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「又兵衛絵巻と北斎・広重風景版画の名作」 MOA美術館

MOA

熱海にあるMOA美術館で6月7日まで開催中の「又兵衛絵巻と北斎・広重風景版画の名作」に行って来ました。

開催していたのはぼんやり知っていたけれど、行く予定になかった。
しかし、2週間前twitterのTLに「岩佐又兵衛、浄瑠璃物語絵巻全12巻が公開!」流れて来た。呟かれていたのは、早速足を運ばれた「弐代目・青い日記帳」のTak様。

私は、又兵衛の大ファン。
しかし、俄か美術ファンの私は2004年千葉市美開催の「岩佐又兵衛」展を観ていない。というかその時点で、私は彼の存在を知らなかった。
仕方ないので、数年前から又兵衛の展示があると耳にすれば、できる限り足を運んでいる。
今回展示されている岩佐又兵衛≪浄瑠璃物語絵巻≫は、私が又兵衛ファンになるきっかけとなった記念すべき絵巻。
この絵巻は又兵衛が手がけたと言われる絵巻の中で、最も色彩華麗な作品と評価されている。
ただし、本作監修者が岩佐又兵衛ではないかと言われている一方で、≪山中常盤絵巻≫≪堀江物語絵巻≫とは紙質、色彩に相違が見られ、別のグループの作品ではないかとする説(どうも辻惟雄先生はこちらの説ではあるまいか)もある。
ま、作者問題は古美術絵画作品にはつきもの。あまり、作者についてはとりあえず気にしないでおく。

初めて私がこの絵巻に出会ったのは、2008年サントリー美術館開催「KAZARI 日本美の情熱」展でのこと。図版では見ていたものの、まさかこれほどのものとは。この時は、全12巻のうち、3巻・4巻・5巻が出展されていた。
そして、2009年3月に今回と同じMOA美術館「所蔵名品展」、こちらではわずか1つの巻(不覚にも巻数の記録を残さなかったので不明)しか展示されておらず。
そして、この時の経験から名品展でも所詮1つの巻か・・・と諦観の境地に至ることに・・・。

ところが、である。

実際に行ってこの目で見るまで半信半疑であったが、本当に全12巻揃い踏み。しかも九巻は、全貌が一度に公開されているではないか。
我が目を疑うと同時に、ガラスケースに張り付いた。この絵巻、詞書は原作「浄瑠璃物語」を引用し、金泥による料紙装飾も艶やかな所に書き連ねられる。詞書全文が読みやすいようにパネルに貼ってあり、段ごとのあらすじも解説パネルで紹介されている。
浄瑠璃物語絵巻は、義経説話の一つで、奥州へ下る牛若と三河矢矧の長者の娘浄瑠璃との恋愛譚を中心にした内容で、中世末期には浄瑠璃節として、盲目の法師によって盛んに語られていた。

誠に勝手ながらブログ「徒然なるままに」様が2007年に全12巻をご覧になった際の各巻段内容は以下の通り。引用させていただく。今回もこれと同じだったと記憶している。

・巻一 三河国矢矧宿(みかわのくにやはぎじゅく)
 物語のスタート一番展示されている部分が少ないが、ここは牛若が矢作の宿(現在の愛知県岡崎市矢作町)に入るま で。
・巻二 笛の音、物見の段;牛若は「せみおれ」笛を吹く
・巻三 風くち
・巻四 四季の段、姿見の段、枕問答の段、局入、忍入りの段
・巻五 やまとことばの段、精進問答の段、御座うつりの段
巻二から巻五までは、牛和歌と浄瑠璃姫との出会い、互いの存在に気付き、屋敷の中に招き入れられる牛若。姫を一目見たいと思ったその時、風が吹いて二人を隔てていた御簾がはらりと舞い上がり、ついに対面を果たす。
牛若は姫の心をつかもうとかき口説き-と言っても美しい歌などで-(やまとことばの段、精進問答の段)ついに、姫の心をつかみ。御座にうつり一夜を過ごす。
ここでの絵巻描写はまさに絢爛豪華。金で貼られた地のまぶしいこと。しかし、細部の細部まで手を抜くことなく描いているのは、尋常ではない。

