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束芋 「ててて」 ギャラリー小柳

銀座のギャラリー小柳で9月11日まで開催中の束芋「ててて」に行って来ました。

・アーティストブック「惡人」出版
・第54回 ヴェネツィア・ビエンナーレ日本館出展決定
を記念して今回の個展は開催されている。同時に大阪の国立国際美術館においても束芋「断面の世代」展を開催中。

今回の個展では前回2008年に同ギャラリーで開催された「house」と異なり、新たな挑戦に対しての成果を披露してくれた。
まず、目につくのは大きな和紙を使用した作品≪deep forest≫や≪in-inner≫。
映像作品ではなく平面作品で新境地を見せているのが特徴。

平面作品とひとことに言っても表現の幅は広い。私が一番気になったのは「紙」への執着というべき作家の思い入れ。いや「紙」だけでなく、支持体そのものに対して、どんなアプローチができるか、自分自身に問いかけ、その可能性をフルに探っていた格闘の証を観た。
一見、普通の和紙かなと思いきや実は10枚以上の和紙を重ねて作られたものだったり、紙の上にあったモコモコした白い塊は胡粉だったのだろうか。ギャラリーの方にお尋ねしてみたが、分からないとのことだった。
キャプションはすべてMixed Mediaになっているので、そこはもう少し種あかしして欲しかった。
黒く美しい線描は版画?
平面に束芋の世界をぎゅっと凝縮し、煮詰めて見せてくれている。

豚革に人毛を配した作品も不気味。不気味で怪奇的、グロい感じが束芋ならでは。

長台に展示されていたのが、吉田修一の小説『惡人』(朝日新聞連載)の特装本(エディションあり)。エディション作品といっても、そこは束芋さんのこと。中に差し込まれているドローイングは1点ずつ違っているので、エディション作品と言っても実質1点ものと言っても良い。
私は大変恥ずかしながら、まだ件の小説『惡人』を読んでいない。それゆえ『惡人』がらみの感想を書くのが憚られる。なので、出版されたアーティストブック「惡人」についても、小説も読んでいないのに・・・と購入するのを控えた。その代わりに、本展出展作の大半を作り上げたシンガポールの工房SINGAPORE TYLER PRINT INSTITUTE(以下STPI)での個展「emerge as」の図録(サイン入り)を購入した。
サインは名前だけでなく、簡単な挿絵も描いてくれるのが嬉しい。私のは、昆虫の脚の部分が描かれていた。

束芋へのインタビューや田名網敬一による同展解説など、なかなか読みごたえがある。
中に、展示されていない作品で「おっ!」と思ったシリーズがあった。≪wall paper≫壁紙を破った向うに見えたものは・・・と想像力溢れ、造形的にも平面でありながら立体的でもある。紙を破いたり、燃やしたりいろんな加工をした上に、緻密な線描を重ねる。
残念ながらこのシリーズは既に売れ所蔵家のもとにあるために、展示されなかった。

最奥のスペースで映像作品≪ててて≫が上映。
「手」は束芋にとって、彼女の過去、ひどいアトピー性皮膚炎に罹患していた頃、よくじっと手を見つめていたと大学時代の師であった田名網氏は述懐している。
言われてみれば、束芋作品には「手」が何度も登場する。
肌表面で感じている痒みの奥に、何が起こっているのか。
その中に蝶がいたり、虫が蠢いていたり、想像はさまざまに膨らむ。
毛細血管は網のように伸び、内臓へとつながり、脳へ痒みの信号を送る。

くねくねと手は動く。まるでそれ単独で身体とは別個の存在感を示す。
毛細血管が観ている側にもからみついてくるような感覚を呼び起こしたら、すっかり束芋世界に入り込んだ証拠だ。

今回の新作を足がかりに、ヴェネツィア・ビエンナーレ日本館で見事な作品を展開して欲しい。その成果を携えて日本に凱旋帰国する日を楽しみにしたい。

上記STPIの図録は限定40冊の販売。まだギャラリーに残部はあるだろうか?

*9月11日まで開催中。

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