スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

「奥村土牛展」 山種美術館

土牛

山種美術館で5月23日まで開催中の「奥村土牛展」に行って来ました。

本展は、2009年に迎えた奥村土牛(1889-1990)の生誕120年を記念し、その人と芸術を同館所蔵作品のうち約70点でたどる展覧会です。
同館には、本画・素描・書を合わせて135点の土牛作品を蒐集し、戦後の秋の院展出品作品のほとんどを所蔵しています。どおりで、他館ではあまり大作を見ないはずです。

展示は奥村土牛の言葉とともに作品をたどっていきます。
「芸術に完成はありえない。どこまで大きく未完成で終わるかである。」という彼の言葉はその芸術の真髄ではないでしょうか。

一貫して、土牛の作品を通じて思うのは「描きたいという強い意志」「写生」「格」「簡素な線と抑制のきいた色彩」です。
再び土牛の言葉を引用すれば「上手い絵はいくらでも描けるだろう。その先の芸術性はその人の心の高い低いで絵ができる。」。画家の精神性を重んじた言葉です。

・「枇杷と少女」1930年
枇杷はまるで本物のよう。わさわさと枇杷になっている枇杷の身は丸々としている。枇杷の木の葉っぱの葉脈が絵の具で盛り上がっている。

・「雨趣」 1928年
画集でなく実作品を見られる幸せ。雨の1滴1滴を胡粉の濃さをいろいろ変えて描きこみ。研究会に入っていたという速水御舟の影響でしょうか。

・「聖牛」 1953年
線と面で構成された画面というと偉そうな感じだけれど、頭に入れてこの作品を見るといわんとすることが分かる気がした。真っ白な牛は胡粉を何度も何度も重ねたもの。善光寺にインドから牛が贈られ、土牛が息子を連れ長野に赴き、写生に1週間をかけた。母牛と子牛の2頭が描かれる。

・「鳴門」 1959年
本展のマイベスト。理由の第一は色。抹茶ミルクをもう少し薄くしたような色としかたとえられない。白を混ぜているけれど、よくよく見ると下地は黄色に塗られている。渦潮の渦は、白で流れをたどる。
離れて見ると更に良い。

・「蓮」 1961年
蓮の葉に埋もれた花の赤さと大きさが、一見して「わっ」と飛び込んでくる。

・「門」 1967年
この作品もすごく好き。こんな門の描き方をする作品は見たことがない。簡単なようでいて、奥行きのある空間を平面に落としこむのはとても困難な作業なはず。しかし、土牛は見事に平面作品として仕上げた。門の奥の先まで見通せて空間を立体的に見せる。黒い門と白壁のコントラスト。夏目漱石の「門」の表紙絵にしたらどうだろう。

・「朝市の女」 1969年
本作品の素描もあったが、本画には女性の前に魚がいろいろ置かれている。

・「茶室」 1963年
先日京都で訪れた大徳寺真珠庵の茶室「庭玉軒(ていぎょくけん)」の室内を描いた作品。拝観寺に中にまでは入れず、外から覗き見ることしかできなかった。土牛の作品で中を拝見した気分になった。

・「海」 1981年
晩年の作品。1回目には、いいなと思えなかったけれど2巡目に好きになった。房総の若い海。鳴門の海の色とは違う。比べて見るのも面白い。

子のほか干支の動物たちとして十二支全てが展示されていた。
「羊」「庚申春」「戌」など味がある。土牛は自身の名前に「牛」が付けられていることもあるが、動物に注ぐまなざしが温かい。「目が楽しいから生き物を描くのが好き」これも土牛の言葉。

動物だけでなく草花へのまなざしも同じ。彼の師でもあった古径と似ているなと思ったのは、花と併せて骨董(?)と思われる染付の器や古九谷の器を描いていること。「チューリップ」「柘榴」「木蓮」等々、奥の展示室は百花繚乱。中央に位置するのは本展チラシに使用されている「醍醐」1972年。ピンク色が萌えていた。

日本画が好ましい理由のひとつに、岩絵の具の質感がある。画面がきらりと光る時、画集や印刷物では見られない喜びを感じる。今回も絵に近づいてじっくりと絵の具の使い方塗り方を見ることができた。画面は決して平坦ではなく、ところどころ厚塗りにされている箇所も分かる。山種美術館は手狭かもしれないが、ガラス1枚隔てるだけで近寄れる作品も多いのが良い。東近美などでは、ガラスと絵までの距離があって、細かな塗りまでは確かめられない場合が多いので余計に貴重。

帰りは渋谷駅のバスに乗車。6分間隔くらいでバスが頻繁に来るし、渋谷駅の降車場所は東急東横線乗り場やJRの目の前。これからは渋谷駅バスを利用しようと思った。

本展チラシは、早々となくなっていましたが、それも納得できる内容です。大規模回顧展を拝見したい日本画家がまた増えました。

*5月23日(日)まで開催中。

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

「奥村土牛展」

山種美術館で開催中の 開館記念特別展?「生誕120年 奥村土牛展」に行って来ました。 明治22年(1889)に奥村家の長男として生まれた土牛(本名、義三)。16歳で梶田半古(はんこ)塾に入門して画業の道へ。小林古径や速水御舟、大観などから多くを学ぶことに。しか...

「生誕120年 奥村土牛」 山種美術館

山種美術館(渋谷区広尾3-12-36) 「生誕120年 奥村土牛」 4/3-5/23 国内屈指の土牛コレクションを展観します。山種美術館で開催中の「生誕120年 奥村土牛」へ行ってきました。 土牛は元々好きな日本画家だったので、これまでにも関連の展示は欠かさず見てきたつも

山種美術館で「生誕120年 奥村土牛」展を観た!

山種美術館で「開館記念特別展? 生誕120年 奥村土牛」展を観てきました。過去の山種美術館でも幾つかの作品が出ていましたが、これほど纏まって山種美術館が奥村土牛の作品を所蔵しているとは思いませんでした。「奥村土牛」という名前は、「土牛石田を耕す」、奥深い村

コメントの投稿

非公開コメント

はろるど様

こんばんは。
写真美術館からNadiffを経由して、歩きましたがそのルートはハードでした。
根津美術館からの道のりも相当あるのではないでしょうか。

だんだん、山種美術館の狭さにも慣れてきました。
絵肌に近づけるのは、大きな魅力です。
やっぱり、通ってしまいますね。

No title

TBありがとうございます。確かに山種ですと顔料の感触がわかるぐらい近づけますよね。あのたらし込みの渦を存分に味わってきました。

>バスに乗車

何でも便利なそうですね。いつも歩くのが、そろそろあの坂と歩道橋に飽きてしまいまして…。

根津美へも徒歩圏内だそうです。今度山種→根津コースに挑戦してみたいと思います。
カレンダー
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
ブログ内検索
twitter
最近のエントリ
カテゴリー
最近のコメント
最近のトラックバック
天気予報

-天気予報コム- -FC2-
カウンター
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。