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「日本近代の青春 創作版画の名品」 宇都宮美術館

創作版画

青春18きっぷの3回券を予定通り入手できたので、宇都宮まで行って来た。
目当ては、1月10日まで開催中の「日本近代の青春 創作版画の名品」。昨秋、和歌山県立近代美術館で開催された企画展の巡回である。和歌山まで行けなかったので、宇都宮で観ることができて本当に良かった。

本展は、国内有数の質と量を誇る創作版画コレクションを有する和歌山県立近代美術館の所蔵品に貴重な個人コレクションを交え、1900年代から1940年代までの名品約400点を一堂に展観するものです。

残念ながら、宇都宮美術館の企画展には毎回作品リストがない。
今回も係の方にお尋ねしてみたが、「今回はお作りしていません。」とのこと。「今回は」ではなく「今回も」とか「いつも」の間違いではないかと思ったが仕方ない。
考えてみれば、作品リストがちゃんと用意されているのは日本くらいかもしれない。
台湾もソウルにも、ヨーロッパもアメリカも作品リストなどなかった。
台湾とソウルはリストの代わりに、図録のダイジェスト版が日本円で400円~600円で販売されていて、それを購入している方を多く見かけた。

話を戻す。
時間もなかったので、展覧会構成をメモすることもできなかったが、年代順の構成で展示されている。
版画作品だけでなく、版画雑誌「方寸」これが冒頭にずらりと創刊号から並んでいたのは壮観(シャレではない)な光景で、版画好きにはたまらない。

全体として、以前千葉市美術館他で開催された「日本の版画」シリーズを一気にまとめたような内容。しかし、近年の研究成果「版画の素材、主として紙の構成などの分析」が壁に展示されており、図録掲載論文と合わせて読んでみたが面白い内容だった。それによれば、楮やパルプ紙、みつまたなど版画を摺る素材に工夫が観られる。

見どころとして
1.創作版画の成り立ちから戦後昭和の版画に至る過程を名品と辿れる。

2.代表作だけでなく、有名な版画家の珍品も出展されている。
  特に、個人蔵のものなどは、なかなかお目にかかれない作品が何点もあった。

3.主要作家だけでなくそれほど有名ではない作家の作品も取り上げていること。
  すなわち、作家の名前でなく作品そのものの重要性や質で出展作品が決定されていると思った。
  よって、知らない作家が何人も出て来たがそれが非常に興味深かった。

4.版画作品だけでなく、絵ハガキ、雑誌、蔵書票など版画にまつわる様々な資料も展示。

創作版画とは、浮世絵のように摺りは摺り師、彫りは彫り師という分業制ではなく、「自画、自刻、自摺」にこだわった動きで、1920年代頃から始まった。
創作版画は複製芸術を目的とせず、自刻、自摺を旨とするといった宣言は、なかなか海外では評価されずジレンマになっていく。

そんな中、大正新版画では、彫りだけを専門とするものに任せた作品が登場してくる。
これは、江戸東京博物館で開催された「よみがえる浮世絵 大正新版画展」に詳しい。本展でも竹久夢二や橋口五葉に加え、意外だったのは、川端龍子≪月夜のヨット≫1916年、また、橋口五葉が彫り専門に任せて最初に制作したという≪邪馬渓≫1918年は風景を描いた大型版画で色鮮やか、線も美しく見事だった。

個人的には、何点の出ていた織田一麿の東京風景、木場雪景等の版画などにやっぱり惹かれる。織田の版画だけでなく絵画も好きなので、一度どこかで織田一麿の回顧展を開催してくださらないものだろうか。

以下気に入りの作品、印章に残った作品。
・岡本帰一 ≪花≫1914年
・広島新太郎 ≪夕暮小景≫1916年
・バーナード・リーチ≪天檀≫1916年
・清宮彬 ≪花≫1915年
・寺崎武男 ≪運河≫
・藤森静雄 ≪路傍の子猫≫
・大田三郎 ≪銭湯≫1914年
他に徳力富吉郎、高羽敏は未知の版画家、確か図録を確かめたらいずれも川端画学校出身だったように記憶している。。冒頭にあった藤島武二『毒草』、石井柏亭、戸張狐雁(戸張の作品は思いのほか沢山出ていて嬉しかった)、川西英などはお馴染の作家。

あと、恩地孝四郎の写真も数葉出展されていたのが、目を惹いた。
恩地が写真を版画制作に使用していたというのは、2009年の豊田市美術館で開催された「近代の東アジアイメージ」で初めて知った。上記展覧会で恩地の写真と全く同構図の版画≪円波≫1939年が展示されていて、驚いたが、今回は別の写真が展示されていたのは興味深い。

和歌山県立近代美術館で開催された同展の感想は「遊行七恵の日々是遊行」をご紹介致します。以下。
http://yugyofromhere.blog8.fc2.com/blog-entry-1998.html

常設展示では、件の恩地孝四郎の自画像(油彩)をはじめ、マグリット、クレーの水彩2点≪舞台稽古≫1925年、≪尊大≫1926年、カンディンスキー≪鎮められたコントラスト≫1941年、≪横切る赤≫1931年、モホリ=ナギのリトグラフをはじめ、デザインに関する展示品がいつも通り充実している。

2011-1-5

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