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「オノデラユキ 写真の迷宮へ」 東京都写真美術館

ONODERA

東京都写真美術館で9月26日まで開催中の「オノデラユキ 写真の迷宮へ」に行って来ました。

オノデラユキ(1962年生まれ)は、現在パリを拠点に活動する写真家。
2003年に写真集『カメラキメラ』で第28回木村伊兵衛写真賞を受賞し、2006年にはフランスにおける最も権威ある写真賞「ニエプス賞」を受賞した。

個人的にオノデラユキの写真ですぐに浮かぶのは「古着のポートレート」シリーズ。
本展でも冒頭を飾るのはこのシリーズ9点。
ボルタンスキーの展覧会で展示されていた古着を買い求め、自分のアパートの窓辺に古着を立たせて撮影したもの。ボルタンスキーはこの古着で「死」や「死者への思い」を表現したが、オノデラは窓辺に立たせることで死者を蘇らせようとしたのか。

本展では、以下の全9シリーズ全60点で展観する。
・「古着のポートレート」
・「真珠のつくり方」
・「12 Speed」
・「Roma-Roma」
・「11番目の指」
・「窓の外を見よ」
・「Transvest」
・「オルフェウスの下方へ」
・「Annular Eclipse」

これら9シリーズのすべてが異なる制作技法を使用していることにまず驚く。
いわゆる、古典的な写真とは大きく異なっている。どの作品も極めて実験的で、常に新しい写真を目指す、写真表現の可能性をとことん追求する作家の姿勢を感じた。

中でも一番驚いたのが「Roma-Roma」シリーズ。
一見するとポラロイドで撮影した街の風景スナップが2つずつセットになって額装されているだけ。
まさか、これが実はモノクロ写真に油絵具で手彩色したものだとは、到底想像できない。
何度も何度も見直したけれど、本当に手彩色なの?といまだに信じがたい。
作品解説によれば、19世紀の観光ブームで量産された土産用写真の模倣なのだそう。
仕掛けはそれだけではなかった。
この並んだ2枚はスウェーデンのバルト海の島にあるローマの風景を108枚撮影したあと、フィルムを巻き戻し、今度は反対のレンズを塞いで、スペインにあるローマに移動してさらに108枚を写したもの。
実に手間暇かかっている。
解説を読まなければ、誰がそんな「移動」をテーマにした作品だと分かるだろう。後に出て来る「オルフェウスの下方へ」も移動、時間軸は隠しテーマになっていて、両者を見ていると彼女の関心ある所が浮かび上がって来る。

「真珠のつくり方」はカメラにビー玉を仕込み、日中の街頭で群衆を撮影した作品。
しかし、これとて作品上部に写っている白い球の正体がビー玉だとは、素人には想像すら及ばないしかけ。
ビー玉1個で、写真の画面上にエッチングなどで見られるような斑紋が生まれている。この斑紋がより作品を魅力的なものにしていた。

現在も続く「Transvest」シリーズは、フォトモンタージュを使用した2メートルもの大型作品で、謎めいたシルエットが浮かぶ。
被写体は雑誌や新聞の切り抜いた人型で、どれもポーズやシルエットが面白い。
最初見た時、昔のTVドラマシリーズ「チャーリーズ・エンジェル」のタイトルバックアニメを思い出した。
「Annular Eclipse」は、初めて手掛けた版画作品(シルクスクリーン)。「Transvest」との対比すると、ベースがモノクロとカラーという違いはあるものの、色彩を抜きにして考えても素人には版画とフォトモンタージュの差は理解しがたい。

次々と魔法のように繰り出される仕掛けとコンセプトにただただ圧倒されるばかり。彼女の作品の場合、一見しただけでは分からないコンセプトが作品鑑賞には欠かせない。
そして、一見何でもない写真に見えて、実はものすごく手間や技術が駆使されていることも忘れてはならない。

コンセプトを忘れ、全く解説を読まずに写真だけを眺めて行った時、どのシリーズが一番心に残るかを最後に考えてみた。「真珠のつくり方」、次に「窓の外を見よ」「Transvest」「Annular Eclipse」の順番か。

なお、京橋のツァイト・フォト・サロンで「オノデラユキ 写真の迷宮へ partⅡ 『プライベート・ルーム』」も開催されている。
こちらは9月11日(土)までだが、残念ながら明日8月14日~8月23日(月)まで夏季休廊なのでご注意ください。
詳細 ⇒ http://www.zeit-foto.com/exhibition/index.html

本展のための「鑑賞ワークシート」が、Q&A方式で作品の鑑賞ポイントが分かりやすく助かった。
夏休み期間中ということもあってか、子供にも読めるように全部の漢字にふり仮名がふられている。
アーティストトークは既に終了したが、スライドレクチャー「初公開!アートな写真のひみつ」は9月4日(土)午後2時~定員70名。
これは、行ってみようかと気になっている。

*9月26日(日)まで開催中。

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はろるど様

こんばんは。

オノデラさんの作品は、好き嫌いを超えて制作の秘密に関心があります。
そしてコンセプトにも。
よって、明日の写真美術館イベントには行きたいなと思っています。
ツァイトもまだ行けてない。まずいっ、終わってしまう!

No title

こんばんは。期待通りの展示でしたね。

>魔法のように繰り出される仕掛け

まさに仰る通りかと思います。凝った仕掛けに深いコンセプト、どれも感心しました。

ワークシートありましたか!う~ん、欲しかったです…。
ツァイト・フォト・サロンも何とか週末には見に行きたいです!
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