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「諸国畸人伝」 板橋区立美術館

itabashi

板橋区立美術館で開催中の江戸文化シリーズ No.26「諸国畸人伝」に行って来ました。

板橋区立美術館の今や名物企画と申し上げても良いでしょう。恒例の江戸文化シリーズです。
今回は「諸国畸人伝」(しょこくきじんでん)と題して、18世紀後半から19世紀にかけて国内各地で活動した10人の絵師を選りすぐり、48点の作品を紹介するもの。本展は、1790年にあらゆる階層の有名無名の人々の奇異な行状を伝える人物伝『近世畸人伝』(著:伴蒿蹊)に倣っています。

選りすぐられた10名の絵師は以下。
菅井梅関(すがい・ばいかん)、林十江(はやし・じっこう)、佐竹蓬平(さたけ・ほうへい)、加藤信清(かとう・のぶきよ)、狩野一信(かのう・かずのぶ)、白隠(はくいん)、曽我蕭白(そが・しょうはく)、祇園井特(ぎおん・せいとく)、中村芳中(なかむら・ほうちゅう)、絵金(えきん)

この10名の中で、未知の絵師は菅井梅関と佐竹蓬平。佐竹蓬平の作品は、観たことがあるような気がするが、印象が残っていない。既にその名を知っていても絵金に至っては今回初めて、実作と対面、祇園井特も観る機会の少ない絵師です。

10人の個性豊かな絵師による作品群の中で、私の心をぐぐっと惹きつけたのは、やはりこの人、曽我蕭白。
もう、ダントツだった。
曽我蕭白≪群童遊戯図屏風≫六曲一双(九州国立博物館蔵)は、本展パンフレットにも見開き両面を使って紹介されているが、この1点だけでも足を運ぶ価値はあり。蕭白はこれ1点だが、1点でも大きさ、迫力十分である。
銀箔の豪華で巨大な画面に、摩訶不思議な世界が描かれている。左隻の端には大木の一部が、その根元近くからは、小川が流れ、川辺には童子たちが、魚を釣ったり、亀の取り合いをしたり、逃げる川うなぎを必死につかもうとしたりと実に楽しげ。中央付近には粋な姉ごが2人、うちわを片手に涼を求めて散歩をする夏の一場面。右隻は春の場面で、のんびると巨大な牛が2頭、1頭は正面を向いているが、もう1頭は見事にこちらに背を向けている。そして、こちらも童子が鶏(闘鶏?)、や相撲を取ったりと、賑やかに遊ぶ。

ただし、着彩も蕭白の手によるものなのか?と首を傾げてしまった。塗り方が雑で縦横無尽、後補によるものなのだろうか。

もう一人、加藤信清の文字絵も凄かった。以前、五百羅漢図を1点拝見したことがあるが、今回は1点の館蔵品含め計5点が展示されている。彼は生涯にわずか1点以外、全作品を文字絵で制作したというが、逆に文字絵以外の1点というのも気になる。
単眼鏡なしでは、到底あの線がすべて漢字(経文)であるとは肉眼視できないだろう。何という細かさ、尋常ではない根気のいる作業。どの作品も信心ゆえに文字絵をはじめた信清に相応しく≪阿弥陀三尊図≫高崎不動尊金剛寺、≪法華観音図≫相国寺など大きな作品も多く、これも必見。

絵金は、熊本市現代美術館で9月5日まで開催されていた展覧会のために同館に貸し出しされていたが、運送業者により梱包(こんぽう)したまま薬剤でいぶす薫蒸作業を行った結果、緑色の絵具が薬剤と化学反応を起こし、黒く変色したとニュースで流れたばかり。
そんな悲しいニュースはさておき、辻惟雄著「奇想の系譜」(ちくま文庫)にも紹介されている、奇想の絵師。岩佐又兵衛よろしく血みどろ絵で有名であるが、絵金の屏風は、香南市の絵金蔵に所蔵され、年に1度7月第三週の土日に開催される絵金祭りにて、蔵の中から目覚め、商店街の闇に姿をあらわし、蝋燭の灯に照らされ、闇の中で一層不気味さを増すのである。

今回は、美術館の中での鑑賞ということで、蝋燭の灯で鑑賞することは叶わなかったが、漸く実検する機会に恵まれた。芝居の一場面を絵にしているせいか、思い出したのは明治の浮世絵。芳年、芳幾などの血みどろ浮世絵に似た、凄残な状況が極彩色の色で塗られている。どことなく、近代の芝居の看板絵にも同じ雰囲気があるような。上手さはないが、迫力はある。

狩野一信の五百羅漢図はあまりにも有名で、来年江戸東京博物館で、この五百羅漢図、全100幅を一挙に公開するというから、楽しみ。今回は、十二頭陀・露地常坐、神通、籠供の3点が出展されている。

変わり種では、祇園井特。彼が描く美人画というのは、肉筆美人画に描かれる美人の範疇は、西国特有のものと言って良いのか、明らかにどこか異質。美人と言っても良いのか正直憚られるような雰囲気の顔立ちをしている。
≪手あぶり美人図≫京都府総合資料館蔵に描かれる美人の着物の図柄の鹿が愛嬌があって、面白い。

佐竹蓬平の虎図は、愛嬌があって、朝鮮絵画に似ている。
菅井梅関の「のびのび絵画」と勝手に命名したくなる、自由闊達な筆さばきは、のんびりしていいなぁと。菅井の作品は仙台市博物館所蔵だが、彼の展覧会は観てみたい。お気に入りは≪鵞鳥図≫。

我が道を行く作品群!と銘打った通りの内容で楽しめます。

*10月11日まで開催中。

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「諸国畸人伝」

板橋区立美術館で開催中の 江戸文化シリーズ No.26「諸国畸人伝」展に行って来ました。 奇想の画家と辻惟雄先生に称された伊藤若冲、長沢芦雪、岩佐又兵衛、狩野山雪ら江戸時代の絵師たち。現在ではすっかり展覧会の顔へと成長。 勿論、彼ら以外にもおかしな

諸国畸人伝(その一) @板橋区立美術館

 「奇想の系譜」といえば辻惟雄先生。彼の「ギョッとする江戸の絵画」(NHK知るを楽しむ)に登場する①岩佐又兵衛、②狩野山雪、③白隠、④曽我蕭白、⑤伊藤若冲、⑥長澤芦雪、⑦葛飾北斎、⑧歌川国芳の8人はすでに定番となっている。 今回、安村敏信先生が選ばれた

諸国畸人伝(その二) @板橋区立美術館

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とら様

こんばんは。
昨日は体調がすぐれず、お返事が遅くなり申し訳ございません。

> ウナギを追いかけてる子が出演男児賞。
> 信清の文字絵、一信の五百羅漢は努力賞。羅漢菩薩変身像が神通力賞。
> 絵金はドロリ賞、井特はデロリ賞。

さすが、とらさん上手い例えですね。
私も出演男児賞はウナギの子にあげたいです。
一信もさることながら、信清はよく目が悪くならなかったですね。
不思議で仕方がありません。やっぱり神通力でしょうか。

No title

蕭白がなんといってもベストでした。ウナギを追いかけてる子が出演男児賞。
信清の文字絵、一信の五百羅漢は努力賞。羅漢菩薩変身像が神通力賞。
絵金はドロリ賞、井特はデロリ賞。
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