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「橋本平八と北園克衛展」 三重県立美術館

HASHIMOTO

三重県立美術館で開催中の異色の芸術家兄弟「橋本平八と北園克衛展」に行って来ました。

橋本平八と北園克衛(本名:橋本健吉)は、実の兄弟。彼らは、現在の三重県伊勢市出身の芸術家兄弟なのだが、二人の名前をご存知ない方も多いのではないか。
かくいう私も、橋本平八はもっとも好きな木彫作家。
初めて彼の作品を意識したのは、昨年4月東京藝術大学美術館で開催されたコレクション展だった。その時、展示されていたのは≪或る日の少女≫1934年で、鑿跡を残した彫りと熱心に両手を重ねて祈る少女の表情と姿に心打たれたのだった。この時代に、鑿跡を残した木彫作品は少なかったのではないだろうか。平櫛田中などの作品の表面は、磨きをかけているのか滑らかなものばかり。

そう思うと、橋本平八の素朴な中に力がぎゅっとこもった木彫作品がとても気になったのだった。
そして、彼の作品が醸し出す表情や雰囲気は人物であれ動物であれ、高邁で崇高な感じを受けた。

残念なことに、平八は39歳で早逝してしまったため、遺された作品はそれ程多くない。前述の東京藝大美術館や東近美と出身地の三重県立美術館で1点ずつ拝見していくしかなかった。
そんな折、今回の回顧展開催。まとめて、平八の木彫を拝見できる。嬉しくて、待ち遠しくてならなかった。
本展では、平八の木彫作品は大小合わせて87点も出展されている。平八の代表作である≪花園に遊ぶ天女≫
1930年、≪少女立像≫1925年などなど好きな作品は枚挙に暇がないが、今回、作品を前に感動で涙ぐんだのは≪石に就て≫1928年であった。

一体全体、なぜ自然「石」そのものを木彫写し取ろうと思ったのだろう。自然の石を木で表現することにどんな意義を見出したのか。
三重県立美術館友の会ニュース84号の表紙に≪石に就て≫が掲載され、同館副館長の毛利伊知郎氏による解説は次の通り。勝手ながら、以下原文をそのまま引用させていただく。
橋本は、この作品について「仙を表現するもの」と記している。橋本がいう「仙」とは何だろうか。「仙」について平八は様々に説明しているが、それは「自然界に潜む人智が及ばない聖なるもの」といえるようだ。そうした聖なる力を橋本は彫刻で表現したという。(中略)
≪石に就て≫には石の「仙」だけではなく、用材である楠の「仙」も表現されていると見ることもできる。ここでは主題と素材とが不可分に融合している。しかも、この作品に投影されているのは橋本のアニミズム的な自然観だけではない。彼の仏教信仰もこの作品に影をおとしている可能性が高い。

橋本平八は、円空仏に強く感化されたという。
彼のいう「仙」が「人智の及ばぬ聖なるもの」なのだとしたら、私が作品を前に感じたあの強烈な一種の「気」がまさしく「仙」なのではないか。
≪石に就て≫は図版で観るのと、実際に接したのとでは、大変な違いがあった。写真を前に「気」を感ずることはなかった。作品を取り巻くオーラのようなものを図版では感じられないのだ。
作品のそばに、この作品のモデルとなった平八が大切にしていた自然石が置かれていた。石にも木にも気は宿る。

私の好む木彫作品には、巧拙ではなく内に秘めたる「気」や「力」を感じられるかどうかが重要で、橋本平八の大半の作品には強弱はあるもののこの両者が備わっていた。

また、彼の描く絵画も多数展示されており、こちらも魅力的な作品で、木彫ともども好きになった。橋本平八の著書『純粋彫刻論』は彼を知る上で、一読してみたいが、難解かつ入手困難かもしれない。

弟の北園克衛に移る。
展覧会の構成は、前半に橋本平八の作品を展示しつつ弟との交流についても若干ふれ、後半は北園克衛作品中心の展開になっている。

本展開催の趣旨は、両者の全体像を紹介するとともに、兄弟の様々な交流が各人の芸術世界形成にどのように作用したかを検証することにある。

北園克衛は、1902年(明治35年)に生まれ、兄を追うように1920年4月に上京。前衛詩の分野で活動を開始し、1935年には機関紙『VOU』を発行。戦後は、写真によるプラスティック・ポエム(造形詩)の制作や書籍装幀なども行い、1978年(昭和53年)に亡くなる。

北園克衛の才能をいち早く見抜き賞賛し、彼の作品をコレクションしてきたのは、ジョン・ソルト氏(ハーバード大学 エドウィン・O・ライシャワー日本研究所研究員)であった。
今回、ジョン・ソルト氏が長年集めて来た貴重なコレクションが日本初公開で一挙に公開されている。

北園克衛の存在すら知らなかった私にとって、北園の遺した詩、雑誌、装幀、そして写真に映像!のすべてが刺激的で、衝撃的だった。
展示作品の中に、雑誌「マヴォ」があったのだが、これは以前、岡崎市美術博物館の展覧会で観ている。北園はこの時、本名の橋本健吉の名でマヴォに文章を寄せていた。
マヴォにも参画していたのかと、益々興味がわいてきた。

彼の詩がまた素晴らしく、心にしみた。
心地よいリズム、韻を踏んでいる。

一見、別の分野に進んだかに見える兄弟の絆や交流についても資料で紹介されているので要注目。

あまりにも、大量の情報、しかも飛び切り素晴らしいものばかりだったので、1度では飽和状態になってしまった。
この展覧会は、10月11日まで三重県立美術館で開催され、その後、10月23日(土)~12月12日(日)まで世田谷美術館に巡回する。
再訪、再々訪して、稀有な才能ある兄弟の仕事を少しでも長く味わっていたいと思う。

なお、本展開催にともなって臨時創刊された雑誌『伊勢人』は二人の地元、伊勢を紹介。こちらも充実した図録ともども気になります。

ISEJIN


一人でも多くの方にご覧いただきたい展覧会です。三重県立美術館のレストランは、公立美術館に併設するレストランでは一推しです。今回も特別ランチがとっても美味でした。

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