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「ドガ展」 横浜美術館

doga

横浜美術館で開催中の「ドガ展」に行って来ました。
展覧会公式サイト ⇒ http://www.degas2010.com/

今年はオルセー美術館の改修の影響か、印象派やオルセー美術館がらみの展覧会が目立つ。
この展覧会もオルセー美術館の全面協力のもと、同館所蔵のドガ作品45点と国内外のコレクションから集めた約120点によって初期から晩年までを展観します。
驚いたのは、国内でのドガ展は21年ぶりとのこと。
久しくがっちり脇を固めていた画家が、いよいよ檜舞台に登場!といった感じでしょうか。

ボストン美術館展に出展されていたドガ作品が、まんま移動しているのには思わず苦笑。全体としては、油彩、素描、パステル画、ブロンズ、そして写真に至るまで、ドガの制作全般を網羅した内容だったと思います。あの名作≪エトワール≫初来日にも関わらず、踊り子関連の油彩は少なめだったせいか、コアなドガファンの知人は不満をもらしていたのには驚きでした。

展覧会の構成と印象に残った作品です。

1章:古典主義からの出発
時代を追いつつ、更にモチーフ別の展示となっている。「肖像画」⇒「競馬場」となっている。

冒頭の≪画家の肖像≫1855年(オルセー美術館)は、ドガが敬愛するアングルの影響下にあった初期作品。ドガはアングルの弟子に師事している。写実的で、かたい印象を画面から受ける。

「肖像画」コーナーで、何より目を奪われたのは≪トキと若い女≫1860-62年(メトロポリタン美術館)。若い女の両脇に描かれていた二羽の朱色のトキ。このトキは絵が完成した後、付け加えられたとのこと。女性の緑のベールとの反対色効果で、強烈な画面に見えた。残念ながら、この作品の照明のあたりが悪くて、反射のため上部がよく見えなかった。

≪マネとマネ夫人像≫1868-69年頃(北九州市立美術館)も衝撃の一作。画面の右端が大きく壁のように空白となっている。変わった構図だなと思ったら、当初、この空白部分にはマネ夫人の顔が描かれていたが、マネのお気に召さず、彼によって切断されたというドラマのような逸話が残されている。マネの気性の激しさをドガ展で感じるとは何とも皮肉。これをきっかけとして、マネとドガの関係は微妙なものになっていく。

≪画家の従姉妹の肖像≫1865-68年(ワズウォース美術館)、≪東洋風の花瓶の前の女性≫1872年、≪ロレンソ・パガンとオーギュスト・ド・ガス≫1871-72年(オルセー美術館)などドガの家族や身の回りの人物を描いた作品が多い。東洋風の花瓶などは、当時のジャポニスムの影響だろうか。

「競馬場」
1857年ブーローニュの森に客席付のロンシャン競馬場が開設され、競馬はパリにおける重要な社交イベントだった
。ドガは富裕な銀行家の家に生まれ、お金には不自由しない暮らしをしていた。そんな彼が競馬場に足を向け、絵筆を取るというのは必然の結果であった。
≪アマチュア機種のレース-出走前≫1862年(オルセー美術館)、≪障害競馬-落馬した騎手≫1866年(ワシントン・ナショナル・ギャラリー)はドラマティックで劇的な一瞬を切り取っている。思えば、これらの作品は実に写真的だ。スクープ写真のようなリアリスムがある。
後半に展示されているが、ドガは写真に大変興味を持っていて、彼が撮影した写真が今でも多く残されている。絵画と写真という観点は、これまでドガのイメージとして私の中になかったものだが、本展では「ドガと写真」について考えることができたのが嬉しい。

2章:実験と革新の時代
「踊り子」⇒「近代都市の生活」と展開。

ここでは、いよいよ≪エトワール≫登場。横浜美術館は箱は大きいのに、企画展の展示室が狭いのが難。≪エトワール≫もこの作品だけ特別な照明(恐らくLED)が当てられ、他の作品と見え方がまるで違う。逆に他の照明が反射があったりと余計気になってしまった。