例えば、屋敷内に広げられている書物。
通常これらが描かれていても判読できる文字は書かれていないことが多い。うねうねとした線だったり、点点が続いていたり。しかし、この絵巻ではミリ単位の文字が書かれていた。
池には水鳥たちに加え、雌雄の孔雀(?)もいたり、あちこちに精緻な筆致で描かれた鳥たちがいるのでご注目。

牛若の着物にはなぜかお猿さん模様で、絵巻は異時同図法により、1枚に時間の違った場面が描かれるので同じ人物があちこちに出てくるが、その着物は一貫して同じ、お猿を確認できれば牛若だと分かる。
姫の描写。ここでは、糸のように長く漆黒な髪をあげたい。床入りの場面に描かれた屏風にまで掛け垂れ下がる長い髪と周囲の鮮やかな色彩の対比。背景のまぶしいばかりの色によって、より黒い髪が映える。

・巻六 別れ
一夜を明かした二人はすぐに離れ離れになる。ここで牛若は霞の印を結ぶ場面が描かれるが、これは何かの術なのか?
絵巻にはうすく白っぽく牛若が宙に描かれている。この後、彼は馬追いとして東へ向かう。

・巻七 牛若の受難
・巻八 牛若の罹病
・巻九 牛若の死
馬追いとして東へ向かうが、姫への恋慕のあまり、牛若は病を得て、蒲原宿で床についてしまう。が、宿の女主人に目を付けられ、娘の婿へと請われ、橋にもかけなかった牛若の態度に腹を立てた主人によって殺されてしまう。
巻九は、全場面が公開されていた。牛若の病から死に至るまでの描写は、たとえ詞書は分からずとも、顔色の悪さ、布団などから誰もが理解できる。ここからいよいよ物語は悲しい結末へ。

・巻十 浄瑠璃の旅
牛若の危険を察知した浄瑠璃姫はお付きの冷泉と女二人で東へ向かうも、富士山の雪女と間違われて宿が見つからない。
・巻十一 牛若の蘇生
牛若の死を知った浄瑠璃姫は、悲しみにくれる。亡骸をかき抱き涙がとめどなく落ち、その涙が牛若の顔につたった時、牛若は蘇生する。そして、牛若は姫を天狗の化け物、これが強烈なキャラクターで2匹?いる)の背中に乗せて矢作へ送りか返す。自分は平家討伐を誓い、戦いの場に向かう。

・巻十二 五輪くだき
ここでは、平家と源氏の戦闘場面が繰り広げられる。戦の描写に登場する武者の数は一体いかほどだろう?そして、人物の誰もがイキイキとした表情をし、動きの描写も皆違う。
戦いに勝利し、姫のもとに駆け付けるも姫は既に此の世にいなかった。母に追い出され、死に至ったのだ。牛若はこの話を尼になった冷泉から伝え聞き、冷泉寺を建立し、姫の菩提を弔う。そして報復のため姫の母を捕まえ、簀巻きにして海へと。

やはり、物語の筋を追って絵巻を読んで行くのが一番。ストーリーあってこその絵巻物。通常は、この一場面しか展示されないので全貌を理解できないのは甚だ残念。

山中常盤とは違って、血みどろなおどろおどろしさはほとんどない。義経と浄瑠璃姫の可愛そうな恋物語。
やはり、最後は美しさより残酷さが印象にに残るのであった。


と、絵巻全12巻を堪能した後の広重・北斎の浮世絵は過去に何度も観ているせいもあり、お漬物的な感覚でざっと回った。
しかし、その次に続く部屋はそういう訳にはいかず、再び足を止める。
絵巻だけではなく、同館所有の又兵衛作品がいくつか展示されていた上に、北斎・広重の肉筆画が各2点ずつ出展されているではないか!
現在の展示作品リスト ⇒ MOA美術館HP*展示期間終了後リンク切れになります。

