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「歌麿・写楽の仕掛け人 その名は蔦屋重三郎」 サントリー美術館

tutaya

サントリー美術館で12月19日(日)まで開催中の「歌麿・写楽の仕掛け人 その名は蔦屋重三郎」に行って来ました。


18世紀後半、安永・天明・寛政期の人気浮世絵師、喜多川歌麿、東洲斎写楽、戯作者の山東京伝、狂歌の大田南畝といった江戸文化を彩るスターの作品を売り出し、文化の最先端を演出、創造したのは、版元の蔦屋重三郎という人物だった。言わば現代の出版社の敏腕編集者蒹経営者と言ったところだろうか。

この展覧会で蔦屋重三郎、略して「蔦重」(と呼ばれていた)の仕事を観て行く中で、思い出したのはここ1カ月ほどはまっているNHKの火曜ドラマ「セカンド・バージン」のヒロイン役中村るい(鈴木京香)だった。
蔦重の話題とそれてしまうが、しばしお付き合いいただくと、このドラマの主役である中村るいは上場を狙う(先週ついに上場を果たした)新興出版社の敏腕編集者蒹役員(専務)。作家の担当から発掘、売れる本の企画、そして先週彼女は新たに発売される女性誌の編集長を任され、その雑誌がバカ売れするという、辣腕編集者ぶりをドラマ中で発揮しているが、中村るいと「蔦重」、時代も性別も違うがやっていることは同じ。

本展では、蔦重の時代を見極める、民衆の求めるものが何かを嗅ぎつける嗅覚の素晴らしさ、天才的な冴えを持ち、如何なくそれを発揮したかがよく分かる。
見どころは浮世絵よりも、むしろレアものの版本の数々だと思う。
これだけ、珍しくかつ良質かつ大量かつ多様な版本が並ぶ展覧会はそうざらにはない。浮世絵の展覧会は毎年必ずどこかで行われているし、来年も東博で「写楽展」が予定されている。
その予習も兼ねて、人気浮世絵師の陰には蔦重のような版元の存在もあったという事実や江戸時代の出版事情などを知るにはうってつけの展覧会だった。

展覧会の構成は次の通り。

第1章 蔦重とは何者か?-江戸文化の名プロデューサー
第2章 蔦重を生んだ<吉原>-江戸文化の発信地
・蔦重と江戸吉原
・蔦重の新たな展開
・蔦重と狂歌師たち
・蔦重と寛政の改革
第3章 美人画の革命児・歌麿-美人大首絵の誕生
・歌麿のライバルたち
第4章 写楽“発見”-江戸歌舞伎の世界

解説を深く読まずとも、蔦重がどんな仕事をし何を残し、どんな成果をあげたのか。展覧会を一巡するとおおよそ理解できる。これぞ展覧会の見本。素晴らしい構成と展示内容で、会場中に大きく引き伸ばした蔦重が描かれた版本の一部や浮世絵など、時代を感じさせる会場作りの妙。
サントリー美術館らしい、観ているだけで楽しくワクワクしてくる展覧会だった。

個人的に一番面白かったのは第2章。
ここが展覧会の核となる部分で、吉原が文化人らのサロン的な役割を果たしていたこと、そしてその様子が吉原細見シリーズの数々より伺われる。

そうかと思えば、時代の潮流を見てとり『男女一代八卦』【占ト書】や『年号重宝記』『歴代武将通鑑』『絵本武将記録』【武者絵本】、『くはんおんきやう』(経本)に往来物に俳諧絵本など、多様な出版物もプロデュースしている。
恐らく、彼は出版という仕事が楽しくて仕方がなかっただろう。

苦しい時代や世相を見通し、狂歌の流行や歌麿を人気絵師にのし上げ、次に写楽を見出し、売り出していく、その眼力たるや天才的ともいえる。

葛飾北斎の才能も早くから見抜いており、彼が勝川春朗と名乗っていた頃の≪能登守教経勇力≫≪仁和嘉狂言≫などをいち早く出版させている。

寛政の改革でお上の取り締まりや節約が厳しく言われるようになった頃も先んじて時代を読み取り『四遍摺心学草紙』、『観光邪魔入』鍬形惠斎、『江戸生艶気樺焼』山東京伝作画など、取り締まりの網を潜り抜け出版を続ける逞しさよ。

英一蝶≪吉原風俗図巻≫、歌麿の≪絵本駿河舞≫、≪絵本千代秋、≪百千鳥狂歌合≫など歌麿は浮世絵はあちこちで観るけれど、版本の良い物がぞろぞろ出ていてこれが一番の眼福だった。他に≪夷歌連中双六≫大田南畝編、北川馬麻呂画とジョイント作品もいくつもプロデュースしている。

他には、肉筆浮世絵の良い作品も何点かあった。

半分程度が期間中展示買えがある。12/15~12/19は最後のクール。東洋文庫所蔵の1点を除き、12/8~12/13までの展示と同じ内容。図録は2300円だったと思うが、買う気満々だったのに、実際に図録の中身を観ていると、版本がちゃちく見えてしまった。紙から紙に印刷して作られたものなのに、本物と図録の違いにちょっと歴然とし買わずに帰って来た。

*12月19日(日)まで開催中。

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とら様

こんばんは。
図録サイズが小さ過ぎるのも原因でしょうか?
まぁ、現物にまさるものはなしの見本のような
展覧会でした。

No title

図録の印象はまったく同感。
ついに印刷技術まで劣化してきた?
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