≪綿花取引所の人々(ニューオリンズ)≫1873年(ポー美術館)も写真のような絵画だった。こちらは、広角レンズ?で撮ったような構図。これも新聞に掲載できそうな作品。ドガはいつから写真を始めたのは、公式サイトの年表によれば61歳(1895年)の頃。とすれば、この頃ドガはまだ写真を始めていないが、写真には強い関心を持っていたようだ。写真的な絵画を描くという写真からの影響力の強さが興味深い。

≪バレエの授業≫1873-76年(オルセー美術館)も超有名な作品。踊り子の様子が実に事細かく描けている。中央に立つのがジュール・ペロー。この他、≪ダンス教師 ジュール・ペロー≫1875年、≪右を向いている踊り子≫1873年が油彩では好印象。

フランス国立図書館所蔵のリトグラフ≪アンバサドゥールのベガ嬢≫1877年頃も非常に貴重で、見逃せない。リトグラフやパステル画の踊り子も、手法を変えることで醸し出す雰囲気が異なる。これは次章で更に深く展観している。

3章 綜合とさらなる展開
「浴女」⇒「風景画」⇒「ドガと写真」⇒「ドガの彫刻」

ドガの晩年の制作を語る上で、彼自身の視力の衰えを外すことはできない。このため、パステル画への転向や写真への取り組みを開始し、できうる範囲でのドガ芸術の完遂を志した。

中でも「浴女」をテーマにした作品群には改めて驚いた。
≪浴盤(湯浴みする女)≫1886年(オルセー美術館)はロートレックを思い出したが、もうひとつ、日本の浮世絵に描かれるポーズにも似ている。ドガは非常に日本、ことに浮世絵が好きで浮世絵も所有していたという。
≪水浴≫1894年(長島美術館)、≪浴後の朝食≫1894年(トリトン財団)の濃いグレーの輪郭線と柔らかで明るい背景色、バスタブのバラ色と彼の視力は失われているのに、作品からは光が溢れている。ドガは光を求めていたに違いない。

≪浴後(身体を拭く裸婦)≫1896年(フィラデルフィア美術館)は、今回もっとも印象深い作品。
ありえないようなポーズで身体をタオルで拭く裸婦をパステルで描いている。この作品の下敷きになっている1枚の写真も同時に展示されている。両者を比較すると、ドガが写真を参考に、この作品を描いたことがよく分かる。
日常の風景そのものをやや強調したポーズで描く。

オルセー美術館、フランス国立図書館そ所蔵のドガ撮影の写真も本展の大きな見どころのひとつ。
たまたま読んでいた港千尋著『写真という出来事クロニクル1988-1994』に1988年グラン・パレで開催された「ドガ展」の記録があって、本展と同じようにドガの写真が展示され、それについての感想や考察が記載されていた。それによれば、「ドガがランプや蝋燭などの光の効果を詳しく研究していたことがうかがわれる。」とある。人物の室内撮影のために、「石油ランプを9つ使って露光時間は15分だった」と写真にメモ書き(写真をもらった詩人のヴァレリーの手書き)が残っている。

ドガは浴女の姿をいったいどこから見ていたのだろう。
≪浴盤≫は上から覗きこんだような視点から、女性を描いているとしか思えない。
ここに生涯独身を通したドガの密やかなエロティシズムを感じる。

展覧会の最後には踊り子のブロンズ像が並ぶ。ドガにとってブロンズ像は作品というより、立体的なスケッチだったと解説にあった。大昔、オルセーに行った時、この彫刻がスケッチだなんて考えもしなかった。

*12月31日まで開催中です。展覧会の巡回はありません。混雑必至。お早めに。

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「ドガ展」 横浜美術館

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komichi様

はじめまして。
ご高覧いただき有難うございます。
解説などという気のきいた内容はかけませんが、
今後ともよろしくお願いいたします。

早朝10分でも朝ヨガしようと最近気持ちを新たにしたばかりです。

はじめまして

神奈川県のはずれで「芸術の小径」を運営しています。
今回「ドガ展」のTBをさせていただきました。
こちらのブログは丁寧な解説とYoginiということにも、大変興味が湧きました。
私もヨガを続けて、最近は少しお教えするようになりました。
これからもどうぞよろしくお願いいたします。
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