」が良かった。

*5月9日(日)まで。版画ファンなら必ずや楽しめます。

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

「近代日本美術の百花」 千葉市美術館

千葉市美術館(千葉市中央区中央3-10-8) 「リニューアルオープン記念所蔵名品展 近代日本美術の百花」 4/6-5/9 「花」をテーマに、大正・昭和前期の日本画・版画を総覧します。千葉市美術館で開催中の「近代日本美術の百花」へ行ってきました。 昨年度、空調改修工事...

「近代日本美術の百花」

千葉市美術館で開催中の リニューアル・オープン記念所蔵名品展「近代日本美術の百花」展に行って来ました。 昨年江戸東京博物館で開催された「よみがえる浮世絵-うるわしき大正新版画」展で、明治、大正、昭和の初めの所謂新版画に心時めかした方にはとても嬉し...

近代日本美術の花 ・千葉市美術館

去年、江戸博で大正新版画を見た時の感動よ再び我に、という思いがあったこの展覧会。リニューアルを無事終えた千葉市美術館はその華々しいオープンを百花繚乱日本美術の花で飾った。そこに足を一歩踏み入れるとそこは底なし沼の怒涛の花の競演が繰り広げられていたのだっ...

近代日本美術の百花千葉市美術館

千葉市美術館がリニューアルオープンした。といっても空調設備の工事だったため、以前との変わりは分からない。今回は、リニューアルオープン記念所蔵名品展の常設展で大正から昭和...

コメントの投稿

非公開コメント

カレンダー
05 | 2017/06 | 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -
ブログ内検索
twitter
最近のエントリ
カテゴリー
最近のコメント
最近のトラックバック
天気予報

-天気予報コム- -FC2-
カウンター
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。