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「誇り高きデザイン 鍋島」 サントリー美術館

nabeshima

サントリー美術館で開催中の「誇り高きデザイン 鍋島」展に行って来ました。

「鍋島」とは現在の佐賀県を統治していた鍋島藩の藩窯で作られた磁器製品で、主に将軍家をはじめとする献上品として焼かれたもの。
これまで幾度も「鍋島焼」の磁器を観て来たが、「鍋島」だけを扱った本展でズラリと並ぶ鍋島の意匠と技をこれでもかという程見せつけられた。いや魅せられたと訂正すべきか。

「鍋島」で忘れられないのは、昨年(平成21年)1月から3月にかけて茨城県立陶芸美術館で開催された「九州古陶磁の精華 田中丸コレクションのすべて」展である。
鍋島はもちろん、伊万里、唐津、高取、薩摩などなど九州には名高い陶窯が多く、日本陶磁史における九州陶磁の地位は確固としている。田中丸コレクションはそれら全てを俯瞰できる素晴らしい作品ばかりであった。これ程九州が陶磁で有名になったのは、豊臣秀吉の朝鮮出兵に伴い、大陸の陶工が日本に渡って来たことが考えられるという。
「田中丸コレクション」の鍋島に接した時、私はその洗練された意匠に圧倒されることとなった。
今回の展覧会でも田中丸コレクションから合計3点出展されているが、他館所蔵となっていても田中丸コレクションに含まれていたのと同じものも何点かある。

約100点にも及ぶ鍋島のお皿を拝見するにつけ、一体全体、誰がこんな意匠を考え出したのだろうと疑問に思った。
その人物の名前も正体も明らかになっていないのは、ミステリアスで興味を掻き立てられるが、芸術としてでなくインダストリアルとしての側面が強かった証とも言える。

そうして見て行くと、はっとするような美しい意匠や色、無駄を排除した洗練度、格調の高さ、上品さは評価するが、その一方で形に自由度がなく、突拍子のなさや破天荒さは感じられず、やや堅苦しい感じも受ける。
献上品という性格ゆえに、将軍の代替わりに伴い、お好み(嗜好)も変わり、鍋島も時代によって時の君主のオーダーに即したデザインに変貌することもあった。
しかし、希望の範囲内での限定された自由度であっただろうが、限られた枠の中でも懸命に工夫やアイディアを凝らした意匠や色味と、名前も知らぬ陶工たち関係者の賢明な美への探究の姿勢に頭が下がる。彼らが生み出した意匠は、江戸時代から平成と時を経ても、まるで古くさくなく現代においても通用する時代を超越する美であった。

「鍋島」については『サントリー美術館ニュース』vol.230に分かりやすく、かつ、丁寧に紹介されているので、美術館に行ったらぜひお手にとって読んでいただきたいと思う。

展覧会構成と印象に残った作品は次の通り。

Ⅰ.鍋島藩窯の歴史
・「色絵山水花鳥文大皿」2点
一つが、景徳鎮窯のもの、もう1点は肥前有田のもの。鍋島藩窯ではないが、そのルーツをたどる上で、この2点の存在と比較は非常に興味深いものがあった。
個人的には、やはり景徳鎮かと、中国陶芸を久々に見に行きたくなってしまった。他館の展示に来てそんなことを思うのも不思議な話だが、静嘉堂文庫美術館で9/25から「中国陶磁の名品展」が開催されるが、「鍋島」を観た後に景徳鎮などを愛でるのもまた楽しかろう。

・「色絵群馬文皿」 五客 岩谷川内藩窯
・「瑠璃釉色絵唐花文皿」鍋島藩窯 (以下、鍋島藩窯のものは窯名省略)
鍋島と一口に言っても、色絵、染付、青磁の3種類がある。
多いのは、染付、色絵で、青磁はやや少ない。上記の瑠璃釉の色は極め付けの色の美しさ。
・「染付枝垂桜文三足大皿」
薄い瑠璃釉と少し濃いめの瑠璃釉の2色使いが素敵。どうも瑠璃釉に滅法弱い。均一な瑠璃釉の出来栄えに、意匠だけでなく、磁器製造技術力の高さも感じる。

Ⅱ.構図の魅力
心惹かれるデザインのお皿がズラズラと登場するが、ここでは特に構図に着目して鑑賞する。
・「色絵更紗文皿」
鍋島藩では磁器の他に染織品の生産も盛んで、更紗染めはその代表格。鍋島藩により保護奨励され発展していたため、更紗紋様の着想と磁器への取り入れが進んだのだろう。織物でなく、磁器で更紗紋様の美しさを愛でるとは、何とも贅沢。

・「青磁染付雪輪文皿」
・「薄瑠璃染付花文皿」
後者の「薄瑠璃染付花文皿」はサントリー美術館所蔵品で、「藍色ちろり」と並んで、サントリー美術館と言えばこの作品を思い浮かべてしまう程、お馴染の作品。他のお皿と比較しても、モダンさは群を抜いている。

・「色絵巻軸文皿」
・「染付月菟文皿」
どちらかと言えば、花や吉祥のモチーフが多い中、兎の登場は斬新に見えた。

Ⅲ.鍋島の色と技
前章で構図に注目したら、今度は色と「墨はじき」という白抜きの技法に注目する。と言いつつ、やっぱり素人はどうしても技術云々よりデザインや色の組み合わせに目が行ってしまう。
・「青磁染付笹文皿」
・「青磁染付七壺文皿」
・「染付蜘蛛巣文葉形皿」
・「染付柵流水文皿」

蜘蛛の巣や柵を流れる水さえも上品な美を醸し出すという、鍋島ならではのデザイン。

・「瑠璃釉露文三壺形皿」
3つの小さな壺を組み合わせた形。鍋島には珍しい形。
・「色絵椿繋文皿」
ここに「墨はじき」の技で白い椿を見事に見込みに表す。

Ⅳ.尺皿と組皿
・「染付雪景山水文皿」
・「染付岩滝文皿」
・「染付童子雪合戦文三足大皿」
最後の童子の雪合戦の大皿はどの殿さまのもとに嫁いだのだろう。こんな愛らしいものをお好みの将軍がいたのだろうか。

・「鏽絵色絵縞丸文皿」 五客
愛用するならこんな丸皿も楽しそう。

Ⅴ.鍋島の主題 四季と吉祥
最後は、四季と吉祥にちなんだモチーフの製品を展観する。
「色絵宝尽文大皿」、「色絵柳燕文皿」「色絵萩文向付」五客、「色絵三瓢文皿」などが好み。

参考作品として、狩野晴川院養信筆「波濤図屏風」サントリー美術館蔵が絵画作品として唯一展示されていた。こちらは9月20日までの展示。

鍋島の特徴的かたちである盃のような木盃形について、きちんと確認しなかったのは心残り。高台が高いのが特徴だが、時代によってその高さは微妙に違う。また、田中丸コレクションでは皿以外に花入などの鍋島製品も出展されていたが、これらは希少なものだったのだろう。

お気に入りの一点を探してみると、きっと楽しくなる筈です。

*10月11日まで開催中。

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