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「挿絵本の世界 本と挿絵のステキな関係」 町田市立国際版画美術館

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町田市立国際版画美術館で6月6日まで開催中の「挿絵本の世界 本と挿絵のステキな関係」に行って来ました。

本展は版画の挿絵本を中心に、おもに19世紀から20世紀はじめまでのヨーロッパの作品を紹介するもの。プロローグとして活字本の始まりの時代の古い書物もから、ひたすら美しいもの、理屈抜きにカワイイもの、なんだか怖いもの―そんな三つのグループにわけてお楽しみいただこうというユニーク試みです。

町田市立国際版画美術館の企画展にハズレなし。
チラシも事前情報もないまま、とりあえず気になって仕方ないので行ってみましたが、看板に偽りなし。本当に「本と挿絵のステキな関係」を堪能させていただきました。

版画ファン、挿絵、装幀本ファンの方は必見です。垂涎モノの作品が並んでいました。しかし、残念なことに作品リストが作成されていません。リストがあってもなくても、図録は買おうと思っていたので記事は書けますが、町田市立国際版画美術館のご担当者様どうか作品リストは準備いただけると助かります。
図録も素敵なのです。厚みはないので、2000円はちょっとお高い気もしますが表紙はハトロン紙に包まれ、妙な愛着が生まれます。限定500部だったと思いますので欲しい方はお早めに。

さて、展覧会に話を戻します。
構成は、次の通り。
第1章 プロローグ 版画、書物と出会う 15世紀末~16世紀
第2章 百花繚乱の19世紀 きれい、カワイイ、怖い
第3章 アーティストと本 20世紀

今回は同館所蔵作品だけでなく他館や個人所蔵の作品も借り入れての作品展示。
見どころはズバリ第2章。ため息が出るほど素敵な挿絵が続々と登場して、ガラスケースから離れられない。ジョルジュ・バルビエやビアズリーやら大好きな作家の作品が目白押し。更に知らない作家のものも、う~むと思わず唸る美しさ、愛らしさ、そしてこわ~い版画。
本と版画、挿絵の切っても切れない関係をその歴史をたどりつつ見せてくれます。

もう、全作品オススメですが中でも選りすぐって感動した作品は以下(所蔵先の記載がないものは町田市立国際版画美術館蔵)。

第1章
・15世紀末頃の「時祷書」(手写本)個人蔵
これを観た時、平家納経を思い出した。祈りの書物に対して装飾を施そうとする精神は洋の東西を問わず同じなのだ。
これも左端の部分に果実の模様が施されている。

・木版本『黙示録』第4版 1465年頃
このあたりから木版画が聖典に使用されるようになる。作者不明の素朴な絵を観ていると、≪絵因果経≫を思い出す。

・アルブレヒト・デューラー 『黙示録』1511年 印刷博物館蔵
いよいよ、デューラー登場。それまで観てきた木版の年代記、時祷書の挿絵からいきなりレベルアップしている。デューラーの挿絵木版に観る線描は非常に細かく、人物、動物の動きの表現がリアルで迫力があり平坦ではない。他に展示されている『マリアの生涯』などに観られる華やかさもある。

第2章
ここからが大変。
最初は「キレイ」な挿絵が登場する。
・エドワード・バーン=ジョーンズ、ウィリアム・モリス 『チョーサー著作集』1896年 印刷博物館蔵
いきなりアーツ&クラフツ運動から始まる。
同じく『チョーサー著作集』うらわ美術館蔵のものは、上記1枚1枚の頁を装幀屋に発注して各自が好みの表紙をこしらえてもらう特注本。
展示品は白っぽい豚革に彫りが表と裏は別種の模様が入った装幀。学芸員の方によれば、中には開いた1頁目に所有者の名前を入れてもらったりすることもあったそうだ。趣味の世界にお金を惜しまない人たちはこぞって好みの本を作ったのだろう。

・アルフォンス・ミュシャ 『イルゼ、トリポリの姫君』1897年 
こちらはリトグラフ。ミュシャの挿絵はポスターだけでなく本の中にも息づいている。美しすぎる。本の展示だけに展示されている頁しか観ることができないのが何とももどかしい。
さぞかし、他の挿絵も美しかろう。

・オーギュスト・るベール 『さかしま』1903年 個人蔵
超レア本。こちらも表紙の装幀は特注。茶系の革表紙に金の細工がされている。中にモローの作品の模写が登場する。1頁1頁色も違うし刷りの濃淡も変えていて、文字より挿絵ばかり観てしまいそう。

