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「ハーブ&ドロシー アートの森の小さな巨人」 シアター・イメージフォーラム

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シアター・イメージフォーラムにて、話題のドキュメンタリー映画『ハーブ&ドロシー アートの森の小さな巨人』を観て来ました。
公式サイトはこちら
昨日は、この映画の監督・プロデューサーである佐々木芽生監督による舞台挨拶があると知り、急遽駆け付けた。

私と同じ思いの観客が多かったのか、はたまた映画そのものの人気のせいか会場は満席。
ほぼ定刻にまずは佐々木監督の舞台挨拶が始まる。

ほとんど予備知識なしで観に行ったのだが、佐々木監督は元々TV番組などの取材陣のコーディネーターなどのお仕事をされていて、映画を自分が作ることなど考えてもみなかったという。
それが2002年に、NYでハーブ&ドロシーと出会い、彼らのことを知った時、心底驚いた。
この時、佐々木監督の中で何かがはじけたのだと思う。

そして、それから2年その時の思いは封印されていたが、2004年に彼らに再会。
ここで、佐々木監督は思い切って彼らにアプローチ、取材をして媒体がTVになるのか何になるのか分からないがお二人のことを世界の人々に知って欲しいと熱い気持ちを伝えた。
ハーブとドロシー(以下ヴォーゲル夫妻)は、快諾してくれた。
初めて、二人の住むマンションに行った時、作品で一杯で本当に驚いたそうだ。
何から始めて良いのか分からないので、まずはデジタルビデオを片手に夫妻の姿を追いかけたのが始まり。

気が付けば、映画を作ることになり、多くの心ある皆さんの協力をいただいて完成にこぎつけたが、途中何度もくじけそうになり、「なぜ、自分はこんなことを始めてしまったのだろう?」と後悔に近い気持ちを抱いた日もあった。そして、映画となると予想以上に制作費も嵩み、気が付けばNYにあるご自身のマンションも抵当に入れ日本円にして5000万円の制作費用を捻出した。しかし、困難はまだ続く。映画は全米で無事公開でき、幸いにも好評を博したが、今年2010年に日本で公開することが佐々木監督の目標だったが、なかなか配給先が決まらず、こちらも頓挫しかけた所、様々な方面から有志の方々の援助があり、こうして無事日本公開にこぎつけ、私も鑑賞できることになった。
人の強い情熱は、目に見えない何かを通じて伝播して行くのだ。

佐々木監督ご自身は、ヴォーゲル夫妻と関わるまでアートに関心があった訳でもなく、ただ二人の情熱に心を打たれ教えられることがあったのだと思う。そして、ヴォーゲル夫妻から受けついだご自身の情熱を映画に昇華したのだと思う。

ご夫婦は、身長150センチ程の小柄で地味な外見で、NYのアートギャラリーのオープニングでは却って目立ってしまう程だが、彼らは人気者で常に温かく迎えられている様子は監督のお話にもあったし、映画のシーンにも出て来た。

「ごく普通の市民が、全米の美術館中でもワシントンナショナルギャラリーを中心に2000点以上のアート作品を寄贈し奇跡をおこした老夫婦の物語。」

この映画は、単なるアートコレクターのお話ではない。
むしろ、アート作品は彼らの情熱の向けたベクトルの一つであっただけで、本当に監督がこの映画で表現したかったのは、夫婦が同じ目的に向かって、30年もの間助け合い、ひたむきに「美は楽しい」というその思いだけで、アーティストを追い、作品について調べ、時にはアーティストのアトリエにまで出向き彼らと対話し、作品や作家について理解を深め、それによって人間関係、信頼関係を構築したという生き様だったのではないだろうか。

映画は二人の出会いとなれそめから始まる。
夫のハーブは元々絵を描いていて、美術に関心があった。妻のドロシーも夫の影響を受け絵筆を取り始める。
しかし、彼らはアーティストとしてでなくコレクターの道を選んでいく。
二人には子供はいないが、猫や亀と1LDKのアパートに慎ましく暮らし始めた。

映画の中で、作品を見つめる二人の姿勢の対比が撮影されていたが、前のめりになって見つめる夫ハーブと、一歩引いて冷静に見つめる妻ドロシー。
相補い合って、助け合って、お互いの好きなことに情熱とお金と時間を注ぎ続けた。
ドロシーはアートだけでなく、お芝居も好きで、二人はNYという街とお互いをとても愛している様子が場面の至る所からあふれ出ていた。作品がどんどん増えて行って、ワシントンナショナルギャラリーに運びだす時にはトラック5台分だったのだから恐れ入る。
美術館からオファーが来るようなコレクションを築きあげることができたのは、ハーブの知識と夫妻の審美眼の賜物なのだが、果たしてそれだけが理由だろうか。否、私はそれだけではないと思った。

この映画の鑑賞には、美術に関心があろうがなかろうが関係ない。
どちらかと言えば夫婦愛や人生の楽しみ方、生き方、そして情熱を注ぎ続けることを私たちに教えてくれる。

多くのアーティストも出演しているが、中でもクリストと亡くなってしまった妻のジャンヌ=クロード夫妻が、ヴォーゲル夫妻についてのエピソードを語る場面がとても印象深かった。
リチャード・タトルと夫妻とのやりとりもおかしかったが、やはりクリスト夫妻とヴォーゲル夫妻の間柄は別格だったようだ。

映画を観ていて不思議だったのは、彼らがどこから作品を購入していたのかということ。
映画だと、直接アーティストから作品を購入しているように見えるのだが、恐らくギャラリーの仲介はあるのだろう。しかし、それらしきギャラリストは出演していなかったように記憶している。更に彼らが好んでコレクションしていたのは、ミニマルアートやコンセプチュアルアート。一見してこれらの作品を理解するのは非常に難しい。私など、コンセプチュアルアートというだけで、尻込みしたくなる時がある。彼らは作家を長期にわたり見つめ続けて来て、作品を集め続けたからこそ、価値あるコレクションを成し得たのだろう。これまた情熱と夫婦の協力があってこそ。

ワシントン・ナショナルギャラリーから送られたいくばくかの金銭もまた国民に還元と作品購入にあててしまう。
根っから、アート、美を愛する二人の姿勢に脱帽した。
世界中にアートコレクターは沢山いるだろうが、夫婦でという点がヴォーゲル夫妻の素晴らしさなのだ。これだけの情熱を夫婦で半世紀にわたり注ぎ続け、作品やアーティストと関わってきた、関わることができたのは、ご夫婦の人格、相補い合う愛情ゆえであろう。
まさに、ふたりだったからこそなしとげた、それもごく自然に。それは彼らにとっては必然だったのだ。

独り身の我が身にとっては羨ましくもあり、ちょっとセンチメンタルに陥ってしまった。

最後にお知らせをひとつ。
来週11月22日は「いい夫婦の日」。
この日を記念して、青山学院大学において『ハーブ&ドロシー』特別トークショーが開催されます。
何と、NYからスカイプを通じてヴォーゲル夫妻が登場します!!!
*トークショー:佐々木芽生、鳩山幸
*NY中継:ハーブ&ドロシー・ヴォーゲル夫妻
日時:11月22日 18時~20時
場所:青山学院大学 青山キャンパス 総研ビル(14号館)12階大会議室
参加費:無料 定員250名 申込要
詳細および参加申込は以下のサイトからお願いします。
http://www.sccs.aoyama.ac.jp/topics/101111.html 

*この後、順次全国で公開予定です。詳細は公式サイトをご確認ください。

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