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「立原杏所とその師友」 茨城県立歴史館

杏所

茨城県立歴史館で11月23日まで開催中の「立原杏所とその師友」に行って来ました。
展示作品は前後期で入れ替えがあります。作品リストなど詳細は以下茨城県立歴史館公式サイトをご確認ください。
http://www.rekishikan.museum.ibk.ed.jp/03_tenji/thema/tatiharakyousho.htm#
ここ最近で観た展覧会では一推しの展覧会の一つです。

立原杏所の作品と言えば、東博所蔵の「葡萄図」(重要文化財)が著名で、私が杏所をしったのもこの作品を東博で観たのがきっかけだった。大胆な墨画で、墨の濃淡とブドウや枝を縦横無尽に走らせ、もしかすると酔って宴席で描いた作品なのかもしれない。とにかく、一目見て忘れられない作品と画家になった。

立原杏所は、江戸時代後半の水戸藩士で、同じく水戸の南画家である林十江らに絵を習い、「水戸の南画」を代表する画家になった。
本展では、杏所の生涯にかかわった人々の資料を交えつつ、没後170年にあたる今年に「南画家」そして文人としての立原杏所の世界を作品と関連資料でたどります。また、合わせて、杏所に関わりのある林十江、谷文晃、渡辺崋山、椿椿山らの作品も紹介しているのも見どころのひとつです。

展覧会の構成とともに印象に残った作品を挙げて行きます。

第1部 翠軒、十江そして杏所へ
(1)父 立原翠軒
杏所の父・翠軒は藩校である彰考館の総裁であるが、この人物がまた傑物で、儒者であり、書も絵も更に七弦琴まで奏でるという文化人であった。
杏所の人生や人物を考える上で、この父親の影響ははかり知れないものがある。父親であるというより、もはや師であったというべき関係であったのだと思われる。
ここでは翠軒関連資料、前述の琴や書などが並ぶ。

(2)最初の師 林十江
林十江は江戸時代の絵画に詳しい方なら、必ずやその名前や作品を目にしたことがある筈。最近では、板橋区立美術館で開催された「諸国畸人伝」展でも紹介されたばかりである。
ここでは、この十江の作日院が6点紹介されている(前後期で展示替えあり)。
「木の葉天狗図」茨城県立歴史館蔵、「花一輪」、「雪公釣鼓図」など未見作も含め、拝見できたのはとても嬉しかった。林十江の大胆な描画は見ていて楽しい。発想が奇抜。今回は大津絵の影響を受けたと思しき作品もあって興味深かった。
なお、杏所は同じ水戸藩の絵師、林十江に最初に指導を受けている。

(3)下野黒羽の画人小泉斐
小泉斐(こいずみ・あやる)。彼の作品は栃木県立美術館か博物館で拝見した記憶がある。
杏所は、父翠軒と親交があった小泉斐の指導も受けている。彼の作品もまた味わい深い。特に真景図と鮎図を得意にしていたようだ。栃木県立博物館蔵の「鮎図」は良かった。

第2部 謹厳なる文人杏所の世界
(1)漢画・古画より学ぶ世界
ここからは杏所の作品世界へ入って行く。これだけ多くの杏所の作品を観たのは初めて。何しろ「葡萄図」の印象が強過ぎて、他の作品は過去に数回観たがあまり印象に残らなかった。
ここでは、タイトル通り、漢画などの学習成果を発揮した宋元画風の作品が並ぶ。やはり、彼の腕前の確かさが作品にあらわれている。
「青緑山水図」茨城県立歴史館蔵は観ていて気持ちの良い山水図。

(2)真景と肖像、人物
「北越山水図巻」早大會津八一記念博物館、「遊歴図巻」、「那珂川湊口晩望図」、「松島御鳥秋晩図」、「雪中門前弓持人物図」など、14~15歳から51歳まで幅広い年代の作品を集めている。特に「松島御鳥秋晩図」は柔らかな雰囲気の名品である。

