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「マネとモダン・パリ」 三菱一号館美術館

manet

三菱一号館美術館で7月25日まで開催中の「マネとモダン・パリ」に行って来ました。
展覧会HP ⇒ http://mimt.jp/manet/index.html

4月6日の会期開始から、人気は鰻昇り。GWには、入館待ちの長い行列ができていたとか、既に行かれた方から、入ったまでは良かったけれど館内は大混雑とか、そんな噂を聞いていたらついつい足が遠のいて、なかなか行けずに今日に至りました。
行くなら、GW明けの水曜か木曜の夜間開館狙いと思い、漸く本日決行。生憎の雨模様+肌寒い天候が幸いし、今日の夜間はいつもより来館者は少なくゆっくり観賞。気が付けば閉館時間まで目一杯、滞在時間2時間では足りないほど長居してしまいました。

本展は、マネの芸術の全貌を、当時のパリが都市として変貌していく様子と結びつけながら、代表的作品により展覧しようとするもので、マネの油彩、素描、版画80点余が出品。また、同時代の作家たちの油彩、建築素描、彫刻、写真など約80点もあわせて展示し、マネが生きたパリの芸術的な背景も紹介するもの。

実のところ、私はこれまでマネの作品にそれほど魅力を感じていなかった。一応、1年半前にロンドンへ行った際、コートルードで「フォリー=ベルジェール劇場のバー」やかつて行った卒業旅行のオルセーで「笛吹きの少年」を観ているのだけれど、「なぜ、かくもマネの人気や評価が高いのか」を理解できなかった。「ふぅ~ん」としばらく眺めて歩き去り、ポストカードを買う対象にもなることもなく通り過ぎて来た。だから、こんなに出掛けるのが遅くなってしまったのだ。

しかし、そんな私が本展半ばからすっかりマネ作品に魅了され始めたことに気付き、名残惜しい気持ちで展覧会を後にしたのだ。

展覧会の構成は
?.スペイン趣味とレアリスム:1850-60年代
?.親密さの中のマネ:家族と友人たち
?.マネとパリ生活
の3部構成になっているものの、展示順は会場の広さの問題もあってか作品リストの掲載順になっていない。そのため、ちょっと混乱したが、大きな章立てが更に細分化され、小単位で展示されているので、リストと首っ引きにならなければ、左程気にならないかもしれない。

さて、展示作品の詳細は既にブロガーの皆様がお書きになっておられるので、ここでは全体を通しての感想にとどめたい。
「何故、本展により私がマネを好きになったか。」

同館館長であり、本展監修者の高橋明也氏はインタビュー(以下)の中で、「今回の「マネとモダン・パリ」展は、世界的に見ても1983年の没後100年を記念して、パリとニューヨークで開催された回顧展以来のハイレベルなものだとのお褒めの言葉をいただきました。」と語っておられる。
(参考)MMFのWeb http://www.museesdefrance.org/special02.html

国内では、1996年と2001年に「マネ展」が開催されているだけで、ここまで大規模な展示は国内初。確かに超のつく名品「オランピア」「笛吹きの少年」他は出展されていないが、むしろこれまで目にしない様々な分野のマネ芸術を網羅し、その魅力を伝えていた。これだけ借りて来られただけで十分評価でき、国内では稀有な機会だ。

例えば、静物画、花の作品、そして猫をモチーフにした版画やポスター、肖像画、ベルト・モリゾなどテーマ別に取り上げ、展覧会が進むに連れて、いつしかマネの一方向的でない作品の虜になってしまうのだった。

高橋氏が展覧会冒頭に、「モネやルノワールらであれば、一定方向に作品が定まっており、作品単位での大きなブレはないが、マネは作品それぞれによって作風が異なり、作品によって全く別の一面を見せる。」というような内容を寄せておられた。
色彩だけを取ってみても、「黒」を印象づけるモリゾの肖像画があると思えば、一転して明るい色調だけで描いた妻の肖像があったり。マネの七変化。
これこそ、マネの魅力の一つではないか!彼の姿勢は常に新しい絵画の方向性、可能性を探ることにあったのだろうい。だからこそ、毎回がチャレンジングな作品となり、後世の私たちに一定の顔を持たない画家として記憶されるのではないか。

油彩の中で印象に残った作品は次の通り。マイベストは、「横たわるベルト・モリゾの肖像」1873年。
・「エミール・ゾラ」1868年 オルセー美術館
・「温室のマネ夫人」1879年 オスロ、国立美術館
・「すみれの花束をつけたベルト・モリゾ」 オルセー美術館
・「扇を持つ女」 1862年 ブダペスト美術館
・「花瓶に挿したシャクヤク」1864年 ニューヨーク、個人蔵
・「4個のリンゴ」1882年 クーンズ・コレクション
・「秋」(メリー・ローランの肖像」)1881年 ナンシー美術館
・「街の歌い手」1862年頃 ボストン美術館
・「黒い肩掛けの女」1878年 シカゴ美術研究所 
・「死せる闘牛士」 1865-66年 ワシントン、ナショナル・ギャラりー などなど

