スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

「没後120年 ゴッホ展」 国立新美術館

GOCH

国立新美術館で開催中の「没後120年 ゴッホ展 こうして私はゴッホになった」に行って来ました。
公式サイト ⇒ http://www.gogh-ten.jp/tokyo/index.html

2010年はゴッホ(1853-1890)没後120年目にあたります。
本展は、ゴッホの代表作に加え、ゴッホに影響を与えた画家たちの作品やゴッホ自身が集めたコレクションなどを展示し、「ゴッホがいかに『ゴッホ』になったか」を明らかにするものです。
オランダのゴッホ美術館(以下VGM)とクレラー=ミュラー美術館(以下KMM)のコレクションを中心にゴッホの油彩画約35点、素描約30点、彼に影響を与えたもしくは同時代にパリで活躍した画家の油彩画約30点を展示しています。
~展覧会チラシより抜粋

以下、展覧会の構成と印象に残った作品などを挙げて行きます。なお、所蔵先表記はVGM、KMMは省略します。

Ⅰ.伝統-ファン・ゴッホに対する最初期の影響
展覧会の冒頭は、ゴッホの作品リストNO.78≪自画像≫1887年(油彩・厚紙)。ゴッホは多く自画像を残しているが、この作品の自画像は瞳の色を凝視してしまった。グレーがかった緑色。深い、とても狂気をはらんでいるようには見えない。

第1章では、≪秋のポプラ並木≫1884年と最晩年の≪曇り空の下の積み藁≫1890年をいきなり両隣に並べ、6年の変遷を2点の作風変化を見せることで一気に語る。まず、結論を見せることで、観客の関心を惹きつける。大胆で意欲的な展示方法だと思う。
続いて、ゴッホが関心または評価した画家たちの作品が並ぶ。ミレー≪漁師の妻≫1848年・メスダッハ美術館は初見で嬉しい。ゴッホは、生涯にわたり、ミレーを敬愛し彼を超えようとしたのではないかと思う。晩年に至るまで、ミレー作品を引用した作品が展示されているのでチェック。
ヨゼフ・イスラエルス≪夕暮れ≫1890年は情緒ある画面で好みだった。

Ⅱ.若き芸術家の誕生
ゴッホは、基本的には独学の画家だが、2回にわたり素描と絵画技術、画材について、アントン・モーブに学ぶ。
ここでは、ゴッホの素描や初期の素描をもとにした一連の版画作品を展示。

今年、台北で開催された「ゴッホ展」では非常に多くの素描作品が展示されていた。
過去ログ: 「ゴッホ展・燃燒的靈魂」

注目したのは、ホルバイン≪ヤーコブ・マイヤーの娘≫と同作品のゴッホによる模写の展示。オリジナルのホルバインの作品の方が好みだが、ゴッホも負けていない。素描学習を繰り返し続けたことが、一連の展示で伺われる。ここでもミレーの踏襲が既に行われている。≪掘る人≫≪種まく人≫など木炭とチョークで農民を描いた。ゴッホは農民画家を目指していたのだろう。

油彩画は≪麦藁帽子のある静物≫1881年1点だが、初期の作品の中では佳作だと感じた。

Ⅲ.色彩理論と人体の研究-ニューネン
1883年暮れニューネンに移住。1884年にドラクロワの色彩理論を学び、静物や農民の習作を試みる。当初人物画を描くための学習だったが、ここで彼は≪じゃがいもを食べる人々≫1885年という作品を残す。
ここでは、この作品のリトグラフが展示されている。

油彩画で迫力があったのは≪籠いっぱいのじゃがいも≫1885年。ここに人物は描かれていないが、山のようにうず高く積まれたじゃがいもは、油絵具がテカテカしていて厚めに塗られた絵具のせいか存在感があった。1885年頃の作品は≪ビールジョッキ≫1885年を含め、後年のゴッホ特有のまぶしいばかりの色彩はその存在の影さえ見いだせない。農婦も、静物も皆一様に暗く沈んでいる。

残念だったのは、ドラクロワ作品の展示がなかったこと。ミレーに並んでゴッホはドラクロワの色彩に衝撃を受け、自身の色彩をつかんだというが、ここにドラクロワが1点あれば説得力が更に増したはず。

Ⅳ.パリのモダニズム
1886年2月にパリに移住。弟テオと共有していたアパートで次第にドラクロワ学習の成果と印象派の画家による色彩の使い方を習得し、徐々に色彩が明るくなってくる。

ここでは、彼に影響を与えた印象派のスーラ、ピサロ、シスレー、シニャック、モネ等の作品が展示されているのも見どころの一つ。ピサロ≪虹≫1877年、シニャック2点など見ごたえある作品が出ているので注目。個人的にはスーラが好きなので、小品だが1点≪オンフルール港の入口≫があって嬉々とした。この作品はKKMでも観たかもしれない。

ロートレック≪テーブルの若い女(白粉)≫1887年とゴッホの≪カフェにて≫1887年が並んで展示してあったのが非常に良かった。この2作品はいずれもカフェ「ル・タンブラン」の女主人をモデルにしている。
同じモデルを描いて、ロートレックとゴッホ2人の作品の相違点を見つけるのは楽しい。ゴッホの作品は、人物より背景に描かれた小道具、例えばテーブルや椅子の色彩に後年の姿を見つけることができる。ここで描かれた小テーブルは縁が赤色で黒で●や線の模様が付加され、更にテーブルの脚は緑色。赤と緑の捕色、ゴッホの得意な補色の使用がこの作品で既に観られることは興味深い。
対してロートレック作品のテーブルは白いテーブルクロスで覆われ、女性の着衣も白。テーブルの脚は何とか緑であることが判別でき、赤は白のテーブルの上に乗った煙草入れ?で蓋と共にアクセントとして配される。

