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「ルーシー・リー展」 国立新美術館

ルーシー

国立新美術館で6月21日まで開催中のウィーン、ロンドン、都市に生きた陶芸家「ルーシー・リー展」に行って来ました。
展覧会公式ホームページはこちら

ルーシー・リー(1902-1995)はウイーンの裕福なユダヤ人家庭に生まれ、ウィーン工業美術学校で轆轤の面白さに魅了され、作陶を開始。
彼女の作品は程なくブリュッセル万国博覧会などの国際的な展覧会で数々の賞を受賞し、高い評価を得る。しかし、第2次世界大戦の足音を聞く頃、ユダヤ人であるが故、ナチスドイツの迫害を恐れ、1938年英国に逃れ、以後およそ半世紀にわたり同地で制作を続ける。
本展では、20世紀を代表する陶芸家ルーシー・リーの創作の軌跡を国内外のコレクションより選りすぐった約200点でたどるもの。近年英国の研究機関に寄贈された豊富な関係資料をふまえた没後初の本格的な回顧展となっています。

ルーシー・リーの名を知ってから、まだ日は浅い。
昨年、六本木の21_21デザインサイトで開催された「U-Tsu-Ea/うつわ」展でその名を知り、作品を初めて拝見した。
この「U-Tsu-Ea/うつわ」展を企画したのが、私の好きなデザイナー三宅一生氏で、陶芸界の一部でしか知られていなかったルーシーを広く日本に紹介した功績は計り知れない。
三宅氏とルーシーとのつながりがなければ、今回日本での初回顧展が開催されることもなかったかもしれない。

果たして、三宅氏はルーシーの作品のどこに魅了されたのだろう。
ロンドンで見つけた彼女の作品集に衝撃を受け、三宅氏はすぐにルーシーの工房を訪ねたという。芸術新潮6月号(最新号)記事によれば、「見たことがないものを見ているという思いと同時に、僕がずっと探していたものがここにあるという感情に襲われた」と氏は回顧している。

昨年、最初にルーシーの器を見た時にはカラフルな色彩ややきものの薄さに惹かれた。
しかし、本展で改めてじっくりと彼女の器を見て行く中で徐々に彼女の器に対する私の気持ちは変化していく。

まず、一番惹かれていた色彩にあまり魅力を感じることなく、寧ろシンプルな白の器、例えば≪白釉青線文鉢≫東京国立近代美術館蔵、や愛らしい≪丸文鉢≫ギャラリー小柳蔵、徹底した造形美を感じる≪スパイラル文花器≫個人蔵の方に好みが傾く。

また、もうひとつ強く惹きつけられたのは溶岩釉シリーズの陶肌。あのデコボコした肌合い、テクスチャーが何とも言えない。そこにルーシー特有の色合いが加わって一層魅力を増している。

展覧会は、
Ⅰ.初期-ウィーン時代 1921-38年
Ⅱ.形成期-ロンドン時代
Ⅲ.円熟期
と制作年代を追って作品を展観している。合わせて彼女の持ち味である様々な色を生み出す秘密である「釉薬ノート」やその人となりを知る書簡や家族写真など資料も豊富に展示され、作品だけでなくルーシー・リーという人物像にも迫る展示内容となっていることは見逃せない。

ここでは、個々の作品について振り返ることはせず、展覧会を見ての感想を述べたい。

約200点に及ぶ作品を見て感じたのは、ルーシーの作品に彼女が見てきたもの、そして好きだったものが見事に反映し、それを自身の作品に昇華していることだ。
≪スパイラル文花器≫、溶岩釉シリーズなど、どこか土器や古代陶器の面影を感じさせる作品が少なくない。そして同様に白釉シリーズでは中国宋代、元代、あるいは朝鮮白磁の影響を強く感じる。
彼女は、やきものの歴史を踏まえた上で、うまくそれぞれの良さを現代陶芸に再現した。

それが自分の中で分かった時、ちょっとだけルーシーの作品から気持ちが離れて行くのが分かった。
彼女がインスパイアされたそれらの土器、中国陶器、朝鮮陶磁オリジナルの方に、私自身より強い魅力を感じてしまうからだ。
オリジナルの力強さとでもいうべきか。
もちろん、ルーシーの現代陶芸も評価しているし、素晴らしいと思う。これは、単純に個人の嗜好による問題と思っていただきたい。
よって、昨年も今年もルーシーの作ったボタンの数々、これらは古代陶器などと比較することなく彼女のオリジナル作品として純粋に気持ちが入って、惹きこまれ、もっと言うなら、このボタンを活かした三宅氏デザインの洋服を一度で良いから袖を通してみたいと切に思ってしまうのだった。

最後に、再び彼女の器に話を戻す。
彼女の器の形にもまた注目しなければならない。薄作りであるだけでなく、ラッパのような円筒花器、朝顔のような鉢など同じフォルムの作品を数多く手掛けている。
これらは、ルーシーのこだわりが強く形態にあったことを示しているのだろう。
だからこそ同じフォルムの作品を作り続けたのか、もしくは発注者の意図によるものか。

その形を見た時、ルーシーの器だとすぐに分かる、そんな造形美を創り出した陶芸家はやはり偉大だと思っている。

なお、先にご照会した「芸術新潮6月号」のルーシー・リー特集が非常に充実しています。

shincyo6

また、展覧会図録はコンパクトサイズながらこちらも全作品の写真集のようで、ルーシーファンにはオススメです。

*6月21日まで開催中。
展覧会は、下記の通り巡回します。既に国立新美術館はオルセー展の余波もあってか混雑しているようです。巡回先の方がゆっくり観賞できるのではないでしょうか。
・益子陶芸美術館 8/7~9/26
・MOA美術館 10/9~12/1
・大阪市立東洋陶磁美術館 12/11~2/13
・パラミタミュージアム 2/26~4/17
・山口県立萩美術館・浦上記念館

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一村雨様

こんばんは。
お返事が遅くなり、申し訳ございません。
腰の具合がよろしくないようで、以前同じように腰痛で
苦しんでいたため他人事には思えません。
どうかお大事になさって下さいませ。
ルーシーの器とその生涯をまとめて拝見できる素晴らしい
展覧会でしたね。

No title

私もmemeさん同様、ちょっと前の六本木でこの陶芸家を知りました。
こんなに人気のある作家とは思いもよりませんでしたが、
実際にその作品を見ると、人気の理由がよくわかりましたね。
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