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「池田龍雄アヴァンギャルドの軌跡」 川崎市岡本太郎美術館

ikedatatsuo

川崎市岡本太郎美術館で1月10日まで開催中の「池田龍雄アヴァンギャルドの軌跡」に行って来ました。

本展は、戦後から現在もなお活躍を続ける池田龍雄の60年にわたる仕事を概観するとともに、その間に出会った人々との交流を紹介しつつ時代の軌跡を辿るものです。

何と言っても、本展チラシ表面(上画像)に使用されている強い赤の蚕もどきの異物が生み出されれいる作品《規格品》和歌山県立近代美術館蔵にただならぬものを感じる。物凄いインパクト。

今年観た映画『ANPO』にも池田の作品そして池田龍雄本人が出演しコメントしているのを観て、彼に関心を持った。同じ時代の中村宏の作品は東京都現代美術館での展覧会、名古屋市美術館でも以前拝見し知っていたが、なぜか池田龍雄のことはこの映画を観るまで自分の中で認知できていなかった。多分どこかで作品は観ているに違いないが、池田龍雄の作品として認識していないということ。

こんな強烈な作品を描く池田龍雄の回顧展と言える総決算的な内容。
悲しいかな、作品リストが作成されておらず、個々の作品についてメモを取るまではしなかった。
展覧会構成だけは、メモした。以下の通り。
Section1 池田龍雄 創造の軌跡
(1)初期作品 自画像
(2)社会と芸術
(3)グロテスクと風刺
(4)仮面と形象
(5)概念としての芸術
(6)物質と重力
Section2  交流と越境
(1)戦後のアヴァンギャルド
(2)青年美術家連合とルポルタージュ絵画
(3)制作者懇談会とその周辺
(4)アンデパンダン’64展から概念芸術へ

池田龍雄の人生は戦争に翻弄される所から始まっていると言っても良いだろう。
若干15際で海軍航空隊に入隊し、特攻隊員として敗戦を迎える。まさに九死に一生を得た池田は、1948年に現在の多摩美術大学、当時の多摩造形芸術専門学校に入学する。

次々と移りゆく作風は、時代を反映し、時流や時世への作家自身の思いをぶつけるかのような作品の数々。
1950年代のインクと水彩の作品は、無気味、グロテスクでありながら形体の面白さがあって、後年の激しい画風の影は大胆な形の捉え方以外に共通点は見出せない。

彼はその後岡本太郎や花田清輝らと出会い、その先鋭的な運動に参加し前衛芸術へと傾倒。
1954年には日本近代美術史上有名な「読売アンデパンダン展」に《網元》で注目を浴びるが、世相を反映した風刺画でこの頃から既に強い個性が発揮されていた。

次に興味深いのは、池田が仮面に興味を持って作品化するところ。
仮面の存在は、芸術家にインスピレーションを与える存在なのか、余談ながら今年は例年になく「仮面」の展示や仮面に影響を受けた作家の作品を観たように思う。

その後も彼は様々な人々の交流を通じて、次々に新しい作品と制作意図を見出して行く。

特に、宇宙と生命の深奥を描いた15年に及ぶ連作は「BRAHMAN(ブラフマン)」はある種、現代の曼荼羅の陽であり、深遠な宇宙をイメージさせる。

第2章では、彼を巡る人々との交流を中心に展観する。
前述した中村宏をはじめ、吉仲太造らの作品と作家の紹介。
そして、彼等の前衛に影響を及ぼしたのは、瀧口修造の存在は欠かせない。
西欧では、ラファエル前派のジョン・ラスキン、シュルレアリスムにおけるアンドレ・ブルトン、芸術運動には、常に思想家、文芸家の存在あり。
日本近代美術における瀧口修造の存在を思う時、現代において、瀧口に近い存在の人物はいるだろうかと思う。

また、第2章では、松澤宥と池田龍雄の交流が語られる。
以前、豊田市美術館で「宇宙御絵図」展が開催され、松澤宥が大きく取り上げられていた。
もしや、あの展覧会に池田龍雄の作品も出展されていたのだろうか。今回は松澤から池田龍雄への書簡が展示され、2人の交流をや当時、池田が展開していたパフォーマンスも松澤の存在を考えると腑に落ちる。
池田のパフォーマンス作品映像が2点「BRAHMAN」と「梵天の塔」が上映されていたが、発表された時代を考えるとその前衛ぶりたるや、想像がつかない。

もう一つ、池田の仕事で驚いたのが絵本の挿絵である。
散々ルポルタージュ絵画やBRAHMANシリーズの絵画を観た後に突如、子供向けの絵本の愛らしい挿絵を見るとその乖離に驚いた。書籍の装幀も手がけているが、彼の作品はSF小説の表紙などにぴったりではないか。
当時の作家の多くは絵本挿絵の仕事をしていたのだろうか。
宮本三郎も然りであった。

多面的にかつ時代を反映しつつ池田龍雄の全貌を知る素晴らしい展覧会だった。

岡本太郎の作品や母、かの子や父、一平の作品を紹介する常設展も毎回楽しめます。

*1月10日まで開催中。おすすめします。

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テツ様

こんばんは。
ブログ復活、とても喜んでいます。
一時休載されたことが、却って良かったのではないでしょうか。

> あの、ひろすけの絵本が池田龍雄の作画だったなんて。
> びっくりしました。

同感です。絵本の絵は、それまで見て来た作品とまた違っていて
映像やパフォーマンスも含め、非常に興味深く展示を拝見しました。

ないたあかおに

あの、ひろすけの絵本が池田龍雄の作画だったなんて。
びっくりしました。
絵本の中に描かれた牛がピカソ風だったり。
多面的で、時代も反映し
興味深い作家ですね。
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