(3)山水の妙、花鳥の彩り
「雪月花図」出光美術館蔵をはじめ、「雪景山水図」などやはり杏所は山水図に佳品も多く、もっとも多く手がけているようだ。
「富岳図」は55歳の最晩年の作品だし、「春江漁舟図」の賛は父の翠軒が書いている。翠軒はよく杏所の作品の賛を書いているのも今回初めて知った。
「芦石鵞鳥図」(重要美術品)出光美術館蔵、「花木図」(重要美術品)、「菖蒲図」など、花鳥画は洗練され、かつ上品な美しさがあり、山水図とはまた別の魅力がある。むしろ重要文化財や重要美術品に指定されているのはこの花鳥画の分野に多い。

第3部 文晃と門下四哲とその交流
第3部では、杏所に関わった南画家四哲の作品を紹介する。展示替えがあるものの名品ぞろいで非常に見ごたえがあった。
(1)江戸南画の巨人谷文晃
江戸南画といえば、まずはこの人、谷文晃。
彼は松平定信の命に従い、真景図を多く残しているが、「白河楽翁下屋敷真景図」白河私立歴史民俗資料館(後期展示)や草雲美術館の「山水図」など、今回は山水図が良かった。なお、重要文化財の出光美術館「戸山三層図稿」の展示もある。

(2)心の友渡辺崋山
崋山と心の友とされるほど交流が深かった杏所。私が杏所を好きな理由はこんな点にもあるのかもしれない。
大好きな崋山の名品が沢山出展されている。
久々に彼の絶筆「黄梁一炊図」(重要美術品)(10/26~11/23)を拝見できたのは非常に嬉しかった。
また草雲美術館「翎毛虫魚画帖」、「白鵞遊魚図」遠山記念館、「毛武遊記図巻」常葉美術館、「鸕鷀捉魚図」出光美術館など未見作品でも大作が多く、これを拝見できただけでも水戸まで出向いた甲斐があった。
このパートは非常にお薦め。

(3)花鳥と山水の妙手 椿椿山と高久靄
椿山はともかく高久靄の作品にはなかなかお目にかかれないので、これも貴重な体験だった。高久靄は池大雅の師事。彼の作品には北宋絵画の米法山水の技法が見られる。「墨竹図」などの墨の濃淡だけで遠近を表現したすっきりとした佇まいの作品や山水図など彼の作品も一度まとめて観たいと思っている。

(4)継承者 春沙と朴二郎
杏所の娘と息子も絵を描いたが、娘の春沙の作品は良かった。春沙は、父杏所の友であった渡辺崋山を師として絵を学んだ。父親譲りの上品な作風と女性らしい線の柔らかな作品を残している。

非常に盛り沢山な内容かつ名品が多く、展示内容、構成とも素晴らしかった。
おまけにオールカラーのかつ資料性の高い図録がわずか800円という信じられないお値段。郵送も可能なので、茨城県までは行けないという方は是非、図録を取り寄せされることをお薦めします。

*11月23日まで。オススメします。

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andian様

はじめまして。
真にあって良かったです。
昨夜遅くまで頑張った甲斐がありました。
黒印、母親の喪に服して押していた印のことを書くのを忘れていました。
思い出させてくださって有難うございます。

掛川の渡辺崋山をあたためるお気持ちもよく分かります。
こちらは、今年愛知県美で拝見した展覧会に似ているかなと思って
自重しました。
そろそろ崋山の大きな展覧会を拝見したいですね。

ご推奨ありがとうございました

ずっとチラシを温めていたんですが、今朝たまたま貴ブログを見つけて、やっぱり行ってきました。
ほんとに構成がしっかりしていて個々の説明で絵の背景にある人生がよくわかり、展覧会の意図がよく伝わったと思います。江戸時代の各藩の文化状況とか人々のつながり、親子関係とかもろもろ見えます。長生きしたえらい父上がいつも賛を入れるのはどうだったんだろう?とか。黒印の押された絵にも子の気持ちが伝わります。歴史秘話ヒストリアみたいな面白い展示でした。
もうひとつ掛川市二の丸の「渡辺崋山とその弟子たちという」チラシも温めてるのですがちょっと遠いので無理です。
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