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「マン・レイ展 知られざる創作の秘密」 国立新美術館

manray

国立新美術館で開催中の「マン・レイ展 知られざる創作の秘密」に行って来ました。
非常に充実した展覧会専用サイト:http://www.man-ray.com/と同展コミュイティサイト:http://www.man-ray.com/blog/まで別に用意されているので、展覧会の詳細は各サイトをご覧ください。

マン・レイ財団所蔵の写真、絵画、彫刻、デッサンおよびマン・レイ自身の所持品を一堂に集めて、2007年から欧州を巡回している展覧会の日本巡回展となっている。日本展だけに出品される約70点を含む約400点が紹介されている。
会場はマン・レイの生涯を四つ「ニューヨーク(1890-1921)/パリ(1921-1940)/ロサンゼルス(1940-1951)/パリ(1951-1976)に区切り、時代に沿ってマン・レイの作品とその発送源となったものやイメージを対置させます。 ~展覧会チラシより


本展で、マン・レイの著名な写真作品を期待して行くと肩透かしされるかもしれません。
むしろ、これまで評価されてきた写真作品以外の「知られざるマン・レイの世界」を垣間見ることができるという点で楽しめます。

New York(1890-1921)
展覧会の最初を飾るのは、真っ二つに割れたブルーのハートを描いた作品。ミクストメディアとなっているが、コラージュみたいになってるのかも。中央に「Man」のサインが入ってます。
たったこれだけなのにカッコイイ。そう、マン・レイは写真もですが、非常に優れたデザイナーでもあった。例えば、『回転扉』(青いパンのついた冊子)で見せるセンスの良さ。そういえば、これも「青」を使用。マン・レイはブルーが好きだったのだろうか。

若い頃、彼は製図を学ぶが、その学習が後の作品に活きてくることが後半に明らかになってくる。
この章では、ごく初期のドローイングやリトグラフが写真と共に展示されているが、作品リストにはない「インデックス・カードファイル」4種類が面白かった。彼は自身の作品を写真で複製しファイルしていた。本展ではパウチを使用して4種類のカードファイルが台に置かれている。ペラペラめくっていくと、マン・レイのデッサンや考え、言葉が溢れていて、4種類とも興味深かった。並んでも良いので、マン・レイがお好きな方はぜひ4種類制覇していただけたらと思う。

全体を通して、写真作品はどれも小サイズのものが多い。基本的に作品は線の外(遵守されていない・・・)から眺めるため、単眼鏡を持参した方が良い。極めて小さいものもあるので、要注意。
ここでは、≪二重の肖像≫1913年が良かった。

Paris(1921-1940)
写真家としてマン・レイが人気を博した時代。この時代の作品を過去の展覧会でよく見かけていたのだと思う。

マン・レイにとって重要なのは「モノとしての概念でなく、生み出すためのアイディアや概念。写真は概念を流布させる有効な手段であった。」に過ぎなかった。
彼は、様々な実験を経て写真を芸術にまで高める工夫を編みだした。
それがレイヨグラフとソラリゼーションと呼ばれる方法。ここから先は、大量の肖像画写真が登場する。パリで彼の身近にいた人々をとにかくカメラにおさめていた。それらを自家装幀本としてまとめていたというから恐れ入る。
先日TV東京「美の巨人」で紹介されていた≪黒と白≫1926年/2010年の復刻も、この時代、技法を象徴する作品。≪キキ・ド・モンパルナス≫、≪リー・ミラー≫最初のパリ時代のマン・レイと関係があった女性たち。彼の女性遍歴も、作品を追って行く上で欠かせない要素のひとつだろう。

この章では、写真だけでなく映像作品が4本上映されている。2本+1本の途中まで観て敢え無く時間切れとなったのが残念。
・理性への回帰 1923年
・エマク・バキア 1926年
・ひとで 1928年 15分
・さいころ城の秘密 1929年 

1本を除き上映時間は1本あたり20分弱なので、全てを観ようとすると1時間では足りない。私は全体で2時間を考えていたけれど、展覧会最後の映像(23分)もあり、結局時間が足りなくなってしまった。この映像は、できれば全てを観たほうが良いと思う。彼の作品を考える上で、様々な要素が網羅されている。ごく初期の作品では、映画として成り立っていない単なる画像に近いが、『ひとで』あたりから僅かにストーリー性が現れる。この『ひとで』がこのコーナーで観た中では一番良かった。

Los Angeles(1940-1951)⇒ Paris(1951-1976)
アメリカに再び戻ったマン・レイだが、この頃彼は写真家として評価されることを嫌ったという。自身が芸術化した写真の芸術性を否定してしまったのだ。写真は芸術ではない。
映画の盛んなロスならではなのか、それまでの作品では見かけなかった女優のポートレート写真が沢山出てくる。エバ・ガードナーの完璧な気高い美しさ、カトリーヌ・ドヌーブのちょっとコケティッシュな美。カトリーヌが身に付けているイヤリング≪未解決の耳飾り≫1960年代は、マン・レイのデザインんによるもの。

彼は生涯を通じて、何度か同じモチーフを繰り返し制作しているは、デザインものではチェスの駒やボードが素敵だった、メタリックな赤とシルバーが彼らしい。

そして、運命の女性ジュリエット・ブラウナーの写真。彼女はNY出身で画家のモデルをしていた。ジュリエットは30年もの間彼と共に暮らし、最期を看取った。
モノクロ写真のジュリエットも美しいが、初公開というマン・レイ考案の色彩定着技法によるカラー写真のジュリエットも素敵です。会場には、このジュリエット・ブラウナーの写真とフランスの歌手・俳優のジュリエット・グレコの写真もあるので、お間違いのないように。私は両者がごっちゃになってました。