・リュシアン・ヴォージェル編『ガゼット・デュ・ボン・トン』より ポショワール 個人蔵
ポショワールとはいわゆるステンシル技法のこと。しかし、手彩色によるポショワールとのことだが、こんな細かいことができるのか現物を前に不思議で仕方なかった。
『ガゼット・デュ・ボン・トン』は1912年12月から第一次世界大戦による休刊をはさみ、1925年12月まで全70号が出版されたファッション誌。
当時のご婦人たちは、こんな雑誌を観ながら最新モードに身を包んでいたのだろうか。ジョルジュ・バルビエ、アンドレ・マルティ、ピエール・ブリソ「シャトーでの結婚式」は特に色彩が美しい。

・ウンベルト・ブルネレスキ 『イタリア喜劇の仮面と登場人物』1914年 個人蔵
大判のポショワール12点。この愛らしさと色彩感覚、特に薄紫と黒のコンビネーションは絶妙。女性のマントのレース表現の緻密さ。絵だけを観ていると夢のような物語が展開されているが、これが1914年制作とはとても思えない。逆に現在、これを再現できるのだろうか。

・ジョルジュ・バルビエ 『現代の幸福、あるいは流行の女神たち』 1920年 個人蔵
出ました、バルビエ。アールデコを代表するイラストレーターだが、これだけまとまった作品を観たのは初めて。もう大満足。「深い襟ぐり」の可憐さ(安野モヨコのイラストを思い出した)、「阿片窟」の退廃美と好きな人にはたまらない世界が展開されています。『架空の伝記』の挿絵もゴージャスで華麗で、シノワズリが取り入れられている。

ここからは「かわいい」の世界。多色摺りの木口木版による絵本が紹介される。
・J.J.グランヴィル 『もうひとつの世界』
木口木版に手彩色。硬い線の上にひとつひとつ丁寧に色を乗せて行く。『生きている花々』は博物図譜と妖精の世界が同居している。

・ウォルター・クレイン
ぬり絵本や『美女と野獣』などの絵本。今の絵本の元祖なのだろうか。

・ケイト・グリーナウェイ 『ハメルンの笛吹き』
ケイト・グリーナウェイは絵本作品の中で一番好みの画風。特にお花の描写が美しい。

最後に「怖い」の世界。

・ギュスターブ・ドレ ダンテの『地獄編』1865年
・エドゥアール・マネ 『大鴉』1875年
マネの版画作品は観たことがないかもしれない。現在三菱一号館で開催中の「マネ展」に版画も出展されているそうだが、学芸員さん曰く、「マネ展の版画は素晴らしい」とのこと。
まだ、行ってませんが心して観てこようと思います。

・オーブリー・ビアズリー 『アーサー王の死』1893-94年
ビアズリーも大好きな画家。分かってはいるものの、ビアズリーの黒と白の強いコントラストを活かした作品に魅了される。

・ハリー・クラーク アラン・ポー『怪奇小説集』個人蔵
ハリー・クラーク、初めて知ったが宇野亜喜良さんを思い出させる作風。怖い怖い、怖いけれど美しい。ハリー・クラークはアイルランドのダブリン生まれでステンドグラスの制作者として活躍しつつ、精緻なペン画を主体とした書籍挿絵画家として人気を誇ったらしい。
ビアズリーの影響を受けつつ、独自の絵画世界を創出。ビアズリーより一層耽美的だと思うが、アラン・ポーの作品にそれがマッチしている。

第3章
モーリス・ドニやボナールも良いけれど、一番はマックス・エルンストの作品。これは怖いです。

毎週日曜日の14時から40分程度同館学芸員さんによるギャラリートークがあります。展示解説だけでは分からないことも教えていただけます。
なお、町田市立国際版画美術館は、今年からぐるっとパスに参画しており、企画展無料チケットが付いています。

*6月6日まで開催中。

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挿絵本の世界 @町田市立国際版画美術館

 サブタイトルは「きれい、カワイイ、怖い」と「本と版画のステキな関係」。  挿絵本といえば版画と表裏一体の関係にある。  今までにも「都市のフランス 自然のイギリスー18・19世紀絵画と挿絵本の世界」(2007年、千葉市美術館)で栃木県立美術館の所蔵作品を...

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とら様

おはようございます。
確かにあの図録手になじみますよね。
私としてはハトロン紙付というのも気に入っています。

町田らしい展覧会で良かったです。

No title

昨日わたしも行ってきました。ちょうどギャラリートークを聞くことができました。
キャプションの説明も簡潔で全部読んできました。滞在時間2時間半。
図録を買ってきて、眺めています。私にとっては「軽い!」のが何よりです。
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