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「観じる民藝」 そごう美術館

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そごう美術館で7月4日まで開催中の「観じる民藝-尾久彰三コレクション-」に行って来ました。

「骨董とは生きていく上のお囃子で、元気の素」という尾久彰三氏(おぎゅう・しんぞう・1947-)さんは、柳宗悦とともに民藝運動を行っていた伯父の影響で、早くも10歳頃にもの集めに開眼。長じて敬愛する柳が創設した日本民藝館の学芸員として長年勤務し、益々その眼に磨きをかけました。ものを観るということは自分自身を知ることという姿勢で、何気ないものの中から深遠な美を見出す尾久さん。

本展は新刊本『観じる民藝』の刊行にあわせ、コレクションから選りすぐった、李朝の工芸品、日本の古陶磁、仏像や仏画、染織品、木工品など約350点を展覧します。何やら不思議な御縁で舞い込んできたもの、はたまた金策を労してようやく手中に収めたもの、今日はやめておこうと思いつつ一目惚れしてしまったもの等々、尾久さんが観て、観じ、愛してやまないものたちへの思いを語った名文とともに多彩な品々を紹介しています。~展覧会チラシより引用


展覧会のイベントとして「尾久さんと友人たちとの語らい」と題して、展示室内の「尾久さんの部屋」に会期中の毎週日曜にゲストを迎え、展示品の中からゲストにちなんだものたちを設えた中でトークショーを行います。
第1回目(5/30)は古道具坂田店主の坂田和實氏、そして2回目となる本日は山下裕二氏(美術史家・明治学院大学教授)がゲスト。2回目の本日トークショーに参加したので、その様子を交えつつ展覧会を振り返ります。

「尾久さんの部屋」は畳敷き。
山下氏と尾久氏のお二人は小さな四角いテーブル(詳細は後述)を前に、まずは「あらためまして、ようこそ」とお二
人のご挨拶から始まります。
そして、ゲストに合わせて設えだけでなくおもてなしも毎回変えているそうで、今回は尾久さんの知人が輸入されているスプマンテを酌み交わしてのトーク。お酒を楽しみつつのトークは、前代未聞と山下教授。
お酒を傾けつつのトークは、弾む弾む。お酒の器は明治時代の古ガラス製の小さなコップ。ワインクーラーがわりをするのは唐津焼の鉢。早速、作品たちががしがし使用されています。
おつまみは、オリーブの塩漬け。これが唐津焼の平碗に盛られています。これは今回の企画展を担当されたそごう美術館学芸員の森谷氏が会場から探して来られたそうですが、本来、お皿ではなくお抹茶を飲む器だとかで苦笑い。しかもこの唐津焼、お値段も立派で40万だったと暴露。

更に、会場にいた参加者にこの器を回して良いことに!皆で器を触って楽しみ、希望者はオリーブ食べてもOK!という大サービスまでありました。オリーブ美味しかった!

テーブルは、高島屋の骨董部(今はない)で尾久さんの奥様に、尾久さんが薦めて奥様が購入されたもの。どれも、購入に際して、楽しいエピソードが尽きません。
値段の話題から、「ものを語る時にお金で語るのは簡単で分かりやすい」「東博の常設展示作品の値札を付けたら面白い」「自分の価値観との比較をしやすい」「ものの値段は変わって行く」と話題が展開。

続いて「尾久さんの部屋」に展示されている作品や、山下教授が会場内でこれは!と思った作品にまつわるお話が続きます。

尾久さんが一番最初に買ったもの、それは泥人形の天神様でした。
10歳の頃から前述の伯父さまのお手伝いで古美術商に出入りをしていた尾久少年は、ある日一人で飛騨高山の古美術商で、天神様に目を留め、購入。
その後、何年もかけて6つの古美術店で1点1点、天神様をお祭りするのに相応しい道具を購入していきます。お社やら神酒飾り付き瓶子など。天神様の刀は、天神様が正一位ということから裏山から取って来た櫟の木を、刀は民藝館の梅で尾久さんがこしらえました。長い付き合いの天神様ですが、ある時、尾久さんが占いのようなことをしていたら、狐が天神様に化けて、尾久さんの前に現れ、「これから、わたしがあなたの守護神になります。」とお告げがあったと真顔で話されていました。

古びた小さな天神様とそれを大切にされている尾久さんを観ていると、あながち夢や幻でもなさそうな気がしてきます。また、10代から、自分のおこづかいで購入できるガラス器類を購入されていたそうです。

山下教授のお気に入りは、平安時代の木彫「神像」と真っ黒な通称「ドテラ地蔵」(江戸時代の地蔵菩薩)、そして弥生時代の土器・壺(本展チラシ表面掲載)、「刺繍三尊来迎図」(南北朝時代)。

「ドテラ地蔵」は、横から見るとドテラを着用しているように見えるからと尾久さんが付けた愛称で、頭が小さく東北で作られたもの。同じくお部屋にあった石版の「万治の石仏」に恰好が似ていると山下教授が指摘し、尾久さんも「なるほど、気付かなかった」と両者の共通点に納得。

