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「都築響一と巡るHEAVEN 社会の窓から見たニッポン」 広島市現代美術館

heaven

仕事が加速度的に忙しくなり、予想通り絶賛放置中ブログになってしまった。言い訳にしかならないけれど、山は越えることなく当分ズルズルとこんな調子が続きそう。書ける時だけ書くしかないかなと、あまり無理をしないことにしました。

ということで、会期末まで今日を含めてあと3日の広島市現代美術館で開催中の「都築響一と巡るHEAVEN 社会の窓から見たニッポン」を観て来た感想です。昨夜、青山ブックセンター本店で開催された同展覧会図録(青幻社刊・2500円)出版記念をかねての都築響一トークショーにも参加。展覧会を巡る裏話や都築氏による解説は抱腹絶倒。漫談を聴いているかのようでした。

本展は、都築響一がこれまでに展開してきた活動を包括的に紹介する初の本格的な個展であり、彼が日本各地で取材し、撮影した写真と映像、それらの対象について語る言葉、さらには対象の実物などにより構成されます。広範にわたる関心領域がダイナミックに交錯する、めくるめく都築ワールドを堪能できます。~展覧会チラシより一部抜粋

まず、この展覧会も写真撮影可能。西宮市大谷記念美術館の「パラモデルは世界のプラモデル」や三重県立美術館「浅田政志展」など近頃現代美術の展覧会で写真撮影可能なものが増えている。都築氏が今回の個展でやりたかったことにひとつが、これまでの展覧会で「どうして?」「こうすれば?」と思ってきたことを実現化すること。
曰く「立体を使って美術館全体を一つの本と見立て、進んで行くと本のページをめくるような構成にしたかった。更に写真やキャプションもなるべく大きいものを使用し、通常キャプションの文字は小さくできるだけ文字数も少なめにすることを要求されるが、その逆をしたかった。しかし、実際やってみるとそれは大変な作業だった。椅子も沢山用意し、1日美術館でゆっくりできるように配慮した。全部の作品キャプションを読んで行ったら多分6時間位必要。」。

この言葉に、本展で都築氏がやってみたかったことが凝縮されている。
更に広島開催のため、広島の独自性を出すために、同地でのみ有名な伝説的人物「広島太郎」(住所不定の方・展覧会チラシに撮影されている人物)さんを美術館にお呼びしてインタビューと撮影を行い、デコラティブなオートバイ(暴走族が使用するような)を本展で展示するため、千葉の秘密工場で制作。どっか~んと地下1階の展示室にこの装飾過多な単車が展示されている。現在広島市では暴走族撲滅キャンペーンを展開中で、いやしくも市の美術館にこれを展示することは問題になったらしいが、実現可能になった。広島太郎氏にインタビューと撮影を申し込んだのは、本展を担当した若き学芸員の松岡氏とのことで、逢いたいと思ってもなかなか逢える相手ではなく大変だったと図録にコメントを寄せている。

美術館側の協力姿勢は並大抵のものではなく、驚くべきは地下1階にある秘宝館の完全再現コーナーでここは18歳未満入場禁止。このため18歳未満と以上でチケットの色を分けたりと工夫されたそうだが、ちょうどこの展覧会から同美術館入場料は小中学生無料化が始まったのに、18歳未満不可って・・・と都築氏ご自身も苦笑。秘宝館再現は2001年の横浜トリエンナーレでも展示されたが、今回はその時よりスペースも広く完全再現を行い、今後こんな機会はないとのと。オートバイや秘宝館はじめ、よく美術館が展示を許してくれた、これが東京都内の美術館であれば不可能だったとトークで都築氏は美術館側への感謝の気持ちと今回の例をはじめとして、東京より地方の方が風通しが良いと感じることが多いと語っておられたのが印象的だった。

展覧会の構成は、次のような章単位になっている。順番に進んで行く。
・遊行するこころ   ⇒ 『ROADSAIDE JAPAN 珍日本紀行』、『ニッポン国世界村』
・巣ごもりするこころ ⇒ 『賃貸宇宙』、『TOKYO STYLE』、『着倒れ方丈記』『当世とりかえばや物語』他
・我が道を行くこころ ⇒ 『巡礼』シリーズ
・歌い踊るこころ   ⇒ ≪カラオケ・ネイション≫、レーザーカラオケ
・かぶくこころ    ⇒ アート・トラックシリーズ、デコレーションオートバイ、オレサマ商店建築他
・闇に向かうこころ  ⇒ 『見世物小屋絵看板』、≪Sperm Palace 精子宮≫ 

個人的には見世物小屋の絵看板に一番驚いた。実際観たのは初めてかもしれない。カリスマ的な絵師がお二人いらっしゃって、いずれも北九州市の方ということだが、絵画としてフラットに観て評価できると思う。これらはすべて都築氏が買い集めたコレクションで、今後披露されることはないかもしれない。映画のポスター展などはあちこちの美術展で開催されるのに、これらの存在は日の目に当たることなく、むしろ隠してなかったものにしてしまいたいくらいの状態。
絵看板だけでなく、「かぶくこころ」で展示されているものなど皆同じ。どれも日本固有の文化でありながら、そのベクトルが性的だったり、非合法であったりするために失われつつある。
都築氏はデコトラやオートバイ、商店建築、ラブホテルなどそこには日本人固有の飾りの美学があると説く。日本美術史家の辻惟雄氏が提唱する「かざりの美」そのもの。
以前辻氏の「美術とかざり」の講演会に参加したが、辻氏は現代におけるかぶく心の例として「パラパラ」?だったかを挙げておられたが、両氏が提唱されているのは「日本人のかざりに対する姿勢」への言及は同じだと思った。
ここで、辻氏による講演内容から一部引用させていただく。「かざりとは目を楽しませ、生きる喜びにつながる本性に根ざした大切な行為で、日本のかざりはまさにそう」。

こうした生命の表現である「かざり」がメジャーなものより、むしろ誰も注目しないような人や場所から驚くような技をもって発現すると都築氏は指摘していた。

なんだか展覧会の感想というより講演の感想になってしまったが、本展通じてそんなことを一番感じた。普段見ないように目をそむけているものも見方を変えれば感じ方も変わるそんなことを教えてくれた貴重な展覧会だった。
お薦めします。

*7月19日まで開催中。
なお、最終日の19日は終日、都築響一氏が美術館にいらっしゃるそうなので解説付き作品観賞ツアーもありかも。とても気さくなお人柄なので、どんどん展覧会の感想や質問をしても、お答えしてくれると思います。

(注)後日画像追加する予定です。

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