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「河井寛次郎 生命の歓喜」 日本橋高島屋

kawai

日本橋高島屋で1月17日まで開催中の「河井寛次郎 生命の歓喜」に行って来ました。

河井寛次郎は私にとって、思い出多き陶芸家である。
かれこれ10年程前、本当に美術館巡りをはじめて間もない頃、京都にある河井寛次郎記念館に興味を持って行ってみた。
この時の驚きと感動は今でも克明に私の中に残っている。
家の中は寛次郎の精神がそこかしこに息づいており、主がいなくなった今も、その帰りをずっと待っているようなそんな佇まいだった。
また、お庭も広くはないが素敵で、球形の石や窯場跡が残されており、寛次郎はここで作陶していたのかとどこかに、寛次郎がいるのではないか、そんな気配が残っている場所だった。京都にありがちな間口は狭いが、奥行きの広い空間。

あれから約10年経過し、その後記念館には行っていないが、今回、河井寛次郎の生誕120年記念の回顧展が開催されると知り駆け付けた。寛次郎の作品は民藝がらみの展覧会や京都のアサヒビール大山崎山荘美術館など、あちこちで見かけることは多いが、初期から晩年まで、また陶芸だけでなく木彫、書、家具など多様な作品を一堂に集めた展覧会を観るのは初めてのこと。

展覧会は、デパート開催とは思えない程、充実していた。
構成は以下の6つのキーワードによって作品を展観する。
第1章 技 美へ美へと無かふいのち-人間
寛次郎初期の作品がまずは並ぶ。彼の初期作品はなかなか観る機会が少ない。美術館でよく見かけるのは50代以後の作品であることが多い。
寛次郎は、1890年に島根県に生まれ、東京高等工業学校窯業科を卒業後、京都市立陶磁器試験場で釉薬を研究。
当初は、中国や朝鮮の古陶器の手法を駆使した作品を制作し、1921年に初めて高島屋で初個展を行っている。

冒頭の第1章にある初期作品に今回一番惹かれた。
・結晶釉壺 1921年 31歳作
・鳥注   1924年 34歳作
・愛染鳥子 1921年
この作品は、前述の高島屋での初個展に出品された作品で。菩薩を模した男女が鳥を手にして優しく寄りそう風情を陶彫したものであるが、これら、初期作品を観るに付け、当初より非凡な才能を発揮していることが素人目にも良く分かる。

第2章 暮らし 「暮らしが仕事 仕事が暮らし」
「暮らしが仕事 仕事が暮らし」とは、まさにその通り。寛次郎は初期作品で人気を博した後、同じ手法に留まることなく、用の美に惹かれ民藝運動に参加して行く。
寛次郎は陶芸家として著名であるが、自宅(現在の河井寛次郎記念館)も昭和12年自身が設計し、建設したのは、島根の兄弟である大工だったとか。
寛次郎の応接間や書斎が展示室内に再現されていて、棚や小箪笥、果ては文机もデザインしてしまう。マルチな作家だったのである。

ここでは、炉は切ってある茶室も兼ねた部屋を再現していたが、家具にせよやきものにせよ、寛次郎らしさがよく出ている。
特に後半に登場する寛次郎デザインの木彫作品、これがまるで岡本太郎のように前衛的で、常に新しいことに朝鮮していこうとするアグレッシブさがある。

・流し描壺 40歳
浜田庄司の持ち帰ったスリップウェアの技法に相当のめりこんだのか、まるで太陽のような紋様が当季の側面にあがきだされている。

第3章 交わり 
高島屋の川勝堅一、毎日新聞の岩井武敏、井上靖、棟形志功ら、河井寛次郎ゆかりの人とその作品を紹介。
中で印象的なのは、芹沢介の作品。河井邸の再現にも登場し、河井が愛用していたという風炉先屏風や敷物などどれも良かった。河井邸には人が絶えることがないほど、河井を訪ねて来るものが多かったらしい。魅力的な人物だったに違いない。

第4章 生命 生命の正体-歓喜 
哲学的思索から生まれた生命讃歌の作品群。幼少の頃からファーブル昆虫記やシートン動物記が大好きな少年だったそうだが、生命、いきものへの優しい眼差しを感じる作品が多い。
・白磁人物文壺 、誕生歓喜の作品など観ていると、生命の大切さを自身の作品に封じ込めているように見えた。

第5章 造形 仕事の旅行 未知ノ旅行
戦後の寛次郎は、これまでのスタイルをまた変化させる。時代は機械化。彼は美しい機械に魅せられたようだ・
機械の重なりの中に見出した美など、彼の周囲すべてのものが後には全部顔に見えてしまう。

台6章 祈り 祈らない祈り 仕事は祈り
彼の精神性を強く表す作品を集めて展開している。
書や木彫。特に注目すべきは木彫で、デザインは河井が手がけ、下彫りは京仏師匠」にお願いし、最後の仕上げは再び寛次郎の手が使われる。
そして、木彫以後は木面へと移行し、常に作品や作風に新しい風を吹き込んだ・

特に木彫はじめ陶芸作品は晩年であっても衰えることなく、プリミティブでありつつどこか縄文的であり、木喰作品にも似ている気がした。そうかと思えば、メカニック的な幾何学面を多用した焼物などその制作意欲は留まる事がなかった。
会場に12分の河井寛次郎を紹介する映像が上映されているが、とてもよくできているのでぜひご覧ください。

*1月17日まで開催中。
この後、京都、大阪、名古屋高島屋各店に巡回します。

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