一方、平安時代の木彫は実に素朴なお顔をしており、尾久氏曰く「これを買った六本木の店主は神像と言っていたが、頭は羅髪のようだし、仏像じゃないの~」と笑って、仏像もどきの神像を我が子のように愛でておられました。九州におられるご子息を尋ねる直前の買い物で、大分県臼杵のもの。「ちょうど先鞭になった」と尾久氏。
この仏像をだっこしつつ山下教授は「木が枯れてて、いいですね~」とにこにこ。
こちらも参加者に回覧されることに・・・。「みんなの手の脂が付いていいんじゃないか」と尾久さん。
もしかすると、一番ハラハラされていたのは、学芸員の森谷氏だったのではないかと思います。尾久さんの止まらぬトークに、時に止めに入ったり、助け船を出したり。

この企画展は5年越しで実現したもの。更に今日のトークは2年前の同館開催「木喰展」でのお二人のトークが非常に好評で楽しかったので、すぐに2年後の企画展でのトークの予定が決まったと森谷氏からの説明がありました。

さて、話を戻しましょう。
平安時代の木彫は、縄文時代の巨木信仰にルーツがあるのではと山下先生の解説が続き、次に弥生式土器と「尾久さんの部屋」にあった縄文土器へと話が展開。なお、お部屋になくても、話題にあがった品々は、すぐに美術館の方が会場内に持って来られ、作品を前に話が進みました。
弥生式土器は、道路工事の際に発見され、一方縄文土器は尾久さん曰く「本当に縄文なのかは分からない、レプリカとかクッキーに見えるが、自分は時代よりも器に付けられた波の紋様が美しいから買った」。

「良い、悪いという言い方をする。何が本当なのか?真贋を問うことに意味があるのか?」と山下教授。今ここにあるものと自分との関係が一番重要なのではないのか。

最後に尾久さんお気に入りの通称「ミルヒー」こと李朝だと思われる神像が登場。この男神像は、かなり強烈な個性を放っています。他に「奪衣婆」の像、これら2点は、本展開催にあたって出展作品が決定した後に、購入された新しい仲間たち。でも二つとも尾久さんの一番のお気に入り。
『「奪衣婆」に衣服を奪われても、最後は「阿弥陀三尊来迎図」で阿弥陀さんがお迎えに来て下さるという展示の流れになっています。』と報復絶倒トークは、楽しい幕引きとなりました。


常々、個人コレクションの展覧会を拝見していると、コレクターの個性を感じます。今回も尾久さんのお人柄を見事に反映したコレクション、そして尾久さんとのお付き合いの長い学芸員さんとの名コンビで実に楽しい展覧会となっています。
毎週土曜日には、尾久さんのギャラリートークも開催されます。集めたものたちにまつわる楽しいエピソードが伺えるチャンス。こちらも、参加してみたいと思います。

最後に、今日のトークをしめくくった尾久さんの一言。
「美しいものは、熱意さえあれば必ず買えます。」
そして、トーク冒頭に語られた「骨董と民藝は異なるもの」。
尾久さんの集めた民藝の美を拝見できる貴重な機会。おすすめします。

(ご参考)来週以後のトークゲスト
6月13日(日) 青柳恵介氏(古美術評論家)
6月20日(日) 山本萠氏(詩人・墨人)
6月27日(日) 白洲信哉氏(文筆家)
場 所 :そごう美術館展示室内
定 員 :各回60名
参加費 :500円(消費税含む。別途、入館料が必要となります)
参加方法:そごう美術館までお電話でお申し込みください 電話 045-465-5515(美術館直通)
     *当日でも空きがあれば参加可能

展覧会図録は、世界文化社より刊行された「観じる民藝」で書店で購入可能です。今から読むのが楽しみ!

観じる

*7月4日まで開催中。本展は巡回がありません。お見逃しなく。

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美に導かれて/「観じる民藝」トークショー(尾久彰三+青柳恵介)

○そごう美術館 『尾久彰三コレクション-観じる民藝』トークショー「尾久さんと友人たちとの語らい」(ゲスト:青柳恵介氏)(2010年6月13日)  2009年まで日本民藝館に勤務し、骨董や民芸に関する著作も多い尾久(おぎゅう)彰三氏の個人コレクションを紹介する展覧

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jchz様

こんばんは。
jchz様の記事を早速拝見しました。3回目も盛り上がったようですね。
最終回の白洲氏は紅茶を供されるそうですが、次回はどうなるのでしょう。
気になります。
尾久さんの愛すべきお人柄が全面にあらわれて、素敵な展覧会と対談でした。

青柳恵介氏の回

こんばんは。トークショー青柳恵介氏の回を聴いてきました。尾久さん、フリーダムで楽しかったです。初回は水だったそうですが、山下さんの回が発泡ワインで、第3回は、ついに日本酒でした! 次はどうなっちゃうんだか…。
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