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「帰ってきた江戸絵画 ニューオリンズ ギッター・コレクション展」千葉市美術館

gitter

千葉市美術館で開催中の「帰ってきた江戸絵画 ニューオリンズ ギッター・コレクション展」に行って来ました。

12月19日に千葉市美術の小林忠館長による記念講演会「お帰りなさい。ギッター・コレクション」を聴講できたので、小林館長のお話を交えつつ展覧会を振り返ってみます。

展覧会の概要については、千葉市美術館のサイトをご参照ください。ニューオリンズを襲った2005年のハリケーンカトリーナから僅か数点を除き貴重な日本美術を守り抜いたカット・ギッター氏と奥様のアリス・イエレン夫妻の素晴らしいコレクションを107点でたどります。
なお、ギッター氏は著名な眼科医で時給100万円!、奥様葉ニューオリンズ美術館の副館長で美術教育を担当でされているとのこと。日本美術のコレクションのきっかけはアメリカ空軍の軍医として福岡に近い西戸崎に近い日本家屋で2年間暮らし、日本の人物埴輪を購入したのが最初の美術品だったそうです。
九州といえば、やきものでも著名な場所、陶窯も回り江戸絵画とは別に、日本の現代陶芸もコレクションの柱の一つになっています。
また、ギッター・イェレンコレクションは、ギッター・イェレン財団により、自宅に付設された美術研究センターで作品を展示し、研究者や愛好者に公開されている。
彼らのコレクションは「萬葉庵コレクション」として知られ、全作品がサイト上で画像公開されています。以下URL。
http://www.gitter-yelen.org/
展覧会はコレクションを表現内容別に6つのセクションに章立てて構成されています。また第1章と第2章の間に8分間のNHKが制作したギッター・コレクションについての映像解説があり、こちらはギッター氏へのインタビューは勿論のこと、ギッター邸や邸内での展示風景、そしてハリケーン直後の作品の傷んだ状況などが紹介されていますのでお見逃しのないように。

第1章 若冲と奇想の画家たち

・伊藤若冲 《達磨図》、《白象図》、《月梅図》、《寒山捨得図》など全8点。若冲と言えば、同じくアメリカのプライスコレクションがつとに有名ですが、ギッター氏も含め、やはり異国の目利きの心をつかむ魅力があるのでしょう。

・曾我蕭白 二曲一双《二老人図》、《蘭亭曲水図》他1点計3点出展されているが、素晴らしい作品。2005年の京博開催「曾我蕭白展」にもこれらは出展されていない。いずれも初見作品。

・長澤蘆雪  全5点。特に私が気にいったのは《月に雲図》&《月に竹図》の2点。前者の斬新な構図は蘆雪らしい。
《赤壁図》は縦141.5の大作。

・徴翁文徳 《龍虎図》六局一双の水墨画の大屏風。あっと驚く大迫力で、秋の名古屋城虎の美術に登場して欲しかった!

第2章 琳派の多彩
来年度に千葉市美術館では酒井抱一の展覧会を予定しているそうですが、今回も抱一の素晴らしい三幅が日本に里帰り。

・酒井抱一 《朝陽に四季草花図》三幅対
抱一は非常に偽物作品が多いそうですが、見極めのポイントのひとつは絵具の良さ。本作品も発色の良さ、退色もなく極めて美しい。
また曲線の美しさも見どころと小林館長。
他に《秋冬草花図》も抱一らしい上品な草花図。

・中村芳中 《月次草花図》二曲一双の貼交屏風も良かった。

・鈴木其一  全3点
私の個人的な好みでは、以下2点。
渡辺始興《春夏草花図》
神坂雪佳 《輪舞図》 《秋草花図》
特に雪佳の《輪舞図》は、六曲一隻の屏風風で、大和文華館所蔵の桃山時代の同名作品からインスピレーションを得たのでしょうか。
なお、雪佳と言えば、百々世草ですが、アメリカの日本美術のコレクターは大概これを所蔵しているとのこと。羨ましい限り。

ただし、ギッター・コレクションには残念ながら琳派の中の琳派、尾形光琳の作品を所蔵していない。

第3章 白隠と禅の書画
ギッター・コレクションの禅画については、2000年~2001年に山下裕二教授の監修で「ZENGA 帰ってきた禅画展」が開催されている。

主として白隠、小林館長のお気に入りは《布袋図》。
私が面白いと思ったのは同じく白隠の《篆書百図》。白隠は全9点。

円山応挙が席画で描いたと思われる《達磨図》も応挙にしては酔狂な作品。

書では、幕臣で江戸後期から明治にかけて活躍した山岡鉄舟《龍図》。図とあるが、実際は龍の文字が龍であるかのようにうねる文字。
中原南天棒も他ではなかなか観られない作品。全3点。確か若冲の
作品にもよく似たモチーフのものがあったように記憶している。
《托鉢僧行列図》大正12年。南天棒は大正時代の僧だった。

第4章 自然との親しみ
・山本梅逸
かねてより、私は梅逸はもっと評価されてしかるべきではないかと思っているのだけれど、今回も素晴らしい六曲一双屏風《四季草花図》が出展されている。
梅逸は名古屋で活躍した江戸の画家。繊細で緻密な西洋画に近い画風を感じる作品。他にも1点あり。

