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「幕末明治の超絶技巧 世界を驚嘆させた金属工芸-清水三年坂美術館コレクションを中心に」 泉屋博古館分館 

izumiya

泉屋博古館分館で12月12日(日)まで開催中の「幕末明治の超絶技巧 世界を驚嘆させた金属工芸-清水三年坂美術館コレクションを中心に」に行って来ました。
詳細は、美術館のサイトをご覧ください。⇒ こちら

かねてより、本ブログでもご紹介している通り、京都の清水三年坂美術館は明治期の美術工芸品を中心に展示している日本でも唯一と言って良い貴重な美術館です。

今回の展覧会では、幕末・明治の細密工芸のコレクションとして知られる清水三年坂美術館の所蔵品を中心に、日本の金属工芸の世界を牽引してきた刀装具をはじめ、明治という博覧会の時代を代表する「金属・ア-ト」の名品を展示します。

出品作家
後藤一乗・正阿弥勝義・塚田秀鏡・香川勝廣・中川一匠・加納夏雄・海野勝・鈴木長吉・大島如雲・山田宗美など

約150点余りの作品が、それほど広くない展示室にみっちりひしめいていました。
かつてこの美術館にこれだけ長時間いたのは初めてかもしれません。

展覧会の構成と感想を振り返ってみます。

第一章 拵と刀装具-近代金工への序章として
ここでは刀の鐔における、精緻で可憐な金工細工の名品が紹介されています。
奇しくも、現在御本家の清水三年坂美術館でも刀の「鉄鐔の美partⅡ 肉彫鐔驚異の鉄彫刻」が2月20日まで開催中です。第一章にぐっと関心をもたれた方は、ぜひ京都の清水三年坂美術館へもお出かけください。

ここでの私のお気に入りは、後藤一乗「散梅図小柄」「栗柿図目貫」「白拍子図目貫」。
やはり、季節や文学作品の意匠を取り入れた所に興趣と日本ならではの情緒を感じます。

第二章 明治金工の雄 加納夏雄と海野勝、正阿弥勝義
第二章は、ひたすら集中集中。
申し遅れましたが、本展は単眼鏡をお持ちの方は必携です。
細工のあまりのこまかさに、到底肉眼では目視できないような細密な紋様や絵柄、細工が登場。これらを思う存分眺めるのであれば、やはり単眼鏡は必携でしょう。

昨年東博で開催された「皇室の名宝展」でも明治の金工家の作品が何点か出展されており、その中で私の印象に残ったのは海野勝でした。
しかし、本展において、海野だけでなく正阿弥勝義の作品をまとめて見比べてみると、やはりその違いが見えてきました。
海野の作品はどちらかと言えば、派手で豪華な意匠が多いのですが、正阿弥勝義の場合は、奥ゆかしさの中の美学を感じる作品が多い。
どちらかと言えば、小ぶりの作品が多いのですが、その技巧たるや海野を超越するやもしれないすさまじいものがあります。
正阿弥勝義の作品は、この秋、岡山県立美術館で開催された「岡山美の回廊」展にも何点か出展されており、今回の展覧会でも岡山県美からの借り入れ作品も数点展示されています。
勝義は、岡山県の津山で生まれ、京都に移住、77歳で没するまで海野や加納夏雄と異なり、東京美術学校で出仕することなく京都でその生涯を終え、常に、国内の需要にこたえ、注文に応じ研鑽と工夫を繰り返したと言います。
そのあたりが、職人気質で私の好ましいところ。
岡山で観て驚愕した骸骨の作品、あれなどはまさしく顧客からの注文品であったに違いありませんが、あのような今観ても現代美術かと思うような斬新なデザインと作品そして、接合部の超絶技巧を目の当たりにすると、背筋が寒くなるような、最も尊敬すべき金工家です。
以前、清水三年坂美術館長の村田氏にお話を伺った際、一番好きなのは正阿弥勝義とおっしゃっておられたのが、漸く今頃になって分かるようになりました。

