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「直視せよ!オットー・ディックスの版画 戦争と狂乱-1920年代のドイツ」 伊丹市立美術館

10dix

伊丹市立美術館で12月19日(日)まで開催中の「直視せよ!オットー・ディックスの版画 戦争と狂乱-1920年代のドイツ」に行って来ました。
詳細は美術館の公式サイトをご参照ください。⇒こちら

日本でオットー・ディックス作品の展覧会が開催されるのは、何と20年ぶりとのこと。ちなみに20年前に開催したのは神奈川県立近代美術館です。さすが。

さて、この展覧会は日独交流150周年参加事業として開催されています。

オットー・ディックス(1891-1969)は、2つの世界大戦を挟む激動のドイツにおいて、人間存在の本質に迫った 20 世紀ドイツを代表する画家のひとりだそうですが、私はその名前を本展チラシを拝見するまで知りませんでした。
この強烈なインパクトのチラシを観た時に、「これは行かなければいけない」と例によってお告げがやって来ました。
残念ながら巡回はないので、伊丹市立美術館へ行くしかありません。

彼は油彩もあるのですが、本展では版画90点によって、画家にとって忘れ難い第一次世界大戦の従軍経験や戦後の混乱が入り混じった都市の諸相「人間の狂気と獣性」をありのままに表現した作品を展観します。

展覧会は「社会批判の版画」1920-1924、銅版画連作≪戦争≫1924、特別出品:ディックスと日本によって構成されています。

彼の銅版画の毒々しさは、観ていておぞましくもありますが、しかし目を簡単にそむけられない表現力があります。
かつて見たどんな版画家の作品にも似ていない、彼特有のリアリティあふれる図画に猥褻表現のため発禁処分になったと言われるのも無理からぬことかもしれません。

連作「サーカス」や娼婦を描いた作品はどこかしらロートレック作品を思わせますが、ディックスのそれはひたすら醜い。美的な要素というのは、ほとんど感じられません。
それなのに、なぜかくまで彼の作品に惹かれるのか、それは人間本来のもつ性質、姿そのものを脚色なくむしろ醜悪な部分を誇張するかのごとく、表現し続けたことにあるのではないかと思います。

醜悪な姿こそ、また真実、そして真実に目を背けられない。
老いたカフェの女「カフェの老女」「自殺者(首吊り)」など、作品は銅版画のものと、「物乞いの女」「レオニー」のようにリトグラフやカラー・リトグラフの2種類の技法を使い分けしている。時にシニカルにあえて、醜悪なものばかりをモデルに選んだのか。

後半の連作版画≪戦争≫は同じく戦争時の記憶を版画にした浜田知明と比較すると表現の差は驚くばかり。
同じ版画であっても、こうまで違うか。
オットー・ディックスの場合、画面全体にモチーフが溢れんばかりに様々な線描によって濃密に描かれる。思わず目をそむけたくなるような醜い傷跡さえ容赦しない。

オットー・ディックスはニーチェの信奉者であったという。
彼が戦場で観たものを、作品化することで彼の心の傷は果たして癒されたのだろうか。
しかし、どの作品を観てもその凄残さは戦禍の恐ろしさと人間の愚かさを後世の私たちに国を越えて知らしめてくれる。

最終章のディックスと日本のコーナーではこれまでと異なった、微笑ましい作品が数点登場する。
日本国内でディックス版画展を開催し、初めて紹介したのは西村画廊で1977年のことだった。そのことに、非常に驚くと共に、西村画廊は時代の最先端の西欧美術を日本に紹介していたのだと改めて認識した。ホックニー、カプーア、ブリジット・ライリー、リチャード・ハミルトン・・・その中にディックスもかつて含まれていたのか。

日本銀行のベルリン駐在員としてドイツに滞在していた宗像久敬はディックスに肖像画を依頼していた。神奈川県立近代美術館所蔵の宗像のサイン帖の中に残されている。
結局ディックスの線が私は好きなのだと宗像の肖像や赤ん坊の肖像画を観て認識した。

私が訪問した時、ちょうどイベントの一貫で、1920年代に流行したジャズやキャバレーソングのコンサートが展示室で行われていた。ジャズを聴きつつ、ディックスの版画を眺めるのは、1920年代をイメージする上でも最高でした。

●講演会「版に世界を刻み込む」
日本初のディックス回顧展の企画者であり、ドイツ近現代美術に造詣の深い水沢勉氏がデ ィックスの作品世界について語ります。
日時|2010 年 12 月 12 日[日] 14:00-15:30[予定]
講師|水沢勉(神奈川県立近代美術館副館長兼企画課長)
*美術館 1F講座室/定員 100 名、聴講無料(申込不要・先着順/要観覧券)

*12月19日(日)まで開催中。

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