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「細川家の至宝-珠玉の永青文庫コレクション」 東京国立博物館 平成館

hosokawa1

東京国立博物館・平成館で6月6日まで開催中の「細川家の至宝-珠玉の永青文庫コレクション」に行って来ました。

展覧会の概要、見どころなどは公式ホームページが充実していますので、ご参照ください。
http://hosokawaten.com/index.html
個人的に一番楽しみにしていたのは菱田春草「黒き猫」「落葉」をはじめとする近代日本絵画と白隠作品で、展示替えに合わせて2度行っています。
展覧会構成は次の通りですが、私は2度とも朝早い時間帯に行って空いている第Ⅱ部→第Ⅰ部と観ました。

第Ⅰ部 武家の伝統-細川家の歴史と美術-
第1章 戦国武将から大名へ-京・畿内における細川家-
第2章 藩主細川家-豊前小倉と肥後熊本-
第3章 武家の嗜み-能・和歌・茶-
第Ⅱ部 美へのまなざし-護立コレクションを中心に-
第1章 コレクションの原点
第2章 芸術の庇護者
第3章 東洋美術との出会い

以下、第Ⅱ部から心に残った作品を挙げていきます。

第1章 コレクションの原点
細川護立コレクション、あまり盛り沢山なのだけれど中でも著名なのは白隠作品だろう。

今回まとまった点数を拝見できたの喜びは大きい。
冒頭に白隠作品を蒐集するに至った白隠著『夜船閑話』、この本が護立に与えた影響は計り知れない。

・「乞食大燈像」*同じタイトルの作品が2点あり、うち1点は5/11より会期末まで展示。
・「虚堂智愚像」
これらの作品の前に立つと、身がすくむというかわが身の至らなさを思い知らされるというか、「全部お見通しなんだよ。」と言われている気がした。自分の思い込みなんだろうが、全てを知っているような透徹した眼差しだ。

・「十界図」*5/9で展示終了
・「蛤蜊観音像」*5/11より展示
・「蓮池観音像」
白隠の描く観音像はどれも飄々とした感じが好ましい。時にコミカルでもある。
「蓮池観音像」は83歳の最晩年作品とは思えない。蓮池に浮かぶ観音は優雅に佇む。
他に白隠の書-墨跡数点も太く力強い。大悟、観ていて腹から出た言葉だという気がした。

・名刀コレクション&刀の鐔コレクション
これまでの展覧会では、刀はさらっと流してしまうことが殆ど。理由は観ても善し悪しがまるで分からないからなのだけれど、今回はキャプションを読みつつ、刀紋を丹念に眺めてみた。
すると、キャプション通り刀紋の違いが分かり、鋳造する時にあの刀紋の違いをどうやって出すのだろうと不思議だった。
刀紋はまだ良いが、キャプションにあった「沸」(にえ)というのが分からない。帰宅後、意味を調べてみたがそれでも分からず。ちゃんと現物を前に解説していただかないと、これは難しいのだそう(twitterで呟いたらFollowerの方が教えて下さった)。護立が刀に惚れ込んだのは若干17歳の時。見染めた相手は「光忠」(国宝)だったというから恐れ入る。
そんなわけで、鐔の方も半端なくすごい。本展で初めて知ったのだが熊本県は「肥後金工」「肥後象嵌」と言われるほど、伝統技術が息づいている。見どころは「肥後象嵌」の祖と言われる伝林又七作「桜に破扇図鐔」。破れた扇を敢えてデザインに使用するとは大胆不敵。武具に使用する図案として不吉とされなかったのか、当時は安寧の世で、吉祥よりデザイン性重視だったのか、考えると面白い。詳細は展覧会HPの「至宝コラム」ご参照ください。

第2章 芸術の庇護者
ここでは、近代日本画の名品中の名品に出会える。

・菱田春草 「黒き猫」(1910年)、「落葉」(1909年) いずれも重文 *「黒き猫は5/16で展示終了
いずれも春草による畢生の名品である。先に「黒き猫」を拝見したが、この時は猫の毛1本1本まで丁寧に描き、いかにもふわっとした感触を絵肌から伝える驚異の技に注視。猫の瞳の色に吸い寄せられる。
が、私は「落葉」の前に立った時に、戦慄を覚えた。昨年、明治神宮記念館で開催された「菱田春草展」にて下絵は拝見していたが、本画は下絵の比ではなかった。当たり前のことだけれど、あまりにも受ける印象が違った。
今回の「落葉」には「気韻」が流れている。品格を通り越して、ある種精神性の極みのようなものを感じた。
奥行き感のある画面構成は、構図だけではなく微妙な濃淡の付け方にも左右されている。落葉は虫食いや葉脈(金泥で入れられていた)の細部の隅々まで神経が行き渡り、「黒き猫」でも観ていた描写力はますます冴えわたる。
複数の小鳥は、これまた生きているのではないかと思うほど写実的。いくら観ていても観飽きることはないだろう。

