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「田原市博物館の名品による渡辺崋山展」 愛知県美術館

kazan

愛知県美術館で7月11日まで開催中の「田原市博物館の名品による渡辺崋山展」に行って来ました。

渡辺崋山は私の大好きな江戸の画家の一人。
我が地元愛知県にある田原藩(現在の田原市)の家老職にある人物だったことをご存知の方も多いだろう。
そして、絵師としての崋山と言えばこの作品・国宝「鷹見泉石像」東京国立博物館蔵を思い出されるのではないか。

渡辺崋山は家老職の家に生まれたわけではなく、父親は上士の家格であった。しかし、田原藩は貧しく財政困難で、上士と雖も、扶持は少なく大変な貧乏の中で暮らしていたという。
この辺りの詳細は崋山についての著書を読むもよし、Wikipediaを参照するもよし。

本展は画家としての崋山の活動に焦点を当て、その意義を改めて見直すものです。
作品は、田原市博物館の選りすぐった名品37件(うち重要文化財8件、重要美術品4件、田原市指定文化財11件)を一堂に展示します。注:作品は展示期間中入れ替えがあります。

冒頭に展示されているのは、椿椿山≪渡辺崋山像≫1853年(重文)。
椿椿山は崋山の弟子で、崋山の肖像画と言えばこの作品を思い出すことが多い。

以後展示は分野別に紹介されているが、愛知県に2年ちょっと前までずっと住んでいたにも関わらず、いまだ田原市博物館に行ったことはなく、田原市自体に行ったのも数えるほど。いや1~2回くらいではなかろうか。
今回展示されていた作品の大半が初見であり、田原までの距離を考えるとたとえ約30点と雖も、貴重な作品の数々を目にすることができ、とても嬉しかった。

以下、特に印象に残った作品について挙げてみたい。所蔵先は全て田原市博物館である。

・≪孔子像≫1838年
・≪渡辺巴洲像画稿≫1824年
・≪渡辺巴洲像画稿(五図)≫1824年
・≪林大学頭述斎像稿本≫1830-1844年
・≪ジャンヌダーク像≫1830-1844年

崋山といって真っ先に浮かぶのはやはり西洋絵画の技法を取り入れたリアルな肖像画だ。先にご紹介した「鷹見泉石像」は言わずもがな、「佐藤一斎像」など肖像画の名品は数多い。
今回は、その中でも特に≪渡辺巴洲像画稿(五図)≫をはじめとする画稿類に注目した。崋山の肖像画が生まれてくる過程をこれらの画稿が我々にその技法、肖像画への取り組み方などを教えてくれる。貴重な資料であり、作品の一部であった。
特に五図は、細かい表情のひとつひとつを的確にとらえ、描写しスケッチしている。

また、≪ジャンヌダーク像≫は以前九州国立博物館で観た≪ヒポクラテス像≫を思い出した。西洋の人物をモデルとして、何かの模写なのだろうか?西洋画の技法を習得しようとしていた姿勢が強く感じられる。

・≪月下芦雁之図≫1837年 田原市指定文化財
崋山にしては粗い筆致での水墨画。話は前後するが、崋山は最初白川芝山に入門、その後金子金陵に学び、彼の紹介で当時の人気絵師の一人として著名な谷文晁を師とすることができた。本作品は、亡くなる4年前のもので、同年≪高見泉石像≫をも描いているが、両者の技法は対照的で、一方では写実的な肖像画を、また一方では大胆な筆致の芦雁図を描いているのだった。この多才ぶり。

・≪湖石白猫図≫1838年 田原市指定文化財
奇妙な形の湖の石、-一見すると石というより植物のように見える-が、その石に丸くなって眠る白猫。岩上には雀が2羽、猫を見下ろしている。何とも言えぬあたたかい雰囲気がある。

・≪客坐掌記≫1832年 ・≪客坐掌記≫第十四 1838年 重要美術品
スケッチブックのような体裁でこれぞまさしく崋山の見て来たものをそのまま時を超えて自分も観ているようで、時代の息吹、崋山の息遣いを感じることができる。スケッチも実に味わいがある。

・≪一掃百態図≫1818年 重要文化財
これもスケッチブックのような冊子で、どこかのお店の中の様子を写生したもの。こうやって崋山は常に紙本を持ち歩きスケッチに精を出していたのだろう。
軽妙洒脱というのがピッタリ合う。特に女性の描き方筆遣いは後の静嘉堂文庫美術館蔵≪芸妓図≫につながるような描写も見られる。

・≪乳犬図≫19世紀前半
今年、黒川古文化研究所で拝見した 「乳狗図」 1841年によく似ている。こちらの方を先に描き、後「乳狗図」を描いたのか。親子の犬の様子に、崋山の思いが込められているのかもしれない。

・≪春秋山水図≫ 1830-1844年 絹本着色
崋山では比較的少ない山水図。
他にも≪高士観瀑図≫など田原市指定文化財の山水図が2点程出展されている。

・≪牡丹図≫1841年
これこぞ、崋山が自刃に追い詰められることになった歴史的な価値のある作品。これは以前も観たことがあるような気がする。

・≪獄廷素描及び記録≫1839--40年 重要文化財
これには心底驚いた。入獄していた際のスケッチである。こんなことが許されていたのか。だとすればやはり小藩と言えど家老職にあった人物にはやはり特別許可されていたと考えるのが自然なのか。
当時の取り調べの様子が垣間見られる歴史的価値の高い資料だと思う。

他にも崋山が使用していた印の数々など図巻スケッチ類がいくつも出展されている。これらも崋山の作品形成と絵画研究の過程を知る上で非常に重要な資料であった。

なお、併催の「和魂洋眼」も愛知県美の所蔵作品展ながら、名品が揃っている(さすがに、こちらは過去に拝見した作品が多かったけれど、再会もまた楽し)。

*7月11日まで開催中。

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