展覧会最後に、抜群に面白い映画が上映されている。しかし、マン・レイの作品ではないためか、作品リストには掲載されていない。以下。

フランソワ・レヴィ=クエンツ制作・監督
映画 『マン・レイ、フェルー街2番地の2』 1989年(約23分)

いろいろ検索しましたが、「弐代目・青い日記帳」様のブログには、ちゃんと映画の監督名とタイトルが掲載されていました。さすがです!
この映画、先に挙げた4本とは全く趣を異にしたドキュメンタリー風作品。
冒頭にマン・レイのアトリエの鍵を取りだすジュリエットが。その鍵の大きいことと言ったら!!!
必ず最初から最後まで観ることを強く強くオススメします。
ジュリエットのマン・レイについての独り語りですが、あれは本当にジュリエット本人なのか?と思う程、芸達者でいらっしゃる。次々と取り換えられるメガネのデザインに驚くあまり、思わずお話を聴き逃しそうに。
咥え煙草に、BGMはちょっと気だるいジャズ。
完璧なシチュエーションとメガネのミスマッチが何ともいい味出してました。

知られざるマン・レイの世界を堪能しました。個人的には、マックス・エルンストとの交流とParis時代の映像作品、インデックス・カードファイルなどが印象深かったです。

時間には余裕をもって、会場の冷房が非常に強いため女性の方など冷えの気になる方は、冷房対策を万全に!
私は会場を出た時に、寒さで凍ってました。

*9月13日まで開催中。
この展覧会は、大阪の国立国際美術館に巡回します。

<お詫び>
記事をアップした際に、ジュリエット・ブラウナーさんのお名前をジュリエット・グレコと誤った記載となっていましたことを深くお詫び申し上げます。現在(7/20・12時半以後)は修正済みの状態です。

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マン・レイ展/国立新美術館

マン・レイ展/国立新美術館   前から行きたかったマン・レイの写真展。テレビ東京の「美の巨人たち」、“マン・レイ写真 黒と白”で予習してから国立新美術館で開催されている「マン・レイ展」に行って来ました 「モダン・アートの先駆者」とも言われるマン・

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あべまつ様

こんばんは。

マン・レイ展で避暑!
確かにあそこは避暑に最適かもしれませんね。
面白い映像はあるし、かっこいいポートレート写真を
再度眺めに行くのも悪くないです。

どうやら、大阪では東京と少し違った展示となるようなので
再訪しようと思っています。

oki様

こんばんは。

私にとって今回は初のマン・レイ展です。
過去に作品は何度も見ていますが、マン・レイだけというのは
ありませんでした。
いきなり応用編から入門してしまった感じですが、上級から
初級に戻るのもありかなと思っています。

21世紀の×××者さま

こんばんは。

寒いのは私だけではなかったのですね。
1時間程度なら問題ないのでしょうが、2時間を超えると
半袖の夏服だけでは冷えました。

映像作品も人それぞれ好みがありますので、難しいですが
私はとても約20分でよくあれだけ上手くかつ面白く仕上げたなと
演出に関心しました。

Tak様

こんばんは。
貴重な情報を本当に有難うございました。
あまりにも時間がなく作品リストに映画タイトル等の掲載がないことに
全く気付きませんでした。

> 「インデックス・カード」がそもそも写真を撮り始めた
> きっかけだと知り、なるほどな~と感心。

私にとっては、本当に興味深い内容でした。
見逃した映像を観るために、大阪で再訪しようと思っています。

No title

こんばんは。
あの映像の詳細が分かってよかったです。
私も誰がいつ作ったのか?探してました。
Takさんは実に流石な情報をキッチり確保されます。
で、あの映像本当にお気に入りです。
絵画もとてもいい色使いをするので、驚きました。
またゆっくり避暑に行ってもいいですね~

No title

こんばんは、今日招待券が入ったので近いうち行きます。
マンレイと言うと埼玉県立近代で展覧会やったのを思い出しますが、memeさんは行かれましたか?
寒いんですね、そして時間がかかるんですね、よく心得ておきます。
まぁ僕は男性ですから寒いのは夏用スーツ着ていけばしのげます。
芸大美術館のシャガールもかなり寒かったですね。
問題は時間で招待券でも全部みたいですから、3時間ぐらい覚悟していけば大丈夫でしょうか?国立新は家から小田急電鉄ー千代田ですぐなので便利です。

No title

こんばんは。

「インデックス・カード」がそもそも写真を撮り始めた
きっかけだと知り、なるほどな~と感心。

切り口を変えればマン・レイの多彩な側面
幾つも見えてきそうな展覧会でした。

21世紀のxxx者さま

こんばんは。
やはり、寒かったですよね。
最初の映像が全部観られなかったのがとにかく心残りです。
映像作品の変遷を観て行くのも面白い。
4本まとめて、最後の映画も含めると計5本。
こんな機会はなかなかないでしょうね。

No title

こんにちは
私も土曜日に見てきたのですが、怒涛の400点の内容に驚きでした。今まで何となく知っててよく見る感じでしたが、これを機に詳しく知ることができて良かったです。 最後の映像はちょっとだけしか観なかったのですが、そんなに良いものだったとは… 不覚です。 もうちょっと観たかったのですが、2時間半もいたら体が冷えてしまい、映像はいいや!ってなりました。私のメモにも、とにかく寒い!と書いてありますw 仕方ないですけどね。
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