今回は、約38点もの勝義の作品が出展されています。どれも甲乙つけがたく、素晴らしいものばかりなのですが、「石榴に蝉飾器」や「蓮葉に蟹香炉」「小倉色紙図色紙箱」「龍鶴図篇壺」、「瓢箪に蜂花瓶」など、身近な生きものを金工で立体に美しく仕上げる様がたまりません。

加納夏雄は、勝義の後に観てしまったので、いまひとつピンと来ず。
無論、彼の技術も素晴らしいのですが、私の頭は勝義で一杯。

次に登場したのが海野勝。彼の技術もまた卓越したものがあります。
これは、ぼんやり観ている場合ではないので、しっかり拝見。
「蜻蛉目貫」「夏野菜目貫」など小さなものにも技の冴えが感じられますが、彼の真骨頂はやはり豪華で大型の作品に観られるように思います。
「花鳥図対花瓶」などは輸出用に制作されたのでしょうか。随分と大型の華麗な花瓶でした。
他に、「蓮図茶合」「春蘭図香合」、「兎金具煙草入」などなど。
やはり勝義のライバルと言えるのは、海野勝以外には考えられません。

岡山県立博物館から出展されている正阿弥勝義の「下絵」が彼の絵師としての力量を思わせ魅力的でした。

<自在コーナー>
ここでは、明治時代に制作された金工の自在置物が11点展示されています。
作者不明の作品も多いのですが、本物そっくりのものを金工で制作。これは彫刻と言って良いのでしょうか。

第三章 明治金工の諸相
第二章で紹介された大物3名以外にも、金工作家はいます。第三章では、この大物3名以外の金工家の作品を紹介。


塚田秀鏡・香川勝廣らにまじって、鹿島一谷の「花鳥図香炉」や海野の血を継ぐ者の作品など。そして、明治工芸で忘れてならない起立工商会社の作品も2点あります。

先日台湾の故宮博物院でも、起立工商会社の作品が展示されていました。
幅広く日本の工芸を輸出販売していた証を海外で実見してきました。

なお、泉屋博古館分館では、受付で各作家の詳しい略歴や金工の技法についての解説など詳細な案内をいただけます。

ぜひ、明治金工の技術の粋を極めた作品をご堪能いただけたらと思います。
図録は2千円で、巻頭に清水三年坂美術館館長の村田氏と日本美術史家の山下裕二教授との対談も掲載されており、盛り沢山な内容です。

*12月12日まで開催中。お薦めです!
なお、この展覧会は下記の通り巡回します。
●佐野美術館
2011年1月7日(金)~2月20日(日) 休館日=木曜日
●大阪歴史博物館
2011年4月13日(水)~5月29日(日)
●岡山県立博物館
2011年6月3日(金)~7月18日(月・祝)

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ゆこもり様

こんばんは。
お返事遅くなりました。
亀親子の携帯ストラップ可愛らしかったしよく出来ていましたよね。
本当に明治の卓越した工芸作品を余すところなく見せていただきました。

ご覧いただけて何よりでした。

ありがとうございますm(_ _)m

こんばんは!
こちらの記事のおかげで、見てこれました~。
正阿弥勝義素晴らしかったです。思わず、亀親子を携帯に付けてしまいました(笑)

noel様

こんばんは。
京都にお帰りになられた際には、ぜひ清水三年坂美術館に
お立ち寄りください。
常時、勝義の作品は1階に展示されています。

清水三年坂美術館のスペースには限りがあるとはいえ、
泉屋博古館分館もそれ程広い訳ではない。
それでも、これだけ沢山の作品を見せていただけたことを
嬉しく思いました。
図録はもちろんお買い上げです。完全に図録貧乏に陥ってます。

凄すぎる技術...

めめさんも図録買われましたか(笑) 同じく、私の頭も勝義で一杯になりました! いつか岡山のガイコツも拝見したいです。
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