ゴッホ作品では他に≪花瓶のヤグルマギクとケシ≫1887年・トリトン財団が素晴らしかった。目の覚めるようなブルーを背景に赤のケシの花が咲き誇るがその一方で散りゆく姿も描かれるのが悲しい。同じく≪バラとシャクヤク≫1886年も淡く明るい色調とやはり落ちた花弁が印象深い。
≪マルメロ、レモン、梨、葡萄≫1887年のアンリ・ファンタン・ラ・トゥールの≪静物≫と並ぶと影響の度合いが手に取るように分かる。

Ⅴ.真のモダン・アーティストの誕生-アルル
1888年2月に南仏アルルに移り、ついにこれまでの学習成果が花開く時が到来した。しかし、これは後年の評価であり、ゴッホ生存中に評価が得られなかったのは周知の通り。
ゴッホ展を観ていて、一体評価とは何たるか、作品が売れるためには何が必要だったのかが常に頭の中にあった。
なぜ、亡くなってからでしか評価されなかったのか、「死」だけが要因であった筈はない。生きている時から作品はそこにあったのに。時代が、世相が、ゴッホについて行けなかったのか。それ程、ゴッホは前衛であったのか。

ここでは、≪アルルの寝室≫1888年をTBSの美術スタッフが再現しているのも見どころの一つ。
この作品は、他にオルセー美術館(先に終了したオルセー美術館展で来日)、もう1点はシカゴ美術館が所蔵しているが、今回展示されているVGM作品がオリジナルで他の2点は、この作品の記憶をもとに描いたそうだ。
この他、ゴッホの特有の明るく多彩な色彩の油彩画がズラリと並ぶ。
≪緑の葡萄畑≫、≪ゴーギャンの椅子≫、≪種まく人≫、≪ある男の肖像≫、≪あおむけの蟹≫。
≪あおむけの蟹≫1889年を除き1888年に描かれていることが凄い。1年で描いて描いて描きまくった感がある。

アルルと言えば束の間の同居人ゴーギャンの作品も2点、親交のあったベルナールも1点あり。
ゴッホがコレクションした?と思われる日本の浮世絵も6点、中に≪新版子供遊び≫明治時代が含まれていたのが微笑ましい。

Ⅵ.さらなる探求と様式の展開-サン=レミとオーヴェール=シュル=オワーズ
自分の耳を切り落とすという衝撃的事件を起こし、ゴッホはサン=レミの療養院へ収容される。
ここで描いた≪サン=レミの療養院の庭≫1889年のまばゆいばかりの色彩と光は賛嘆するばかり。

最晩年の≪アイリス≫1890年。黄色の背景色は、まるで日本画の金屏風のように見えた。そして、描かれたアイリスは・・・。そう思い出したのは尾形光琳の≪杜若図屏風≫。時代も洋の東西も違えど、色彩やモチーフに共通点があるように思った。この青(濃紫)と黄色の色彩の対比はドラクロワの色彩理論に則ったもの。
再び、ドラクロワとミレーに立ち帰ったことが、ここでは語られる。

その傍ら、≪麦の穂≫1890年のような単一モチーフを繰り返し描く、しかも絵具はゴッホ特有の厚塗りではない作品も残しているのは興味深い。画家の精神状態の変化が想像されてならない。
また、≪ガシェ博士の肖像≫1890年で、エッチングに取り組んでいることも驚き。
これ程制作意欲がありながら、自殺してしまったゴッホ。死の衝動は極品のせいか、病める精神のせいだったか。

三章と四章の間に映像コーナーもあるので、途中休憩をはさんで、じっくりと鑑賞できます。

展覧会のタイトル通り、いかにしてゴッホはゴッホになったかを見せてくれた。

会期末やTV放送されると、途端に混雑すると思われるので、1日でも早い鑑賞をおすすめします。
図録は通常装丁と特装版(3000円)の2種類あり。本展キュレーション者のVGM、KMMの論文等掲載あり。展示室には作品の詳細キャプションはほとんどないので、図録を買わない方も館内の図書室などでじっくり読むことも可能です(冊数に限りあり)。

*12月20日まで開催中。
<巡回先>
・九州国立博物館 2011年1月1日~2月13日
・名古屋市立美術館 2011年2月22日~4月10日

コメントの投稿

非公開コメント

よし様

こんばんは。

台北ゴッホ展に続いて、コメント有難うございます。

> 「自分のパレットからはじめよ」という言葉がいいな。
> 絵に関わらず、なにごとも自分の色調からしか出発できませんが。

確かに至言ですね。
今回の展覧会ではゴッホがどんな作家に影響を受け、自分の中に取り入れて
行ったかが分かったように思います。

自分の色調

こんにちは
ゴッホはとても好きです。「自分のパレットからはじめよ 」という言葉がいいな。
絵に関わらず、なにごとも自分の色調からしか出発できませんが。
カレンダー
08 | 2017/09 | 10
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
ブログ内検索
twitter
最近のエントリ
カテゴリー
最近のコメント
最近のトラックバック
天気予報

-天気予報コム- -FC2-
カウンター
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。