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「MASKS-仮の面」 千葉市美術館

masks

千葉市美術館で8月15日まで開催中の「MASKS-仮の面」に行って来ました。
千葉市美術館では美術館ホームページ上に「こどものページ」を制作されています。これが分かりやすい。

本展覧会は、日本をはじめとするアジア、オセアニア、アフリカの仮面を中心に、普遍的な精神と造形の美を求めて、選りすぐられた仮面約150点により構成されるものです。貴重な古面が豊富に残される日本、そのユニークで力強い造形が魅力的なアフリカなど、様々な地域の仮面が一堂に会します。地域の特色を検証する一方で、国境や民族の境を越えて共通する心の造形に注目しながら、仮面の美の本質を探ります。~展覧会チラシより

5月に千葉市美術館で開催された市民美術講座「池大雅と文人画」で講師をつとめられた小林忠館長(以後、小林先生とさせていただく)から、直々にご説明があった本展。小林先生はかねてより、仮面がお好きだそうで本展図録の序文に開催の経緯が記されているので、ここで一部引用させていただく。
「美術史の研究に身を置いていると海外に調査に出かける機会が多い。そうしたときの余暇に、美術館や博物館を訪れて仮面の展示を探しては楽しんできた。スイスのチューリッヒ市にリートベルク美術館という素晴らしい市立美術館があるが、そこを初めて訪れたとき、目的とした日本・東洋の美術品のほかに、仮面ギャラリーの充実に驚かされた。単に民族学的な関心から世界中の仮面を集めたとは思えない。造形的に優れた質の面が数多く展示されていたのである。(中略)素朴で、表情に素直な感情がこもっている面には、どこか日本の地方に伝わる土俗的な仮面にも通い合うものを感じて、親しみを覚えたものだった。」
小林先生は、その後リートベルク美術館と交渉し同館の仮面コレクション展の実現を模索されたが、輸送や費用などの問題で断念せざるを得なかった。次善の策として、日本国内に所在している世界の仮面を集め、人が仮の面を作りかぶって何を祈り、願い、思いをこめてきたかを考える展観にと切り替え、本展実現となった。

美術展で能面の展示はよく行われるが、これほど多種多様、国も地域も幅広い所から集めた仮面の展覧会は後にも先にも今回が最初で最後かもしれない。
それほどまでに強烈だ。前置きが長くなってしまったが、展覧会の構成と共に振り返る。

・序いにしえ-祈りの顔
序章では、土偶、しかも私の好きなミミズク型土偶やらハート型土偶やら縄文後期の小さな土偶たちをお披露目。
仮面の展覧会で最初に土偶を持ってくるあたりが心憎い。精霊や魂などの精神世界を象徴する人型と観た時、異形の顔は仮面に通ずるのではないかと問いかけられる。

・第一章 にらみ-守護する面
一木造で彫り上げた「鬼神面(奉納面)」静岡市立芹沢介美術館蔵はご神体を守護する役割で作られた。素朴な彫りだがにらんでいる表情は良く分かる。にらみをきかせて神様を守っていた。
東北の竈面は、文字通り火を守り、造形的には角ばった顔つき。奄美の奉納面は、卵型で非常にユニークな顔をしている。そして、どこか異国の香がする。後に出てくるアフリカの仮面にどこか通じる所があると思った。
この段階で土偶好きには、たまらない内容で、仮面の顔つきにぐいぐい惹き込まれる。

第二章 わらい・・・いかり-面の表情と精神
にらみの次はわらいといかり。超個性的なお面が続々と登場。やはり世界は広かったと感じる。スリランカのコーラムの面「ラクシャ」仮面舞踏劇コーラムに用いられるもの。耳はお花のようなものが2つ飛び出して差し込まれているし、歯はむき出し。思わず笑ってしまう面様。各仮面のキャプションを読んで行くと、悪魔払いや精霊を宿したとか、精神世界と深く結びついているものが多く、また舞踏劇(能もその一つ)で使用されているものが多かった。

第三章 おかしみ-ユニークな造形の展開
日本の狂言のお面はまだついていけるが、ここではついにとんでもないお面が登場する。「鶏冠のついた仮面」ブルキナ・ファソ・静岡市立芹沢介美術館蔵。ブルキナ・ファソってどこだろう?知らない名前の国もいくつか出てくる。鶏のとさかというより、ブーメランの方が近いか。江戸時代の鎧兜の装飾にも似ている。口は菱形。
コートジボワールの仮面「プレプレ」は、キャラクター化している。村が禍に見舞われた時に行うダンスで使用されるそうだが、涙型の瞳、長方形の口、バッファローのような角。妙に可愛い。

第四章 けもの・・・とり-聖獣たちの面
日本のものでは烏天狗のお面、海外のものでは鳥の仮面が多かった。舞踊で使用されると説明のある仮面が大半だったが、到底かぶって踊ることなど不可能なのではないかと思う程、大きくまたかぶった時のバランスが心配になる仮面「アヴィコ」パプアニューギニア・武蔵野美術大学美術館・図書館蔵もいくつか。

第五章 まつり・いのり・とむらい-舞と儀式の面
第六章 ゆがみ-異形の面
日本やアジアの少数民族には、わざとゆがませた顔の造形が見られる。例えば「ひょっとこ面」がその代表例。ムンクの叫びも真っ青な「二の舞面」千葉県・いすみ市(円蔵律寺蔵)をはじめ、この章に出てくるお面たちの面貌は観ているこちらまで歪んで来そうだった。

第七章 ととのい
歪んだ後は整えてくれる。能の小面、菩薩面などが日本の作例として紹介されているが、驚いたのはナイジェリアの王の面「オバルフォン」ギャラリーかんかん蔵。ブロンズ製で12~15世紀のものだというが、美しく整って滑らかな肌は、本展造形部門でNO1の美しさ。

展覧会最後は、戦後を代表する彫刻家、若林奮の「面」5点でしめくくる。非常にプリミティブかつ単純な造形で冒頭に観た縄文後期の土偶面に再び戻ってきたかとさえ思った。

これらのお面は今もなお各地で伝承されているのだろうか。仮面の持つ意味と精神世界、そして造形の多様性と美しさに彫刻作品としての魅力も見出すことができた。

*8月15日まで開催中。
この後、足利市立美術館に巡回します。2010年9月4日~10月17日

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MASKSー 仮の面 ・千葉市美術館

MASKSのチラシがとても美しいので、何としてでも行ってみたいと思っていた。 日曜日ようやく暑い日の中、友達を連れ出して行ってきた。 濃厚すぎて立ち眩みするが、期待以上に充実したいい展覧会だった。

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非公開コメント

あべまつ様

こんばんは。

仮面の魅力を多方面の面を集めて、いろんな角度で紹介してくれた
貴重かつ有意義な展覧会でした。
こういう楽しい展覧会はなかなかないです。
仮面好きになってしまいました。

少しでもお役に立てて良かったです。

No title

こんばんは。

この展示の章立ての記録が作品リストになかったので、
メモをしなかったことを悔いたのですが、ここで発見できて
よかったです。
面のもつ魅力に溢れていましたね~
ライティングも素敵でした。
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