油彩もさることながら、マネの版画、素描も多く展示されており、そのほとんどがフランス国立図書館所蔵作品であった。中でも版画作品は、これ以上マネ作品を観る機会は今後ないのでは?と思う程、充実。先日町田市立国際版画美術館のギャラリートークで、担当学芸員の方が「三菱のマネとモダンパリ展に出展されている版画のレベルは非常に高い。オススメです。」と他館の企画展なのに、評価されていたことを思い出した。現在開催中の町田の版画展でもマネの版画は数枚展示されている(『大鴉』のシリーズ)。

版画で印象に残った作品は次の通り。所蔵先に記載がないものは、フランス国立図書館所蔵。

・「異国風の花」 1868-69年
・「帽子とギター」1862年
・「気球」 1862年
・「少年と犬」 1862年
・「プルチネッラ」1874年
・「猫と花」1869年
・「小さな騎士たち」 1862年

異色なのは「猫のランデブヴー」1868年と題するポスター。これと「猫と花」の猫コンビは一推し。マネはこんな作品も制作していたのか!と驚き感心した。

こうして、展覧会監修者の熱意と企画意図が見事に伝わって来たことにより、俄かにマネファンへと豹変したのだった。ただ、今日は空いていたから良かったけれど、激しく混雑していたら、どうなっていたか分からない。版画作品など小サイズの作品など近くに寄れない状態になるのだろう。

そして、本展タイトルに付されたもうひとつのテーマ「モダン・パリ」についての展示も興味深い。
私の強い関心を惹いたのは
・パリ、サン=トーギュスタン聖堂(正立面図) ヴィクトール・バルタール
・ゲイテ座(正立面図・断面図) アルフォンス=アドルフ・キュザン
らの建築図面。飾まで精緻に表現されたシメトリーな図面は、少しの揺らぎも乱れもない美しさ。
もうひとつ、当時のパリを撮影した古写真。中でも、あのアンリ・リヴィエールが撮影した古写真に目が釘付け。
リヴィエールが撮影した事実に驚いたのだった。

う~ん、やはり図録を購入すべきだろうか・・・。
1階のミュージアムショップでは、図録の他に1週間前に入荷したばかりという没後100年マネ展図録(パリ、NYで開催)が限定10冊で販売されていた。こちらは7千円。いずれも、俄かマネファンにとって魅惑的だったが、今回はぐっとこらえたが、未練たらたら。

当時のパリの様子でマネの描こうとした世界を見せ、現代の丸の内に当時のパリを重ね合わせる。面白い視点だった。

しかし、あの床は・・・。ヒールを履いていくと、かなり気を遣って歩かないと音が響いてしかたがない。

*7月25日まで開催中。空いている平日夜間(雨天など狙い目)や閉館間際がゆっくり見られるかもしれません。

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紅茶のメロンパン様

こんばんは。
コメント有難うございます。
今年は印象派前後の大作が続々と来日する年で、賑やかしいですね。
私もマネ展の企画力とマネ作品の魅力にノックダウンされました。
コツコツの靴音さえも楽しめるような大らかな気持ちになれるよう
次回は心したいと思います。
なるほど、ものは考えようです

No title

こんにちは。
日曜日の4時半以降に行きましたが、意外と空いていて楽しめました。
今はマネ展といい、ボストン美術館展、オルセー美術館展といい、印象派+αの展覧会が目白押しですが、
私の好みで言うと、マネの魅力を多角的に捉えた企画力の点で、マネ展が他を圧倒しているように思います。
私も、「横たわるベルト・モリゾの肖像」が一押しです。
画業の後半は印象派の明るい色彩の影響を受けますが、マネはやはり黒ですね。そして、それを引き立てる白に近いピンク色が最高にすてきでした。
長くなりすみません。
床のカタコトという足音は、静かなときは逆に静けさを強調してくれて、いい感じでしたよ。

一村雨様

こんばんは。
マネって、噛めば噛むほど味が出る「スルメ」みたいな画家ですよね。

マネの良さを知って欲しい!という思いが直に伝わる好展示。
ロンドンのコートルードには「フォリー・ベルジェールのバー」だけでなく
オルセーにある「草上の朝食」の一回り小さいヴァージョンがあります。
ぜひ、いつか行っていただきたい美術館です。

No title

memeさん同様、私もこの展覧会でマネに開眼しました。
あちこちで、マネの絵は目にしますが、かつて、まとまったマネ展って
見たことがなかったからでしょうか。
マネの時代の雰囲気がよくわかり、いい雰囲気の展覧会でした。
オランピアや草上の昼食がどれだけスキャンダラスだったか・・・
そんなことが分かればもっと楽しい展覧会だったかなぁと思いました。

21世紀の×××者様

こんばんは。
マネにこれ程惹かれるとは、自分でも思ってもみませんでした。
それだけでも主催者の意図は見事に反映されたと思います。

モリゾの部屋と猫コーナーがお気に入りです。

No title

こんばんは
やはり平日夜間は狙い目でしたか。休日は大変なことになってました。
モリゾの部屋は特に良かったですね。黒が印象に残りました。
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