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「ザ・コレクション・ヴィンタートゥール」 世田谷美術館

setagata

世田谷美術館で開催中の「ザ・コレクション・ヴィンタートゥール」展に行って来ました。
展覧会公式HP ⇒ こちら

本展は、スイスの小都市にあるヴィンタートゥール美術館のコレクションから全点日本初公開となる90点を紹介。
近代美術を幅広い視野から展観するものです。

本展開催にあたって、猛暑の夏ということもあってか通常とは異なるサービスが2つあった。
1.最寄駅の東急・用賀駅から美術館への臨時直行バス(210円)が運航。
2.美術館玄関手前に冷たいお水のウォーターサーバーを2台設置。

ささいなことでも、来館者向けのサービスを講じて下さるのは大変ありがたい。
いずれもしっかり利用させていただいた。

さて、展覧会の方も楽しめる。
特に本展で気に入ったのは、展示方法であった。
以前開催されたメキシコ絵画の展覧会に比べると、名画の庭を散歩しているような気分になれる。
ふらふらと回遊できるのが魅力的。
ただ、彫刻に関しては設置スペースの問題もあってか各章の他作品と別にあったりで、リストを追っていると分かりにくい面もあったが、それはやむを得ないことだろう。

展覧会は次の8章から構成されている。
第1章 フランス近代Ⅰ:ドラクロワから印象派まで
第2章 フランス近代Ⅱ:印象派以後の時代
第3章 ドイツとスイスの近代絵画
第4章 ナビ派から20世紀へ
第5章 ヴァロットンとスイスの具象絵画
第6章 20世紀Ⅰ:表現主義的傾向
第7章 20世紀Ⅱ:キュビスムから抽象へ
第8章 20世紀Ⅲ:素朴派から新たなリアリズムへ

第1章のドラクロワの小品≪グレーハウンド犬を伴うアルジェの女≫1854年から始まる1章はお馴染みの印象派画家の作品が並ぶ。
シスレー≪朝日を浴びるモレ教会≫、ヴーダン≪ラレ=ヴェルトの運河、ブリュッセル≫が目にとまる。

第2章での人気者はゴッホ≪郵便配達人≫1888年。ゴッホは相変わらず人気が高く人だかりができていた。今回は目が覚めるような黄色の背景色が印象的な作品。郵便配達人の濃紺色の制服が映える。
他に、ルドン≪野の花≫、≪アルザスまたは読書する修道僧≫の2点がルドン好きには嬉しかった。

第3章は、ヴィンタートゥルならではの作品が紹介されており、特に気になった作品が多かった。
中でも、ホードラーが好み。ホードラーの作品は全部で3点出展されているが、≪ジュネーブ湖畔の柳≫と死の2年前に描かれた
≪自画像≫は忘れがたい。黒の輪郭線のせいかどこか日本的な雰囲気を醸し出している。ホードラー展の開催を強く希望!
日本では国立西洋美術館で1975年に開催されたのが最後だが、ベルンで2008年に大規模なホドラー展(162点のホドラー作品が出展)が開催されている。

国内で彼の作品にお目にかかることはまずないが、作品を所蔵している美術館が国内にはないのでは?検索してみたが、ヒットしなかった。

他にジョバンニ・ジャコメッティの油彩やクーノ・アミエ≪秋の太陽≫が気になった。アミエは初めてその名を聞いた。

第4章で、先に閉幕したオルセー美術館展でも話題になったナビ派の画家が紹介されている。
ボナール、ヴュイヤールと続く中、私はアルベール・マルケ≪ラ・ヴァレンヌ=サン=ティレール≫1913年にすっかり惹かれてしまった。
深い深い緑と湖面に映る緑の影が美しい。

続く第5章は第3章、第6章と並んで見どころが多かった。
何といってもヴァロットン。再びオルセー美術館展の話題になるが、同展で紹介されていたヴァロットンの不思議な作品≪ボール≫は記憶に新しい。もう少しヴァロットンの作品を観たいと思っていたところに今回の展覧会である。
願ったり、叶ったり。
ここではヴァロットンが5点も登場。観れば観るほど個性的な作品が多い。大作≪5人の画家≫は描かれた5人の手のしぐさが特徴的でみな違う。
そうかと思えば≪日没、オレンジ色の空≫では、具象から抽象絵画への過渡期となるような画面構成。
一番のお気に入りは≪彼女のいる風景≫1913年。取ってつけたような浴女数名。平坦な画面。帽子が裸の女性たちにとって代わったかのようであった。
≪水差しとキズイセン≫1915年は、静物画だがオレンジ色の水差しと黄色の水仙の配列が美しい。

第6章はブリュッケの画家、青騎士のカンディンスキー、クレーが登場。
カンディンスキー≪はしごの形≫1929年、クレー≪水脈占いのいる風景≫1923年はもちろん未見作で、いずれも両画家の画風を明瞭に示す佳作であった。特にカンディンスキーは1点だけだったけれど、1点でも十分に魅了されてしまった。
はしごは、「明確なもの」「とらえがたいもの」を結ぶ役目をしているのだそう。

マックス・ベックマン≪ストレリチアと黄色いランのある静物≫1937年も迫力があった。ベックマンとヘッケルはもっと作品を観たい。
ドイツ表現主義をテーマとした展覧会にもまだお目にかかっていない。

7章はレジェとマックス・ビルの白い大理石による潔い彫刻に尽きる。

最終章では、目玉作品の一つであるアンリ・ルソー≪赤ん坊のお祝い!≫1903年に対面。これって、金沢21世紀美術館の横尾忠則さんの展覧会で横尾さんヴァージョンになっている作品を観たような気がする。

マグリットの≪失われた世界≫1928年やお馴染みアルベルト・ジャコメッティの彫刻と絵画≪座って新聞を読むディエゴ≫も忘れ難い。
ジャコメッティの絵画は彫刻に負けず劣らず素敵だった。黒い線の走り方がとにかくカッコイイ。

ジョルジオ・モランディの何気ない2点の≪静物≫も静謐さを感じて本展の終わりに相応しい作品だった。


なお、本展図録は要チェック。
装丁・デザイン・印刷いずれも出来栄えが良い。マグネットで綴じる方式とシンプルな白と赤のデザインが気に入った。

まだ今ならストレスなくご覧いただける状況でしたが、いずれ混雑しそうな気がします。お早めに。

*10月11日(月・祝)まで開催中。

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とら様

こんばんは。
スイスですか。うらやましい限りです。
ホドラーは非常に魅力的な画家ですね。
クレーも好きだし、スイスの美術館巡りをいつかしてみたいものです。
その前にクレー展は近々開催されるので、ホドラー展ですよね。

No title

こんにちは。私はホドラーとヴァロットンの作品が気に入りました。
日本で見たホドラーは大原の《きこり》ぐらいですが、スイスでは沢山見ました。
世田美から帰って、買ってきたままになっていたジュネーヴ博物館のホドラー図録を眺めましたが(なにせフランス語!)、自画像、人物画、風景画それぞれが素晴らしいので、今更のように感心しました。
本当に、日本で回顧展を開いてほしいものです。

一村雨さま

こんばんは。
この展覧会は楽しめました。
長椅子に座ってぼ~っと彫刻や絵画を眺めている時間が良かったです。
ヴァロットンの多才ぶりを感じました。

No title

こんにちは。私もヴァロットンコーナーがよかったです。オルセー展で見て、Bunkamuraの語りかける風景展で見て、今回とやっとこの画家のことがインプットされました。
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