・自画像 岩佐又兵衛勝以 重文
この自画像は、又兵衛ファンなら一度はどこかで目にしているのではないか。冴えない大人しそうな様子の又兵衛自画像。
・官女図 岩佐又兵衛勝以 重要美術品
・楊貴妃図 岩佐又兵衛勝以
・伊勢物語図  岩佐又兵衛勝以 重要美術品
・寂光院図 岩佐又兵衛勝以  重要美術品
・柿本人麿図・紀貫之図 岩佐又兵衛勝以 重文
過去に訪れた時に拝見した作品もあり、今回は寂光院図、完汝図が気になる。≪柿本人麿図・紀貫之図≫双幅水墨画で歌は又兵衛自身の筆によるものか。宴での即興作品と言われている。

北斎の肉筆画2点≪群鶏図≫≪二美人図≫(重文)は、いずれもさすが北斎と思わず唸った。やっぱり凄いわこの人は。広重は≪墨堤花見二美人図≫≪犬目峠春景図・猿橋冬景図≫、と美人画と得意の風景画。
北斎程のインパクトはないが、控えめな美しさは広重の得意とする所。

で、もう終りにしたいのはやまやまだけれど、あと少しお付き合いを。

階段を下りた展示室5にはいつものモネ作品とレンブラント以外に、高村光雲≪妙音天≫1929年があった。小さな木彫ではあるが、とても美しいお顔で今も忘れ難い。

展示室6以後はプチ東博「日本美術の流れ」のように、時代単位に仏画、考古、やきものとジャンルを問わず古美術作品を展示。以下印象に残った作品をあげるが、ここも垂涎もの作品多数!
・聖観音菩薩立像 奈良時代  重文 ☆小さいけれど、一木造の美しい立像
・仙盞形水瓶 平安時代 9~10世紀 重文
・妙法蓮華経 巻第八(平基親願経) 伝 平基親 平安時代 12世紀
・蓮唐草螺鈿礼盤 鎌倉時代 13世紀 重文
・瀬戸奈屋肩衝茶入 伝 藤四郎 室町~桃山時代 16世紀
・唐物箆目肩衝茶入 大名物 中国 南宋~元時代 13~14世紀
・柳橋図屏風 桃山時代 17世紀
・色絵石楠花文皿 鍋島 江戸時代 17世紀末~18世紀初期
・美人相傘図 礒田湖龍斎 江戸時代(18世紀)
・唄姫図 鳥文斎栄之 江戸時代 寛政6~7年(1794~95)頃
・文瓶 伊万里 江戸時代 17世紀初期  形がすそ広がりに膨らみ、八方に縦筋で分ける。
・色絵若松椿文水指 尾形乾山 江戸時代 18世紀 乾山のやきものは他に2点あり。

以前訪れた際、展示室7・8はやきものばかりだったのに、今回はやや趣向が変わって一層ワンダーランドと化していた。又兵衛だけではありません。仏画、やきもの何か目に留まるものが見つかる筈です。

*6月7日(月)まで開催中。木曜&第2水曜日は休館ですのでご注意ください。

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岩佐又兵衛 浄瑠璃物語絵巻 

浄瑠璃物語絵巻 MOA美術館 併設展示作品 2007年10月24日まで 既報のとおり、岩佐又兵衛の浄瑠璃物語絵巻の全巻が、2年ぶりにMOA美術館で公開されていた。熱海を通る機会があったので、滞在時間1時間ということで、浄瑠璃物語絵巻を覘いてきた。 展示室6に拡げられてい

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noel様

こんばんは。

この後に続きを書きますが、絵巻全12巻だけじゃないんです。
呟きましたが、常設がプチ東博+光のメディアアートもあったり。
全12巻は3年に1度くらいのペースで公開しているようですね。

No title

ああ~またしても吸引力ある記事! 私もtakさん記事ですごーく気になってましたが、やっぱり行くべきでしょうか~~悩む...って開催期間あと少しだけど。全巻見れるって貴重ですよね。
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