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あいちトリエンナーレ2010 ロボット版 『森の奥』 平田オリザ+石黒浩研究室

あいちトリエンナーレ2010の話題が続きます。
ちなみに、今週は遅い夏期休暇を取得しており名古屋に帰ってきました。

あいちトリエンナーレ2010の特色の一つとして、愛知芸術文化センターという演劇、ダンス、音楽など複層的なジャンルを楽しめる施設を利用できる点が挙げられる。

これまで、私は専ら美術(コンテンポラリーから古美術まで)を主として鑑賞して来たが、年初に横浜で高山明氏によるportBの『赤い靴クロニクル』で初めてパフォーマンスと演劇の境界線上にある作品と出会って、大変な衝撃を受けた。
以後、徐々に演劇にも関心領域を広げたものの、高山明氏の作品のように参加型ではない、いわゆる舞台で観る演劇やダンスにはもう一歩踏み出せないでいた。

そんな時、地元愛知県で、パフォーミングアーツにも力点を置いたトリエンナーレが開催されることになった。
事前に前売券を購入しようかと思ったが、必ず名古屋にいるという保証もなく、縛られるのも嫌で結局前売りは見送った。
しかし、一昨日からtwitterであいちトリエンナーレ情報を探していたら、平田オリザ+石黒浩研究室(大阪大学)によるロボット演劇『森の奥』がとても良かった「新幹線代を払った甲斐があった・・・云々」という呟きを発見。それを呟いていた方も、私と同様に演劇にこれまで馴染みがないとのこと。同様の状況下にある方の感想を拝見するにつけ、むくむくと抑えていた好奇心が沸き上がり、観に行くことを決意。幸いにも日曜のチケットは完売だったようだが、月曜と火曜は当日券が出るという情報も入手した。

念のため、18時から販売開始だったが、17時過ぎには列につく。
恐らく並んでいた方は皆さん当日券の購入が可能だったと思う。

こうして、ロボット演劇を初体験することになった。
粗筋は次の通り(チラシからの引用)。
中央アフリカ・コンゴに生息する類人猿「ボノボ」を飼育する研究室で、サルと人間の違いを研究するロボットと人間たち。その会話から「サル/人間/ロボット」のあやうい境界線が浮かび上がる。

ここから先は私のごく個人的な感想です。
登場人物は、人間6名、ロボット2体。
舞台は研究室で、ここを中心に登場人物とロボットが会話を展開していく。話題は、遺伝子研究、クローン、自閉症など生物科学と心理学を扱いつつ、ロボットと人間、そして猿⇒類人猿⇒ヒトへの進化の過程とその違いを探って行く、実に科学的なテーマをはらんだ演劇だった。

その中で一番印象深かったのは、やはりロボットと人間が演劇しているという現実だろう。私にとって科学的な問題は、さほど重要ではなく、恐らくまったく別のテーマであったとしてもそれなりに楽しめたのではないかと思う。しかし、サブテーマの中でも「ロボットと人間」の関係性について、様々な問題提起がなされ、私自身の中にモヤモヤとした形にならないものが今も渦巻いているのは、やはり平田オリザ氏の脚本・演出によるところが大きい。

猿と人間とロボット、セクシャル的、生物学的、道着的、心理学的、それらのアプローチを劇中で登場人物と一緒に知らず知らずのうちに考えている自分に気がつく。

統合失調症の研究者が胸をボカボカ叩き始めた時(あの行為は何というのだっけ)、ロボットも一緒にそれまでの機械的な音声を捨て、猿のような叫びをあげ始めた。
ロボットは人間になれないのか、なりたいのか、彼等に感情は備わっていないはずなのに、まるで感情があるかのような錯覚を覚える。観客がそんな感想を持つようにプログラミングされていることは重々承知しているが、承知した上で、敢えて用意された掌に乗っても良いのではないか。

講演終了後の平田オリザ氏のトークで制作の裏話をお伺いすることができた。以下、平田氏の談話。
ロボットは、
(1)プログラミング
(2)センサー
(3)リモートコントロール
の3要素から操作が行われている。特に、演劇においてはプログラミングとリモートコントロールによって演技を可能にした。
センサーだと僅かな音、例えば、観客の咳ひとつにも反応してしまい、誤動作発生の危険性が高く現実的ではない。

1時間半という今回の演劇時間は予算から考えて最高のパフォーマンスを達成した場合から逆算した。
充電が少なくなってくる後半に、誤動作が発生する確率が高くなる。初日、二日目と最後までロボットは演じ切ることができなかった。
ラストシーンの胸を叩き雄叫びをあげるシーンは、今回初めて成功した。ロボットが動かなくなった時のことも考慮して、シナリオはもうひとつ準備されており、危急の時は人間がロボットの代わりに演じる。

演劇において間合いは重要だが、ロボットの間合いは0.01秒の単位で操作が可能。苦手なのは、同時多発の動作で、これはプログラミングが非常に難しく、それが人間の役者と一番異なる所。その代わりに、セリフは決して間違えないし、忘れることがないのは利点。
稽古は、ある一定水準まで達すれば後は、ひたすら同じパフォーマンスを得られるため、動作やセリフが決まった後は稽古しないでも良い。稽古の時間の流れは人とまったく違う。
予算の制約もあるため、ロボットが話すスピードは、微調整できない。今のスピードより一段階上げると、早くなり過ぎてしまう。文脈単位での操作なら可能。

ロボットは、誤動作発生の可能性を考えて予備にもう2体準備している。バッテリーがなくなる後半に誤動作が発生する確率が高くなると言ったが、交換してもその発生の危険性が高まるため、結局今回のように各1台がフルに1時間半演じるというのがベストな現在とり得る方法だった。

ロボットと人間が1時間半話していることを観客に見せたかった。劇作家にとって、ロボット演劇は刺激的。

また、自分は都市に祝祭は要らないと思っているので、「都市と祝祭」をテーマにしたトリエンナーレで自分の演劇が招致されたことで喧嘩を売っているのかと思ったが、今回のロボット演劇をオープニングに持って来たことで、新聞一面、TVでも「あいちトリエンナーレ2010」は大きく採りあげられ、芸術監督として建畠氏の仕事は成功したのだと思っている。

ロボット演劇は今回が世界初演!
ロボット「wakamaru」2体の愛くるしい動きに魅了され、共に生活したくなります。ロボットデザインは、喜多俊之氏でした。

長くなりました。最後まで読んで下さった方に感謝です。

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コニー様

こんばんは。
せっかく地元で開催される初の国際芸術祭。
逡巡しないで、まずは興味を覚えたものから観に行ってください。

整理券はきっと取れると思います。
ぜひ、感想を聞かせてください。
音楽パフォーマンスってまだまだ少ないから、私もできれば参加したいです。

いいですね!

ロボットの演劇!面白そう~。
さすがに今日の会社帰りに行こうとまでのモチベーションはないですが。

あいちトリエンナーレのHP見てみましたが、いろいろ気になりますね。
とりあえず三沢さんの作品が観たい。(前回の「完全に無法地帯と化していた」というところには笑えました)
あと、28日の野村誠さんの「プールの音楽会」が気になります!
整理券取れるかなぁ~?ダメもとで行ってみようかしら。
せっかく名古屋にいるんだから、この機会にアートを楽しまないと損ですよね。
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