・横山大観「山窓無月」(1919年)*5/9で展示終了
・川端龍子「霊泉由来」(1916年)*5/9で展示終了

も良かったけれど、春草と並ぶ、名品と言えば
・小林古径「髪」(1931年)重文、「鶉と七面鳥」(1928年)、「孔雀」(1934年)
特に「髪」は、これぞ古径!と言いたくなるような上品で清廉な作品。半裸の着物姿の女性の長い黒髪を縦縞の着物姿の若い女性が梳る様子を描く。
画面から溢れるものは何だろう。緊張感まではいかないが、やはり清らかな気配が溢れている。
「鶉と七面鳥」は画面を彩る赤い花々が忘れがたい印象を残す。

この他、土田麦遷「明粧」(1930年)、川合玉堂「彩雨」(1940年)も見逃せない。*「彩雨」は5/9で展示終了。
洋画で並んでいた作品は永青文庫で既に拝見した作品がほとんどだったので割愛する。

第3章 東洋美術との出会い
今回、もっとも意外だったのはこの第3章の充実ぶりだった。これほど素晴らしい東洋美術コレクションを持っていたとは!永青文庫でもっと公開していただきたいなと思う。

・「金銀錯狩猟文鏡」国宝
通称「細川ミラー」と言われるこの中国戦国時代の古鏡は紀元前3世紀~4世紀のものとは到底思えぬ状態の良さ。鏡自体は青銅製だが、文様は溝に金銀を嵌め込む象嵌技法が使用されている。紀元前から象嵌技法はあったのか・・・。
にしても、この細かな動物と人物の闘争文、翼を広げた鳳凰文、こうした古代の中国青銅器を装飾する文様はそれだけで研究テーマになるほど奥深い。

・「金彩鳥獣雲文銅盤」 国宝
・「銀人立像」 重文
他、中国の考古美術品はどれもこれも素晴らしく、かつて観たことがない逸品ぞろい。

他に唐三彩も「三彩宝相華文三足盤」、「三彩花弁文盤」など珍しい盤の類に注目したい。

中国のやきものも「白釉黒掻落牡丹文瓶」「桃花紅合子」など、特に最近、徳川美術館の「牡丹」展から気になり始めた白釉黒掻落は、やはり牡丹文で北宋期の名品だった。
が、やきもので楽しめたのはイランの白釉色絵人物文鉢。イランの鉢は全部で4点出展されていたが、白釉の色もさることながら特徴的な絵付けが、やはり西アジアのものであることを明確に伝えている。

仏像は、中国やインド渡来の石像が中心で「菩薩半跏思惟像」はじめ、良い御顔をした坐像、立像が小品だが複数出ていた。

・黄庭堅筆「伏波神祠詩巻」北宋 重文 *5/11より展示
かつて、この書を観たいがために永青文庫に駆け付けた。今回は気前よく一度で全部鑑賞できる。
それにしても特徴的な長いはらい、肥痩が明確な横線、黒々とした墨色。何度観ても惚れ惚れする。今回は全部観ながら臨書の真似をしてやっと離れることができた。黄庭堅の晩年代表作。

これだけの美術品の数々を選び集め、また近代日本美術のパトロンたりえた細川護立の眼力に放心しました。

長くなるので、第1部は次回に続く。

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遊戯人様

> 伏波神祠詩巻は何度か目にしていますが通観できたのは、眼福でした。

こんばんは。
本当に眼福以外の何物でもありません。
私は米芾やこの黄庭堅の書が好きです。中でもこれは、何度見ても惚れ惚れします。
ガラシャの書は、人物そのものを表しているようでした。

No title

伏波神祠詩巻は何度か目にしていますが通観できたのは、眼福でした。
ガラシャの消息も、消え入るような流麗な筆さばきで素晴らしく、信長、秀吉、家康の書が同時に見れたのも、行った甲斐があるというものです。

古今伝授に纏わる様々な展示も、知らないことが多く目からうろこでした。

ということで、分かりやすい美術品以外の書が特に興味深かったです。
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