・呉春 《双鹿図》
ギッター夫妻は非常に仲睦まじいそうだが、この雌雄の鹿もまるで夫妻を象徴するかのよう。呉春でこういう作品はあまり観た記憶がない。絹本著色。

紀楳亭や柳沢淇園など、かなりマニアックな文人画のコレクションもあり作家のラインナップの幅広さに驚く。

第5章理想の山水
・池大雅 《湖景図》はじめ全4点。第1章では大雅のユーモラスさが表現された作品が1点展示されていたが、小林館長曰く「大雅をあがめすぎ」とのことで、私も全く同感。
大雅は面白いユーモア溢れる作品や奇想天外な作品もあるのに、なかなかそれらに焦点が集まらないのは残念でならない。

・与謝蕪村  桃源郷を描いた《春景山水図》はギッター氏ご自慢のコレクション。他に2点あり。

そして、再び紀楳亭同様、滋賀県では著名な横井金谷の作品まであり、文人画は最初の頃収集を熱心にされていたらしい。

小林館長が
ギッター・コレクションのうち、ひとつだけ持って帰って良いと言われたら、浦上玉堂《火伏金生図》とお話されていたが、非常に小さい作品だが、密度濃く玉堂らしさが全面に出ている。

・福田古道人
この画家の名前をご存知の方がどれだけあるだろう。
どうやら、明治から大正時代に生きた人物で神道にも傾倒し、最後は餓死したとか。
とあるアメリカ人コレクターが120点も所蔵しているが日本では僅か数名のコレクターがいる程度だとか。
非常に色の美しい描き込みもしっかりしていた。

第6章 楽しげな人生
最終章では、肉筆浮世絵の登場。
・歌川国貞《美人見立士農工商図》
・山口素絢 《鴨川納涼図》《鈴鹿峠宿り木図》
・立原杏所 《文人作画図》
今年は杏所の当たり年。
これも未見作だが、画面に登場する文人は杏所本人だろう。なんだか親しみがわく一点だった。

・祇園井特 《文読む芸者図》
祇園井徳があるとは驚いた。この作品を購入した理由を是非一度伺ってみたい。

・富田渓仙 《遊里風俗図》六曲一双
もちろん、これも先に行われた富田渓仙展には出展されておらず、しかしながら、素晴らしい作品だった。

ギッター氏は日本の書は読めずともそのバランスの良さ、見た目の美しさで、自分の目を信じて作品を購入した。
日本人コレクターはついつい作家の名前や印で買いがちだが、名前の知らない絵師の作品も本展には何点か出展されている。

1月16日(日)14時より河野元昭(秋田県立美術館長)による記念講演会「琳派の魅力ーギッター・コレクションを中心に」が開催されます。聴講無料ですが、往復ハガキで申込必要です。ただし、定員に満たない場合は、当日でも参加可能です。

*1月23日まで開催中。ボリュームあり、見応えありオススメです。

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帰ってきた江戸絵画 ニューオリーンズ 「ギッター・コレクション展」 @千葉市美術館

 同年代のアメリカの眼科開業医ギッター氏がこれだけのコレクションの保有者であることはいささか心穏やかではないが、医療器械の会社経営に深く関係しておられることを知ると納得せざるを得ない。  ハリケーン「カトリーナ」による被害が少なかったのは幸いであった...

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kahan様

お返事が遅くなりまして、申し訳ございません。
まずは、お詫び申し上げます。

千葉市美術館は、前館長に辻惟雄先生、現館長の小林忠先生を
お迎えして非常に充実した企画展を開催しておられます。
私も愛知県からはるばる千葉市美まで通っていて、今はこうして
何度も通える幸せを噛みしめています。
来年もこれからも、期待し応援したいですね!

kahan様

はじめまして。
コメント有難うございます。
千葉市美術館は、素晴らしい展示をしてくれる美術館です。
私は友の会に入って毎回展覧会を楽しみにしています。

来年度は抱一の展覧会をされるとのこと。
琳派ファン待望ですね。
今後とも宜しくお願い致します。

ギッター・コレクション展

はじめまして。
自分も先日千葉市美術館行ってきました。明るい琳派が好きですが、貴重な宗達や抱一が見られて良かったです。
千葉市美術館は地方のいち美術館でありながら、とてもアクティブに活動してくれるので地元としてはとても頼もしい存在、こうしてブログに紹介して頂けるととても嬉しく思います。
また寄らせてもらいますね。

ベンゼン様

こんばんは。
コメント有難うございます。

日曜日もお客様の入りは少なく、良い作品が揃っているだけに
残念な気持ち半分、ゆっくり鑑賞できたのは確かです。

未見作が多かったのも今回の収穫。
会期終了までに再訪したいなと思っています。
琳派お好きなのですね。

あちこちで来年は抱一展が開催されるようですので、各館
どうやって抱一を見せていただけるかが楽しみです。

No title

ご無沙汰しています。
おそらく富田渓仙以来のコメントです。
木曜に行ってきました。
一村の時と違い空いていて良かった。
挙げられた物の他に谷文晁の山水図が気に入りました。
文晁で気に入ったのは多分初めてかな?

托鉢の行列は面白かったです。

来期、抱一をやるんですか。(出光が来月やりますね)
それは楽しみです。

では、また。
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